風が吹いている

__ 
最近の、芝居を作る上での気づきがあれば教えてください。
作道 
舞台の上手と下手で、どれだけのバランスでコトを起こすといい流れが起こるか、という事の重大さに気づきました。やはり風みたいなものが下手から上手に吹いていて、それを舞台上でどうかき乱すのかを考えるのが脚本家の仕事なんじゃないかと思うぐらい。あとは役者さんが、稽古場でその起こし方を獲得すると、とりあえず面白いものが出来るという重大さ、ですね。
__ 
ありがとうございます。いつか、こんな作品が作りたいというのはありますか。
作道 
昔の映画なんですけど、「素晴らしき哉、人生!」という映画がありまして。僕はあれが泣いてしまうぐらい好きなんですけど、舞台を現代に置き換えてやってしまうと凄く嘘っぽいんですよ、きっと。さんざんやり尽くされている手法ばかりになってしまうんです。だから何らかの方法を考案して、誰にも気づかれないぐらい現代版として洗練された「素晴らしき哉、人生!」をやるのが夢ですね。

タグ: いつか、こんな作品を作りたい 作家の手つき


質問 是常 祐美さんから 作道 雄さんへ

__ 
前回インタビューさせていただいた、大阪の演劇ユニット、シバイシマイの是常さんからです。「舞台とドラマ、どちらが好きですか?その理由は?」
作道 
好きなのはドラマです。でも、傑作だなと思える作品に出会えるのは舞台です。ホントに面白い作品を見た時の高揚感が強いですよね、舞台は。
__ 
ありがとうございます。ちなみに、それぞれ好きな作品は。
作道 
ドラマで言うと、三谷幸喜さんの「合い言葉は勇気」、宮藤官九郎さんの「タイガー&ドラゴン」は好きですね。舞台だと、三谷幸喜さんの「コンフィダント・絆」、ヨーロッパ企画さんの「あんなに優しかったゴーレム」、これはもう確実に見ますね。元気が無くなったらDVDを再生しています。

タグ: 三谷幸喜 TVドラマの話題


苦しみ過ぎないとか、悩み倒すとか

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか。
作道 
大きな目標で言うと、唯一無二の誰も通った事のない道を進んで、「これで良かったよね」と人にも言われるし自分でも言えるように。歩みを止めずに全速力で進もうと思っています。
__ 
その為には何が必要ですか?
作道 
苦しみ過ぎないですとか、悩み倒すとか、周りの仲間を信じるとか、自分を信じるとか。難しいですけど。
__ 
徳と愛嬌があれば、きっと大丈夫です。

タグ: 今後の攻め方


作家としての作道さんが

作道 
僕は、誰かとだらだら喋っているとすごく気分が癒されているように感じるんですね。それは脳が喜んでいるからだと思うんです。にも関わらず、そういう会話を見るのは苦痛なんですよ。矛盾しているんですけど。
__ 
おお。
作道 
基本的にすっきりとした作りの作品の方が好きで、人が悩んでいる姿を長い間見ていると、もっと端的に見せてくれればいいのにとか思ってしまうんですね。自分がそうであるがゆえに見たくないのかも。それが、僕の作家としての今の悩みですね。自分が作りたいものと見たいものの間にズレがあるんです。登場人物をどれだけ悩ませたり苦境に立たせたら嘘じゃなく感情移入出来るのか。
__ 
抑制させるというところなのかな。
作道 
そのいい塩梅を見極めて、見てても書いていても、共感しやすい登場人物を作り出す、というのが書き手としての課題だと思います。

タグ: わたしとわたしの矛盾 作家としての課題


「何だか自分はこの人に似ている」

__ 
話はちょっと変わるのですが、作道さんの見たいもの、作りたいものとは何ですか?
作道 
さっきの「くりかえしへこむ」の話にも通じるんですけど。「疲れているときに見ると癒される」というのはつまり、自分を肯定してくれる、という事だと思うんですよね。自分の孤独であるとか、傷ついている部分であるとか。
__ 
ええ。
作道 
たとえば、僕は性格的に、みんなでワイワイするのが好きなのに、それが出来ない部分があって。だからそういう描写のある作品が好きなんですよ。人はたくさんいるのに、それぞれが距離を持っている、みたいな。ちょっとだけ俯瞰で見て自分の居場所を探り合っているような。そういうのを描いた作品が好きなんです。それが、僕みたいな性格の人の肯定につながるのかもしれない。自分が作るものも、何だか自分はこの人に似ている、って思えるような人がたくさん登場するようなものになりつつあるのかな。
__ 
舞台の上の誰かに、重ね合わせる事が出来るような作品を作りたい。
作道 
そういう事ですね。昔は、ミステリーとかサスペンスとか、お話の波で満足出来たんですけど、ある時から日常に疲れてしまったんでしょうか、モノを見る時にどうしても自分と同じ部分を見つけだそうとしてしまっているような。
__ 
その、人間関係空間の中でのフィッティングに困っている人を見ると癒される。内面のあり方を重ね合わせるような。
作道 
だからと言って、明確なメッセージがある作品は見ていてこれまた疲れてしまうんです。
__ 
悩んでいる自分を、俯瞰して見ている自分を静かに肯定してくれる、そんな作品。
作道 
そうですね。例えば笑うにしても、嬉しくてまたは驚いて、とかで人は笑うと思うんですよ。でもそれって、「こういう奴いるよな」とか「こういう状況あるよな」とかを単純なレベルで肯定されているのが心地良いと思うんです。そういう「肯定」が出来たらいいな、と思います。自分が生きている状況というのは自分だけが抱えているものでは決してなくて、普遍的な部分があると気づいたり、同じ苦しみを抱えている人がいる事に気付けたり。そういう事を思えるだけで、大丈夫な気分になれるんじゃないかと思うんです。そういう作品を発表し続けて、誰かがほっと出来るような、活力になれるような作品を作れたらいいなと思います。

タグ: わたしの得意分野 孤独と演劇


目標

__ 
メイン業務と今後の活動についてはいかがでしょうか。メインはTVドラマの制作なんですよね。
作道 
そうですね、TVドラマの制作は今後も行わせていただきます。僕らはいま、自分達で劇団だとは名乗っていなくて。ただ、自分達でTVドラマを作っている若手集団、というのはなかなか無い面白味だと思うので。
__ 
そうですね。
作道 
今、ほぼ制約のない形でドラマを制作出来ているんです。作りたいものが作れているなという実感はあります。もしちゃんとそこに面白味があるならば、もっと多くの人に知ってもらって、僕らの年齢が上がっていくと同時に面白さが大きくなっていけたらと思います。
__ 
ドラマ「ショート・ショウ」の第一話を拝見しました。面白かったです。太田さんがいいですね。吉岡さんも可愛かったし、悪い芝居の植田さんは分からなかった。
作道 
色々なところで言われているみたいですね(笑う)。やっぱり京都の演劇人としては嬉しいですよね、知っている人がたくさんTVドラマに出ているって。僕は三谷幸喜さんを尊敬していて、ドラマに舞台の人を出すという。三谷組の京都版というと不遜ですけど、映像畑と演劇畑の垣根を越えていけたらと思います。
__ 
素晴らしい。私が拝見した第一話「サティスファクション」、大衆ウケする/しないの話がテーマではありましたがまさに象徴的ですよね。それから、月面クロワッサンにしか出来ない、何と言ったらいいのか・・・あっさりした魅力というか。それが面白くもあり、不満でもあります。
作道 
それは色んな方に色んな表現で仰って頂きました(笑う)。ドラマとしての完成度はもっと高く出来るかもしれない、でも、言いたかった事は伝わる、と。
__ 
それはもちろん。作劇も良かったし、SF的な設定も現実味があって、何だか可愛い感じがしました。今後の方向としてはいかがでしょうか。
作道 
とりあえず一話完結で作っていこうとは思っていますが、今後はある種の連続性を演出していければと思います。最後の最後に、これまでの話の伏線が回収される、みたいな。やりたい事がたくさんあるので、そんな方向になるのかもしれません。
月面クロワッサンの連続ドラマ2「ショート・ショウ」
一話完結の短編集月面クロワッサンの連続ドラマ2「ショート・ショウ」。KBS京都にて放送2012年秋、YouTubeにて4週連続配信を行った「虹をめぐる冒険」―2013年夏、KBS京都にて放送された、地上波初進出連続ドラマ「ノスタルジア」―そして2014年春、また新たなドラマが誕生します。その名も、「ショート・ショウ」―2011年旗揚げ以降、映像作品と演劇作品の両方を京都から発信し続けている月面クロワッサンが、今回手がけるのは、一話完結の短編集。全六話、コメディ、SF、オカルト、フェイクドキュメンタリー、アクションなど毎回違ったジャンルのストーリーをお届けします。そしてこれまで同様、企画・脚本・演出・撮影・編集・音楽まですべてを月面クロワッサンが担当。手作り感あふれる、世界に一つの短編ドラマ集が誕生します。(YouTubeより)

タグ: SFについて ドキュメンタリー 手作りのあたたかみ 三谷幸喜 垣根の無い世界へ 生きている実感 TVドラマの話題


法人になるということ

__ 
さて。作道さんはこの度、会社を立ち上げられたそうですね。どんな経緯があったか伺えますでしょうか。
作道 
2年ぐらい前から映像の仕事をするようになりまして。例えばKBS京都さんで30分枠のドラマを放映させていただいたりとか。少しずつですけど経済的な面で回りはじめてきていて。創作的にも経済的にも良い環境を作っていきたいと。これは、劇団の旗揚げから考え続けてきていました。
__ 
なるほど。
作道 
もっと精力的に活動していきたいと強く思った時に、一つ落ち着ける場所を作ろうと思ったんです。という事で、会社を作ろうと思いました。
__ 
ざっくりとした聞き方ですが、どんな会社にしたいですか?
作道 
すごく大きくしたいとかは全く思っていないです。僕と他のメンバーがやりたい事を単純に叶える場所でありたいです。会社の人数を増やすとか、利益を増やすとかという事ではなくて、今の構成メンバーが、例えばもっと大きい舞台に立ちたいであるとか、広く名前が知られるようなクリエイターになりたいであるとか。
__ 
自分達のやりたい事が出来るようになる場所。

タグ: 映像の現場 劇団=場所論


単純な場所でありたい

__ 
法人という肉体を得る事で出来る事もあるし、しかし一方では失った事もあるでしょうね。少なくとも、劇団という集団ではもうなくなってしまったから。でも、会社の劇団でしか出来ない味は当然あるんでしょうね。
作道 
法人化という事なら、キッチリし過ぎない方が良い事はたくさんあるんでしょうね。高校の部活動って、たいていキッチリしてないじゃないですか。仲がいいからお互いぶつけ合えている。その良さは忘れてはいけないと思っています。会社になるとキッチリしようとし過ぎてしまって、いい意味でのなれ合いが起こりにくくなってしまうのかもしれないですね。
__ 
そこはそうですね。柔軟さのために、キッチリしなさは大事にしたいですね。だから個人的に、月面クロワッサンの会社化には興味があります。
作道 
ええ、一つのケースとして、ですね。

タグ: 劇団会社化


郷愁をすこし離れて

__ 
次回公演。どんな公演にしたい、というのはありますか?
作道 
丸山の作品を本公演でするというのは初めてなんですね。出来れば、これからこういう公演は増やしていきたいなと思っています。最近はどうしても、映像をメインでやっているというイメージが強いと思うんですけど。
__ 
そうですね。
作道 
演劇は今後、丸山交通公園主体でやっていく。今回はその第一弾になります。反響が良かったらいいなあ、って期待しています。
__ 
お客さんに何を手渡せたらいいですか?
作道 
疲れている人が見たら癒される、かつ疲れていない人が見たらちょっと疲れる。そんな劇になったらいいなと思います。
__ 
今までの、作道さんが脚本をしていた月面クロワッサンの作品に通底しているノスタルジーがおそらくは無い本公演。どう思っていますか?
作道 
やっぱり丸山交通公園の持っている毒というのは、使いようによっては癒しになったり、あるいは今まで気づけなかった自分の暗い一面を示されてギョッとさせてくれたりと、二つの作用があるなと思っています。僕は一観客として、そこを面白いなと思っているので。その両方を引き出せたらいいなと思います。
__ 
毒を見て癒されるというのはよく分かる感覚です。社会には出せない何かを見ると、何故かスッとしますよね。丸山さんが月面クロワッサンの番外公演で書かれた「強く押すのをやめてください」は凄かったですね。というか、丸山さんは人間の暗い面を描くときにとても楽しそうに見えるんですよね。
作道 
実は、彼自身は毒を出す事が目的ではなくて、毒を出し切ったその先に、人間賛歌とか、逆に人間の愚かさを描こう、そんな志向があるようです。笑いはもちろん、人間性に対しての興味がすごく強く、ネガティブなだけじゃなく、毒をエッセンスにして人間性を描こうとしているんですね。僕も、毒しかないような作品は息苦しくなる気持ちはします。
__ 
なるほど。
作道 
でも彼の作品は、絶望を見せた後、どこかポジティブな観点に落ち着くので。見ていて凄く納得が行くのが、僕自身好きなところです。
月面クロワッサン 番外公演「月面クロワッサンのおもしろ演劇集」
公演時期:2014年2月、3月。会場:人間座スタジオ他。

タグ: 私の劇団について 劇団力


腹の括り方について

__ 
最近どうですか。
作道 
胃腸の調子が良くなりました。僕は元々ものすごく胃弱で、ちょっと睡眠不足だとすぐお腹を壊すんですけど。それが少なくなりました。腹を括ったからかもしれませんね。
__ 
備えた、という事なのかもしれませんね。

タグ: 調子のってた


ペーパーロック

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼に、プレゼントを持って参りました。
作道 
あ、毎回の・・・
__ 
実は今回、買ったものではないんです。自分で使おうと思って、使いこなせなかったんですが・・・
作道 
あ、これ、紙とかを挟んでおくものですよね。
__ 
はい。壁とかに貼って使うものです。自分の家で持て余していました。2200円します。買うと意外に高いです。
作道 
ありがとうございます。じゃあ、僕が有効利用を。

タグ: プレゼント(文具系)


こまち日和 wake.4 「つぐみ荘のブルース」

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。シバイシマイの是常さんにお話を伺います。最近、是常さんはどんな感じでしょうか。
是常 
先週、かのうとおっさんの東京公演が終わりまして。ようやく、9月に公演こまち日和の稽古に再合流しました。
__ 
そう、かのうとおっさんの東京公演がありましたね。いかがでしたか。
是常 
東京でも笑ってもらえて。凄いなと思いました。大阪とあまり違わないポイントで笑ってくださったんです。大阪からいらしたお客さんもいたんですけど。
__ 
なるほど!良かったですね。
是常 
かのうとおっさんは今年の五月にも東京公演をしたんですが、違いを感じる事はほぼありませんでしたね。
__ 
お疲れ様でした。
是常 
楽しかったです。大変でしたけどね。
__ 
わたしはかのうとおっさんが好きなので、向こうでも評判がいいのは嬉しいですね。人間の移りゆく気持ちとか、損得勘定とか、右往左往する小物たちの救えない感じが魅力だと思っていて。
是常 
なんかね、よう見てんなと思うんですよ。意識して、おくびにも出していない筈の、社会にはあえて見せない部分を引き出されるんですよね。なんでバレてたんだろう、恥ずかしいなと。
__ 
そうそう、誰も思いつかないような切り口で本心を描写してきますよね。「確かにそう思っている!」みたいな説得力がある。
是常 
演出としてもそれを付けられるんですよ。こういう感じでやってもらえますか、みたいな事を言われて、「それか~」みたいに思うんです。毎回、一枚ずつ服を取られているような気がしています。出る度に、まだ服を来ていたのかと思いますね。
__ 
かのうとおっさんの二人にひとこと。
是常 
同じく出演していた河口仁さんと、「これからどこに出演したいか」って話してたんです。二人とも、かのうとおっさんには出続けたいという意見で一致しました。あの二人に面白がってもらえる役者でいたいです。
シバイシマイ
2007年10月旗揚げ。以降2013年までで本公演数5回という、超・マイペース劇団。(amebloより)
こまち日和
場所空間にこだわって、生演奏でお届け。わくわくすることを詰め込んだプロジェクト。(こりっちより)
こまち日和 wake.4 「つぐみ荘のブルース」
公演時期:2014/9/19~23。会場:Night Market。
かのうとおっさん
'99年、嘉納みなこと有北雅彦により結成。独特の台詞回し、印象に残るビジュアル、笑いをベースに人の生き様を鋭く描く作風は小学生から60代まで広く支持される。'12年「関西ふたり芝居セレクション」優勝。(公式BLOGより)

タグ: 恥ずかしいコト 「かのうとおっさん」という特異点 生演奏のある作品


つぐみ荘の日々

__ 
さて、是常さんが次に出演されるこまち日和wake.4「つぐみ荘のブルース」宮川サキさんが初めて、一人芝居以外の作品を作られるという事で。とても楽しみです。
是常 
今回、同じシーンでもキャストが入れ替わるんですよ。固定のシーンもあるんですけど、回ごとに同じシーンでもキャストが違うんですね。
__ 
へえ!
是常 
台本もその分だけあって、本当に毎公演、違うんです。同じシーンを、人がやっているのを見るんですよ。ベースの台本は変わらないのに、全然違うシーンに見えるんですよ。
__ 
それはキャストシャッフルとは違うんですね。その特定のシーンに出てくる人物が違う。
是常 
そうなんです。しかも、サキさんは役者に「そのシェアハウスに住んでいる人の人柄が見たい」と言ってて。だから役作りをしないで欲しいと。ウソをつかないで、そのままでいいからもっと魅力的に、って。私そのものが立ってはいるけれど、私自身じゃなくて。
__ 
その役としてリアルであり、でも、役作りという役者の作業はしないでおく?
是常 
台詞で言っても、この作品では浮くと仰ってて。例えば「あ、そうなんや」という相づちの台詞があるとして、それが「人物その人が本当にそう思って言葉に出した相づち」または「その人がほとんど無意識で口をついて出た言葉」でなければ浮く、と思ってて欲しい、と。そうなると、やってて分かるんですよ。あそこにいると、その人そのものじゃないけれど、こういう人なんだ、こういう癖をもつ人なんだ、というのが分かってしまうんです。凄く変な感じです。自分を少しだけ逸脱しているかのような。役者としては、これは初めての体験かもしれない。
__ 
人柄が見えるようにする、という事なのかな。自然な演技ってありますよね。サキさんが作品から除けておきたい「役作り」は、悪い言い方をすると、きっとお客さんの想像の余地を奪ってしまうものなのかもしれない。現時点で、どういう面白さになると思いますか?
是常 
説明が難しいんですけど、見てて笑っちゃうんです。何回見ても、違うところで笑ってしまう。その人が生活としてやっている事が、外から見ていて何か笑っちゃう。「な・・・何やってるんだろうこの人?」、みたいな。その人そのものを見て、最終的に、その人面白いな、喋ってみたいなと思ってもらえたら。

タグ: 会話劇研究 舞台にいる瞬間 役作り=放棄する事から始まる


芝居と結婚

__ 
是常さんがお芝居を始めたのは、どんな経緯があったのでしょうか。
是常 
演劇を始めたのは高校からなんですけど、中学の頃に宝塚にハマってたんです。中学の時にTVで天海祐希さんを見て、ハッとなりまして。いとこも偶然宝塚が好きだったので、天海さんが出演されている作品のビデオを借りて、何回も見返しました。でも、思い返してみたら元から芝居には興味があったみたいで。小一の頃に、親子旅行で宝塚ファミリーランドに行ったんですが、雨が降ってきて。遊園地の代わりに入った宝塚の舞台を食い入るように見ていたそうです。
__ 
なぜ、舞台に引かれていたんでしょうね?
是常 
変身願望が強かったのはあるかもしれません。これは関係あるかどうか分からないんですが、上に二人姉がいるんですが両親は男の子が欲しかったそうで、産み分けのためのサプリメントを飲んでいたそうなんです。
__ 
えっ、そんな事が出来るんですか。
是常 
当時信じられていたんでしょうね。子供心に「男の子に変わらないと」という刷り込みがもしかしたらあったのかもしれない。昔は妄想癖がすごくて、本とかを大量に読んでいて。宝塚は身長が足りないので諦めて、憧れの天海祐希さんが高校時代演劇部だったこともあって、演劇部に入りました。
__ 
なるほど。失礼しました。そこから、大学でも演劇部に?
是常 
いえ、実はそこを区切りにして芝居をやめようとしていたんです。男役も出来ないし、演劇が好きかどうかというと、その演劇部が好きだっただけなんだろうと思って。大学では合気道部に入ってたんですけど、一年後のある夜、寝てたらいきなり「芝居がしたい!」と突然思ったんです。自分でもびっくりしました。私、芝居が好きだったんだ。
__ 
おお、ある種の回路が結びついたんですかね。
是常 
結局二回生から演劇部に入ったんです。卒業後もいくつか出演したり舞台も見ていたんですけど、ある公演がすごくしんどい事があったんです。そこでまた「芝居はもういいかな」と。
__ 
そこでも区切りを迎えようとしていた。
是常 
こんなんやってられへんという状態になって。でも、同じ出演者の方に誘っていただいた舞台を経験して、それからまた出演し続けているんです。
__ 
それはつまり、辞めるに辞められない状態?
是常 
うーん、何て言うのか。元々自分は外に出るのも億劫な人間で、でも芝居に関われるなら外に出れるというのがあって。芝居に出られるんなら仕事も出来るし。芝居が、自分の行動の動機付けになっていたのかもしれません。敬愛する作演出家のひとりであるGRAVITY VANISHEDの村田絵美さんに、「いい役者ってどうやったらなれるんかな」って相談した事があって。そしたら、「いい人間になるしかないんじゃない?」って。ごもっともだな、と。
__ 
確かに。
是常 
いい役者でいるために、いい人間になりたいと思ってます。ただの趣味として何かをやろうというのは私にはピンとこない。芝居をするというのが、自分の活動の動機付けになっていて・・・こんなんでええんやろうか、と自分の中ではコンプレックスなんですけどね。でも、昔ある人と話していたんですけど。芝居が大好きな人いうんは芝居を恋人にしていて、是ちゃんは、芝居と結婚したんじゃないの?って。芝居という存在にいてもらわないと困るんちゃう?って。
__ 
リビドーじゃなくて、自分の体重が乗っているって感じなのかもしれない。だから、きっと、次のこまち日和の芝居には合ってるんじゃないですか?
是常 
どうですかね、でも、その場所に、無理せずに楽にいる事を心がけてからは、だいぶ楽しくなりました。

タグ: 結婚について 「変身願望」 SeizeTheDay 妄想 自分は何で演劇を


愛嬌のナゾ

__ 
最近思っている事があるんです。「愛嬌」って凄く大事だと思うんですよ。今東京で公演してる壱劇屋や、かのうとおっさんも。
是常 
そうそう、つい客席から一歩踏み出してツッコミたくなるような。壱劇屋の大熊くんとか、あんなにすごい人なのに、すごい事をやってるのに「もう~!」ってつい言ってしまうような。
__ 
そうそう。そういう才覚って訓練出来ないですよね。
是常 
それは媚びるのではなくて。
__ 
そう、媚びるのではないんです。
是常 
向こうから媚びてくるんじゃなくて、彼らが自分達の活動をしているのが重要なんだと思うんです。
__ 
愛嬌って、どこかを境に消えていくのかもしれない。代わりに威厳が身に付いていく人もいる。でも威厳も愛嬌も備えている人もいる。こういう、人間の雰囲気って何なんだろう?
是常 
何なんでしょうね。愛嬌で言うたら、「この人は話しかけても私を否定しない」と思わせる何かなのかな。でも、これから大事になっていく部分なのかなと、ちょっと思います。
__ 
是常さんも愛嬌に溢れてると思いますよ。
是常 
(笑う)それは嬉しいです。
壱劇屋
2005年、磯島高校の演劇部全国出場メンバーで結成。2008年より大阪と京都の狭間、枚方を拠点に本格的な活動を開始。主な稽古場は淀川河川敷公園で、気候や時間帯をとわず練習する。マイムパフォーマンスを芝居に混ぜ込み、個性的な役者陣による笑いを誘う演技にド派手な照明と大音量の音響と合わせ、独自のパフォーマンス型の演劇を行う。イベントではパントマイムやコントをしたり、FMラジオにてラジオドラマ番組を製作するなど、幅広く活動している。(公式サイトより)

タグ: トレーニング出来ない素養(愛嬌、セクシー等など)


IN HER LINE

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さて、度胸と愛嬌に溢れた「IN HER THIRTIES」。10人の女性が一人の女性の30~40歳までを一年ずつ演じる作品。是常さんは32歳のコーナーを担当されていましたね。
是常 
そうですね。レトルトのQ本さんとシンメトリーでした。
__ 
全体へのツッコミ役でしたね。大変良かったです。
是常 
永津さん演じる37歳の「私」がツッコミ甲斐がありましたね。あのお話の32歳は、結婚して仕事もこれから上向きでという時期で、そりゃその時期の私は突っ込むわな、とね。聞いてへんわ!その五年後。
__ 
そうですね・・・。どんな思い出がありましたか。
是常 
あれは不思議な現場で。役者が10人いて、もう1チーム合わせると20人いて。だから一人の演出家から割いてもらえる時間はあまりなくて。どっちかと言うと、役者同士でディスカッションして作った部分が多いですね。華やかチームはいわゆる女の幸せが分かりにくい話になって、これはこれで良いよねと思わせるのがすごく難しい作業でした。自分の前の年齢の人が何を考えていて、そこを踏まえながら次の人に渡して行かなくてはいけない。それは本番入ってからも続きました。麗らかチームが本番をやっている上の階の楽屋で、「どういう気持ちで言ってます?」みたいな。38歳の永津さんの「私床上手やねん」っていう例の台詞があって、それに対するリアクションも年代によって違うんですよ。結婚して間もない31~34はドン引きしてる人が多くて、それ以降はまんざらでもなくなっていく、みたいな。
__ 
確かに、あれは段階的に分かれましたね。リアクションが。
是常 
こっち側はパートナーがいて順調な訳じゃないですか。しかし35を挟んだ向かい側の自分が年下の恋人と・・・「!!」となって。「年々上達していく」とか聞いてへんわ!どう思っていいか一瞬分からんくなるというか。35から向こうは「へえ、そうなんだ」ってまんざらでもない、というグラデーションが見えたら面白いねと言い合ってました。
__ 
それぞれの役作りと時系列が関わっていくんですよね。
是常 
役者達の個性や、自身の経験もあるし、私自身もこういう人生を歩む可能性がゼロではないんだなと。そういう無限の可能性を感じる公演でしたね。
__ 
そうですね。麗らかチームと華やかチームの人生を比較しても面白いかもしれませんね。
是常 
シバイシマイの作家が両方見てくれて。どっちも見た方が面白かったそうです。
__ 
インハーの皆さんに一言。
是常 
また何か、一緒にやりたいですね。今回のはワッとみんなで一気に集まって舞台を作って、ワッと解散したんです。今でもちょいちょい集まってるんですけどね。LINEでグループを作ったんですが、それがずっと、今でも頻繁に稼働してるんですよ。誰かの誕生日だったり、メンバーの舞台を見に行ったらその写真をアップしたり、飲みに行ってるメンバーが募集したり。
__ 
大変、正統的なLINEの使い方をされていますね。
是常 
私も東京公演の時に水野伽奈子さんの公演に行ったのでその事を書いたり。いまだにビアガーデンに行ったりしてるですよ。本当にいい座組になりましたね。みんながみんなを尊敬しあって、面白がっている感じがしました。
TOKYO PLAYERS COLLECTION「IN HER THIRTIES」
公演時期:2014/3/27~31。会場:in→dependent theatre 2nd。

タグ: 役作り=役割の分析 劇団のおわり IN HER THIRTIES


質問 高田 会計さんから 是常 祐美さんへ

__ 
前回インタビューさせていただいた、京都ロマンポップの高田会計さんから質問です。「人生の修羅場を教えてください」。
是常 
えー・・・難しいなあ。大学を辞めた時ですかね。五年いて卒業しなかったんですけど。一人暮らしで、すっごいダメだったんですよ。何でか分からないんですけどずっと眠くて。昼夜逆転してました。
__ 
引きこもってネットばかりしてた?
是常 
いや、ネットすらせず。唯一、遅刻しながらもクラブセンターに行って芝居だけはしてたと。ひどい時期がずっと続いてましたね。私、勉強嫌いやったんや、と。ショックでしたね。

タグ: 追い詰められた時期


質問 畑中 華香さんから 是常 祐美さんへ

__ 
悪い芝居の畑中さんからも質問を頂いてきております。「大阪を拠点に演劇をやっていて、良いと思った事はありますか?」
是常 
そうですね・・・。大阪と関係あるかはわからないですけど、まずはかのうとおっさんに出られた事。あとは、お客さんとコミュニケーションを取ろうと思えた事ですかね。
__ 
というと。
是常 
色んなところに出演させていただいたり自分のところでの演出を通じて分かったんですが、客席の奥まで演技が届くかどうかが凄く大事で。いい芝居をしても、舞台の縁のところまでで止まっていたらお客さんはボーっと見ているだけなんですよね。舞台上ではすごく成立しているのに、客席の奥まで届いていない。
__ 
後ろの壁まで。
是常 
どんだけいい芝居をしても、届かなければ意味がない。範囲がここまでだったら意味がないと。笑いについても、ここまで届いていないといけないんですね。
__ 
基本的だけど、それってすごく重要な事のような気がしますね。客席を含んだ芝居の成立。
是常 
舞台で成立しているのは当たり前ですけど、客席に届かないと意味がない。見れない訳じゃないですけど、魅力は半分なんだと思います。私のイメージでは、笑いだったら「こっち来いよ☆」みたいな感じで、会話劇だと「いいよ・・・?」みたいな感じ。
__ 
いつか、どんな演技が出来るようになりたいですか?
是常 
こまち日和でもそうだと思うんですけど、今まで共感性で作ってきたと思うんです。この役はこういう気持ちだろうから、その枠に自分をはめる、みたいな。でも、そんな作り方だけではいかんな、と。これは自分の人生が関わってくると思うんですが、自分自身のことが分かっていなければアカンな、自分の輪郭が分かっていなければ、これ以上のところには行けないんかなと。
__ 
なるほど。
是常 
もっと自分自身が自由であるためには、自分の足で立っていなくてはならないんですよ。私が何者で、何が好きだったりするのか。を明確にしていないと。役者としては何でも出来るようでありたいんですが。そう、自由な人に憧れています。今回の作品で言うと千田さんにそういうのを強く感じます。いい意味で自分勝手にいられているんですよ、共演者の存在とか、台詞とかに寄っかからずに、自分でまずは立っていようという感じがして。すごくいいなあ、って。私も、台詞がない、役の形がないと何も出来ませんというところからは、ちょっといい加減に出たいなと。それは嘉納さんを見てもそう思います。
__ 
これまでのスタイルから卒業したいと。
是常 
もちろん、役の型も保ちつつ、両立出来たらいいなあって思います。でも、舞台上で自由な人でいるためには、初見のお客様に「なんだかこの人、いいなあ」って思われるようでなければ成り立たないと思うので、すごく難しいなと思います。でも、できるようになりたいですね。

タグ: 演技を客席の奥まで届ける 見えないぐらい濃い交流


コレはモテ期・・・?

__ 
今後、どんな感じでせめて行かれますか。
是常 
今年11月まではいくつかお話を頂いているので。まずはそれを頑張ろうと思っています。今年は凄くたくさんお話を頂いて。凄く嬉しいんです。
__ 
それはモテ期ですね。
是常 
そうなのかな。人生でこんな時期がくるなんてびっくりしてます。反面、じっくりと演技を作ってみたいというのもありますね。一ヶ月以内に何とかする、みたいなのがずっと続いているんで。それも刺激的で楽しいんですけど。
__ 
なるほど。
是常 
今後は、もっとキャパの広い舞台にも立ってみたい。自分の芝居がどこまで届くか挑戦してみたいですね。一つ一つ積み重ねていけたらと思います。
__ 
頑張って下さい。
是常 
ありがとうございます。まだまだガツガツ芝居していきたいです。

タグ: 今年のわたし 今後の攻め方


アガベシロップ

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。つまらないものですが。
是常 
ありがとうございます(開ける)。おお、すごい。
__ 
それはですね、アガベというサボテンのシロップですね。上品な甘さらしいですよ。
是常 
炭酸とかで割ったらおいしそうですね。
__ 
かき氷のシロップにしたらおいしいそうですよ。
是常 
めっちゃ高級になりそうですね。

タグ: プレゼント(食品・飲料系)