上も下もないんです、舞台には

__ 
インプロをご覧になったお客さんに、どう思ってもらいたいですか?
木村 
家に帰って思い出し笑いしてもらいたいですね。プププって。何かずっと思いに残るものを持ち帰ってもらいたいですね。その場で終わりじゃなくて。
__ 
なるほど。
木村 
これはランディが言っていたんですけど、お客さんはお話を見に来るんじゃなくて、自分のことを語りに来る。自分の物語を体験しているように感じるのが一番いいんだ、って。
__ 
個人史を語りに来る。そうですね、それが共感なんですね。
木村 
即興はお客さんと一緒に作るものでもあるので。だから、一緒に感じてもらえたらなと。客席と舞台の間の境界線が無くなったらいいのに、と思いますね。初めて絹川友梨さんに連れられてシアトルに行った時に、お客として舞台に上がったことがあって。
__ 
お客さんを舞台に上げる?
木村 
そうなんです。一緒に舞台をお客さんとつくるんですけれど。私も「行ってきなよ」って背中を押されて。客席から舞台に上がると、そこはきっと空気が違うんだろうと予想してたんですが、いざ舞台に上がったら何も変わらなかったんです。素人だから余計に感じるのか。全然空気が変わらない。これがインプロなのかって。舞台の上も下もないんです。素敵ですよね。

タグ: どう思ってもらいたいか? 即興、インプロについて


もっと、沢山の人とセッションしたいから・・・なのかもしれません

__ 
木村さんがインプロを始められた経緯を伺ってもよろしいでしょうか?
木村 
私、以前、劇団にお世話になっていて。でも物凄い落ちこぼれで、憧れているけれども何をしたいのか分からない状態で劇団にいる、という恐ろしく迷惑な存在だったんです。そもそも、切磋琢磨してコラボレーションして面白い作品が作られていくのが本当なのに、何をしたいのか分からない人がいる。なんじゃそりゃ、ですよね。
__ 
いえいえ。
木村 
本当によく受け入れてくださっていました。でもダメダメで、人としてすごく自信を無くしていた頃、増田記子さんという今も大好きな先輩が、絹川友梨さんのインプロの本を貸してくださって。それを読んで凄く感動したんですね。すぐに絹川さんのWSに行ったのが始まりです。絹川さんのワークショップで、私は私のままでいいんだ、って思えたんです。舞台というか、癒されに行ったようなものでした。
__ 
癒やし。
木村 
当時から周りに素敵な人が沢山いて、でも私はすごくダメだ、と勝手に思い込んでいて。そんな私でもいいんだって思わせてくれたという経験だったんです。
__ 
そして、現在、トランク企画を続けているのですね。その原動力は。
木村 
何でしょうね。インプロを始めてからは、いつも目の前に階段が出来ていくんです。何でしょうね。目の前の人たちが自由になればいいなと思っているんです。自分が自由でありたいために、周りの人も自由であってほしい。自分だけ自由というのはあり得ないですもんね。たとえば、周りの人がリラックスしていたら自分もリラックスできたり。
__ 
なるほど。
木村 
ショーは、それはそれは面白い瞬間で、みんなと積み重ねていく面白さっていったら無いんですよね。全身がワクワクする。周りもそうだと分かる。それをもっと、沢山の人と経験したいから、かもしれません。

タグ: コラボレート 留学して表現を学ぶ 自分は何で演劇を


重なりあって生まれる、その瞬間が大切

__ 
もちろん、「LIFE」を見ていて全て面白かった!楽しかった!という訳じゃなくて。やっぱり、観客はもの凄くフワフワしながら見ていたと思うんです。不安になる事もあった。お話が用意されていないという点で、観客の態度って相当違うんだなあって思いましたね。
木村 
なるほど~。何も決まってないから、そうですよね。そして、台本のお芝居と、絶対に違うのは、役者が自分自身の言葉で語っているという事なんじゃないかな、と思います。
__ 
役者が、自分の言葉で語っている?
木村 
即興は、その人の人生を反映したものしか出てこないんです。たとえば、台本は、作家さんの言葉、世界、その時代が再現されていきます。もちろん稽古で俳優とコラボレーションしながら作ると思うのですけれど。即興の場合は、一人一人の演者の言葉が瞬間に積み重なってどこまで行けるか、なんです。どんな人の人生も素晴らしいもので、それが重なっていく面白さ。
__ 
その人の生の言葉ですね。
木村 
だから色んな人、年齢層の人がいればいるほど面白いんですよね。さらに言うと、その役者の「今」の言葉しか出てこないんですよ。今の私と去年の私が同じシチュエーションに置かれたとしたら、全然違う事を喋っていると思います。

タグ: コラボレート


許し

__ 
「LIFE」を見ていて、どこか浮遊感があったんですよ。次に何が起こるか分からない事による浮遊感。実はこの間、舞台映像家の方にインタビューしていたんですが、記録映像にした演劇と生の演劇とでは、その情報のあり方が全く違うという事が分かりました。過去の記録映像はその戯曲の物語性が浮かび上がり、生の演劇は俳優が放つ衝動を受ける事が出来る。しかし、戯曲の俳優は何も知らない体でありながら物語の結末を知っている・予定された未来を持っている。であれば、演劇の映像作品とインプロショーは逆の関係にあるなあと。インプロは観客はもちろん俳優も次に何が起こるか知らない。
木村 
ほんとに、何が起こるか知らないからこそ面白いと思います。一緒に発見していく面白さというのでしょうか。
__ 
怖いですけどね。何が起こるか分からない。
木村 
前のめりになって見てしまうお客さんもいますよね。
__ 
俳優が失敗するかもしれなくて、心配になってしまう。
木村 
失敗も見せどころなので、そこも楽しんでもらいたいです。皆が心の中に持っていないといけないのは、「失敗しても良い」という事なんですよ。
__ 
「失敗しても良い」?
木村 
シアトルにいた時、ランディさんという方にインプロを教わっていたんです。「君たちがどんなに失敗してもシアトルの市民にはなんの関わりもないから、どんと楽しんでおいで」と言って下さって。それが凄く素敵だなと。そうあれたらと思います。だいたい、即興の舞台に立つだけで凄い勇気なんですよ。みんな、よくぞ立ってくれているなと。
__ 
そうですね。
木村 
日本は失敗を許さない意識が結構社会に根強くあるけれど、人間は失敗して成長するものだと学んできました。そのような社会であればいいな、って。全部まとめて見せられればいいなと思っています。
__ 
失敗を許す。
木村 
失敗したね、あははって。自分自身を許すし、誰かの失敗も許すし。失敗を楽しんでいくというか。だってそれは面白い事だから。失敗も含めて、その人自身を見せるのが面白いんです。
__ 
素晴らしい。「失敗してもいい」か。
木村 
それは凄く大きなインプロのメッセージで、失敗出来るのであれば役者さんはチャレンジ出来るし、失敗出来るという事は進化のスピードも違うんです。失敗を許されないと、いつの間にか果敢なチャレンジが出来なくなってしまう。失敗を楽しめるのは、ワクワクする環境なんじゃないかと。まあこれはインプロの基本的な考え方なんですが、そういう意識をお客さんが感じて帰ってもらえたら、それが最高ですね。失敗した場面をプププって笑ってほしいし、そうしたらきっと豊かになるんじゃないかなって。

タグ: 相互承認 オーガナイザーの企み 失敗を許容する社会


本当に素敵なショーだったんです

__ 
トランク企画の前回のセッション、「LIFE」を拝見していて凄く楽しかったのが、演技が噛み合った瞬間なんです。同時に、きっと難しい事なんだろうなと思っていました。高杉さんと内田さんと真野さんのやった、捕まったゴキブリの話はとても良かったですね。
木村 
そう!本当に素敵でしたね。いいシーン、家に帰ってもプププって笑えるのがいいインプロだと思います。お互いすっごい協力して、周りのみんなもいつも協力しようとしていて。なちゅほ(浜田)さんが最後に言ったセリフもすごい良かったですよね。人間が彼らを見つけてしまって、彼らが上を見上げて終わる、みたいな。
__ 
素晴らしかったですよね。何だか、そう作られた演劇のように思えたんです。最後の山口茜さんの実家話から始まるショーなんて、本当にあの台本で数ヶ月稽古したもののように見えました。実家の町で乗っていた自転車が宇宙船と交信を始め、そこから、思い出というあやふや記録の情景が、インプロなのに調和をもって紡ぎだされて、他の俳優達の町の思い出も混ざり合いながら、引っ越しの日を迎えるという明確な物語がある稀有なショーでした。UrBANGUILDの店員さんも凄い拍手してましたよ。
木村 
ええっ、それは嬉しい。
__ 
即興でしか生まれない空気感があるんですよね、確かに。

タグ: 引き出し合う ファンタジー 舞台全体を見渡せる感覚 即興、インプロについて 引っ越し 反応し合う Urbanguild


今のこの瞬間に集中して、とても楽しいはず

__ 
自由さを感じる事が、インプロにとって大事なんですか?
木村 
すっごい大切ですね。不安なところで、「これ間違うかもしれないし」って思いながらパフォーマンスをしたら面白くないですよね。楽しくない。
__ 
「自由」=何かから開放されている状態の事だと思うんですが、俳優はつまり、「これ間違うかもしれない」という恐怖に束縛されている。
木村 
そうですね。それだけではないですけれど、たとえば、評価からの自由はかなり大きいポイントです。
__ 
そういえば、俳優はその場その場で評価される役職ですからね。評価が常についてまわる。
木村 
しっかり練られたお芝居を求めているのであれば台本が用意されている普通のお芝居を見にいけばいいと思うんですが、そうじゃない未知のところに、バンって自由に行けるかどうかがすごく大事な事なんです。それが即興の面白さなんですよね。即興だから、お客さんは完璧なものを見に来るわけじゃないんですよね。それよりは、みんなが失敗を恐れずに楽しんだり、勇気を持って飛び込んだり。それをドキドキして見てもらえればと思っています。
__ 
その自由さを得る為に、何が必要なのでしょう。
木村 
よく、インプロで必要なのは「Be in the moment」、その瞬間にいるということだと言われているんです。いまそこにいて誰かと話している、何にも囚われずに集中して話している。ただ集中する。それがすごい大事な事なんです。いろいろな即興があると思いますが、どんな即興でも共通しているのは「Be in the moment」なんだと思っています。
__ 
いま、そこにいる事。
木村 
人って賢いから、例えばこうして話していても「次にどんな事を聞こうか、あるいは言おうか」とか、相手にバレずに考えられる訳ですよね。でも、それは「今にいない」んです。囚われず、「今!」に集中する事を掴むと、即興が出来るようになっていきます。それが、自由を得るという事に近いんじゃないかなと思います。
__ 
舞台上で「Be in the moment」になれるというのは、すごく楽しそうな事ですね。
木村 
そうですよ~。すごく楽しいと思います。

タグ: Be in the moment


自由さを感じると、何でも出来そうな気分になりますよね

__ 
まず、インプロショーの定義について伺えればと思うんですが。
木村 
インプロというのは即興のことなんですけど、わたしのやっているインプロは即興のお芝居です。インプロショーでは、即興で芝居を作ります。基本的には内容によって、楽しんでいただけるように、いろいろなルールを付けるんですが、何のルールもない場合もあります。
__ 
そう、つまりアドリブというか、台本が何もない状態での演劇なんですよね。先月のトランク企画 vol.11「LIFE」ももちろんインプロでした。とても面白かったです。
木村 
ありがとうございます!
__ 
ブログで拝見したんですが、インプロも稽古ってあるんですね。即興劇の稽古って、何をするんでしょうか。
木村 
訓練、に近いですね。言ってみれば。稽古を通して一番大事なのは、みんなが自由さを感じられるようになる事なんです。
__ 
自由さを感じる。
木村 
自由さがあれば、割となんでも出来るんです。その為に稽古ではゲームしたり、あとは本当に技術的な稽古もします。
trunkkikaku vol.11 『LIFE』
公演時期:2013/12/5~6。会場:Urbanguild。

タグ: 即興、インプロについて 役者のその場の判断


私は楽しい人たちに囲まれています

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。木村さんは最近、どんな感じでしょうか。
木村 
最近ですか。最近は楽しいですね。一緒にいて楽しい人が周りに沢山いるので、なんか楽しいです。
__ 
おお・・・楽しいと思えるというのはいいですね。
木村 
気楽な人が多いというか、気を使わなくていい人というか。周りがそうだと自分がラクちんです。
トランク企画
トランク企画は、京都を拠点に活動するインプロユニットです。インプロとはインプロヴィゼイションの略で即興のこと。トランク企画では、即興で芝居を創っています。「今に居ること」「今を生きること」をキーワードに、予測のつかない未来を全員で遊び合い、協力し合いながら創り上げ表現しています。(公式サイトより)

タグ: 最近どう?


何で演劇をやっているんだろう?

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。山本さんは最近、いかがでしょうか。
山本 
最近・・・はい、あはは。
__ 
つまり、ハウアーユー、です。
山本 
いや、元気ですね。体は健康で太っています。そうですね。でも何も知らずにこれまで芝居をやり始めてきてたんで、ちょっとね。本当に自分が芝居をやりたいのか迷っているんですよね。
__ 
迷っている。
山本 
やっぱり、自分のものを出すのって色々あるじゃないですか。自分は何も知らずに最初の劇団に入ってしまったので。という事を今やっている一人芝居フェスに思いました。にしても30分一人で舞台に立ち続けるといその覚悟というかちゃんと自分で選択してそこに立っているっていう。そこへいくと、自分は何で演劇をやっているんだろうと。
__ 
私は、コトリ会議にしか持ち得ない、正統的なズッコケの勢いが大好きなんですよ。もの凄い一生懸命にやっているけれどもそれが目に見えて間違っているけれども。なんかそういう。
山本 
ああ、そうですか、ありがとうございます、自分の作品に対して何も言葉を持ってなくて、解説を加えるのが少し苦手というのがありまして。
コトリ会議
2007年結成。一生懸命になりすぎてなんだか変なことになっちゃった人たちの生活を部屋のすみっこだったり銀河に浮かぶ惑星だったり所かまわず描いています。おもしろいものが好きな劇団です。2010年にspace×drama2010という演劇祭で優秀劇団に選んでいただきました。ますますこの劇団の作品はおもしろくなるなと心密かに確信しながら毎日動きつづける劇団です。(公式サイトより)

タグ: 一生懸命を描く 迷っています スベる 自分は何で演劇を


ユニットから劇団へ

__ 
コトリ会議を結成した経緯を教えて下さい。
山本 
元々僕は役者をやってたんですけど、その時にいろんな人たちと出会って。
__ 
なるほど。
山本 
一緒にやりたいと思う人たちと「のび劇団のび」というユニットを立ち上げてカラビンカで作演をしたのが初めてでした。この人達と芝居をやりたいなと思って、コトリ会議を立ち上げました。第一回は別役実さんの「いかけしごむ」で、お客さんは20人ぐらいしか入らなかったんですけど面白いねと言われて。その時は芝居をやりたいというよりはこの人たちとワイワイしたいなと思うぐらいだったんです。作演はローテーションのはずだったんですけど、そのうちに僕は役者が向いていない事に気づき初めて、それからずっと僕が作演しています。

タグ: 役者向いてない


優しさとはなにか

__ 
コトリ会議の作品を目にする時にいつも思うんですが、とても雰囲気がいいですよね。
山本 
悪人が出てこないという事でしょうか。
__ 
やっぱり俳優間の空気感が良い、という事だと思うんですよね。その人達のムードというか。生卵でいうと舞台上の人々が黄身で、白身の固い部分に客席があって、それは水っぽい白身とも行き来できて、黄身の薄い皮を通して舞台を見ているんですけど、コトリ会議ってあの皮膜を破いたり戻したり自由自在だなあと。輪郭が曖昧だけどはっきりと認識も出来る感じ。そうした、醒めながらも曖昧な、現実だとはっきり認識しているけれども白魚のように認識が逃げる感じ。そこは確実にコトリ会議にしかないなあと。サイトにもあるとおり、一生懸命になりすぎて少しおかしくなってしまった人、それはつまり現代に生きる我々全てだと思うんですけど、彼らのせいなのかなと。優しいけれど、おかしくなってしまった人。
山本 
よく僕は言うんですけど、奇人変人でくくるなと。僕もよく変人と言われるし、皆さんどこか変人だと思うんですよね。それは一般社会にもいて、軋轢と一生懸命戦って、壊れないようにしているんです。だから、簡単に変人として見られる人は出さない。
__ 
そうですね。
山本 
僕の周りに、結構変人は多いように思えるんですが、でも彼ら自身が自分と戦ってるんですよね。

タグ: 空気感を大切にした 脱力系のナゾ わたしの得意分野 一生懸命を描く 有機的に関わりあう 曖昧さへの礼賛


割れる世界

__ 
山本さんが演劇をやっている理由を教えて下さい。
山本 
実はよく分かっていないです。台本を書くのは、皆さんそうだと思うんですけど、自分を認めて欲しいからクリエイティブしますよね。どんなに有名な人でも。それに尽きますね。でも、批評なんて十人十色と言われるじゃないですか。その通りなんです。で、そうすると書いている意味が無くなっちゃうんですよね。
__ 
そうですね。
山本 
でも、人に見せる訳じゃなく書いている作品もこの世にある訳で。「にくなしの、サラダよ」もそうなんですけど。もちろん上演する事で見てもらえるというのは僕は嬉しいんですけど、それで自分の世界が壊れてしまうのは恐怖ですね。だから僕は、自分は演出しちゃダメなのかもしれないと思っているんです。固執してしまうから。
コトリ会議演劇公演11回め「にくなしの、サラダよ」
公演時期:2013/4/20~4/22。会場:カフェ+ギャラリー can tutku。

タグ: 世界


うっ

__ 
いつか、こういうシーンを描きたいというのはありますか?
山本 
お客さんがドッカンドッカン笑うんだけど、それが最後には涙に変わって、でもラストに一転してホラーに変わって、恐怖で終わるというのが書いてみたいですね。ゾッとして終わるんです。理想なんですけど。
__ 
落語で最後にぞっとするセリフで終わる名作がありますよね。
山本 
昔の人が言ってたんですけど、ホラーが一番難しいらしいんですよね。笑わせたり泣かせたりするのは簡単だが、って。僕は中々、そこまでたどりついてないんですが。それを書いてみたいですね。
__ 
「にくなしの、サラダよ」は途中までホラーで、でも最後はハートフルになりました。
山本 
全く問題自体は解決していないんですけど、意識を変えるでこれから新しく展開出来るという事が言いたかったんですね。
__ 
そういえば、夫婦間の対立がテーマでしたね。「桃の花を飾る」もそうだった。山本さんにとってはそれがテーマなのでしょうか。
山本 
僕は夫婦という関係性を持っていないので、やはり想像によるんですが。でも、誰にでもある子供時代がその人を形成してるんですよね。やっぱり家族があるんですよね。家族環境にある対立を描きたいと思うんです。
__ 
家庭環境の違い。
山本 
ストレートな愛情表現に、うってなるんです。何故父母は、無償の愛をあんなに私に注いでくれるのだろうかと思って。それが、「にくなしの、サラダよ」は子どもたちが求めていた母親像が勝手に暴走して、みたいな事を考えていたんです。でも本当に恐ろしい思いをしているのは男性なんじゃないか。無償の愛に対する恐れが、実はあるんじゃないかと。
コトリ会議 演劇公演9回め「桃の花を飾る」
公演時期:2011/9/2~4。会場:シアトリカル應典院。

タグ: 泣く観客 愛情表現


質問 玉一 祐樹美さんから 山本 正典さんへ

__ 
前回インタビューさせていただきました玉一 祐樹美さんから質問を頂いてきております。「山本さんオススメの大阪の劇団を教えて下さい」。
山本 
一つだけと言われたら難しいですね。たくさん面白いところはあるので。角が立ちそうな質問。
__ 
いくつでも大丈夫ですよ。
山本 
うーん。同期の30代を超えた人たちは必死になっているので、本当にみんな昔のようには行かなくなって。それぞれの方向性がガチガチに決まっていって。コトリ会議はその中でも若い方なんですけど。僕らの世代から5年下の劇団がガンガン来られてるじゃないですか。壱劇屋、匿名劇壇、ともにょ企画、色んな方向に開いていこうとされていて、エネルギーがあるのはいいなあと。何で僕は他人事になっているのか?同世代でいうと万博設計の橋本さんが自分の道をしっかり見つけてるし、いま一緒にタッグを組んでいるbaghdad cafe'の泉さんも劇団の方向性を決めてやっているし。僕らだけがぽんと、波に乗り切れていないような気がしているんですよね。でも、答えとしてはコトリ会議で。
__ 
分かりました。

タグ: わたしの得意分野 私の劇団について 最新作が最高傑作 私たちの世代


心の目、幽霊、必死さ、鈴江さん

__ 
ホラーと言えば幽霊。昨日、心霊動画を見たんですが、良くみたらうっすい映り方してるんですよね。カメラ写りを見る以上、すごく平面的な存在なんじゃないかと。
山本 
ある小説で面白い記述があって。タクシーの運転手が幽霊に会うんですね。バックミラーには映らないけれど、目には見える。これはどういう事だろうか、と。
__ 
光が何かを経由すると映らなくなる。でもカメラには写っている。
山本 
人間が感知したものは全て脳みそに貯められていると考えられているけれども、その仕組は本当は解明されていなくて、実は体の細胞一つ一つに記憶が蓄積されていて、視覚以外の半端な記憶がそこに行くのではないかという本もありました。心の目、と言ってしまえばそうなんですけど、それは非常に面白いなと。
__ 
脳が感知と記憶を一応やってはいるけれど、肉体が外を体感して貯めている(幽霊はその残響なんだろうか・・・?さらに、我々がそれらを誤検知してしまっている?)
山本 
それにしても幽霊は怖いですよね、何をするでもなく立っているだけ。宇宙人と同じく、目的が見えない怖さがある。それは生きている人がやっていても怖いんですけど。
__ 
俳優の身体を見た時の印象は、最初に出てきた時にしか分からないという仮説を建てた事があります。俳優が研鑽を積み重ねたらそれはこちらにダイレクトに伝わってくる・・・なんてそう簡単にはいかなくて。最高の心技体でも、必ず上手く客席と交歓がなされる訳ではない。どうしても、どこか一瞬は混沌系に委ねられるんですよね。ただ、精神的なものがかなりあるんじゃないかとは思うんです。身体のどこかで世界をナメた役者がいたとしたらそれは分かるし、影響があるんですよ、きっと。幽霊と宇宙人はこちら(見ている側の者)をナメまくっているので問題外なんです。
山本 
あはは。
__ 
奴らのだらしない態度が我々のカンに触るんでしょうね。
山本 
劇団八時半の鈴江さんの下で役者を3回ほどやった事あるんですけど、あの人は芝居が出来てくるとそれを壊そうとするんですよね。僕らみたいなヘタな役者を上手く見せるためには、という事で、僕ら自身が必死になって慌てる事が大切だと。
__ 
なるほど。
山本 
いくら難しい演技でも、稽古を通したら出来ちゃうんですよね。だから、途中で難しい演技を与えてくる。これはムリだ!と必死になっている人が面白いんだ、って。

タグ: 最高の研鑽は成功を担保する訳ではない 肉体、重心 カオス・混沌


いつかよぎる景色

__ 
山本さんはコトリ会議の脚本家・演出をされていますが、お客さんにどんな気持ちになって帰ってもらいたいですか?
山本 
やっぱり、どこかほっとした気持ちになってもらいたいですね。エンターテイメントを求める心が僕の中にはあって、観てたくさん笑った後にずっと考えさせられる。劇場を離れて時間が経って、例えば誰かと話している時、TVを見ている時、お茶を飲んでいるような時にふと再来する、そんないいシーンを生み出したいというのはありますね。作品の解釈なんて結構どうでもいいというのはあって、でも、印象に残るシーンを作りたいですね。
__ 
これまで作られた作品の中で、それはありますか?
山本 
あまり見られてはいないんですが、3回目の公演の「右はじの、映らなかった人」という作品。夕暮れの中で一人の女性が男の写真を映す、その情景であるとか。「サリリャンカララワールド」のラストもそうですね。
__ 
というと。
山本 
暗い倉庫の中生きている女の子が自分の中でストーリーと生活を作り上げるという話で、最後に光が差し込んで、抒情的なセリフが続いて、「母は思い出すよ」というセリフがあるんです。
__ 
ちょっと鳥肌が立ちました。
山本 
でも中々上手く行かなくて、あまり受け入れられなかったんです。
__ 
勇気を持って表現する劇団の芝居が好きなので、やってもらえると嬉しいし、やらなければ何も始まらないですけどね。だから私は、どんな作品の面白さも拾わなければならないと思っています。
山本 
ありがたいお客さんやなあと。ありがとうございます。
コトリ会議 演劇公演 5回め「サリリャンカ・ララ・ワールド」
公演時期:2010/4/17~18。会場:in→dependent theatre 1st。

タグ: 一人では何も出来ない いつか、どんな演劇を作りたい? 新しいエンターテイメント 受け入れる・受け入れられる いつか、こんな作品を作りたい


芝居ってなんだろう

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
山本 
年末にミソゲキがありまして、そこは遊んだ作品を持って行きたいと思います。来年2月に芸術創造館の芸創セレクションに参加させていただくのと、来年5月末にAI・HALLのbreak a legにも参加させて頂きます。
__ 
楽しみですね。
山本 
ええとですね、どのホールさんにも、あまりふざけた事はしません、普通の会話劇ですとお断りしています。こないだのように本番でカレー作ったりはしません。ちゃんとした劇場の中で、異空間の中で芝居したいなというのはあります。それと同時に僕が芝居ってなんだろうと思っている部分はあるので、ある時ふっといなくなるかもしれません。
__ 
ありがとうございました。今後も楽しみにしております。
芸創セレクション
「芸創セレクション」・「芸創エクスペリメンタルシアター」は、大阪市の主催事業です。該当公演の決定は選定委員会が行い、公募によって集まった個人、及び団体の中から、年間約12の個人及び団体を選定します。また、エントリーについては、大阪市内の小劇場が実施しているアワードとも連携し、2~3の推薦枠を設定する予定です。(公式サイトより)
次世代応援型企画break a leg
「break a leg(ブレイク ア レグ)」とは、これからパフォーマンスを始める人に向かって 「成功を祈る」という意味で用いられるフレーズ。本事業では、若手表現者に会場を提供し、次代を担う才能の発掘・育成を目指します。 新風を吹き込んでくれる表現者たちの競演にご期待ください。(公式サイトより)

タグ: おふざけ


春の野草の香りがするお香

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持ってまいりました。
山本 
ありがとうございます。(開ける)何ですか、これは。
__ 
ちょっとしたお香ですね、少し火を付けてすぐに消すと香りが広がります。春の息吹の香りがします。置いておくだけでもいい香りがするみたいです。
山本 
お香はあまりしないんですけど、部屋に置いときます。ありがとうございます。

タグ: プレゼント(インテリア系) プレゼント(お香系)


会いに行く

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
玉一 
そうですね。今回の作品、私はとても思い入れが強くて。福岡でも京都でも上演して、やっぱり色んな人に見てもらいたいという気持ちが強くなりました。全くしらない土地で上演してすごく良かったなあって。あのフェスティバルがずっと続いて欲しいし、私達もいろんな場所の方々に見ていただきたいですし。「ここに来てやってほしい」といってくださる方もいるので、そうしたお声に応えたいです。京都でもやりますけど、京都に留まらず、東京や大阪そして地方と、色んな方々に見ていただけるように動いていきたいです。

タグ: 京都と大阪・大阪と京都


ドライフラワーのようなコサージュ

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持ってまいりました。
玉一 
ありがとうございます。かわいい。嬉しいですね、プレゼントというのはいくつになっても嬉しい。(開ける)あ、かわいい。
__ 
コサージュです。
玉一 
いいですね。女の子らしいものを一つも持っていないので。使わせてもらいます。

タグ: プレゼント(装飾系)