真っ直ぐな事をするのって実は難しい

__ 
ステージタイガーの作品で、白井さんは結構、まっすぐな人という役所が多いと思うんですが・・・
白井 
そうですね。実は、劇団の作品自体がまっすぐなんですよね。
__ 
そうですよね。虎本さんの書かれる脚本がそうだし、ストレートプレイでの表現も非常に素直に要点を押さえている印象があって。
白井 
良くも悪くもですけど、すごく分かりやすいんだと思います。ただ、真っ直ぐな事をするのって実は難しいんですよね。こねくり回すよりも難しいかもしれない。演出もそんなに難しい指示はなく、「そこはもっと強く」だとかプロレスみたいな演出なんですけど、とにかく出し惜しみをするなという事はよく言われています。
__ 
なるほど。
白井 
稽古場で若い子達が良く言われてるんですけど、「お前らが力を抜いている芝居なんて見たい奴はおらへんぞ」と。

タグ: 私の劇団について 劇団力


あの時のいい顔に見つけたもの

__ 
白井さんがお芝居を始めたのはどんな経緯があったんでしょうか。
白井 
小学生の時に、深夜TVで芝居を見たんですよ。光GENJIの内お二人がでている真田十勇士のお芝居で、最後のカーテンコールで、脇役のおっさんがめちゃくちゃいい顔で挨拶してたんです。汗だくで。芝居はもちろん面白かったんですが、その顔が、めちゃくちゃいいなと思って。そっち側に行きたいなと思ったんです。
__ 
その俳優の表情が、印象的だった。
白井 
あの嬉しさは何だろう。すごく汗だくできらきらしていたんです。でもそこからすぐに演劇を始めるという訳ではなかったんです。中学校の頃にお笑いブームだったので、文化祭でそういうのをやって、笑ってくれるのって嬉しいなと思って。高校の頃に、ゆとり学習の枠で、金曜日に一限だけ演劇の枠があって文化祭で上演しました。大学に入ってから、演劇ぶっくとかで公演の近い劇団に入団しました。
__ 
恐れ入りますが、劇団名を伺えますでしょうか?
白井 
「暇だけどステキ」です。その8回目ぐらいの公演の時、僕が身体障害者の役を頂いたんですね。その時にスタッフで来ていた現在のステージタイガーの代表のhigeさんが見て下さった上に、団員の方にもオススメして下さったそうで。その、僕の役が本物に見えたと仰って頂いて。凄く嬉しかったですね。それから、お誘い頂いて出演させて頂くようになりました。

タグ: 役者の汗を見せる 自分を変えた、あの舞台 文化祭前夜 カーテンコール 初期衝動


バトンタッチ

__ 
次回公演「MATCH」。意気込みを教えてください。
白井 
僕が貰っている役というのが前半メインで、後半では段々と出番は減っていくんですが、通して見ると、後半に向けてどんどん盛り上がっていく感じ。急加速してラストに向かっていくんですね。でも、僕に関して言うなら、出ていないシーンでも存在感が出せればいいなと思います。
__ 
その場にいないときにでも?
白井 
僕の役が思い返されるように、バトンタッチが出来たら。そう思った時に、次の人への影響が良かれ悪かれ印象付けられたらいいかなと。
__ 
印象を刻む、という事ですね。
白井 
この人がいたから、この人のいるシーンが生まれて、この人の台詞に繋がっているみたいな。
__ 
そこをしっかり押さえるんですね。最近ちょっと思うんですが、役者の自分の演技に対する理解って、観客の共感とどう関係しているんだろうという疑問があるんです。もちろんお客さんはそれぞれ別の価値観を持っているので共感は別々にするでしょう。でも、役個人が語る批評について、役者個人が理解していなければ、観客の価値観に訴える事出来ないはずで、それが役作りであり役作りにおける「理解」なんだろうなと思うんです。
白井 
今のお話を聞いていて、確かにその通りだなと思う部分はあるんですが、でも「伝わってるな」と感じながらやっている訳ではないんですね。僕も、「お芝居をしてしまう」というところで良く怒られてしまうんです。
__ 
「お芝居をしているわね」と言われてしまうんですね。
白井 
嘘をついてはいけないんです。役のその気持ちは、ホンマにそう思ってやっているのか?「そのつもり」でやったらそれは嘘になる。それがすごく難しくて。だから僕らのお芝居は本当に走って本当に疲れるんですね。そのリアルさには嘘がないので。
__ 
その通りですね。
白井 
僕はテクニカルな役者ではないので、でも嘘は付かない、大きな声を出す、目をまっすぐ見る、そういう事には気を付けるようにしています。まだまだですけど。

タグ: 役作り=理解の深さの効用 優しい嘘 嘘のない


楽屋へ這って帰る

__ 
逆に、役者が自分の演技を理解しようと思ったら手抜きは出来ないはずで、だからその時の積み重ねとか検証が、一つの演技を支えているに違いないんですよ。で、観客は実は役者の演技を見る時、そのスープが何で出来ているかを味覚とか直感でかなり正確に理解出来てしまうんですよね。評判の良い舞台でもそこが出来ていなければ、やっぱり面白くないと感じてしまうんですよね。
白井 
それはありますよね。ストーリーが凝っていても、何か。
__ 
まあ、もちろん役者から入っていかないお客さんもいるんですけどね。
白井 
僕らで言うたら、役者の一人間としてのエネルギーこそが売りだと思っているんです。だから、手抜きなんて出来ないですね。終演後に役者が立てないぐらい疲労して、バタバタと倒れて、ぐったりしている。それぐらいのエネルギーを出さないと。
__ 
そんな、エネルギーに由来した演劇。
白井 
ジャブは撃つんですけど、最後は必ず大振りのストレートなんです。そういうイメージかなあ。殴る方もクタクタになる。
__ 
そういう舞台で、お客さんに何を持って帰ってもらいたいですか?
白井 
「何か」はお客さんが作ってもらいたいです。その何かの元になるものを与える事が出来たらいいなと。駅までの距離をちょっと早歩きで帰れるぐらいのエネルギーでもいいですし、家で腹筋するとか、楽器の練習するでもいいいですし。何かのワンプッシュというか、起爆剤になれたら嬉しいです。
__ 
わかりました。起爆剤!いい言葉ですね。

タグ: エネルギーを持つ戯曲


僕を変えた舞台

__ 
白井さんにとって、これまでで一番自分を変えたと思われる舞台は何ですか?
白井 
今お話した中では、ステージタイガーに入ったきっかけになった、「お元気ですか 岡本先生」という作品ですね。その時の知的障害者の役が、本物を舞台に上げているんじゃないかと思うぐらいの出来だったと言われましたね。
__ 
すばらしい。
白井 
特攻舞台Baku-団の時の「半端Rock'n27roll」という作品もそうでしたね。27歳という、煮えきらない年齢のフリーター達がバンドを組む話ですね。そこでも知的障害者の役で、最終的には谷屋さんにバットでボコボコにされるという、体を張った作品でしたね。僕の関わる芝居、そういう役が多い気がしますね。

タグ: 入団の経緯 半端Rock'n27roll


質問 たみおさんから 白井 宏幸さんへ

__ 
前回インタビューさせていただいた、ユリイカ百貨店のたみおさんから質問です。「今日の晩ご飯は何にしようと思っていますか?」
白井 
麻婆豆腐が大好きなんですよ。おいしいし、ヘルシーだから。でも、今日、昼ご飯に食べてしまったんですよね。納豆は食べると思います。好きなので。

旅に行く

__ 
今一番、興味のある事は何ですか?
白井 
もし出来るのであれば、旅行がしたいですね。国内・国外問わず、いろんなところに行きたいです。自転車に乗るのが好きなので、たとえばツール・ド・フランス(のコース巡り)に挑戦してみたいです。他にもやりたい事はありますね。ボルダリングとか、泳ぐのもいいですし。体を動かすのが好きなんですよ。

タグ: 多方向に興味あり


ご期待ください、一人芝居

__ 
さて、independentの一人芝居フェスですね。脚本が、k.r.arryさん。どんなお話になるのでしょうか。
白井 
これがひどい話でして。35歳で童貞の白井宏幸という男がおりまして、その人がストーカーをしていると。とにかくその女の子に声を掛けられず、ある日、その子をドラキュラが狙っている事が判明するんですね。その子が処女だから。それは何とかして守らないといけないので、その子を処女じゃなくする為に色々説得するという話です。
__ 
最低ですね。
白井 
ですよね(笑う)。でも、勇気を振り絞って説得するんです。
__ 
そこが葛藤なんですね。しかしひどいな・・・女性の事を何も考えてない。すばらしく最低の脚本ですが、それを書かれたのが、劇団エリザベスのk.r.arryさんですね。
白井 
劇団エリザベスは本当にファンタジックで可愛くてステキなお話をするんです。僕の一人芝居を、劇団エリザベスの会議で話したら「エリザベスでは絶対にしないでくださいね」といういわれたそうです。
__ 
見てくれたお客さんに何を手渡したいですか?と質問しようと思いましたが、聞くだけ無駄かもしれませんね。
白井 
いえ、そこは谷屋さんの演出の力がありまして。言っている事はまず間違えているんですけど、なぜか感動する人間力を出してくれ、と。バカだけど真っ直ぐに、彼女を助けたいんです。その子を。僕は本当にドラキュラを見たし、ストーキングはしてましたけど、思いは強いんです。
__ 
トライアルを経て、手応えはいかがですか。
白井 
そうなんですよ、ありがたい事に、予選を一位で通りました。でも本当に、こんなのが通っていいんだろうか・・・ありがたいんですが、最低なのは自覚しているんです。だからこそ、11月末の公演では全力で望みたいと思います。

タグ: 俳優自体の人間力 一人芝居 下ネタを考える


会話劇に興味あり

__ 
いつか、どんな演技が出来るようになりたいですか?
白井 
そうですね、今こうしているような会話を見せる芝居がしてみたいです。このテーブルを囲んでいるだけの関係性だけで見せられるような。
__ 
素晴らしい。会話劇。
白井 
会話劇といっても、面白くない会話劇というのはやっぱりあるんですよね。「これが面白い会話劇だろう」と思って作られた芝居が、本質を掴んでなくて面白くなかった、という事はあるので。それはエンタメでも同じなんですけど。
__ 
そういう、集中した空間ですね。

タグ: 役者全員の集中が一致 いつか、こんな演技が出来たら 会話劇研究 関係性が作品に結実する


「何でもやります」の姿勢

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか。
白井 
もう一回、「何でもやります」という気持ちに立ち返りたいですね。二十歳くらいの頃は本当にそういう気持ちでやってるんですけど。もちろん選ばなきゃいけないし、色んな事情はあるんですけど。でも「何でもやります」の姿勢で、少しでも魅力を感じたお話には、迷ってお断りするのではなく引き受けたいな、と。自分からもっと、オーディションとかも受けたりしたいなと思います。身体が動くうちは。
__ 
そうですね、体が動くうちは。
白井 
自分には飽きないようにしたいと思います。僕はこんなもんだから、みたいに捨てたりはやめようと思います。歌は苦手だからとか踊れませんとかじゃなくて。それはやってきていないだけなので。可能性が眠っているだけなので、最初から否定はしないようにしようと思います。
__ 
自分を限らないようにしたいと。
白井 
そうですね。言うてもまだまだ勉強不足なので、もっと吸収していきたいなと思います。

タグ: 色んなものを吸収 オーディション 迷っています 二十歳のわたし


レジャー椅子

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。どうぞ。
白井 
ありがとうございます。いま見てみてもいいですか?
__ 
もちろんです。
白井 
イスですね。
__ 
はい。稽古場とかで使っていただければ。
白井 
これ、いいですね。色使いが可愛いですね。

タグ: プレゼント(ツール系)


ユリイカ百貨店+サギノモリラボ「TWO」

___ 
今日はどうぞ、宜しくお願い致します。たみおさんは最近、どんな感じでしょうか。
たみお 
最近は、「TWO」の稽古と、リーディングと、子供向けWSのあれこれと。子育てをしています。迷惑を掛け通しです。
___ 
私、この一年以内に取材した女性の5人ぐらいが結婚された方だったんですけど、演劇活動と結婚が両立していないみたいなお悩みをみなさん持っていたようでした。自信がないのですか?
たみお 
母親とはこうあるべきだという思い込みとかけ離れているんですよね。好きな人と結婚したのは幸せだけれど、これからあれやこれやをしていこうと思っていたのに、そのあれやこれやを向こうにしてもらってばっかりだなあ、と。
___ 
大好きな方と結婚出来たのは素敵な事じゃないですか。
たみお 
それもちろん。理想はもっときちんとして、もっと料理もして。しかも今は土日を創作の時間に充てさせてもらっています。もちろん家族の時間も持ってはいるんですけど。
___ 
旦那さんのご協力のもと、製作されているんですね。つまり、それはもう失敗出来ませんね。
たみお 
そうですよ。本当に。
ユリイカ百貨店
ユリイカ百貨店は 2001年より、脚本・演出を担当するたみおを中心とするプロデュース集団として活動を展開。幼い頃の「空想」と大人になってからの「遊び心」を大切に、ノスタルジックな空気の中に、ほんの少しの「不思議」を加えたユリイカ百貨店ならではの舞台作品を作り続けている。(公式サイトより)
ユリイカ百貨店+サギノモリラボ「TWO」
公演時期:2014/10/18~19。会場:元・立誠小学校。

タグ: 結婚について 母になる エネルギーを持つ戯曲 自信がない


共作がはじまる

___ 
この作品・・・『ツー』?と読むんですか?
たみお 
ちょっと言いにくいので「ティーダブルオー」と呼んでいます。
___ 
ありがとうございます。いいチラシですよね。ビジュアル的に素晴らしいです。ここ3年ぐらいで見た中で一番、美しいと感じるチラシでした。
たみお 
あ、本当に?ありがとうございます!この遊園地の写真、全部切り抜いているんですよ。手伝ってもらったりして。
___ 
元は写真なのに、欄干の一本一本まで・・・凄いですね。さて、どんな作品になりそうでしょうか。
たみお 
照明デザイナーの魚森さんと、インターフェイスデザイナーの片山さんのお二人がお作りなったサギノモリラボというデザインユニットと一緒にやらせてもらうんですけど、面白い事を考えていらして。例えば、お客さん参加型のインタラクティブアートが演出として作品に組み込まれるという。
___ 
面白そうですね!
たみお 
それから、作品自体が移動し易いように作ろうと、
___ 
移動できる作品とは?
たみお 
海外にも持っていける。劇場を選ばずに出来る作品です。私の方は、暗転をしたいという気持ちがずっと強くて。この一年ぐらいはリーディング公演を主にしていたんですけど、会場の都合から暗転が難しくて。それを魚森さんにお話した時に、「一緒にしてみない」というお話を頂いたんです。暗転出来る、これはありがたいぞと思って。
___ 
面白い関係性ですね。
たみお 
ありがたかったです。

タグ: 海外に 関係性が作品に結実する


豆電球のささやき

たみお 
それから、KYOTO EXPERIMENTに出すので、日本語でも英語でも通じるもの。
___ 
それはめちゃくちゃお題が多いですね。移動できて、大人も子供も楽しめて、言語的にも問題ない。まさに、サギノモリラボとの共作ですね。
たみお 
題材としては、3.11の震災が大きいです。当時、気の向くままにトークショー等で色んなジャンルのアーティストさんがどんな事を考えているかを探っていくと、3.11の事を少しづつ消化しよう、癒やそうとしているような気がしたんですね。もちろん、構造的な事は解決出来ないし、そう簡単な事ではないんですけど。でも各々、少しづつアートで形にして、光をあてよう、癒やそうとしているんじゃないか。そう思ったんです。
___ 
最初にオフレコでお話していただいた、ある仕掛け・・・とても象徴的ですよね。
たみお 
ユリイカ百貨店でずっとテーマにあった事も、引き続いているんです。大切な人を亡くした誰かに、「今は目に見えないけれど、いつか立ち直れるようになっている、より良く生きる事が出来るようになっているんだよ」というメッセージ。有り難い事に、子供が出来てからもそれはすれ違わなかったんですね。自分の世界観が、子育てとケンカしなかった。むしろ、子どもたちにもっとそれと出会って欲しいなと。それは今回の事と重なって、ユリイカでやっていた事をそのまま作品にしてもいいんだなあと。
___ 
お子さん向けの公演でもあるという事ですね。
たみお 
小学生まで無料なんですね。子供達にも見て欲しいと思います。おとなにも、子供越しの風景を見て欲しいですね。童心に触れるというか。難しい事を扱うのもいいですけど、芝居はそういう迷宮の部分があってこそなので。でも、それは私には向いていなくて、私が作れる、ビジュアルとアイデアが少し変わっているというのが出来ればいいかなと思っています。今回の上演時間は45分と短いんですけど、やっていければと思います。

タグ: 子供が見て喜んで、且つ同時に批評家が唸ってしまう 震災 書いてみたいと思った


ドラマチックは終わらない

___ 
ユリイカを休止されている間、結婚して出産して、子育てもして。その間、お芝居はされていなかった?
たみお 
全然していなかったです。
___ 
必要ではなかった?
たみお 
もうやらないだろうなと。すごく申し訳ないんですが、過去の頂いたアンケートも「ありがとうございます」と手を合わせて焼却しました。
___ 
あ、お焚き上げしたんですね。
たみお 
色々溜め込んでいた衣裳とか脚本とかも。データで残せるもの以外はほとんど処分したんです。これからどうやって生きていこうかなあ、と。それぐらいに、いろいろご縁を頂いて、友人夫婦二人のための本を作らせてもらう事になったんです。二人のこれまでの人生と、出会いを一つの物語にまとめたものです。ちゃんと製本して、永遠に残るようにしようと思っています。
___ 
素晴らしい。
たみお 
その人の人生が、実はすごくドラマチックだということ。すぐ隣に生きている人の存在がすごくドラマチックなんだなと気付くきっかけになりました。それはもちろん、ユリイカでもずっとやってきた事ではあるんですけど。ずっと何かを作りたいというのはあったんです。
___ 
休止している間に、出会うべきものには出会っていたんですね。
たみお 
作家として必要な孤独は埋められていたんです。

タグ: 退団したら・・・ 結婚したら・・・ 孤独と演劇


母性が爆発

___ 
作家に必要な孤独を、家族の存在によって埋められた。それは、たみおさんにとっては喜ばしい事?悲しむべき事?
たみお 
ユリイカ百貨店は、2001年からずっとやってきて。必ずハッピーエンドにするという事で作品を作ってきています。いい景色が見たいという願いは最初から変わらないですね。舞台美術がキレイという事は、見ている景色がキレイという事だから。私が見たかったんです、その景色を。
___ 
なるほど。
たみお 
何かが欠落していたんでしょうね。
___ 
欠落があったから、風景を見たかった。
たみお 
それはあるかもしれない。ずっと何かが孤独で、現実って辛い事が多いな、って思ってたんです。せめて劇場に夢を求めていたんですが、年を経て好きな人と結婚して、子供が出来て、その子供が育っていく過程で、想像していなかったぐらいの母性の爆発があったんですよ。
___ 
母性の爆発。
たみお 
そうなんです、母性の爆発。産まなければ爆発しなかったと思うんですけど。子供が笑うともう、それでいいかと思ってしまう。凄く幸せな反面、ずっとモノ作りをしていた自分との葛藤があって。何か作りたいという思いと母性とで。実は3年間、それほど穏やかな毎日でもなくて、子供が寝た後に家出したり・・・
___ 
そうなんですか。
たみお 
そんなに穏やかに子育てしてた訳でもなくて、葛藤してたんです。

タグ: 母になる 子供についてのイシュー ハッピーエンドについての考え方 家出についてのイシュー 会場を使いこなす


ママのなまえ

たみお 
自分の時間がコントロール出来ないし、思考回路を全部子供に取られる。でも、可愛いという気持ちが抑えられなくて、これが多分愛なんだろうなと思うんです。何かを作りたいという葛藤は残っていました。でも、ひとりになれない。
___ 
今は折り合いが付いている?
たみお 
今はそうですね。旦那さんには申し訳ないと思いながらも。長女には、「今のママの方が断然いい」と言われるんです。
___ 
ご長女はおいくつになったんですか。
たみお 
四歳です。
___ 
小さいのにそんな分別が!
たみお 
うちの子は凄いんですよ。ってどの親も言うんでしょうけど。「今のママの方がいいよ。でも『たみお』じゃないよね、たみおって変な名前はやめた方がいいと思う」ってすごい真剣に言われました。
___ 
今回は・・・?
たみお 
(笑う)名前を変えようと思ったんですけど、一応たみおにしていました。この間のリーディング公演の時も、私が「たみお」と呼ばれる度に「違う!」って凄い言われました。

タグ: 母になる 舞台に立つまでの葛藤


質問 真壁 愛さんから たみおさんへ

___ 
前回インタビューさせていただいた方から質問を頂いてきております。この春に解散しましたミジンコターボという劇団。その女優であった一人、真壁愛さんから質問です。「いま、何に興味がありますか?今後、何か新しく始めたい事はありますか?」
たみお 
海外のフェスティバルに出たい。なんか行きたい。新しい事なのかな。
___ 
新しい事だと思いますよ。この真壁さんは一日三時間ぐらいしか寝れないぐらい元気を持て余しているような人で、大阪から東京に自分の夢の為に行ったんですよ。今しか出来ないから。
たみお 
色んな方とお話していて、ある方が「人生は短いんだから、狙うなら大きいところを狙った方が良い」と。カッコいいですよね。親になったらそんな事出来ないと思ってたんですが、そういうアプローチもあるんだなあ、と。

・・・出会えて良かった

___ 
この作品を一番見てもらいたいお客さんはいますか?
たみお 
見てもらいたいお客さん、は、既にご予約を頂いております。客層という事なら、若い方に見ていただいて「こういうのもあるんだな」と思ってもらいたいし、お芝居が初めての方にも、めっちゃ見ている方にも、子供にもおじいちゃんおばあちゃんにも見てもらいたいし。そうですね、劇場をシェアする方の層が、バラバラであってほしいです。色んな反応がごちゃまぜになってくれたらいいなあ。
___ 
素晴らしい。共通して、どう思ってもらいたい?
たみお 
お話の作りはシンプルにしています。役者さんの面白い部分を出せたらと思っていますね。何か、こんなの出てきたぞ!って、単純に出し物を楽しがってもらいたいです。そこしかないかな。
___ 
サギノモリラボの仕掛けが楽しみですね。
たみお 
こうなってほしいというのはあるんですけど、お客さんの反応は全然予想出来ないですね。
___ 
端的に、お客さんに何を手渡したいですか?
たみお 
どうして「TWO」かと言うと・・・「一人では何も出来ない」、という。誰かと出会う事で、何かが出来上がっていくんですよね。既に出会っている人たちを改めて想って、出会えていたんだなという実感を手渡したいんだと思います。でも、そもそも自分という存在が、誰かと誰かが出会った末に出来上がっているんで・・・出会えて良かった、という。

タグ: 一人では何も出来ない 「初めて芝居を見たお客さん」


見守る星を指さして

たみお 
子供を産んでからブログを停止してしまっていて。ある日突然、「待っています」というコメントを頂いたんです。その方と最近お会いする事が出来たんです。
___ 
ええ。
たみお 
この人が私の事を待っていたんだなあ、私の作品を見て下さってたんだなあ、という実感があって。私のひとつの支えになっているんですよ。遠くの方に見える星みたいなもので、そういう風に思ってくれる人がどこかにいるんだなと。生きる上でありがたかったんです。
___ 
時折にしか見えないけど、そこには確実にある星。
たみお 
誰かのふとした言葉で救われるものなんですよね。ちなみにメッセージをくれてたのは浮遊許可証の坂本見花さんでした。嬉しかったです。ほかにも色んな方に救われてます。

タグ: 浮遊許可証