質問 山口 惠子さんから 丹下 真寿美さんへ

__ 
前回インタビューさせて頂いた山口惠子さんから質問です。ちなみに、丹下さんと面識はあるみたいです。壱劇屋の稽古に来られた時に会った事があるそうで。
丹下 
分かります!ご無沙汰しております。
__ 
壱劇屋の愛しい部分と憎い部分を教えてください」。
丹下 
愛しい部分。どこか一つの場所にみんなで向かっていくところです。未だに枚方の河川敷で稽古しているというのが半ば信じられへんけど。
__ 
丹下さんもそのうち行く事になるのでは?
丹下 
いやそれは断固拒否したいですね、嫌だなあ河川敷。
__ 
いや河川敷でしか生まれないものもあるんじゃないかと思いますよ。
丹下 
河川敷でしか生まれてないんじゃないか・・・。どうなんですかね。
__ 
区民センターとかでも稽古はしてるみたいですけどね。でも、BBQしてる家族連れが密集している横での稽古、ですよ。その微妙な外の世界との緊張感が彼らの作品世界を育んできたんじゃないかと。町中でパフォーマンスをしたり、みたいなあのワクワク感が。芝居が関係ない世界へのサプライズ。
丹下 
それを聞くと、行った方がいいのかなと思いますね。
__ 
でも徹夜はやめた方がいいかもしれませんね。
丹下 
せめて終電で帰りたいですね。憎い部分。美味しいとこ取りするとこかな。
__ 
おおっ。

タグ: 徹夜 壱劇屋の無謀さについて 関係性が作品に結実する


vol.317 丹下 真寿美

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2013/春
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丹下

幸せな照明

__ 
丹下さんがお芝居を始めた経緯を教えてください。
丹下 
20歳の時に、末満健一さんのHYT(ハーフイヤーシアター)に応募したのが最初です。ワークショップを受けるだけの予定だったんですが、その後末満さんに声を掛けて頂いて。「良かったら一緒にやりませんか」と。末満さんの大ファンで、ピースピットを追っかけて見に行ってたぐらいだったので、悩む事なく。
__ 
舞台に立っていて、こういう瞬間が好きだとか、そういうのはありますか?
丹下 
キレイな照明に立てている時は好きですね。私以外でも、共演者が舞台でキレイな光の中に立っているのを見た瞬間。そのときは凄くドキドキします。
__ 
今まで一番、これはという照明はありますか?
丹下 
ピースピットのTRINITY THE TRUMPで、相手の子に懺悔するシーン。私とその子の周りが膝まずくというシーンがあったんです。そこで白い明かりが十字架を作って、私と相手が立っている。その明かりが凄くキレイでした。ピースピットでいつも照明をされている加藤直子さんのプランがキレイで、何だか幸せな照明って感じ。
ピースピット
劇団「惑星ピスタチオ」(2000年解散)に所属していた役者・末満健一により、2002年に旗揚げされた。特定のメンバーを持たず、公演毎に役者を募る「プロデュース」形式にて、年1~2本のペースで公演を行う。作品的な特徴としては、作りこまれた世界観、遊び心に満ちた演出ギミック、娯楽性を前面に押し出しつつ深い哲学性に支えられたストーリーなどが挙げられる。作風は多岐にわたるが、「街」などの外界と区切られた括りの中で物語が進行されたり、終末世界が舞台となることが多い。また作中に必ず「猫」が登場することも特徴のひとつとして挙げられる。(wikipediaより)
ピースピット2012本公演「TRINITY THE TRUMP」
公演時期:2012/1/22~1/30。会場:HEP HALL。

タグ: TRINITY THE TRUMP


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丹下

「さくら」

__ 
掴むのに、苦労した役はありますか?
丹下 
最近で申し訳ないのですが、トリコ・Aさんでやらせて頂いたさくらが一番つかみにくかったですね。ふだん、派手な演技で賑やかなお芝居をさせて頂く事が多いので。言ってみれば普通の女の子だったんです。丹下真寿美としては、彼女を理解するのは難しかったです。
__ 
丹下さんは、確かにジャンルとしてのエンタメ系に出る事は多いようですが、そういう意味で会話劇が難しかったりはありましたか?
丹下 
そうですね、日常生活の所作が難しかったです。相手の言葉に対する反応が凄く大かったんですね。びっくりしたら手を広げて、というのが私にとっては普通だったんですよ。トリコ・Aさんはそれとは作り方が全然違うんです。私が作り上げた土台は使えなかったですね。稽古初期に茜さんに頂いた指示が「そんなに一個一個反応しなくていいです。動かないで下さい。それぐらいが一番、丁度いい」と。どうしても、動かなきゃという気持ちがあるんですが、それをしてはいけないと。
__ 
舞台に立っている人間をそのまま感じるために、演技は却って邪魔になる、という事かもしれませんね。リアクションを一旦保留するというか、反応する動きを一旦保留する。すると、それを見ている観客は彼の真意をつかもうとして想像を広げるんじゃないかなと個人的には思います。こうした言い方が相応しいかは分かりませんが、京都で支持されている会話劇はこういう意識で作られている気がします。良いか悪いかは別にして。
丹下 
なるほど。
__ 
丹下さんの演技、私は不自然だとは思わなかったです。むしろ、いつも相手を受け止めるような反応をしていたと思いました。この人には近寄ってはならないと思いました。あれは凄かったですね。
丹下 
良かったです。全ての男性に対して粗末に扱わないでください、傷付けないようにしてくださいと言われていて、でも、誤魔化すような事もしないでと。「そんなのゆうてないし~」みたいな事も言わず、じゃあどうするの?って悩んでたんです。
__ 
そうですね。詰め寄られても、一旦受け止めてあげるみたいな。それが、ワクワクするような嘘と駆け引きのバトルシーンを見ているようでした。すごく面白かったです。
丹下 
嬉しいです。素直に嬉しいですね。小屋入りしてからも稽古の時間を頂けて、結構変わったんです。一日一回通したりして・・・。

タグ: 出来ない!難しい!演技 役をつかむ 会話劇研究 自然体 役づくりの成功 自覚的になりたい


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丹下

もっと!

__ 
尊敬する演劇人はいますか?
丹下 
尊敬する演劇人。この人、というのはいません。憧れていたのは売込隊ビームの梅本真里恵さんや三谷恭子さんです。出演されている公演を追っかけて見ていました。劇場を出た後、元気を貰えるんですよ。帰りながらパンフレットを見たりしているときに、そんな気分になれる。私もいつか、そんなふうになりたいですね!
__ 
既にそうなっていると思いますよ。
丹下 
いえいえ、まだまだです!もっと頑張らないと。

タグ: 2013/キックベース お客さんに元気になってもらいたい 尊敬している人


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丹下

集中しているんです

__ 
舞台に立っている時、どんな事を考えていますか?
丹下 
うーん、あまり何も考えていないかもしれません。本番時は状況が変わる事もあるので、それにいつでも対応出来るように常に集中しています。あまり余計な事は考えないようにしています。客席を見ないようにしたり、というのは心がけていますね。
__ 
集中しているんですね。
丹下 
そうですね。シーンが終わった後、他の事を何も覚えてないぐらい。
__ 
集中が途切れるのはどんな時ですか?
丹下 
たまに、お客さんからは見えない位置で笑かせてこようとする共演者の方がいますね。そういう時はちょっと笑ってしまいます。
__ 
茶目っ気ですね。
丹下 
そうですね。それ込みで楽しいんですけど。集中しすぎて余裕を失くしたくはないですね。
__ 
余裕を無くすとどうなりますか?
丹下 
もう、目の前の事しか見えなくなります。相手の演技に合わせたリアクションが取れなくなったり、それが致命的な失敗になった事があります。心の余裕は3分の1ぐらい残して。
__ 
舞台に立っている時は、丹下さんは役の気持ちになっていますか?
丹下 
はい。

タグ: お茶目さについて


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丹下

こころのどこか

__ 
いつか、こういう演技がしたいというのはありますか?
丹下 
こういう演技というのは、例えばどういう・・・?内面的な事ですか?
__ 
そうですね。沢山のお客さんを一気に集中させるような演技をしたいと答えた人もいましたし、日常的にありうる演技だけれども、全てのお客さんの心にいつまでも引っかかる演技、と答えた人もいました。俳優として行きたい領域が見えているのであれば教えて下さい。
丹下 
凄い素敵ですね、そのお答え。私は、見て頂いた方が元気になって帰ってくれるような、そんな演技がしたいです。作品によりますけど。せっかく、時間を割いて見に来て頂いているお客さまに対して、残念な気持ちで帰っていただきたくはないです。どこか、頭の片隅に引っかかってくれるような。細く長く覚えて頂けるような、そんなことをいつでも心のどこかで考えています。
__ 
ミジンコターボ「シニガミと蝋燭」の時の死神オタクは、私にとってはそんな感じでしたよ。
丹下 
見て頂けているんですね!嬉しいです。竜崎さんの台本は、読んでいるだけで凄く楽しいです。
ミジンコターボ
大阪芸術大学文芸学科卒業の竜崎だいちの書き下ろしたオリジナル戯曲作を、関西で数多くの外部出演をこなす片岡百萬両が演出するというスタイルで、現在も関西を中心に精力的に活動中。2011年からは東京公演も行う。現在劇団員は片岡百萬両・竜崎だいち・Sun!!・川端優紀・江本祥・赤松洋樹・中元優那・西野遥子・箕原汐梨の合計9名で構成されています。最終目標は月面公演。(公式サイトより)
ミジンコターボ-10『シニガミと蝋燭』
公演時期:2012/7/27~29。会場:ABCホール。

タグ: お客さんに元気になってもらいたい いつか、こんな演技が出来たら


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丹下

歯車がぴたっと合った瞬間

__ 
舞台の上で演技をした時。「この演技が上手くいった」という時があると思うんですが、その条件は何だと思いますか?
丹下 
それは私個人では絶対出来ないんです。相手ありきというか。全ての歯車がぴたっと合った瞬間。その確率を上げるのが稽古なんだなと思います。全ての関係者とも、その日のコンディションも合わないと上手くいかないと思います。
__ 
確率を上げる。その言い方、凄く面白いですね。
丹下 
エンタメ系だと、それはパフォーマンスに当てはまるんですけど、会話劇だとそれは当てはまらなくなるんですよね。

タグ: 一人では何も出来ない 揺らぎ、余白 引き出し合う 舞台にいる瞬間 関係性が作品に結実する 自覚的になりたい


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丹下

本を読もう

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
丹下 
最近、会話劇に出演させて頂く事が多いので、もう少し自分の内面を磨いていきたいなと思っています。
__ 
内面を磨く。
丹下 
そうする事で、会話の演技だけでも見応えを感じられるような役者になっていきたいと思います。
__ 
なるほど。それには、どんな事をしたら良いでしょうね。
丹下 
どんな事したらいいかな。ちょっと本を読もうかなと。
__ 
あ、それはいいですね。同じ事を考えていました。私にとっては、読書をすることが想像力を引き出す事なので、そういう時間を取るのは大きな要素ですね。
丹下 
私は普段、あまり本を読めていなくて。しかも、自分で選んだ本はたいてい面白くなくて途中で読まなくなってしまうんです。誰かに勧めて貰った本は面白くて読めるんですけどね。知識を増やすというのが必要だと思うので、どんどん読んでいきたいです。

タグ: 知識を付けよう


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丹下

化粧筆ポーチ

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。
丹下 
うわあ、プレゼント!なんだろう。
__ 
喜んで頂けるかどうかは分かりませんが。
丹下 
ええ、なになに?開けてもいいですか?
__ 
もちろんです。
丹下 
オシャレな・・・ええっ、なんですかコレ。
__ 
それはですね。化粧筆とかの道具を入れるポーチです。
丹下 
しかも革!めっちゃオシャレ!使います!めっちゃカッコイイですね。女優としては欠かせないメイク道具の。外さないですね。うわあ、革だ。大切に使います。

タグ: 必殺メイク術 オシャレをしよう プレゼント(化粧品系)


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丹下

BRDG

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。お話するのはほとんど初めてですね。最初に山口さんの作品を出演を拝見したのはBRDGの第一回公演「ハシ×ワタシ」ですね。
山口 
2011年ですよね。今年上演した「TEA×HOUSE」も見て頂いて、ありがとうございます。実はその間にも、ダンスのイベント公演等にBRDGとしても、個人的にも参加しているんです。凄くスローなペースなんですけど。
__ 
なるほど。BRDGは、山口さんと制作者の川那辺さんの二人なんですよね。
山口 
はい。ただ、私は色んな所に出演したりだとか依頼される時にはBRDGという名前は出していないんですよ。BRDGは組織の名前じゃなくて、私が所有しているものでもなくあってほしいなと思っています。表現活動って一人じゃ中々出来ないけど、その時のために場があれば。私と川那辺さんと、さらには周りの人が、「BRDGは使える場所のようなもの」だと、そんなふうに思ってもらえるように成って行ければと思っています。
BRDG
BRDG(ブリッジ)は演出・俳優の山口惠子と、舞台制作の川那辺香乃が2011年に立ち上げたユニット。BRDGはお互いが主体となり、作品や企画を生み出す場のこと。(公式サイトより)
BRDG企画公演「ハシ×ワタシ」
公演時期:2011/12/2~4。会場:ロクソドンタブラック。

タグ: 相方


沖縄キジムナーフェスタ1HzタツノリナイターWater Painting、ヒキダシ_ホテル

__ 
山口さんは、最近はどんな感じでしょうか?
山口 
だいぶ忙しいですね。首が回らなくなってきたぐらい。先月7月いっぱいは沖縄キジムナーフェスタという児童演劇のフェスにいっていました。沖縄市の古座に滞在して、5カ国の人たちと5ヶ国語で演じる演劇作品を滞在制作していました。海外からも日本からも色んな団体さんが来ていて、楽しかったです。8/23には1Hzという、和田ながらさんの「したため」と市川タロさんの「デ」とBRDGの3団体を見られるイベントをUrbanguildでやる事になりました。その3日後が、8/26にタツノリナイターという、今村達紀さんのソロをまとめて見ていただくという企画です。
__ 
いいですね、それは。
山口 
めちゃくちゃいいんですよっ。「ハシ×ワタシ」に出演して頂いてから度々一緒に仕事したりしているんですが、身内の欲目じゃなく伸び続けていると思っています。彼がUrbunguildで上演したダンスが素晴らしくて、泣いてしまった事があるんです。ダンス好きな方にはぜひ。
__ 
行きたいなあ。
山口 
黒子沙奈恵さんとか出村弘美さんとか竹ち代毬也さんとか、殿井歩さんとか出るんですよ。それに、劇団壱劇屋も。
__ 
山口さんのセレクションなんですね。見たいです。
山口 
それから、9/12に和歌山の和歌浦のART CUBE で「Water Painting」というタイトルのダンス作品を演出・振付します。和歌山、いいところですよ。それと、10月にKYOTO EXPERIMENTのオープンエントリーで参加する作品の準備も進めています。「ヒキダシ_ホテル」というタイトルで、美術館で上演します。前回公演の「TEA×HOUSE」で取り上げた、京都に長年住んでいる日本以外から来た方のこれまでの生活をリサーチ・インタビューしながら演劇作品にしていきたいと思っています。このテーマの第三弾ぐらいですね。
__ 
演劇・ダンス以外では?
山口 
いま、通訳の勉強をしています。時々英語の翻訳・通訳の仕事もしているんですが、もう少しできるようになりたいと思いまして。
沖縄キジムナーフェスタ
公演時期:2013/7/20~28。会場:沖縄市各地。
1Hz
公演時期:2013/8/23。会場:UrBANGUILD。
タツノリナイター
公演時期:2013/8/26。会場:UrBANGUILD。
Water Painting
公演時期:2013/9/12。会場:ART CUBE。
ヒキダシ_ホテル
公演時期:2013/10/26~27。会場:遠藤剛熈美術館。

タグ: ホテルの話 人を引き出す振付 衝撃を受けた作品 アーティストの生活 町とアートと私の企画 次の公演 残したいという気持ち


BRDG vol.2『TEA×HOUSE』

__ 
「TEA×HOUSE」。物語というよりも、取材で得た資料を再構成して作品化しているという事ですが、そうした作品を作っているのはどのような理由があるのでしょうか。
山口 
まず、私は物語が作れないんですよ。自分からはどうしても出てこない。紡げないし、自分よりも大きなものが沢山あるとずっと前から思っていて。紡ぐよりはどう吸収するか、が私の表現だと考えています。舞台に出る時も、自分から表現するというよりも何かに動かされる事が多いですね。外の要素だったりとか、もちろん共演者、環境、お客さんにも動かされるのが好きなんです。受動的な・怠惰な態度ではなくて。作品を製作する時も、世界を解釈をして変換して、つまり通訳してそれを違う言語に出力する。そういう事に興味があります。私は別に作家じゃないと思っています。紡げないので。外と接する作品を作りたいと思っています。
__ 
個人が世界と接する作品。
山口 
個人と他者が、どう接するのか。いい悪いじゃなくて、そこを観察したいですね。
__ 
ありがとうございます。私は最近のテーマとして、情報は読み手の創造性を以って初めてその価値を成立させると思っています。だから、山口さんの仰っている事はそうした観客にはきっと歓迎されるかもしれません。しかし、観客という他者が、舞台上の世界を常に受け止めてくれる訳ではありませんよね。積極的になるかもしれないし、消極的になるかもしれない。むしろ、敵視してくるかもしれない。
山口 
そうなんです。他の人にも、それが美しいと思ってもらえる為の工夫をしないといけないんですよね。やっぱり、お客さんの感想が分かれるんですよ。「全く意味が分からなかった」と、「もの凄く面白かった」と。それは、どちらも当然返ってくる反応で。分からない=面白くないと見なすのは当然じゃないか、って私も思ってしまう時があるんです。だから、もっと作り手として、「これがキレイだよね」と紹介するだけのものじゃなくて、「何故そう思えるのか」が分かる。そんな、もっと面白く見てもらえる仕組みを考えださないといけないと感じています。
__ 
余談ですが・・・「TEA×HOUSE」で、非常にスリリングで面白いと思ったシーンがあります。スコーンが焼けるまでに、若干時間が余りましたよね。その時に舞台上で二人の出演者が暴れまわっているという場面がありました。時間稼ぎだと気付いた瞬間、ものすごく面白かったんですよ。物凄い可愛らしい時間でしたね。チャームポイントだったと思うんですよ。何か、お客さんに渡してあげたゆとりのある時間というか。
山口 
素敵に思って頂けるのは嬉しいですが、そこに甘んじる事無く(笑う)スコーンを焼く間の時間で作品を収めようと決めていたんですが、出演していたブリジットが「焼き時間を短くなんて出来ない」と言ってくれて。だからどうしても。辛かったお客さんもいたかもしれません。
BRDG vol.2『TEA×HOUSE』
公演時期:2013/4/26~28。会場:京都四条大宮滋野宅。

タグ: 色んなものを吸収 外の世界と繋がる わたしの得意分野 ユニークな作品あります 工夫する俳優 「目の前で起こっている」 受け入れる・受け入れられる 世界 その題材を通して描きたい 焦点を絞った作品づくり


主体が動かされる時

__ 
「TEA×HOUSE」の時、町家の一部屋で上演されていましたね。出演者はもちろん、観客席がお互いの顔が見える状態でした。「ハシ×ワタシ」も挟み舞台でしたし。そうした距離感を意識されているのでしょうか?
山口 
観客席と舞台を出来るだけ分けないやり方が好きなんです。高校卒業後、演劇を学ぶためにイギリスに留学してたくさんの舞台を観に行っていたんですが、気に入った作品のほとんどは舞台と客席が分かれていない形式が多かったんですよ。観客が舞台と同じ高さで知覚し、体験する。私も、自分の作品を通してそのリミットを広げたいと思うようになりました。
__ 
舞台で起こっている事を体験する。
山口 
同じ空間で観劇するという事。それだけがやりたいわけじゃなんですけどね。変な形にすれば巻き込めるとは一概にいえないし。安易には言えないですけど、意識として、どういう形が合っているのかは考えますね。
__ 
では、山口さんは具体的にどんな面白さを大切にしたいと思いますか?
山口 
何かに動かされている人が、踊りでも演劇でも好きですね。表現する力よりも、キャッチする感度が高い演者がいる作品を作りたいです。
__ 
感度が高いとはどういうことでしょうか?
山口 
演者が表現する内容の完璧さを追求するのではなくて、どれだけ主体が外部のものによって大きく動かされるか、です。
__ 
外の世界というのは、何を指していますか?
山口 
例えば、「TEA×HOUSE」ではブリジットという他者の言葉を通訳して演じてもらいましたが、俳優が置かれているその状況、です。英語から日本語に通訳していくことによって、その俳優が元々の話者に浸食されていく。もちろん俳優は俳優のままで、ブリジット・スコットになってしまうという訳じゃない。影響されているという事(つまり演技ですね)を見せたかったんです。「私はブリジットなんだ」って言い聞かせるみたいなのじゃなくて、あくまで通訳として「私はブリジット・スコットです」と口から言った時に、感度が高ければなってしまう。知らぬ間に徐々になってしまった、そんな瞬間が見たいです。
__ 
主体が動かされる時。
山口 
主体が動かされてしまう時、を見たい。普段もそうじゃないですか。こうして喋っている時も動かされている訳であって。演技はその再構築だと思うんです。私はそれを極端にしてみようと思っているんですね。それを、出来れば面白く見せたいですね。
__ 
主体は主体としてあるけれども、それが何かによって反応する。
山口 
取り憑かれる、乗っ取られるというのに近いクオリティを目指しているのかもしれませんね。
__ 
それは何というか、私があまり触れて来なかった領域かもしれません。具体的にそれがどんな面白さを見せてくれるのか未知数なんです。でも、それがそれだと分かったらものすごく興奮させられると思う。突き動かされている主体の向こうに、大きな力を目にするから。
山口 
その通りだと思います。「動かされる主体」は、受動的に動かされるんじゃなくて、そこには必ず完璧な能動性が必要なんですよ。主体が反応して動かされる、その感度ですよね。どれだけそれに対してクリアに反応できるか。それは「この演技が面白い」という邪念ではなく、素直に反応するのが面白いんだと信じてやっていきたいですね。とても難しいんですが、反応する人間が面白いんだという信念です。そうした事象が起こっていて、観客に体験を与える。
__ 
形骸化からは最も遠くあってほしいですね。
山口 
そうですね。そうありたいです。どうしても、「これだ」と思った瞬間にそれでなくなってしまう。型を作って、それを突き進むという芸術もあるんですが、その瞬間に何かを失うんだと思う。

タグ: 外の世界と繋がる 難しくて、厳しい 会話劇研究 「目の前で起こっている」 反応し合う 観客との関係性 留学して表現を学ぶ 海外で出会ったハコ


前へ

__ 
新しいやり方をご自分で作っているんだと思うんですよ。昔誰かがやっていた、とかは関係ない。自分たちで考え出した方法を諦めてほしくはないですね。
山口 
伝える事が大切なので、もう見なくてもいいな、と思わせてしまいたくない、です。当たり前ですけど、甘えられないですね。

タグ: 前衛は手法から作る人々を指す


質問 佐々木ヤス子さんから 山口 惠子さんへ

__ 
前回インタビューさせて頂いた佐々木ヤス子さんから質問を頂いてきております。「演劇をやっていて一番得した事はなんですか?」
山口 
いろんなところに行ける。演劇を勉強するために留学したというきっかけもあるんですが、その関係で色んなプロジェクトに参加できるんです。そこに行ったら演劇がある訳で。演劇をやっている人は大きな意味で親戚なんですよ。演劇やダンスがなければ友達にはなれないような人と友達になれるんです。大きな枠の中に入っているから、どんな国に行っても大体は理解しあえるんです。どこ行っても演劇人は貧乏してるし。そのシンパシーがありますね。それが得したところです。

タグ: 演劇人同士の繋がり


答えの出ない題材

__ 
もし、今後、実現したい作品のアイデアがあれば教えてください。
山口 
10月の作品「ヒキダシ_ホテル」では、京都に長年住んでいる日本以外の国からやってきた人たちの話を引き出します。まだインタビューの段階なので、それをどう構成していくか。扱う題材もステートメントを作れないものばかりです。他者と自分、自国と外国、移民と、答えの出ない題材。短期間じゃできないんですが、時間を掛けてリサーチをしていきたいです。
__ 
私たちはどんな人々を見る事になるんでしょうね。
山口 
そうですね。インタビューで会う人たちは本当に面白い人たちばかりで。これこそ、自分で書くにはキャパオーバーです。

タグ: ホテルの話 いつか、どんな演劇を作りたい? 創造環境としての京都 インタビュー取材による作品づくり


寄り添う

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
山口 
川那辺と、BRDGが場になるようなあり方を考えながら進みたいです。二人とも計画性がないんです(笑う)そこが悪い部分でもあり良い部分でもあると思っています。やってる事がばらばらではあるんですが、離れていくのではなく、どう寄り添って成長していけるか。共通部分を見つめながら、流れていけるやり方を見つけたいですね。
__ 
挟み撃ちですね。
山口 
そうですね(笑う)。

タグ: 劇団=場所論 今後の攻め方


ファッションサングラス

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。
山口 
ありがとうございます。前から読んでいるので、これがあるとは分かっていたのですが。
__ 
どうぞ。
山口 
(開ける)えっ。
__ 
大きめのサングラスです。
山口 
サングラス、私自分では恥ずかしくて買えないんですよ。なんかこう、ガラじゃないんじゃないかって。ホントは欲しかったです。人に貰えたら嬉しいです。これは。
__ 
当初、それにサングラスを入れて頂けたらと思ったんですが、ちょっと入らなかったんですよ。それと、メガネ拭きを一応お付け致しました。

タグ: プレゼント(装飾系)


受けてみようかなっ

___ 
佐々木さんは神戸大学の学生劇団のご出身なんですよね。
佐々木 
そうです。自由劇場です。神戸大にははちの巣座もあります。仲いいんですよ。
___ 
外部への出演が多いですが、それはいつ頃ぐらいから?
佐々木 
今年の2月にレトルト内閣さんに出演してから、です。先輩が勧めてくれたオーディションに運良く受かって。受けてみようかなっ、という軽い気持ちでした。
___ 
ご自身としてはどんな体験でしたか。
佐々木 
みなさんとても優しくして下さって、かのうとおっさんのお二人にも出会えたし、ホントに貴重な体験でした。
自由劇場
神戸大学。2013おおさか学生演劇祭にて優勝。新人公演「花の紅天狗」(公演時期:2013/9/21~22。会場:神戸大学シアター300 )

タグ: オーディション その人に出会ってしまった 「かのうとおっさん」という特異点 レトルト内閣のウワサ


vol.315 佐々木 ヤス子

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佐々木

『ヒロイン(笑)』

___ 
かのうとおっさん大阪BABYLONに出演されていましたね。とても面白かったです。ヒロイン役でしたが。
佐々木 
『ヒロイン(笑)』という感じの。こんなに面白い舞台は初めてだな、というぐらいでした。みなさん、他の共演者の方が全員スゴい素敵な方で、稽古場がものすごく楽しかったです。自分の出てるシーン以外はずっと笑ってました。稽古場で有北さんが「おとなしい女の子という役作りの参考に」って渡してくれたマンガを読んでたんですけど、そこをいいむろさんに写真に撮られていじられ続けてました。楽しかったですね。
___ 
最後には下級妖怪もやりましたしね。
佐々木 
当初はそんなシーン無かったんですけど、バグダッドカフェの八木進さんが稽古をお休みされた時に八木さんの代役をしたんですが、それが嘉納さんと有北さんには下級妖怪に見えたらしくて。それが台本の最後に増えてました。嘉納さんに、「柄杓で水を飲んで」って演出をされました。
___ 
お供えの団子を食べてましたね。
佐々木 
ガバメンツの近藤さんとコソコソ練習してましたね。

タグ: 役作り=キャラクタの分析 印象に残るシーンを作りたい 稽古場でいじられる


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佐々木