最近の草壁カゲロヲ

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今日はどうぞ、よろしくお願い致します。VOGAの草壁カゲロヲさんにお話を伺います。最近、草壁さんはどんな感じでしょうか。
草壁 
よろしくお願いします。VOGAで参加した中之島ABC春の文化祭が終わりまして、通常の稽古に戻りました。次回の公演の目処は立っていないですが、自分自身としては7月2日の3castsで近藤和見との作品を上演 2します。ぼちぼち稽古を始めます。あと、今年の12月にも予定が入りそうです。
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ABC春の文化祭、いかがでしたでしょうか。
草壁 
緊張しましたね。2場面を繋げた作品だったんですけど、最初の場面は基礎稽古でやっている動作をギュギュっと凝縮して見ていただいたんです。
VOGAの稽古では、脳と身体の接続をテーマに体を動かすんです。
メニューをざっとあげますと、あ、え、い、う、え、お、あ、お…の発声に、片腕2拍子、片腕3拍子、右足左足8拍子の法則で動く「あいうえ音頭」。
数字を掛け声に手は互い違いにグーパー、足は腿と踵を上下する「かかと上げ」。
短音発声しながらの「足上げ腹筋」。あいうえ音頭の続編のような「あかさた音頭」。
掛け算の九九の表のような譜面を頭に描きながら1、2、3、4、5、7拍子の変化する数字を発声し、前後に足運びする「四の段」。はあ、言ってるだけで汗かきますねえ。
普段はこれらをテンポに合わせて、またテンポを上げて負荷をかけて繰り返します。
あ。それで今回の舞台では地明かり、無音の状態で、ひとりづつ袖から入って、シンプルな拍子の音で始まります。
ゆっくり歩行する動きから始めるんですね。ただ、本番ではそれがイメージ通りの状況にならなくて、最初のひと山を越えられなかったなというのがありましたね。
2場面目は、海へ行こうか、ってみんなで海をイメージして向かう音楽シーン「割れて砕けて裂けて散るかも」でした。これでやっと体が解れてくるんですけど。
出だしが構え過ぎてしまって。
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ええ。
草壁 
ひと呼吸おいて始めればよかった。肩の力を抜いて舞台に立つことが改めて難しいと感じました。目線は前を見ているけど、心の中は違うものを見ている状態になっていました。
稽古場に居る役者、という素から始まる演出だったんですが、舞台の上で見せる素って深いものだな、と。武道に近いかもしれないんですが、精神的な構えですね。これからじっくりやりなおしてみたいと思います。
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心の構え方。稽古と、本番当日までの流れと、本番中の流れが・・・
草壁 
かみ合わなかった。今までの経験上、自然のリズムの中で意識の切り替えを自然に行って本番を迎えるので、雨が降ろうが風が吹こうが心構えが出来ていたんです。
けど、劇場にポンと放り出された状態に別の怖さを感じました。劇場の間、魔力を感じましたね。ちょっと疑心暗鬼になったところもあって。今まで長年舞台をやってきてるのに晒されるような感覚を強く感じました。
やっぱり、ええ風が吹いてくるのを待ってても駄目なんですね。無風だったら自分から風を起こさないといけないと思ったんです。
最近は屋内で上演することも多いんですが、より引き締めないといけないんだなと。
1VOGA
関西を中心に活動する舞台芸術集団。1997年、劇団維新派に在籍中、草壁カゲロヲ・近藤和見が結成。以来、動員1000人規模の本公演を重ねる。古典的物語や現代舞台に必須とされる身体表現も行いつつも、その、演出手法・劇場空間設定の異質さで、他の小劇場劇団や商業劇のいずれとも違う舞台表現が特徴。近年では東西、出身母体の垣根を越えた実力派役者が多数参加する。公演は観客にとって一種の『旅』と考え、「日常から地続きの非日常へ迎え入れる」ことをコンセプトとし、一般劇場の他、神社・教会・現代美術館・ライブハウス・造船所跡地など、屋内、野外を問わず上演。野外公演ではスタッフ・役者、総勢約70名超の一座が組まれ表現者交流のターミナルとしても機能している。2011 年8月より劇団名をLowo=Tar=Voga(ロヲ=タァル=ヴォガ)からVOGA(ヴォガ)に変更。2015年現在、結成19年目を迎えた。(公式サイトより)
27/2(tue) 3CASTS vol.13
VOGA 草壁カゲロヲと近藤和見
合田団地(努力クラブ)
leap (松岡咲子と江南泰佐)

3人/組の俳優が登場、それぞれパフォーマンスを披露します。
“Cast”には、配役することだけではなく、さまざまな意味があります。
たとえば、投げること、脱ぎ捨てること、影を落とすこと、票を入れること、まなざしを向けること、魔法をかけること……そして、さいころの一振り。
さて、どんな目が出るか。ぜひ目撃を。


7/2(tue) 3CASTS vol.13
◇ OPEN 18:30 / START 19:30
◇ adv.1800 yen + 1drink / door.2200 yen + 1drink
◇ actor or actress. 1400 yen + 1drink

VOGA 草壁カゲロヲと近藤和見
『現実感をともなう『死にかた』について。或いは現実感の無意味について。』
モチーフ:筒井康隆【死にかた】

心地よさと

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同じVOGAのうめいまほさんに取材をさせていただいた時、アンサンブルには自分の動き(ダンスと呼んでいいのか分からないんですよね、VOGAの振り付けは)の意味の解釈を任されていると伺っていて。その上で、別にそれぞれの答えが必ず正解という訳ではなく、演出から「それは違う」と言われると。大変興味を覚えました。
草壁 
動きのズレを見つけて修正する。動線を段取りで追ってたらズレるのも分かる。意味やイメージの解釈の違いからも考えなおす。意味やイメージの思考と連動してやっと動きが決まったかなってなる。地道な道のりです。
最近、割と基礎メニューの時間に1拍子のリズム音をずっと鳴らし続けてるんですね。
1拍、1拍、聞いてるとだんだん無を思ってきます。無拍子と言えばいいのか。
その中に4拍子や7拍子と自在に区切って動きのパターンを組み合わせます。
複雑に組み立てて動く。一筋縄ではいかない歯痒さとモヤモヤが身体中を駆け巡る中に諸行無常の響きあり、でしょうか。稽古場いっぱいに淡々と流れるリズムがやけに強く鳴り響いて聞こえて…
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ええ。
草壁 
4拍子なら偶数。偶数の固まりで4小節を作って1連を作ります。
次は2連、4連で1段落。偶数で区切ると理解しやすいし、頭の中で数字を数える事が出来るうちはまだいい。
けど、そこへ奇数の変拍子のパターンの波が次々と押し寄せる。頭の中の数字は溺れる。割り切れない計算みたいな数字と無拍子の波に体を乗せるしかない。上手く乗れば心地よいサーフィンの達人になれます。
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「無拍子」。
草壁 
僕らの見ていた、段落の物語性に対する理解の仕方とは違う方向性があります。 これまでやってきた事を解体という訳じゃないですけど、もっと大きなものが見えてきた気がします。

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大きなものですか。
草壁 
無拍子に気付く事で、より大きな海を泳ぐ?山を登る?野外だと実際に見えている山を目標に走っていたのが、ひょっとすると、無拍子を背景に、動いていく事の重要さが浮き上がってきたのかな。それは、ひょっとしたらどこでも出来るVOGAの表現なのかもしれない。

カオス

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ちょっと無理矢理当てはめると、VOGAは自然という秩序だった理系の世界から、劇場という混沌とした文系の社会に移ったのかもしれないなと思って。人間の身体に元々備わっていた自然由来の4拍子から、無拍子という世に放たれたと言えるかもしれない、そんな流れがあるかもしれませんね。前回の本公演「直観と情熱」 3が90分に収まったのは、案外、そういう社会性のカオスなるものの影響があるんじゃないかと。そして、大変面白かったです。自然の中の長大なVOGAとはまた違う、混沌を内包しながらもそこに視線を導き入れる、そうした作品でした。
草壁 
実は、稽古では「直観と情熱」の表現には近藤和見の作品の良さが反映されてるかどうか未知で、不安が残っていたんです。
野外での上演では、お客さんと情景を共有するのが基礎にあったんです。
でも劇場では「お客さんたちは何を考えているんだろう」、「僕は何を考えたいんだろう」と。
その状態が、僕は最近でも続いています。そこは乗り越えたいし、もしかしたらこの闇を共有出来る作品が作れたりするのかなと思います。
3VOGA「直観と情熱」










公演時期:2018/11/3~7。会場:大阪市立芸術創造館。

姿を現す

撮影:井上嘉和
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未知について。お客さんの顔って、よく見えないですからね。
草壁 
僕らは舞台ではお客さんを笑かしたりコミュニケーションを取ったりはしないので。そこまでは踏み込まないんです。春の文化祭は、他の劇団の方々と僕らは本当に全然違う事をしているんだなと再認識しました。でも僕らは、見る人を選ばない手段を取っているつもりではあります。
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舞台に立っている人が、自分を理解して完全にコントロール出来ているか、そして、そうすべきかというのって色々な考え方がありますよね。
草壁 
舞台に乗せるものは、何か事件やドラマを持つことで分かりやく見やすくはなると思うんですけど、たとえば不意に何か、ドラマの上にあるとは思えないものが姿を現すと面白いんじゃないかと最近は思っていて。
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ああ、もう全然関係ないものが出てきて、理解を越えてしまう。
草壁 
でもそういうのも、僕らが構成を考えているから、作り事なんですよね。舞台上で、物語を越えたものを体感できたら面白いと思うんですよね。
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予定されていない事は劇場では起こらない。だからこそ、誰もコントロール出来ないものが見たい?
草壁 
はい。なんか得体が知れないですが…

質問 村上 亮太朗さんから 草壁 カゲロヲさんへ

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前回インタビューさせていただきました、幻灯劇場の村上亮太朗さんから質問をいただいて来ております。「練習ってなんでしょうか。」稽古ではなく。
草壁 
反復する事でしょうね。自分がやっていることを、小学校の宿題の漢字練習のように、そこに息を吹き込むように自分に身体になじませるプロセスですよね。
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稽古はまた違う。
草壁 
練習は一人でコツコツ出来て、稽古は全体で本番を意識してやる事。
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反復はその前後の段階ですね。

VOGAでしか出来ない事

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VOGAでしか出来ない事はなんですか?
草壁 
風が吹き通る場所。そんな印象が残せたらいいなと思うし、Lowo=Tar=Vogaから続けてきて、やっぱり多少なりとも達成感があるからここまで続けてこれたんですね。どこか突き抜けている場面があって。そこで、「やったった」というのがあります。そういうのが今後もあるようにしたいですね。
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VOGAのお客さんは、大抵満足そうに劇場を出て行くんですよね。確かに。やっぱりそこには近藤和見の作品だから、というのもあると思います。VOGA作品は異世界そのもので、それを構築するぐらい強靱ななものがあるんですよね。
草壁 
近藤和見はなんだかいつも鞭を忍ばせてるみたいな男です。多分傷だらけやけど厳しさとやさしさと直観と情熱で磨かれた強靭な鞭やと思います。
あ、そういえば「直観と情熱」の舞台のことが、しんみりと腑に落ちることが最近ありました。
ラジオの子ども科学電話相談を聴いてたのですが、「なぜ星ができるのか?」という質問でした。その答えが、「宇宙のある場所に水素がたくさん集まって、おしくらまんじゅうして真ん中からどんどん熱くなって水素がヘリウムに変化して核融合して輝きだして星は生まれます。そして人間が歳とるようにだんだんと重くなる。重くなったら爆発します。爆発したらバラバラなって宇宙にたくさんの元素を飛び散らす。元素は世界をつくる元。それはわたしたちの体の中の血液にある鉄分や骨にあるカルシウム。あなたは星のかけらからできています。そう考えたら、遠くの星がすごく近くに思えてきて、空に星があるから今わたしたちは生きてるんだなぁ、すごいなぁ…」というものでした。
それを聴いてたら「直観と情熱」の始まりと終わりの場面が浮かんできたんです。宇宙の爆発から生まれて今ここにいる。僕らは星のかけらの子どもなんやってジーンとなりました。
撮影:井上嘉和
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VOGAの次回公演、楽しみです。
草壁 
野外だと台風が来ない時期にやりたいですね。今の、5月の半ばから6月辺り。
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そうそう、大雨や台風で上演中止になることもあるんですよね。霧雨の中で立つ草壁さんを見た事がありますがかっこよかったです。その場所に居る、それだけで見せられる人は凄い、という話題が先日あったんです。草壁さんはまさにそれだと思っています。
草壁 
ありがとうございます。舞台では、空気を纏うようにありたい。何物でもない何かになりたい。ちょっと…いや、だいぶとキザですけどそんな風に心がけてます。まだまだですが、そうあれるように努めます。
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草壁さんは、どんな気持ちで役を捉えて、舞台に立っていますか?
草壁 
役として演じるって意識があまりできないので、メモ用紙に思いつく言葉や記号を殴り書きしてスケッチしていって肉声を探すような作業をしてます。台本も小さい文字の殴り書きだらけ。
不特定多数の人に向けてバーンって向かうというよりも、自分と同じ道の途中にいるというか同じ目線の高さで歩いてくれる誰かを、何かこう自分の肩にちょこっと載せながら稽古に臨む。そういうのが自分らしいかなと思います。
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そう考えると、何だか現実の参加者も、舞台の上の役柄も、スタッフも全員、自分のやりたい理想を実行するために集まっている気がするんですよね。そして、心の中でのベクトルは結構バラバラだったりもする。
草壁 
VOGAを長い事続けると、若い子との年齢差が広がってきて。もっと、劇団内の繋がりを大事にしたいと思います。インプットに時間かかるし若い子に教わることの方がこれからもっと増えると思いますが、拗ねたりせずに純粋に。互いにいいとこ見つけ合って面白がって、緩やかに強くなっていきたいと思います。

黒革のスマホケース

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お話を伺えまして、誠にありがとうございました。今日はお礼にプレゼントを持って参りました。
草壁 
ありがとうございます。
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スマホのケースですね。入らなかったら別の物を入れて頂ければ。
草壁 
鍵とか目薬とかメモ帳とか、何か入れますわ。ベルトに付けます。
(インタビュー終了)