妄想にくるまれた大川

__ 
3週間にわたる公演期間の中で、ご自身にとって最大のハプニングを教えてください。
山西 
すごく個人的なことだったら。長時間の公演なので、途中にトイレ休憩が一回あったんですけど、僕はその案内する役をしてたんです。で、駅のトイレにお客さんを連れて行ってたんですけど、そこの掃除のおばちゃんとほぼ毎日会うので妙に仲良くなったんです。で、ある日の公演中に、そのおばちゃんがいつもの清掃服じゃなくて、私服で駅を歩いてて、いつも通り声をかけたら「いや今日はプライベートやから」って言われて。
__ 
清掃のおばちゃんがそれを言う衝撃は凄いですね。
山西 
まさかそんな感じだと思わなくてびっくりしました。(笑う)
__ 
では、最大のアクシデントは何でしたか。
山西 
不確定な要素が多かったので、本当にいろいろあった気がします。すぐ思い出すのはやっぱり船着き場の渋滞ですかね。屋形船が何艘かお客さんを降ろしていて、僕らの船が停泊できない、不思議な無の時間が流れて。
__ 
でも、そういう時間での役者のアドリブが素晴らしかったです。アクシデントでもハプニングでも、そこを笑いに変えてしまう力がありますよね。
山西 
リハをするまでは、もう少しセリフが決まってたシーンがあったんですよ。でも実際に船の上に乗って移動してやってみたら、ボスが「台本じゃなくて、リアルに見たもの聞いたもので会話した方が面白いんじゃないか」と。ほんとにそうだったと思います。
__ 
ちなみに、私が参加した回で面白かったのは乗船中の小中さんかな。カヌーを漕いでいる人達を川で追い越した時、船に付いている拡声器で「邪魔をしてすまない、今大阪を救っている途中なんだ」って言った事です。あれは本当に頭がおかしかった。「妄想」がキーワードの作品という事もあって、白昼夢感が凄かったです。

タグ: アドリブについて 妄想


東京へ

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。
山西 
よろしくお願いします。
__ 
最近、山西さんはどんな感じでしょうか。
山西 
元気にやってます。いろいろ終わってひとつの区切りを迎えて。
__ 
東京への引っ越しもありますしね。その直前ですね。
山西 
はい。向こうでの生活が始まる実感はまだあんまりないんですけど。
子供鉅人
2005年、代表の益山貴司、寛司兄弟を中心に結成。「子供鉅人」とは、「子供のようで鉅人、鉅人のようで子供」の略。音楽劇や会話劇など、いくつかの方法論を駆使し、世界に埋没している「物語」を発掘するフリースタイル演劇集団。路地奥のふる長屋を根城にし、演劇のダイナミズムに添いながら夢や恐怖をモチーフに、奔放に広がる幻視的イメージを舞台空間へ自由自在に紡ぎ上げる。また、いわゆる演劇畑に根を生やしている劇団とは異なり、劇場のみならずカフェ、ギャラリー、ライブハウスなどで上演、共演したりとボーダーレスな活動を通して、無節操に演劇の可能性を喰い散らかしている。(公式サイトより)

タグ: 出立前夜 最近どう? 引っ越し


クルージング・アドベンチャー3 オオサカリバーフォーエバー編

__ 
さて、子供鉅人の「クルージング・アドベンチャー3」。大変な公演でしたね。子供鉅人のツアー型演劇、今回で2回目。出演されて、いかがでしたか。
山西 
僕は4月から子供鉅人に参加して、初めてがアドベンチャー演劇だったので。すごく刺激が強くて。
__ 
役者にとっても観客にとってもものすごい冒険でしたよね。私は昼の回も夜の回も拝見したんですが、どちらにも違う魅力がありましたね。
山西 
どちらの回が良かったですか?
__ 
私は昼の方が好きですね。
山西 
そうなんですか!どういう部分が。
__ 
もちろんどちらにもそれぞれの良さがあるんですけど、昼はその、お祭り感が凄かったです。川を下っている時、岸に面したBARのお客さんがこっちを見ていて、手を振ったりリアクションを取ってくれたりするその現場感が凄い。夜は夜で、演劇的な良さがあるんですよね。大阪城は出るし、風景が動いている感じがね。
クルージング・アドベンチャー3 オオサカリバーフォーエバー編
公演時期:2014/6/13~30。会場:大阪府大川(旧淀川)周辺。

タグ: ユニークな作品あります 子供鉅人 子供鉅人の街頭演劇アドベンチャー ツアー演劇の可能性


__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。沢さんは最近、どんな感じでしょうか。
沢  
最近はだいぶ、俳優よりもプロデューサー業の割合が多くなっていますね。あとは、勤め先の花を育てたりしています。
__ 
おお、花を。
沢  
でも、切られて持って行かれる事があるんですよ。
__ 
ああ、それは、ひどい・・・。私も過去、自転車のサドルを盗まれた事があって。犯人を恨んだりしたんですけど、これはもう何の解決にもなりませんな。
沢  
そうですね、悲しみは癒えないですね。まあでも、あまり考えないようにはしようと思っています。
京都学生演劇祭
京都。ここにはたくさんの学生劇団が存在します。京都学生演劇祭は、この?学生劇団″を対象に「今、最もおもしろい舞台を作る劇団はどこか」そのシンプルな問いに答えを出す、お芝居の祭典です。(公式サイトより)

京都学生演劇祭2014

__ 
さて、京都学生演劇祭について。沢さんが第一回から立ち上げ・企画・プロデューサーをされていますね。今年八月には、四回目となる京都学生演劇祭2014を開催されるという事で。まずは、現在の所感を頂けますでしょうか。
沢  
そうですね。四年目にして、やっと目指すべきところが見えてきたかなと。プロデューサーとして、京都以外にも活動の幅を広げようと全国の学生演劇に携わる方々と交流を行っておりまして。来年にはついに、学生演劇祭の全国バージョンを企画しようと考えています。第一回は2016年の三月あたり。
__ 
素晴らしい。事業になりつつあるんですね。
沢  
その1年前の2015年3月に、準備として、第0回を開催しようと考えています。全国の学生演劇のメンバーと、どういう企画にするのか話し合おうと画策しています。具体的には、各地によって上演スタイルが違うので、例えばどんな上演形態にするのか・賞の設定をするのか・参加資格にするのか、とかを話し合おうと思っていますね。
京都学生演劇祭2014
4回目を迎える京都学生演劇祭。総勢15の学生劇団が、元・立誠小学校に集結。上映時間45分のリレー形式で公演を行います。参加団体の頂点となる「京都学生演劇祭賞」は観客投票で決定され、選出された劇団には10万円の賞金が贈られます。ジャンルを問わず繰り広げられる学生の熱演。夏の京都をさらに熱くします! 公演時期:2014/8/30~9/5。会場:元・立誠小学校。
全国学生演劇祭(仮称)
地方文化の発展、青少年期の主体性の獲得、そして全国的な学生演劇のネットワーク構築を目的とする、全国規模の学生演劇祭。2015年3月に「第0回全国学生演劇祭」を実施し、各地域毎の推薦団体の上演と討論会によって、2016年から開始する全国学生演劇祭(仮称)をどのようなものにするかを決定していく。(公式サイトより)

タグ: 京都の学生演劇 学生劇団と私


この先に何があるんだろう

__ 
そろそろ大ごとになりつつある、学生演劇祭。まずは、第一回開催のきっかけを教えて頂いて宜しいでしょうか。
沢  
まず、僕が演劇を始めたのは大学からだったんですよ。小学校の頃から、将来は俳優になるぞと決めてしまっていて、とにかくやりたくて。卒業して、就活もせずに演劇していました。でも役者として京都でやっていくのは先が見えない。周りを見渡しても、俳優として生計を立てている人はほぼ皆無で。この先に何があるんだろう、となりまして。
__ 
ええ。
沢  
やっぱり東京に行くしかないのか。でも、当時所属していた京都ロマンポップは、京都を文化の中心にしようというスタンスがあったので。僕もそういうスタンスが好きではあったんです。もちろん、演劇は東京の方が面白いものがたくさんあるんです。それでも、京都でしか出来ない何かがあるんだと思いまして。何か、ここで出来ないか。そう思った時に、京都は学生の街だ、と。さらに、京都ならではの「型にはまらない表現」の作品や俳優は、学生劇団の中からこそ生まれるんじゃないかと。歴史を見ても、演劇分野に限らず多くの才能が生まれている訳ですし。
__ 
そうですね。
沢  
あとは、京都ロマンポップの作品で、各学生劇団から出演者を一人ずつ紹介してもらうという企画がありまして。そういう個人の交流が下地にあったんだと思います。
京都ロマンポップ
「物語は幸せへの通り道」京都ロマンポップは、2005年京都を拠点として旗揚げしました。作品は、よりふじゆきによる脚本:本公演と、向坂達矢による脚本:さかあがりハリケーンの二本を支柱としています。現在は、向坂達矢による脚本:さかあがりハリケーンを主に発表しています。本公演の舞台設定は、古代ローマ、中世ドイツ、昭和初期日本、そして現代と多岐にわたっていますが、一貫して描かれているのは普遍的な人間の悲しさや苦悩であり、そこから私たちの「生」を見つめなおす作品です。哲学的な言葉を駆使しながらも、役者の熱や身体性を重視する、ストレートプレイ。(以下略)(公式サイトより)

タグ: 大学卒業後に・・・


これは発熱する祭

__ 
さっき仰った事が気になっています。「京都ならではの型にはまらない表現」。型に囚われないという事は、考え方に余裕があるという事だと思うんですよ。そこには、無知や不知が生む余裕もあるのですが、それはきっと歓迎すべき可能性でしょうね。創作においては、これはなおさら。学生時代をモラトリアムだと捉えた時、責任がない、自由に出来る、そんな環境に置かれている彼らは、優れた創作が出来る潜在能力を全員持っていると考えられると思うんですね。
沢  
ええ。
__ 
さらに、初期衝動というものがある。
沢  
そういう環境での創作がですね、次のステップにつながっていければいいですね。
__ 
それが一気に集合する京都学生演劇祭。祭という体裁を取っている事が大事ではないかと思っているんですが、いかがでしょうか?
沢  
そんなにお祭というものを意識して付けた訳ではないんですが、第二回ぐらいから「これは祭なんだな」と意識するようになりました。祝祭感を大事にしていきたいなと。
__ 
なるほど。今回のプログラムの組み方が、まさに祭らしいなと思いまして。一日に何団体もが、二つの会場を同時並行のショーケース形式で入り交じると。つまり同じ時間に、同じ建物内の別々の部屋で。それぞれの上演が終わった後、元・立誠小学校内にいる全員が同時代性を感じる事でしょう。その感慨こそが、次代の様々な文化状況を生む土壌となると思います。
沢  
そうですね。ちょうど上演が終わった後の猛っている時ですから。その辺の絡みはすごく、熱いでしょうね。

タグ: 演劇祭


未知の価値を探しにきてください

__ 
これまでの学生演劇祭の開催の中で、印象に残った出来事を教えて下さい。
沢  
ホントに、色んな人に叱られながらもやってきた演劇祭だなあという印象が強いですね。それまで役者しかやってきてないので、企画書の書き方がなってないと劇団員に叱られ、実行委員会を作ったもののどう動かしていいか分からず学生に叱られ。足りない部分を色んな人に補ってもらいながら続けているなあと。
__ 
それでも、今でも続いているという事は進歩しているという事だと思います。
沢  
そうですね、ちょっとずつでも規模を拡大しているので、自分のキャパを強引に広げているような。それから、印象的な事と言えば・・・第一回の演劇祭に丸山交通公園が、京都産業大学の劇団ACTから参加してきてくれたんです。普段の集客は少なく、彼らの知名度もそこまでなかったんではないかと思うのですが、彼と劇団ACTの才能を、京都の中心で沢山のお客さんに見てもらえた事は大きいと思います。200人以上のお客さんに、彼がすごくウケて話題になって。彼らの、演劇を続ける理由にもなれたのではないかと。それはもちろん、劇団テフノロGも、僕の出身の劇団月光斜TeamBKCもそうだし。
__ 
地理的な条件で出会えなかった劇団とお客さんを結びつけたという功績ですね。
沢  
はい、学生演劇祭の価値としては少しばかりはあったのかと。今年も未知の劇団が多いので、そこを楽しみにして頂ければと思います。
__ 
楽しみです。参加した学生達の存在感がありますね。
沢  
学生演劇祭は賞レースなんですが、観客賞と審査員賞の二つの評価軸があるんです。その観客賞で一年目は最下位だった劇団があったんですけど、劇団の中の一人がその打ち上げで「情けないっす」と深く沈んだ表情で言っていて。それが二年目は大躍進して、観客賞は三位・審査員から団体賞をもらったんです。演劇の勉強はしてないけれど、でもだからこそ大きく成長するというのもあるんですよ。そういう部分のドラマもあるのかなと。

タグ: 自分は何で演劇を


「ここでしか聞けない先輩の本音。」

__ 
さて、祭についてもう少し。お祭という体裁が学生達にどんな影響を与えているのでしょうか。
沢  
今回は時期が変わってしまって、申し訳ないんですけど・・・。色んな同世代と出会えて競い合える。そういう場として、認知されつつあるとは思います。
__ 
そうですね、何日かではありますが、交流しあわないではいられない場ですね。
沢  
でも、その交流もそのままにしていては何もならないですから。最近頑張っているのは、学生演劇祭の前にオープンステージという括りで番外企画をいくつもやっているんですね。
__ 
番外企画。
沢  
今回は5月末に合同稽古をして、学生自身にWSをしてもらうと。学生がその内容を考えるんですね。その次はMONOの土田英生さんや照明家の葛西健一さんをお呼びしたWSですね。大きい公演の舞台裏ツアーをしてもらうという企画もありました。KUNIOの「HAMLET」です。アフタートーク付きで。これは参加人数が限られているんですが、大きな刺激になったようです。上のステップが覗ける、いい機会になったんじゃないかと思います。
__ 
なるほど。
沢  
それから、先輩たちの本音が聞けるトーク企画も開催します。まあ、演劇を続けるって大変で。社会人として演劇を続けている方、バリバリ舞台で作品を作り続けている方をお呼びして、「ここでしか聞けない先輩の本音。」という。学生自身が、これからどういう道があるんだろうと考えて貰えるような企画を考えています。

タグ: 本音の価値 自分は何で演劇を


質問 西岡未央さんから 沢 大洋さんへ

__ 
前回インタビューさせて頂いた、西岡未央さんから質問を頂いて来ております。「学生劇団が熱いと思う理由は何ですか?」
沢  
なんでしょうね。やっぱり、訳の分からないものが飛び出してくる感じ。その時の感情とかが一瞬現れて作品になる。そういう瞬間が好きですね。

タグ: 正体不明のエネルギー


世代で橋渡しが続けられるような

__ 
同時代の学生劇団というのはワクワクする存在ですからね。
沢  
僕は滋賀でしたけど、京都から離れていてもワクワクしていましたね。
__ 
そういう出会いをプロデュースしているという事だと思うんです。これに今参加した学生が、6年後の2020年、第10回の学生演劇祭に来てくれて、その時の連帯感を思い出してもらえたらいいですね。
沢  
そうですね。そこは、実は全国的な仕掛けを作れたらいいなと思っています。
__ 
というと。
沢  
学生劇団出身の、そんなOB・OGが沢山いらっしゃると。そうした方々を全国的に呼びかけて、今の学生を応援して頂ける仕組みを考えています。お客さんとして見に来て頂けるのがまず大きな一つです。さらに言えば、先輩後輩という人と人とのつながりが、文化への援助として連なっていく。金銭的な存続もその一環として視野に入れています。先輩から後輩に、寄付金という形で長い時間で存立していけるような枠組みが出来ないか。助成金にはなるべく頼らずに。もちろん毎年、この事業が必要なのかお互いに確認し合える場を用意し、世代で橋渡しが続けられるような・・・そんな形にしたいです。

個性がめまぐるしく飛び交う、そんな日

__ 
学生演劇祭を通して、ご自身が一番好きな時間はいつですか?
沢  
それはやっぱり、学生の作品を一番最初に見れる時ですね。なんじゃこりゃ、というものもありますけど、でも、お客さんより大分感動しているとは思います。
__ 
なんじゃこりゃ、という作品もありますよね。
沢  
そうですね、面白いものもつまらないものも個性があって、自分の個性を好きなようにつぎ込める。それが許される。それは京都という土地柄の大きな魅力、懐の深さかなと。雑多な感じですね。小屋入りしてからはそういう個性がめまぐるしく飛び交っていて、面白いです。
__ 
楽しみですね。どんなお客さんに見てもらいたいですか?
沢  
やっぱり、同世代の学生には見てもらいたいです。演劇に近い文化系のサークルの人と、ジャンルを越えた交流が生まれたらいいなと。お互いに刺激しあって化学変化が起きたら。
__ 
反対に、演劇祭に来ないであろう方々に一言。
沢  
演劇というジャンルの、それも学生の作品。演劇というジャンルで声を上げようとしている(社会に対してか、同世代に対してか、それとも自分自身に対してかは分からないですけど)。それが最も凝縮して集まっている企画だと思います。是非、複数団体見て頂けたらと思います。
__ 
当日の現場の空気を感じてもらいたいです。きっと、普通の演劇とは違うし、もしかしたら他のどんな演劇祭よりも濃い熱量があるかもしれない。さらに、学生演劇を始めようと思っている方に一言頂けますか。
沢  
中高校招待枠を去年から用意しています。今年も早速申し込みがあったんです。是非、利用してもらいたいです。
__ 
学生演劇を辞めた方々に一言。
沢  
そうですね。学生時代の思い出って沢山あると思うんですけど、僕の場合は一つ上の先輩がいわゆる黄金世代。今でも忘年会を開いてくれるんです。後に続いている後輩が、今も母校で演劇をやっているんですよね。演劇をですね、是非趣味の一つとして。今住んでいる土地の演劇を見ていただきたいですね。

タグ: 後輩たちへ 京都の学生演劇 土地の力 俳優を通して何かを見る


役者の価値って何なんだろう

__ 
さて、沢さんは映画にも出演されたという事で。映画『星を継ぐ者/Inherit The Stars』。予告編を拝見したんですが、延命さんがカッコ良かったですね。高瀬川すてらさんも。そして、あの吉岡里帆さんが出てますね。
沢  
とにかく、時間を掛けた作品でしたね。演劇と映画がとても魅力的な出会いをしている作品だと思います。今回を機に、映画の方に演劇人を紹介出来たというのが大きいかなと。映画の方からは演劇が畏れ多いというものがあるらしくて。演劇側にもそういう思い込みはあると思うんですけど・・・その間の出会いを、名鑑のような形で紹介出来るような仕組が作れればいいなと思います。
__ 
素晴らしい。撮影自体はどんな経験でしたか?
沢  
一年半ほど撮影期間がありまして。その間、色々ありました。喧嘩もあったし、対話もしたし。深く交流のある作品でしたね。役者の価値って何なんだろうと、そういう事も考えました。役者になりたいという思いを小学校から抱いていたけれど、その時描いた通りに行くわけではないんだな、と。
__ 
そうですね。俳優が生きるというのは、それだけで難しいかもしれない。経済的な事情はどうあれ。
沢  
一緒に演劇をやりたい仲間とも、いつまでも出来る訳じゃないんですよね。京都ロマンポップの作家であるよりふじゆきが上海で仕事してるんですけど、彼といつかもう一度演劇をしたいなとずっと思っていまして。この前の5月、上海に行ったんです。
__ 
おお!
沢  
向こうでの彼の仕事や生活を見たり、お互いの考えを話しあったり。結果、やっぱり無理なんだなと分かって。そういう分岐がある節を迎えて、色々考えますよね。どうしても理想との乖離というか。それがきっかけとなってか、俳優って全く価値が無いなと思っちゃったりするし、演劇はもっと面白くなれるし社会に対して価値を持てるはずなのに、全然足りていない。そういう事を考えながらも、学生演劇祭をやってますけど。
映画『星を継ぐ者/Inherit The Stars』
2014年第6回福岡インディペンデント映画祭コンペティション部門正式出品となった-映画『爛れる/Becomes Sore』の監督・末長敬司と、2011年第5回京都造形芸術大学映画祭において作品-賞・撮影照明賞・録音音響賞・美術賞・女優賞の5冠を達成した映画『つくすみ』のスタ-ッフが、吉岡里帆を主演に迎えて放つ、インディペンデントのスケールを超えたSF大作!*2014年秋より順次公開予定*(公式サイトより)

タグ: 分岐点 社会の中で演劇の果たすべき役割


企画あり

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
沢  
まずは東京と福岡で、学生演劇祭を向こうでもやれればいいなと思います。東京には有名所が沢山あるじゃないですか。早稲田とか。短編の作品を上演出来るような演劇祭を実現出来たら。もっともっと、関わってくださる方々を募集しています。
__ 
東京の学生演劇で、こうしたイベントの持つ共時性が濃く感じられたら凄く面白いでしょうね。
沢  
そうですね、特に東京は絶対数が多いんですよね。でもこうしたイベントを続けるのはとりわけ難しいらしくて。学生が自立して継続できるような、そんな仕組にしていかなければならないなと。よそ者だからこそ出来る企画が生み出せたらと思います。

故郷に思う

沢  
将来的な理想としては、実家で演劇や文化振興が出来たらと思っていまして。
__ 
隠岐の島ですよね。
沢  
そうですね。隠岐の西ノ島というところは、段々と人が少なくなってまして。どこか贅沢な話ですけど京都での演劇をもっと盛り上げて、5年先ぐらいには隠岐でもそんな事が出来たらなと思っています。実は、京都ロマンポップで一度やってはいるんです。
__ 
あ、そうでしたね。「沢先生」。
沢  
島民の約4000人の内、400人以上が観に来てくれて。島にとってもありえない事で。島に帰る度、その事を言われて、「またやってよ」と言われるんです。プロデューサーとしてはあれぐらい、あれ以上の事をやらないといけないんだろうなと思います。役者としても、道を見つけられて、何か島に還元出来たらと思います。
__ 
俳優でありながらプロデューサーというのは結構珍しいですよね。
沢  
先々週、祖父が亡くなりまして。火葬場で最後のお別れの時にですね、父の事も思い出して。火葬場の同じ場所で、最後に「僕は俳優になる」という事を誓ったんですよ。俳優としての自分も、ちゃんと考えていかなければならないと思っています。プロデューサーとかけ離れてはいるんですけどね。

タグ: 演劇のない地に演劇を現出 現動力


小鳥のスタンプと鳥っぽいペーパーナイフ

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。
沢  
ありがとうございます。照れくさくなりますよね。
__ 
ペーパーナイフと、ハンコです。どちらも小鳥をかたどったものです。封筒を沢山開ける職だと思いますので。小鳥のハンコは、まあ個人的なマークにお使い頂ければ。
沢  
確かに。今日も封筒を2つ開けました。使います。

タグ: プレゼント(文具系) プレゼント(ツール系)


東京に行った西岡さんが京都に戻ってきた日

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。お久しぶりですね。最近、西岡さんはどんな感じでしょうか。
西岡 
こちらこそ、よろしくお願いします。私、今は新国立劇場の演劇研修所の研修生です。今年で3年目で、研修所の最後の年なんですよ。いくつか試演会を重ねてから修了という感じです。まずは、9月に2本の試演会があります。ちょっと遠いんですけど、関西の方々も観にきて頂けると嬉しいです。
__ 
ありがとうございます。頑張ってください。東京に来て、自分は変わったと感じますか?
西岡 
色々と、変わったとは思います。でも根本的な部分が変わったとは思わないですね。無理矢理変わろうとしても無駄だし、変えるには自分はなかなか頑固だなあって。ぜんぜん変わらないというのもなかなか辛いものがありますね。なすがままという感じで行こうと思います。
新国立劇場 演劇研修所
演劇研修所は、3年の研修期間を設け、芸術表現としての演劇を主体的に実践し、組織していく俳優を育てることを中心にカリキュラムを編成しています。1.2年次は基礎的俳優訓練とともに、第一線の演出家や俳優指導の専門家を軸とする講師陣によるシーンスタディを展開し、3年次には修了公演に向けて数本の舞台実習公演を行っています。修了生は、新国立劇場公演のみならず、さまざまなプロデュース公演に出演するなど、活躍の場を広げています。(公式サイトより)新国立劇場 演劇研修所 Facebook

タグ: 『東京』 演劇研修所


脚本のパワーに飲まれないように

__ 
さて、新国立劇場演劇研修所の公演が、9月ですね。
西岡 
9月の5日から10日に一本目「親の顔が見たいと、9月の23・24日に二本目「朗読劇「少年口伝隊一九四五」を上演します。
__ 
一ヶ月に二本の大作ですね。
西岡 
はい。たまげました(笑う)。私たち八期生と、研修所の修了生と文学座の俳優さんを客演に招いて、色んな分野の一線で活躍するスタッフさんが参加されています。そこも含めて、かなり、勉強になると思います。
__ 
見所を教えてください。
西岡 
一本目の「親の顔が見たい」は、現代劇です。ほとんどの登場人物が実年齢より上の世代で。ちょっとキャラクター作りの難易度が高いんですけど、どうなるか楽しみです。劇構造としては、「12人の怒れる男」のカトリック系女子校バージョンですね。密室劇で、いじめを苦に自殺した生徒が主軸の話だったのが、どんどん父兄の社会的に隠している部分が噴出する展開になっていくのがとても面白いです。
__ 
見てみたいなあ。
西岡 
朗読劇「少年口伝隊一九四五」」は井上ひさしさんが研修所の2期生のために書き下ろして下さった作品で、毎年、研修生が朗読劇公演として上演しているんです。皆さん必ず言うんですけど井上さんの言葉の使い方が本当にすごいんですよ。体を通して実感しました。
__ 
分かります。
西岡 
言葉の全てが質素なんですよね。華やかな言葉はなくて、でも的確に伝わるんです。それがすごいなあって。台本上の延ばし棒一つにしても意図が伝わる。脚本のパワーに飲まれないように、でも余分な事をしないように。無理矢理をやってしまって、無理無理なんて思わないように。
新国立劇場演劇研修所 第8期生試演会「親の顔が見たい」
公演時期:2014/9/5~10。会場:新国立劇場 小劇場。
新国立劇場 演劇研修所公演 朗読劇「少年口伝隊一九四五」
公演時期:2014/9/23~24。会場:新国立劇場 小劇場。

タグ: 朗読劇についてのイシュー 次の公演


本来の気持ちに

__ 
研修所での西岡さんの様子を伺えればと存じます。今、どんな生活をされているんですか?
西岡 
一年目は、月曜日から金曜日までフルタイムでしたね。朝9時半から夕方くらいまで研修でさまざまな講義や、実技を受けています。二年目になると、現在バリバリ活躍されている演出家の方々と芝居を作る授業も始まり、月~金曜+αで不規則になりました。大学と同じくらい、毎日勉強してます。
__ 
それは、楽しい楽しくないという尺度で言うとどうですか?
西岡 
うーん、時期によって違います。研修生1人1人によっても違うでしょうし。私は、当初は本当に、やりたくてやりたくて仕方なく入りました。でもいつからか日々の生活がルーティン化してくると、ちょっとダレるというか。贅沢なことに、与えられている事が当たり前になってしまって、気持ちが崩れてしまいました。そういう変化を講師の方も分かっていらしたみたいで、喝を入れてもらったりとか、自分でも奮起したり、また初心を思い出して、本来の気持ちに戻ったり、そういう繰り返しでした。
__ 
ルーティン化。
西岡 
私の場合は、周りに「このままじゃ駄目よ」とハッキリ言ってくれる方がいたんです。講師や、同期の8期生も。それから、研修所以外の芝居仲間や同世代の人たちが頑張って公演を重ねているのをみて気付かされる、そんな瞬間がありました。
__ 
なるほど。
西岡 
2年目までは外の公演には参加出来ないのですが、3年目からはカリキュラムが試演会と修了公演のみになるので、外の仕事を受けても良いんです。
__ 
あ、そうなんですね。
西岡 
そういう自分の状況もありつつ、外で仲間がめっちゃ面白い事をやっていると、うわあ~って凄く焦りました。

タグ: 演劇研修所


ふたりの会話

__ 
2年、学んだ中で一番ショックを受けた事は何ですか?
西岡 
一番最初の演技の授業。イギリスのRADAでも教えられているローナ・マーシャルさんの授業ですね。二人一組のダイアローグを、とりあえず貴方たちの思ったように作ってきて、と課題を出されまして。ペアの子と試行錯誤して作って、実際見て頂いたら、「お芝居をしているわね」と言われたんです。
__ 
なるほど。
西岡 
それまでやってきた事を根底から覆された気がして。私、今まで何をしてきたんだろう・・・いや、芝居をしているわねって言われたけどそれはどんな事なんだろう? 一年目は、演じるというよりも、まず自分が何者か、どこに立っているのか、その上で自分の癖を見直す、とかそういう、パーソナルな部分に触れる授業がほとんどでした。1年目の授業は、ほぼ毎回ショックを受けまくりでした。こんなにも、自分の体はコントロール出来ないものか、こんなにも私は人の話を聞いていないのか、というように。
__ 
自分の事を見つめる一年だったんですね。
西岡 
私はすごく、怖がりだという事が分かりました。
__ 
怖がり?
西岡 
芝居を始めた頃に自分がどういう演技の作り方をしていたかはあまり覚えてないんですけど・・・パッケージングするのが得意だったんじゃないかと思ってます。パッケージするというのは、例えばいまここで喋っている時、お互いに刺激を感じていますよね。
__ 
ええ。
西岡 
でも、会話している役を演じるとなると、相手からリアルタイムで刺激を受けている事実を忘れてセリフを吐いていたんです。しかも、やりたい絵を最初から決めてしまっていて、そこに向かう為にはどうすればいいのか?というのがある程度「かたち」として出来てしまう。
__ 
会話の交流を予測したり決めたりする事は、安心ですね。たしかにその意味では怖がりと言えるかもしれない。
西岡 
けれども、それはもう相手が誰であっても良いという事なんじゃないかと。多分、講師が言いたい事はそういう事だったんじゃないかと思います。人とどうやって対話するべきかと、それを考えるようになりましたね。
__ 
異なる存在と接する時の、エモーショナルな瞬間、ですね。
西岡 
そうですね、そういう、エモーショナルな状態のフリをしていたんだと思います。本当にそういう状態になる前に、まず「かたち」を作ってしまった。会話先行、頭先行だった。本来なら、もっと何が起こるか分からないのが演劇と交流の醍醐味なんですけど、私は多分それを見過ごしたまま、無自覚に絵を作って出来た気になっていたんです、きっと。でも、そういう事じゃなかったみたいだと。
__ 
それはきっと、舞台と観客席の間でも起こるべき事で。例えばいい映画って、全部の動きにワクワクするじゃないですか。一つ一つの動きや曲線が目に入る度、その効果が純粋に心に響く。意味や意図さえ伝わる。あれは舞台でも起こる。
西岡 
はい。
__ 
とにかく、一年目のスタート地点から、「交流」が本来持つべき価値が見えた。
西岡 
もしかしたらそうかもしれません。今まで関わった戯曲に対しては失礼な事をしていたのかも。答えを一つに決めて掛かってしまうなんて。それが、スタート地点に立つ上で一番大切な事だったのかもしれないなと。
__ 
なるほど。

タグ: 俳優の提案作業 演技それ自体への懐疑 見えないぐらい濃い交流 相互承認 観客との関係性 SeizeTheDay