配置換え

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今日は、宜しくお願い致します。実は私、金田さんの現在についてあまり存じておらず・・・。ネットで検索しても審査員のお仕事ですとか、デス電所noteのお仕事ですとかの断片だけで。
金田
あんまり出ないでしょ。
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そこで、非常に申し訳ないのですが、金田さんのお仕事をちょっとだけお教え頂けないでしょうか。
金田
基本、私の仕事は裏方なんですね。あんまり表に出る事がないんですね。どこから話せばいいんですか?私がここに至った経緯とか。
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はい、宜しくお願い致します。
金田
きっかけは、某プレイガイドに入社した所から。そこでアルバイトしておりまして。配置替えがありまして。劇団さんですとかの比較的小口のお客様のチケット販売申込の窓口みたいな担当だったんですね。でそこから、なんだろう。もうちょっとこう、大きな劇場さんですとか、定期的にチケットを申し込まれる方々の担当になって。それが比較的演劇が多かったんです。いわゆる営業ですね。
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はい。
金田
会社としては、なるべくこちらに沢山チケットを置いて欲しいと。うちに、これだけ沢山良い席のチケットを置いて欲しいと。そういう係りをしてたんですね。その内、たまたま同じ会社で情報誌の演劇ジャンルの編集をやってた人が退社される事になったので、畑違いではあったけれどもやってみないかと言われて、そこで編集担当になりました。
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そうだったんですね。最初はアルバイトから、どんどん編集の方へ。
金田
編集は未経験だったんですが。あとは、私は仕事として演劇が仕事として面白かったので。自分は演劇は全くしてこなかったんですけど、ホントにたまたまで。あとは、前任の方が私を推薦して下さったのもありまして。
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金田さんは、それまで小劇場はあまりご覧になっていなかったんでしょうか。
金田
会社に入るまでは、全然見たことがなくって。私は短大を出たんですけど、学生時代には浄瑠璃ですとか近世文学の勉強していて。そういうものは観ていました。あと大学の先生が蜷川幸雄さんのお友達だったので、その流れで蜷川さんのお芝居は見てました。が、なかなか小劇場へ踏み出すことはできなくて。
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ええ。
金田
チケットを手に入れた時にも、熱を出して行けなかったり。私達が学生だった頃には、新感線さんですとかそとばこまちさんですとかが物凄く華やかに活動されていた時代だったんですね。公演をテレビとかで放送してたりとか。そういうのは観てましたが、実際に足を運ぶのは中々・・・。劇場に行くのは、子供の頃から祖母に連れられて行っていたんですが。
noteデス電所
1998年の近畿大学在学中に、作・演出の竹内佑を中心として結成。(公式HPより)ブラックな笑い、社会風刺を和田俊輔氏の音楽とともに表現する。

業界

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金田さんは、プロデューサー的な立場に立たれることも多いように見受けられますが。
金田
会社にいるときから色々、イベントをやっていましたね。シアター・ドラマシティさんや松竹さんなどと、ディレクター的な立場で、割と色々やらせてもらって。それから会社を辞めて、この業界から足を洗うつもりでいたんですね。私本当に、あまり役に立っていないんではないかとか、向いていないんじゃないかとか思っていて。一年くらい何もせずにいたんですね。
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ええ。
金田
でも、その間に色々な人と話をしている内に、今までこの業界の人たちに育ててもらったなあと。会社の方にも育てていただいたというのも当然あるんですけど、この業界は本当に大切に人を育ててくれるところがありますし。
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なるほど。
金田
私がこの業界に返せるものは何だろう、と思って。で、現在は、精華小劇場などで、そういう企画も少しずつやってはいるんですが、基本的にプロデューサーではないんですよね。ごまのはえ×竹内佑×山口茜「77年企画」noteは、プロデュースしましたけど。デス電所ではコーディネーターというよく分からないのをしたり、ニットキャップシアターなどの公演もお手伝いしてますが、制作者でもないですし。私は制作の仕事をやっているわけではないので。ですが、編集者でライターである故に、色々な視点からアドバイスが出来るんじゃないかと。
noteごまのはえ×竹内佑×山口茜・77年企画「マリコの悪縁教室」
公演期間:2006年6月18日~25日。会場:精華小劇場。

役割

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そういったコーディーネーターの役割というのは、劇団の目指す理想へと彼らを導くように適切な助言を与える、という理解で良いでしょうか。
金田
はい。
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例えば、その劇団が企画しているものを別の色々な側面から見るというのは、具体的に一体どういう事なんでしょうか。
金田
うーん。デス電所の場合は、公演をスタートする段階から関わってますね。横からご意見番として助言する、という形ですね。例えば、「音速漂流歌劇団」note
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拝見しました。非常に面白かったです。
金田
ありがとうございます。本当に一から、タイトルを決める所から関わった初めての公演で。他、劇場との交渉とか、広報活動ですとか。制作さんでは手の回らない所を担当しました。
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それでも、プロデューサーとはまた違うんですかね。
金田
いえ、デス電所はプロデューサーがいないんですね。彼らは自分達の手で全てやっていきたいと考えている集団なので。制作の方はいるんですけど、プロデューサーがいない為に、ツッコミを入れる余地がまだまだあったんですね。
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チラシですとか、芝居そのものですとか、劇団のイメージを全て含めて劇団の公演だと思うんですけど、そこに適切な味付けをするといいますか。その面でのサポートをされていた。
金田
いわゆる、何でもやりたい劇団なので。そこをもう少し整理して分かり易いようにお客さんに届くようにしたいというのが私の希望でしたので。そういう面で彼らを助けたいと思って。
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金田さんがデス電にこだわる理由とは。
金田
会社にいた頃からデス電を面白く思っていて。まだ早すぎると思われた時期に記事に取り上げたりとかしていましたね。私はその時に、彼らに対して大きな責任を持ったのかなと。
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なるほど。
金田
それはもちろん他の劇団さんでも同じで、今ご活躍中で私が記事にした劇団さんたちは今だに凄く気になりますし。どうしても記事に取り上げた事でいい影響と悪い影響があると思うんですね。それに関して私は載せた側として責任を取らなくてはならないと思っていて。それを一番感じたのがデス電所だと思うんですね。
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その、面白さですとか、魅力を伝えるというのはとてもドキドキしますよね。
金田
はい、凄く責任を感じます。
noteデス電所 第14回公演「音速漂流歌劇団」
公演時期:2005年11月12~20日。会場:精華小劇場

違い

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京都に来てから、ずっと考えていた事がありまして。それは話をするにつれてずれていったりしてあまり深く追求出来なかった疑問があるんですが。
金田
はい。
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小劇場に限って、ですが。大阪の小劇場と京都の小劇場の違いについて。
金田
うわあ、難しい。
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そうなんですよ。ただ、チラシを見れば京都か大阪かどちらかを伏せられててもどちらがどちらなのかが分かるくらい感覚が違うなと思ってまして。
金田
すっごく雑な言い方をすると、文化にしてるか、エンターテインメントにしてるか。当然分かるように京都が文化ですね。
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あ、それは分かり易い。
金田
比較的、お客さんを強く意識しているのが大阪。
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それは確かに。
金田
で、作品をキチンと形にしようという意識が強いのが、京都じゃないかなー。いや、当然どちらもそういう側面への意識は強いですよ。でも、傾向としてはそういう風に分かれると思います。
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確かにそうですね。
金田
作る現場としては京都の方がいいと思いますね。やっぱり、作品を長い時間熟成させて作ろうという意識が全体的にあるので。焦らずに作れる。大阪は、演劇に対して若干消費のにおいがするので、お客さんを意識しないと自分達の公演が成り立たないと感じてしまう事が多いんじゃないかなと思います。
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なるほど。
金田
と言っても、育てようとしている劇場も多いし、スタッフだったりの環境も良いので、東京と比べたら関西は文化的傾向はまだ強いかなと。東京は消費のスピードが速いので。もし言うとしたらそうかな。・・・本当に語弊は多いのですが。
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いや、語弊のある言い方しか出来ないのかもしれませんね。
金田
うーん。
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京都は自転車でどこでもいけるんですね。そういうところから劇場への来やすさがやっぱりどうしてもあるな、と思うんですね。対して大阪は劇場と住宅地の間が離れてしまいがちなケースが多いため、どうしてもお客様に来てもらう意識が強まる、という交通的事情が背景にあると思うのですが。
金田
うん。そうね。今更そんなこと古いわ、と言われるかもしれませんが、やはり京都は教育が発達している土地だと思うし。で、大阪は商売しに行く土地だというのがあるし。今はそんなことはないと思うけど、どうしても風土的なものの影響は出るんじゃないかなと。
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例えば関西の演劇人が全員失踪して帰ってこなくなったとして20年くらい断絶していたとしても、似たような状況が出てくると思いますね。
金田
うん。やはり大阪にいると京都が羨ましい。京都芸術センターを見ていると思いますね。
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ああ。
金田
本当に。大阪にはそういう施設を作ろうとする動きは中々生まれないし、例えば芸術創造館は稽古場の貸し出しはしますが制作をサポートするところではないので。どっちにもそういうのがあればいいんですけどね。
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ところで、砂連尾さんnoteとお話させていただいた時に、これは東京と比べての話なのですが、「これはのんびりとしていられない」と思われるそうですね。
金田
そうね。良し悪しなんですよ。
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うーん。
金田
良し悪し。けどね、やっぱりやる人たちの問題なんですよ。その人達がどういう立ち位置でやるかどうかですよ。
note砂連尾理
京都を中心に活躍するダンスユニット、砂連尾理+寺田みさこ。

Meshi

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今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントをご用意しました。どうぞ。
金田
ありがとうございます。ええ、なにこれ?「Meshi」
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今回のプレゼントはですね、久々に、見つけて楽しくなりましたね。
金田
へー。わ、凄い。ビジュアル的に凄く優れた本ですね。贅沢。いつもどうやって選ばれてるんですか?
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うーん。実は、適当に・・・(笑う)

(インタビュー終了)