やってやろうやってやろう

__ 
最近の、演技を作る上での気づきを教えてください。
畑中 
ずっと言われ続けてきた事でもあるんですけど・・・舞台の上では、何も考えない方がいいな、と思っています。もちろん、稽古ではそういう細かい事を作り続けるんですけど、それを本番でやると、役として生きられず、閉じてしまう。何も反応出来なくなるんですね。だから、こうしようああしようというのは稽古場で済ませておくべきだ、って。
__ 
素晴らしい。意識的になるべきところは意識的になる?
畑中 
やれてる人は無意識にやれてるんだと思います。引き出されるように台詞を言えるように、芝居は常にリアクション、と山崎さんからずっと言われていて。自分発信の台詞や行動であっても、相手の状態をどれだけ汲み取れるかどうか。それって、「やってやろうやってやろう」という態勢じゃ絶対出来ない事なんですね。
__ 
正直者の会の田中遊さんが昔言ってたんですけど、相手に呼びかける台詞、例えばAが「おーい」というのが台本にあったとして。呼びかけられたBはそれに振り向くという台本なんですけど、もしBが「呼ばれていない」と感じたら振り向かなくていいし、たとえBが振り向いたとしても、「Bの意識がこちらに向いていない」と感じたらもう一度呼びかけても良い、と。そういうのって、役者の責任で作るべき領域ですよね。実は観客としてはそこをもの凄く重要視している気がするんですよ。
畑中 
山崎さんもそのような事を言っていて。台本というのはあくまで記録にしか過ぎないから、台詞に「あははは」って笑う一行があったとしても、もし笑い続けたいんだったらずっと笑い続けていてもいいんだ。エチュードで出来た事が台本になると出来なくなる、ってすごく良くある事なんですよね。
__ 
そうですね。
畑中 
だから、もうリアクションリアクションと思っていて。課題ですね。
__ 
その上で伺いたいのですが、畑中さんが考える魅力的な俳優とは。
畑中 
さっきの話の回答とかぶっちゃうと思うんですけど。「見たいもの」を出した時に、そう来てほしかった!というのと、そう来るとは思わなかった!が両方出来る人が魅力的だと思います。村上誠基さんは大好きな俳優さんの一人なのですが、相手ありきのリアクションの芝居をずっとしてて。当たり前の事をしているんですよね。具体的な何かにずっと対峙しているように見える。そういう人は強いな、と思います。
__ 
お客さんが期待していながら、でもびっくりするもの。新しい価値観を見せられて、さらに納得してしまうもの。

タグ: 引き出し合う 会話劇研究


「どうしてほしい?」

__ 
本番で好きな瞬間はどんな時ですか。
畑中 
楽になれた時。知らん内にやれていた時ですね。カナヅチ女の時、砂場のシーンがあったんですが、ふわふわした抽象的な空間から砂の上に行くシーンがあるんですけど、本当にそう思えた瞬間があったんです。あ、いま地面が砂になった、って。気持ち良かったですね。それは常にやれてないといけないんですけど、きっと。
__ 
そうですね。
畑中 
それと、お客さんがなってほしい状態になった時。息を飲んで欲しい場面でそうなった、と実感したときに「よっしゃ!わーい」ってなります。
__ 
それが分かる。変化が感じ取れる?
畑中 
はい、でも後付けでそう感じているだけかもしれない。ですが、無意識に楽に演技が出来ている回ほどお客さんの呼吸が分かるような・・・お客さんがどうしてほしいのかが分かるような。その精度がもっと上げられたらいいなと思います。
__ 
集中出来たとき、ですね。
畑中 
そうですね。俳優の立場から言うと、見せたいものって役者の内部にあるというよりは外にあるんだろうなって思っています。観客が見たいものを、役者が発するんじゃなくて、役者も見る、んじゃないかなと思っていて。イメージを共有するためには外側のものをお互いが見る、みたいな・・・言語にすると哲学的で宗教的なんですけど(笑う)
__ 
ワクワクしながら、ね。役者がずっと一つの方向に向かっていったら、観客席全体が一つの目になって、実はその目を持つのがいま現在の時代の社会その人で、舞台がどんどん客席と離れながらも劇場ごと別の世界に飛んでいってみたいな状況になったら凄いですよね。
畑中 
どこの劇団のどこの役者さんでも、ずっと、安定したものを提供しようと目指していると思うんですよ。でも、残念ながら偶然にしか起こらないものもあって。たまたま良かった、みたいな。それを意識的に出来たらいいなと思います。
悪い芝居vol.13『カナヅチ女、夜泳ぐ』
公演時期:2012/06/13~20(大阪)、2012/07/10~16(東京)。会場:in→dependent theatre 2nd(大阪)、王子小劇場(東京)。

タグ: 役者の認識(クオリア) 今の作品に集中する 外の世界と繋がる 王子小劇場


そういう場所に身を置けたら

__ 
いつか、こんな演技が出来るようになりたい、というのはありますか。
畑中 
常に楽にやりたい、と思っています。いまだに「やろうやろう」になっているので。
__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか。
畑中 
そうですね。まずはもっと芝居がうまくなって(笑う)、客演なんかもガンガンしたいな。東京に行きたいというのはありますね。数が多いから分散されているというのはありますけど、この間行った「マボロシ兄妹」はある種理想的な環境で、毎日誰かの役者さんが、おおっそうくるかみたいな新しい事を稽古場でされるんですよ。意識が高い人が絶対数的には多いので、そういう現場に身を置きたいとは思っています。
__ 
マボロシ兄妹!その話をしてませんでしたね。見たかったです。
畑中 
プロデュース公演でしたけど、良くまとまった作品だったと思います。青山円形劇場の閉館前にやれて良かったと思います。私は演出助手だったんですが、役者さんがずっと古典の解釈みたいに台本について意見交換していて。完全に外から稽古場をみていると、自分が役者として言われ続けている事が、一体どういう事なのか分かることがあります。
__ 
その場所にいたかったですね。あのチラシ凄かったですよね。
畑中 
そう、スタッフさん全員が役者みたいだって山崎さんが言っていて。本当にそんな感じでしたね。

タグ: 『東京』 いつか、こんな演技が出来たら 今後の攻め方


絵本「うきわねこ」

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。
畑中 
わあ。ありがとうございます!(開ける)わぁーあ可愛い。「うきわねこ」。絵本好きなんですよ。絵本をもらいがちで。
__ 
あ、そうなんですか。猫が好きそうな気がしたので。
畑中 
いやあ好きなんですよ。野良猫を見かけたら追いかけたりしています。
__ 
猫は、ゆっくりまばたきをしてあげるのが愛情表現だそうですよ。


タグ: 愛情表現 プレゼント(書籍系)


「おしゃべり」を思う

__ 
今日はどうぞ、宜しくお願い致します。最近、高田さんはどんな感じでしょうか。
高田 
僕は最近、ある学校に行きはじめまして。それが今年で一番の変化でした。言語聴覚士という、医療系の資格を取る専門学校なんですけど。
__ 
ええと、コミュニケーションに関する障害のリハビリをする資格でしょうか?
高田 
そうですね。いいんですか?こんな、お芝居と関係のない・・・
__ 
いえ、もちろんです。ざっくりとで結構ですので、その学校に入られたキッカケを教えて頂けないでしょうか。
高田 
これまでずっと病院でバイトしていてですね。で長年続けていると責任が重くなってきて。これはお芝居続けていられへんなという感じになってきて。でも、お世話になっている理学療法士の先生方に、こういう資格があるから、いっそ取ってみたら?と薦めて頂きまして。
__ 
その専門に、興味はあるのですね。
高田 
勉強を進めていく内に、お芝居のワークショップと被るところがあると気付いていて。親近感を感じています。
__ 
会話が困難な状態の人の回復を手助けする技術。そういう分野の勉強をされているのですね。
高田 
色んな病気とかでコミュニケーションに障害を持つと、普段「何となく伝わるやろう」ぐらいに考えていた意思疎通がほとんど出来なくなる訳ですからね。
__ 
人間が関わり合う上で共通した前提としてある手段。それが崩れてしまう。
高田 
原因としては生まれつきの障害という場合もあるし、後天性の場合もあるし。先天性の場合、口がうまい事動かないとか、口に奇形があるとかがあって。口唇裂、口蓋裂とかあるんですけど。また後天的な場合は脳出血などで障害が残って、聞こえているのに理解出来なかったり、しゃべろうと思うのに喋れない、そんな場合なんかもありますね。
__ 
何故、そこに興味を持ったのでしょうか。
高田 
そうですね・・・いまやっていていいな、と思うのは人と喋れるという事、ですね。黙りこくっているというのが性格的に得意じゃなくて。おしゃべりが好きなんですよ、一見大人しそうだと言われるんですけど(笑う)。結局、楽しく喋れている時間を持てるというのが一番重要なんじゃないかなと感じますね。
__ 
ダベるのは幸せですもんね。
京都ロマンポップ
「物語は幸せへの通り道」京都ロマンポップは、2005年京都を拠点として旗揚げしました。作品は、よりふじゆきによる脚本:本公演と、向坂達矢による脚本:さかあがりハリケーンの二本を支柱としています。現在は、向坂達矢による脚本:さかあがりハリケーンを主に発表しています。本公演の舞台設定は、古代ローマ、中世ドイツ、昭和初期日本、そして現代と多岐にわたっていますが、一貫して描かれているのは普遍的な人間の悲しさや苦悩であり、そこから私たちの「生」を見つめなおす作品です。哲学的な言葉を駆使しながらも、役者の熱や身体性を重視する、ストレートプレイ。「ロマンポップ」の名前の通り、エンターテイメント的な要素も取り入れながら物語を紡ぎます。さかあがりハリケーンは、短編作品集です。その作品群は「コント」ではなく「グランギニョール」ただ笑える作品ではなく、どこか屈折した退廃的な空気が作品に漂います。歌やダンス、身体表現を最大限に取り入れていますが、対峙するは「現代の演劇手法」です。(公式サイトより)

タグ: 一人では何も出来ない 最近どう? 有機的に関わりあう 資格を取ろう 自分は何で演劇を


質問 西村 朋恵さんから 高田 会計さんへ

__ 
前回インタビューさせていただいた、こまち日和の西村朋恵さんから質問です。雰囲気のある方です。ちなみに西村さんは旅行が好きで、海外に行かれた時に片言の外国語が通じた時がとても嬉しいんだそうです。新しい出会いっていいですよね。「女性の髪型で好きなのはどんなのですか?」
高田 
女性の好きな髪型。どうでしょうね。ロングが好きですね。あとは、ヘルメットみたいな髪型の女の子が最近可愛いと思うんですけどね。
__ 
最近、まさにそういう子の写真を撮りましたよ。写真を見たら、「あコイツや」と言うと思います。(乾さんの写真を見せる)
高田 
ああ、こういう人です。このサブカルってる感じ。コイツやなあ。この人はどういう人なんですか?
__ 
がっかりアバターの乾さんですね。
高田 
こういう感じの人が最近、ウザい所もあるけどいい奴やなあ、と思ってしまうんですよね。

タグ: 乾寿々香


舞台美術のためのワークショップ公演

__ 
さて、舞台美術ワークショップ公演、京都ロマンポップ「夏の扉」。面白かったです。いかがでしたか。
高田 
今回、実は本番期間が学校のテスト期間と危うく重なっていて。直前でようやく参加出来る事になったんです。WS自体はとてもやって良かったです。でも、もっと舞台を生かしきる、そんなやり方がもっと出来たんじゃないかなとは思います。一緒に出て頂いたゲスト劇団さんはもちろん素晴らしかったんですけど。ウチの作品的には、鍾乳洞というセットはしっくり来ていたとは思いますが。
__ 
作品に関してはもちろんです。玉一さん演じる、異常を来したお母さんの精神と、お兄さんにしか分からない地獄を端的に現していたと思います。
高田 
鍾乳洞という、物質が煮詰まる空間と、家族の関係が煮詰まっている部分がうまい事しっくり行ったんじゃないかなと思います。舞台の良さも、作品の良さも、さらに引き出す事が出来たらさらに凄いと思いますね。
第1回 舞台美術のためのワークショップ公演
公演時期:2014/8/15~17。会場:東山区総合庁舎2階 東山区青少年活動センター。

タグ: 会場を使いこなす


何でもいい、のかもしれない

__ 
高田さんが、かなり前にアートコンプレックス1928でされた演技が頭にこびりついて離れないんですよ。ふんどし一丁で白塗りで、女性の上に乗って腰を振って最後は顔射する演技。あれは素晴らしかったです。
高田 
確かに、人前で裸に近い格好になるのはなかなかいいものでしたね。ああ、僕は何でもいいんだ、何もないんだ。情けなくも清々しいと思ったんです。
__ 
というと。
高田 
似非悟りなんですけど、何でもいいんだなあって・・・今まで自分は格好付けてたんだなあ、って思いますね。そのとき、ふわっと心が軽くなったと思います。最初はちょっと恥ずかしいなと思ってた部分はあるんですね、まんぐり返しのポーズになって、肛門の間際まで見せてしまうとすがすがしい気持ちにはなりましたね。お客さんも何故わざわざお金を払ってそんな汚いものを見なければならないのか、後で申し訳なく思いましたね。でもアンケートでは何故か評判は良くって。お芝居の空間はやっぱりちょっと違うんですかね。
__ 
承認されたという事ですね。
高田 
一言で言うとそうですね。承認欲求がありますね、僕は。たぶん。

タグ: 俳優の承認欲求 アートコンプレックス1928 恥ずかしいコト アンケートについての話題


向こう岸の影たちへ

__ 
非常に奇妙な空気感を持つ高田さん。俳優として、高田さんの事を色々伺おうとしても、ちょっと難しいなと思っているんです。この人の何が独特かなんて見て頂いた方が早いんだろうし・・・
高田 
いやあ、作り方が雑だからそんな言われ方に繋がっているのかもしれないと思っていて。不器用に不器用を重ねているから、そんな評価になってしまうのかなと。
__ 
いえ!?
高田 
違いますか?違ったらそれは嬉しいですけど。
__ 
いえいえ、上手ですって。独特な雰囲気なのに、「あ、これはこんな人だ」とすぐ理解しやすいって凄い事だと思います。「どくの沼地」で演じられた、泥団子を作る道しか無かった職人の姿が素晴らしかったです。
高田 
真面目な話していいですか。
__ 
もちろんです。
高田 
上手な演技をして上手く伝えたいみたいな欲求が全くないんです。
__ 
ほう。
高田 
上手な人を見ているとめっちゃ凄くて、僕はこれは一生出来ないだろうなと思うんですよね。でも、自分がこれをしたいかと思うとそうでもないんですよ。
__ 
上手な演技に憧れない?
高田 
ある一定以上の上手な人の、押し付けがましさとか全然出してこない演技で、それをやったら絶対感動するような芝居をみてさえ「何という押し付けがましさや」と思って見てしまうんです。自分の性格が悪いからなのか、ムカつくなあ・・・と思うんですよ。ナチュラルなテクニックの、上手に見えてしまう人って、何か押し付けがましいと思ってしまうんです。凄く、色んなものを疑ってしまうんで。乗せられたくない、みたいな。上手な人に対して。悪い風に言うと、自分が相手を乗せたくないみたいなところもあるのかなあ、と。心のどこかで思ってしまうんですね。悲しいですね。
__ 
それは、支配されたくない、という思いがあるんじゃないでしょうか。
高田 
一言で言うと。
__ 
ええ。観客席の中にいてさえそう思うのでしょうか。
高田 
思いっきり同意しますね。僕はあまり芝居を見に行かないんですけど、めっちゃ笑っていても受け入れていないんですよ。どこかで僻んでいたり。
__ 
まあ私も差別心ありますけどね。
高田 
駄目でしょう(笑う)。

タグ: 器用さ・不器用さ 演技それ自体への懐疑 奇妙さへの礼賛


揺らぎと演技

__ 
今後、高田さんはどんな感じで攻めていかれますか。
高田 
とりあえず、あまりカチッとした演技はしていきたくないなと思っています。こんな事を言うと向坂に叱られるかもしれないですけど。格好いい言葉で言うと、揺らぎみたいなものを持ち続けたいなと思っています。
__ 
素晴らしい。

タグ: 揺らぎ、余白


革製のブックカバー

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。どうぞ。
高田 
ありがとうございます。開けます。おっ。
__ 
それ、包装が凝ってるんですよ。
高田 
これは、ブックカバーですね。嬉しい。最近、変な本を買ったんですよ。
__ 
というと。
高田 
魔術についての本なんですけど、魔法がある前提で書いてあるんですよ。だから逆に魔法を全然解説出来ていない。変な本なんです。

タグ: プレゼント(書籍系) プレゼント(文具系)


ピンときたら!

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
西村 
またピンときたら、素敵な場所と出会ったら、こまち日和をやりたいと思います。
__ 
そこで、お客さんに何かを手渡せたらいいですね。
西村 
こまち日和は、一回一回の公演を「wake」で数えているんですけど。それは航跡(船が通り過ぎた後の波)という意味なんです。お客さんの心に、こまち日和が通り過ぎて、何か少しでも航跡が残せたらいいなって。
__ 
すぐ消えてしまうものだけれども、何かが残ってほしいという祈りが込められている。
西村 
はい。

タグ: 泡のように消えない記憶 一回一回を大事にする 今後の攻め方


ネックレス

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持ってまいりました。
西村 
ありがとうございます。何だろう。開けていいですか?(開ける)うわあ、めっちゃかわいい。すごーい。じゃあ、今日はこれを付けて行きます。
__ 
似合っています。素晴らしい。ありがとうございます。

タグ: プレゼント(リング・ネックレス・ブレスレット系)


今、手の届く距離にかの人がいること

__ 
最近、演技をする上での気付きを教えて下さい。
西村 
私は大阪生まれですけど秋田育ちなんです。私って、勢いがある感じではないんですけど、でも得意な分野はあるはずなんです。それを大切にしたいです。あと、そこに流れている時間にどれだけリアルにそこにいれるか。本当に心を揺らして存在していたいです。
__ 
難しい領域ですね。
西村 
パワフルなのもリアルなのも両方出来るようになりたいですね。
__ 
一つ一つの演技、そのどれもが替えの効かないものであって欲しいですね。替えが効く役者なんて基本的にはいない筈なんですけど、でも替えが効く演技みたいになっているのを見ると悲しくなりますよね。そのステージのその時間にしかありえないことの為の工夫を見たいと思っています。西村さんは、女優としてどんな演技が出来るようになりたいですか?
西村 
何か気になって見てしまう、そんな人になりたいです。
__ 
なるほど。
西村 
舞台にいっぱい人がいても目が行ってしまって、自分の存在が伝わったら嬉しいです。あの、私、右脳左脳テストで、左右脳らしくって、理論的に捉えたたものを感覚的に表現しているみたいで。私の言っている事伝わるかなあ。
__ 
分かりますよ。何か見てしまう、上品さが西村さんの演技なのかもしれない。悪目立ちじゃなくて、洗練されていると言えるのかな。
西村 
そう、そうですね。魅力的になりたいんです。

タグ: 目を引く役者とは 工夫する俳優 今、手が届く距離にかの人がいる事


質問 矢野 靖人さんから 西村 朋恵さんへ

__ 
前回インタビューさせていただいた、shelfの矢野さんから質問です。ちなみにshelfは観客の想像力を信じ、テキストの力を信じ、社会の中で演劇を上演する意義を問い直す劇団なんですね。
西村 
へえ!お会いしてみたい!
__ 
「旅は好きですか?」
西村 
大好きです!新しい出会いがあるから。そこでしか食べられないものもあるし、見れないものも、空気も。日本限定ですかね?
__ 
いえ、別にどこでも。
西村 
海外にも行くんですけど、外国語が好きで。片言のトルコ語やフランス語でも通じた時の嬉しさがたまらないです。人見知りなのにコミュニケーションを取るのが好きなんです。新しい事が好き、なんです。

TOKYO PLAYERS COLLECTION「IN HER THIRTIES」

__ 
さて、TOKYO PLAYERS COLLECTIONのIN HER THIRTIESについて。西村さんにとってはどんな思い出ですか?
西村 
どんな思い出・・・あれだけ魅力的な人たちと一緒に過ごせて、すごく大切な時間だったなと思います。公演が終わった今もビアガーデンに行ったりしています。もちろん現場で一緒になることもあるし。皆で一人の人物を演じたからか、何か心の距離が近いんですよ。
__ 
20人で全員、一斉に一人の役作りをしましたからね。西村さんは30歳のコーナーでした。稽古がガールズトークから始まったそうですね。
西村 
本音がポロッと出てしまったりとか、サラっと言ってしまった事を上野さんが拾ったりとかして。ああ、聞いていたんだなあって思いました(笑う)。
__ 
出演者の方にとっては、色々考えさせられる舞台だったようですね。30歳として、西村さんはいかがでしたか。
西村 
親の事や、結婚出産に関しても色んなリミットが迫ってきて。次々選択していかなければならないなというのがリアルになったというか。自分の人生についてもすごく悩みました。自分はこれからどうしていけばいいんだろう。自分はずっと芝居していくのかとか・・
__ 
そうですね。
西村 
20代とは全然違う責任があるんですよね。
__ 
IN HER THIRTIESは、多くの人に内省を促した作品でしたね。
西村 
私30歳になりたてて稽古してたんです。30代になると色んな選択が迫ってくるなって色々考えました。
__ 
いやあ、芝居しているなんて最高の親孝行だと思いますけどね。だって舞台に立ってるんですよ?
西村 
うーん、親は安定を求めているかもしれないです・・・。でも、私の両親は「あなたの好きな事をやりなさい、でも自分でやっていきなさいよ」と言ってくれてるんです。結婚しないの?とか言ってこないんです。
__ 
おお。
西村 
でも、絶対思っているんです。周りも結婚ラッシュだし。親孝行、ってなんなんですかね?
__ 
うーん・・・でも、西村さんがそういう心配をしつつも、自分のやりたい事を一回一回完遂しているというのは親の愛に応えていると思いますよ。だって、何もしないのはあり得ないですよ。親からもらった命を全うしようとしてるじゃないですか。それは答えていますって絶対。
西村 
いや、そうですよね。きっとそう思います、だって、私が嬉しそうに楽しそうにしている方が、輝いている方が親にとっても・・・
TOKYO PLAYERS COLLECTION「IN HER THIRTIES」
公演時期:2014/3/27~31。会場:in→dependent theatre 2nd。

タグ: 結婚について 役作り=キャラクタの分析 IN HER THIRTIES 本音の価値 インタビュー取材による作品づくり


朋恵さんがピンときたら

__ 
こまち日和を立ち上げた経緯を教えて下さい。
西村 
わたし、今までどこの劇団にも所属したことが無くて。フリーだったんですよ。フリーは声を掛けてもらうのを待つしかないんですけど、それじゃ駄目だなと。何か発信していかなきゃと思ったのがキッカケですね。あと、色々企画をするのが嫌いじゃないので。
__ 
好きなんですね。
西村 
こういう事をやったら面白いなと思い始めたらどんどんアイデアが湧いてくるんです。やってみよう、という思いを何かの打ち上げでチャーハン・ラモーンさんに話したら「じゃあ、俺書くよ」とポロッと言ってくれて。
__ 
なるほど。
西村 
それからしばらくして本当に書いてもらえる事になって。それまでコントの脚本は書いていたけれど、お芝居の脚本と演出は初めてだったんです。なのにあんな素敵な作品を書いて下さって。立ち上げから一緒につきあって下さってチャーハンさんがいなかったらこまち日和は無かったと思います。
__ 
つまり、チャーハンさんが恩人という訳なんですね。毎回、どんな経緯で企画していくんですか?例えば今回の宮川サキさんは。
西村 
今回は、サキさんにお願いしたい!という気持ちがあったんです。普段お話ししていて、サキさんは作・演出できる人だって感じていて。wake.3が終わった頃からサキさんにお話していたんですよね。作・演出の方の存在が最初なのかな。サキさんは一人芝居の作品は創られていますが、大人数の脚本と演出は初めてなんです。関わって下さる方みんなが、普段とは違う姿をこまち日和で見せて欲しいなという所もすごくあって。会場も含めて、「初めて」が好きなのかもしれないです。
__ 
確かに。
西村 
まず、作演出の方ありきで、一緒に出演者も決めて行って、会場を決めて。普通とは違うぐらい、がっつり組んで頂くんです。
__ 
この人に書いてもらいたいと思う、そのセンサーはどこから?
西村 
私、とにかくひらめき型というか。ピンって来るんです。竜崎さんの時も、wake.2が終わってしばらく休もうかなと思ってたところに「あ、竜崎さんだ」って思って、帰りの車の中で話したんです。一緒にやってください、って。メンバーが集まった時もいい座組になるって見える?ピンってくるんです。言葉ではうまく言えないですけど。
__ 
その勘はどこで培われたんでしょうか。
西村 
昔から、あまり大胆な事はしないように見えて変な所大胆なんです。一人で海外に行ったり、留学したり。その時も多分、ピンって来てるんです。
__ 
その行動力、羨ましいですね。
西村 
私、名前が朋恵って言うんですけど。「友達に恵まれますように」って願いが込められてて。旅行先でもいい人に出会えて、普通の旅なら行けない場所や食べられないモノに出会わせてもらえたり。こまち日和に関しても、本当にいい人達に巡り会えていて。周りの方達に恵まれているというか。この名前を付けてくれた両親に感謝です。

タグ: この座組は凄い エネルギーを持つ戯曲 混成軍的な座組 宮川サキさん


こまち日和 wake.4 「つぐみ荘のブルース」

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願い致します。こまち日和の西村朋恵さんです。最近、西村さんはどんな感じでしょうか。
西村 
最近はずっと、こまち日和の稽古をしています。
__ 
こまち日和の次回公演、「つぐみ荘のブルース」ですね。会場は福島のNight Market。早速ですが、どんな作品になりますでしょうか。
西村 
今回はsunday宮川サキさんに脚本・演出をしていただくんです。サキさんの優しさとか面白さとか、人との向き合い方とか、が垣間見れると思います。そして、役者さん一人一人がすごく魅力的なんです。色んな魅力が詰まっている作品になると思います。
__ 
なるほど。
西村 
毎回そうなんですけど、このメンバーとこの会場じゃないと出来ない作品になっていると思います。今回は、あるおばあちゃんが作ったシェアハウスが舞台なんです。
__ 
そう、あらすじに書いていましたね。おばあちゃんが亡くなった後の話だそうで。
西村 
「めぞん一刻」みたいな面白い登場人物がいて、でもおばあちゃんが亡くなった悲しさとかがあって。
__ 
お客さんに、何が伝わってもらいたいですか?
西村 
そこに、本当に住民達がいるんじゃないかと錯覚してもらえたら。もう一度、会いにいきたいと思ってもらえたらと思います。それぐらい、出てくるキャラクターの魅力が伝わったらなと思います。
__ 
そんな気持ちになる時間が持てるのは、きっと幸せな事ですね。
西村 
そう思います。
こまち日和
場所空間にこだわって、生演奏でお届け。わくわくすることを詰め込んだプロジェクト。(こりっちより)
こまち日和 wake.4 「つぐみ荘のブルース」
公演時期:2014/9/19~23。会場:Night Market。

タグ: どう思ってもらいたいか? 生演奏のある作品


それを追いかけ続けている

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。shelfの矢野さんにお話を伺います。最近、矢野さんはどんな感じでしょうか。
矢野 
公私ともにとても充実してますね。何というか、遣りがいのある仕事を持って、それを今、まっすぐに追いかけています。追われるというより、追いかけ続けている、という感じが楽しいです。
__ 
なるほど。
矢野 
今年の9月に開催される国際イプセンフェスティバルに正式に招聘され、shelfの初の海外公演が決まったから、というのもあるんだとは思いますけど、最近、それほど人の評価が気にならなくなってきたというか。
shelf
"shelf"はbook shelf(本棚)の意。沢山のテキストが堆積・混在する書架をモチーフに活動を展開。俳優の「語り」に力点をおきつつ、古典、近代戯曲を主な題材として舞台作品を制作し続けている。演劇や舞台芸術一般を、すべて個人とコミュニティとの接点で起こる事象(コミュニケーション)であり、と同時にそのコミュニケーションの様態を追求し、関わり方を検証し続けてきたメディアであると考えて活動を展開。主な活動の拠点は東京と名古屋。所属俳優 3名。(2014年2月現在)2008年8月『Little Eyolf ―ちいさなエイヨルフ―』(作/ヘンリック・イプセン )利賀公演にて、所属俳優の川渕優子が、利賀演劇人コンクール2008<最優秀演劇人賞>を受賞。同年、同作品名古屋公演(会場・七ツ寺共同スタジオ)にて<名古屋市民芸術祭2008<審査委員特別賞>受賞。2011年10月、『構成・イプセン― Composition / Ibsen(『幽霊』より)』(会場:七ツ寺共同スタジオ)にて、名古屋市民芸術祭2011<名古屋市民芸術祭賞>受賞。(公式サイトより)

タグ: 最近どう? 自分は何で演劇を


KYOTO EXPERIMENT オープンエントリー作品 - Theatre Company shelf『shelf volume 18 [deprived]

矢野 
今度京都に持ってくる作品というのが[deprived]というタイトルで、東京では(仮)とタイトルにつけて4月に上演したんですが、20人しか入らないギャラリーで、一週間ほど上演したんですね。音響や照明効果に頼らず、同じ空間で、観客と空間を共有して、物語を物語るという作品です。一度徹底的に、演劇に付随する様々な要素を削り落として俳優の“語り”の力だけを使った作品を作りたくて。
__ 
東京で上演して、いかがでしたか。
矢野 
今回の[deprived]に限らず、僕たちは基本的に、都度、再演に耐え得る強い作品を作るんだ、という気持ちが強くあります。僕は専業の演出家なので、基本的にテキストは他の誰かが書いたものを使う、というやり方を取っています。セットなども極力作らず、音響も薄く、観客の無意識を支えるように入れるか、あるいは最近はもう音響は無くてもいいかな、という感じで。だいたい装置を建て込む、という感覚からはもう10年ぐらい離れていますね。ただ、再演に耐え得る、といってもそれは同じものを正確に再現できるようにする、ということではなくて、つまりどこに持っていっても同じように上演できるパッケージ化された閉じた作品ではない。環境、つまり劇場という建築物の歴史や場所性、ロケーションなど大きな要素まで含めて、それらを含みこんで、その都度ちょっとずつ作り替えて、稽古場で出来るだけ柔らかく且つしなやかなものを作って、それを現場で毎回、アジャストしてから上演するという感じで。俳優には、まあ相当な負担がかかるんですけど、そういう風に劇場というか<場>の魅力を引き出した方が舞台芸術としてもっとずっと楽しいんじゃないかと。お金が掛からない、というのもありますけどね。でも、貧乏ったらしくはしたくなくて。
__ 
そうした上演形態が、shelfのスタイルですね。
矢野 
貧乏ったらしくしたくない、というのはこちらの気構えの問題でもあって、経費をケチってコンパクトにするというよりか、稽古場で相当な時間をかけ、試行錯誤しながら練り込んで来たものを1ステージ20人しか見られないような空間で上演する。それってむしろ、凄く贅沢なことなんじゃないだろうか、と。もちろんそこには懸念もあって、1ステージ20人だと、変な話客席が全て知り合いで埋まってしまうかもしれない。でもそれは何とかして避けよう。出来るだけ当日券を用意するとか、常連客しか入れないような一見さんお断りの飲食店のような雰囲気じゃなくて、誰でも入れるような、そんなオープンな空間を作ろうと。そのように、どうやって自分たちの存在や場所そのものを社会に対して開いていくか? ということについては、これからももっともっと考えていかないといけないと思っています。ただ先にも言ったように、自分たちのやりたいこと、課題、やるべきことが見えて来ているという意味では今は本当にとても充実した毎日を送っています。
__ 
課題が見えるという事は、少なからず問題に直面していた?
矢野 
将来的に考えて、何というか、テレビの仕事や、演劇、コミュニケーション教育など教える仕事、レッスンプロっていうんですかね、そういう二次的な仕事でなくちゃんとしたアーティストが、純粋に演劇作品を作ることでそれで対価が支払われるような社会になっていかないと、それはちょっと社会として余裕がないというか、貧しい社会なんじゃないかな、と思うんです。例えば俳優や、スタッフにしても例えば子どもを育てながらも演劇活動が出来るような、そんな世界になっていってほしいんです。まあ、そもそも演劇制作って、ビジネスとしてはすごく成り立ちにくいものなんですけどね。資本主義の、市場原理の中では回っていかない。だけど、や、だからこそ一人一人がただ良い作品を作ればいい、作り続けていれば、というのは違うと思ってて、それはそれでちょっと独りよがりな発想だと思うのです。で、だからそういうところから早く脱して、演劇に関わる一人一人が将来についてのそれぞれ明確なビジョンを持って、これからはそれぞれが一芸術家として文化政策などにも積極的にコミットしていかなければならないと思います。じっくりと作品作りをしている僕らのような存在が、ファストフードのように消費されるんじゃなくて、きちんと評価される。社会のなかに位置づけられる。国家百年の計、じゃないですけど、二年とか三年とかそんな目先の利益じゃない、大局的なビジョンを持って、演出家とか、劇団の代表者という者は活動をしていかなきゃいけない。そんなことをずっと考えていて、いろいろと、作品作りだけじゃなく制作的な面でも試行錯誤をしています。

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