一人芝居の脚本執筆中!!

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願い致します。片岡さんは最近、どんな感じでしょうか?
片岡 
最近はおかげ様で忙しくさせて頂いていますね。いまはウチの劇団員の真壁愛がindependentの一人芝居フェスに出るんですが、今その台本を書いています。
__ 
どのような作品になるのでしょうか。
片岡 
前回は恋愛の話だったし、今回はせっかくの一人芝居なので、少し変わった事をやってもらいたいなと思って。女性役ではないものを書こうとしています。
__ 
人間以外ですか?
片岡 
人間ではあります。やっぱり、振り幅の多い役をやった方が貴重な経験になるなと思っていまして。僕も他の所に出させて頂いて、そういう恩恵も感じているんです。ウチの劇団員には色んな役をやらせて、引き出しを広げてもらえたらと。
__ 
作品が上演されるのは一人芝居トライアル二次審査、ですね。
片岡 
審査会という事で、14組中6組なのでどうしても周りを意識してしまうんですけどね。でも見せるのはお客さんだし、一人芝居やねんからその関係性を崩さないようにしてほしいですね。そうした意識を内に秘めて望んで欲しいです。
__ 
そういう意味では、落語に似ていますよね。
片岡 
そうですね。一人芝居の作り方って、一人で喋っててもおかしくないシチュエーションを設けるか・独り言をただただ吐露させる説得力を成立させるために人物設定を練り上げるか、なんじゃないかと。脚本家としての腕の見せ所ですね。裁判での証言とか、留守電に言葉を吹き込み続けるとか。僕が一人芝居フェスに出た時は浮遊許可証の坂本見花さんに脚本をお願いしたんですが、坂本さん「これ、終わっても拍手一つも貰えないかもしれませんよ」って。最高じゃないですかそれ、って。
__ 
脚本と役者の掛け合いの究極が一人芝居なのかもしれませんね。どんなものになるのか、楽しみです。
ミジンコターボ
大阪芸術大学文芸学科卒業の竜崎だいちの書き下ろしたオリジナル戯曲作を、関西で数多くの外部出演をこなす片岡百萬両が演出するというスタイルで、現在もマイペースに活動中の集団、それがミジンコターボです。最終目標は月面公演。(公式サイトより)
INDEPENDENT:13 トライアル
審査:2013/7/9~10。会場:in→dependent theatre 1st。

タグ: 役者の積み上げ 目を引く役者とは 拍手についてのイシュー 引き出し合う 浮遊許可証 一人芝居 落語 実験と作品の価値


應典院舞台芸術祭space×drama2013 特別招致公演 ミジンコターボショートショートvol.11「ゼクシーナンシーモーニングララバイ」

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前回の公演「ゼクシーナンシーモーニングララバイ」。大変面白かったです。当初私は楽しいお芝居を期待して劇場に行ったのですが、実際に受けた印象はそれとはかけ離れた、個人の心情に触れる作品でした。話の筋は、人生に迷って生きる優柔不断な男・シンイチの後をヒロイン・ナンシーが付いて行くというもので、男女同権主義者としては心にクるものがあったんですが、やはり一人の男として、彼の人生は果たして幸せだったんだろうかと。ハッピーな結婚の話だったんですが、そう考えると哀しい感情を掻き立てられるような・・・人生で仕事を見つけられなかった彼は、死後、天国で最高に幸せな結婚式を迎える訳ですが、それは彼の人生にとっては本当の幸せなんだろうか?この話、片岡さんはどのようにして生み出されたのでしょうか。
片岡 
まず、すんごい遠い題材でやりたいと思っていて。僕自身が結婚願望がそんなにないんですよ。じゃあいっそのこと、結婚をモチーフにしたお芝居にしようと。さらに、言い訳ばっかり口ばっかの守るものもない、何の目的もなく生きている男の話を書きたいと思ったんですね。言い訳する奴の話が書きたかったんです。
__ 
なるほど。
片岡 
そして去年、公演直前に入院した話。
__ 
本公演「シニガミと蝋燭」の時、ですね。
片岡 
誕生日の前日にやっちゃって病院に搬送されたんです。ところで入院すると、名前や番号や誕生日が書かれたバンドが手首に巻かれるんですよ。次の日が誕生日だったから一日限りのバンドだったんです。なんや、年齢変わるんかいな、と。稽古場もバタバタしていた状況だったので、僕の状況が誰にも伝わっておらず、期せずして誰も近くにいない、祝ってもらえない誕生日がやってきて、逆に気持ち良かったんです。一人や、と。病室はカレンダーはあったんですが時計が無くて、時間も分からないみたいな残酷さを感じて。人に迷惑は掛けているけど開き直るしかない境地になってました。だって、もう申し訳ないという言葉を重ねてもしょうがなくて。病室から稽古場に連絡を取って、役者さん達に頑張ってもらったんです。そういう、ちょっと死を感じるような事があったんです。人が周りにいっぱいおるけど孤独感がある。そういう感覚は女性には分かってもらえないんじゃないかと思ったんですね。それをやりたい、というのが原動力かなあ。
__ 
そのリストバンドの存在が印象的ですね。誕生日が書いてあるものを手首にはめられるのはちょっとショッキングかもしれません。いや、填めてみないと分からない感慨でしょうけど。
片岡 
そうなんですよ。それにもうその歳ちゃうがなと。もう歳食ったんかいと。去年から入院していたような気になってしまって・・・。劇団員が千羽鶴折って持ってきてくれて、千足りてなかったんですけど。なるべく早く退院したくて、リハビリ以外の時間も頑張ったんですよ。夜中に病院脱出しようとしてみたりして、めっちゃ怒られました。力づくで病院の玄関をこじあけようとしたりして(笑う)。
__ 
「ゼクシー」の主人公のシンちゃんも、言ってみれば寂しい人生だったんじゃないかと思うんです。あの特殊能力も活かせないまま。
片岡 
そうですね。
__ 
私にとっては虚しくて泣ける話でした。
片岡 
男性全てがそうだとは限らないんですが、知人の結婚式にいくと、やっぱり新郎さんではなく新婦さんにフォーカスが当たるんですよね。でも満足気なんですよ。目立ってないけど。目立つ事が良い訳ではないけど。女性がやりたい事をやっているのを見て満足しているというのが、男にはあるんじゃないか。ちょっとロマンチックですが、それを見ているだけでプライスレスというか。シンイチの人生に関して言えば、それが一番のご褒美だったんじゃないかと思うんです。自分が演じてきて、それを感じましたね。
ミジンコターボ-10『シニガミと蝋燭』
公演時期:2012/7/27~29。会場:ABCホール。

タグ: 役者の認識(クオリア) 残酷な演劇 死と性と 産みの苦しみ ユニークな作品あります 感想がトシと共に変化していく 迷っています 孤独と演劇 男性性とは何か 大・大・理不尽


質問 藤本 隆志さんから 片岡 百萬両さんへ

__ 
前回インタビューさせていただいた、てんこもり堂の藤本さんから質問です。「靴を選ぶ時の基準は何ですか?」
片岡 
靴ですか?それは・・・すごく面白い質問ですね。
__ 
藤本さん、以前に片岡さんを舞台でご覧になったときにお洒落な方だと思われたそうでして。
片岡 
恥ずかしい。僕はですね、足の長さに対しての甲の高さが高くて。普通に足のサイズに合わせて選ぶと痛くなってしまうんですよ。だから、1.5cmほど長いのを選びます。でも先端が空白になってしまうのが悩みです。あ、柄がうるさいのを選びますね。今もうるさいのを履いています。

タグ: 恥ずかしいコト


旗揚げ前夜

__ 
片岡さんがお芝居を始められた経緯を教えて頂けないでしょうか。
片岡 
高校の演劇部ですね。ものすごく仲の良かった子が部長で、人数が足りへんと。最初は全然本気じゃなかったのに、どこでスイッチが入ったのか。
__ 
なるほど。
片岡 
いっこ下に竜崎がいてたんですけど「こんなふざけた奴が入ってくるなんて。私やめます!」って辞めたんですよ。部長が泣いて「皆仲良くやってくれへんかな」と。したら戻ってきてくれて。卒業するとき引退したんですけど、OBだけで劇団を旗揚げしたんです。1年したら竜崎たちも合流して。惑星ピスタチオの「破壊ランナー」に衝撃を受けて、LOVE THE WORLDに入って。それくらいまでOBの劇団でやってましたね。
__ 
ありがとうございます。ミジンコターボを旗揚げした経緯を教えて頂けますでしょうか。
片岡 
LOVE THE WORLDが解散するとき、僕は放り出された気分になったんです。打ち上げの席で、この2・3年ずっと同じ釜の飯を食った仲ばかりでした。「まだやり足らへん人、一緒にやらへんか」って募ったらぱっぱっぱって手を上げてくれて。嬉しかったですね。で、面白いんちゃうんかって竜崎も連れてきて。劇団名を決める時に、僕以外は「ミジンコターボ」がいいと。僕は百萬両一座がいいと言ったんですけど多数決で負けて。いま、多数決で勝った人は誰も残ってないんですけど。由来は気に入っています。

タグ: 分岐点 俳優同士の闘争心 衝撃を受けた作品 名称の由来 私たちの世代 旗揚げ


燃えるビセイブツ

__ 
由来とは。
片岡 
僕らは、その頃も今でも無名だし、宇宙から見れば微生物みたいなもんで。でも、そんなのでも集まって頑張ったら、お客さんと充実した空間を作れるんじゃないか。
__ 
加速して、ですね。
片岡 
ターボエンジンを積んでね。
__ 
ミジンコターボの魅力は、やっぱりお客さんにムリをさせずにあの熱気の渦に巻き込んでいける丁寧さだと思っていますが、いかがでしょうか。
片岡 
自分ではあまり意識はしていないんですけど、エンターテイナーやなと人には良く言われます。お芝居に触れた事の無い人が初めて見るのがミジンコターボなら、その人は演劇に興味を持つだろうとよく言われて。嬉しいのは、「見て元気になれました」という感想です。こっちが元気を貰えますやん、次も頑張れます。
__ 
片岡さんは、お客さんに元気になってもらいたいんですね。

タグ: お客さんに元気になってもらいたい 演劇の入り口を作る 名称の由来 丁寧な空気づくり


片岡さんが面白がれる

__ 
片岡さんのショートコント公演と、竜崎さんの本公演。ミジンコターボの作品はこの二形態がありますね。それが奥の深さを感じさせているように思います。
片岡 
本公演とコント公演ではやり方が全然違うんですよ。台本も縦書きと横書きで違うし。何より本公演の方はテキストの量が比較にならないほど多くて、役者がセリフを全部言えるようになるまでは「セリフ返せ返せ、感情なんて後からついてくんねん」言うて。
__ 
コント公演の稽古では。
片岡 
やっぱり僕が書いて演出している分、外したくないポイントはあって。でもそこ以外は○○○にしてあって、日替わりのセリフという訳じゃないんですがあえて役者に委ねている部分なんですよ。
__ 
聞いたことがあります。片岡さんが面白がれるのがポイントなんですよね。
片岡 
あんまり良くないんですけどね。
__ 
何だかミジンコターボの稽古はしんどいけれど物凄く充実してるんだろうなあ、と思うんです。
片岡 
実は稽古以外の時間の過ごし方にも興味があって。ある役者さんが、自分の芝居にどうしても納得いかないと。帰り道が一緒な役者を誘って公園で稽古したというのを後で聞いたり。悩んどんなあと。そういうのって、いいなあと思いますね。

タグ: 情報量の多い作品づくり 稽古場の使い方・大阪・エンタメ系


どうしたら面白い登場になると思う?

__ 
ミジンコターボが本公演・コント公演共に非常に優れているのは、ダンスやネタだけじゃなくて、出ハケもその一つなんじゃないかなと思うんですよ。そのタイミング、そして方法が本当によく考えられていて、完璧に実行されるのがいつも見事だなあと思うんです。
片岡 
そうですね、注文は凄くしますね。気が付いたらいつの間にかおってほしくて。台本には詳しく書かれていない事もあります。場合によっては、どうしたら面白い登場になると思う?って考えてもらう事もありますよ。
__ 
出ハケは身体での演技の前後段階で役者が表現するチャンスなんですが、だからセリフよりもずっと早くに観客に届くものだと思うんです。だからそれを役者に求めるのは独立性を求めているんですね。
片岡 
若い役者さんって、セリフをしゃべる事だけに集中してしまいがちなんじゃないかと思うんです。セリフがない時こそ頑張ってくれと思いますね。

タグ: 出ハケについて


生き延びる

__ 
今後、描いていきたい作品は。
片岡 
自分の展望としては、全編にわたって山場がない作品を作りたいです。
__ 
というと。
片岡 
ゼクシーは最後の結婚式が超山場でした。そういうシーンが無くても超面白い。そんな作品が作りたいです。印象的なシーンが無くても勝負できる。構成に頼らない作品を作れればと思います。最後にビッグパンチを用意するのもいいけど、それで前半緩んでるんじゃないかと思われないように。痺れさせないまま駆け抜ける作品を作ってみたいですね。
__ 
ミジンコターボ、今後はどんな感じで攻めていかれますか?
片岡 
今話しているのは、「持ち運びが出来る作品を作ろう」という事です。関西を中心というのは変わらず、他の地に持っていけるような。劇場の大きさや状態に関わらず、ブレのない作品ですね。音響・照明などのテクニカルをはじめ、空間を相談しながら作っていくんです。
__ 
持ち運び出来る。それが、ミジンコターボらしさをもっと純粋に高めてくれればいいですね。もちろん、らしさを損なわずに。
片岡 
ウチの人間は大体みんな一人芝居をやっているので、それをパックにして持って行こうぜとも言ってるんです。それだけで3時間ありますね。僕、竜崎、Sun!!、川端、江本と。一人芝居好きなんかと。
__ 
素晴らしい。では、片岡さん個人としてはいかがでしょうか。
片岡 
俳優としてはやっぱり、面白いと形容され続けたいなと思います。エンジョイというか、愉快やなあ。尼崎に生まれて、大道芸人の気質が残っているのか。面白いと思われたいというのがずっと残っていますね。
__ 
なるほど。
片岡 
僕、舞台上で絶命することが多いんですよ。生き延びるような役を演じてみたいですね。死ぬって未知の、経験していない事じゃないですか。経験している事の中で反映出来る芝居がしたいです。

タグ: 今後の攻め方 作家としての課題 演劇は勝ち負け?


エンドマーク、スタートライン

__ 
・・・「ゼクシー」の話に戻りますが、正直、ミジンコターボの作品として、最も人間性を感じたんです。ネガティブな事をポジティブに変換したミジンコターボの作品作りはとても好きでしたが、同時に、この人達は眩しすぎて直視出来ない、とも思っていました。でも、例えば病室で感じた孤独感をそのまま作品に持ち込んで、それが誰かの琴線に触れるような作品が拝見出来るとは思っていなかったんですよ。意外だと思うと同時に、何だか嬉しかったです。
片岡 
そうした感想を頂けるのは嬉しいです。僕にとっては新天地だったので。
__ 
面白かった上に、泣けたという感想もあったみたいですね。
片岡 
最後のシーン。プロのバイオリニストの方がシンちゃんの亡き父親役で出演して下さいまして。そのシーンのリハーサルで僕は演出なので前から見させてもらったんです。主人公なのに。でも僕抜きでも成立していて、押し寄せてくるエネルギー量がね、バイオリンが良かったという感想だけだったらどうしようと思いました。
__ 
なるほど。
片岡 
これ裏話なんですけど、隙間の時間に、僕と音響王子とそのバイオリニストの方だけで音響のレベルチェックをしていたんです。アイデアとして、「本当はお父さん、めっちゃ下手なバイオリニストだったという設定はどうか」と。実際に音を外してみて貰ったら、やったらめっちゃ盛り上がりました。
__ 
それはちょっと泣けますね。そんな事をやったんですか。
片岡 
人間としてはそれが普通かも。上手だったら出来すぎやろう。下手くそやったんやお父さん!でも、それやったら意味あらへんがな、と。
__ 
天国にまで行ったのに。それは逆に出来すぎですね。
片岡 
これは泣けるけど、そういう人は少ないやろうなという話になりまして。結局、丁寧に弾いて見ただけました。

タグ: エネルギーを持つ戯曲 天才スタッフのひらめき 生演奏のある作品 楽器の話題・バイオリン


絵本 ごんぎつね(新美南吉/作 いもとようこ/絵)

__ 
本日はお話を伺えたお礼に、プレゼントを持って参りました。どうぞ。
片岡 
ありがとうございます(開ける)おっ。ごんぎつね。ありがとうございます。キツネ、好きなんで。いいんですか。
__ 
ちょっと荷物になるかもしれませんが。

タグ: プレゼント(書籍系)


僕は重くなった

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今日はどうぞ、よろしくお願い致します。藤本さんは最近、どんな感じでしょうか?
藤本 
最近はちょっと、重いですね。
__ 
重い。心が重いという事でしょうか?
藤本 
いえ、単純に体重が増えてきているという事ですね。基本的にはそんなに太らないんですが、今回はかなり。
__ 
なるほど。痩せようと思われますか?
藤本 
実は正直、あまり思わないですね。昔は気にしてダイエットしたりしてたんですが、今はそうでもないです。
__ 
ある程度の年代になると、痩せようと思わなくなると聞いた事があります。ちょっとそこは興味あります。
藤本 
いえ、男も女も、キレイでいたいとか、カッコ良くありたいという思いはあり続けますね。だからといって、必ずしも痩せているのが美しい訳ではないという事に気づき始めるんですよね。外見ではなくて、人間の内容。これが見られるようになるんですよ。中年は、どれだけ人間としての内面を充実させられるか。だから、ダイエットにはあまり時間を掛けないんです。もちろん、健康でありたいとは思いますけど。
てんこもり堂
はじめまして、てんこもり堂です。主に京都で演劇活動をしております。「てんこもり堂」とは、私たちが『面白い』と思うものを徹底的に「天こ盛り」上演しようと2007年に結成された演劇ユニット。メンバーは藤本隆志、金乃梨子。演技の向上とオリジナル作品の創作を目指し、既成の戯曲を使用し上演するスタイルで開始。演出方法を変え繰り返し同じ作品を上演したり、一人の作家の数作品を上演し続けたりする「しつこさと粘り強さ」が特徴。過去の上演作家は、如月小春、岸田國士、別役実。(こりっちより)

タグ: ダイエットについての話題


てんこもり堂第五回本公演「真、夏の夜の夢」

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てんこもり堂第五回本公演「真、夏の夜の夢」。まず、素敵なチラシですね。
藤本 
ありがとうございます。デザイナーの方にかなり注文を押しつけてしまって。僕の中に、今回はこうしたいというコンセプトがあったので、折れてもらったという形になりました。ストイックでキレイなチラシには憧れるんですが、自分のキャラクターとは合ってないなと。
__ 
タイトルの「真、」の部分。真夏である事が強調されながらも別の意味が込められているように思うのですが。
藤本 
「ま、なつのよのゆめ」と読んで貰いたいと思っています。実はこの作品、6月の夏至の日がベースのお話で、5月の祭も話題に出てくるんです。日本で真夏と言えば8月だし、昨今は「夏の夜の夢」というタイトルで上演される事が多いみたいです。ウチはそこをあえて「真夏」にして、「、」を入れてみたら、何か普通にはやりませんよみたいな。「真」って何やろうと思ってくれるのかなと思ってもらえるんじゃないかと。
__ 
原作を選んだ経緯を伺っても宜しいでしょうか。
藤本 
3年前にぶんげいマスターピースのシェイクスピア部門に、てんこもり堂も参加させてもらったんです。地元の劇団だからという配慮もあったのかもしれません。1時間程度の作品で、力いっぱいやらせてもらったんですが、審査員の方にきつい事を言って頂いたんですね。それが、僕の中の闘争心に火を付けたんですね。いつかシェイクスピア作品で返したいと思ったんです。それが、もう一度シェイクスピア作品を考えようというキッカケになったんです。
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どのような魅力を今は感じられているのでしょうか。
藤本 
400年前に書かれた作品で、けれど色々と個性溢れる人が出てくるんですよ。彼らの個性って、現在でも色褪せる事がないし、何だかそういう人がいていいんだと思えてくるんですよね。
てんこもり堂第五回本公演「真、夏の夜の夢」
公演時期:2013/7/5~7。会場:アトリエ劇研。

タグ: 嘘のない いつかリベンジしたい


「我ら役者は影法師」

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色んな人がいて、それで良いと。
藤本 
シェイクスピア作品には様々な解釈を許す多面性があるというか。どういう風な切り口をしても、結構通るんですよね。無理矢理でも。現代の役者に役を振った時に出てくるものには、現代人の彼が反映されている訳ですよ。そこを活かしたいですね。その人ならではの読み方を。
__ 
なるほど。
藤本 
もちろん演出もやっているので、こうしたいというコンセプトはあるんですけども、役者さんに委ねて出てきたものをどう活かせるか。それがどうしたら面白くなっていくのか、役者さんたち全員と共同で作っていくのが理想です。僕が一方的に指示したりする関係性は、なかなか良い秩序を産まないので。お互いに掛け合う。「こんなのはどうだろう」、「うん駄目や」と言いながら、この座組でしかできない、交換不可能なものを作って行きたいですよね。
__ 
ありがとうございます。この「真、夏の夜の夢」、作品としてはどのようなコンセプトがあるのでしょうか。
藤本 
戯曲の最後のセリフが印象的で、「我ら役者は影法師」、私達の芝居は大したことはありませんけれども、夢だと思って下さいというメッセージで締めくくる。まず夢である事が大切で、その世界を描こうというのが一つ目の指針でした。もう一つはやっぱり恋愛モノですので、「夢」と「愛」がコンセプトとして作っています。夢にしても、寝ている時の夢でありながら、実現出来る夢として描きたいですね。愛も、間違っていても構わない、色んな愛の形があっていいという事を舞台上で描けたらと思います。欲張りですけど、そういう風に膨らんでいけばいいなあと思います。
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このお芝居を見たお客さんに、どう思ってもらいたいですか?
藤本 
人が人を好きになるって、いい事だと思ってもらいたいですね。そう思ってもらえなければ駄目だなあと。それは男女間の恋愛だけではなく、男が男に惚れる場合もある訳ですよね。年齢差も関係ない。それが素晴らしいという事を伝えたいですね。ニコニコとした気持ちで見て貰えたらと。

タグ: この座組は凄い どう思ってもらいたいか? ラブストーリー 恋愛至上主義 相互承認 関係性が作品に結実する


「見ている」

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それは、片思いの事を指していますか?
藤本 
僕はドストエフスキーの作品が好きなんですけど、彼の描く愛の形は「目を背けない愛」なんですよね。悲惨な状況であってもちゃんと見ようとする登場人物が必ずいる。それは一つの、信じられる愛の形だと思っているんです。見てはいけないものをしっかり見るという。それを舞台上でやりたいです。台本上、出ハケではかち合うことのない登場人物が、もし同じ空間にいて「見ている」としたら。その方向性で作ろうとしています。
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もしかしたら笑いになるのかもしれませんね。もしくは、そうした事により奇妙な想像が膨らむのかも。
藤本 
僕はギャグが好きなので、笑いになるのならば避けるつもりはないですね。だからと言って、今そう言われたからそういう方向に行く訳ではなく。僕達の作品にとってそれが必要であれば、力強く選んでいきたいと思います。ただ、単純に、俳優たちが舞台から姿を消さずにじろじろと芝居を見ているというのがどういう事になるのか見てみたいんですよ。不親切な作品になるかもしれませんが、あらゆる場面で関係性が見えた時、お客さんがどこを見たら分からなくなる。本来なら、見るべき所を決めるべきなんですけどね。極端に言うと4つのシーンが同時多発的に起こっている。そんな状況なら、ベタベタな笑いになるかもしれませんし無茶苦茶な状況になるんでしょうけど、そうしたリスクを冒さないと自分達にとって面白いものは出来ないんじゃないかなあと思っています。

タグ: 上演中出ずっぱり型演出 ドストエフスキー 出ハケについて 「ベタ」の価値


人間

__ 
藤本さんの演出家としての特長は、ご自身ではどこだと思われますか?
藤本 
演出としての一番願っている事は、引いて舞台を見ていても、大事な瞬間にフォーカスがアップに見えるような感覚が作品に欲しいですね。そこにぎゅっと、そこに今マックスのエネルギーが掛かっている、濃厚な瞬間を舞台で実現したいです。役者としても、そこへのこだわりがありますね。
__ 
ありますよね。後ろの客席から遠くの舞台の人の、例えば振りかざしている腕が迫力を持って大きく見える瞬間。
藤本 
映画のアップみたいに、そこしか見えていないような瞬間がたくさんあるといいお芝居になるんじゃないかなと思います。
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集中しているという事ですね。
藤本 
大事だと思います。
__ 
集中している事が何故大切なのでしょうか。
藤本 
そこに人間が出てくるからだと思いますね。登場人物の人間像や、もしかしたら俳優が持つ人間性などが何ものをも押しのけるほどのパワーを持っていて、そこに見入ってしまう。そこに圧倒されてしまうし、惹かれます。もちろん、引いた目線の作品で素晴らしいものもありますけどね、やっぱりどうしても惹かれてしまいます。それを具現化していくのが本当に難しいんですが。
__ 
そうかもしれませんね。
藤本 
そこで思うのは、型を持たずに柔軟に行こうと。脚本や役者によって変わりますしね。もちろん、型を持つ方はたくさんいらっしゃいますし、本当に強くて魅力的です。が、僕はフラフラしながらの演出なので、うらやましいからこそマネ出来ないですね。
__ 
特定の型を作らない事で、飽きられないし、藤本さんご自身も飽きないんですね。

タグ: 役者の認識(クオリア) エネルギーを持つ戯曲 演技を客席の奥まで届ける 舞台全体を見渡せる感覚 俳優自体の人間力 俳優を通して何かを見る


アイデアを生かした演技がしたい

藤本 
その反面、俳優としての僕は全部システマチックなんですよ。演技の全てに理由があって、僕はそれが嫌なんです。
__ 
あ、嫌なんですね。
藤本 
こういう風に見えているだろうなと思うのが嫌ですね。憧れとしては、無計画でいたいですね。サッカーのように、その場その場で生まれてくるアイデアを生かした演技がしたいです。インプロビゼーションではなくて。
__ 
状況に動かされているという感じ?
藤本 
あるシステムの役どころに、自分をはめていくというか。その上で成立している演技をしている事に嫌だなあと思っています。
__ 
そこから脱したい?
藤本 
はい。
__ 
藤本さんに振られる役が、ご自身と似つかわしすぎて、労力がいらないから、かも・・・?
藤本 
そうですね、全然違う芝居の役どころに当たったら、そこで全く通用しないから、違うやり方に触れるかもしれません。

タグ: 道具としての俳優 即興、インプロについて


フィルムから人形劇へ

__ 
演劇を始めた経緯を教えてください。
藤本 
映画監督になろうと考えていたんです。撮影所に入ろうとしたんですが、やっぱりどこでもそうなんですが、映画じゃなくてTVを主に撮影していたんですね。僕は青二才だったし、僕にとって映画とはフィルムを指していたから。遊んでいてもしょうがないので映画に繋がる事が出来たらいいなと思って、演劇をしたら勉強になるのかなと。作る側として。そこで探していたら人形劇団が募集を掛けていたんです。子供の頃NHKで人形劇を良く見ていたので、受けてみようと。
__ 
なるほど。
藤本 
元々作る側を志向していたんですが、演じる事になって。渋々ながら稽古していたんですが、本番を迎えて、「表現するって面白いんだ」と思うようになりました。

タグ: 映画の話題


質問 筒井 潤さんから 藤本 隆志さんへ

__ 
前回インタビューさせて頂いた、dracomの筒井潤さんからです。「寝る時に、どのタイミングで明かりを消しますか?」
藤本 
明かりを消してから10分後に寝ていると思います。だから、10分前ぐらいじゃないですか?

ドラマへ

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
藤本 
自分の中で大切な事を言いますが、時間が掛かってもいいから劇作をしたいです。これまで演劇をしてきて、結局自分がドラマが好きなんだなと強く思うようになりました。一作くらいは本公演で、自分が書いたものを舞台に載せたいなと思います。これが自分にとっての、これからの展望になると思います。
__ 
どんな物語になるのでしょうか。
藤本 
家族の話になるでしょうね。出来ればしっかりセットを組んで。永井愛さんのような、もしくはいままで上演してきた作品のような、魅力的な作品にしたいと思います。

タグ: どんな手段でもいいから続ける 作家として不安はない 今後の攻め方


水うちわ

__ 
今日はお話を伺えたお礼に、プレゼントがございます。
藤本 
ありがとうございます。
__ 
どうぞ(渡す)
藤本 
これは団扇ですか?水うちわ?
__ 
それはですね、水に付けて仰ぐと涼しい風になるものなんですよ。
藤本 
ありがとうございます!僕、冷房をあまり付けないのでぴったりです。これ、好きな色です。紺色。

タグ: プレゼント(衣服・布小物系)