壱劇屋と集団創作

__ 
そういうしんどさも、壱劇屋の魅力かもしれませんね。
大熊 
もうみんな、そういう事がないように誓ってます。
__ 
なるほど、だからみんな先回りしてネタを作るし、台本も全員で作っていると。
大熊 
劇団員って普通、脚本が遅くても気を使って言わないじゃないですか。あれ以降、もうみんなそういう事ないですね。「遅いけど大丈夫?」って言ってくれます。
__ 
集団創作がだんだんとまとまっていっているという感じだと思うんですよ、それはいい方向なんじゃないでしょうか。
大熊 
あ、僕もいいと思います。元々、全員で作りたいなと思ってたんですよ、高校の頃から。一時期は劇団員が少なかったんですが、最近はまた増えたので委ねようと。みんなが、委ねられ慣れるともっといいんじゃないかなと。今回のロープアクションもそういう風に作っていますので。

我流からハイブリッドへ

大熊 
最近までは、振付って面白い動きをすればいいやと思ってたんですけど。
__ 
ええ。
大熊 
関節の仕組みを使った動きだとか、ここを押したら肘が落ちるとか。それをアレンジして見た目面白くなるようにしていたんですけど、いつまでもそれだけではアカンなという思いが強いですね。例えば表現だったり。バレエやジャズダンスの基本も学びたいですね。いつまでも我流というのは。
__ 
我流には我流の良さがありますけどね。
大熊 
そう、そうなんですよ。他にないから面白いと言ってくれる方もいるんですよね。それも出来たらいいし、由緒あるメソッドも身に付けられればと思います。
__ 
そういう時間が持てるといいですね。
大熊 
あと、台本ですね。台本書きに縛られてるから、時間が。

タグ: 壱劇屋・謎の一人遊びシリーズ


質問 有北 雅彦さんから 大熊 隆太郎さんへ

__ 
前回インタビューさせて頂きました方から質問を頂いてきております。かのうとおっさんの有北雅彦さんからです。「今まで一番、やらかした失敗を教えて下さい」
大熊 
あ、有北さん!今まで一番・・・。ぱっと思い付いたのは言えないですね、年老いるまでは。岡本拓郎さんのプロデュース公演に出させてもらった時、仕込みの日の入り時間に起きた事ですね、もう大先輩の公演に初めての客演で、しかも主役を頂いて、周りも大先輩の方々ばっかりで。迷惑を掛けてしまいました。そういう遅刻を、現場で一回やるかやらないかの確率でしそうなんですよ。
__ 
キツいですね。
大熊 
去年の2月の公演、台本がめっちゃ遅くなって。本番の日の朝5時くらいから通した事があります。泊まれる楽屋だったんですが、前日の24時ぐらいから4時まで返し稽古して1時間みんなを寝かせて5時にまたリハとゲネをやって本番して、という。早朝の5時の楽屋でみんなを起こして「今から通し稽古をやりますよ」「え、今から通しをやるの??」という空気が流れました。朝7時に駄目出しして、振り返ったらみんな寝てるんですよ。さすがに寝ることにしました。みんな、泥のように眠ってました。あれはかなりやらかしましたね。ちょっと反省すべきですね。

タグ: 反省Lv.3


師匠たち

__ 
大熊さんはマイムパフォーマーでもあるんですよね。マイムを始めたのはどのような経緯が。
大熊 
僕、高校演劇に入った時は吉本新喜劇がやりたかったんですよね。もう今は全然違う作風ですけど。そのうち、マイム作品を映像で観る事があって。マイムでも笑いが取れる事が分かったんです。
__ 
見えない壁とか、可笑しみがありますよね。
大熊 
でも、それ以外にももっと可能性のある表現技術なんだと思ったんです。アニメーションダンスとかにも繋がるし。始めるきっかけは、いいむろなおきさんの公演に行った時に、アイデア次第で何でも出来る手段なんだ、って気付いたんですよ。壁とかカバンとか以外にも、色々と。センスはいるかもしれませんが、身体能力がめちゃくちゃ高くなくても磨いていけるんです。そこから自己流で練習し始めました。マイムやダンスの動画見て、独学で。
__ 
独学で!凄いですね。
大熊 
で、いいむろさんの「マイムラボ」に参加しました。10月に始まったラボで、3月にいいむろさんと小野寺さんの「XとYのフーガ」という公演のWSオーディションを受けさせてもらって。そこで受かって、ダンスよりのマイム表現の稽古が始まりました。KAVCで、朝から晩まで小野寺さんのマイムをやって。
__ 
朝から晩まで。
大熊 
そこでもう、ゴクゴクと水を吸うように勉強させてもらいました。技術はもちろん、作品に対する考え方、もう色々です。お二人はもう、心の師匠ですね。

タグ: いいむろなおき 手段を選ばない演劇人 パントマイムの話題


枚方の河川敷で野外稽古

__ 
聞いたところによると、壱劇屋は枚方の河川敷で野外稽古をされるそうですが、場合によっては徹夜になることがあるそうですね。
大熊 
あれは、やりたくないですね(笑う)。お恥ずかしい話、作品が間に合わなくなるとどうしても。しかも台本が出来たところで終わりではないので、やってる事も複雑なんですよ。稽古時間は多いんですけど、完成するには間に合わないですよね。それは僕らの完全にだめなところですね。
__ 
それは納得するまで作っているからでしょうね。
大熊 
そう言ってもらえると。また、小道具の製作とかもあって、それがあるともうみんな駄目ですね。「今回は夜を明かすんじゃないか」という不安が広がりますね。でも、最後に徹夜したのは回想電車999が最後です。
__ 
大変ですね。
大熊 
回想電車は最後に電車でパフォーマンスするシーンがあるんですが、3分作るのに4時間掛かるんです。これはまずい、突貫工事で面白くしなければならないと。
__ 
ところで、夜の公園で芝居の稽古をするのってロマンがありますよね。
大熊 
そうですね、陰影があってキレイに見えますよね。維新派みたいな。
__ 
枚方市の河川敷はどうですか?
大熊 
あんまり良くないですね、暗いので(笑う)

タグ: 夜の公園で 恥ずかしいコト


劇団壱劇屋 第20回公演『SQUARE AREA』

__ 
次回公演「SQUARE AREA」。企画の経緯は。
大熊 
應典院演劇祭に「回想電車999」で参加して優秀劇団賞を頂きまして。その共同プロデュース枠に選んで頂けまして。円形の劇場で何をしたら良いのかを考えたんですけど、囲み舞台をしてみたいなと思っていたのもあって。縁ですので、ここでやとうと。
__ 
四角形のイメージがある作品ですが、それはどこから。
大熊 
「円」はあまりやりたいとは思えなくて。何でだろう?
__ 
円というか球はどこから見ても表情が一つに決まるけど、四角というか立方体は表情が変わるから、そのあたりの違いがあるのかな、とふと思いました。
大熊 
あと、部屋の中の話なので、四角ですね。
__ 
どんなお話になりますか?
大熊 
難しいですね、これを言うとネタバレになってしまうので。囲まれている人々が漏れたりとか。でも、単なる謎解きモノにしてしまうのは何だかもったいないのかな、それは囲みでやる意味が半減するんだろうと。囲まれているという事が、上手いこと話に組み込めないかなあと。
__ 
楽しみです。
大熊 
ここからどんどん、作り込んでいこうと思います。
劇団壱劇屋 第20回公演『SQUARE AREA』
公演時期:2013/6/12~16。会場:シアトリカル應典院。
劇団 壱劇屋 第17回公演『回想電車999』
公演時期:2012/8/7~8。会場:シアトリカル應典院。

タグ: 次の公演


枚方市にて

__ 
大熊さん率いる壱劇屋は由緒ある磯島高校演劇部のOBを中心に旗揚げされたんですよね。
大熊 
そうですね、いまはもう磯島高校は統廃合でなくなってしまったんですけど。僕らの代の演劇部が全国大会の切符を手にして、でも大会の規約で後輩に切符と台本を引き継いで卒業して。可哀想ですよね。
__ 
あとはお任せ的な。
大熊 
僕らの代は結構、パワーあったんですよ。その時からのメンバーは3人です。さらに、その時代に高校演劇をやっていた人達が中心メンバーですね。前回公演のチラシを作ってくれたのもその時の繋がりだし。
__ 
とても羨ましいですね。私も高校演劇だったので、その当たりの感覚が好きです。

タグ: 高校演劇 私たちの世代


「突撃!八百八町!!」の思い出

__ 
「突撃!八百八町!!」でとても楽しかったシーンがあります。3章仕立ての最後くらいで全員が「バンブー!!」って主人公の掛け声が感染るシーン。竹村さん演じるタケミツナリタは巻き込まれ型の主人公ですが、話が進むにつれてだんだんと異能力者という事が判明し、逆に周囲を巻き込んでいくという壮大な逆転を体現したシーンと言えるでしょうね。
大熊 
ありがとうございます。とは言え、僕はあれ何にも言ってないんですけどね。気がついたら勝手にあいつらが「せーの、バンブー!」ってやってて。あ楽しそうやな・・・と。
__ 
そうなんですね。いい作品でした。
大熊 
ちょっと怖かったんですよね、最近の作風とかけ離れていたので、ウチを好きでいてくれるお客さんに受け容れられるかどうか。不思議な感覚を大事にした演劇をずっとやっていたし、くだけた感覚のは久しぶりでしたし。娯楽に徹したB級を全力でやらせてもらいましたが、結構楽しんでもらえたみたいでした。
__ 
あれだけふざけられるとは思ってなかったです。とても面白かったです!どうやって作ったのか気になるぐらい。
大熊 
僕が一応、作演出なんですけど、結構みんなで話すんですよ。お話も皆で書いたりしてるんです。稽古の進め方についても全員主導で、僕が最終決定するんですけど、竹村が中心にストーリーも考えてますね。「今回こんな感じのがしたいんだけどどうしたらいいかな」から始まって。僕は最初「主人公の名前はバンブー万太郎にしたい」と提言したんですが、それは嫌やと言われて「タケミツナリタ」にしたり、実は公演タイトルも・・・。
__ 
つまり、壱劇屋の作品はメンバー全員が作って同意したアイデアと意見で出来ている。
大熊 
まあ、大きいですね。
__ 
息が合っていると感じるのは、全員から出てきたものを面白くしようと動いているからかなと、ふと思いました。手作り風味と言えるのでしょうか。
大熊 
そういう事かもしれませんね。

タグ: B級の美学 手作りのあたたかみ おふざけ


分かりやすい面白さと芸術的な面白さの中間

__ 
今日はどうぞ、宜しくお願い致します。大熊さんは最近、どんな感じでしょうか。
大熊 
焦っていますね。来年でアラサーなんで、生活的な事が気になる年齢になってしまいました。周りの演劇人たちは一体どうやって生活してるんだろうと。
__ 
頑張って下さいとしか言いようが無いんですが、もっと多くの人々が大熊さんに注目したらいいですよね。
大熊 
ありがとうございます。ここ最近、演劇の感想が以前と違うんですよね。昔は何を見ても面白かったんですが、今は自分の作品に結びつけて、純粋に楽しめなくなっているんです。面白いと思っても心の奥底では・・・。
__ 
一人の人でも、色んな感想を持つものですからね。
大熊 
そうですね。Web上に面白くないという感想を書く人もいる。反面、つまらないと思った作品の面白い点をキャッチ出来ている自分もいる訳で。そういう芝居を見た後に自分のとこを省みると、ウチはエンタメだからなあ、楽しませられなかったら終わりやからなあ、楽しめなかったらごめんなさいだなあって思うんです。今年の2月はとくにはっちゃけた作品を作ったり、そうかと思えばコンテンポラリーのパフォーマンス作品もやるし、ウチもやっぱり色々方向性が違う作品を作ってるんですよね。
__ 
「突撃!八百八町!!」は完全にエンタメ系でしたね。
大熊 
そうですね、とにかく、カッコよかったり面白かったりを感じてもらえなかったら終わりやなあと思って作ってます。中間を狙いたいんですよ、こんな言い方をすると怒る人がいるかもしれないんですけど。
__ 
大丈夫だと思います。
大熊 
エンタメ系とアート系の中間、分かりやすい面白さと芸術的な面白さの中間で、いい感じでバランスを取れているような、受け口の広い作品。そういう意味での大衆性がある作品を目指しています。
壱劇屋
2005年、磯島高校の演劇部全国出場メンバーで結成。2008年より大阪と京都の狭間、枚方を拠点に本格的な活動を開始。主な稽古場は淀川河川敷公園で、気候や時間帯をとわず練習する。マイムパフォーマンスを芝居に混ぜ込み、個性的な役者陣による笑いを誘う演技にド派手な照明と大音量の音響と合わせ、独自のパフォーマンス型の演劇を行う。イベントではパントマイムやコントをしたり、FMラジオにてラジオドラマ番組を製作するなど、幅広く活動している。(公式サイトより)
劇団壱劇屋第19回公演「突撃!八百八町!!~人斬りピエロ軍団vsタケミツナリタ~」
公演時期:2013/2/23~24。会場:中津芸術文化村ピエロハーバー。

タグ: アラサーになってしまった ウェブ上の感想 感想がトシと共に変化していく 分かりやすい面白さと芸術的な面白さの中間 パントマイムの話題 アンケートについての話題 自分は何で演劇を


「全力て!」

有北 
何故我々は、そういう風に、人間の良い部分を描く事が出来ないのか・・・
__ 
前回公演「大阪BABYLON」の時も、主人公は最後まで徹底して人間の屑であり続けましたね。ちょっとは前向きになったぐらいで、実は何の成長もせず、他に女はいくらでもいるという事に気付いたぐらいでした。
有北 
そうですね。
__ 
「青春再来我愛你」でもそうでしたが、行動原理があからさまに私利私欲で欲得ずくの登場人物達が繰り広げる、正視に耐えない醜い競り合いがかのうとおっさんコメディの魅力だと思います。
有北 
ははは。
__ 
本当に価値の無い人間、というのが名言されて、でも、それは誰しも持っている人間の側面で。何故彼らが、脱力系コメディという枠の中で描かれるとあんなにも魅力的なのか。
有北 
脱力していないのかもしれないですけどね。メールとかで知り合いに「全力で頑張ります!見に来て下さい」って書いて送ったら、「全力て!」って返ってきて、ホンマや全然脱力してへんと。全力出してると。どちらにするべきなのか本気で迷いましたね。全力で頑張らない方がいいのか、脱力しなければいいのか。
__ 
なるほど。一つ思ったんですが、脱力=リラックスとは、精神・肉体ともに抑圧を受けていない状態だと思うんです。その状態でやらかし続ける住人達はまさに性悪説的だと思うんです。
かのうとおっさんvol.17『大阪BABYLON』
公演時期:2012/8/24~25。会場:in→dependent theatre 1st。
かのうとおっさんvol.16「青春再来我愛你(セイシュン サイライ ウォーアイニー)」
公演時期:2012/8/24~25。会場:in→dependent theatre 1st。

タグ: 演劇人同士の繋がり 「かのうとおっさん」という特異点 成長拒否


人の欲とか打算、面白いですよね

__ 
さて、なぜかのうとおっさんではそのような人々を描くのでしょうか。たとえば移り気で打算的で目先の利益に弱い人々を。
有北 
人は本質的に嫌なところを持っていて、でもそこだけを強調したい訳ではないんです。本気の部分、素の部分が好きなんですよ我々は。
__ 
なるほど。
有北 
僕の周りにいい人が沢山いたら、今頃そういう芝居を作っていたのかもしれません。
__ 
そうではなかった?
有北 
(笑う)そうですね、いやいるんだけど、剥いていくと悪い部分があるんです。僕は、人の欲とか打算とかが大好きなんですよ。
__ 
人間の皮を剥いていく事に興味がある。それは、いつ頃からでしたか。
有北 
それはもしかしたら、高校ぐらいですかね。周りにロクでもない奴がいて、彼らとは今でも仲が良くて季節の変わり目には集まって飲んだり遊んだりしています。あいつらも大概アカンですね。そこに原体験があるのかもしれません。
__ 
人間には色々な面というか、悪い・しょうもない人格をその内に抱えていて、それも人間だといいう事を友人関係を通して自然に学んでいくのも一つの教育なのかな、と思っています。学校では教科としては教えられてはいないけれども、集団生活を通して自然と身に付いて行くのが理想でしょうね。
有北 
そういう訳で僕はナイーブなんですが、何故いま人を傷つけてえぐるような事をしているのか、自分では分かりません。ただ、凄く楽しいんですよ僕は。
__ 
楽しみたいんですか?
有北 
例えば稽古場で、僕らはとても笑うんですよ。ひどい事を演技してもらうととても楽しいんです。我々が楽しくなければ意味がないと考えていて、それを追求した結果、酷い人々ばかりが出てくる作品になりますね。
__ 
遠坂さんが年下の女の子に「バーカバーカ」とか言ったり。
有北 
唾吐いたりしてましたね。
__ 
それに、最後の最後に佐々木ヤス子さんが低級妖怪を演じる、不要なシーンもありました。
有北 
あれは彼女が八木進さんの代役をしていた時の演技をそのままを再現してもらっただけなんです(笑う)一応設定はあって、30cmくらいの大きさでお墓のお供えモチを食べる。あと、水も飲んでくれと。
__ 
「悪魔くん」のピクシーみたいな。
有北 
そんなイメージでしたね。
__ 
しかも、不要なシーンでしたしね。

タグ: 人脈・コネクションの大切さ 優しい嘘 「かのうとおっさん」という特異点 関係性が作品に結実する ロックな生き方


質問 黒岩三佳さんから 有北 雅彦さんへ

__ 
東京で女優をしている黒岩三佳さんから質問を頂いてきております。「嫌いな人のタイプはなんですか?」
有北 
なんだろうな、普通に言うと、気持ちを分かってくれない人は嫌ですね。僕が人の気持ちを分かってしまうので。だから、機械とか苦手なんです。ケイタイが急にフリーズすると物凄く怒ってしまうんです。
__ 
なるほど。
有北 
話が通じる人は好きですね。話の通じない人は・・・

タグ: 役者はノイズを産み出す機械?


ハッピーエンドは不要

__ 
お芝居を始めたキッカケを教えて下さい。
有北 
高校の頃、友達に誘われて入りました。その友だちは演劇部に好きな子がいるから入ったんですけど、一人で入るのは下心が見え見えなので僕を誘ったみたいです。そいつすぐ辞めました。
__ 
かのうとおっさんの公演について。脚本を書いているのはどなたなのでしょうか。
有北 
僕と嘉納さんの二人です。そうした書き方は変わってるなとよく言われます。
__ 
かのうとおっさんに出てくる、目先の事に振り回されるダメな人物像をどう呼べばいいのかでしょうか。
有北 
そうですね、自分に正直な人間と言えるのでは。良くも悪くも隠さず、行動に移してしまう。
__ 
そうした人々が繰り広げるモラルハザードを何故描きたいのでしょうか。
有北 
(笑う)やっぱり、僕らが楽しみたいからでしょうね。最近気付いたのですが、昔は嘉納さんの方がひどい人間だと思っていたんですが本当は僕の方が酷いんじゃないかって。もしかしたら、酷くなっているのかもしれない。嘉納さんは、あれでもまだハッピーエンドにしようとしているんです。
__ 
そうでしょうか。
有北 
あはは。
__ 
嘉納さんをgate#extraで拝見した時に、小悪党なんだなあと思ったんですよね。
有北 
それ、最近も言われたと思います。大阪BABYLONで、嘉納さんがインサイダー取引で大儲けしたシーンの彼女の顔が「小物すぎる」と言われてました。

タグ: 登場人物が好きになれない ハッピーエンドについての考え方 自分は何で演劇を


剥いでも剥いでも

__ 
これまで、かのうとおっさんを変えた作品はありますか。
有北 
「青春再来~」は大きい影響がありましたね。
__ 
あの作品も、どうしようもない穀潰しばっかりでしたね。
有北 
そういう人々を主に描くのがとても楽しかったんです。それを再認識しました。「セクシー先生」という作品でもそう思ったんですが、僕が演じた男子中学生役はロクでもない事ばかり考える奴なんですけどちゃんと全部バチがあたるんです。罰が当たるべきだと思っているんでしょうね。
__ 
それが、かのうとおっさん学におけるモラル?
有北 
そうですね、悪い主人公は、最後には救われるべきじゃないんです。打算でしか動いていなかった女は輪廻の末に下級妖怪に生まれ変わったりするし。現実は、そんなものだと思うんですよ。棚ボタ的に恵まれている人はいますけど、悪い事をした人にはそれなりの罰が当たるんです。物語は描きようでなんとでも前向きになるんですが。
__ 
禊ぎ、ですね。露悪的な彼らは天罰を受ける、が、結局クズのまま生き続ける。人間を性悪説的に捉えながらも根底では愛しているのではないかと「青春再来~」を見た時に思いました。
有北 
人間への愛はありますよ。ああ、この人ホンマはこういう人なんやなと思った時に喜びを感じやすいです。表面的な嘘とか取り繕いはすぐ分かってしまうんです。何かね、僕は非常にナイーブなので。そこをね、剥いで行きたいです。
__ 
いま剥ぎたいのは?
有北 
最近は女性に関して興味がありますね。巷にある物語では女性を理想化して描かれる事が多いですが、ちょっとやっぱり、そういうのは違うなと。女性は年代に関わらず、かなり打算で行動していると思うんです。僕もフェミニンだとよく言われるので、分かるつもりです。

タグ: 「異なる角度から」 ユニークな作品あります


あて書きの究極

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
有北 
公演するにあたって、沢山の色々な方々をゲストに招いていますが、もっと色々な人たちと関わって行きたいなと思います。基本僕ら、あて書きなんですよ。この人がこんな事をやったら絶対面白いというのが分かるんです。逆に、観に行ったお芝居で無理を感じる事は多いですね。
__ 
キャスティングですね。
有北 
円広志さんとか、ロザンさんとか、意外な人に出てほしいですね。

タグ: キャスティングについて 今後の攻め方 意外にも・・・


天才バカボンのポストカード

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントがございます。どうぞ。
有北 
ありがとうございます。(開ける)あはは。
__ 
ポストカードです。
有北 
へー。ほんまや。ありがとうございます。使うのはもったいないですね。これは上等な。

タグ: プレゼント(インテリア系)


人間を演じる、うまいやりかた

__ 
今日はどうぞ、宜しくお願い致します。大阪発のコントユニット、かのうとおっさんの有北さんにお話を伺います。有北さんは、最近はいかがでしょうか?
有北 
よろしくお願いします。最近は、稽古稽古の毎日を送っています。スイス銀行さんの「暮らしとゾンビ」と、劇団赤鬼の岡本拓朗さんプロデュースの「ロッキュー」ですね。
__ 
お忙しい中、本当にありがとうございます!意気込みを教えて頂けますでしょうか。
有北 
いつもいわゆる脱力系コメディをやらせてもらっているんですけど、二つともがっちりとしたお芝居なので、これは頑張らないといけないと思っています。
__ 
なるほど、脱力系コメディされている方としては。
有北 
人の気持ちを表現するのは非常に難しいです(笑う)中でも、いい人を表現するのが難しいですね。かのうとおっさんの作品には良くない人間が非常に沢山出てきて、むしろ褒められる事のない人間しか出てこないと言ってもいいんですよね。そういう役だったらとても得意なんですが。「ロッキュー!」では、口うるさい人なんですけど根っこの部分ではいい人ですね。「スイス銀行」ではまるでダメな人なので、わりといつも通りやっています。
__ 
そういえば、かのうとおっさん作品には分かりやすいクズ人間ばかり出て来ますね。
有北 
自分たちでやる時は、徹底してダメな人間像を描くんです。客演すると、「やっぱり人間って、どんな人でも良い部分はあるんだな」と気付かされますね。
__ 
うまくやれるといいですね。
有北 
(笑う)
かのうとおっさん
'99年、嘉納みなこと有北雅彦により結成。独特の台詞回し、印象に残るビジュアル、笑いをベースに人の生き様を鋭く描く作風は小学生から60代まで広く支持される。'12年「関西ふたり芝居セレクション」優勝。(公式BLOGより)
スイス銀行第六回公演「暮らしとゾンビ」
公演時期:2013/6/7~10。会場:in→dependent theatre 1st。
劇団赤鬼岡本拓朗プロデュース公演第二弾「ロッキュー!」
公演時期:2013/6/29~30。会場:神戸電子専門学校ソニックホール。

タグ: 脱力系のナゾ ガラスの仮面 おふざけ 私の劇団について 自然体


ロボット演劇版「銀河鉄道の夜」

__ 
ユーコさんがいま出演中の、ナレッジシアターのこけら落とし公演・ロボット演劇版「銀河鉄道の夜」、大変面白かったです。
山本 
ありがとうございます。どっちを見ました?
__ 
私はBチームを拝見しました。ご自身としては、どんな体験でしたか?
山本 
青年団としてはこれまで何度もロボット演劇はやってきていて。私はロボットに対しては偏見を持っていて、全く関わってこなかったんですよ。
__ 
ええ。
山本 
出演が人間だけの「銀河鉄道の夜」(青年団)には出演していたし、大阪で公演してみたかったので、参加させてもらいました。大変な事は沢山ありましたが、勉強になりましたね。
__ 
私が拝見した時はものすごくスムーズだったんですけど、芝居が止まる事もあるそうですね。
山本 
うん。止まる。もちろん、スタッフさん達がその度に同じ故障をしないように対策を重ねていくんですけど、にしても毎回、色んなところで止まる。それは建物の通信状態とか、お客さんの持ってるWi-fiとか、限定のしようがなくて。予想しようがないんですよ。さらに、ロボットが台詞を言うタイミングは全部決まっていて、つまりこちらの演技を待ってくれる訳じゃないです。そういう意味で、ロボットがこちらの動きを制限してくるんです。
__ 
全ての演技と台詞の出力が予めプログラミングされているのであれば、電波の干渉って受けないんじゃないかと思うんですが。
山本 
受けるんですよ。本当に。一時間のお芝居全てをプログラミングしちゃうと、かならずズレが出てくるので、いくつかのシーンのかたまりで分けてプログラミングしてあるんですけど、それでも。例えばロボビーがいるシーン、一連の台詞と動きはコンマ何秒までを稽古で決めて、役者はそれに合わせて演技を稽古して。そうやって決めた芝居を、本番に入ったらロボビーの方から崩してくる訳。
__ 
それはきついですね。
山本 
そうきついの。キツいと思ったらただのイヤな演劇になっちゃうから。何するか分からん役者が一人舞台上にいると思ってやると、逆に楽しい。「あ、そのセリフ言わへんのねじゃあうちらでフォローするわ」という判断が瞬間瞬間であって。
ナレッジシアター
大阪・梅田グランフロント大阪ビル内の劇場。
大阪大学ロボット演劇プロジェクトx吉本興業 世界初演!ロボット演劇版 銀河鉄道の夜
公演時期:2013/5/2~12。会場:ナレッジシアター。

タグ: 膨大な仕事量に押しつぶされそう 役者のその場の判断 ストップモーション 舞台転換が大変な舞台


無印良品・ホームフレグランスセット

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って来ました。
山本 
ありがとうございます(開ける)おおぉーお!
__ 
新居にどうぞ。
山本 
匂いモノが好きなので。ありがたく使います。

タグ: プレゼント(お香系)


ロボビー、再起動!

__ 
私が見た回は何の破綻も無かったけどなあ。
山本 
いや、結構な回数止まってるよ。どこかしらはあった筈。一回止まっちゃったら、一回再起動を掛けるのよね。
__ 
ええ!
山本 
上手の幕にオペレーターさんがいるんだけど、そこから再起動を遠隔で指示するとガクンってロボビーが首を倒して白目になんねん。
__ 
ええ!
山本 
で、1分くらいすると次のプログラムにいくんだけど、その1分のフリーズを役者がつなぐねん。その間のロボビーの死んでる顔を見て欲しかった。本当に怖いから。確実に機械音がするから。いやあ、まだまだ色んな事があるやろうね。でも格段に性能が上がったらしいで。海外で公演した時に舞台から落ちたり、関節が故障したり、異音を発したり。出てこないとか喋らないとかは可愛いもので。
__ 
出てこないとかあるんですか。
山本 
今回も一度、ラストシーンで下手の幕にハケず、ずっとそのままだったとかありましたね。
__ 
そういう裏話とかでもう、ひとつのエンターテイメントだなあ。今回の作品に参加して、何を学ばれましたか?
山本 
結局のところ、ライブやなあ、と。ロボットのプログラムを完璧に組んでも、止まった時は生きている役者がどうにかしないといけない訳やから。それを逆に認識しなおした。何回も止められたけど、その分、役者の力を。
__ 
今回の作品、純粋な意味では平田オリザ作品だったじゃないですか。分かりやすいセリフなのはもちろん、物凄く深くまで想像が入っていってくれるような。
山本 
うん。

タグ: ポカーンとなった観客