ロームシアター京都×京都芸術センター U35創造支援プログラム”KIPPU” 安住の地「ポスト・トゥルースクレッシェンド・ポリコレパッショナートフィナーレ!」 2

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今日はどうぞ、よろしくお願いします。安住の地の俳優、森脇康貴さんにお話を伺います。最近、森脇さんはどんな感じでしょうか。
森脇 
安住の地の稽古にがっつり入っています。その後には吉田寮の三文オペラに参加させて頂く予定なんですが、それ以外の出演舞台を探しています。
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安住の地の次回公演「ポスト・トゥルースクレッシェンド・ポリコレパッショナートフィナーレ!」ですね。どんな作品になりそうでしょうか。
森脇 
脚本の内容は、書いている二人が説明したいと思うので僕からはあまり何も言えないんですが、ゲームとかおもちゃとか、色々取りまとめて扱っている作品になりそうです。ポップであり、人間の機微に関わるところを描こうとしていて。今回はダブルで作・演出をする岡本昌也と私道かぴの作品のいいところを取ってるみたいな感じがします。
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そう、安住の地には作演出が二人いらしゃるんですよね。以前拝見した私道かぴさんの「来世のご縁ということで。」面白かったです。あの人の書いている人間性は、いい意味でほどほどなんですよね。ほどほどに欲があり、ほどほどに己に対して客観的・批判的で反省はするけど後悔まではしないというか。
森脇 
自分の劇団の作家ですけど、人間の心情を書くのが上手なんですよね。すごく色々な事を調べてるんだと思うんです。その題材の当事者の方から感想で「そうそうそういうことなんですよ」って言われるぐらいちゃんと書けているみたいで。一方の岡本は岡本で、脚本の「世界」を大切にしています。二人の作家のいいところが合わさった作品になってるんじゃないかなと思います。ただ、脚本に関してはお互いが「面白いね」といい合ってるんですけど、演出に入ると方向性が結構変わるみたいで。
1安住の地
2016年7月に結成。京都を拠点に活動。
安住の地のラジオ「の地ラジ」
https://www.youtube.com/channel/UCLSeKR16QwEmYTTlkXoK2bw
Twitter @nochiradio
2ロームシアター京都×京都芸術センター U35創造支援プログラム”KIPPU” 安住の地「ポスト・トゥルースクレッシェンド・ポリコレパッショナートフィナーレ!」
会場|
ロームシアター京都
住所: 〒606-8342京都府京都市左京区岡崎最勝寺町13 https://rohmtheatrekyoto.jp/access/ 

公演日程|
2019年1月
17日(木)19:30
18日(金)14:30 / 19:30 
19日(土)14:30  / 19:30
20日(日)11:00 / 15:00
受付開始は各回45分前
開場は30分前

料金|
一般:3,000円 当日:3,500円
U25:2,500円 当日:3,000円
高校:1,000円(前売・当日一律)

出演|
中村彩乃 森脇康貴 日下七海 にさわまほ 山下裕英
武田暢輝 柳原良平(ベビー・ピ―) タナカ・G・ツヨシ
【映像出演】ぶんけい(パオパオチャンネル)

スタッフ|
作・演出:岡本昌也・私道かぴ
舞台監督:平林肇
舞台美術:森脇康貴
音響:椎名晃嗣(劇団飛び道具)
照明:河口琢磨(劇団飛び道具)
映像:岡本昌也
衣装:大平順子
宣伝美術:岡本昌也・日下七海
イラスト提供:JewelSaviorFREE(http://www.jewel-s.jp/)
物販:大平順子・日下七海
制作:安住の地
制作協力:渡邉裕史(ソノノチ)
ライター:朴健雄 一人静
カメラマン:中谷利明 大平順子
メイク:篁怜
協力:CoRich舞台芸術!・劇団飛び道具・鍵山千尋
主催:安住の地
共催:ロームシアター京都(公益財団法人京都市音楽芸術文化振興財団) 京都芸術センター(公益財団法人京都市芸術文化協会)・京都市

演技と理解

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稽古は今、どんな感じですか?
森脇 
今は、ちょうどみんな悩んでいます。うまく行かないところが結構ポツポツと出てきていて、ただただ大変ですね。ここを超えると良くなると思うんですが。
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どんな大変さを抱えていますか?
森脇 
役者が持っている視線と、演出が持っている視線が明らかに違っていることを実感しています。演出が俯瞰で観ている面白さを、理解はできているんですが、それを実際にやろうとしていても出来ないもどかしさにぶつかっています。演出からしたら、「そこはそんなに力を入れるところじゃないし単純にいってくれたらいいよ」と言われたとしても・・・多分何か、頑張って何かを変えるというよりかは考え方の切り替えをすればすっとハマると思うんですが。
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鈍感になろうにもなれない?
森脇 
考えすぎと言うといえばそうかもしれないですが、しっくりきてないまま演技をしても再現が出来ないので。そこは役者の範囲で頑張らないといけないところなんだと思います。
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「役者はその演技の意味を理解できていないと再現できない」。
森脇 
そうですね。ただ難しいと思うのが、「再現する」と言葉で表してしまうと、まるで記号化された演技の再現、というイメージになってしまいます。僕は、演劇の実際の上演では再現よりもその場で実際に起こってることの方が大事だと考えていて。再現が必要でありつつ、その場所で生きる、矛盾していてすごく変なんですけどそこが面白いと思っています。
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プログラムを作って実行させるような感じの話ではないですからね。まあ実際には、PC上でプログラムを実行するにしても、全ての実行は同一のものではないんですよ。同じパラメーターを与えれば同じ挙動をするかのように見えますが、深いレベルでは実は違う。
森脇 
まさにそうなんですよ。だから結構、脚本全体に書かれている文脈とニュアンスから出るセリフが僕は結構言えないことが多くて。エラーを起こすんです。でも、そのエラーの方が脚本家としては面白いらしくて。
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もしかしたら、演出はそのエラーの処理を充実させるのが面白いのかもしれませんね。
森脇 
はい、エラーしていても捕まえてくれるというのを演出がやってくれてるんですが、それはただただありがたいです。単に否定されない。岡本の言葉を借りれば、規格外の面白さって言ってるんですけど。当てはまらない時の方が面白いと。ただ、僕にとってはそのエラーはうまくいっていないという感触があるので。いまはもどかしい気持ちがあるんですけどそこは大事にしたい。シーンの要素は大事にしつつ、決められる段取りだけは決めておいて・・・
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その場でしかやれないことは大事にする。
森脇 
はい。
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ただ、エラーの面白さをどこまで咀嚼して伝えるかというのは、また別の問題のように思えますね。
森脇 
そこはもう、完璧にあります。「規格外の面白さ」は彼の中では理解されているんですが、それが伝わらないということがままあるので。
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どの演出家でもそれは直面する問題でしょうね。様々な向き合い方があると思います。お客さんを信じる、恐れる、信じない、色々ですね。一つにには、「筋道を強く作る」たとえば劇団子供鉅人のうらじぬのさんは、『チョップ、ギロチン、垂直落下』に出演した時のインタビューで、最初のシーンが始まってから最後のシーンまで、一つの物語に付き合ってくれるってなんていう奇跡なんだろう、と仰っていました。お客さんに感謝しているんですね。自分達が掴んだ「面白い」を伝える方法に、どう向き合いどう考えるかはとても大切だと思います。
森脇 
先日子供鉅人の影山さんのインタビューを拝見したんですが、その時お答えになっていたことが、僕が今考えてることとちょうど同じだったんです。当初はリアリズム演劇をされたかったそうなんですが、益山貴司さんに「演劇はエンタメだから」と言われたって。僕の考えている「面白い」はいまその境目にいるような感覚なんです。演技自体の泥臭さは大事だなと思っていて。その、泥臭さ以外のところで、ちゃんとお客さんに、プラスの方向で発信をしていかなくてはならないなと思っています。僕のやる「規格外の面白さ」も、まだ内側に向いている気がする。
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が、簡単に外に出してしまうと今度は中身が壊れてしまう。
森脇 
そうなんですよ、そこが難しいんです。
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お客さんの思考の侵入度をある程度まで抑える、みたいなことをしないといけないのかな。伝えすぎると、お客さんが理解に要する時間が短くなるので、深入りしなくなるのかもしれない。本当はもう少し奥まで来てほしいのに。
森脇 
難しいですよね。できることなら期待感はずっと失わないようにしつつ、大体こういうことなのかな、にしたいです。でも僕は、分かる・分からない、ぐらいのところで止まってしまうともったいないなと思います。理解できた、理解できない、それが主題にされてしまうともったいないなと。
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私は、お客さんは一歩ずつの理解を元に作品を見ていくものと思っているから。ただ、理解させすぎるという事に警戒はしています。
森脇 
僕は地点の作品が好きなんですけど、(言葉はちょっとあれですけど)物語を全く理解できなくても面白いんですよね。僕は小林洋平さんが特に好きなんですけど、あの人の面白さをあんまり言葉にしたことがない。
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そうですよね、根本的なところで笑ってるような気がする。
森脇 
あの人に対する期待感というのが常にあるんですよね。僕もそういう状態でありたいと思います。こいつ何かするやろうな、みたいな。

おもちゃとその時代

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今回はおもちゃを集めるという企画もありますね。
森脇 
この作品では平成にあったことを取り扱かう事にきまって、ゲームとかおもちゃとか、僕らの視点から感じている平成を集めようという話になりました。それがいっぱい集まって、今稽古場ではすごいことになっています。
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どんな風に光を当てるのか、二つの意味で楽しみです。
森脇 
今回ものすごく面白いなと思ってるところが、主人公がいないんですよね。というか、ちょっと多面的で。演劇は演劇の枠の中で捉えようとする頭が働くんですが、今回の作品はどのジャンルにも流れるような印象の公演だなと思っています。
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例えば。
森脇 
漫画、アニメ、音楽、色々な方向で楽しめる作品になるんじゃないかなと思います。演劇という、ニッチな趣向じゃなくて、「いいものはいいよね」。見る人にとっての間口が広い作品になるんじゃないかなと。「エンタメ」が好きな人も苦手な人も、演劇の敷居が高くて興味があっても足が向かない人も。僕はRIPSLYMEが好きなんですけど、彼らはヒップホップだけを洗練してやってるわけじゃなくて、綺麗な音の流れも取り入れて発信している印象があるんですよ。いい意味で、これと決めずにこだわりを持たずに行っていると思います。それに似た空気を感じるんです。

質問 うめいまほさんから 森脇 康貴さんへ

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前回インタビューさせて頂いた、VOGAのうめいまほさんから質問を頂いてきております。「この間ソフトバンクで大規模な通信障害がありましたが、携帯が全然通じなくてひとりぼっちになってしまったらどうしますか?」
森脇 
その土地をぶらぶら散歩してみます。しょうがないかという気持ちで。
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1年ぐらいそれが続いたら?
森脇 
無責任に回答するんだったら、そのままそこに住んじゃった方が楽かもしれません。

演技という仕事

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演劇を始めた頃に影響を受けた作品や人はいますか?
森脇 
僕は滝藤賢一さんが一番好きな俳優なんですけど、それこそゴールデンスランバーの一番最後のシーンでエレベーターに立ってる滝藤さんがめちゃくちゃよくて。主演じゃなくてこんなにすごい演技ができる人がいるんだ、って。その瞬間から、演技そのものが好きになったんだと思うんですよ。演技でこんなに衝撃を与えるなんてすごいことだなぁと思って。その裏にある膨大な作業とかがあるんやろなと思ったら・・・どんなジャンルでもいいから、演技という仕事をしたいなと思ったんです。
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俳優の仕事の一つ、「役作り」だけ考えても、それを支える膨大な仕事があるでしょうね。
森脇 
客演にいらした方や、自分が客演に行った時でも、全然違うと思って。色々な現場によって色々な方法でそういう仕事がされているんですよね。地域とかでも違う。これからもっと、見て学んでいきたいです。

演技と反応

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エラーの話を聞いていて思ったんですが、そして私が最近考えていることなんですが、「演技をする」というとまず台詞を喋ること、が思い浮かばれると思うんですが、リアクションの演技ってどこまでコントロールできるのかなと。台詞を喋る、行動する、そういう能動的なアクションっていくらでも設計出来るけど、同じ舞台にいる役からの投げかけに、体制としてまず反応し対応するのは身体じゃないですか。そこでは俳優は反応をどこまでコントロールできるのか疑っていて。
森脇 
反応すること自体が、演劇に関しては嘘になりがちで。出来る限り、自分が本当の反応をできるように準備しています。その前の段階まではコントロールできるんじゃないかなと思うんですけど。リアクションか・・・難しいですね。
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役者がどう反応するかというのは、お客さんはかなり観ていると思う。
森脇 
心構えとしては、そこにあまり嘘がないようにしたいです。完全に、台本には書かれていない表現をリアクションは担っていて、1mmでもそこに嘘があると、一気に「作ろうとしてるな」ってなってしまう。だから、自分で反応が出来るような心構えは準備しています。
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一人芝居でもリアクションってありますからね。自分で自分の言葉にいるリアクションする演技をこの間観て、凄いなと思って。

風景

森脇 
僕も最近、ちょっと考えていることがあって。自分の役や他の人の役や、セリフを喋ることについて考えていたんですけど、役じゃなく風景の事を考えています。世界ってもっと広いなあと。風景とか背景とかの目に見えないことの方が大事なんじゃないかなと思っています。そういう視点で芝居を作った方が面白そうだなという方向に考えが向いていて。役作りにおいて、その人の年表を作るとか言うじゃないですか、そういうのも大事だと思うんですけど、もっと実感をもって風景を作ると言うか。その時の季節感や温度、歩いた時のじゃりっとした音とか。その空間はそれを持っているのか。もしそれを作り上げることができたら、どんな場所に誰がいるという風景でも、見られるものになるんじゃないかと思うんです。メインで喋っていない役が例えば舞台の隅っこにいたとして、その風景のことを考えて人や物の在り方を考えられたら面白いんじゃないかと思っています。
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箱庭的に何かを配置するという指向性かな、ちょっと違いますかね。
森脇 
そうですね、無理やりそこに箱を立ててその中にどうしようという話ではなくて。もっとその箱を、外に飛び出させていこうみたいな話です。
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小説の中で描かれる風景は人類でしか共有出来ない純粋な自然ですが、そういうことかな。
森脇 
イメージで見れる範囲ってあるじゃないですか。視野で見れる範囲を越えた、その場所に元々在る背景。頭の中にある360度の風景を思い描くべきだと思うんですよ。表現方法の問題として、エンタメとリアリズムのどちらに行くのか、という問題の隣に、実は風景への問題意識があるという気がします。

これから

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今後どんな感じで攻めて行かれますか?
森脇 
安住の地をめちゃくちゃ頑張ろうと思います。安住の地をもっと盛り上げるためにも、色々な現場で勉強したいです。

ルパン三世のフィギュア

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今日はお話を伺いたお礼にプレゼントを持って参りました。
森脇 
ありがとうございます。クリスマスカラーだ(開ける)。ルパン。ありがとうございます。
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今回はおもちゃということなので。
森脇 
舞台に出します。ありがとうございます。
(インタビュー終了)