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二つの幸せ
- __
- 月面クロワッサンの魅力を教えて下さい。
- 丸山
- いい意味で、敷居が低いところです。敷居を上げたい人も多いと思うんですけど、敷居みたいなものを取っ払って、取っ付き易い感じにしたいです。それがうまいことできれば魅力だと思います。作道君とは作家としては考え方が違うんですけど、方向とかについては共感していて。一緒にやっていきたいと思っていますね。
- __
- 「オレンジのハイウェイ」。個人的にはとても、月面クロワッサンの作品なんだなあと思うものでした。この作品はきっと、彼らにしか作れないだろうなあと思ったんですよ。もし、丸山さんが作家だとしたらどういう事がやりたいですか?
- 丸山
- ああ、もうそれはですね、西村さんにひどく不幸になってもらいたいですね、地獄を味あわせたいと思います。それを基軸に、結構暗い話をしたいです。意外性があるんじゃないかと思うんですけど。
- __
- 彼らの生にリアルさを与えられるかもしれない?
- 丸山
- そうですね。最終的にはハッピーエンドになるんですけど、それは西村さんが嬉しそうな顔して風俗で働いているというような、そんな幕引きにしてしまうと思います。実際それは幸せな事だと思うんですが、観客は「そんな事ないやろう」と突っ込みたい。でも、実際には幸せだと。不幸な人だってそれなりに幸せな瞬間はあるんですよ。橋の下に住んでいる人の幸せとビルゲイツの幸せは、同じぐらい楽しいと思うんです。僕の根底には、その二つの幸せって同じなんじゃないかという思いがあるんですね。
明るい場所
- __
- 最近、考えている事はありますか?
- 丸山
- 参議院選挙で、京都の選挙区から出た新藤伸夫さんの政見放送がめっちゃ面白かったです。
- __
- というと。
- 丸山
- 最初に自作の歌を一しきり歌って、その歌がめっちゃ面白くて。で、最後になるにつれしどろもどろになってしまって。でも最後に「私に大量票をお願いします」と言うてはって。それはどうやら本気なんですよ。これは演劇は勝てへんわ。どうしようと。ちょっと悩んでますね。ドキュメンタリー凄いわ、演劇は勝てへんかもしれん。
- __
- ドキュメンタリーも文学作品として認められる場合はあると思います。そういう意味で言うと、「オレンジのハイウェイ」にはドキュメンタリーの要素もあったとは思うんですよ。その真っ直ぐな道をスピードを上げて行く事にした彼らにしか出来ない演劇。
- __
- 今後、どんな感じで攻めていかれますか?
- 丸山
- 月クロのスタンスと、僕の立ち位置はこのまま進めて行ければ。明るい場所にしていきたいと思います。出来たら、もっとたくさん笑いを取って行きたいです。僕個人としては、9月以降にまた劇作の仕事があって。そちらの方は普段考えているような暗い思いを表現する場にしていきたいと思います。役者も脚本演出も頑張りたいですね。
蕎麦皿と薬味入れ
- __
- 今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。
- 丸山
- ありがとうございます。
- __
- どうぞ。
- 丸山
- 開けていいですか?
- __
- もちろんです。
- 丸山
- (開ける)あはは、蕎麦皿ですか。
- __
- そうですね。
- 丸山
- それと薬味入れ。
- __
- はい。
- 丸山
- 父親が出石そばとかが好きで、送ってくるんですよ。使います。
蟻・を・殺・す
- __
- 今日はどうぞ、よろしくお願い致します。最近、嘉納さんはどんな感じでしょうか?
- 嘉納
- 最近は時間があるので、手作りで色んなものを作ったりしていますね。
- __
- なるほど。例えばどんなものを。
- 嘉納
- 虫よけとかですね。
- __
- 虫よけ?
- 嘉納
- 家に蟻が登ってくるようになりましてですね、最初は殺虫剤を使ってたんですが、だんだん効かなくなってきまして。では手作りで作ってみようと。調べたら薬局で売っているハッカ油というのが効くらしく、それをアルコールと混ぜて、水で薄めてスプレー容器に入れると除虫剤になると。そういうものを作ったりしていました。
- __
- なるほど。
- 嘉納
- それが割と効きまして。良かったですね。殺すよりは、寄せ付けないような効き目があります。
- ※かのうとおっさん
- '99年、嘉納みなこと有北雅彦により結成。独特の台詞回し、印象に残るビジュアル、笑いをベースに人の生き様を鋭く描く作風は小学生から60代まで広く支持される。'12年「関西ふたり芝居セレクション」優勝。(公式BLOGより)
スクエアvol.32 楽園ジゴク※
- __
- 先日、スクエアの舞台「楽園ジゴク」が終わったという事で。どんな経験でしたか?
- 嘉納
- スクエアの山本さんとはちょこちょこお話したことがあって、でも他のメンバーの方は知らなくて。始めてお会いしたら40歳の方々だったんですが、私実は同い年くらいの方と現場にいた事がないんですよ。恐ろしい現場でした。
- __
- 恐ろしいとは。
- 嘉納
- 怒声が飛び交うという事じゃなくて、みんな一人一人レベルが高いんですよ。これがレベルの違いなのね、と。一番痩せた公演でした。
- ※スクエアvol.32 楽園ジゴク
- 公演時期:2013/5/24~26。会場:ABCホール。
この生きづらい世界で
- __
- かのうとおっさんの作品、とても好きです。何というか、性悪説を体現したかのような登場人物たちの放埒な姿を見ていると、人間そのものを許せるような気がするんですよね。その奥に、地獄を肯定してやるんだ、的な姿勢を感じるんです。
- 嘉納
- ありがとうございます。そういう事だと思います。
- __
- クズばかりが出てくる芝居だと思うんですが、書いている方からしてはいかがでしょうか?
- 嘉納
- 特にここ2・3年はそういう方向になってきている気がしますね。それまではちょっとおかしい人々を書いていたんですけど。
- __
- なぜそのような人物を描くようになったのでしょうか?
- 嘉納
- 生きづらい世界だと思うんですよ。ちゃんとしないといけないんですが、そうしたくないなあという気持ちがどこかにあって。立派にいようとすると、ちょっとしんどい。
- __
- 成長したくないというのは大変文学的なテーマだ、みたいな評論がどこかにあったような気がします。そういう気持ちが嘉納さんにはある?
- 嘉納
- 20代の頃、立派になろうと振る舞っていた時期があったんです。いい人であろうと、自らを演出しようと、例えば相談されたら「大丈夫だよ」とか答えたり。しばらくして、このままだとつまらない人間になりそうな気がして辞めてしまったんですよね。3ヶ月くらいで。立派な事を言ったりしてたらああこれクソつまんねえなと。
本音
- __
- 有北さんにお話を伺ったところ、彼の原動力はしょうもない人への愛情だという事が分かりました。
- 嘉納
- そう、そうですよね。ちょっとロクでもないところを見せてくれないと友達にはなれないよな、って気はしますよね。あとは銭湯でお互いの裸を見せ合わないとね。
- __
- かのうとおっさん作品では、登場人物は本音をモノローグで言ってくれてますよね。私達が日常生活で「思っても口に出せないこと」どころか「不謹慎すぎて意識の上にすら上げたくないような打算」を易々と代弁してくれる。非常に露悪的なパフォーマンスなんですが、それは何故かとても笑える。かのうさんは、なぜそういう人物を描きたいんでしょうか。
- 嘉納
- 台本を書く上でそういう台詞の方が映えるんですよね。立派な事を言っている台詞って、わざわざ舞台上で見なくてもいいような気がするんです。それと、人がそういう本音を言っているのを見たいんですね。「モテたい」とか「モテてる奴は全員死ねばいいのに」とか。
- __
- 台詞が映えるというのは何だか分かりませす。
- 嘉納
- 立派な人たちばかりが出てくる芝居が、面白いとは私には思えなくて。やっぱり喜んでもらいたいですからね。
- __
- 受け付けない人もいるかもしれませんね。
- 嘉納
- ああ・・・やっぱりいるんじゃないですかね。方向性を間違えたら、何か言われてしまうかもしれません。
おもちゃの聴診器とおもちゃのプロジェクター
- __
- 今日はお話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。
- 嘉納
- あ、そんなそんな。
- __
- 大したものではありませんので。
- 嘉納
- ありがとうございます。(開ける)これは、プロジェクター?
- __
- はい。動物とか人間の内蔵が壁に投影出来ます。
- 嘉納
- これもう、ウチに帰ったら早速壁に映してみたいと思います。これは・・・?
- __
- 聴診器です。
- 嘉納
- へー。凄い。ありがとうございます。
- __
- 良かったら小道具でも。
- 嘉納
- そうですね。
部活選び
- __
- 嘉納さんがお芝居を始めたきっかけを教えてください。
- 嘉納
- 高校では陸上部に入ろうと思ってたんですが、無かったので演劇部にしました。それが最初です。
- __
- 演劇が陸上の代わりの選択に?
- 嘉納
- 中学時代に友達に借りたガラスの仮面と、あと5歳くらいに学童保育のお遊戯会で「セロ弾きのゴーシュ」をやったんですが私はヒバリ役で「私たちは喉から血が出ても歌うのになぜあなたは弾かないのですか」という台詞を泣きながら熱演してたらしくて。あとは、高校入学時、部活選びで迷っていた時期にウチにきた祖母のすすめですね。
- __
- 有北さんとの出会いは。
- 嘉納
- 大学の演劇部です。私が2回生で自主引退したときに文化祭があって、私も時間があるし、何かしたいなと。演劇部で馬のあったおっさんを誘って、文化祭で自主公演したのが最初です。それから外部公演をし始めて。卒業してからも続けています。
ウケを狙う少女
- __
- いままでの目標とこれからの目標を教えてください。
- 嘉納
- あまり目標とは関係ない生き方をしてきているんですが、何となく、なんか笑いが取れる人になれたらいいなと思っていました。アドリブとかだとそこそこ笑いを取れるんですが、台本とかで笑いを取れるというのはとても難しいですね。いまは、割と自由自在になりたいなあと思っています。
- __
- 20代の頃から、笑いを取りたかった?
- 嘉納
- 取りたかったですねー。でも、やっぱり若い女の子に笑いを取れって難しい話ですよね。いまぐらいになると周りの目線が違うし、自分のなかでも、こんな感じでいったれ、というのが分かってくるし。
- __
- なぜ、そのぐらいの女の子が笑えないんでしょうね。
- 嘉納
- 女の子はなるべく、おとなしく、笑われないように育てられるからかも。どちらかというと、被笑わせられ側みたいな。男の子はもっとやんちゃで、笑いを作る側としてやってきている。よっぽど台詞が面白くないと、女の子が笑いを取るのは難しいんですよ。男の人が作る漫才とかコントは見てて面白いんですけど、やはり男の人が作る男の人の面白さなんですよね。
- __
- それが演劇にも延長してきているわけですね。
- 嘉納
- 男性の作家・演出家さんだから、かもしれませんね。男性が考える女性の面白さは、やっぱり男目線なんですよ。上手い方もいますけど。でも、女性ならではの笑いは、例えばユニット美人さんとか、女性にしか作れない笑いだし。それでモテるという事はないと思うんですけどね。その、モテるというのを、一旦供物として犠牲にしないといけないかもしれませんね。
生きる
- __
- いつか、どんな演技がしたいですか?
- 嘉納
- 大河ドラマみたいな演技がしたいです。というか、大河ドラマに出たいです。制約の多い演技が。昔の女性の、型が決まっていて制約が多い演技。
- __
- それは何故でしょうか。
- 嘉納
- 何か面白そうだなと。「何でもやっていいよ」と言われると、自分のやりやすい演技をしてしまうというか。不自由な感じをやってみたいです。
- __
- その上で、笑いを取りたい?
- 嘉納
- そうですね、制約の上で取れる笑いもあるんじゃないかと思います。
- __
- その時代に生きた時代の女性の精神性を表現したいという訳ではない?
- 嘉納
- そういうのは私はしなくていいです(笑う)本読めば分かるし。現代になる前のつらい生き方を強いられた時代の民衆、みたいなイメージありますけど、そういう時代でもびっくりするような生き方をした人っているじゃないですか。そういう人にすごく自由を感じます。
- __
- 梁石日の「血と骨」とかが思い浮かびますね。その主人公は、女性と無理矢理結婚して作った家族を蔑ろに自分の為だけに全力で生きるんですけど。
- 嘉納
- そういう熱い物語がいいですね。私も「大地の子」とか「チャングムの誓い」とか好きなんですよ。パール・バックの「大地」とか、ユン・チアンの「ワイルド・スワン」とか。中国の、ちょっとスケールが違うよな、というのが好きですね。
- __
- パール・バックの「大地」、私も読みました。1巻の本妻がクールなんですよね。
- 嘉納
- 第二夫人と違って、愛して貰えないですしね。旦那が、愛してやろうと思ったが顔を見ると萎えたみたいな描写があって、可哀想でした。
- __
- この間ノーベル文学賞を受賞した莫言もいいですよ。
下心
- __
- 今後、どんな芝居を作りたいですか?
- 嘉納
- ちょっと悩んでいるところで。小振りの、こす狡い人間を多く書いてきたんですけど、それにもそろそろ飽きてきたので、なんかちょっとそろそろ違うのをやりたいですね。まあおっさんがどう考えているかは知んないですけど。まだ何をやりたいのかはまだ分からないですけど、やっぱり笑いがあるのがいいですね。
- __
- 嘉納さんのなかで眠っている可能性がノックしている感じですかね。
- 嘉納
- いや単に飽きただけだと思いますけどね。短編じゃなく、長編を書きたいです。どうかな、本音を隠して自分のいいようにするような人、それはまあ普通に誰でもするんですけど、レストランで隣に座った人たちが、明らかに嘘を付いている話し方をする時。それが透けて見えるような劇がいいですね。
- __
- 真意が透けて見えるような演技ですね。
- 嘉納
- 下心が見えたらいいですね。
質問 大石英史さんから 嘉納 みなこさんへ
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- __
- 前回インタビューさせて頂きました大石さんから質問です。「何故お芝居を続けていますか?」
- 嘉納
- 何でだろう。何か発表したい欲があるんでしょうね。私個人は「演技が好きで好きでしょうがないんです」という気持ちは全く無いんですけど、そこそこ何かをやってないとダメになりそうな気がするんですよね。2ヶ月ぐらい何もないと、ずぶずぶと地中に埋まっていくような気が。
- __
- 地中に埋るとどうなるんですか?
- 嘉納
- 無気力になりますね。生来非常に怠惰な質なので。そうならないための安全弁かなと。
風のように
- __
- 今後、どんな感じで攻めていかれますか?
- 嘉納
- かのうとおっさんとしては、他の都市での公演をやろうとしています。今までもイベントに呼ばれて長崎とか東京にも行ったんですが、違う都道府県にも行こうかなと。
- __
- それは、どんな動機が?
- 嘉納
- 誘って頂けたからですね。三重だったりとか。知らない人がいっぱいいる所に行きたいです。もちろん、大阪でも知らない人たちばかりなんですけど、いつも劇場にいらしてくれる方ばかりに甘える形で。すごく嬉しいんですが、甘えが出てくるのは良くないよな、甘えたくない、と。シビアな所がいいよな。
- __
- シビアなところで正当な評価が行われますからね。
- 嘉納
- そういう場所じゃないと伸びないですね。去年ぐらいから名前を知っていますよ、という方が増えてきていて。今もそんなに知られている訳じゃないですが、だったらもっと、知られていない場所でやりたいと。
村川拓也「羅生門」※を終えて
- __
- 今日はどうぞ、よろしくお願いします!最近、舞台でよく見る大石さんにお話を伺います。大石さんは、最近はどんな感じでしょうか?
- 大石
- よろしくお願いします。最近は、『羅生門』が終わって、バイトをしたり、映画を観たりと、のんびりとした時間を過ごしています。
- __
- 村川拓也さんの『羅生門』ですね。振り返ってみると、大石さんの良さが非常によく出た作品だったと、私は思っています。ご自身にとっては、どんな経験になりましたか?
- 大石
- 自信を持つことが出来た公演でした。自分のことを役者と名乗ることに対しての抵抗が、少しだけ減りました。
- __
- なるほど。公演の内容的に、結構特殊な役どころでしたね。大石さんが言葉の通じないドイツ人の女性に、身振り手振りで羅生門を説明するという作品でしたね。でもそれが、どこか重なるかのような。伝わったというか、重なったんじゃないかなと。どのような稽古場だったのでしょうか?
- 大石
- 他の稽古場のとき以上に、演出家(村川拓也さん)と対話をする時間が多い稽古場でした。自分の考えを言葉にして伝えなればならない状況が、他の稽古場よりも多かったように思います。
- __
- 言葉にするというのは、セリフの言い方を整理する為に、考え方を精査するという作業でしょうか?
- 大石
- うーん、というよりも、舞台でする行為を僕自身が自覚して行えているかに、向き合う作業だったように思います。うん、何だか的は外していないのですが、伝えたいことと微妙に違うような気もします。一言では表せない作業でした。
- ※AAFリージョナル・シアター2013~京都と愛知 vol.3~ 参加作品 村川拓也「羅生門」
- 公演時期:2013/6/13~16(愛知)、2013/6/21~23(京都)。会場:愛知県芸術劇場小ホール、京都芸術センター。
逆に、そこで吹っ切れたんです
- __
- たくさん出演されている大石さんですが、どのような感じで参加しているんでしょうか。
- 大石
- ほとんどがオーディションですね。THE ROB CARLTON※さんは、ヨーロッパ企画※さんのカウントダウンイベントに作家チーム(イベントの企画を考えるチーム)で入ったときに演出の村角太洋さんと知り合って、それで誘われたのがキッカケです。
- __
- この作品は自分を変えた、というのはありますか?
- 大石
- たくさんあります。強いて挙げるならば、中野劇団さん※、マームとジプシーの藤田貴大さんが作・演出された『LAND→SCAPE/海を眺望→街を展望 』※、そして、『羅生門』ですね。
- __
- 『LAND→SCAPE』は、北九州での滞在制作作品ですよね。結構な冒険だったのではないでしょうか。
- 大石
- そうですね。まぁ、仕事を辞めたので。藤田さんの作品が好きだったというのも大きな理由ですが、そのとき参加していた中野劇団さんでの経験も後押しになりました。
- __
- というと。
- 大石
- 以前は社会人をしながら演劇に携わっていたのですが、中野劇団の役者さんたちは社会人しながらも、出来る限り面白い作品を目指して稽古しておられて。正社員として働いてるか働いてないかは、芝居をするという点では関係ないのかもと思って。もちろん、実際上での制約はあるでしょうが。
- __
- 社会人として働きつつ、自分のパフォーマンスを最大限発揮しようとしている。
- 大石
- 例えば、桐山さんは、めちゃめちゃ忙しそうなのに、仕事をしているからという甘えがないように見えて。芝居の問題の原因を、そこに持っていかないように感じて、潔いなと感じていました。
- __
- つまり、正社員として社会に登録されていようがいまいが、演劇人としては関係ない、という事ですね。
- 大石
- 逆に、そこで吹っ切れたんです。芝居を、もっとガッツリやっていても良いんだなと。
- __
- ありがとうございます。思い切ったんですね。
- ※THE ROB CARLTON
- 京都で活動する非秘密集団。(公式サイトより)
- ※ヨーロッパ企画
- 98年、同志社大学演劇サークル「同志社小劇場」内において上田、諏訪、永野によりユニット結成。00年、独立。「劇団」の枠にとらわれない活動方針で、京都を拠点に全国でフットワーク軽く活動中。(公式サイトより)
- ※中野劇団
- 2003年に京都で旗揚げした劇団です。長篇の公演と短篇(コント)オムニバス公演と2つの形式があり、どちらもほとんどが「笑い」が主体の内容です。長篇はほぼ全てが一幕もので、シチュエーションコメディの要素を含むことが多いです。(公式サイトより)
- ※北九州芸術劇場プロデュース「LAND→SCAPE/海を眺望→街を展望」
- 公演時期:2012/11/13~18(北九州)、2013/3/8~10(東京)。会場:北九州芸術劇場 小劇場、あうるすぽっと(東京)。
初舞台
- __
- 大石さんが芝居を見たキッカケを教えて下さい。
- 大石
- 大学に入ってからです。神戸大学の自由劇場さんが、土田英生さんの『約三十の嘘』をやってたんですよ。それを見て、演劇って、自分が思ってたのと違うんやなと思いました。そこが、スタートですね。それで、元々、モンティ・パイソンが好きだったので、その繋がりでケラリーノ・サンドロヴィッチさんの作品を見たんです。それがとても面白くて、更に、いろいろ芝居を見るようになりました。それから、もっと演劇を知りたくなって、ワークショップに参加するようになって、それでも物足りなくなって、あごうさとしさんの最後の代のビギナーズユニットに参加して初舞台を踏みました。だから、初舞台まで、めちゃめちゃ段階を踏んでるんですよ。
- __
- 思ってたのとは違う、とは。
- 大石
- 実際に、自由劇場さんの舞台を観るまでは、勝手なイメージなのですが、舞台上で凄い良い顔した人たちが、いい声を出して、カッコイイポーズを決めてるみたいなイメージを持ってたんです。舞台って、そなんやないのやなぁと、そのとき初めて思いました。
ふわふわのギター
- __
- 大阪のC.T.Tで大石さんが作った「ふわふわのギター」※も面白かったですよ。それこそ、笑いのために作られた不条理というか。舞台に飽きた人がめちゃくちゃしようとして作った感じがありましたが、どういう作りかたをされたのでしょうか。
- 大石
- 良いように言って下さって、ありがとうございます。単純に本を書いてみたい、作りたいと思ったんです。でも書いてみたら、次に書くセリフが全部、予定調和な気がして書けなくて。そしたら、もう僕が楽しいと思うことをポンポン繋げるしかないんじゃないかとなって、あのような作品になりました。
- __
- なるほど。
- 大石
- もっと、けちょんけちょんに言われると思っていたのですが、思った以上に好意的に観てくれる方が多かったのは、ありがたかったです。
- __
- もう一度拝見したいです。
- 大石
- そう言って下さるのは嬉しいですね。
- ※C.T.T.大阪事務局試演会 vol.11
- 公演時期:2011/11/29~30。会場:ウイングフィールド。
自覚的になりたい
- __
- いま、演技する上でのテーマは何かありますか?
- 大石
- もっともっと自覚的になりたいです。その日の劇場の空間や相手の役者さんに対して、自分が感じていることを今よりも意識的になるというか、ちょっとして変化に敏感になれると良いなぁと思います。
質問 silsilさんから 大石 英史さんへ
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- __
- 前回インタビューさせて頂きました方から、質問を頂いてきております。silsilさんという、画家の方からです。「もし、自分には絶対にムリな役があるとしたら?」
- 大石
- 役を演じるって、そもそも全てが無理のあることのような気がしています。で、無理だからこそ、僕は演劇をやっているのかなぁと、今、話していて思いました。
- __
- ムリだからこそ?
- 大石
- 自分が他人になることは無理だからこそ、役と自分のズレをきちんと感じられる訳ですし、100%は理解できないからこそ近づこうとのたうち回るのを面白いと、僕は思っているのかも知れません。
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