東京に暮らして

__ 
今日はどうぞよろしく、お願いします。最近、近藤さんはどんな感じでしょうか。
近藤 
よろしくお願いします。最近ですか。東京に行って一年経って、向こうでの知り合いも、だんだんと増えてきて。バイトとかを通して演劇関係以外の知り合いも増えたんですよ。視野は広くなったなと思います。
__ 
視野、広くなりましたか。例えば?
近藤 
舞台を必要としていない人たちと知り合うことが多くなったんですよ。その人達にとっての娯楽って言ったら、飲みに行くとか、映画に行くとか。そういう人たちには、舞台はそんなに必要とはされていないけど、どうやったら面白いと思ってもらえるんだろう、と思って。
__ 
そうですよね。視野が狭いのは我々の方かもしれない。
近藤 
必要とされていないからこそ、どうやって舞台をこの人に面白く見てもらえるかを考える生活になった。やっぱり私は舞台が好きだから、その分ワクワク生活できるようになりました。
__ 
東京の人たちの、関係者ではない人々へのアプローチはすごく勉強になりますよね。
近藤 
関西にいた頃は学生だったから。ちょっと守られていた所はある。今は学生ではないから、自分から行かないといけない。だからそういう人たちに出会う時期なのかもしれません。自分が変わったというのはあると思います。
__ 
プレゼンする重要性。そう変わろうと、近藤さんが自ずと変わったんでしょうね。占い師みたいなこと言って申し訳ないですけど。
近藤 
私この間占い師手相見てもらったんですけど、私40歳で死ぬと言われて。それまでに色々やらなきゃ。
__ 
急がないといけないですね。確実にそんなことはないと思いますけど。40歳で死ぬつもりで生きる。
近藤 
やりたいことをやろうと。
1ルサンチカ
主宰 河井朗による演劇ユニット。近藤千紘が女優。世間的弱者の鉄筋コンクリート製防御陣地。 (公式Twitterより)

akakilike「シスターコンプレックスシンドローム」 2

__ 
次に近藤さんが出演するのは、akakilike「シスターコンプレックスシンドローム」ですね。どんな作品になりそうでしょうか。
近藤 
9年越しの再演で、倉田さんと松尾さんが初演のメンバーで、今私はその時の年齢なんですけど。再演というより再現したいと。姉妹テーマの作品で、でも前に作った作品をそのまま置いておくというのは違うと倉田さんはおっしゃっていて。もう一度再演して自分を見つめ直し、過去を新しくしていかないといけないって。
__ 
akakilikeの作品には非常に揺さぶられるものがあります。9年前の作品の再演という事ですが。
近藤 
今回私は初演での倉田さんの役なんですけど、振りだけではなく、内面的に倉田さんに近づかないといけない部分があるんです。すごく面白くなりそうです。すごく頑張らねばいけないという感じです。
__ 
内面が伝わってくるダンス作品という事ですね。そういえば、倉田さんのFacebookに書いてあったんですけど、技術的な稽古を早く終えたいと。技術の次のところに行きたい、とか。
近藤 
稽古は6回目なんですけど、私を含めダンスから始めたわけではない人もいるので、倉田さんができる技術を伝えていくというところです。全編どうなるかまだわからないんですけど、ある程度、振り写してはできたねと。これからもっともっと積み上げていく作業になっていくと思います。
2akakilike「シスターコンプレックスシンドローム」
2008年に発表したダンス作品「シスターコンプレックスシンドローム」を新しいメンバーで再現することにします。

「誰にも何も求めないわ。
わたしはわたしを見つめ直すのみだ。
ずっとそうしてきたのだ。」
と、彼女は言いました。

これくらい、痛くも痒くもないでしょ。

【日程】2017年
3月3日(金)19:00
3月4日(土)14:00/19:00
3月5日(日)13:00/17:00
受付は開演の30分前より。

【会場】元・立誠小学校 講堂

【料金】
前売:2500円 当日:3000円 学生:2000円

【出演】
ヰトウホノカ(ドキドキぼーいず) 上野愛実 川瀬亜衣 近藤千紘 田中すみれ 中村真帆 藤原美加(KIKIKIKIKIKI)
倉田翠 松尾恵美 山崎恭子(居留守)


【演出・振付】
倉田翠

【演出助手】
松尾恵美

ことば

__ 
コンテンポラリーダンスと演劇って、言葉を介在しないというのが、実はすごく大きな違いなんじゃないかなと思ったりしています。お互いに言葉を覚えて仲立ちにする、というのを経ていない。お互いの体をぶつけ合う、すごく純粋なやり取りのような気がするんですよね。ダンサーとダンサーの間でも、ダンサーと観客の間でも、同様に身体をぶつけ合っている。言葉は使わずに。
近藤 
私は演劇もコンテンポラリーダンスも両方やってるから、そういう違いというのは毎日感じています。お客さんの視線の種類が違う、というのは感じていますね。ダンスのお客さんは空間を下からザアッと見る。ダンスのお客さんからのプレッシャーはすごく強く感じるんですよ。演劇でも強く感じますけど、演劇の場合はいろんな人がいろんな方向を見ている気がする。自分がセリフをしゃべっていても、そのお客さんが全員私を見ているわけではなくて、別の色んな方向見てる人もたくさんいる、という感じ。ダンスの場合は、劇場の床からスプーンですくうようにすーっと見られてる感じ。意識の違いというのはなんだかそのあたりにあるような気がしています。
__ 
鑑賞体験は確かに違いますよね。もちろんコンテンポラリー的な演劇もあると思うんですけど、どうしても演劇の場合は想定されたシーンがそこにある。シーンをお客さんと共有する。確かにそこはコンテンポラリーダンスとはどうしても違うような気がします。

目立ちたがり屋なんですけど、でも恥ずかしがり屋で

__ 
近藤さんが演劇とダンスを始めた経緯を教えてください。
近藤 
小さい頃から目立つのが好きだったんですね。昔の頃はうたのお姉さんになりたいとかミニモニになりたいとか言ってました。目立ちたがり屋なんですけど、でも恥ずかしがり屋で。家族の前では目立てるんですけど友達の前では目立てなくて。子供の頃ミュージカルを習ってたんですけど、舞台上で喧嘩しちゃったこともあったり。中学・高校と演劇部でした。
__ 
京都造形大に入ったのはどんな経緯があるんですか?
近藤 
最初は大阪芸大に入ろうと思ったんですけど、でも演技・演出のことしかできないと聞いていて、造形大だったらデザインのこともできると思って。
__ 
演劇を始めて衝撃を受けた作品は何かありますか?
近藤 
脚本なんですけど、松田正隆先生の「蝶のやうな私の郷愁」。すっごい好きで。これを読んで、ずっと演劇を続けようと思ったんです。それぐらい好きです。京造には松田さんがいると言うことで受けたんですけど、ちょうど入れ違いに東京に行ってしまったんです。
__ 
残念。今東京ですね松田さんは。
近藤 
マレビトの会、私は福島の作品しか見てないんですが、面白かったですよ。

ダンシングクイーン

__ 
近藤さんがいま、興味を持っていることは何ですか?
近藤 
この間舞台見に行った時に、ダンシングクイーンで踊るシーンがあったんですよ。で、ダンシングクイーン踊れるのは17歳までなのかと思ってしまって。私は17歳から6年たっちゃったんだなと思って。6年経った今私は若いのかどうか・・・。でもまだ大学を卒業して1年はギリギリ大丈夫かなーって。だから今は若さを使った遊びをしようと。
__ 
今の季節なら、スキーかな。
近藤 
飲みに行くとかもそうですし、若いからふざける、というのもあるし。ちょっと行っとかないとなーと思っています。後悔しないように、というのに興味があります。まあでもいろんな人に会うというのが好きなんですよ。大学生の頃に本当に仲良かった子があまりいなくて。そんなに人と喋るのが好きじゃないと言うか、喋るのはしゃべるんですけど、すごい壁を置いているんですね。仲が良いふりをしつつ。いろんな人と会うと、自分の立場もどんどん変わってくじゃないですか。だから今、いろんな人と喋ることに興味があります。

__ 
近藤さんの、演技の作り方の変遷を教えてください。
近藤 
どうだろう。昔は一言一言、全部の台詞を納得いくまで口に出して、セリフ全部にメモをして。そうやってカッチリ自分で決めすぎると、相手とセリフを交わしている時に、舞台上で普段自分が作っている壁ができてしまうようになってきて。駄目だなあと。なるべく考えすぎないで。自分だけで決め過ぎないで、相手のセリフを聞けるようになってきた・・・当たり前ですけど。
__ 
なるほど。
近藤 
それから、詩から色々引っ張ってくるんですけど、それはずっと変わらないですね。
__ 
詩から引っ張ってくる?
近藤 
台本だけじゃ色々たりないなと。喜怒哀楽だけでは言えない部分が、そういう感情がいっぱいあるじゃないですか。台本からだけで抜き出そうとすると、自分の引き出しの中からしか出てこない。何をやっても同じになってしまうので。その時代と一致している詩とか、脚本家が作った詩、とか。
__ 
台詞を変えるわけではないんですよね。
近藤 
台詞は絶対変えないんですけど、アイデアとして詩を。
__ 
ひとつのセリフを脚本の世界の中から導き出してくるのではなくて、その横にある詩からとらえなおす。
近藤 
それは大学の4年間でも変わらなかったです。
__ 
そういう、根柢の方の努力って、絶対お客さんの根柢の部分に通じてると思いますよ。

質問 七味まゆ味さんから 近藤 千紘さんへ

__ 
前回インタビューさせて頂いて方から質問を頂いてきております。柿食う客の副代表、七味まゆ味さんからです。「表現するにあたって自分が向いているなあと思うのはどんな時ですか?」
近藤 
単純に、目力が強くてよかったなあと思います。毎回思います。眼力でごまかしてる部分はあるんで。
__ 
目力とは?
近藤 
目が大きい。眼球が動いてるのがはっきりわかる。単純にそれに助けられてるところがあると思います。
__ 
目で語れる、ぐらいになったらいいかもしれませんね。

もっといろんな人に

__ 
今後、どんな活動をしていきたいですか?
近藤 
もっといろんな人に知ってもらいたいので、色々出たいなと思っています。これまでは演劇やダンスをする上でのところでしか自分の今後って考えられなかったんですけど、結婚願望が出てきて・・・
__ 
あ、あるんだ!
近藤 
ありますよ! 早く結婚したいな、と思ってきました。そういう私生活でも、ちゃんと大人のステップアップをしたいなと。結婚って大人のステップアップな気がして。遊ぶにしても、どこでストップがかかるかと言うと結婚じゃないですか。同時に結婚についても考えないと。
__ 
どこかにいい出会いがあるといいですね。
近藤 
あると思います。東京は人いっぱいいるし。
__ 
必死な出会いじゃなくて、お互いが自然に求め合う出会いがいいですね。そこで質問なんですが、今後どんな出会いがあるといいですか?結婚相手とかも含めて。
近藤 
私がこれまで経験したことがないようなことを経験してるような人と出会いたいです。何かを究極に極めてる人とちょっと会ってみたいな、と思いますね。

その時に持っているもの

__ 
今後、どんな感じで攻めて行かれますか?
近藤 
とりあえず、舞台やってる間は、いつどんなタイミングで死んでもいいので。全力で攻めて。自分がその時持っているものを出そうと思います。

株札

__ 
今日はですね、お話を伺えてお礼にプレゼントを持って参りました。どうぞ。
近藤 
嬉しい。ありがとうございます。
__ 
絵柄が面白いんですよそれ。
(インタビュー終了)