「ナントカ世代の落語まつり」を終えて 2

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今日はどうぞ、宜しくお願い致します。久しぶりですね。最近どうですか?
北島 
「ナントカ世代の落語まつり」が終わりました。
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面白かったです。ゲスト多数で見応えのある公演でしたね。お疲れ様でした。いかがでしたか。
北島 
有り難いことに、先輩方にたくさん出ていただきました。千秋楽なんかゲスト3組で上演時間が3時間を越えてしまって、第3部のナントカ世代が始まる頃にはお客さんも疲れ果てて、俳優も待ちくたびれて・・・打ち上げで謝ってました。
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豪華ゲストでしたね。サプライズゲストもあって。THE GO AND MO'sの黒川さん 3
北島 
黒川さんは1週間前に決まったんですよ。演出するナントカ世代は第3部だけだし、しかも再演で、楽が出来るかなと思ってたんですけどちょっと甘かったです。
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それにしても、なぜ「落語まつり」をやろうと思ったのでしょうか?
北島 
立川談志が亡くなったから・・・公演の時点で1年と少し経った頃ですね。「粗忽長屋」を原作とした『粗忽長屋』は、立川一門が言う「主観長屋」から得たヒントは大きいですね。『シ・バハマ』の原作である「芝浜」も談志の十八番ですし。
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落語にインスパイアされた作品という事ですね。談志への追悼公演なのでしょうか。
北島 
追悼と銘打ってるわけでもないし、そもそもそんな事を言うと家元に怒られそうですが。ま、京都の片隅で故人を思いながら公演でも打とうかと。
1ナントカ世代
当初は、すべての公演タイトルを『~世代』とすることを約束事として北島淳の脚本を上演する企画であった。が、そもそもは「タイトルを考えるのが面倒」という安易な理由から導入したタイトルシステムにより、徐々に狭まる選択肢に逆に苦しむハメになり約束を破る。つまり、今ではただの不条理劇とコメディが好きなだけの、京都の演劇企画である。(公式サイトより)
2ナントカ世代13「ナントカ世代の落語まつり」
公演時期:2012年12月7日~9日。会場:アトリエ劇研。
3THE GO AND MO's 黒川猛氏
2012年1月より本格始動したTHE GO AND MO's。黒川猛氏のパフォーマンス企画ユニット。

タグ: 追い詰められた時期 死んだオプションへの追悼 落語 サプライズ・ドッキリ

透明な沈黙

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ナントカ世代の劇世界について伺いたいと思います。大体の作品には共通するシーンがありますよね。女がスズキスズオ(又はヤマダヤマオ)を名乗る男に対して「あなたは本当にスズキスズオなのか」という哲学的問いを投げかけるという。
北島 
名前をめぐるやり取りはたしかに多いです。有り体に言えば、やり口はデカルトの懐疑論なんです。舞台上から疑わしいものをどんどん剥ぎとっていけばどうなるか?という試験の取っ掛かりにしています。これが最も極端に振れたのは「鉛の夜 世界の樹」 4でしたね。最終的にヤマダヤマオ演じる首藤くんは、名前はおろかセリフすら剥ぎとられて、うめき声のような言葉にならない音以外は出せなくなってしまいました。
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「鉛の夜」、あのラストですね。移動バーに置き去りにされる首藤くんは、確かに見応えがありましたね。絵がとても美しかったです。
北島 
主観とか実存の古典的な主題を舞台で試すことはよくあります。他にもよくあるのは、ラブストーリーであったり、辺境や行き詰まりを描く設定なんかでしょうか。
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複数の軸を使って、何を見せたいのでしょうか?
北島 
まず、見せたい絵がぽんとあって、じゃあその絵にどうやって行き着くか、という作業から脚本を始めるんですね。ですから、共通するものがあるのは、美術や照明なんかと同じように目的にたどり着くためのオプションとして捉えているからだと思います。
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確かに、最後にはラブストーリーになる作品もありますね。
北島 
うちの大きな特徴としては、どちらかと言うと方法論なんですけどね。稽古場では「台詞を盗む」とか言ってまして、ま、特徴とか言いながら、アンケートとかでもほとんど書かれたことはないんですが。
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あ、「台詞を盗む」。あれ、面白いですよね。二人が会話していたら、別の俳優がセリフの一部を代弁?というか、代わりに言ってしまう。他は何事もないように続けるという。
北島 
あれには一応、ルールがあるんです。
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そうなんですか!どんなルールですか?
北島 
所有権の多寡によってセリフが言えるかどうかが決まるんです。所有権が少ない言葉は盗まれる。例えば「あなたはバカだ」というセリフを受けて、反論する際に「先ほどあなた、私をバカだとおっしゃいましたが~」と返す時に、“バカだ”の部分は元々相手が言ったセリフだから所有権の主張としては弱い。だから盗まれるんですよ。盗まれても仕方がない。
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引用符に囲まれた場合は盗まれて、別のキャラクターに取られるんですね。
北島 
音響として色んな現場に入っていた時に気づいたんですけど、お芝居のセリフって伝聞と揚げ足取りが多いんですよね。それをひっペがしたら、結構、喋る事は無くなっていくんじゃないかと思ったんです。
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それも、剥ぎとるという事なんですね。
4ナントカ世代11「鉛の夜 世界の樹」
公演時期:2011年12月2日(金)~4日。会場:アトリエ劇研。

タグ: ラブストーリー アンケートについての話題

日没より

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もしかしたら、剥ぎとった末の、何も言えなくなる場だからこそ美しいのかな。「シ・バハマ」 5は沈黙と静寂の風景が非常に良くて。何だろう、饒舌な沈黙だと思ったんですよ。
北島 
それはうちの言い方だとキレイな絵という事なんですけど、・・・これはさっきの「鉛の夜」のラストの話にもつながるんですけど。
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ええ。
北島 
人が舞台に出てきたら、まず十中八九は喋りますよね。それ自体はやむを得ないものと考えています。で、たくさん喋って、喋ったことの真偽についてあらゆる可能性を検討して、これを繰り返しているうちに大体の選択肢はなくなっていきます。これを「可能性を潰す」と稽古場では言っていますが、可能性がなくなればもう喋ることがなくなるので沈黙が始まる。一方、舞台上には検討のための膨大な情報と身体が残されたままな訳です。ベケット的というか、ベケットを評論しているドゥルーズ的に言うと消尽に近いかも知れませんが、沈黙に伴う情報量の多さが、雄弁な印象になるのかもしれませんね。
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なるほど。・・・男を否定する女達。否定が終わったら、何かの残り滓みたいな生活シーンが描かれるのみでしたね。スズキスズオが否定されつくされて、それを観客が見守っている絵。何故、あの場が焼き付いているんだろう。
北島 
スズキスズオの立ち位置は、客席のすぐ前、照明がギリギリ当たらないあたりになることが多いです。お客さんに背を向ける形になりますが、客席からの目線は、男のそれと近しいものになる。観客はいやでも否定される男の体験を経たうえで、必然として沈黙のシーンを迎えるからじゃないかと・・・その前に飽きるお客さんもいますけどね。ああいう作品なんで。
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そういう事だったんですね。
北島 
嫌いな人は大嫌いだと思います。舞台の上で殺人事件とかが起きないと許せない人は、気をつけてほしいですね。
5ナントカ世代06「シ・バハマ」<
公演時期:2008年12月12日(金)~14日(日)。会場:アトリエ劇研。

タグ: 情報量の多い作品づくり SeizeTheDay

「シ・バハマ」

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ナントカ世代の演技につける演出は、全て秒単位で決まっているそうですが。
北島 
細かいとはよく言われますが、全部秒単位で決めているということはありません。秒数が出てくるのは沈黙とか間って書いてあるところ。「3秒間沈黙する」とか、秒数管理してもらっています。
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マジですか。
北島 
別にストップウォッチで測っている訳じゃなくて、俳優に数えてもらっているだけなので厳密でもありません。ただ、うちは10秒20秒を超える沈黙が珍しくなくって、俳優って多分、お客さんよりテンポが早いんですよ。
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だから、数えてもらうと。間をキープするために。
北島 
この間の「シ・バハマ」の時に筒井さんにお願いしたのは、「明転したら8秒停まって、小さくそよそよそよと言いながらゆれて、息が終わったら5秒数えて、それからもう一度そよそよしてもらって、息が終わって2秒後に大きくそよそよして」とか。
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そんな細かい事をしていたんですね。
北島 
ポイントごとに決めているだけで、全編に渡って細かく指示している訳ではないですね。
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でも、決めている。
北島 
決まり事が多いという文句は、初出演の人からは多く出ますね。
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遊べなくなるという事なのかな。
北島 
そんな事もなくて、文句言いながらでも勝手に色々やってましたから。筒井さんなんか特に。決まり事を守ってもらったら、大体見せたい絵に行き着くようにしているので、それ以外は勝手に組み立ててもらってたらいいんですよ。秒数とかより、このセリフはだれそれのこの言葉から反応して、みたいな決まりごとが多くって、それを覚えるのが大変なんだと思います。
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なるほど。ある絵を作るために必要な段取りなんですね。
北島 
完璧主義者でもありません。稽古数も少ないし、稽古場に人が揃ってなくても気にしないしね。

質問 鈴木 知隆さんから 北島 淳さんへ

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前回インタビューさせて頂いた、ともにょ企画の鈴木知隆さんから質問です。「演劇って、今の社会に必要ですか?」
北島 
うーん・・・社会について聞かれていることをパーソナルな答えに縮小して申し訳ありませんが、必要だと僕は思います、ですね。だって、僕は演劇を見に行くし、僕達は演劇をやっているし、それは社会の中で行われていることですから。
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なるほど。
北島 
ユーザーや受け手がいる以上、必要ということは簡単だと思います。もちろん、事業仕分けみたいなやり方で言えば、不要ということも簡単でしょう。ただ、不要だから捨てるとなると、それはジリ貧だろうと思います。答えになってませんね。

終わるための時間

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北島さんがナントカ世代の作品で、気に入っているのはどういうところですか?
北島 
気に入っているというか、好きな時間は作品の終盤が多いかな。戯曲的にも演出的にも打つべき手をすべて打ってしまって、あとは役者にお任せしきった状態とか。全部情報を出して。後は終わるために流れるままの時間。
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担当している仕事が終わった瞬間という事ですね。
北島 
千秋楽とか、自分の仕事が全部終わってからは特に気持ちいいですね。私だけ仕事が終わって、皆まだ舞台上に残って何かやってやがるのを見るのがいいですね。はい、性格悪いですね。
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終わるための時間。そうそう、最後の方になるといつ終わっても良いぐらいいい時間ってありますよね。ナントカ世代の特長だと思います。

見せたい絵がある

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原作モノをやり始めたのはどういう理由があるのでしょうか?
北島 
『粗忽長屋』と『紙風船』の同時上演をやった時ですね。手応えが良かったので、続けて長編を芝浜で作ってみたら、勝手が良かったので続いています。
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使い勝手が良かったとは?
北島 
さっきも言ったように見せたい絵があるんです。その為に手順を踏んでいくお芝居なので、筋自体は何でもいいと言えば何でもいい。原作があるというのを言い訳にしつつ作っていくとすごく楽ちんなんですね。
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原作の骨子を使っている?
北島 
筋をそのまま使っているということはないですね。原作を何回か読んで、受け取った印象から組み立てていく感じかな。
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なるほど。ところで、これは面白いなと思ったんですが「芝浜」を「シ・バハマ」というタイトルにしたのはめちゃくちゃいいセンスですよね。バハマの海岸と芝浜の白砂が一気に重なるんですよね。
北島 
あれは言っちゃえばおふざけですね。区切りを変なところに入れるだけで印象がころっと変わっちゃうでしょう。

タグ: おふざけ

変わりながら・続けていく

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今後、ナントカ世代でどんな世界を描いていきたいですか?
北島 
昔は、誰も見たことがない世界を描きたいとか思ってたんですけどね。いまはそうでもないかな。あんまり、これというのがない形になりつつあるのかな。積み重ねもあるし。でももうちょっと、色々挑戦しようと思います。セリフの盗み方なんかももうちょっと発展できるんじゃないかと画策しています。
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ナントカ世代、ずっと高い品質を見せてきてくれて。コンスタントに作品を作っているというのが凄いですよね。結構長く。
北島 
1年に2回くらい、やれる範囲で無茶をせずにやってるから。落語まつりは体力的に無茶でしたけど。
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今後もやりたい事を追求して続けていく?
北島 
そうですね。社会人がほとんどですが、まあ時代も政権も変わっていくので、その分の空気の変化くらいはしながら。
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時代の変化を覚悟しつつ、今後、どんな感じで攻めていかれますか?
北島 
6月に劇研でやるのと、5月にもしかしたらどこかでやるかもしれません。新しいメンバーが入ってくれないかなと思ってます。
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アトリエ劇研以外の劇場で公演したりとか、そういう展開はありますか?別の地方に遠征したり。
北島 
機会があれば、くらいなもので。うちは完全にアマチュアですけれど、京都に多数あるカンパニーのうちの一つであればいいかなと思っています。一時期、すごくカンパニーの数が少ない時期とかありましたけど。
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そうですね。
北島 
週末、どこかの劇場では必ず演劇がやっていて、そういう文化の端くれでも担えればと思っています。そのぐらいのスタンスが、続けていく分には楽かな。もちろん、勝負をしなきゃいけないカンパニーというのがあるのも音響卓から見ていますけれど、そういう感じではなく。

タグ: どんな手段でもいいから続ける 落語 今後の攻め方 演劇は勝ち負け?

キリンの置物

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今日はですね。お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。今回はふざけた品物です。ガラクタは贈らないというのがルールなんですが、破りました。どうぞ。キリンの置物です。
北島 
丸山君が気に入れば小道具行きかしら。
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あっ。
北島 
あれ、これ耳折れてる。

タグ: おふざけ プレゼント(大失敗系)

(インタビュー終了)