chikin『シティ派で』note

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今日は、どうぞよろしくお願いします。最近は、アトリエ劇研での公演が終わったところですかね。面白かったです。
cosi 
ありがとうございます。
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「シティ派で」。以前のchikinとはかなり手触りの違う、シリアスな感じの作品でしたね。
cosi 
あ、ほんまですか。今回、前半はおちゃらけていて、後半はちょっとテーマの強いピースを入れていきました。「いいじゃない、幸せならば」。
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ありましたね。あの。
cosi 
そこがめっちゃストレートだったと思うんですけど、いつも「君たちの言いたいこと、意味わかんないよ」って言われるので、伝わりやすい方法を試してみました。いつもは直接的な言葉を使わないんですけど、遠回りしすぎていたのかな、と。
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今回は直球でしたね。
cosi 
やっちゃったぁ。やっちゃったって感じですね。
notechikin
京都を中心に活動する劇団。京都造形芸術大学の卒業生3名で立ち上げ。ショート作品を連作形式で発表する。
notechikin 舞台公演『シティ派で』
公演時期:2010/4/16~18。会場:アトリエ劇研

「80年代地下文化論」

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まず、今回「シティ派」という題材を選んだのは。
cosi 
言葉が気になったんですよね。「シティ派」って言葉の響きが、なんか懐かしくてちょっとバカバカしいなと。シティ派っていう言葉が既に自分で自分の事をかっこいいと言っちゃってる。そんなおかしさがあったんですね。
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なるほど、言葉から入ったと。
cosi 
色々調べていく内に、ヒデキとかにまずイメージされるダサかっこいい感じよりも、今見てもカッコイイと思える存在に出会えたんですね。それこそ30年昔に日本にあった、アンダーグラウンドな感じのアーティストとか場所とか。今回作品を作る上での参考資料の一つに、宮沢章夫さんの「80年代地下文化論」という本があったんです。そこで色々書かれてあったんですが、まず80年代に一番カッコよかった奴らってどんなんだろう。今でも彼らのカッコ良さは通じるのか。
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それで「シティ派で」を。
cosi 
そこを根底にして作品を作っていく事になりました。もちろん、バカバカしさも必要だし、80年代以外にもカッコイイシティ派はある。

「いいじゃない、幸せならば」

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「シティ派」を作った意義とはなんでしょうか。我々を取り囲む社会であったり、世界にとって。
cosi 
今回、実は助成金を結構狙ってたんですよ。それで、今回の作品の企画書を書いたんです。ぶっちゃけ私たち、やりたい事をやってるだけなんですけど。今、私たちは就職もせずバイトしながら表現活動をしたり、人のを見たり。何の保証もなくて、怖くなるんです。自由に生きているようで病んでいて、傷つきやすい人も多いと。
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なるほどね。
cosi 
でも、一歩引いて見てみるとバカバカしく見える。見方を変えると優しい人もいる。世の中を肯定したいんですよね。私たちみたいな、経済のルールから外れて社会に還元してない、それで楽しくやっているかというと病んでたり。この渦あかんやんと。
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ええ。
cosi 
でも、それでうんうん言っている姿が愛らしかったりするじゃないですか。それを肯定したいという気持ちがまずありました。それから、資本主義との関わりをもう一度考えたかったんですよね。
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後半に出てくるピース、「いいじゃない、幸せならば」っていうのがchikinの結論?
cosi 
一見ちゃんと働いている人だって幸せとは限らなかったりするんですよね。社会から外れている人たちも、実は頑張っていたり。だから「いいじゃない、幸せならば」って簡単には言えない事だと思うんです。
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だから、そのセリフにあえてしたんですね。
cosi 
無責任ですけど!でも、肯定したかったんですよね。

「シティ派で」の思い出・1

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一番最初のピース、ファッションショーでしたね。トミーさんがガン黒になって出てきましたね。
cosi 
似合ってましたよね。あれ、私めっちゃ可愛いと思ってて。でも本人はあれで褒められても嬉しくないって。
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それから、彼女へのインタビューを挟んで、何だかよく分からない状態になった山村さんの。
cosi 
あれは80年代のクラブの、ヘンにカッコイイファッションだったんですよ。
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ああ、何だか覚えがある。
cosi 
お前バカじゃねーの、みたいな。
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まだキモイという言葉が生まれていない時代の。次の印象深かったピースはエアロビでしたね。あれは何だったんですか?
cosi 
あれは「アンチ保守化」というタイトルで。「80年代地下文化論」にコミュニティの内閉について書いてあったんですよ。そのコミュニティがアツければアツいほど閉じていく。でも、今見ると個人がそれだけで内閉しているように思えるんです。今クラブに行っても、下を向いて踊っている人が多い。自分の中だけで踊っているんです。でも、90年代のバンドが演奏しているクラブのホールに行ったらみんな上向きで踊っている。他人だけど、隣の人と楽しく踊るみたいな。そのムードと、エアロビ教室の楽しさって似通っている。これ、今の若モノ世代ではありえないなと。衝撃だったんですよ。
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ええ。
cosi 
で、演劇を見に来るお客さんってちょっと内向的な人が多いと思うんですよ。だから、半分実験なんですけど、アトリエ劇研に来るお客さんを踊らせてみようと。
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申し訳ないですが、私は後ろの方で見ていました。
cosi 
(笑う)2日目は誰も踊らなかったですね。そんな違いも面白かったです。
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それから、妙な赤い全身タイツが出てきましたね。
cosi 
あれも80年代のヘンなカッコ良さですね。
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それから、着替えタイムでしたね。あの時のトミーさんの服装は物凄くダサかったですね。
cosi 
どうしようもなかったですね、あれは(笑う)。ファッションが人の価値を決める訳ではないのに、ダサイ格好の人間が下に見られて締め出されるという傾向が80年代から強かったんですが、服に振り回される人を描きたかったんですよ。
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あと、下らない会話のピースが。
cosi 
あれはトミーのですね。演劇じゃなく、ただの会話を見せたいと。それは平田オリザの静かな演劇と何が違うのか。会話を芝居やコミュニケーションとして捉えるのではなく、物体として見た時に、例えば街にいるギャルのとりとめない会話って面白いなと。突然話が切れたり、全然別のセリフにつながったり。でも携帯がなったら「Heyボス!」って言わなきゃならないという圧力もある。
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それから、例のダンスが。ダンス?フォーメーションダンスと言えばいいのか。
cosi 
はい。あれは三角という図形をモチーフにヒエラルキーを表現しようという振り付けでした。最近chikinは三角にハマっていて。
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ああ、図形としては単純なクセに他と調和しない形ですよね。不自然ですよね。

タグ: 赤色 静かな演劇と「出会う」

「シティ派で」の思い出・2

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確かに今回、後半を中心にかなりシリアスな作品が多かったですね。暗い中にポップメドレーを延々と流したり。
cosi 
4分あったんですよ。
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あ、ちょっと長く思えたんですよね。そういう表現って凄くchikinらしいなと思います。
cosi 
というのは?
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何だか、迷いがないというか。自分達の表現に踏み切る力というか。
cosi 
今回は結構、テーマを強く意識しましたね。いつものようにグチャグチャしていなくて。
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「シティ派」。難しいテーマでしたけど、凄く誠実に表現されていたように思います。例えば最初に女の子らしいキャピキャピした会話コントを入れてお客さんを惹きつけて、みたいな事をせず、堂々と取り組んでいたように思いました。
cosi 
うーん。そういう定石を知らないですからね。それは良く言われましたけど、演出の方法とかはあまり勉強してきていないので・・・。

質問 柳沼 昭徳さんから cossiさんへ

Q & A
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さて、前回インタビューさせて頂きました、柳沼昭徳さんから質問を頂いてきております。1.演劇を続ける為の秘訣はなんですか?
cosi 
アホな精神を忘れない。それを忘れたら芝居を作れないと思います。
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アホな精神?
cosi 
さっきの話とも繋がるんですが、結局あまり固い作品を見せたくないんですよ。重い気分にさせたくないし、自分がやりたい事を表現したくてやっているので。アホな事はしている方も見ている方も楽しいし。
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ありがとうございます。2.演劇を辞めるのはどんな時ですか?
cosi 
飽きた時ですね。もしくは、これ以上ないくらいの良い芝居を作った時。もうええわとなるんちゃうかと。

タグ: 色んな秘訣集

まだ結果の見えていない作品

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今後、どんな感じで攻めていかれますか?
cosi 
あ、その前にちょっとお知らせが。実は、今年の夏に、元立誠小学校のイベントに展示を出すんですよ。
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そうなんですか。確か、RISSEI SHOWという企画だったかな。
cosi 
今回の「シティ派」の映像をDVDにしたので、それを流そうかと。この「シティ派で」、まだ結果の見えていない作品で。これはちょっと続けたいなと思うんですよ。まだまだ掘り下げられるテーマだと思うので。
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分かりました。頑張って下さい。

タグ: 今後の攻め方

ピアス

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今日はお話を伺えたお礼にプレゼントがあります。どうぞ。
cosi 
あ、ピアスですね。ちょっとアジアっぽい。ありがとうございます。

タグ: プレゼント(装飾系)

(インタビュー終了)