帰山 玲子

ダンサー

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kiyamania vol.8「情景を踊る」 2


撮影:帰山 玲子
__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。kiyamania主宰の帰山玲子さんにお話を伺います。最近、帰山さんはどんな感じでしょうか。
帰山 
よろしくお願いします。次回の公演「情景を踊る」の稽古を週に3回やってるんですけれど、それで時間に追われてる感じですね。
__ 
来年の1月6日、会場はUrBANGUILDで上演ですね。稽古はどんな感じですか?
帰山 
今ようやくアウトラインが描けたというところです。構成としてはまず私のソロ、次にきたまりさんのソロ、そして二人のデュオという流れですが、これから中身を作りこむという感じです。
__ 
「情景を踊る」というタイトルが気になっていて。情景とは内的な世界と外的な世界が一致した瞬間だと捉えています。それを踊る時、視覚的にも心理的にも認識された世界がそのまま肉体に落とされているという感じなのかなと。
帰山 
言語化するとまさにその通りで、さらに、自分の一挙手一投足で情景そのものが変わっていく。それも今回のテーマなんです。
__ 
観客はシーンの時系列に逆らうことができないので、何がどう変わったのかを認知する事は出来ないですね。とはいえダンサーの内的な情況の変化にはとても敏感です。二つのソロの間に、何かの戸惑うような変革を期待してしまいますね。
帰山 
去年みんぱく(国立民族学博物館)で「驚異と怪異」という展示があったんです。科学が発達した今ではいるかいないか分からなくなってしまった魔物であったり想像上の生き物をピックアップしてたんです。実は今回、そうしたイメージを借りながらクリエイションしています。
__ 
というと。
帰山 
例えば、今は科学が発達しているからウイルスが何かということはある程度分かりますね。でも昔の人はウイルスという存在を知らないから、イメージの力によって禍いをやり過ごそうと対抗していたのではないか。彼らがそういったモチーフを重んじていた気持ちは分からないでもない。切羽詰まった時に発揮される人間の想像力、それによって生み出されたイメージを今作では借りようとしています。新体道(60年代に開発された、空手を母体にした前衛武道)の型もかなり借りています。特にデュオは、今回は型ありきで作っていると言えます。型がモチーフです。
__ 
事前にそういったモチーフを少し知ってるともっと面白く見れそうですね。
1kiyamania
2011年に帰山が立ち上げたダンスユニット。
公演ごとにダンサーや俳優、音楽家、美術家を招聘し、共にクリエイションを行う。

近年の自主公演:
2019年「果てしない実り」@木屋町アバンギルド
2020年「日常を切り取る」@the SITE
(公式サイトより)
2kiyamania vol.8「情景を踊る」
2021年1月6日(水)

木屋町アバンギルド
UrBANGUILD
〒604-8017 京都府京都市中京区材木町181-2 ニュー京都ビル3F


開場:18:30/開演:19:30
前売り・当日共:2500円+1drink

出演:きたまり・帰山玲子
音楽:瀧口翔
企画・制作:kiyamania


ご予約・お問合せ:reikokiyama1@gmail.com

連想の果て

__ 
今回は瀧口翔さんの楽曲からスタートしたとおっしゃっていましたね。情景が現れるような音だったと。
帰山 
翔くんが作ってきた音楽を使いたいなと思ってました。情景という言葉はかなりロマンチックですね。翔君のは凄くそういうことを感じさせる音だと思います。
__ 
今回は帰山さんときたまりさんが集めてきた音をサンプリングして作った曲で踊るということですが、どんな事が編集されているのでしょうか。
帰山 
私は自粛期間中に敢えて録った、比叡山で録った音を使ってます。きたさんは夏に大駱駝艦の合宿への道中、電車の音や居酒屋の音。その音だけ聞いても面白いんですけど、それをあえて組み込んだ音を20分の曲にしました。その時の文脈とは外れた素材になりますが、連想から思いも寄らない着地をするかもしれません。
__ 
というと。
帰山 
ブログにも書きましたが、翔君の楽曲を聞いた時私ときたさんは「この音から立ち上がる情景を踊ろう」という意見で一致していました。だから音源先行でソロ作品を作っていたんですが、デュオに関しては逆です。当初はデュオも曲先行でダンスを振り付けようと考えていたんですが、デュオでは構成や流れを決めてから楽曲を作ってもらうことになりました。
__ 
先にダンスがあるんですね。音が情景を連れてくるんじゃなくて、ダンサーの情景が音を連れてくるということになったんですね。
帰山 
それも、きたさんのソロ作品の延長線上でデュオ作品の振付を行って、そこに音の製作が追随する形になります。
__ 
最初のお話と一致しましたね。自分の行動が情景を連れてくる。意気込みを教えてください。
帰山 
来年1年はこれで決まるだろうなと思ってます。本当にできるかどうかは祈るしかないですけど。今もそれだけですね。前回のkiyamaniaもかなり際どかったんですけど。

あの場所


撮影:納谷 衣美
__ 
さて、実は今日は西陣ファクトリーGardenの話がしたいなと思っています。
帰山 
いい場所でした。
__ 
2015年に閉館してしまいましたが、帰山さんはあそこで何度も公演してましたね。
帰山 
4、5回はやっていると思います。
__ 
劇場内部の壁がすごく趣がありましたね。豪華というわけじゃ決してないんですけど、所帯じみているわけでもない。とても匿名的な空間だったと思う。
帰山 
あそこは実は西陣織のネクタイ工場跡で、大家さんが住んでいた時の名残も多く残っていましたね。2階の事務所には工場時代のサンプルもありました。通常に劇場でやるのとはまた違う感じがあります。
__ 
水を使った作品も上映されていたようですね。
帰山 
実際の火や水を使える利点がありましたね。窓から水を通して盥に落として、そこにたまった水をまた舞台に移動させて、というような演目を作ったことがあります。西陣ファクトリーGardenは空間が物語っていました。作品を上演するにあたり常に然るべき空間を探していますが、Gardenのように空間自体がそれだけで成立するような、そんな場を求めています。そういった場に触発されて作品を作っています。
__ 
前回のkiyamania「日常を切り取る」 3も、あのthe SITEという絶妙なスペースが面白かったんですよね。家の中の人々と言うか、その息遣いが面白かった。
帰山 
「遍在している」そして「ドメスティック」というイメージが最初にありました。それぞれにテリトリーがあるんですがその広さは任せていて。私は一畳だけなんですけどもう少し広い人がいたりして。最終的には納まりました。その中でも、佐久間さんに与えた役割だけはテリトリーを侵食することができるんですね。
__ 
そういえば佐久間さんは瓜生山の方にまで行きましたね。遠くにいる人と懐中電灯やスマートフォンのライトで合図を送ったりしていましたがとても面白かったです。
帰山 
あれはもう一度やりたいですね。大文字山と瓜生山、それから吉田山の間でも通信したりしたいですね。いつできるでしょうか・・・。
__ 
色んな局面で、難しいですね。
帰山 
いま、新型コロナウイルスの緊急事態宣言を受けて活動自粛を余儀なくされたダンサーや演劇人、音楽、表現活動をされている方々の状況をまとめた本を作っています。kiyamaniaの作品内容と、コロナがもたらした現象がどうリンクしたかを中心にまとめていますが、タイトルはおそらく「非日常を切り取る」になります。
__ 
とても楽しみです。
帰山 
自粛中の生活とクリエイションがどうであったかを軸に書いてもらって、最終的には私たちが何に気付き、どう変化したかを浮かび上がらせたいです。非日常を経て、私たちは新しい日常に身を置いているといえるのかもしれない。
__ 
この世の中でどうにか適応しようとしていますね。経済も政治も含め。

それを期待していない、部分

__ 
帰山さんは、どんな踊りが好きですか。
帰山 
それにはまず、どんな音楽が好きかというところから話したいんです。私はHIPHOPが好きです。そこから元を辿れば、ファンクやソウル、ジャズですね。
__ 
去年のkiyamaniaでのソロもそういった選曲でしたね。帰山さんにとって踊るというのはどういった催しですか?
帰山 
ダンスというのを中心に生活を組み立てています。ダンスがあるから生活があるという感じですかね。
__ 
私も、演劇があるから回ってます。これがあるから生きていけるというやつですね。何かを作ると言うことがなければ生きてる実感が得られない気がする。
帰山 
踊るということは生きてるリアリティを感じる手段としては最高だと自分で思っています。出会えてよかった。作品を作るということに結果的にはなっていますが、それがなくても良いぐらい。踊るというのは作る以前にあります。
__ 
踊る、作る、見られる、という3つの段階があると思うんですが、見られるために踊ってるわけではない?
帰山 
うん。元々は踊るがベースにあって、たまたまその先に作品づくりがあります。
__ 
内発的な踊りへのモチベーションは、見られることを期待してるわけではない?
帰山 
はい。期待していない部分がないと私はもたないと思います。2015年から2、3年間作品を作っていないんですよ。ソロ作品で少し出演はしましたが、kiyamania自体がストップしていました。その間ほとんどクラブにしか行って踊る事しかしなかったんです。熱にうなされたようにひたすらクラブに行って踊っていました。誰にも見られない自分だけのダンスの時間。それは最高に楽しくて、今でも基本的にはそういうところが出発点です。

質問 李晏珠さんから帰山 玲子さんへ

Q & A
__ 
The Smoke Shelterの李晏珠 さんという方から質問をいただいてきています。「演劇やダンス以外で影響を受けたコンテンツは何ですか?」
帰山 
音楽です。小学校の時にドビュッシーとかをめっちゃ聞いてました。モーツァルトも。家や小学校の放送室にあったレコードをよく聞いていました。中学や高校ではラジオから流れてくる音楽を聞いていましたね。それをテープにとって聴いてました。
__ 
どんな音楽がお好みですか?
帰山 
8割くらいはヒップホップで、多分ビートが好きなんですよ。ソウルとかファンクとか。ドラマーになりたいです。楽器できないんですけど。
__ 
かっこいいですよね。
帰山 
はい。なりたいです。ベーシストとか。
__ 
渋いですね。
帰山 
高校生の時とかはレッチリとか好きでしたね。Beastie Boysとか。ファンクだとジェームスブラウン。ジャズだったらローランドカークとか好きですね。こないだのFourDancersで、珍しくジャズで踊ったんですがニナ・シモンズとサン・ラーの楽曲を選びました。

ビートとビートの間で

帰山 
なぜ私はこんなにブラックミュージックが好きなのかと言うと、聴くときにそんなにいろいろ考えてるわけではないんですけど、やっぱり聴くと体が動いてしまうというのが一番だと思います。旋律とかメロディーよりも、低い音や刻まれるビートが私の体に働きかけるみたいなんです。コンテンポラリーダンスと出会ってからずっともやっとしたものがあって腑に落ちなかったのが、HIPHOPと出会った事で、私にとってのダンスはクリアになった。この人のように踊りたいと思ったHIPHOPのダンサーはsucreamgoodmanのBUUBEEさんというんですが、BUUBEEのダンスを見た時にはっきり変わりました。この人みたいになろうと思って習いに行きました。なれませんでしたけど!
__ 
チェックしておきます。私もダンスを見る時、刻むリズムがあれば乗っていくほうです。
帰山 
ビートをどう捉えるかは踊っている人次第ですが、ビートとどれだけ遊ぶかというところでしょう。そこが私にとってのダンスのイニシエーションだったし、そういう風に音と関わりたいなと思ったんです。

クッションカバー

__ 
今日はお話を伺えてお礼にプレゼントを持って参りました。
帰山 
ありがとうございます。(開ける)クッションカバーですか。
__ 
はい。
帰山 
ありがとうございます。この色はとても好きです。
(インタビュー終了)