京都ロマンポップ第十回公演「人を好きになって何が悪い」note

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今日は京都ロマンポップで俳優をされている、七井さんにお話を伺います。どうぞ、よろしくお願いいたします。最近はどんな感じですか?
七井 
9月頭の次回公演の稽古です。
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次回の京都ロマンポップ「人を好きになって何が悪い」ですね。これ、チラシが一つの作品と言えるぐらいきれいですよね。今回はどんな作品になるのでしょうか。
七井 
簡単に言ってしまうと、女の子同士の同性愛、それにキリスト教がテーマです。
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深刻そうな感じですね。次回公演の仮チラシに「次回は真面目な作品を作ります」って。新鮮でした。
七井 
あんなんわざわざ言う必要ないのに(笑う)
note京都ロマンポップ
2005年、当時立命館大学生であった向坂達矢(現・代表)、よりふじゆき(脚本家)を中心として旗揚げ。以後一年に2~3本のペースで公演。ポップな新劇というスタイルを取り、芸術的・哲学的テーマを基調とした演劇を製作する。
note京都ロマンポップ第十回公演「人を好きになって何が悪い」
公演時期:2010/9/3~6。会場:アートコンプレックス1928。

最初に全部決めている。でも・・・

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その京都ロマンポップ「人を好きになって何が悪い」。みどころは。
七井 
京都の学生劇団全部に声を掛けて、参加者を募りました。今までの京都ロマンポップで一番参加者が多いんですよ。
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あ、そうなんですか。
七井 
今までの中では、わりと明確に何かを言おうとしている作品じゃないかなと。
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私も京都ロマンポップの作品を全部拝見している訳じゃないですが、珍しい気がしますね。
七井 
決め打ちじゃないけど、最初から言いたい事は決まっている。それがどういう風になっていくのかなと思っています。
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最初に全部決めている。
七井 
でも、作る過程まで決めきっているわけじゃないので。これからの稽古でどんな風になっていくのか。楽しみなところですね。

高田会計さんの言えない表情

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ロマンポップの公演はこれまで5回拝見しています。特に最近のコント公演のめちゃくちゃさ加減が、個人的にはすごくお気に入りです。全員白塗りのメイク、衣装は袴。まさに大正ロマンな雰囲気で。
七井 
うんうん。
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なのに、全くミスマッチなコントを持ってくるような姿勢が好きなんですよ。逆上がりハリケーンで、note高田会計さんが向坂さんに、ある日コンビニに入ってきた変な女の話を聞かされるシーンがあったと思うんですけど。それを聞いている白塗りの高田さんの表情がたまらなかったですね。呆れ顔とも無表情ともとれない、曰く言いがたい顔でした。あれはよく作られたなあと。
七井 
あの公演で高田君の評価は一部でうなぎ登りでしたね。
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伺いたいのですが、七井さんから見て、ロマンポップの魅力とは。
七井 
全員が、真面目に物事を考えているんですね。今なぜ演劇をやることについて、真面目に考えている、という事ですね。真面目だからいいというだけじゃなくて、何かを乗り越えようとしている意志を感じるんです。非常に主観的ですけど、そういう姿勢に魅力を感じます。
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七井さんも、ご自身はそういう姿勢なのですか。
七井 
そうですね。実は大学卒業後に、劇団態変noteというカンパニーに出会ったんです。
note京都ロマンポップのさかあがりハリケーンvol.1「苦しみを煮込んで喰え」
公演時期:2009/8/15~16。会場:アトリエ劇研。
note劇団態変
主宰・金満里の「身体障害者の障害じたいを表現力に転じ、未踏の美を創り出すことができる」という着想に基づき、身障者自身が演出し、演じる劇団として 1983年より大阪を拠点に活動を続けている。(公式サイトより)

タグ: 衣裳・時代物

持っていいんだ

七井 
そこでは演出補という役割で、2年半ほど関わらせてもらいました。そこの主宰が行っている身体表現研究所という教室に通いつつ、何度か公演にも関わらせて貰って。
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劇団態変といえば、身体障害者による非常に見事な舞踏やパフォーマンスをされていると伺っています。ご自身にとって、どのような経験でしたか?
七井 
 すごくストイックなカンパニーですね。思想に非常に信頼を置いていて。だからこそ、自分たちの表現の社会における意味を常に捉え返しているのだと思います。
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というと。
七井 
私の口から語るより本当に観て貰ったほうが早いのですが、例えば。何の志も持たない表現活動では、何をやっても障害者が健常者に踊らされているんでしょ・・・って常にそう見られかねないところにいる。だからこそ我々がこれをやるということに対して明確なポリシーを持っておられます。そしてそういったものを持つべきなんだ、もってもいいんだと学びました。そこからの影響が大きいです。ポリシー云々に関しては健常者である私が語れることではないので、あくまで感想です。

バカバカしい、意味のなさそうに見える

七井 
で、自分でも舞台に立とうと思った時期に向坂と出会ったんです。
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最初の印象は。
七井 
最初に見たのは大学の追い出しコンパで、何やら危なそうなのがいるなと(笑う)。
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そこから、ロマンポップの旗揚げに。
七井 
はい。旗揚げから5年ですね。途中何回か出演しない公演もありましたが。
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ところで京都ロマンポップ、3年くらい前とは結構印象が違う気がします。西部講堂での「宇宙人Xの言葉」noteを見た事があるんですが、テイストも違うし、演出のスタイルも違うように思います。イメージを明確に打ち出す、みたいな。
七井 
演出が向坂に変わってから、ですね。公演を重ねるにつれ、彼の中でのイメージも練れてきているのかなと思います。「ドイツ!ドイツ!ドイツ!」noteあたりからかな。
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それに、ビジュアル的に鋭くなっているように思うんですよ。アートコンプレックス1928でのコント公演noteで、学生服の彼が踊った舞踏は非常にかっこよかったです。コント公演でありながら、無常性が常に舞台にあったように思います。
七井 
向坂はあまり褒められない性質らしいので、言ってやってください(笑う)。バカバカしい、意味のなさそうに見えるんだけど、ディテールに込められた意味をくみ取ってくれると嬉しいんですよね。
note京都ロマンポップ第六回公演「宇宙人Xの言葉」
公演時期:2007/9/23~24。会場:京都大学西部講堂。
note京都ロマンポップ第七回公演「ドイツ!ドイツ!ドイツ!」
公演時期:2008/5/16~18(京都)。2008/6/14~15(大阪)。会場:京都市東山青少年活動センター(京都)。ロクソドンタブラック(大阪)。

タグ: その人に出会ってしまった

質問 筒井 加寿子さんから 七井 悠さんへ

Q & A
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前回インタビューさせていただきました筒井さんからご質問をいただいてきております。1.「来世でもやっぱり役者になりたいですか?」
七井 
はい。おそらくなりますね。
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2.オタクの女性についてどう思いますか?
七井 
好きですね。流行にのっかってオタクやっているというよりは、壊れてるんじゃないかというくらいの人の方が好きです。
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個人的な嗜好を大切にする人の方が。
七井 
そうですね。それは男性でも女性でも同じく。

だんだん余分なものを取って、余白が残って

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今後、どんな感じで攻めていかれますか?
七井 
今やっているロマンポップの芝居なり、自分の演技のあり方なりが全体的に過剰なんですよ。情報量だったり、熱量だったり。抽象的な話なんですけど。
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というと。
七井 
とある役者の方に、沢先生を見に来ていただいて感想を伺ったんですよ。「テンションの高い会話劇だよね」って。荒削りって。それは事実、普通の会話でもテンションが高いんですよ。何でかなというと、脚本家が「芝居は観客をレイプする事なんだ。みんな、普通の人は見たくないんです、気違いを見たいんです」と常々言っていて。
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なるほど。
七井 
するとどうしても、なんだか会話がおかしくなってくるんですよね(笑い)。例えば、静かな演劇の脚本をロマンポップでやったら全然違う方向になると思うんです。
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そうかもしれませんね。
七井 
私個人の目標としては、今後はそれを削ぎ落としていく方向になるんじゃないかなと。
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削ぎ落とす。引き算していくという感じでしょうか。
七井 
一つの表現に収斂させていくというよりは、だんだん余分なものを取って、余白が残って・・・という方向になったら何か出来るのかなと。舞台に立っていても、そういう実感があるんです。
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わびさび、ですね。多分、理解するのは簡単だけど作るのはめちゃくちゃ難しい美だと思うんですよ。何というか、京都では受け止められやすい表現の方向だと思ういます。
七井 
何にせよ、まだまだ余白よりも伸びしろのある劇団なので、先の話でしかないんですが。

タグ: 揺らぎ、余白 情報量の多い作品づくり 静かな演劇と「出会う」 舞台にいる瞬間 今後の攻め方

瓶入りサイダーのアソート

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今日はお話を伺えたお礼に、プレゼントがございます。どうぞ。
七井 
ありがとうございます。あ、でかい(笑う。開ける)おおっ。
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サイダーです。5本あります。
七井 
へー。かわいいなあ。ありがとうございます。

タグ: プレゼント(食品・飲料系)

(インタビュー終了)