がっかりアバター「あくまのとなり。」 2

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今日はどうぞ、よろしくお願い致します。最近、葛原さんはどんな感じでしょうか。
葛原 
今回はがっかりアバター、実は前半がミュージカルなのでその楽曲制作をしています。ピコピコ作っています。
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おお、そうなんですね。いつぐらいから音楽を作るようになったんですか?
葛原 
最初は中二の頃に、アコースティックで昭和歌謡なんかをやっていたんですけど。実は乾さんとは小学校の頃からの幼なじみで、共通の知り合いに演劇の人がいて。曲を作ってほしいと依頼されたんです。中学三年生の頃でした。
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なるほど。
葛原 
それからオリジナルも作るようになって、がっかりアバターの第二回公演「啓蒙の果て、船降りる」 3のオープニング曲から作るようになりました。それまでずっとピアノで作っていたんですが、この際だからPCで作るようになりました。高校1年からはライブもするようになって。
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おお・・・私、ライブをするような人に取材するのはあまり機会がなくて。
葛原 
いや、僕もまじめな曲はあまり作らないので。すみません。
1がっかりアバター
結成2011年6月。主催の何とも言えない初期衝動からほぼ冗談のように結束。2011年6月vol.1『岡本太郎によろしく』2012年11月vol.2『啓蒙の果て、船降りる』(ウイングカップ2012受賞)2013年6月vol.3『俺ライドオン天使』(公式サイトより)
2がっかりアバター「あくまのとなり。」
公演時期:2014/5/15~19。会場:シアトリカル應典院。
3がっかりアバター第二回公演「啓蒙の果て、船降りる」
公演時期:2012/11/10~11。会場:ウイングフィールド。

タグ: ミュージカルの話題 乾寿々香

新しい絶望

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今回の「あくまのとなり。」見所を教えて頂いてもよろしいでしょうか。
葛原 
個人的には、ハタチの坂本アンディの作品なんじゃないかなと思います。今しか書けない葛藤が書かれている戯曲。今までの作品は、坂本さんの感性で書かれた、自己紹介的な作品だと思うんですよ。今回は彼の深層が書かれている。
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坂本さんが本心を打ち明けている?
葛原 
そうですね。いつもはキチガイ役がいっぱい出てくるじゃないですか。そのキチガイって、基本的には超人的なキチガイなんですよ。前回僕がやらせてもらった役は超然としていて、僕自身、弱くて不安定な人間なので演じるのが難しかったんです。でも、今回はある種の純粋さからくる弱さが全員描かれているので。細井美保さんですら、弱い部分があるんですよ。
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あ、そうなんですか。それは驚きました。
葛原 
細井さんは、今回大分演技の質が違うんです。そこは個人的にはとても楽しみです。
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坂本さん、なぜ今回はそんな書き方になったんでしょうね。
葛原 
もしかしたら、前回公演の「おしゃれな炎上」が、第二回公演の「啓蒙の果て、船降りる」とプロットが似ていたんです。台本を読んだ時、これはリベンジなのかなと思ったんです。
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というと?
葛原 
多分なんですけど、第二回公演の「啓蒙の果て、船降りる」から、前回公演の「おしゃれな炎上」の一連の流れで、アンディはずっと一つのテーマにリベンジし続けて来たんじゃないかと思っています。そしてそのリベンジは、前回でようやく終わったんじゃないかと思います。
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「オシャレな炎上」では、つまり世界が終わった後に何が待ち受けているのかを見たかったんですね。そこを経ての、前回までの公演を準備としての「あくまのとなり。」は、個人の絶望に迫ろうとしている。
4がっかりアバター「おしゃれな炎上」
公演時期:2013/12/27~12/29。会場:ウイングフィールド。

タグ: 出来ない!難しい!演技 舞台に立つまでの葛藤 炎上、がっかりアバター いつかリベンジしたい

瀉血する客席

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今回の意気込みを教えて下さい。
葛原 
前回までは雑技団的な事をしていたんですよ、みんな。いい距離を保ちつつ。でも今回は、それ以上に、お芝居をする事に接近して演技しています。顔と顔が近づくぐらい役に近づいているんです。お客さんの心臓を素手でギュっと掴めるような作品になったら嬉しいな。
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お客さんに、どう思ってもらうのが理想?
葛原 
そこから血がジワーって滲み出すような、傷みをお客さんに思い出してでもらえたらと。絶対、生きている中で潜在的に傷みを持っていて。普段無視している傷み。
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ええ。
葛原 
個人的に、去年はいろんなことに絶望した年で。生きる為に、生きやすくなるように鈍感にしてしまっているなって部分があって。いや生きる人全員がそうなですけどきっと。その鈍感になっているところを針で刺して、じわあって滲んでくれたらいいなあと思います。
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つつけると思いますか?
葛原 
戯曲の力はとても強いので、あとは役者の力だと思います。

タグ: 観客に血を流してもらいたい

アバターたち

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松下あゆみさんから、がっかりアバターは集団になりつつあるという事を伺いまして。今後どうなるのか楽しみです。世界を破壊するロックバンドから、個人に迫る劇団へ。葛原さんにとって、がっかりアバターってどんな集まりなんですか?
葛原 
ああ・・・前回公演までは、シェルター的な場所だと思っていました。拠り所のない、よくこんな人が社会にいるなという人が坂本アンディという傘の中に集った場所。
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なるほど。
葛原 
僕は、まだこれからのがっかりアバターは見えていません。でも、シェルターからは変わりつつあるんだと思います。

質問 松下 あゆみさんから 葛原 敦嘉さんへ

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前回インタビューさせて頂きました、松下あゆみさんから質問を頂いてきております。葛原さんは前回公演の後に劇団員になられたんですよね。それを踏まえて。「どうしてがっかりアバターを選んでくれたの?」
葛原 
がっかりアバターを観劇して、USJに来たみたい、とか、ジェットコースターで引きずり回されたみたい、だとか劇評を頂いたのですが、稽古場はそれを遥かに上回るんですね。多分世界で一番楽しい場所の1つだと思います。だから稽古も休みたくないですし。
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見逃したくない。
葛原 
はい、見逃したくなかった。みんな異なった才能を持っていて素晴らしいんですけど、坂本アンディが放つ輝きに期待してるんだと思います。例えばアンディが、あ!みんなこれ食べれる草やで!摘み!早く摘み!!みたいな人だったら、それはそれで逞しいですけど、全く違う劇団になっていたとおもいます。メンバーも違うと思います。アンディはいつもがっかりアバター1のおしゃれで、道化を演じてくれるんです。だから、みんなの士気が落ちない。凄腕軍師みたいな。全員が、次にどんな展開があるのかワクワクしながらそこにいるので。その中に自分もいるのかな。
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坂本アンディさんは、「僕自身が面白くなくなったら解散」って言ってて。それはすごく健全だと思いましたけどね。でも、だいぶ、次々と見せてくれそうな気はします。

あそこへ

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葛原さんが演劇を始めた経緯を教えて下さい。
葛原 
経緯というか、縁なんですけど。幼なじみに乾さんがいたから、ですね。僕は飽き性で、音楽に入って、演劇にハマって、ダンスも始めて。次々と始めている感じですね。友達の輪じゃないですけど、がっかりアバターにはそういうつながりが多いですね。乾からの広がりが多いですね。
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なるほど。あのサラサラヘアーの乾さんが。
葛原 
そうですね、そこに絡められた感じですね。
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芝居を始めた頃にみた、衝撃を受けた作品があれば教えて下さい。
葛原 
衝撃。小劇場を見た頃に、なかた茜さんの「愛情マニア」がすごくいいなあと思いました。映像でしか見たことないのですが、大竹しのぶさんが大好きで。松尾スズキさんとの二人芝居「蛇よ!」と、一人芝居「売り言葉」が凄かったです。大竹しのぶさんはずっと尊敬し続けてますね。
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あんな凄い事を、いつか自分もやってみたい?
葛原 
多分ベクトルは違うんですけど、あれぐらいのものを自分が持てたら凄いですね。あと、パトロン500人くらい欲しいです。
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では、いつかどんな演技が出来るようになりたいですか?
葛原 
それは全然、見えてないです。でも、子供鉅人の益山寛治さんが理想です。あの人みたいに動きたいです。レトルト内閣の「倦怠アバンチュール」で、ほとんど別格の動きをしていて。
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益山寛治さん、僕も好きです。

タグ: 衝撃を受けた作品 一人芝居 大竹しのぶ

写真立て

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今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持ってまいりました。
葛原 
うわぁ。ありがとうございます。
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大したものじゃないんです。どうぞ。
葛原 
(開ける)わ、凄い。写真立てや。
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思い出の写真や、ご家族のお写真でも。

(インタビュー終了)