不器用の効用について

__ 
役者としての山野さんが好きです。不器用で素直で、嘘がないというか。その受け止めやすさがユニークな俳優だと思うんですよ。
山野 
ありがとうございます。そうですね、器用な人間ではないという事は自覚しています。ただ、不器用だという事は悪い事ではないと思っています。
__ 
というと。
山野 
野村克也さんの教えに「便利は弱い、不便は弱い、器用は弱い、不器用は強い」という言葉があるんです。「便利なものに頼りすぎる者は弱い。不便なものは使えない。器用に何でもこなす者も、いざというピンチで対応できないことがある。不器用な人間は、それを克服する努力を重ねたとき、底力を発揮する。」この言葉に出会った時、「これだっ!!」って(笑)僕は不器用なので、失敗の度にボコボコに言われるんですけど、20年先ぐらいに「言われておいてよかったな」と思える気がしています。長い目で見ればこれはずっと得な経験なんだと。だから、不器用だと言われるのは別に恥だと思っていません。
__ 
そこが山野さんの味でもあるんだと思いまして。そういう部分が好きですね。

タグ: 努力を重ねる 器用さ・不器用さ 嘘のない


vol.364 山野 博生

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2014/春
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山野

経験と総括・2

__ 
山野さんがお芝居を始めた経緯を教えてください。
山野 
高校2年の時に文化祭で、クラスで演劇を作る事になったのが人生最初の舞台でした。ちなみに、高校の時の担任の先生が劇研アクターズラボの田中遊さんの公演クラスに参加していたんです。渋谷善史さんという方で現在も田中遊さんのユニットの正直者の会.labで活動されています。その渋谷さんのクラスで文化祭に出て舞台に立ったのが最初です。
__ 
いかがでしたか。
山野 
良かったです!!すごく褒めてもらえて・・・。高校時代の唯一のいい思い出ですね(苦笑)重要な役でプレッシャーも大きかったし、仲間同士で衝突もしたりで大変でしたけど・・・。本当にやっておいて良かったです。僕の人生を大きく変えた出来事でした。しかし、その舞台の直後に急激に体調を崩しまして・・・病院に行ったところある精神科の病気になってしまっていたんですね・・・。実は育った家庭の環境が非常に悪くて・・・物心ついた頃からあまり自分の家庭が好きではなかったんです。そのストレスからか高校に入学した頃から体調も精神状態も悪く、騙し騙し必死に耐えていたんですが、ついに溜まりに溜まったフラストレーションが爆発してしまって・・・。以来学校にもまともに通えなくなり、処方薬依存でボロボロの状態で勉強どころではなくなってしまって・・・。なんとか高校は卒業できましたが当然受験勉強も進学出来ずそのまま自宅に引きこもるようになってしまったんです。
__ 
なるほど。
山野 
それからしばらくブランクが空くんですが、22歳の時にインターネットで某演劇サークルがメンバーを募集していてそこに入ることにしたんです。理由としては当時の僕は仕事も勉強もできていない、友達もほとんどいない、まあニートだったわけで・・・(苦笑)それが嫌で少しでも社会との接点を持たなくてはと思ったんです。「あの時素晴らしい経験を与えてくれた演劇なら自分に希望を与えてくれるのでは・・・」という思いで(苦笑)で入団してしばらく活動していたんですが正直ものすごく面白くなかったんです。考えが甘くて、だらだらしてて。あまりにも演劇を趣味として見ていたので。
__ 
つまり、良くなかったんですね。
山野 
そうですね・・・。そこでしばらく悩んでいたんです。「そのサークルを辞めようか・・・しかし辞めたところで全くの無名の僕がどうやって芝居を続けるのか?いや自分が頑張ってそのサークルを立て直すべきなのか?しかしそのサークルの方達とは根本から考え方が違うのでは?」とかウダウダ考えている矢先にふつうユニットの廣瀬信輔さんと出会ったんです。確か2011年の1月だったと記憶しています。そこで廣瀬さんに気に入ってもらえてふつうユニットの「スペーストラベラーズ」という作品に出演させていただいたんです。その現場で廣瀬さんや他の共演者の皆さんに良くしてもらって・・・随分久しぶりに同年代の人達と関わることができて、喋って、遊んで、作品を造って・・・本当に楽しい現場でした。これをキッカケとして人と関わることを覚えて、徐々に引きこもりからを脱出することができたんです。
__ 
廣瀬さんと出会ったのはどんな経緯が。
山野 
谷さんが参加されていた、劇研アクターズラボの「恋愛論」という作品の挟み込みに、ふつうユニットの出演者募集のチラシがあったんです。当時の僕は今以上に演劇のことを何もわかっていませんでしたから・・・堅苦しいチラシとかだったら逃げ腰になってしまって絶対行けなかったと思うんですけど、そのふつうユニットのチラシがまあ、そのあまり上手くない絵が表にデカデカと描いてあって(笑)書いてあることも砕けた内容だったのでここなら自分でもと思い連絡をとってみたんです。そしたら連絡してきたのは僕一人だけだったらしくて(笑)それがきっかけで(苦笑)もしそれが無かったら現在の自分はなかったかもしれませんね(苦笑)

タグ: 俳優のブランク 自分を変えた、あの舞台 文化祭前夜 劇研アクターズラボ 高校演劇 ひきこもり もう、辞めたい


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山野

経験と総括・3

__ 
これまでに苦労した作品はありますか。
山野 
いっぱいありますね・・・。一番難しかったのは先ほどもお話に出た「シガールーム」でした。何回も言いますが難しかったです。ただ確かに技術的にはしんどく、プレッシャーも大きかったわけですが、現場は楽しく、やりがいも感じていました。苦労した分得たものも大きかった公演でしたね。苦労というならほかには、烏丸ストロークロックの柳沼昭徳さんの現場ですね・・・。柳沼さんが劇研のアクターズラボの公演クラスの講師をされていて僕は2011年?2012年の1年間だけ受講したんです。「山下君が死んだあとのこと」という作品に出演させていただきました。廣瀬さんに紹介していただきまして。この現場で僕は柳沼さんにボコボコに叱られたんです。完膚なきまでにボコボコに(苦笑)具体的な内容は言えませんが・・・(笑)その時は辛かったし、なんでこんなこと言われるんだろうと思っていましたが今から考えると言われておいて良かったです。柳沼さんの元で学べたことが自分の大きな糧となったと思っています。
__ 
なるほど。
山野 
それからココロからだンス8期の発表公演ですね。今となっては貴重な経験でしたが、全体的に出席率があまり良くなくて稽古が上手くいかなかったんですね。僕自信も足を負傷してなかなか稽古に行けず迷惑をかけてしまって・・・申し訳なかったんですが・・・。参加者の一人一人の距離がなかなか埋まらず、信頼関係が構築できなかったんですね・・・。そしてそのままの状態で通し稽古をしたんですがこれがひどいもので・・・。「本当にこのままの状態で公演を打つのか?!」という話になって・・・。皆で車座になって話し合いました。そしてこのままではいけない、もっと頑張ろうと皆で決意を固めて何とか間に合わせたんです。正直悔いは残りました。もっとできたんじゃないかと・・・。しかし舞台に対する思いが変わった公演だったように思います。舞台の恐さをほんの少しではあるが体験できたというか・・・。今から思えばこういう辛い公演の全てが僕をいい方向に変えてくれたと思います。ちなみに苦労無しで手放しで楽しかったのはTHE ROB CARLTONの「フュメ・ド・ポワソン」でしたね。この現場は楽しくて楽しくてしょうがなかったです。やっと自分の人生でもいい時が来たんだなと思いましたね。

タグ: 出来ない!難しい!演技


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山野

どんなに努力をしても100%にならない

__ 
山野さんが考える、魅力的な俳優とは?
山野 
どうなんでしょうね・・・満足しない事・・・ですかね・・・?。僕は常にそう考えようかと。そうやって自分を律したいと思っているのですが(できているかは別として)、今やっている芝居が最高のものだと思わないことかなと。「金を取って芝居をしていることを事を自覚しろ」ってよく言われますよね。それは単純にレベルの高いものを見せろということだけではないような気がしていて。その線引きも曖昧なわけですから。そもそも演劇に限らず勝負事というものは100%にはならないのではないかと。どんなに努力をしても100%にならない。もちろん目指すべきです。しかし、自分がやっていることに満足した瞬間、終わりが始まるのではないかと。自分より下手な誰かと比べて満足を得ることだけは絶対にしないようにしようと思っています。常に自分より上の人を探し続けたいし、そうなるためにはどうすればいいかと考えていきたいです。それから・・・これも演劇に限らないと思うのですが、必ずしも成功するとは限らないし、賞賛を得られるとは限らない。それどころか酷い失敗に終わる可能性もあるし、アンケートに「観ていられなかった」とか書かれるかもしれない。実際僕書かれたことがあって・・・。つまり負ける恐怖からは逃れられないわけで・・・。なんというか、いい作品を造って賞賛を得たいと思う、或はそれを目指して努力することの裏側には失敗してもそれを受け入れる責任があるのだということを自覚すること・・・が必要になるかなと思います。
__ 
なるほど。
山野 
だからといって勝てる勝負だけするか?いや、それは違う。
__ 
勝てようが負けそうだろうが、そこに戦があるなら逃げないという事でしょうか。
山野 
そういう事かもしれません。不安はなくならないけれども、ここまでやったんだからどんな結果になっても受け入れようと。逃げ口上じゃなく、心からそう思えるまでやるのがいい俳優に必要な事だと思います。

タグ: 最高の研鑽は成功を担保する訳ではない 俳優同士の闘争心 曖昧さへの礼賛 演劇は勝ち負け?


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山野

質問 田中 次郎さんから 田中 次郎さんへ

__ 
前回インタビューさせていただいた、枠縁の田中さんから質問です。「占いについてどう思いますか?」
山野 
本能的に興味がある、という事ですかね。オカルトじゃないですけど、人知を越えた不思議な力はあると思っているんです。演劇にも直感や本能が必要になることはあると思うし。余談ですがコンテンポラリーダンスにもすごく興味があって・・・自分の肉体や直感、本能にアプローチする作業だと思っていて。生まれつきそういうことに興味があるんでしょうね。

タグ: 肉体、重心


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山野

質問 平林 之英さんから 田中 次郎さんへ

__ 
平林さんからも質問を頂いてきております。京都でオススメのスポットを教えてください。
山野 
京都でオススメですか。この近辺(河原町周辺)じゃないですかね。ブラブラするのに丁度いいと思います。僕、生まれは左京区なんですけど左京区にも色々見所はあります。ただ、このあたりの方が好きですね。

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山野

自分が溶けだして、役に絡んでいる

__ 
いつか、どんな演技が出来るようになりたいですか?
山野 
どんな演技・・・難しいですね。それを探しているところです。そうですね、自分の癖だとか、欲だとか、そういうのを一旦抜きにしたいです。自分が溶けだして、役に絡んでいるイメージ。それを俯瞰している自分がいる、そういう事が出来たら理想なんじゃないかと思います。
__ 
俯瞰する?
山野 
自分に自分でツッコミを入れるというか。欲とか癖を全部客観的に見ることができて、それを把握できることというかなと・・・。

タグ: いつか、こんな演技が出来たら 自分の演技を客観的に見る


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山野

サングラス

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントがあります。
山野 
ありがとうございます。
__ 
どうぞ。
山野 
(開ける)あ、夏だから。
__ 
よくお似合いです。

タグ: プレゼント(装飾系)


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山野

これから

__ 
今後、一緒に作品を作りたい人や劇団はありますか?
山野 
予定として既に決まっているんですが、自分の所属する背泳ぎの亀の公演が8月にあって、それ以降は10月にドキドキぼーいずに出演致します。12月にはkatacottsというユニットの戸谷彩さんの演出で菅原陽樹さんという方と2人芝居を造ります。それからこれは完全に僕の願望で大変僭越なお話なんですが、許されるなら悪い芝居の山崎彬さんと御一緒してみたいです。すれ違った瞬間になぜか身震いして、「なんて恐ろしい人なんだ」と思ってしまって。WS行った時も、どこか別の世界に行っているような気がしてしまって。
__ 
凄いですよね、あの人。さて、山野さんは今後、どんな感じで攻めていかれますか?
山野 
絶対に辞めないでおきたいです。演劇で食べるってもの凄い難しいと思うんですけどね、このまま定職に就かず、演劇を続けたら後戻りできないぞとたくさんの人から言われるし。でも、辞めてしまうと何も残らないんです。とにかく辞めない事。
__ 
どんな形でもいいから続けていってほしいですね。
山野 
ありがとうございます。それと、俳優以外の分野として劇作・演出・コンテンポラリーダンスと、今年から来年に掛けては手あたり次第、やれる事を思いつく限りやりたいです。勉強する欲が高まっている感じですね。

タグ: どんな手段でもいいから続ける 外の世界と繋がる 「悪い芝居」の存在


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山野

sunday play日本の名作#2「友達」

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。平林さんは最近、どんな感じでしょうか。
平林 
最近はsudayの次回公演、「友達」の稽古ですね。公演は7月11日から。もう再来週ですね。
__ 
凄く楽しみです。安部公房の傑作「友達」。平林さんは主人公の家に押し掛けてくる一家、の父役を演じられるんですよね。「善意」がキーワードの戯曲だと思うんですが、ズバリどういうポイントを大事にして演じられたいと思われますか?
平林 
議論をたくさんする作品なんですけど、いい案配でお客さんまで納得させて、共感させるようになればいいなあと思ってます。
__ 
議論と説得力・・・そういえば、ウォーリー木下さんの作品で台詞のある芝居は久しぶりに拝見します。今回の作品、ウォーリー演出ならではのお楽しみポイントを教えてください。
平林 
そうですね、振り付けだったり音楽だったりはもちろん魅力なんですが、あるシーンでイメージがぽんぽんと切り替わっていくのがあって。振り付けと演技の区別が付かなくなるかもしれません。そもそも、この芝居における「振付」が一体どういう事なのか、今から楽しみにしてほしいです。
__ 
振り付けは冨士山アネットの長谷川寧さん。主演も務められるんですよね。とても楽しみです。意気込みを教えてください。
平林 
なんか、カラッとした感じになればいいなと思います。みんなが幸せになるお話じゃないですが、それも悪くないな、って思ってもらいたいかな。押し付けがましくなく演じられたらいいなと思います。
sunday
2004年、劇団☆世界一団、第1期終了。ふたつのinterludeを経て、sundayに改称。「今面白いと思うことを、遊びながら作る」というメッセージ性の少ないカンパニー。しかしその現代性とファンタジー性が融合した世界観は、ポップでありながら実験的。物語とパフォーマンスの絶妙なバランス、そして実力派の役者たちによる見応えのある演技は、公演回数が少ない割には確固とした評価と動員を得ている。目指すは「世界一おもしろい演劇部」。(公式サイトより)
sunday play日本の名作#2「友達」
公演時期:2014/7/11~14。会場:AI・HALL(伊丹市立演劇ホール)。

タグ: ダンスと振付 ファンタジー ユニークな作品あります 次の公演 世界観の作り込み ウォーリー木下


出会い・不条理

__ 
まず、平林さんがお芝居を始めたのは、どういう経緯があるのでしょうか。
平林 
大学からです。中学高校とずっとブラスバンド部でサックスをやっていて、大学でも軽音楽部に入ろうと思っていたんですが、クラブを覗いてみたらあまり興味をひかれなくて。じゃあ何しようと思ってたら、ある日、仮装して学内を練り歩いている人達に出くわしたんです。面白そうなのでついていったら、すごく狭い部屋に閉じ込められて地べたに座らされて。そのまま芝居が始まったんですよ。間近で大きな声を出されるし、音楽もがんがん掛かるし、びっくりしました。
__ 
それが演劇との最初の出会いだったんですね。
平林 
そうですね。やっぱり不条理な感じでしたね。いきなり大きな声を出したりとか。
__ 
ショックな体験でしょうね、それは。
平林 
終わって、役者の人と喋ってみたら全然普通のおとなしい人で。そういうところも面白いなと思いましたね。

タグ: その人に出会ってしまった


「グッド・バイ」「ぼく」

__ 
毎月、何かしらの舞台に立っている平林さん。今年の3月に出演された「グッド・バイ」が記憶に新しいです。とても面白かったです。あの嘘・誤魔化しまみれの宴会のシーンとか、凄かったですね。
平林 
ありがとうございます。嵐のように過ぎ去っていきましたね。まず山崎君の粘り強さが非常に強いというか。
__ 
本当に強烈でした。岡田あがささんが凄かったし、全ての女優が凄かったですね。
平林 
演出の山崎くんとは、きたまりさんとAI・HALLで作った「ぼく」で出会ったんですよ。「ぼく」は他にも色々な出会いがあって面白かったです。
メイシアタープロデュース公演 SHOW劇場 vol.8「グッド・バイ」
公演時期:2011/6/10~12。会場:吹田市文化会館 メイシアター 小ホール。
“Taka a chance project026”  KIKIKIKIKIKI『ぼく』
公演時期:2014/12/31~12/31。会場:AI・HALL(伊丹市立演劇ホール)。

タグ: 優しい嘘 その人に出会ってしまった 今年のわたし


感想を言ってもらえると嬉しいんです

__ 
平林さんは役者として、ミュージシャンとして舞台に立っていると思うんですが、目の前のお客さんにどう思ってもらうのが理想ですか?
平林 
それは凄く難しい質問で・・・でも、色々思ってもらうのが理想ですね。その上で、持って頂いた感想を仰って下さると嬉しいです。今、感想を言うのがなかなか難しい時代なんじゃないかと思うんです。言いたい事を言うためには手続きを踏まないといけないみたいな。twitterとかネットでも同じく。手放しでなんでも発信出来ない。10年前と全然違う環境だと思います。
__ 
そうした状況の中にあっても、感想を言ってもらうと嬉しいんですね。
平林 
もちろん舞台上でリアルタイムにお客さんの反応って分かりますけど、具体的に何を考えたのか言ってもらうのって凄く嬉しいです。
__ 
表現する側にとって、「具体的にどう思ったか」って、ネガティブでもポジティブでも超嬉しいですよね。オリジナルテンポのエジンバラ演劇祭の時の映像がYoutubeに上がっててですね。そこで海外のお客さんが「彼らはクレイジーだ!」とか「子供の頃を思い出したよ」ってインタビューに答えてて。あれを見ると、関係ない筈の私まで何故か嬉しくなりますね。

タグ: 直接感想を聞きたい ウェブ上の感想


あの一瞬が遠くて

__ 
この間、ニットキャップシアターの「月が見ていた話」に出演された時に改めて思ったんですが、役者としての平林さんはものすごく受け止めやすい存在感がありますよね。共感しやすいというか、なんというか。素直に受け止められる気がするんです。
平林 
素直でいようとは思ってますね。嘘をついてたら分かっちゃうんですよ。演じる上で、その人物を分かってないと台詞って言えないというか。まあ覚えてしまえば言えるんですけど、でも、そこを何とか、分かりたいなというのがあります。
__ 
役者の、自分の演技に対する理解度という事でしょうか。最近、それって観客に与える印象にかなり影響するんじゃないかなと思っていまして・・・。
平林 
ええ。でも、役者が分からないまま言う台詞もあっていいと思いますけどね。そういう負荷がないと面白くない場合はあると思います。結局、素の状態が一番面白いんだと思うんですよ。素の状態にするために、色々演出するんじゃないかと思うんです。
__ 
素の状態である事。リアルに役者を感じるようになるという事ですね。では、平林さんが考える「魅力的な俳優」とは。
平林 
やっぱり、その場でやっているように思わせる人、ですね。ああ、今この場でその気持ちになってるんだ、って。その場で悲しい気持ちになっている役者がいて、それがお客さんに伝わって・・・生の舞台の最大の魅力ってそこだと思いますよ。
__ 
そこに毎回行き着けられたらすごいですよね。
平林 
ねえ。
__ 
何か方法があるんですかね? いや私もそういう風になった舞台は何回か立ち会った事があって、手の込んでる作品にお客さんが夢中になった時に、まあ会場が一体になっている感覚があって。傑作ってそれの事なんじゃないかと思っているんですが。
平林 
でも、手順や手数だけじゃない何かもあるんですよ。俳優に限って言ったら、例えば人生経験とか、深みだったり。
__ 
そうそう、そういう、トレーニング出来ない部分ってありますよね。それから、何だろう・・・お客さん側の努力もいるのかなと思います。役者がいくら、生の状態になっていても、見る態度にまで持っていけないといけないし、ちょっとつまらなくてもカンタンに諦めてはいけないし。結局、演者側にも客席側にも、手軽な方法はないみたいですね。
平林 
そうですね。疲れますけどね。だからこそ、「やれた!」「見た!」という気持ちになるんだと思います。
ニットキャップシアター 第34回公演『月がみていた話』
公演時期:2014/5/10~11。会場:八尾プリズム小ホール。

タグ: 演技の理解、その可能性 傑作の定義


わかりにくい演劇?

__ 
ただ、どうしてもお客さんにわかりにくい演技や演奏をする場合もあると思いますが・・・。
平林 
ええ、ありますね。
__ 
そういう時、舞台上でどう思われているんですか?
平林 
もちろん、分かりにくいよりは理解してもらった方がいいので、フォローが必要だとは思います。投げっぱなしになってしまうのはきっと良くないので。
__ 
sundayはきっちり回収する部分と投げっぱなしの部分が趣味良く並べられていていいですよね。平林さんがこれまでに一番投げっぱなしにしたのは?
平林 
きたまりさんの作品「ぼく」ですね。上演中、ミラーボールにゴンッてぶつかったんですよ(笑う)。
__ 
あっ、その回私見てました。心配でした。
平林 
あれはびっくりしましたね。こんな事があるんやと。病院で見てもらったら無傷でしたけど。

タグ: 訳の分からないボールの話 きたまり


質問 田中 次郎さんから 平林 之英さんへ

__ 
前回インタビューさせていただいた、京都の演劇ユニット・枠縁の田中さんから質問を頂いてきております。「占いを信じますか?」
平林 
あまり好きじゃない、ですね。信じてしまいそうで。TVでやってたら見るくらいかな。

サーカス

__ 
さて、平林さんが所属されているsundayの主宰、ウォーリー木下さんについて。もちろん「友達」の演出でもありますが、平林さん個人にとってはどんな方ですか?
平林 
怖い人ですね。
__ 
怖い!?どういう部分が。
平林 
S的な部分がありますね。いやそんなに怖くないんですけどね(笑う)。
__ 
東京での仕事も増えてますよね。今後、どうなっていくんでしょう。
平林 
あれじゃないですか、サーカスを始めたらいいんじゃないかと言ってます。木下サーカス。
__ 
まさに木下サーカスですね。
平林 
まあ、特殊な事はしているけれども、間口の広いところに行こうとしていて。それがどんどん広がっていったらいいんじゃないかと思いますね。

タグ: ウォーリー木下


毎日続ける・生意気のこと

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
平林 
自分にとって大事な事を毎日続ける事ですね。なるべくサボらずに。例えば楽器の演奏とかね。
__ 
若い人達へ一言、お願い出来ますでしょうか。
平林 
生意気である事が大事だと思います。
__ 
・・・生意気。周囲を恐れない・萎縮しないということ、ですかね。
平林 
ですね。
__ 
世界一団は生意気だったんですか?
平林 
生意気でしたよ。失礼な感じだったんじゃないですか。
__ 
なるほど。最近、失礼な若手はあまり見ない気はしますね。いや、いるのかな。

タグ: 続ける事が大事


ナナホシテントウムシのピン

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントがございます。
平林 
ありがとうございます。
__ 
どうぞ。
平林 
(開ける)可愛い。
__ 
テントウムシのピンです。よく見るとテントウムシだ、みたいな。

タグ: プレゼント(装飾系)


第9回アトリエ劇研舞台芸術祭参加作品「舟歌は遠く離れて」

__ 
今日は枠縁の田中さんにお話を伺います。どうぞ、よろしくお願いいたします。最近、田中さんはどんな感じでしょうか。
田中 
最近は、アトリエ劇研プロデュースの「舟歌は遠く離れて」の稽古ですね。サワガレを止めてから、5本目ぐらいの役者参加です。僕は初演は見ていないんですけど、かなり違うものになるらしくて。元々無かった役の人もいたり。
__ 
田中さんはどんな役所なんですか?
田中 
自分は、舟に乗り込んでくる避難民の兄妹の兄役です。これだけベテランの先輩達と一緒にやるのが初めてで、実は戸惑っています。何をしたらいいのか分からない・・・台詞を覚えるとか、脚本通りにやるとかにあんまり意味がない。この役はこういうことができる、こういう展開に持っていくこともできる、それも面白いがこっちのほうが面白い、というのを役者一人一人が考えて提出しないといけない。そういうのがプロなんだな、と。
__ 
自信は。
田中 
全くないです。城崎で公開稽古した時、普通に震えてました。一昨日帰ってきたんですけど、稽古場を借りて一人でウダウダやってました。これはやばい、と思ってます。
枠縁
田中次郎が描く物語を上演する劇団。2014年4月旗揚げ。劇団名の由来は劇団が作品を形作る枠であり、現実と物語をつなぐ縁でありたいと願う思いの表れである。(公式サイトより)
第9回アトリエ劇研舞台芸術祭参加作品「舟歌は遠く離れて」
公演時期:2014/6/26~7/1。会場:アトリエ劇研。

タグ: 上の人らと仕事 最近どう? プロの仕事