ぐうたららばい『観光裸(かんこーら)』 2 3

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今日はどうぞ、宜しくお願い致します。糸井さんは、最近はどんな感じでしょうか。
糸井 
こちらこそ、よろしくお願いします。私は普段、FUKAIPRODUCE羽衣という東京を中心に活動している劇団の作家・演出・音楽他をやっていまして。この度、京都で作品を上演するにあたって「ぐうたららばい」という個人ユニットを立ち上げまして。
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KYOTO EXPERIMENTのフリンジ企画、「PLAYdom」での参加ですね。タイトルは「観光裸」という。
糸井 
はい。この半年、打ち合わせ等で何回も京都に来ています。作品の製作は終わっていて、実はいま上演期間なんですよ。
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京都、いかがですか。
糸井 
居心地がいいというか、便利な街なのに、ちょっと通りを入ると静かな路地があって風情を感じたりと。素敵ですね。町のみなさんが、迎え入れる事に慣れてるんでしょうね。
1FUKAIPRODUCE羽衣
2004年女優の深井順子により設立。作・演出・音楽の糸井幸之介が生み出す唯一無二の「妙―ジカル」を上演するための団体。妖艶かつ混沌とした詩的作品世界、韻を踏んだ歌詩と耳に残るメロディで高い評価を得るオリジナル楽曲、圧倒的熱量を持って放射される演者のパフォーマンスが特徴。(公式サイトより)
2FUKAIPRODUCE羽衣
女優の深井順子が主宰するFUKAIPRODUCE羽衣(以下、羽衣)の座付作家・演出家・糸井幸之介。彼がこのたび、個人ユニット「ぐうたららばい」を旗揚げし、初の京都公演に挑みます。(以下略)(公式ブログより)
3ぐうたららばい『観光裸(かんこーら)』
公演時期:2012/10/18~21。会場:元・立誠小学校 音楽室。

タグ: カオス・混沌 ユニークな作品あります メロディ

高校演劇部時代

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糸井さんがお芝居を始めたのはどのような経緯があるのでしょうか。
糸井 
凄く前なんですが、高校の演劇部から始めました。中学は帰宅部で、明るい学生生活が送れなかった反省があって。何となく演劇部に見学に行ったら、先輩達が装置を作ってまして。その内の一人の先輩が金髪で長髪で(校則に反していたんですが、役作りという事で免除だったそうです)。ロック好きの元・中学生としては、そんな人がジョン・レノンとか掛けながら大工仕事をしているのに惹かれたんですね。これは面白いんじゃないかと思って。それが間違いの始まりだったんですね(笑う)。
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なるほど。ほぼ偶然だったんですね。
糸井 
それまで人前で演技するとか、演劇に興味があるわけでは全然無かったんです。
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高校演劇部時代。どのような部活動でしたか。
糸井 
老舗の厳しい演劇部だという事が入部後に後々判明しまして。新劇や不条理演劇の既成台本を、超厳しい顧問に竹刀で小突かれながら稽古する日々でした。
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体育会系だったんですね。
糸井 
とにかく先生が恐ろしかったですね。でも、やっている内にその、演劇の魅力に気づくようになりました。
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初舞台は緊張しましたか。
糸井 
いや顧問がとにかく恐ろしくって、顧問に止められない本番というものが凄く楽だったという記憶があります(笑う)。
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その後大学でも演劇を学んだとの事ですが。
糸井 
高校の演劇部で深井さんと同期だったんです。大学に入っても同期でした。実は深井さん唐組が大好きになっちゃって。僕は怖くてとても入れなくって・・・。学生劇団も作ったんですが、卒業と共に離れていって・・・僕も一旦辞めて、改めてという事で深井さんが主宰で羽衣をやり始めたという流れです。それから、大体6、7年ですね。

タグ: 役作り=身体から入る 反省Lv.1 新劇と「出会う」

素敵と逆の方向性

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FUKAIPRODUCE羽衣の作品について。私は実は「15 minutes made」で拝見しているんです。「浴槽船」という作品でした。それは15分間、お風呂の素晴らしさを歌と踊りで表現するという作品でしたね。ショックでした。これは私がこれまで見てきた舞台作品と一線を画しているなと思ったんです。
糸井 
はい。
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こんな事を言うのはきっと、インタビュアーとしては失格だと思うんですが・・・それを拝見した時、私の中に強烈な拒否反応が起こったんですよ。文脈や構造を読み下すのが通じないというか、そういうのじゃないんですよね、きっと。
糸井 
はい。
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だから、受け入れられなかったんです。今考えると、作品とは構成されているものだという前提で私は生きていたのが、(私にとっては)そうではないものを目にして、驚いたんです、きっと。しかし反面、憧れを抱いた筈なんです。
糸井 
凄く分かります。僕の性格や性質もあると思うんです。前置きとか説明とかはナシで一気に音楽と歌で歌いあげていくからですね。
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きっと、羽衣の価値は男の子的な「面白さ」ではないんだと思うんです。展開そのものが持つ面白さではないんです、きっと。俳優が出てきた瞬間から、彼らが変質するわけではけしてない。むしろその存在のまま高まっていく。そこにあるのは観客を啓発する展開や物語ではない。
糸井 
言ってみれば単純になってしまうんですが、その人の存在感というか。羽衣の場合は役作りとかそういうのは一切ないんですね。「何か素敵じゃないのは、あなたが素敵じゃないからだ」という事になるんです。色んなパターンはあるんですけど、俳優さんの個性が発揮されない作品もあるんです。そうした作品は個人的には好きな作品だったんですが、集客も芳しくなく。
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なるほど。
糸井 
作品の作り方には毎回悩んでいます。僕の世界を全面に押し出す作品もあれば、単純に俳優さん達が楽しそうに舞台で演じている作品もあり。それが客足にも響くので・・・。「耳のトンネル」は配役があり、評判も良くて、それでこりっちの賞も頂いたり。手応えはもちろん感じたんですが、それよりも、創作のやり方についてもっと考えないとな、と思ったんです。

タグ: お風呂 役作り=役者に刻む 実験と作品の価値

空気の中で探して

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この度結成した糸井さんのユニット「ぐうたららばい」。羽衣とは違ったコンセプトがあるのでしょうか。
糸井 
方向性を変えてみようとしています。ちょっとアダルティなんですよね。会話のシーンが多くて、声を張り上げて歌うのでもないし。でも、終演後には、いつもと同じようになったなあという感触があります。
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同じ感触を掴んだ?
糸井 
表面を変える試みをした事により、逆に、いつもと同じ何かが浮かび上がってきたんですけど・・・うーん、どう言えばいいんだろう?言葉で中々説明出来ないですね。
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糸井さんのイメージ、ムードになったという事でしょうか。
糸井 
それも探しながら、なんです。僕が追求したい価値というのも、終演後の空気にあるような気がします。

タグ: コンセプチュアルな作品

質問 ウォーリー木下さんから 糸井 幸之介さんへ

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前回インタビューさせて頂いた、ウォーリー木下さんから質問を頂いて来ております。「今まで人から聞いた、一番ムカつくエピソードは何ですか?」
糸井 
なんだろう。うーん、あまり人から聞いた話を覚えていないという・・・(笑う)。誰かが痴漢に遭った話ですかね。特に、大切に思っている異性が痴漢の被害に遭ったとかはむかつきますね。

おじさまとキレイな女性

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これまでお話を伺っていて、羽衣では俳優の初期衝動を特に大事にしているのかなと感じましたが・・・
糸井 
もちろん気持ちは大事なんです。でも、「段取りとかじゃないんだ、やるぜ!」って感じではまるでなく、意外と稽古は真面目にやっているんですよ。勢いのあるシーンでも、綿密に詰めてるんですね。それがあんまりお客さんには伝わっていないというか、分からないみたいで。勢いだけみたいに思われてしまっているかもしれませんが稽古は大切です。
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もちろんです、「愛死に」の映像も、浴槽船も、物凄い稽古の量を感じました。もしかしたら、初期衝動云々というのは、糸井さんの戯曲の書き方について言うべきだったのかも。
糸井 
そう、そうだと思います。
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糸井さんが素晴らしいと感じた、お風呂の素晴らしさとか愛とか恋とか死についての純粋な感動が次から次へと溢れだすという。
糸井 
そうですね。今回のぐうたららばいの作品も結局はそうなんです。とはいえ、もちろん歳を取ってしまうので成熟して衰えたりしていくんですよね。むしろそれを先回りしている面があるかもしれません。でも、中学生の頃のような衝動は今まで続いているんです。
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今の私には、そういう「溢れ出す」作品が凄く豊かなような気がします。その時間とか空気に浸り続けられるというのは、きっと、絵画の鑑賞体験に近いと思うんです。好きな画家の個展だと、本当に1時間は見ていられるような。
糸井 
その体験に対してちょっと躊躇を感じるお客さんもいて。そこまでずっといるというのが辛いというのがあるのかもしれません。これは正確に統計を取った訳ではないので、僕の印象に過ぎないんですけど、羽衣の作品を好きと仰ってくれる人の傾向を考えると、けっこうおじさまとキレイな女性、みたいなパターンが多いのかな。
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おおー。
糸井 
分からないですよ(笑う)でも、愛とか恋とかに浸れる方には面白いかもしれません。多少論理的に考えるのを面倒くさいと思ってきたおじさまには「まあいいんじゃないか」と思って下さるのかも。

タグ: 段取リスト

探す

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糸井さんは、今後、どんな感じで攻めていかれますか?
糸井 
自分の性質がまずあって、そうして作った作品を、論理的な事がどうしても気になるお客さんには受け入れられないというジレンマがあるんです。そうした時に(ああ、僕の作品は多くの人には受け入れられない、合わないんだ)ってなるんじゃなくて・・・
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ええ。
糸井 
出来るだけ、自分の方向性とお客さんの楽しみが重なった部分。それが普遍的な価値を持つものであったらいいんじゃないかと思うんです。それを目指して作らないといけないんじゃないかと。羽衣は出演者も多く集まってくれるし、華やかなパフォーマンスも出来る。それは僕のタチと逆方向なのですが、それらが高い次元で違和感なく結びつくようなものがあると思うんです。それが出来るかは分かりませんが。
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簡単じゃないんでしょうね、きっと。これは理想論かもしれませんが、マーケティングしたら無くなってしまうものがあるんですよね。それを探ろうと例えば統計を取って、結果が裏付けられた瞬間に消えるものがある。それは、創作者に眠っている未知の部分が消える瞬間かもしれませんね。
糸井 
マーケティングで、「こうする方が喜ぶ」というのはすぐ想像出来るんです。でもそれを鵜呑みにしたり、色んな絡みを自分が飲み込んで、振り回されてしまうかもしれない。でも、自分がやりたい事も、お客さんが本当に見たい事も、素直に入っていく何かがあるんじゃないか。
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お客さんも、パターン化されている訳じゃないですしね。

タグ: 今後の攻め方

子供用カスタネット

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今日はお話を伺えたお礼に、プレゼントを持って参りました。つまらないものですが・・・。
糸井 
ありがとうございます。開けてもいいでしょうか。
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もちろんです。
糸井 
(開ける)おお、かわいい。素晴らしい。可愛いですね。ありがとうございます。
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お子さんようのものらしいです。
糸井 
3歳になる子供がいるので、嬉しいです。

(インタビュー終了)