質問 西岡未央さんから 沢 大洋さんへ

__ 
前回インタビューさせて頂いた、西岡未央さんから質問を頂いて来ております。「学生劇団が熱いと思う理由は何ですか?」
沢  
なんでしょうね。やっぱり、訳の分からないものが飛び出してくる感じ。その時の感情とかが一瞬現れて作品になる。そういう瞬間が好きですね。

タグ: 正体不明のエネルギー


世代で橋渡しが続けられるような

__ 
同時代の学生劇団というのはワクワクする存在ですからね。
沢  
僕は滋賀でしたけど、京都から離れていてもワクワクしていましたね。
__ 
そういう出会いをプロデュースしているという事だと思うんです。これに今参加した学生が、6年後の2020年、第10回の学生演劇祭に来てくれて、その時の連帯感を思い出してもらえたらいいですね。
沢  
そうですね。そこは、実は全国的な仕掛けを作れたらいいなと思っています。
__ 
というと。
沢  
学生劇団出身の、そんなOB・OGが沢山いらっしゃると。そうした方々を全国的に呼びかけて、今の学生を応援して頂ける仕組みを考えています。お客さんとして見に来て頂けるのがまず大きな一つです。さらに言えば、先輩後輩という人と人とのつながりが、文化への援助として連なっていく。金銭的な存続もその一環として視野に入れています。先輩から後輩に、寄付金という形で長い時間で存立していけるような枠組みが出来ないか。助成金にはなるべく頼らずに。もちろん毎年、この事業が必要なのかお互いに確認し合える場を用意し、世代で橋渡しが続けられるような・・・そんな形にしたいです。

個性がめまぐるしく飛び交う、そんな日

__ 
学生演劇祭を通して、ご自身が一番好きな時間はいつですか?
沢  
それはやっぱり、学生の作品を一番最初に見れる時ですね。なんじゃこりゃ、というものもありますけど、でも、お客さんより大分感動しているとは思います。
__ 
なんじゃこりゃ、という作品もありますよね。
沢  
そうですね、面白いものもつまらないものも個性があって、自分の個性を好きなようにつぎ込める。それが許される。それは京都という土地柄の大きな魅力、懐の深さかなと。雑多な感じですね。小屋入りしてからはそういう個性がめまぐるしく飛び交っていて、面白いです。
__ 
楽しみですね。どんなお客さんに見てもらいたいですか?
沢  
やっぱり、同世代の学生には見てもらいたいです。演劇に近い文化系のサークルの人と、ジャンルを越えた交流が生まれたらいいなと。お互いに刺激しあって化学変化が起きたら。
__ 
反対に、演劇祭に来ないであろう方々に一言。
沢  
演劇というジャンルの、それも学生の作品。演劇というジャンルで声を上げようとしている(社会に対してか、同世代に対してか、それとも自分自身に対してかは分からないですけど)。それが最も凝縮して集まっている企画だと思います。是非、複数団体見て頂けたらと思います。
__ 
当日の現場の空気を感じてもらいたいです。きっと、普通の演劇とは違うし、もしかしたら他のどんな演劇祭よりも濃い熱量があるかもしれない。さらに、学生演劇を始めようと思っている方に一言頂けますか。
沢  
中高校招待枠を去年から用意しています。今年も早速申し込みがあったんです。是非、利用してもらいたいです。
__ 
学生演劇を辞めた方々に一言。
沢  
そうですね。学生時代の思い出って沢山あると思うんですけど、僕の場合は一つ上の先輩がいわゆる黄金世代。今でも忘年会を開いてくれるんです。後に続いている後輩が、今も母校で演劇をやっているんですよね。演劇をですね、是非趣味の一つとして。今住んでいる土地の演劇を見ていただきたいですね。

タグ: 後輩たちへ 京都の学生演劇 土地の力 俳優を通して何かを見る


役者の価値って何なんだろう

__ 
さて、沢さんは映画にも出演されたという事で。映画『星を継ぐ者/Inherit The Stars』。予告編を拝見したんですが、延命さんがカッコ良かったですね。高瀬川すてらさんも。そして、あの吉岡里帆さんが出てますね。
沢  
とにかく、時間を掛けた作品でしたね。演劇と映画がとても魅力的な出会いをしている作品だと思います。今回を機に、映画の方に演劇人を紹介出来たというのが大きいかなと。映画の方からは演劇が畏れ多いというものがあるらしくて。演劇側にもそういう思い込みはあると思うんですけど・・・その間の出会いを、名鑑のような形で紹介出来るような仕組が作れればいいなと思います。
__ 
素晴らしい。撮影自体はどんな経験でしたか?
沢  
一年半ほど撮影期間がありまして。その間、色々ありました。喧嘩もあったし、対話もしたし。深く交流のある作品でしたね。役者の価値って何なんだろうと、そういう事も考えました。役者になりたいという思いを小学校から抱いていたけれど、その時描いた通りに行くわけではないんだな、と。
__ 
そうですね。俳優が生きるというのは、それだけで難しいかもしれない。経済的な事情はどうあれ。
沢  
一緒に演劇をやりたい仲間とも、いつまでも出来る訳じゃないんですよね。京都ロマンポップの作家であるよりふじゆきが上海で仕事してるんですけど、彼といつかもう一度演劇をしたいなとずっと思っていまして。この前の5月、上海に行ったんです。
__ 
おお!
沢  
向こうでの彼の仕事や生活を見たり、お互いの考えを話しあったり。結果、やっぱり無理なんだなと分かって。そういう分岐がある節を迎えて、色々考えますよね。どうしても理想との乖離というか。それがきっかけとなってか、俳優って全く価値が無いなと思っちゃったりするし、演劇はもっと面白くなれるし社会に対して価値を持てるはずなのに、全然足りていない。そういう事を考えながらも、学生演劇祭をやってますけど。
映画『星を継ぐ者/Inherit The Stars』
2014年第6回福岡インディペンデント映画祭コンペティション部門正式出品となった-映画『爛れる/Becomes Sore』の監督・末長敬司と、2011年第5回京都造形芸術大学映画祭において作品-賞・撮影照明賞・録音音響賞・美術賞・女優賞の5冠を達成した映画『つくすみ』のスタ-ッフが、吉岡里帆を主演に迎えて放つ、インディペンデントのスケールを超えたSF大作!*2014年秋より順次公開予定*(公式サイトより)

タグ: 分岐点 社会の中で演劇の果たすべき役割


企画あり

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
沢  
まずは東京と福岡で、学生演劇祭を向こうでもやれればいいなと思います。東京には有名所が沢山あるじゃないですか。早稲田とか。短編の作品を上演出来るような演劇祭を実現出来たら。もっともっと、関わってくださる方々を募集しています。
__ 
東京の学生演劇で、こうしたイベントの持つ共時性が濃く感じられたら凄く面白いでしょうね。
沢  
そうですね、特に東京は絶対数が多いんですよね。でもこうしたイベントを続けるのはとりわけ難しいらしくて。学生が自立して継続できるような、そんな仕組にしていかなければならないなと。よそ者だからこそ出来る企画が生み出せたらと思います。

故郷に思う

沢  
将来的な理想としては、実家で演劇や文化振興が出来たらと思っていまして。
__ 
隠岐の島ですよね。
沢  
そうですね。隠岐の西ノ島というところは、段々と人が少なくなってまして。どこか贅沢な話ですけど京都での演劇をもっと盛り上げて、5年先ぐらいには隠岐でもそんな事が出来たらなと思っています。実は、京都ロマンポップで一度やってはいるんです。
__ 
あ、そうでしたね。「沢先生」。
沢  
島民の約4000人の内、400人以上が観に来てくれて。島にとってもありえない事で。島に帰る度、その事を言われて、「またやってよ」と言われるんです。プロデューサーとしてはあれぐらい、あれ以上の事をやらないといけないんだろうなと思います。役者としても、道を見つけられて、何か島に還元出来たらと思います。
__ 
俳優でありながらプロデューサーというのは結構珍しいですよね。
沢  
先々週、祖父が亡くなりまして。火葬場で最後のお別れの時にですね、父の事も思い出して。火葬場の同じ場所で、最後に「僕は俳優になる」という事を誓ったんですよ。俳優としての自分も、ちゃんと考えていかなければならないと思っています。プロデューサーとかけ離れてはいるんですけどね。

タグ: 演劇のない地に演劇を現出 現動力


小鳥のスタンプと鳥っぽいペーパーナイフ

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。
沢  
ありがとうございます。照れくさくなりますよね。
__ 
ペーパーナイフと、ハンコです。どちらも小鳥をかたどったものです。封筒を沢山開ける職だと思いますので。小鳥のハンコは、まあ個人的なマークにお使い頂ければ。
沢  
確かに。今日も封筒を2つ開けました。使います。

タグ: プレゼント(文具系) プレゼント(ツール系)


東京に行った西岡さんが京都に戻ってきた日

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。お久しぶりですね。最近、西岡さんはどんな感じでしょうか。
西岡 
こちらこそ、よろしくお願いします。私、今は新国立劇場の演劇研修所の研修生です。今年で3年目で、研修所の最後の年なんですよ。いくつか試演会を重ねてから修了という感じです。まずは、9月に2本の試演会があります。ちょっと遠いんですけど、関西の方々も観にきて頂けると嬉しいです。
__ 
ありがとうございます。頑張ってください。東京に来て、自分は変わったと感じますか?
西岡 
色々と、変わったとは思います。でも根本的な部分が変わったとは思わないですね。無理矢理変わろうとしても無駄だし、変えるには自分はなかなか頑固だなあって。ぜんぜん変わらないというのもなかなか辛いものがありますね。なすがままという感じで行こうと思います。
新国立劇場 演劇研修所
演劇研修所は、3年の研修期間を設け、芸術表現としての演劇を主体的に実践し、組織していく俳優を育てることを中心にカリキュラムを編成しています。1.2年次は基礎的俳優訓練とともに、第一線の演出家や俳優指導の専門家を軸とする講師陣によるシーンスタディを展開し、3年次には修了公演に向けて数本の舞台実習公演を行っています。修了生は、新国立劇場公演のみならず、さまざまなプロデュース公演に出演するなど、活躍の場を広げています。(公式サイトより)新国立劇場 演劇研修所 Facebook

タグ: 『東京』 演劇研修所


脚本のパワーに飲まれないように

__ 
さて、新国立劇場演劇研修所の公演が、9月ですね。
西岡 
9月の5日から10日に一本目「親の顔が見たいと、9月の23・24日に二本目「朗読劇「少年口伝隊一九四五」を上演します。
__ 
一ヶ月に二本の大作ですね。
西岡 
はい。たまげました(笑う)。私たち八期生と、研修所の修了生と文学座の俳優さんを客演に招いて、色んな分野の一線で活躍するスタッフさんが参加されています。そこも含めて、かなり、勉強になると思います。
__ 
見所を教えてください。
西岡 
一本目の「親の顔が見たい」は、現代劇です。ほとんどの登場人物が実年齢より上の世代で。ちょっとキャラクター作りの難易度が高いんですけど、どうなるか楽しみです。劇構造としては、「12人の怒れる男」のカトリック系女子校バージョンですね。密室劇で、いじめを苦に自殺した生徒が主軸の話だったのが、どんどん父兄の社会的に隠している部分が噴出する展開になっていくのがとても面白いです。
__ 
見てみたいなあ。
西岡 
朗読劇「少年口伝隊一九四五」」は井上ひさしさんが研修所の2期生のために書き下ろして下さった作品で、毎年、研修生が朗読劇公演として上演しているんです。皆さん必ず言うんですけど井上さんの言葉の使い方が本当にすごいんですよ。体を通して実感しました。
__ 
分かります。
西岡 
言葉の全てが質素なんですよね。華やかな言葉はなくて、でも的確に伝わるんです。それがすごいなあって。台本上の延ばし棒一つにしても意図が伝わる。脚本のパワーに飲まれないように、でも余分な事をしないように。無理矢理をやってしまって、無理無理なんて思わないように。
新国立劇場演劇研修所 第8期生試演会「親の顔が見たい」
公演時期:2014/9/5~10。会場:新国立劇場 小劇場。
新国立劇場 演劇研修所公演 朗読劇「少年口伝隊一九四五」
公演時期:2014/9/23~24。会場:新国立劇場 小劇場。

タグ: 朗読劇についてのイシュー 次の公演


本来の気持ちに

__ 
研修所での西岡さんの様子を伺えればと存じます。今、どんな生活をされているんですか?
西岡 
一年目は、月曜日から金曜日までフルタイムでしたね。朝9時半から夕方くらいまで研修でさまざまな講義や、実技を受けています。二年目になると、現在バリバリ活躍されている演出家の方々と芝居を作る授業も始まり、月~金曜+αで不規則になりました。大学と同じくらい、毎日勉強してます。
__ 
それは、楽しい楽しくないという尺度で言うとどうですか?
西岡 
うーん、時期によって違います。研修生1人1人によっても違うでしょうし。私は、当初は本当に、やりたくてやりたくて仕方なく入りました。でもいつからか日々の生活がルーティン化してくると、ちょっとダレるというか。贅沢なことに、与えられている事が当たり前になってしまって、気持ちが崩れてしまいました。そういう変化を講師の方も分かっていらしたみたいで、喝を入れてもらったりとか、自分でも奮起したり、また初心を思い出して、本来の気持ちに戻ったり、そういう繰り返しでした。
__ 
ルーティン化。
西岡 
私の場合は、周りに「このままじゃ駄目よ」とハッキリ言ってくれる方がいたんです。講師や、同期の8期生も。それから、研修所以外の芝居仲間や同世代の人たちが頑張って公演を重ねているのをみて気付かされる、そんな瞬間がありました。
__ 
なるほど。
西岡 
2年目までは外の公演には参加出来ないのですが、3年目からはカリキュラムが試演会と修了公演のみになるので、外の仕事を受けても良いんです。
__ 
あ、そうなんですね。
西岡 
そういう自分の状況もありつつ、外で仲間がめっちゃ面白い事をやっていると、うわあ~って凄く焦りました。

タグ: 演劇研修所


ふたりの会話

__ 
2年、学んだ中で一番ショックを受けた事は何ですか?
西岡 
一番最初の演技の授業。イギリスのRADAでも教えられているローナ・マーシャルさんの授業ですね。二人一組のダイアローグを、とりあえず貴方たちの思ったように作ってきて、と課題を出されまして。ペアの子と試行錯誤して作って、実際見て頂いたら、「お芝居をしているわね」と言われたんです。
__ 
なるほど。
西岡 
それまでやってきた事を根底から覆された気がして。私、今まで何をしてきたんだろう・・・いや、芝居をしているわねって言われたけどそれはどんな事なんだろう? 一年目は、演じるというよりも、まず自分が何者か、どこに立っているのか、その上で自分の癖を見直す、とかそういう、パーソナルな部分に触れる授業がほとんどでした。1年目の授業は、ほぼ毎回ショックを受けまくりでした。こんなにも、自分の体はコントロール出来ないものか、こんなにも私は人の話を聞いていないのか、というように。
__ 
自分の事を見つめる一年だったんですね。
西岡 
私はすごく、怖がりだという事が分かりました。
__ 
怖がり?
西岡 
芝居を始めた頃に自分がどういう演技の作り方をしていたかはあまり覚えてないんですけど・・・パッケージングするのが得意だったんじゃないかと思ってます。パッケージするというのは、例えばいまここで喋っている時、お互いに刺激を感じていますよね。
__ 
ええ。
西岡 
でも、会話している役を演じるとなると、相手からリアルタイムで刺激を受けている事実を忘れてセリフを吐いていたんです。しかも、やりたい絵を最初から決めてしまっていて、そこに向かう為にはどうすればいいのか?というのがある程度「かたち」として出来てしまう。
__ 
会話の交流を予測したり決めたりする事は、安心ですね。たしかにその意味では怖がりと言えるかもしれない。
西岡 
けれども、それはもう相手が誰であっても良いという事なんじゃないかと。多分、講師が言いたい事はそういう事だったんじゃないかと思います。人とどうやって対話するべきかと、それを考えるようになりましたね。
__ 
異なる存在と接する時の、エモーショナルな瞬間、ですね。
西岡 
そうですね、そういう、エモーショナルな状態のフリをしていたんだと思います。本当にそういう状態になる前に、まず「かたち」を作ってしまった。会話先行、頭先行だった。本来なら、もっと何が起こるか分からないのが演劇と交流の醍醐味なんですけど、私は多分それを見過ごしたまま、無自覚に絵を作って出来た気になっていたんです、きっと。でも、そういう事じゃなかったみたいだと。
__ 
それはきっと、舞台と観客席の間でも起こるべき事で。例えばいい映画って、全部の動きにワクワクするじゃないですか。一つ一つの動きや曲線が目に入る度、その効果が純粋に心に響く。意味や意図さえ伝わる。あれは舞台でも起こる。
西岡 
はい。
__ 
とにかく、一年目のスタート地点から、「交流」が本来持つべき価値が見えた。
西岡 
もしかしたらそうかもしれません。今まで関わった戯曲に対しては失礼な事をしていたのかも。答えを一つに決めて掛かってしまうなんて。それが、スタート地点に立つ上で一番大切な事だったのかもしれないなと。
__ 
なるほど。

タグ: 俳優の提案作業 演技それ自体への懐疑 見えないぐらい濃い交流 相互承認 観客との関係性 SeizeTheDay


人が集まってきてくれる

西岡 
その後も、ジャンルを問わず様々な分野の講師に教わりました。二年目の芝居を作る授業(シーンスタディ)では今まで触れたことのない役にも出会えたり。価値のある事ばっかりだったなあと思います。すごくいい環境だと思うんですよ。それが自主的にできなくなったら終わりだというのも経験しました。自分がこういう事をしたいとか、こうなりたいと思っているところに、定期的にアドバイスをくれる人が集まってきてくれる。それは新劇関係だけ、小劇場関係だけという事ではなくて、多面的な見方が出来るんですよね。知識や体験が増えていくと、その都度ハテナが溜まっていくんですけど、色んな言い方をされるぶん、答えにたどり着けるという感じです。
__ 
なるほど。
西岡 
それは一つのメソッドを追求する劇団や団体とはまた違う価値があると思いますね。

タグ: 演劇研修所


コアラからつかむシェイクスピア

__ 
最近、学んだ中での気づきを教えてください。
西岡 
ちょっと大きな話になってしまうかもしれないんですけど、欲望を持ち続ける事かもしれません。結構、欲を表に出しても、すぐ諦めちゃったり、抑制するタイプだと自分では思っています。講師の方のエクササイズの一つで、アニマルエクササイズというものをやったんです。ある動物の事を研究して、完全に動物になっちゃう。私の場合はコアラでした。コアラを研究して擬態する。そこを起点にして、段々とシェイクスピアの登場人物の一人にスライドしていくんですよ。シェイクスピアに出てくる人物は欲求が強いんですよね。
__ 
ええ。
西岡 
その人物の欲求に、自分自身の欲求から近づいていっても分からなかった点が、本能的な動物の形態を借りてそこからスライドさせて行くことによって、「今何がしたい」とか「アイツを叩きのめしてやりたい」とか、ビビッドな欲求になって出てきたんですよ。それが必要なんだなと思いました。日常を切り取った演劇だって、中には非日常なものが紛れ込んでいると思うんですよ。それを全部、日常の自分でやってしまうのはもったいないな、と。自分にはないタフさが必要なんですけど、日常から欲求を閉じこめていると、演じる時に息切れしてしまうんですよ。だから、そういう時の為のトレーニングとして、自分の欲求を素直に出そうと思います。
__ 
アニマルエクササイズか。
西岡 
他の人のアニマルも、どこかその人の個性が出ているんですよ。私自身も、コアラの事を他人とは思えなくなりました。

タグ: 動物と俳優 役をつかむ 一瞬を切り取る 非日常の演出 続ける事が大事 シェイクスピア


俳優について

__ 
西岡さんが考える、良い俳優とは?という事を聞こうと思うのですが、今までの話で言うと、欲望を持つ事が出来る俳優という事になるのかな。
西岡 
そういう捉え方ももちろん出来ますが、でもまだ、いい俳優とは何かというのを自分の言葉では表せなくて。教えてもらった事を受け売りで言う事は出来るんですが。色々細かい要素を言う事は出来るんですけどね、人の話が聞けるとか、交流出来るとか、欲望を持てるとか。何なんですかね・・・?でもみんないい俳優だとは思うんですけどね。
__ 
そうですね。
西岡 
みんないい俳優だけど、良くない部分もある。でも、本来はみんないい俳優だと思うんです。

タグ: ギラギラした俳優


身体に目を向ける

__ 
東京に移って、どんな事を考えるようになりましたか?
西岡 
自分の身体と思考について、とか、何かに関わっている時のそれぞれの自分の事をその都度観察する事が多くなりました。
__ 
ええ。
西岡 
京都にいたときには、フワフワしているのは悪と思っていて、目的をバチーンと決めようとしてました。いついつまでにこうなるんだみたいな猪突猛進な自分だったなと思っていて。東京に来たら、誰も私の事は知らない他人ばっかりだし、ギュウギュウの満員電車にいたら、いま何をしてるんだろうなあ自分は、と思う。日頃無視していた自分の身体に目を向けるようになったと思います。それは、研修のプログラムから影響を受けた部分もあります。
__ 
内面に目を向けるようになった?
西岡 
「こうしなきゃいけない」という意識から、「今自分はどういう状態であるか」という意識が強くなった。(今私はこの人が嫌いかもしれない)とか、(この人と仲良くなりたいけど、身体がバタバタしているようだ)とか。決めてかかってた時より呼吸がしやすくなりました。
__ 
なるほど。
西岡 
頭でっかちな性質と、自分の身体との連動性を付けようとしているのかもしれないですね。結構、バラバラしている傾向があるので。
__ 
完全に把握したいと。
西岡 
完全に把握は出来ないと思いますけどね。だけど以前は今より自分本来の性質に無自覚だったのかもしれません。
__ 
精神と身体を同時に常に把握する事は、とても有効な俳優のトレーニングかもしれませんね。
西岡 
まだ、分かってるつもりだったり分かっているだけの状態かもしれませんけどね。自分が分かっていないと感じたら周りに指摘してもらう、それぐらいの気持ちでいたいですね。東京に来てからは、人に頼るという事も増えたかもしれません。以前は全部自分でやろうとしていました。人に頼ったり任せる事も大事だな、って。
__ 
なるほどね。

タグ: 俳優の身体認識 出立前夜


質問 肥後橋 輝彦さんから 西岡 未央さんへ

__ 
前回インタビューさせていただいた方から質問を頂いてきております。京都ロマンポップの肥後橋輝彦さんからです。「プロポーズの言葉は何にしたいですか?」自分からする場合を教えてください。
西岡 
自分から!?口には出さないかもしれません。手紙にするかもしれませんね。前置きを書いて、言葉を組み立てて、これで完璧だと思ってから投函したいです。直接伝えようとすると、言葉に詰まってしまうかもしれない。キレイな便箋を探して、長い手紙を書くと思います。

生き残る

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか。
西岡 
攻めない方向で行きます。(笑う)私には「攻める」という語感が強烈なので、攻めずに、どうしたらすくすく健康に演劇を続けられるかを考えていきたいと思います。最終的に生き残れればいいなー。
__ 
なるほどね。

タグ: どんな手段でもいいから続ける


ムーミンの小物入れ(ミィ)

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントがございます。
西岡 
ありがとうございます。
__ 
どうぞ。
西岡 
(開ける)あ、ムーミンですね。好きなんですよ、ミィが。
__ 
良かったです。
西岡 
荷物がよくバラけてしまうので、こういうポーチとかはありがたいです。

タグ: プレゼント(ムーミン系) プレゼント(ポーチ系)


舞台美術のためのワークショップ公演、準備中

___ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。肥後橋さんは最近、いかがでしょうか。
肥後橋 
お芝居の事で言うなら、8月の「舞台美術のためのワークショップ公演」の準備をしています。初めてのプロデュース業なので、大変といえば大変ですね。演劇以外としては、僕は非常勤講師として働きながらお芝居をやっているんですけど、職場で僕の役者写真が流出して教室で張られていたりしています。白塗りのピカチュウの写真とか。
___ 
そう、先生をされているんですよね。教科は何でしたっけ。
肥後橋 
理科を教えています。
___ 
そうなんですね!そういえば。いきなり話が脱線しますが、昔の笑の内閣のサイトの肥後橋さんの役者紹介の写真。フレミングの法則のポーズしてましたよね。
肥後橋 
それを難しそうな顔で見てましたね。
___ 
白衣でね。
肥後橋 
笑の内閣は楽しいですね。僕が学生劇団の頃、一番多く客演していたのは内閣でした。
___ 
肥後橋さんのレスリング、とても面白かったです。
京都ロマンポップ
「物語は幸せへの通り道」京都ロマンポップは、2005年京都を拠点として旗揚げしました。作品は、よりふじゆきによる脚本:本公演と、向坂達矢による脚本:さかあがりハリケーンの二本を支柱としています。現在は、向坂達矢による脚本:さかあがりハリケーンを主に発表しています。本公演の舞台設定は、古代ローマ、中世ドイツ、昭和初期日本、そして現代と多岐にわたっていますが、一貫して描かれているのは普遍的な人間の悲しさや苦悩であり、そこから私たちの「生」を見つめなおす作品です。哲学的な言葉を駆使しながらも、役者の熱や身体性を重視する、ストレートプレイ。「ロマンポップ」の名前の通り、エンターテイメント的な要素も取り入れながら物語を紡ぎます。さかあがりハリケーンは、短編作品集です。その作品群は「コント」ではなく「グランギニョール」ただ笑える作品ではなく、どこか屈折した退廃的な空気が作品に漂います。歌やダンス、身体表現を最大限に取り入れていますが、対峙するは「現代の演劇手法」です。(公式サイトより)
第1回 舞台美術のためのワークショップ公演
公演時期:2014/8/15~17。会場:東山区総合庁舎2階 東山区青少年活動センター。
笑の内閣
プロレス芝居や言論を舞台にしたお笑い芝居政治的な分野にアプローチする劇団。

タグ: 次の公演 会場を使いこなす


どくの沼地歩くから命へる 歩かなければすぐに死ぬ

___ 
京都ロマンポップの前回公演、「どくの沼地歩くから命へる 歩かなければすぐに死ぬ」が素晴らしく面白かったです。今一番、脂の乗った時期と言えるかもしれないですね、ロマンポップ。ここ最近で見た中で一番面白かったかもしれない。
肥後橋 
ありがとうございます。
___ 
2本目の作品。肥後橋さんは、主人公のライバル役を演じられましたね(主人公は向坂さん)。
肥後橋 
そうですね。基本的には凄くいい人でみんなから好かれていて、でも主人公にとっては迷惑な部分がある。コンビニで会ったらグイグイと近寄って来られて、少し空気が読めないところが、ネガティブな人を傷つけてしまう。そんな人物を描きたかったんだと思います。
___ 
そうそう。しかし反面、主人公が作った作品を本当に評価してたり・・・
肥後橋 
ええ、一番上手く解釈して、自分がやりたい事の理解者だったという。そこが主人公にとってはやりきれないですよね。本当はいい奴で、でも認める訳にはいかない。逃げ場がないですよね。
___ 
そして、「僕を理解するな!」と拒否して終幕しました。プライドはとっくに傷つけられていて、そのうえ愛されてしまった苦しみ。
肥後橋 
そうですね。「愛されてしまった」というのはありますね。
___ 
それは本当は、彼が求めていたものではあるのですが。ラストシーンの直前に彼は、四条通で無差別テロをするためにトラックならぬ自転車を借りてましたね。武器を持って世界を壊そうとするけれども、ライバルに出くわしてしまい、彼の本質である芸術性を愛撫されてしまった、その混乱。
肥後橋 
現代では、テロの対象としての特定の場所がないという事もあるんですね。事件を起こす舞台がない。昔だったら二・二六事件のように、場所があるんですが・・・
___ 
認められない事が、攻撃心に結びつき、対象を見つけられないまま・・・
肥後橋 
不意に現れたライバルこそが攻撃対象かと思っていたら自分の唯一の理解者だったという。

タグ: 死と性と ユニークな作品あります 愛を厭う 成長拒否