ユニットから劇団へ

__ 
コトリ会議を結成した経緯を教えて下さい。
山本 
元々僕は役者をやってたんですけど、その時にいろんな人たちと出会って。
__ 
なるほど。
山本 
一緒にやりたいと思う人たちと「のび劇団のび」というユニットを立ち上げてカラビンカで作演をしたのが初めてでした。この人達と芝居をやりたいなと思って、コトリ会議を立ち上げました。第一回は別役実さんの「いかけしごむ」で、お客さんは20人ぐらいしか入らなかったんですけど面白いねと言われて。その時は芝居をやりたいというよりはこの人たちとワイワイしたいなと思うぐらいだったんです。作演はローテーションのはずだったんですけど、そのうちに僕は役者が向いていない事に気づき初めて、それからずっと僕が作演しています。

タグ: 役者向いてない


優しさとはなにか

__ 
コトリ会議の作品を目にする時にいつも思うんですが、とても雰囲気がいいですよね。
山本 
悪人が出てこないという事でしょうか。
__ 
やっぱり俳優間の空気感が良い、という事だと思うんですよね。その人達のムードというか。生卵でいうと舞台上の人々が黄身で、白身の固い部分に客席があって、それは水っぽい白身とも行き来できて、黄身の薄い皮を通して舞台を見ているんですけど、コトリ会議ってあの皮膜を破いたり戻したり自由自在だなあと。輪郭が曖昧だけどはっきりと認識も出来る感じ。そうした、醒めながらも曖昧な、現実だとはっきり認識しているけれども白魚のように認識が逃げる感じ。そこは確実にコトリ会議にしかないなあと。サイトにもあるとおり、一生懸命になりすぎて少しおかしくなってしまった人、それはつまり現代に生きる我々全てだと思うんですけど、彼らのせいなのかなと。優しいけれど、おかしくなってしまった人。
山本 
よく僕は言うんですけど、奇人変人でくくるなと。僕もよく変人と言われるし、皆さんどこか変人だと思うんですよね。それは一般社会にもいて、軋轢と一生懸命戦って、壊れないようにしているんです。だから、簡単に変人として見られる人は出さない。
__ 
そうですね。
山本 
僕の周りに、結構変人は多いように思えるんですが、でも彼ら自身が自分と戦ってるんですよね。

タグ: 空気感を大切にした 脱力系のナゾ わたしの得意分野 一生懸命を描く 有機的に関わりあう 曖昧さへの礼賛


割れる世界

__ 
山本さんが演劇をやっている理由を教えて下さい。
山本 
実はよく分かっていないです。台本を書くのは、皆さんそうだと思うんですけど、自分を認めて欲しいからクリエイティブしますよね。どんなに有名な人でも。それに尽きますね。でも、批評なんて十人十色と言われるじゃないですか。その通りなんです。で、そうすると書いている意味が無くなっちゃうんですよね。
__ 
そうですね。
山本 
でも、人に見せる訳じゃなく書いている作品もこの世にある訳で。「にくなしの、サラダよ」もそうなんですけど。もちろん上演する事で見てもらえるというのは僕は嬉しいんですけど、それで自分の世界が壊れてしまうのは恐怖ですね。だから僕は、自分は演出しちゃダメなのかもしれないと思っているんです。固執してしまうから。
コトリ会議演劇公演11回め「にくなしの、サラダよ」
公演時期:2013/4/20~4/22。会場:カフェ+ギャラリー can tutku。

タグ: 世界


うっ

__ 
いつか、こういうシーンを描きたいというのはありますか?
山本 
お客さんがドッカンドッカン笑うんだけど、それが最後には涙に変わって、でもラストに一転してホラーに変わって、恐怖で終わるというのが書いてみたいですね。ゾッとして終わるんです。理想なんですけど。
__ 
落語で最後にぞっとするセリフで終わる名作がありますよね。
山本 
昔の人が言ってたんですけど、ホラーが一番難しいらしいんですよね。笑わせたり泣かせたりするのは簡単だが、って。僕は中々、そこまでたどりついてないんですが。それを書いてみたいですね。
__ 
「にくなしの、サラダよ」は途中までホラーで、でも最後はハートフルになりました。
山本 
全く問題自体は解決していないんですけど、意識を変えるでこれから新しく展開出来るという事が言いたかったんですね。
__ 
そういえば、夫婦間の対立がテーマでしたね。「桃の花を飾る」もそうだった。山本さんにとってはそれがテーマなのでしょうか。
山本 
僕は夫婦という関係性を持っていないので、やはり想像によるんですが。でも、誰にでもある子供時代がその人を形成してるんですよね。やっぱり家族があるんですよね。家族環境にある対立を描きたいと思うんです。
__ 
家庭環境の違い。
山本 
ストレートな愛情表現に、うってなるんです。何故父母は、無償の愛をあんなに私に注いでくれるのだろうかと思って。それが、「にくなしの、サラダよ」は子どもたちが求めていた母親像が勝手に暴走して、みたいな事を考えていたんです。でも本当に恐ろしい思いをしているのは男性なんじゃないか。無償の愛に対する恐れが、実はあるんじゃないかと。
コトリ会議 演劇公演9回め「桃の花を飾る」
公演時期:2011/9/2~4。会場:シアトリカル應典院。

タグ: 泣く観客 愛情表現


質問 玉一 祐樹美さんから 山本 正典さんへ

__ 
前回インタビューさせていただきました玉一 祐樹美さんから質問を頂いてきております。「山本さんオススメの大阪の劇団を教えて下さい」。
山本 
一つだけと言われたら難しいですね。たくさん面白いところはあるので。角が立ちそうな質問。
__ 
いくつでも大丈夫ですよ。
山本 
うーん。同期の30代を超えた人たちは必死になっているので、本当にみんな昔のようには行かなくなって。それぞれの方向性がガチガチに決まっていって。コトリ会議はその中でも若い方なんですけど。僕らの世代から5年下の劇団がガンガン来られてるじゃないですか。壱劇屋、匿名劇壇、ともにょ企画、色んな方向に開いていこうとされていて、エネルギーがあるのはいいなあと。何で僕は他人事になっているのか?同世代でいうと万博設計の橋本さんが自分の道をしっかり見つけてるし、いま一緒にタッグを組んでいるbaghdad cafe'の泉さんも劇団の方向性を決めてやっているし。僕らだけがぽんと、波に乗り切れていないような気がしているんですよね。でも、答えとしてはコトリ会議で。
__ 
分かりました。

タグ: わたしの得意分野 私の劇団について 最新作が最高傑作 私たちの世代


心の目、幽霊、必死さ、鈴江さん

__ 
ホラーと言えば幽霊。昨日、心霊動画を見たんですが、良くみたらうっすい映り方してるんですよね。カメラ写りを見る以上、すごく平面的な存在なんじゃないかと。
山本 
ある小説で面白い記述があって。タクシーの運転手が幽霊に会うんですね。バックミラーには映らないけれど、目には見える。これはどういう事だろうか、と。
__ 
光が何かを経由すると映らなくなる。でもカメラには写っている。
山本 
人間が感知したものは全て脳みそに貯められていると考えられているけれども、その仕組は本当は解明されていなくて、実は体の細胞一つ一つに記憶が蓄積されていて、視覚以外の半端な記憶がそこに行くのではないかという本もありました。心の目、と言ってしまえばそうなんですけど、それは非常に面白いなと。
__ 
脳が感知と記憶を一応やってはいるけれど、肉体が外を体感して貯めている(幽霊はその残響なんだろうか・・・?さらに、我々がそれらを誤検知してしまっている?)
山本 
それにしても幽霊は怖いですよね、何をするでもなく立っているだけ。宇宙人と同じく、目的が見えない怖さがある。それは生きている人がやっていても怖いんですけど。
__ 
俳優の身体を見た時の印象は、最初に出てきた時にしか分からないという仮説を建てた事があります。俳優が研鑽を積み重ねたらそれはこちらにダイレクトに伝わってくる・・・なんてそう簡単にはいかなくて。最高の心技体でも、必ず上手く客席と交歓がなされる訳ではない。どうしても、どこか一瞬は混沌系に委ねられるんですよね。ただ、精神的なものがかなりあるんじゃないかとは思うんです。身体のどこかで世界をナメた役者がいたとしたらそれは分かるし、影響があるんですよ、きっと。幽霊と宇宙人はこちら(見ている側の者)をナメまくっているので問題外なんです。
山本 
あはは。
__ 
奴らのだらしない態度が我々のカンに触るんでしょうね。
山本 
劇団八時半の鈴江さんの下で役者を3回ほどやった事あるんですけど、あの人は芝居が出来てくるとそれを壊そうとするんですよね。僕らみたいなヘタな役者を上手く見せるためには、という事で、僕ら自身が必死になって慌てる事が大切だと。
__ 
なるほど。
山本 
いくら難しい演技でも、稽古を通したら出来ちゃうんですよね。だから、途中で難しい演技を与えてくる。これはムリだ!と必死になっている人が面白いんだ、って。

タグ: 最高の研鑽は成功を担保する訳ではない 肉体、重心 カオス・混沌


いつかよぎる景色

__ 
山本さんはコトリ会議の脚本家・演出をされていますが、お客さんにどんな気持ちになって帰ってもらいたいですか?
山本 
やっぱり、どこかほっとした気持ちになってもらいたいですね。エンターテイメントを求める心が僕の中にはあって、観てたくさん笑った後にずっと考えさせられる。劇場を離れて時間が経って、例えば誰かと話している時、TVを見ている時、お茶を飲んでいるような時にふと再来する、そんないいシーンを生み出したいというのはありますね。作品の解釈なんて結構どうでもいいというのはあって、でも、印象に残るシーンを作りたいですね。
__ 
これまで作られた作品の中で、それはありますか?
山本 
あまり見られてはいないんですが、3回目の公演の「右はじの、映らなかった人」という作品。夕暮れの中で一人の女性が男の写真を映す、その情景であるとか。「サリリャンカララワールド」のラストもそうですね。
__ 
というと。
山本 
暗い倉庫の中生きている女の子が自分の中でストーリーと生活を作り上げるという話で、最後に光が差し込んで、抒情的なセリフが続いて、「母は思い出すよ」というセリフがあるんです。
__ 
ちょっと鳥肌が立ちました。
山本 
でも中々上手く行かなくて、あまり受け入れられなかったんです。
__ 
勇気を持って表現する劇団の芝居が好きなので、やってもらえると嬉しいし、やらなければ何も始まらないですけどね。だから私は、どんな作品の面白さも拾わなければならないと思っています。
山本 
ありがたいお客さんやなあと。ありがとうございます。
コトリ会議 演劇公演 5回め「サリリャンカ・ララ・ワールド」
公演時期:2010/4/17~18。会場:in→dependent theatre 1st。

タグ: 一人では何も出来ない いつか、どんな演劇を作りたい? 新しいエンターテイメント 受け入れる・受け入れられる いつか、こんな作品を作りたい


芝居ってなんだろう

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
山本 
年末にミソゲキがありまして、そこは遊んだ作品を持って行きたいと思います。来年2月に芸術創造館の芸創セレクションに参加させていただくのと、来年5月末にAI・HALLのbreak a legにも参加させて頂きます。
__ 
楽しみですね。
山本 
ええとですね、どのホールさんにも、あまりふざけた事はしません、普通の会話劇ですとお断りしています。こないだのように本番でカレー作ったりはしません。ちゃんとした劇場の中で、異空間の中で芝居したいなというのはあります。それと同時に僕が芝居ってなんだろうと思っている部分はあるので、ある時ふっといなくなるかもしれません。
__ 
ありがとうございました。今後も楽しみにしております。
芸創セレクション
「芸創セレクション」・「芸創エクスペリメンタルシアター」は、大阪市の主催事業です。該当公演の決定は選定委員会が行い、公募によって集まった個人、及び団体の中から、年間約12の個人及び団体を選定します。また、エントリーについては、大阪市内の小劇場が実施しているアワードとも連携し、2~3の推薦枠を設定する予定です。(公式サイトより)
次世代応援型企画break a leg
「break a leg(ブレイク ア レグ)」とは、これからパフォーマンスを始める人に向かって 「成功を祈る」という意味で用いられるフレーズ。本事業では、若手表現者に会場を提供し、次代を担う才能の発掘・育成を目指します。 新風を吹き込んでくれる表現者たちの競演にご期待ください。(公式サイトより)

タグ: おふざけ


春の野草の香りがするお香

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持ってまいりました。
山本 
ありがとうございます。(開ける)何ですか、これは。
__ 
ちょっとしたお香ですね、少し火を付けてすぐに消すと香りが広がります。春の息吹の香りがします。置いておくだけでもいい香りがするみたいです。
山本 
お香はあまりしないんですけど、部屋に置いときます。ありがとうございます。

タグ: プレゼント(インテリア系) プレゼント(お香系)


会いに行く

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
玉一 
そうですね。今回の作品、私はとても思い入れが強くて。福岡でも京都でも上演して、やっぱり色んな人に見てもらいたいという気持ちが強くなりました。全くしらない土地で上演してすごく良かったなあって。あのフェスティバルがずっと続いて欲しいし、私達もいろんな場所の方々に見ていただきたいですし。「ここに来てやってほしい」といってくださる方もいるので、そうしたお声に応えたいです。京都でもやりますけど、京都に留まらず、東京や大阪そして地方と、色んな方々に見ていただけるように動いていきたいです。

タグ: 京都と大阪・大阪と京都


ドライフラワーのようなコサージュ

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持ってまいりました。
玉一 
ありがとうございます。かわいい。嬉しいですね、プレゼントというのはいくつになっても嬉しい。(開ける)あ、かわいい。
__ 
コサージュです。
玉一 
いいですね。女の子らしいものを一つも持っていないので。使わせてもらいます。

タグ: プレゼント(装飾系)


こんな事をやっている人がいるのか・・・。

__ 
いつか、どんな演技が出来るようになりたいですか?
玉一 
これは人外だ、みたいな。すごい変な事を言えばそういう感じの。人を超える領域を垣間見たいなあと思いますね。卓越してるというか。夢のような話ですけど、飛び抜けていってみたい。そういう人たちと一緒に、見るに耐えないものをやってみたい。ロマンポップはサービス精神があると思っているので、いまそこまでは行かないですけど、やろうと思ったら行ってはいけないところに行けそうな気はします。そういう期待が、私がこの劇団にいる理由かもしれません。
__ 
いつか、一緒に作品を作りたい人や劇団はありますか?
玉一 
こないだKYOTO EXPERIMENTでフリンジ企画のディレクターだった、「けのび」の羽鳥さんが来ていらっしゃって。向坂さんと仲が良いので何回か手伝いに行かせてもらったりしてたんです。それで初めてけのびの公演を京都で拝見したんですけど、めっちゃくちゃ面白くて。こんな事を言うのはおこがましいかもしれませんけど。
__ 
へえ。
玉一 
はあ~、こんな事をやっている人がいるのか。って思って。私が見たのは「ウィルキンソンと石」という作品で、お客さんにテキストが与えられて、役者さんは順番にテキストをこなしていくんです。何々したら何々する、みたいなのが書かれていて。会場は普通のパブなんですが、貸切ではなかったので普通のお客さんもいて。普通に飲みに来たお客さんと演劇を見に来たお客さんと役者がいる空間は異様な雰囲気になるんです。ああ、これはキチガイの領域だなと。ぜひ一度、やってみたいと。
__ 
それは拝見したいですね。
玉一 
いま、一番気になっている劇団です。

タグ: 僕を消費してくれ お客さんに元気になってもらいたい いつか、こんな演技が出来たら 私の好きなあの劇団 心を揺さぶる 元気が有り余っている


サービス精神を持とう

__ 
これは仮説なんですけど、玉一さんは観客を味方にするタイプの役者なんじゃないかなと思うんですよ。そういう役者はいると思っていて。玉一さんは、お客さんに対して、何か思ったりする事はありますか?
玉一 
そうですね、悪い気持ちとかは抱かないですね。そもそもお芝居って、楽しんで何かを得ていただく場だと思っているので。お客さんがいないと成り立たないのが演劇だと思います。サービス業についているのですが私はサービス精神だけはあると思っていて、奉仕してナンボだと思うんですよ。演劇も楽しませてナンボだと思っています。基本的には、どんなお話をやっていたとしてもお客さんに対してウェルカムである事は間違いないです。感謝しかないですからね。時間を作って、お金を払って来てくださっている訳ですから、もう感謝しかないですね。
__ 
そのサービス精神が現れていないチラシがね。
玉一 
そうなんですよね~(笑う)私、白塗り大好きなんです。いい写真が撮れたと思います。お店に貼ってもらったりしたんですが、後日伺うとトイレの壁とかに貼ってあるんですよ。これ、知らずにトイレ使ったお客さん怖いかなあと。
__ 
「ニホンノカビ」非白塗りバージョンは見てみたいですけどね。
玉一 
あー、それは逆に、白塗りによって支えられているところもあるんですよね。私達の中で仮面に近いものがあるので、あれを外されるとこっちの心が折れるかもしれない。
__ 
白塗り、必要ですね。
玉一 
でもそればかりやってたら他のお仕事も来なくなっちゃうかなあ。

タグ: 「いつも同じ」と思われたくない 見えないぐらい濃い交流 キチガイ ポカーンとなった観客


私の好きな

__ 
玉一さんにとって、京都ロマンポップはどんな集団ですか?
玉一 
何だろう。どんな集団か。多分、こんな集団は他には絶対ないとだけは言えると思います。そもそも何でこのメンバーが集まったのか分からないですし。高田さんは大学時代からの向坂さんのお知り合いだから分かるんですけど。少なからず、向坂さんの思考の面白さや魅力はあると思うんです。
__ 
なるほど。よりふじゆきさんの戯曲による作品も面白いですよね。一番好きなのは「幼稚園演義」でした。設定も衣装も凄かった。
玉一 
私もです。再演したいんですよね。設定が面白いですし。衣装、実は私が担当したんです。
__ 
え、そうなんですか。
玉一 
服好きなんですよ。服をコーディネートするのが好きだったので、衣装をやってました。あの頃は一人でお針子やってて。当初はああいう、鎧みたいなプランは考えられていなかったんですが。あれ上手くいってましたよね。自分で言うのもなんですけど(笑う)。

タグ: 幼稚さについて あの公演の衣裳はこだわった


質問 廣瀬 信輔さんから 玉一 祐樹美さんへ

__ 
前回インタビューさせていただきました方から質問です。ふつうユニットの廣瀬信輔さんからです。「今までの人生で最も役に立ったデジタルデバイスあるいはソフトはありますか?」
玉一 
うーん、機械オンチなんですよね。iPodなくすし、カメラ壊すし。電化製品を持たせると壊すんで。役に立った記憶がないなあ・・・質問の答えになってませんよね。
__ 
では、こんな機械がほしいというのはありますか?ドラえもんレベルで。
玉一 
それなら、私が言った事ややった事を全部記憶してくれるものが欲しいですね。メモ取っても全然要領を得ないので、全部自分の代わりに覚えていてくれるものがほしいですね。自分の毎日の記憶を。
__ 
そういうものがあったらいいですね。
玉一 
思い出すとかしなくていいですしね。欲しいですね。

あの時代から数歩離れて

__ 
玉一さんが演劇を始めた経緯を教えてください。
玉一 
高校3年の頃、文化祭で演劇をやろうと誘われたんですよ。水球部・テニス部・書画部の仲良しで集まって。三谷幸喜さんのTVドラマのある一話を演劇化する企画でした。それまで演劇なんてやった事無かったんですけどね。それから大学に入って友達にすすめられてラーメンズのDVDを見たんですが、凄く世界観が独特じゃないですか。いいなあと思って。
__ 
楽しそうですね。
玉一 
で、私も当時自分の世界観を京都精華大で絵で表現してたりしてたんです。でもある時先生に「それじゃ全部は伝わらないよ」と。これじゃダメなんですか?全部伝えないといけないんですか?私は偶然性というものも好きだったんです、偶然生まれた技法だったりとか。でも、やっぱり学校だから。研究して積み重ねないとダメなんですよね。そこの食い違いというかそういうわだかまりもあったものだから、平面の世界で息詰まっていて。抜け出したかったというのはありますね。そういう折にラーメンズとかを見て、自分が作品を描くのではなく、自分が作品の一部になるというのはこれまた面白いなあと。それで劇的集団忘却曲線に飛び込みました。
__ 
大学は教育機関ですからね。評価されますからね。
玉一 
そうですね、総評されるんです。私は作品の一部分が面白い、というのもありなんじゃないかなあと思ってたんですが、そうじゃないんですよね。難しいなあと。パッと思いついたらそれをやるという、面白い方に飛びつくという。集中力がないんですかね。でも演劇って、何ヶ月も同じ作品に向き合うじゃないですか。今日は昨日よりも掘り下げられた、みたいな感触があって・・・
__ 
それは、確実に製作者としての意識が高まっているんじゃないでしょうか。
玉一 
そうかなあー。
__ 
ある程度以上の重さを持っている作品は確かにあって、それはお客さんの心と引き合うんですけど、その時にどれだけ考えられて作られているか、に依っていると思うんですよ。それがお客さんの目の前に現れる時、美しい調和をもって時間とともに奏でられると思うんです。
玉一 
そういう意味では、大分自分は変わってきていると思います。入ってからも変わっているし、周りも変わったし。だから、なんか、昔と全然違いますね。

タグ: 俳優のブレイクスルー 頭が真っ白になる 自分を変えた、あの舞台 文化祭前夜 リアルに相対し戦慄する 人生の節目 三谷幸喜 自分で考えてきたもの、の価値 入団の経緯 受け入れる・受け入れられる 尊敬している人


自信満々・鼻高々

__ 
「ニホンノカビ」の見所を語っていければと思います。
玉一 
この作品は福岡で開催された国際コメディ演劇フェスティバルでも上演したんですけど、演出をだいぶ変えて。京都Ver.はめっちゃしんどくなったんですよね。
__ 
しんどくなったんですか。
玉一 
スマートになった部分もあるんですが、盛りつけられた部分もあって。福岡公演は無駄に感動させられる話という方向性だったんです。京都のはより繊細で、例えば家族のシーンも増えたりしました。
__ 
あるシーンで、玉一さんがタクシーの中で「拙者結構出たがりなのでござるがこんな素材どう?」みたいな顔で自分の飼い主を見続ける演技がありましたよね。それがめっちゃ面白かったです。
玉一 
あれも演出ですね。私、笑いに関して「ボケる→スベる→拗ねる」みたいな流れが既に私の考えであって、それをすぐやってしまうんですけど、今回に関しては拗ねちゃダメなんだと言われて。「サムライは自分の考えに絶対の自信があるんだから」と。それがボケになって、スベったりした事については関知しなくていい、それを判断して笑うのはお客さんだから。ずっと自信満々に台詞を吐いて、鼻の穴を膨らませておけばいいんだと言われました。
__ 
素晴らしい。そう、逃げてなかったですよね、侍は。最後には見事、戦いに勝つし。
玉一 
そういう風に一気にばーんって行く訳じゃないですけど、着実に積み上げられていって、それで成立した演技ができている気がします。嬉しいですね。これからも蓄積する演技が出来ていったらと思います。

タグ: 演技の理解、その可能性 登場人物が好きになれない 役をつかむ 繊細な俳優 自信がない 生きている実感


カメハウス第漆回公演「MEMENTO」

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願い致します。京都ロマンポップの玉一さんにお話を伺います。京都ロマンポップは昨日、UrBANGUILDで公演「ニホンノカビ」を終えたばかりですね。お疲れ様でした。最近はいかがですか?
玉一 
ありがとうございます。よろしくお願いします。今は、カメハウスの公演「MEMENTO」の稽古が始まっています。以前、プロデュース公演の時にカメハウス主宰の亀井さんと出会ったんです。今回はその縁からの参加になりました。世界観の作り込みが凄いんですよ。台本と一緒にキャラクターの設定資料を頂いたんですが、それがこと細かに書かれていて。それを読んだだけでも世界観が分かるんです。
__ 
楽しみですね。
玉一 
はい!とても。
京都ロマンポップ
「物語は幸せへの通り道」京都ロマンポップは、2005年京都を拠点として旗揚げしました。作品は、よりふじゆきによる脚本:本公演と、向坂達矢による脚本:さかあがりハリケーンの二本を支柱としています。本公演の舞台設定は、古代ローマ、中世ドイツ、昭和初期日本、そして現代と多岐にわたっていますが、一貫して描かれているのは普遍的な人間の悲しさや苦悩であり、そこから私たちの「生」を見つめなおす作品です。哲学的な言葉を駆使しながらも、役者の熱や身体性を重視する、ストレートプレイ。「ロマンポップ」の名前の通り、エンターテイメント的な要素も取り入れながら物語を紡ぎます。さかあがりハリケーンは、短編作品集です。その作品群は「コント」ではなく「グランギニョール」ただ笑える作品ではなく、どこか屈折した退廃的な空気が作品に漂います。歌やダンス、身体表現を最大限に取り入れていますが、対峙するは「現代の演劇手法」です。(公式サイトより)
カメハウス第漆回公演「MEMENTO」
公演時期:2013/12/27~12/29。会場:道頓堀ZAZA HOUSE。

タグ: その人に出会ってしまった 私たちの世代 Urbanguild 世界観の作り込み


京都ロマンポップ さかあがりハリケーンvol.7「ニホンノカビ」

__ 
さて、京都ロマンポップ「ニホンノカビ」お疲れさまでした。大変面白かったです。
玉一 
ありがとうございます。
__ 
まずは、とにかく俳優が魅力的でしたね。玉一さんはもちろん、肥後橋さん、高田会計さんと、一言で言うなら大変奇妙な熱演だったと思うんです。目に焼き付いています。
玉一 
いえいえ。今回は本当に、各自が生きる役割を与えられたなあと思います。演出からの要求はすごく難しくて、それでも、みんなが応えていけたんじゃないかなと。
__ 
魅力的でしたね。高田会計さんが良かったですね。オルテガが何度もキャラ変するのが凄かったですね。最初はクズだったのが、結婚すると別人のように落ち着いたりとか。それが戦場に戻るとやっぱり凄絶な戦士になって。
玉一 
そうですね。今回の作品を通して、改めて、いいメンバー達とやってるなあと思ったんですよね。これまではなかなかうまくコミュニケーションを取れなかったりしたんですが、福岡のコメディフェスティバルから京都での公演とずっとやってきて、ここにきて漸くお互いの特性が分かったような気がするんです。
__ 
なるほど、作品全体のまとまりの良さの正体はそれなのですね。俳優がとても良いと先ほど申し上げたんですけど、それはつまり舞台の時間においての生き方で、ここからここまで行ったら良くないとか、そういうタイミングと加減がいちいちセンスが良いんですよね。安心して見ていられる前衛劇というか。肥後橋さんはそれが超良くて、ぞわぞわかき立てられながら見ていました。その根底に、役者同士の雰囲気の良さがあったのかな。ちょっと納得しました。
玉一 
そうですね、そこを見せるためには。
京都ロマンポップさかあがりハリケーンvol.7「ニホンノカビ」
公演時期:2013/9/21~23(福岡)、2013/11/22(京都)。会場:H732シアター(福岡)、UrBANGUILD(京都)。
国際コメディ演劇フェスティバル
公演時期:2013/9/14~10/6。会場:H732シアター。

タグ: 訳の分からないボールの話 分かりやすい面白さと芸術的な面白さの中間 生きている実感 ツアー演劇の可能性 ターニング・ポイント 正体不明のエネルギー 前衛は手法から作る人々を指す


ふつうユニット プロトコルに関する考察 「旅行者感覚の欠落」

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今日はどうぞ、よろしくお願いします。最近、廣瀬さんはどんな感じでしょうか。
廣瀬 
この間本番が終わったボンク☆ランドの稽古と平行して、次のふつうユニット「旅行者感覚の欠落」の稽古を進めています。今回は今までにない大所帯で、初めて出演する人も多いんです。例えば宗岡さんは面識があったんですが、一緒に作品を作るのは初めてですね。
__ 
なるほど。
廣瀬 
今まで演劇を10年間やってきて、ほとんど役者で、自分で脚本を描く事もあったけど演出やるのが一番面白いなと。まあ、まだ余裕がある今だからこそですけどね。稽古場で演技を見てゲラゲラ笑って、気になる部分があったら口を突っ込むだけですね。余裕無くなってきたら全然違いますけど。
ふつうユニット
京都の演劇ユニット。ハードSFを得意とし、理系知識そのものが中心に据えられるタイプの演劇作品を上演する。
ふつうユニット プロトコルに関する考察 「旅行者感覚の欠落」
公演時期:2013/12/20~12/22。会場:アトリエ劇研。

タグ: おふざけ 次の公演 自分は演出が向いているかも