3万人と踊ったんだ、あの夜

__ 
今まで、河原さんがもっとも輝いた瞬間を教えてください。
河原 
僕単体だとなかなか思い浮かばないんですけど・・・TUBEの甲子園のコンサートのバックダンサーに出た事があって。
__ 
すごいですね。
河原 
その内の一曲で、めっちゃ簡単な振りで手を振って下ろすだけのダンスを、3万人のお客さんが一緒にやってたんですね。この人たちが全員、僕と一緒に踊っていると。人間ってこんな事が出来るんだ。たくさんのお客さんが一体になって楽しんでいるんです。出て良かったなと思いました。その一瞬に考えた事は、いまでもずっと僕の中にあります。
__ 
素晴らしい。お祭りみたいですね。そんな瞬間が、またいつかあるといいですね。

タグ: 自分を変えた、あの舞台 壱劇屋・謎の一人遊びシリーズ


自己プロデュース

__ 
今回、私は壱劇屋の全員にお話を伺おうとしていまして。そして、河原さんがその第一弾という事で、だからこういう事はあまり言うべきじゃないのかもしれないんですが・・・河原さんの理想はとても明確ですよね。であれば、どこかでそのやりたい事を試す時期を作らなければならないし、それは先延ばしに出来るものじゃないと思う。もちろん、壱劇屋を辞めるべきだとかそういう事じゃなくて。これは本当に、私の立場で言うべきじゃない事ですが・・・
河原 
いえいえ。僕自身、演出をするというのが最終目標なんです。いまのところ。身体の動き、と、お芝居の融合を表現としてやりたいんです。その修行として壱劇屋に所属していまして、早めに演出に挑戦するのが一番良いとは思っていないんです。経験を積んでやるのが自分には合っているんじゃないかと。自己プロデュースを磨きながらやっているので、壱劇屋にいる事は自分にとってはプラスになっています。
__ 
なるほど。
河原 
そういうジャンルを開拓したいんです。ブレイクダンスをしながらお芝居をしているのは関西では僕だけなんじゃないかなと思うんですよ。日本だったら数名くらいなんじゃないかと。HIPHOPやジャズダンスだったら相当いると思うんですけどね。今はマイノリティですけど、もっとメインのレベルにいけるようになりたいですね。もちろん大衆性は望めないんですよ。けど、磨き抜いたら誰でも分かるようになると思うんですよ。
__ 
なるほど。
河原 
演技としての動きで、ヘッドスピンをしている。それが、作品の上では当然そうなると受け止めてもらえる、そういう形態の作品フォーマットを作る。それは例えですけど、僕がやりたいのはそういう事です。

タグ: オーディション いつか一緒に


質問 市川 タロさんから 河原 岳史さんへ

Q & A
__ 
前回インタビューさせていただきました、デの市川タロさんからです。「字を書く時、どんな意識でいますか?」市川さんは字が下手らしいんですが、上手に書く人がどんな感覚を持っているのか知りたいんだそうです。
河原 
申し訳ないんですが、僕も下手なので。上手くなりたいです。ユーキャンで習ったりすればいいんですかね?

瞬発力。

__ 
河原さんにとって、優れた演技者とは何ですか。
河原 
うーん。やっぱり、僕にない部分を持っている人は羨ましいですね。瞬発力を持っている人や、インプロが上手い人。すぐキャラ付けが出来る人は羨ましいです。
__ 
瞬発力。
河原 
インプロをめっちゃやってるとそういう力は付くんじゃないですかね。
__ 
トランク企画の木村さんによると、この瞬間に集中する事、失敗を恐れない事が重要だそうですよ。
河原 
僕は集中力というよりは、段取りを重視して、正確にやる事が好きな方なんです。理論じゃないですけど、「これはこういう事だからこう言うことが起きる」、というのを綿密に積むのが好きですね。

タグ: 即興、インプロについて 私の劇団について 段取リスト


勝負するんだったら勝たないと

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
河原 
僕個人としては、次の壱劇屋の公演が終わり次第、あるオーディションに向けてダンスの練習をします。
__ 
はい。
河原 
壱劇屋としては、公演が決まっているので。どれも結構、挑戦として組んでいるスケジュールなんです。今年は本当に勝負の年だと思っていて。勝負するんだったら勝たないと、と思います。どんどん勝負していきます。
__ 
負けても折れないでほしいですけどね。
河原 
これまで、正直勝っているとは言えない生き方をしてきたんです。そろそろ勝たないといけない。そう考えています。

タグ: 俳優のブレイクスルー オーディション 俳優同士の闘争心 今後の攻め方 演劇は勝ち負け?


万歩計

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントがございます。どうぞ。
河原 
ありがとうございます(開ける)あはは、万歩計。ありがとうございます。使わせていただきます。

タグ: プレゼント(医療・薬品系) プレゼント(壱劇屋・LumiereDangeon)


カウパー団「月並みで永遠な」「onomatopoeia」

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願い致します。今年もそろそろ終わりますが、宮階さんにとってはどんな年でしたか。
宮階 
今年はハイペースで作ったり出演していて。3月から数えて14本のイベントや作品に出ています。C.T.Tなどでの再演も含めてですけど。
__ 
14本!物凄い本数ですよね。C.T.Tというと、カウパー団の「月並みで永遠な」(大阪名古屋では「onomatopoeia」に改題)、ですね。私は見逃してしまったのですが、大変な反響があったようで。
宮階 
あ、ホンマに。京都ではポカーンって顔をされてました。初めて舞台上で「お腹痛い、帰っていい?」って言いたくなりました。
__ 
どんな作品だったのでしょうか。
宮階 
その時の写真がこれ・・・これは写真が凄いよかったのね。
__ 
おお、これは凄い。
宮階 
これは芝居というよりパフォーマンスでした。アメリカのアニー・スプリンクルというパフォーマンス・アーティストの「売春を行う人が英雄である40の理由」という文章をアレンジした朗読が流れていて、例えば、「ユーモアがある」「誰にでも出来る仕事ではない」。これは、実は原文では頭に「売春を行う人は」があるんです。それを除いた朗読です。
__ 
「売春を行う人は」。
宮階 
「売春を行う人は」とつけると、自分の事とは関係ないと思って距離が出来るやろうなと。だから、その語句を外したんです。その後に続くのは普遍的な言葉で「勇敢である」「色んな人の話を聞く事が出来る」。しばらくして、私が倒れるとその40の言葉が流れてきて、立ち上がりながら、舞台においてある湿布を貼って、また歩きまわって。その合間合間に、大きなポリ袋の中でスポンジケーキにデコレーションしながら、リッキー・マーティンの音が流れてくる。そんな作品でした。私は、セックスワーカーの身体って街そのものと共通しているなと感じているんです。その事をずっと喋っている、音声テープが客席や舞台上から流れている、そんな作品でした。
__ 
松田正隆さんのお別れパーティーの時もパフォーマンスされてましたよね。宮階さんのパフォーマンス、何をしているのかが分からないですけど、意味を汲み取ろうとして考えても、何故か分からないですよね。
宮階 
私も言葉にしづらいんですよ、自分のを。言葉に出来るんだったら、それは頑張って文章にしたらいいんじゃないかなって。
__ 
言葉に出来ない事をやっているんですね。
宮階 
ううん、言葉に出来ない事を探してやってやろうて意識的になっている訳じゃなくて、結果的に言葉だけに出来ませんでした、という感じなんです。
__ 
宮階さんは、見に来たお客さんにどう思ってもらいたいですか?
宮階 
私はお客さんに甘えているんです。私も分からない、説明しづらい事をやっていて。どう思ってくれるのかなと。お客さんが、自分でお話を作ってくれるんですよ。それがね、本当にそんなお土産を頂いていいのか、って。お客さんが、自分の人生と照らしあわせて作ってくれたという事でしょう。その人が作品を作ってくれたという気がして。
カウパー団
2006年より発足。2013年5年ぶりに再開。その間も個人は国内外でパフォーマンス(ロンドン、釜山、東京、別府)や他のカンパニー作品に出演(高嶺格、bubu_de_la_madreine+山田創平、dracom、マレビトの会、岡田利規 等)。
C.T.T. vol.104(2013年7月)上演会参加作品 カウパー団『月並みで永遠な』
公演時期:2013/7/29~30。会場:アトリエ劇研。
C.T.T.大阪事務局試演会 vol.15 参加作品 カウパー団『onomatopoeia』
公演時期:2013/8/13~14。会場:ウイングフィールド。

タグ: ユニークな作品あります 今年のわたし 言葉以前のものを手がかりに


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カウパー団。

2014/春
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gay

壁のむこう

__ 
演劇に関わった事は、宮階さんの人生にどんな影響を及ぼしましたか?
宮階 
むしろ、私が関わった事が演劇に影響を及ぼしたんじゃないですか?
__ 
おお。その通りかもしれませんね。
宮階 
言うたった。でも、本当にそういう気がします。演劇界という訳じゃなくて、私が関わった演劇作品は私の影響を受けていると思います。
__ 
ああ、私もそんな気はしますよ。宮階さんが出てくると、もの凄く危うい感じが増すんですよ。dracomの「弱法師」の時、役者さんたちに並んで宮階さんが出てきた時、何か不穏なものを感じましたね。存在感というより、危険を感じます。何故でしょうか。
宮階 
私は、仕事をまず始める前に「これは何なんだ」と、一つ一つの作業にどんな意味があるのかを確認して紐解く癖があるんです。台本をもらったら一言一句全てのセリフを辞書で調べるんですよ。それは理論的に確認したいという事じゃなくて、毎日使っている言葉でも、必ず、自分の知らない意味があったりするからなんです。そこから、可能性というか、新しい態度を取れると思っていて。
__ 
新しい態度。
宮階 
前提として、私はなりきったり感情を作ったりが出来ないんです。いつも頭の後ろの上空に目があって没頭出来ない、没頭しても、上に目がある事に気が付いてしまう。しかも私が没頭したとしても面白くなる訳じゃないんですよね。その為の時間じゃないし。あくまで、お客さんと作品の為に、その時間と空間でどう遊べるか、という事をずっと思っています。照明とか音響とか小道具とかと同じように私の存在がある。
__ 
並列関係にある。
宮階 
稽古期間で、演出家のアウトを貯めていくんです。この人は何をアウトにするのか?を探るんです。本番ではそれを全て忘れる。アウトを自分の体に覚え込ませて、お客さんの前で誰も知らなかった可能性を引き出すんです。
__ 
仕事の定義を掴んで、没頭を警戒して、行ってはいけないアウトを踏まえて、ご自身も知らない可能性を本番で探ると。
宮階 
だから、本番になったら稽古なんて振り返らないですね。舞台上では客席の壁の向こうを見るようにしています。アホみたいな事を言ってますけど。
__ 
そんな気持ちで舞台に立ってたんですね。
宮階 
でも舞台に出る一歩手前まではこの空間全部死ねみたいな気持ち本気でなっていて。いまこの劇場にテポドンが落ちてきて、死ねっ死ねっって思ってます。本番前のゲネとかは最悪な出来なんですよ。あらゆる失敗が起こるし。でも、本番が一回終わると降参して白旗を上げている状態で。どう思ってもらおうがいいですよ、と思っています。

タグ: 道具としての俳優 俳優の「素」を生かす 僕を消費してくれ 死と性と 役者の儀式・ルーティン 今、手が届く距離にかの人がいる事


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カウパー団。

2014/春
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gay

質問 武信 貴行さんから gay makimakiさんへ

__ 
前回インタビューさせて頂いた方から質問を頂いてきております。武信さんという、大阪で舞台映像家をされている方です。「ご自身にとって、癒やしとか安らぎとは何ですか?」
宮階 
何やろう。めっちゃ難しいですね。チェブラーシカですね。それも、今の可愛いチェブラーシカのじゃなくて、旧ソ連の時代のチェブラーシカ。
__ 
どういう所が癒されますか?
宮階 
まず彼は、まったく何もかもが上手く行かないんですよ。拾われてからまず動物園に連れて行かれるんですが入れてもらえず、おもちゃ屋のショーウインドウでの仕事を勝手に決められて、電話ボックスに住む事になって。アイデンティティが剥ぎ取られいってしまうんですよ。でも彼は悲愴になるわけじゃなく、動物園で働くワニのゲーナの「友達募集中」というチラシを見て彼の家に行くんですが、家の前にある花壇から花を摘み取ってドアのチャイムを鳴らすんです。
__ 
それは、失敗しますね。
宮階 
でもチェブラーシカはめげないんですよ。頑張ってと応援したいと思わせる感じじゃなくて、こうなってこうなったの連続。藁を掴むように生きているんです。

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カウパー団。

2014/春
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gay

脱臼/村のアホウ者

__ 
風営法について。東京都の条例で、夜12時以降のクラブで客のダンスが違反になりましたね。その他にもタバコや風俗など、社会から遊びの部分がどんどん排除されていく、とてもヒステリックな世の中だと考えておりまして。それは公的な機関による圧力から、次は民意―大衆の暴力に移行していくだろうと。当然、表現の方にもそうした圧は及んでいくと危ぶんでいるのですが、宮階さんはどう思われますか?
宮階 
絶対良くないと思います。だってそれは、いまいる者を殺していく事でしょう。人殺しとほぼ一緒なんですよ。
__ 
そうですね。
宮階 
何によっての殺人かというと、動機は嫉妬、そして寂しさだと思っているんです。
__ 
寂しさ?
宮階 
例えば、今晩は大阪のヘイトスピーチのカウンターデモに行ったんですが、彼らは誰一人として強そうな人はいなかったんです。てっきり、怖そうな人がオラオラ叫んでいるかと思っていたら、なんかショボショボっとした人ばかりで。拡声器があるからようやく大きな声で「死ね」と言える。外に出てきたネトウヨを見ていて、なんか怒るというよりは、哀れだと思ったんです。彼らも、本当はしんどいんじゃないかと。そのしんどさの理由は韓国人や中国人や在日等の存在なんかじゃなくて、彼らの主張が「違うよ」と言ってもらえる人間関係がない事なんじゃないか。それはとても寂しい事で。親でも兄弟でも友達でも。
__ 
本当に宮階さんにお話を聞けて良かった。
宮階 
いえいえ(笑う)
__ 
私も少し前までネトウヨが嫌いだったんですよ。一見、頭ごなしのバカなポジショントークのように見えて、実は幼稚な感情論が底にあるところが。でもそれって、カウンターデモ側にも同じ状況があるんじゃないか?ネトウヨを攻撃する事で得られる達成感は、ネトウヨのそれとどう違うんだ?と。
宮階 
カウンターが発する罵声というのは、声の大きさや言葉にもよりますが、暴力性とはまた文脈も意味合いも違うと私は思っています。でも、私は個人的に怒鳴ったりは出来ないんですね。私はヘイトスピーチ側にもカウンター側にも、もちろん意思はカウンターですが、存在としては離れ小島や、村のアホウ者でいたいと思っています。
__ 
離れ小島。
宮階 
ヘイトの中にいるけれども「もう嫌だ、ここから出たい」と思ったら、意固地にならずに逃げていいと揺らいでいいと思える例として。そんな離れ小島。現場では、ヘイトとカウンターは対立する形で離れているんですね。間に警察がいて、カウンター側を睨んでいる。どちらも怒鳴っている。
__ 
ヘイト側もカウンター側も、どちらも相手を倒すために来ている訳ですからね。お互いを人間だと思えないぐらいの勢いで。
宮階 
私はそこで奇襲作戦を取るんですよたまに。
__ 
おお。それは。
宮階 
ある時のヘイトスピーチの現場では、人が沢山いるなかで、生け垣だけ誰もいない。そこで2リットルの水を撒いて水を差すというパフォーマンスをやったら警察に引きずり降ろされそうになって、すぐ引き上げました。大阪では、ヘイトスピーチ側では彼らの子供が壁になってたんですよ。サッカーのフリーキックみたいに。そんなの、もの凄く悲惨でしょう。私は怒鳴っている人たちの間で、ずっと道に迷ったフリをしていました。電話しているフリをしながら。みんな、ポカーンとして見ていて。
__ 
なるほど。
宮階 
私は脱臼させに行くんです。今日も大阪でやってきました。ヘイトスピーチ側が拍手して盛り上がっている時に風船を割ったんです。パーンって。警察に「ビックリするやろ」って言われて、「出て行けとか言われた在日の人たちの気持ち考えた事あんの?びっくりどころやないでしょう?」って言ったら「まあ、まあ」って。
__ 
なんかいいですね。というか、「水を差す」ところから回を重ねる毎に面白くなっていっていますね。
宮階 
遊び場なんです、私にとっては。乱暴に言ってしまうと。差別のような醜悪なものに、どの生命も削らせたくない。私にとっての怒りの変換です。有効な電波障害をしようと。
__ 
というより、そうなるべきなんです。あんなバカバカしい場だからこそ芸能が何かの役割を持ちうるでしょうね。
宮階 
彼らヘイトスピーチが掲げているスローガンは醜悪で、聞くに耐えない。当事者に矢面に立たせたくない。ばかばかしさをもってヘイト側に反射したるねん、て思います。出来るかわからないですけど。

タグ: 幼稚さについて 凶暴な役者 ヘイトスピーチ 生き方と世の中の為に動く 嫉妬心 「目の前で起こっている」 心を揺さぶる 正体不明のエネルギー 暴力 外傷・内傷


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カウパー団。

2014/春
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gay

OUT

__ 
幸せになりたいと思った事はありますか?
宮階 
会いたい人に会えて、やりたい事がやれる事じゃないかな。かつ、一人になる事も出来て。それらの活動が命を脅かされない事。
__ 
今は、それは出来ていますか?
宮階 
今は命を脅かされていないんですが、最近起きた北朝鮮の政治家の粛清を見て、ちょっと吐きそうになって。物凄いひどい殺され方をしたらしいんです。同時代でこんなおそろしい事があるのかと。私、中世の魔女狩りが今行われたらどう考えても真っ先にOUTになるんですよ、どう考えても。そういう時勢になったらすぐ海外に逃げられるように今人脈作りをしています。バカバカしいかもしれないけど。
__ 
いえ、バカバカしくないです。それが正解だと思います。何故って、日本も言論統制が強くなっていくんですから。左派・右派ともにその方向をとりがちなんですよ。それも感情的に。それはもう、逃げるしかないです。
宮階 
今動いている世界の感じからして、動いておいて損はないと思う。単純に海外に行くことも好きだし。つい先日もバンコクで、国際エイズ会議でパフォーマンスしてきました。めっちゃ受けたんですよ。

タグ: 人脈・コネクションの大切さ 境界を越える・会いに行く 遠征公演 多方向に興味あり 有機的に関わりあう 自由自在になる 政治とパーティー 外傷・内傷


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カウパー団。

2014/春
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セクシャルについて

__ 
いつか、こういうパフォーマンスが出来るようになりたいとかはありますか?
宮階 
特に思い浮かばないです。自分にないものは今は無いんです。今、自分にごまかしている部分はあると思うんですけど、今以上にごまかさないで生き続けたい。いや、ごまかすしウソも付くんですけど、ずっとアホな事をし続けたい。整合性を付かせたくない。ハシゴを外し続けたいですね。「どやこう思ったやろえいっ」って。
__ 
革命をし続けるという事ですね。
宮階 
外し続けたい。
__ 
変な派閥争いとか、守るべきものみたいな幻想とか、そういうのは持たない方がいいですね。
宮階 
たまに言われるんです、「守るものがないんですよね」って。いやそんな事はなくて、自分大事守りたいですね。とも思いますが私の守り方は手離すことみたいです。
__ 
その人にとっては、守る事=ハダカなんじゃないですか?
宮階 
ハダカになる事への抵抗・・・私にとってはハダカは衣裳で、それが一番しっくりくるなら。ちなみに、私の裸はセクシャルなイメージには着地させないようにコントロールします。そう見ている人がいる可能性は別として、自分の体の使い方はそういう意識でいます。私の舞台上での裸が独特に見られやすいのは、医学的にもジェンダー的なメジャーイメージからも造作が変わってる部分もあるのですが、セックスワーカーとしての経験からセクシャルな意識への見せ方や植え付け方はわかるし、簡単なので、わざわざ自分の作品でする意味もないと今は思ってます。うーん、意識や身体をコントロールしようとしている訳じゃないんですけどね。何といったらいいのかな。
__ 
最高の風俗嬢は男性にリアクションを返す事が出来る存在だと考えています。男性は寂しい魂を曝け出しにくる。彼らの核心を等しく愛撫するには、磨き上げられた心技体が間違いなく必要で、さらに言うならその場での判断もいるしハートもいる。優秀な風俗嬢は優れたアーティストであり、クリエイティブな仕事だと考えています。
宮階 
その通りです。が、自分の仕事が創造的だと思えること自体奇跡的な仕事でもありますけどね。私は、自分の体をよりダイレクトに使う仕事として、限られた時間と空間で自分を作らざるをえませんでした。私はその作業が大好きで、お店に在籍していた頃はBLOG等でも演じ続けてました。物凄い勉強になりましたね。会って1・2分で、どういうのを求めているか、自分をどう出せば良いのかを考えないといけない。だから、大体のWS嫌いなんですよ。お金を払って眠たいことを言われなければならないのか。
__ 
そうですよね。難しい仕事なんですよね。
宮階 
でも、私にはとっても楽しいんです。アミューズメント系セックスワーカーだったんです、私。

タグ: 「変身願望」 「核心に迫る」 衣裳・ヌード系 ロックな生き方 あの公演の衣裳はこだわった


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カウパー団。

2014/春
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それぐらいしか出来ないけれど

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
宮階 
この一年で作品をどんどん作っていく中で、関西の舞台関係の人たちから遠ざかっていくようで。つまり、環境が変わってきているんです。
__ 
なるほど。
宮階 
そもそも作品を作り始めたのが、舞台に立つにはどうすればいいの?だったら、自分で作ればいいんだ、という浅い所から入ってきているんです。だから、作り続けられたらいいなあと。でもそれは劇場じゃなくてもいいのかなって。
__ 
そうですね。
宮階 
2013年はバンコクのゴーゴーバーとか、クラブのMETRO等でも発表しました。もちろん、舞台で演じるのも大好きですが。日常と表現がどんどん切り離せなくなっています。もちろん、作品と私は切り離されているんですけど。それと、2014年は、勝手になんですが、アイ・ウェイウェイに会いに行こうと思ってます!彼は「全ては芸術で全ては政治だ」と言っていて。すごく戦っていると思うんですよね。
__ 
ええ。
宮階 
作品を作る上で、ヘイトスピーチの事だったりセックスワーカーの事だったりが出発点として切り離せなくなっているんですよね。砦の中でやっていきたくない。このセリフはこう決められているから、みたいな考え方から遠ざかる。クサい言葉でいうと、「タマ張っていくで」みたいな。というか、もうそれぐらいしか出来ないんじゃないかなと。
__ 
それぐらいしか出来ないとは?
宮階 
素晴らしい歌が歌えたり、踊れたりする訳じゃないから。なのに、私は天才だってよく言われるけど、天才って障害でしょう?ある意味。良くも悪くも突出してるけど、それをどう思ってもらおうとは願わない。仕方ない。怖いけど私は管になるくらいしか出来ない。賞賛も罵倒も、私はある時から気にしなくなってきていて。どちらも言葉は違うけれど、どちらも、同じ事なんだと感じて。それからすごくどうでも良くなったんです。受け止めはしますけど。どの反応も受け止めるけれど、すっと投げてしまう。
__ 
ご自身を投げ出すし、毀誉褒貶にも執着しない、という事ですね。

タグ: 管・チューブ


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カウパー団。

2014/春
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アップリケ

__ 
今日はお話を伺えたお礼に、プレゼントを持って参りました。
宮階 
あ、私もあるんです。
__ 
え、いいんですか。
宮階 
タイに行ってきた時に買ってきました。
__ 
何でしょうか。(開ける)これは。
宮階 
鼻炎の時に使える、鼻炎用のミントです。それと、向こうのコンドーム王と呼ばれる実業家の開いたレストランのチラシと、ステッカーです。それと、来週梅田の日曜日に、堂山のゲイクラブでイベントをするのでそのお知らせ。ついでに、2014年から月イチでカウパー団のイベントをするので、それも良かったら来て下さい。
__ 
ありがとうございます!これ、お渡ししたいプレゼントです。
宮階 
ありがとうございます(開ける)。素敵ですねこれ。カッコイイ。
__ 
アップリケです。どこかに付けて頂ければ。

タグ: プレゼント(装飾系) プレゼント(衣服・布小物系)


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カウパー団。

2014/春
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gay

・・・

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願い致します。最近、市川さんはどんな感じでしょうか。
市川 
最近ようやく次の事を考え始めました。9月まで「野へ」、そして「偽造/夏目漱石」を終えて、しばらく何もしてませんでした。寝て起きてバイト行って、演劇は全くしていなくて。ここ最近になってようやく、次の為に動こうとしています。
__ 
寝る前と今で、なにか変わりましたか?
市川 
3ヶ月の空白で、開き直ったような気がしました。自分の創作態度に。僕の台本は演劇にするにはモチーフが凄く多いんですよ。
__ 
そう、戯曲というより小説形式の台本ですよね。
市川 
色々言われたんです。自分でもどうしようと思っていて。でも、それはそれでいいんじゃないかと思えるようになりました。僕はそういうものを書くんだろうと、そこを是認していこうという気持ちに切り替わりましたね。
「デ」は2011年旗揚げし、詩としての演劇、舞台詩の成立を模索してきました。物や、場所に語りかけていくこと、場所から何かを読み取っていくこと、をコンセプトにしながらの制作を試みています。主な作品に、『名づけえぬもの』(STスポット横浜)、6時間に及ぶインスタレーション作品『ルーペ/側面的』(Gallery near)、20編の会話を即興でコラージュする『コップの問題』(UrBANGUILD)など。(公式サイトより)
デ・5「野へ」
公演時期:2013/9/6~8。会場:An.Studio(金沢市)。
『偽造/夏目漱石』 第20回BeSeTo演劇祭BeSeTo+参加作品
公演時期:2013/11/4~10。会場:アトリエ春風舎。

タグ: とにかく作品を作ろう


- - - - - - - -

__ 
川北さんにインタビューした時、市川さんの台本は小説のようだと伺いまして。「名づけえぬもの」でしたね。実際に読ませて頂いたんですが、とても面白かったです。何故、あのような書き方になるのでしょうか。
市川 
あまり、自分でその理由を突き詰めて考えた事はありませんでした。戯曲って、それを俳優が声を出す命令書きみたいになりがちなんじゃないかと。それはあまりしたくない。出来るだけ指令書にはしたくないんですね。台本である前に、それなりに読み応えのある読み物であるべきだと考えていて。
__ 
なるほど。
市川 
声に出されない部分を大切に作りたいなと。イメージを稽古場に提出出来る脚本にしたい。すると、セリフだけじゃ足りないんじゃないか。実は、出来るだけ上演出来ない台本になるように心がけているんです。
__ 
上演が難しいようにするんですね。
市川 
上演を遠ざけないと、脚本を書く態勢と演出する態勢が距離的に近くなってしまって。演出と、脚本が切り離して考えられなくなってしまうんじゃないか。と。
デ・4「名づけえぬもの」
公演時期:2013/3/12~13。会場:STスポット横浜。

タグ: 書いてみたいと思った ユニークな作品あります 世界


・・・

__ 
そうして書いた作品を演劇化する時、何が失われますか?また、何が得られますか?
市川 
根本的に、演劇の基本形式は報告劇だと思っています。誰かがどこかでそれをした、その再現。「舞台上で起こっている事は、舞台上で起こっている訳じゃないだろう」と思っています。
__ 
そうかもしれませんね。
市川 
俳優は中間項として観客と物語を仲介として存在しているんじゃないか。ならば、俳優は舞台に書くみたいな感覚で行ってほしいですね。
__ 
書きに行く。
市川 
「デ」は言葉に関心が強いんです。言葉以前のものが、どういう運動をして言葉になるのかをいつも考えています。言葉は記憶と強く結びついているんでしょうね、そこから物語にも繋がっていくんじゃないかと。

タグ: 演技の理解、その可能性 俳優の身体認識 出ハケについて


- - - - デは - - - -

市川 
僕は存在しないものに興味があって、不在のものに対して意識を向かわせて行きたいんです。存在しないものに言葉が結びついていく動き。役者が不在の何かを思い出す、その時に言葉が生まれる。
__ 
言葉以前のものが言葉になる瞬間を見せたい。
市川 
目の前のコップを取って「これはコップです」というのは凄く簡単。それはコップっていう物とコップっていう言葉が現実的な目の前で結びつきを持つからだと思います。でも、そうじゃないような、舞台上で発された、対象やあてのない言葉ってどこにも結びつかないし、何者もそれをとらえる事が出来ないので、言葉自体が物になる、そういう瞬間があるんじゃないかと思うんです。それは純粋な言葉と呼べるんじゃないか。だから、デはあまり物語を押し進めるみたいな言葉をあまり脚本に書かなくて、誰にも何にも関係ない与太話を喋っているという事が多いんですね。必要ではない、だからロジックに組み込まれない、観客の考えるパズル的な物語の読み解きとも関係ない言葉が、ようやく、物としての言葉として認識されるんじゃないかと思っているんです。

タグ: 例えばこのコップ


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__ 
言葉の具現化の為に、構造を持った会話は邪魔になりうる、むしろ、あまり意味の無い会話をする事で、言葉が見えるような瞬間に立ち会えるかもしれないのですね。
市川 
もっと言うと、言葉とかを消したいんだなと思う事があります。何て言ったらいいのか。沈黙を目指しているんです。それはただ単に静かになっているだけじゃなくて、帰っていくような沈黙っていうんですかね。
__ 
帰っていく・・・?
市川 
言葉自体が、存在しなくてもいいものだと思っています。言葉は何かを限定するんですよね。最初の沈黙に言葉を放つと限定されて限定されてが始まって・・・喋るという事を前提に人が舞台に出てくる。それが何か、変だなと思ってしまうんです。別に、喋らない事も出来たし、沈黙を選ぶ事にも価値はあるんじゃないか。喋ってても黙ってても良い条件の環境で、俳優が喋りだす。それは、語るという行為をより愛したからなんじゃなかろうか。喋らなくてもいいのに、自分の意思でそれを選んだ。その語りは、凄くいいなあと思うんです。
__ 
人間は喋りますからね。
市川 
でも、その前提には沈黙があって、じきに沈黙に帰っていく。石を投げられた湖の波紋が揺らいで消えて沈黙に戻る、それが何度も繰り返される、場としての沈黙が見えてくるような空間が作りたいんです。

タグ: 難しい演劇作品はいかが


--! --! --! --! --! --!

__ 
沈黙の空間に言葉が卸されて、また沈黙に帰って行く。ちょっと頭に思い浮かべていたら気持ちいいですね。安楽死みたいで。舞台上の光景が目に飛び込んできた時、その空間構造は我々の頭蓋骨と同調したもう一つの言語空間になる訳じゃないですか。役者は観客の物語を代弁するもう一人の自分たちで。彼らが黙る瞬間、脳が活動を止める、つまり死を仮想体験するという訳で、それはとても気持ちいい訳ですね。生と死を行き来しているのかもしれませんね。
市川 
役者を、凄く単純な物にしたいんじゃないかなあと。石とかと同じレベルの。「もうこの人は、喋る事は出来ないんだなあ」と思う瞬間。たまに思うんですけど、セリフを忘れた役者って美しいなあと。ウチの役者でよくセリフを忘れるやつがいるんですが、どうしたらいいのか分からない状況になりますよね。そして、その「セリフを忘れた」は舞台上どころか観客も分かるじゃないですか。
__ 
分かります。
市川 
凄く面白い瞬間だなあって。セリフを忘れさせるって難しいですけどね。あの時の面白さって何だろう。観客って、喋っている俳優を通して、本当は自分も語っているんだと思うんですよ。役者がセリフを忘れた瞬間、お客さんは「あ、他人だったんだ」と気づく瞬間なんじゃないか。一緒に頭が真っ白になる。あの空白は、カタパルト発射されたかのような無防備な瞬間になる。

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