1現代演劇レトロスペクティヴ エイチエムピー・シアターカンパニー 『阿部定の犬』 2

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今日はどうぞ、よろしくお願い申し上げます。最近、赤星さんはどんな感じでしょうか。
赤星 
よろしくお願いします。いまは「阿部定の犬」の稽古中ですね。
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エイチエムピー・シアターカンパニーの「阿部定の犬」ですよね。意気込みを教えて頂けますでしょうか。
赤星 
今回、歌うんですよ。たくさん。
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あ、そうなんですね。音楽劇ですしね。
赤星 
僕けっこう、人前で歌うのが恥ずかしくて避けてたんですけど、この歳にもなって歌うのが恥ずかしいというのもないかな、と。せっかくだし苦手な事もやろうかなと。そう思いだしたらなんか楽しみになってきて。過去、HEPプロデュースの「真夏の夜の夢」とかで歌ったりもしたんですけど。今回、4曲も歌うんですが初めてですね。
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とても楽しみです。
赤星 
あと最近、この半年くらいたばこをやめて。さらに歯の治療にも行っていて。いままでになく健康な状態なんですよ。凄く気分がいいです。
2sunday
2004年、劇団☆世界一団、第1期終了。ふたつのinterludeを経て、sundayに改称。「今面白いと思うことを、遊びながら作る」というメッセージ性の少ないカンパニー。しかしその現代性とファンタジー性が融合した世界観は、ポップでありながら実験的。物語とパフォーマンスの絶妙なバランス、そして実力派の役者たちによる見応えのある演技は、公演回数が少ない割には確固とした評価と動員を得ている。目指すは「世界一おもしろい演劇部」。(公式サイトより)
3現代演劇レトロスペクティヴ エイチエムピー・シアターカンパニー 『阿部定の犬』
作:佐藤信
演出:笠井友仁
出演:高安美帆 / 森田祐利栄 / 米沢千草 / 澤田誠 / ごまのはえ(ニットキャップシアター) / 中村彩乃  / 赤星マサノリ(sunday) / あらいらあ / 有北雅彦(かのうとおっさん) / 合田団地(努力クラブ) / 熊谷みずほ / 諏訪いつみ(満月動物園) / 林田あゆみ(A級MissingLink) / 稲葉良子 他
【伊丹公演】
2015年8月6日(木)18:00
7日(金)18:00
8日(土)14:00
9日(日)14:00
【東京公演】
2015年8月19日(水)18:00
20日(木)14:00

「すっぴん」

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月一の「すっぴん」。即興演劇のイベントなんですよね。惜しくもまだ拝見出来ていないのですが、とても面白そうですよね。
赤星 
ありがとうございます。また7月の22日にあります。
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出来れば参ります!まず伺いたいんですが、会場はどんな感じになるのでしょうか。
赤星 
基本は結構、温かい空気になりますね。そもそもこれの始まりは、坂口さんとずっと二人芝居をしていて、で坂口っちゃんが「エチュードをやりたい」と言い出して。でもただのエチュードはやりたくないと。だったら音響とか照明を自分たちで操りながら即興演劇が出来たら楽しいなという事になって。実は僕、即興は結構苦手なんですよね。でもまあやってみようかなと。
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そうなんですね。
赤星 
もう、一年近くやっていてルールも出来てきて。お客さんからアイデアを二つくらい頂いて、それを組み合わせたタイトルの即興劇をやるんですよ。
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ええ!それは凄い。
赤星 
でもそれだけではちょっと難しかったんです。お客さんから「場所とかが最初に分かった方が見やすいです」って意見が出て、それも取り入れるようになって。5分で終わるようにしよう、とか、最後のセリフを決めよう、とか。お客さんもそういう、ルールが出来ていくのを楽しんでくれてるのかな、と。
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私もインプロショーを拝見することがあるんですけど、色んなやり方があるんですよね。最初のシーンの設定を決めたりとか、何人かの組に分かれるとか。でも、タイトルを決めるというのは凄く新鮮ですね。即興劇にタイトルを付けて臨むとは。
赤星 
最近、お客さんが何かタイトルを考えてきてて。二つ繋げるってのを知ってるから、「○○と君と」みたいなタイトルを用意してきてくださるんですよ。
4赤星マサノリ×坂口修一即興芝居「すっぴん」
赤星マサノリ×坂口修一が二人で挑むデッド・オア・ライブの即興ジェットコースター!「すっぴん」ホンなし!演出なし!スタッフもなし!舞台には役者が二人だけ!音響や照明操作も演技中に二人でやります!赤星マサノリと坂口修一がすべてをさらけ出して挑む即興芝居。
【日時】2015年3月31日(火)、4月29日(水)、5月26日(火)、6月23日(火)、7月21日(火)、8月25日(火)、9月29日(火) 20時開演

次は一人芝居かも?

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今年も半分過ぎましたね。下半期はどのような活動をされますでしょうか。
赤星 
新しいことがしたいというのがずっとあって。で、この数年映像を作ってるので、映像を使った一人芝居がしたいなと思ってるんです。それを持って全国を回れるような作品を作りたいんですけど、まだ上手くはいってないです。
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映像と一人芝居を組み合わせたもの?
赤星 
そうですね、全部自分で映像も音も照明も操作しながら(まあ今「すっぴん」でやってる事なんですけど)。最近、透過スクリーンみたいなのがあるらしくて、その実験もやってみたいな、と。
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「透過スクリーン」。なんだか新技術っぽい響きがありますね。
赤星 
ビニールハウスのビニールがスクリーンになるらしくて。
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そこに映像を投影するんですね。光を当てなかったらそこは透明になる。
赤星 
ちょっと、そういうのを使ってやってみたいんですよ。
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もし安かったら、それを破って出てくるみたいな。
赤星 
そうそう。
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お話を伺っていると、一人でやる、という事にこだわりがあるんでしょうか?
赤星 
いや、僕は結局周りの人にお願いしていく感じになっていってしまうので、そういうこだわりはないんです。協力してくださる方には感謝ばかりですね。
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失礼しました。
赤星 
いえいえ。sundayという劇団の一人としてなんですけど、sundayはそれぞれみんな何か一人でやってるんですよ。たとえば平林さんは音楽やってるし、サキさんは一人芝居やってるし。それがみんな、もう一度集まったらきっと凄い事が出来るんじゃないかと思うんですよね。だから僕も、というのはあります。

もっと深い意味での役者の立ち位置

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今回からしばらく、役者の実質的な仕事について考えていければと思いまして。たとえば、先日の、メイシアターで上演された「やぶのなか」のモノローグバージョン。この作品の演出で、人物は全員、嘘によって己の真実を隠そうとしていたように思うんです。個人的な解釈かもしれませんが。赤星さんはどんな役作りをされたのでしょうか。
赤星 
よく、役者の人が「嘘の芝居をするのは嫌だ」という考え方に行くじゃないですか。僕も嫌だったんですけど、最近は変わってきて。だって、絶対嘘じゃないですか、演技って。
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そうですね。
赤星 
どんだけ真実に迫ってやろうが。だからそこは開き直って、もう、「こんなもんだよ」という気持ちでやっています。
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「こんなもんだよ」。
赤星 
嘘とかホンマとか。もちろん役者としての演出からの注文は真摯に受け止めてやっていくんですけど。アウトプットの出し方で、これを真実にしようと思ってはやってない。「こんなもんだよ」、という気持ちでやっています。最低限の嘘は付かないんですけど。
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誠実な考え方ですね。
赤星 
嘘をついてもいいんじゃないかと。だってしょうがないですもんね、嘘なんだから。どれだけ真実にひっぱってこようが、それが逆に嘘っぽく見えるような気がして。あれちゃいますか。力抜きたいと思ってるのかもしれないです。逆に聞きたいんですが、「やぶのなか」の時はそういう風に見えたんですか?
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そうなんですよ、お互いに目を合わさないようにするというルールが、人物同士の距離が主なテーマなのかと予感させてくれたんですよね。それから役者自身のメタ的な紹介とかもあったり、真実からどこまでも遠ざかっていく感覚がものすごくあって。喋れば喋るだけ。真実が確定しない状態の心地よさが味わえたんですよ。
赤星 
そういう作品だったからか、いま余計に思うんですけど、僕はやっぱりゲームが好きなんですね。演技するよりも、ゲーム感覚で芝居をしている感覚があるんです。木下さんの作品だと特に。「やぶのなか」はルールとして、何をやってもいいというのがありまして。もちろんある程度話し合って作ったんですけど、その遊びによって真実が隠されていったのかもしれませんね。
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遊びの感覚があるんですね。
赤星 
坂口さんと芝居やる時は、役柄があって、その上でさらに、どういう風にするのかという、お互いのコミュニケーションがあって。それが凄く楽しい。そこまで行くのが結構大変で、何回か公演しないとそこまで行けないんですが、そういうやり取りが出来るようになっているんです、今。

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今後、何か新しい趣味を一つ始めるとしたら?
赤星 
旅行。あんまり行かないので。あと、大型バイクの免許を取ろうと思ってます。

質問 吉見 拓哉さんから 赤星 マサノリさんへ

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前回インタビューさせていただいた、吉見拓哉さんから質問です。「俳優は、意識と無意識、どれぐらいのバランスの時が一番うまくいきますか?」
赤星 
意識・・・常に色んな事を意識してるんですけど。時々、無意識の境地に行くときは気持ちいいなと思います。でも、そこに行く事は意識していない。行けたらいいなと思っているぐらい。気が付いたら、ああなんかなりきってるというか、変なところに入ったわ、という事はあります。
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それにはどんな条件が必要なんでしょうね。
赤星 
意識したらそこにはきっと行けないんですよ。やってる内にそうなるんですよ。
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観客がそういう没頭している感覚になるのは結構難しいんですよね。冒頭に、琴線に引っかかるような事があれば違うのかも。
赤星 
でも、役者としてはですけど、そういう無意識になるのがいいのかどうかは分からへんし。お客さんにとっては勝手にして、みたいな感覚かも分からへんですね。

空飛びたい

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いつか、こんな演技が出来るようになりたい、とかはありますか?
赤星 
空飛びたい。吊ったりとか。あと、大劇場でも小劇場でも、雰囲気が伝わるような演技が出来るようになりたいです。
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それは既にそうなってると思うんですが・・・
赤星 
いやいや。この間「PLUTO」で柄本明さんの演技を見たんですが、凄くて。声を聞いているだけでもうっとりするような。すばらしいな、ああいう感じになりたいなと思ってます。

トートバッグ

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今後、どんな感じで攻めていかれますか。
赤星 
焦らず、じっくり色々考えながら行きたいですね。
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ありがとうございます。今後も応援しております。頑張って下さいませ。今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。
赤星 
ありがとうございます。これ、毎回?
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はい、一応。
赤星 
(開ける)え、凄い。ありがとうございます。使わせて頂きます。

(インタビュー終了)