TO4O KIKAKU 8th Summer/Autumn2018 FASHION 2

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本日はよろしくお願いします。最近いかがお過ごしでしょうか?
まつなが(以下、まつ) 
最近ですか。健やかで堅実な毎日を送っています。(笑う)僕は基本サラリーマンなので、平日は毎日働いて土日に休みですね。東洋くんは基本的におバカさんだから、稽古を朝から夜までやりがちなので、俺の時間は?ねーな!って感じの毎日です。
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では、アフター5と土日に稽古を?
まつ 
いえ。最近は東洋くんもあんまり関西にいなくて。僕も京都に住んでいるので稽古に出て帰ると2時間かかるので、平日は一切やらないですね。東洋の所でもよそで出してもらうときにも基本的に平日の稽古は全然やってないです。
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次の公演は東洋企画さんの『FASHION』ですね。稽古はどんな感じでしょうか。
まつ 
一番大きいのは・・・あんまりこれを公開していいのか分からないけれども、完本が早かったんですよ。東洋企画って基本的に全部完本がバカみたいに遅くて、本番の一週間前ぐらいに「完本したよ!」みたいな顔して来るんですけど、今年は2年ぶりというのもあって、既に完本しているのでだいぶ楽です。見立てがあるなって状態で稽古ができています。
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なるほど。
まつ 
あとは、今までよりも取っ掛かりが良いお芝居にはなってると思います。お芝居って難しいことばかり言うじゃないですか。観終わっても、「なんだったんだろう、これ。」ってなってしまうようなのが多い。東洋も比較的寓話的なお芝居が好きで、それなりに読解が必要なものを作りたがるし、それは僕もいい傾向だと思っているんですけれど、僕自身は「もっとバカでもわかるやつにしようよ」と思うタイプなので。今回は初見で観て「こういう話だったな」と、ちゃんとお客さんが腑に落ちる、という所はクリアできるとは思っています。
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そんな次回作で、どう演じていきたいなというイメージはありますか?
まつ 
どう演じていきたいか・・・
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どういう役割を担いたい、だとか。
まつ 
なるほど。・・・基本的に演劇って、値段があるじゃないですか。これ、「FASHION」とうより若干外れて、もっと根本的な話になるんですけど。
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どうぞ。
1TO4O KIKAKU 8th Summer/Autumn2018 FASHION
TO4O KIKAKU 8th Summer/Autumn2018
『FASHION』
脚本 東 洋
演出 東 洋、片山裕子

◆タイムテーブル【開演日時】
9月28日(金)19:00
9月29日(土)11:00/14:00/17:00/20:00
9月30日(日)11:00/14:00/17:00
※開演の45分前より受付開始
30分前より開場。

◆会場
ウイングフィールド

◆出演
岸鮭子
まつなが
東 洋

犬月茶髪
宮前旅宇(㐧2劇場・劇団不労社)
石田裕子
石垣光昴
無糖新十郎
田地翔太
杉原亜実
坂田真夕(劇団六風館)
谷口沙希(㐧2劇場)

◆料金
・一般
前売:3,000円、当日:3,500円
・学生
前売・当日:1,800円
・リピーター割
一般・学生共に1,000円
※今公演2回目以降ご観劇のお客様、要チケット半券。

◆東洋企画とは
東 洋が大阪大学在学中に、近畿圏の学生を中心に結成。以来関西学生演劇界の旗手として、計8大学17団体からなる大規模公演を数多く行う。《寓話性と流転の美》を掲げるダイナミズム、ロマンティシズム溢れる物語と、身体性に満ちた壮大な空間表現を特徴とし、若手演出家コンクールなどでも評価を受けた。

◆スタッフ
脚本と総監督:東 洋
プロデューサー:まつなが
演出:東 洋/片山裕子
照明:西崎浩造(キザシ)
サウンドデザイン:真崎純
音響:上月亮(artical-inc)
音楽:Lantan
映像:岡本拓朗(劇団夜光鯨)
映像監督:阪元裕吾
殺陣:竹村晋太朗(劇団壱劇屋)
振付:中村るみ
マイム:松永和也
アートディレクター:こやち
美術・装置:永瀬あきら
衣装統括:太田梨紗子
デザイン:Minori Isomichi/kitai
美粧:田中樹
小道具:多田剛志(劇団公演中止)
宣伝美術:片山裕子
スチール:関西写真部SHARE
舞台監督:猪岡瑛斗(劇団不労社)
制作:藤野咲/上山智章

【契約と責任】

まつ 
公演ってお金が介在している、契約じゃないですか。で、僕は基本的に小劇場を観るのがあんまり好きじゃないんですよ。しんどいじゃないですか。小劇場なんて狭いし汚いし埃っぽいし、上演時間だって2時間とかある。その間中ベタベタの座布団に座って、わざわざお金払って観に行ってるのに立ち上がる頃には腰も肩もバキバキ。「どういう拷問なんですか」って思うんですよね。だから、そんな苦痛を与えて、ましてやお金を貰っているという契約の状態でお芝居をやる以上は、お客さんに対して履行しないといけない責任っていうものが存在している。そういったときに、お客さんが期待しているであろう何かしらの体験、娯楽体験をなんとしても提供しないといけないというポリシーがありまして。
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履行しなければならない責任。
まつ 
「責任を果たそう」みたいな意志が一番強くて、自己表現をしたいとかはあんまりないんですよ。「何かが知りたい、面白がりたい」というお客さんに「これが面白いでしょう」ということを提示したらそれに対して「楽しかったです、面白かったです」と思ってもらえるのが、娯楽の営みとして一番正しいと思っていて。今回の東洋企画の話に戻りますと、コメディタッチな部分もあれば、お芝居の筋が絡む部分もあるし、芝居全体を構成する役割がおそらく脚本的な意味で存在はしてるんですけど。究極的には、僕が、お客さんから見たときに「面白かった」「すごかった」「観てよかった」というように、「チケット代プラスアルファの価値が見いだせました、あなたは面白かったです」というのがレスとしてちゃんともらえる、という所が一番果たしたいポイントなんだと思います。
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エンターテイナー気質を感じますね。
まつ 
なんていうんでしょう。エンターテイナーというより、単純にお金が好きなんですよね。(笑う)お金が好きっていうか、演劇はお金に対して何かしら責任を伴う行為だと思っているから。ただ、演劇の人はあんまりお金の話をしたがらないイメージがあるんですよ。作品に持ち込むな、というか。僕はもともとそれが好きじゃないんです。大学生の時は無料カンパ制で公演を打つ劇団に入ってたんで、それはそれでいいとは思うんですけど。やっぱり金額の多寡によって人間、責任の比重が変わるだろうと思っていて。
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まつながさんが活動の場として東洋企画を選ばれた理由は、そういったご自身の演劇に対する考えと劇団の方針とに、共鳴するところを感じたから?
まつ 
いや、そういうわけではなく、入団したのはもっと簡単な理由です。もともとは、どこにも所属しようという気はなかったんです。演劇で食っていこうとか、芸術の界隈で金を稼いで飯を食おうとは考えてなくて、まぁ趣味として面白いし・・・という感じでやってたので。それに、どこかの団体に根を下ろすとそこでの活動が基準になるけれど、そこが仮にプロになると言ったら付いて行けなくなってしまう、というと、責任が持てないでしょう。だから僕は、「今後の未来が確定していない団体に身を置いて責任を保証することはできないよ」という話をして、どこの団体にも入らない状態でいたんです。でも東洋から「それは気にしなくていいよ。まつながさんが辞めると言ったら辞めたらいい」と言われて。そこで「何か貢献するポイントが必要なの」と聞いた時に「まつながさんには必要な能力があるから必要だ」っていう話をされたので「じゃあやるよ」と。そういう意味では、これはあんまり、書いていいのか分からないんだけど、めちゃめちゃ愛着があるわけではない。東洋企画というところにはいますし、活動もしてますし、リクエストがあれば自分の持っている能力を提供しますけど、この団体の旗振りは東洋なので。東洋の旗振りが僕の能力として付いて行ける範囲でやってる分にはいいけれども、それ以上僕の踏み込む範疇じゃないっていったら辞める。そういう距離感です。
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結構ドライな関係ですね。
まつ 
ドライって言われちゃうかもしれないなとは思うんですよ(笑う)でも、はい。基本的にはそれぐらいの距離というか。演劇はもちろん大好きで、自分の中ですごく時間を割いてるし、わりと無理してやっているところもあるんですけど、「これのために人生を捧ぐんじゃい」とか「これのために命やお金をかけて何かをするんじゃい」ということは、今はまだそんな風に思ってないし、たぶん今後もあんまり思わない。そういう距離感で東洋企画にいます。だから僕は東洋企画で「団体を良くするには」みたいな話をされても「それは別に東洋の旗の振り方次第なんじゃないの」と思う。「こうしたらお金は儲かるかもしれないし、こうしたらお客さんが喜ぶかもしれないし、こうできたらお客さんは増えるかもしれない」という話はできますけど、明確にこの劇団を、例えば商業としてやっていける団体にしないといけないとか、関西で立ち位置を確立してテレビに出さないといけないとかは、リクエストとして受けてもいないし考えてもいません。僕の中ではビジョンはそんなにない。けど所属はしている。それだけです。
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京都小劇場、特に若手といわれる劇団で活動されている方では、珍しい関わり方な気がします。
まつ 
なるほど。どんな感じですかね、京都小劇場。
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やっぱり、劇団で「売れたい」し、「演劇で飯を食っていきたい」と。
まつ 
そりゃあそうじゃないですか。社会人とか、いい歳になってやっている人っていうのは。僕はその人たちは趣味の演劇は否定したらいいと思うんですよ。

【線を引く】

まつ 
やっぱり僕、線引くべきだと思うんです。その人たちはむしろ僕らみたいなのをもっとボロクソに言っていい。なぜなら彼らはそれをプロフェッショナルとして職業として、演劇というものを自分のスキルでありアクティビティの一つとして武器として使おう、社会に貢献しようというんだから。そういったときに、そりゃあ僕らみたいに趣味なのにお金を取ってるような奴をボコボコにディスるべきだと思いますよ。「ダメだダメだ」って。
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趣味で演劇を続けていこうという考えの演劇人と、職業として演劇をやっていこうという演劇人は交わろうとしない印象はありますね。何なら、対立していると言ってしまってもいいのかもしれない。
まつ 
演劇で食うということにプライドがある人間と、そんなものにプライドがない人間が存在していて、ここは混ざらない感はものすごく感じます。やっぱり、お金を稼いで食っていきたいよって人たちは、趣味でやってる人たちを、あんまり言い方よくないですけれど、見下す権利があると思っていて。もっと言うと僕の考えるそういう人間は責任をもって・・・責任ってさっきから凄い言ってますね、僕は契約と責任が大好きなんですよ。職業で演劇をやっていきたい人たちは、その能力を払い、社会に貢献して、何かを還元したから、地位と金銭を得て、生活するっていう構造に自分を売り込みたいんでしょう。じゃあそれに伴う魅力であり、責任であり、発揮する能力を出せ、って。出してる分には「スゲー!」って言うし、僕たちのことを馬鹿にしたらいい。「だって僕たちはお前たちと違うし。お前が何してるかは知らないけど僕はサラリーマンで給料を貰ってるし。それも社会で割とちゃんと認められてるからお金を貰えてるけど、あなたたちの演劇は同じように認められてるんですか?」っていうのが僕の主張です。
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現在のような活動の続け方を選ばれたのは、最初から趣味でやっていくと決めていたから自然と決まっていったんですね。
まつ 
そうですね、演劇で食う気とか一切なくて。演劇以外でも好きなことがいっぱいある中で、僕の演劇の能力はお金にマッチすると思ってなかったので、それ以外の知識や適正として、サラリーマンをやる方がマッチしているだろうなと思っていました。割と早い段階で、「プロに行くとか、そういうの興味ないんですけど」って感じでした。
まつ 
最終的にはどこに立ち位置を置くかっていうところです。僕とか東洋くんが前に話してたのは「僕らは片足重心でやろうよ」っていう。「だって演劇で食って行く気ないでしょ」って。僕が今の会社に入ったのって、面白いものを作って、お客さんが喜ぶことやりたいからなんですよ。その他に深い理由はなくて、基本的に責任がない会社に入りたくて。
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ほう!
まつ 
インフラとか保険とか銀行とかって責任が重いんですよね。無くなると人が死ぬじゃないですか。僕は人が死ぬ仕事が嫌だったんです。その上で、割と広い世界でやっていけて、お客さんもたくさん居て、その人が嬉しいものを創ったり、嬉しいというものを作るために動いたり・・・というので、「それはいいっすね」と、そういうポリシーで今の会社に入りました。東洋くんは東洋くんで映像を創りたいっていう思いで入った。「僕らは目的に合致していてそれが理にかなった仕事をしているじゃない。で、もう片足で演劇をやろうよ」と。そういったときに、「演劇で金稼いでるやつらには負けないようにしよう」っていう話をしたんです。そりゃあもう「お前たちとはノリが違いますよ」みたいな顔してやろうよ、って。ここは東洋企画のすごく性格の悪いところ(笑う)。僕たちの根っこには「3000円取ってバカみたいな芝居している奴らより絶対面白くしようぜ」っていう思いがある。「それしか俺達にはないんだ」っていう顔して演劇している奴らを「いや、僕たちは結構ちゃんと仕事してますけどね」っていう顔しながら、あいつらより面白いものを創ろう、というのが根っこにある…っていう、「趣味」です。だから、僕のことを、演劇をすごく愛してやっている人たちはディスればいいと思うし、その人たちには僕はディスられて然るべきだと思う。スタニスラフスキーシステムとかも、あるじゃないですか。いわゆる演劇論とか。それらは多分理にかなった、割と納得のいく落とし所だとは思うんですけれども、少なくとも関西の小劇場レベルで考えたときに必要なものは「お客さんが見て満足するかどうか」だと思うんです。つまり、お客さんが喜んだら正解で、お客さんが喜ばなかったら不正解なんです。そういったときに、「感情が・・・」とか「このキャラクターがどういうことを考えていたかわからないから演じられません」みたいな話になると、「いや、いいんだよ。お客さんに悲しそうに見せろ。どうでもいいからさ。」「それらがやれないなら辞めなよ役者。」みたいな気になるんです。小難しいことをたてつけたり、いろんな理由をつくって役者をやっている人はたくさんいて、その中で表現してるひとはたくさんいるんですけど、僕は「お客さんが喜ぶように見せれてお客さんが喜ぶようなものを創れたらその手段は問わぬよ」みたいな気がしていまして。東洋企画のいいところはそれをちゃんとOKしてくれるところですかね。

【娯楽としての演劇】

まつ 
僕、究極的には、一番面白いのはヒーローショーだと思うんです。
__ 
それは演劇として、ですか。
まつ 
すみません、これは尖った言い方をしました。演劇は難しい人のおハイソな、なんか高尚な趣味になりつつある気がしています。たとえば、僕が好きな劇団さんは梅棒さんなんですけど。
__ 
ザ・エンタメ。誰が見ても楽しめるような。
まつ 
そうそう。梅棒さんのエンタメって誰が見てもわかる(から好き)。劇団☆新感線ですら話の筋が難しいな、って思うことがあります。あれは何となくカッコイイから良いか、っていう気がするんですけど。なんていうか演劇の、特に小劇場における「間口を狭めていこうとしているような動き」が僕はすごい嫌いなんですよ。
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間口を狭める?
まつ 
だって、初見の人(演劇を見たことがない人)が見たいと思うようなチラシってあります?
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なるほど・・・
まつ 
分かりにくいでしょう。よくわからないあらすじ、見たことない劇団名、見たことない役者の名前・・・何を見たらいいんだ?ってなってしまう。僕が一番面白いのはヒーローショーだ、と言ったのはね、例えばいま「ヒーローショー」と聞いたとき、頭の中に絵が浮かんだと思うんですよ。ヒーローショーって、まさにそれをやってくれるじゃないですか。飛んでる、跳ねてる、怪人がやられてる、こっち降りてきて子供が泣いている・・・あれをやるんですよ。子どもはめっちゃ喜びますよね。たぶんそのヒーローのことを知らなくても喜ぶ。僕はそういうものが娯楽の根っこだと思っていて。たとえば昔、東洋が『偽曲・藪の中』っていう芥川龍之介の「藪の中」を下敷きに、黒澤の「羅生門」とか交えてオマージュした劇作を創って、それに僕も出ていたんです。その作品を「なるほど、芥川の『藪の中』。ここは作品のこのセリフを下敷きに・・・この表現は黒澤のあれね。」って言いながら楽しむ人が、もちろん出てきてもいいんです。そういう人たちがお金を払って満足したっていうのは大事。そういうターゲットがいたなら。でも本当にそれって、この劇団、作品を大きくする・・・大きくするの定義ですけど・・・いろんな人に見てもらって喜んでもらうものにするときに必要なの?って。
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すべては演劇を「娯楽」と位置付けたところからのスタートなんですね。
まつ 
はい。僕はそういうところがあるんです。芸術としての演劇というものに、僕は究極的にいえば価値は感じていなくて、なぜならあんまりお金にならないからで。おハイソなことしたら偉いひと達から偉いって言ってもらえるし敬意を得られますけど、テレビには出ないしお金は儲からないし、百万人には届かない。世界中に見てもらって凄い拍手がもらえるかって言ったらそんなことはないし。だから、一番最近の演劇で立派なのはギアだと思っていて。あれってとっても賢いんです。ターゲットがとてもしっかりしていて、マーケティングがしっかりしていて、劇作がちゃんと伴っていて、おまけにちっちゃい子が見ても絶対楽しい。僕はああいうの大好きなんですよ。根源的にダイナミズムがあって、楽しめる。余計な情報もなければ、下敷きも要らない。そういう点では、エンタメとしての演劇の成功点の一つだと思います。僕は芸術的な演劇っていうのを否定したいわけではなく、それも生き方の一つで売り方のひとつだと思うんですけど、それで辿り着けるものって、みんなが目指してるところなのかは全然わからない。目指す理由も、やっぱりちょっとわからない。理解はできないですね、たぶん。あ、でも、一番好きな劇団は維新派です。
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そうなんですか。
まつ 
僕すごく今、娯楽の話してるんですけど、演劇で観るに値すると感じるのは思考の伴う芸術性というか、特に身体性のある、よくはわからない何か。そういった作品は、演劇として見るに足るものがある気がします。あれは別に、わかる人にしか向けてやっていないし、わからない人にどれくらいわかってほしいのかはわからないけど、ああいう立ち位置を築いたものとして観るときにすごく楽しい。趣味として。
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まつながさんは、どうして演劇を選ばれたのでしょうか。
まつ 
僕が演劇をすごく好いているところは、舞台上は出来事の正義とかポジとかネガを問わないところなんです。たとえば、道行く女性を裸に剥いて犯したいって思っている男がその思いを基に活動することですごくエネルギーのでかい何かが起きてしまったとします。それは社会で起きたら大問題になるんですけど、その欲望を舞台上で芸術として昇華したときには、そのでかいエネルギーは評価されるんですよ。僕は演劇の、ネガポジとか、反社会性とかいう、いわゆる許されないようなものを許してあげる機能がものすごく好きなんです。

【演劇をやる意味】

まつ 
演劇の良さでいうと、前に僕、初めて海外に行ったんですよ。韓国に行きまして。そのときに、「NANTA」っていう韓国発のノンバーバルアクション、日本でいう「ギア」みたいなお芝居を観たんです。基本言語無しなんですけど、ちょっとしたあらすじがありまして。食器を楽器に見立てて、キッチンで「結婚式に間に合わせるために料理をいっぱい作らなきゃ」みたいな設定でバタバタしている。そこに無能な支配人の甥が来て、「こいつにも今日は料理を作らせて勉強させてやってくれ」みたいなことを言われてしまって色んなところで事故が起こっていく。内容自体はありきたりなノンバーバルで、とても分かりやすい起承転結。僕は演劇のことを、メディアとか技術がなかった時に、文字もないし、情報を伝達する手段もないし、機材もない、だから芸術を創るときに、生身でやるしかない・・・っていった時代に生まれたっていうだけでここまで生き残りやがったクソ芸術って思っているところがあって。「既得権益に守られてずっと偉そうにしとるわ」って思うんです。「(映画だったら)1500円で一億円かけた映画観れるんだよ。ふかふかの椅子でさ、最高の音響と光でさ。」みたいなことを思いながらいつも演劇を見ている。じゃあその既得権益に守られた馬鹿野郎がいま生きていく方法はなんだ?って思ったときに、やっぱり目の前に人がいるっていう以外、奴が生きる価値はあんまりないと思っていて。目の前に人がいて、美体験、もしくは圧倒的な娯楽体験的なものがまとめて在るっていう、恵まれた瞬間が存在している。飢えた人間がいて、それに対して飢えを満たしてやりたい人間が同時にいるっていう空間でやるべきはコミュニケートだなと思っていて。NANTAって、途中からすごく客席を煽るんです。客席にハンドクラップもさせる、客席を交えてネタをやるし、舞台上にわざわざ4人くらい挙げてゲームさせたりもするんです。チームを分けて、客席に応援させたり。僕、演劇が唯一存在価値を持つ瞬間ってそこだなと思って。リアルタイムでお客様に直撃のコミュニケートをする瞬間が存在しているってところは、他の娯楽と比べてもやっぱり演劇って強い所だなって再確認するところがあったんです。ただ、何でわざわざ演劇を選ぶんだろうっていうのは常に疑問。だってさっき言った通り僕の中だと、演劇ってバカがやることで。正確に言うと、バカっていうのは、既得権益に溺れた権威大好きなインテリ野郎と、知識におぼれたドリーマー、ワナビーたちがただ暗闇でひっそりとぶつかり合う小さな輪、みたいなイメージ。そんな中で、そういう生きる道が確かにあるかもしれないって、なんとなくこの前海外旅行したときに思って。そういう意味ではひとつ、僕の中にストンって、演劇やる意味が確かにそこにあるかもしれないなって思いました。

質問 川上 唯さんから まつながさんへ

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前回インタビューさせていただいた川上唯さんから質問を頂いてきております。「子どものころ、どんなお姉さんが好きでしたか?」
まつ 
姉がひとりいるんですけど、姉と全然違うのがいいなと思っていましたね。
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もう一点。「マクドナルドで好きなメニューはなんですか?」
まつ 
ポテトが好きです。

【東洋さん】

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先ほど東洋企画に入団された理由に関して伺いました。東洋さんからのお誘いに納得したからとのことでしたが、やっぱり東洋さんと一緒に作品を作っていきたいなとお思いになったから入団されたんですよね。
まつ 
そうですね。東洋の作るものは面白いし、お金にもなるし。で、それに対して必要であるという判定が東洋から出ているのなら、OKって感じ。
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東洋さんの魅力を教えてください。
まつ 
お。面白いですね。東洋の魅力ですか。バカなところじゃないですか。意図しているかは知らないですけど、いわゆる常識から一歩外れようとしてたり外れてたりしているところがある。例えば、すごく仲のいい茶髪くんという役者がいるんですが、ある日、稽古に遅刻した茶髪くんと僕を並べて、東洋くんがWSで使ったぷにぷにの野球ボールをすごい近い距離でめっちゃ投げてきたんです。「避けんなよ、避けんなよ!ばかばかばかばか!」とか言って。いや僕と茶髪くんが悪いんですよ。遅刻したから。悪いんですけど。でもやっぱり「ああーっ!こいつ駄目な人間だ!」って思いましたね。「やばいやばい!普通の人間がやっていい行為じゃないよ?」みたいな。
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ちょっと子供らしく振る舞うところがあるんですね。
まつ 
そうそう。たぶん何か意図もしているんだろうし、そうあろうみたいな意志も感じるんですけど。基本的には賢ぶってはいるんですけど、あいつ。「褒められたい!」とか「認められたい!」とかいう欲求も強いし。今どきの意識高い若者の一種な気もするんですが、身近にいて結構バカっていうか。僕はバカをするのも好きだし、実際バカなところもあると思うんですけど、どちらかというとドライな賢い生き方をしようとかズルいことを知っているので・・・。なんとなく、東洋くんを見ていて「いいなあ」と思いました。僕は多分ああは生きないし、そういう人間が作るものには僕は到達しないから、東洋がどういうところを目指しているんですか?というところに興味がある・・・っていうのは、東洋の魅力的なところだと思います。

マヌカハニー入りのキャンデー

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今日はですね、お話を頂いたお礼にプレゼントを持って参りました。本番も近いということで、使っていただけたら!
まつ 
あ!ありがとうございます。うれしい。いただきます。

(聞き手:倉橋愛実)
(インタビュー終了)