劇団飛び道具「四人のショショ」

__ 
劇団飛び道具の前回公演「四人のショショ」、大変面白かったです。
大内 
ありがとうございます。
__ 
前々回の「七刑人」とは大分かけ離れた作品でしたね。出産に関する物語でした。以前の「ヤスとヤスたちの時代」、「ロキシにささぐ」と共通した、父権に関する意識があったように思います。いかがでしょうか。
大内 
何というか、実は父子というところにこだわりがある訳じゃないんですよ。生きている実感を得るという事が僕のテーマというかこだわりになっていて。正直、家族の物語でなくてもいいんです。
__ 
そうなんですね。
大内 
一番最初、芝居を始めた頃は面白くて脚本を書いていました。でもずっと続けて重ねてくると「何で芝居やっているんやろうな」と自問するようになるんです。・・・実感を得たいと思うんですよ。僕も日常で家族との生活を生きていますが、その、生きている実感が僕にはないんだと思ってるんです。そういうのを確かめたくて芝居してるのかな、と。お客さんはもちろん、俳優からもらう反応を通して。
__ 
大内さんにとって、生きている実感を得るというのは大事な事ですか?
大内 
他の人の事は分からないので比べられないんですが、それがないという事は大事なものを欠落しているのかもしれない。薄情者と言われるかもしれないんですが。
__ 
実は私もそうなんですよ、と言っても大内さんと比べたら多いか少ないか分からないですけど。その実感は得られましたか?
大内 
分からないです。昔と比べたらあるのかもしれないし、今は子供が可愛いといいうのもあるし。でも、他人よりは少ない気がします。大概の会話をしていて醒めている気がします。
__ 
醒めている自分は疚しいですか?私は疚しいです。
大内 
疚しいかどうかは分からないんですが(笑う)あった方がいいんじゃないかって思いますね。
劇団飛び道具・四人のショショ
公演時期:2013/3/21~24。会場:スペース・イサン。
劇団飛び道具・七刑人
公演時期:2012/5/24~27。会場:アトリエ劇研。
劇団飛び道具・ヤスとヤスたちの時代
公演時期:2008/7/11~13。会場:アトリエ劇研。
劇団飛び道具・ロキシにささぐ
公演時期:2011/7/28~31。会場:アトリエ劇研。

タグ: 生きている実感


子供が歩いていく

大内 
実は子供が2013年1月の終わりに生まれまして、ありていに言うと、子育てに追われています。おもに大変なのは奥さんなんですが。
__ 
お子さんは可愛いですか?
大内 
可愛いですね。それに、見ていて面白いです。人って最初はこんな感じなのか、って。生まれてからしばらくは、人間らしさって一切ないんですよ。感情とかもないですし。自分の子供だけど未知の生き物のように思えて、というところからちょっとずつ、表情もついてきて、欲求に従って要求するようになったりとか、徐々に笑うようになったり。人間らしさを獲得してきているんですね。
__ 
なるほど。つまり、人間らしさを学習している・・・?
大内 
それは最初から備わっているんじゃなくて、獲得していくものなんですよね、きっと。
劇団飛び道具
京都を拠点に活動する劇団。

タグ: 子供についてのイシュー


劇団ZTON vol.9「天狼ノ星」

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。土肥さんは最近、どんな感じでしょうか。
土肥 
よろしくお願いします!最近はZTONの「天狼ノ星」の稽古ですね!
__ 
大変ですね。2作品あるんですよね。二つとも、別の作品。
土肥 
続けて見ると二つともリンクしてるんですけど、違うものを2本。覚える量も2本ですね。それに今回は、いつもとちょっと違うやり方で演技を作っているんです。
__ 
というと。
土肥 
最近ZTONでは「エンタメストライクシリーズ」がメインだったので、なんて言うか、行間にある情緒的な部分を省いて、見せ方をより追求していたんです。でも今回は久しぶりのvol.シリーズ作品という事で、もう少し人を見せようやないか、という事で演技の見直しをしているんです。「ああー、自分サボってたな」という所に気付く事が多いですね。
__ 
なるほど。
土肥 
例えば僕とかめっちゃいい加減で、他人の台詞の時はぼーっと突っ立ってたり(笑う)。そうじゃなく、ちゃんと聞こうやと。
__ 
すばらしい。
劇団ZTON
2006年11月立命館大学在学中の河瀬仁誌を中心に結成。和を主軸としたエンターテイメント性の高い作品を展開し、殺陣・ダンスなどのエネルギッシュな身体表現、歴史と現代を折衷させる斬新な発想と構成により独自の世界観を劇場に作りあげ、新たなスタイルの「活劇」を提供している。(公式サイトより)
劇団ZTON「天狼ノ星」
公演時期:2013/5/9~12。会場:京都府立文化芸術会館 。

タグ: 劇団の方向転換 反省Lv.1 劇団ZTON、参る


スゲー人たち

__ 
土肥さんが演劇を始めた経緯を教えてください。
土肥 
僕、大学が立命館なんですよ。学部の友達と誘い合って、たまたま月光斜の公演を見たんです。河瀬さんの作品だったんですけど、面白くって。当時既に軽音に入ってたんですけど、上手くいってなくて、このまま何も出来ずに終わるのは嫌で、演劇だったら役者じゃなくてもスタッフとか色んな部署があるし、一回ドーンとやって楽しもうかなと。それで月光斜に入りました。
__ 
最初から役者ではなかったんですね。
土肥 
入団して1回目の公演が為房さんが作・演出の芝居だったんです。役者の数がギリギリで、「オーディションだけでも受けてみない?」って言ってくださって、結局役者をやらせてもらえて。後は流れでハマってしまいまして。その秋にZTONを河瀬さんや為房さん達で立ち上げはって、翌年そこに参加させてもらいました。それからずっと付いてきているという感じです。
__ 
始めた頃に見た衝撃作は。
土肥 
今は京都にいないんですけど、元西一風の高田さんの作品ですね。4回生の時、ハムレットの作品に出させてもらったんですけど。スゲー人だなと思っています。でもやっぱり、最初に観た河瀬さんの「SAKURA」という作品が今の自分の起源だと思ってます。それから、月光斜つながりで京都ロマンポップの作品に出させて頂いて、向坂さんも、面白い人だなと。

タグ: 分岐点 入団の経緯 旗揚げ


横顔

土肥 
僕が思うZTONは、演劇している人がたくさんいる中でも真面目というか普通な人が多いんですよね。その分、舞台で弾けるのかもしれません。
__ 
真面目な人が多い。
土肥 
演劇人って、芝居してなかったらもっと変なことしてる人が多いんじゃないかと個人的には思っていて。でも、ZTONの人はそうでもなく、芝居してなくても人は殺さなさそう(笑う)。団員同士は特別仲がいい訳でもなく、プライベートはあんま知らないです。男子はカードゲームが好きなんでたまに集まりますけど。今は遊戯王カードにハマってます。
__ 
そういう彼らが舞台で生き死にしているのがZTONですね。

タグ: お互いのプライベート知らん


その日までは生きてる

__ 
私がZTONで初めて拝見したのは「沙羅双樹のハムレット」でした。政治闘争がテーマで、エンタメなのにハッピーエンドじゃなかったんですよね。悪役に負けて終わったんですよね。
土肥 
最後をお客さんに委ねた作品は多いですね。でも、バッドエンドの時でも救いは少し残すみたいな。
__ 
そう、自己解決でまとめようとしていない。二人ぐらいしか生き残らなくて、それぞれの旅路に着くみたいな。あるいは革命が為されてしまって都が転覆してしまって、みたいな。収まらない予感を感じさせてくれるというか。大団円もありますけどね。土肥さんは、ZTONの芝居を見たお客さんにどう思ってもらいたいですか?
土肥 
最近、周りでは思考を促す芝居は多いんですよね。気付きをもたらそうとしている。それは僕は素敵だと思うんですけど、僕がやりたいのはちょっと違うんです。お客さんの明日につながるような活力を与えられる日にしたいですね。本番のある日を。好きなバンドのライブがある日までは頑張ろう、みたいな。それの邪魔になるような事は、あまりしたくなくて。
__ 
邪魔になることとは。
土肥 
「何やったんやろうな」とか、モヤモヤする事は残したくないですね。来てよかったなと思えるものにしたいです。
沙羅双樹のハムレット
劇団ZTON vol.3「沙羅双樹のハムレット」公演時期:2008.3.6~9、会場:東山青少年活動センター 創造活動室。

タグ: バッドエンド 大団円 ハッピーエンドについての考え方 どう思ってもらいたいか?


質問 松田裕一郎さんから 土肥 嬌也さんへ

__ 
前回インタビューさせて頂いた松田裕一郎さんから質問です。「どこかおいしいラーメン屋さんを教えて下さい」。
土肥 
西大路円町近くの將陽です。そこが美味しくて僕はよくいきます。
__ 
それは、どういう所が違うのですか?
土肥 
唐揚げセットをよく頼むんですが、ラーメン・唐揚げ・ご飯のセットで、唐揚げにマヨネーズが付いてくるのが嬉しいです。ラーメンは透き通った茶色という感じです。ラーメン食ってるという実感が得られます。

タグ: ラーメンの話


当たったら死ぬよね

__ 
ZTONの稽古はどんな感じで進んでいくんですか?
土肥 
最初に段取りを付けてから細かい所を付けていきます。今回は本当にセリフを覚えるだけじゃなくて、それぞれの種族のディテールを詰めて考えてこないといけないんですよね。例えるなら、河瀬さんの言葉を借りると、ガンダムの一年戦争です。「ストーリーが一本あって、舞台はホワイトベースの内部が主なんだけど、しかしその外にも色々な部隊があって、敵の勢力にも色々な人物やドラマの存在を感じる事が出来るだろう。今回は戦記として、世界が感じられるような作り方をしてこい」と。それは今回の特長ですね。
__ 
それが肝なんですね。
土肥 
そうですね。その世界の空気を立ち上げるために、それぞれの部族の生き方を持っていないと構成出来ないので。今までと何よりも違うのは、借景がないんですよ。日本史という背景があれば大体イメージ出来るので。
__ 
完全なオリジナルの世界観なんですね。
土肥 
江戸時代なら米食ってるのかとか想像出来るんですけどね。
__ 
今回は、そうした世界観を作る所から始まるんですね。
__ 
意気込みを聞かせてください。
土肥 
いや~、僕はもういっぱいっぱいで。でも主役なんですよね、天の章、地の章ともに。頑張ります。
__ 
殺陣もね。
土肥 
今回は殺陣のアプローチも今までとちょっと異なるんですよ。言ったら「当たったら死ぬ」ものを作ろうとしています。
__ 
おお!というと。
土肥 
今までは「カッコイイ!早い!やっつけた!決まった!!」ものを作ろうとやってましたけど、当然、刃物が当たったら切れるんですよ。そこを大切に見せようと思ってます。今回は刀の殺陣だけじゃなくて、短刀とか斧とか弓矢とか、バリエーションのある殺陣を作っています。種族ごとに狩りの方法が違うので。そして、それを振るう人たちの思いを大切に描きたいですね。これは、戦国無双じゃないよと。ゲームみたいな殺陣の爽快感というのは、今作ろうとしている「天狼ノ星」ではきっと浮きます。
__ 
なるほど。大改革ですね。
土肥 
河瀬さんが突き詰めて考えてきたものが、ようやく仕上がりつつあるという感じですね。
__ 
スピード感があって美しい殺陣。当たったら死ぬという当然の事をやろうとしているのが気になりますね。
土肥 
そうなんです。「はい、ここから殺陣ですよ」みたいな事にはしたくないですね。芝居で殺陣を見るとき、技術そのものには実は感動はないんだと思うんです。ドラマがあって、剣を持たないといけない理由が分かって、相手を殺すのでも制圧するのでも、全ての行動にそれなりの理由が体感出来るのが殺陣をやる意味だと思うんです。話に対して浮いている殺陣ショーにはしたくないですね。それはみんなが思っていると思います。
__ 
演劇でやっている意味がないからですね。
土肥 
そうですね。殺陣だけ出来てもしょうがないですからね。実際の剣術じゃないし。
__ 
芝居が始まった瞬間のドラマに共感出来た時、目の前で行われている演技に臨場感が生まれて、ようやく予測から離れる。そこからが面白いと思える。というモデルですね、きっと。
土肥 
そうですね。早い、カッコイイだけになってしまうと、きっと物語を見せている意味が無くなってしまう。物語の空気に触れていってほしいです。とか言っていらんギャグとか言っちゃうんですけどね。この間遊戯王カードのネタ言っちゃったり。そういう矛盾も含めて。
__ 
プリキュアネタとかね。
土肥 
あ、狗神エイトの時ですね!懐かしい!寝坊して「今何時?プリキュアは!?」とかね。「あの役あんなナリでプリキュア見るねんな」って思ってもらえたら嬉しいです。
__ 
あのネタ、自分で作ったんですか!?
土肥 
はい、河瀬さんは呆れながらも流してくれるんですよ。ダメなときもたくさんありますけど。
狗神エイト
公演時期:2009/8/27~30。会場:ART COMPLEX 1928。

タグ: ガンダム 殺す プリキュア 段取リスト 殺陣の話題 世界観の作り込み


体に来るような演技

__ 
いつか、どんな演技が出来るようになりたいですか?
土肥 
究極の質問ですね。うーん、何か、技術の事になってしまうかもしれないですけど。広いホールがあって、僕にサスが入っていて。僕がボソっと喋ったセリフで、感覚がお客さん全員に伝わるような。そんな演技がしてみたいです。
__ 
感覚とは。
土肥 
フェイクの感覚と、真の感覚があると思うんですよ。フェイクの方は、お客さんが理解の上で(ああ、こういう事なんやろうな)という、想像の上での感覚。そういう、頭で考えて咀嚼するのではなく、体に来るような演技が出来るといいなあと。
__ 
肌で感覚するもの。
土肥 
ぞわって来る瞬間があるんですよ。どんな芝居でも関係なく。小さいホールで感じる事もあれば、大劇場の芝居で感じない時もある。見ている自分のテンションが高まって、ある瞬間にボーンと来る時。技術の有無に関係なく、演技がそのまま届く役者って素敵だなと思います。体験から考えた事なので漠然としてますけど。
__ 
それは天才のやる事ですね。見ている者の想像のスピードよりも早く、感覚を伝える事が出来る。
土肥 
いやホントそうだと思います。そういう役者は素敵ですね。

タグ: 俳優のブレイクスルー いつか、こんな演技が出来たら 事件性のある俳優


武器

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
土肥 
今後!どんな感じで。今まで通り、のらりくらりと。でも、ZTONの武器にはなりたいなと思います。
__ 
いつか出てみたい舞台はありますか。
土肥 
劇団エリザベスのk.r.Arryさんとはいつかやってみたいです。素敵なんですよ。実は知り合いです。どんな風に作っているのか興味はありますね。

タグ: いつか、あの人と 今後の攻め方


北欧製の中皿

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。
土肥 
僕もね、お礼にプレゼントを持って来ました。
__ 
ええ!ありがとうございます。
土肥 
はい、このサイト、見てるんで。どうぞ。僕もいいですか。
__ 
はい、どうぞ。お先に。
土肥 
あ、えーっ、これいいんですか?
__ 
あ、私の方こそ。こんなの貰ってもいいんですか?
土肥 
はい、ヤクト・ドーガです。このお皿、いいんですか?
__ 
私ガンダム全く見ないんですけど、嬉しいです!ありがとうございます。
土肥 
あ、しくったなあ。このお皿、嬉しいです。欲しかったんですよ。こんなん貰っていいんですか。
__ 
まあ、パーティーする時にでもお使いください。
土肥 
めっちゃ使います。

タグ: プレゼント(食器系)


dracom Gala公演「たんじょうかい」

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。
松田 
宜しくお願いします。
__ 
松田さんは最近はいかがでしょうか。
松田 
最近はですね、dracomの「たんじょうかい」の稽古が始まっていますね。後、このインタビューサイトに載るという事で、過去のインタビューを読んでいました。
__ 
ありがとうございます。
松田 
あれ凄いですね。もう何年ですか。
__ 
現時点(2013年)で10年です。
松田 
顔ぶれを見ていると、今もやっている人もいれば辞めた人もいて。「この人は載るだろうな」という人もいれば、意外な人もいらっしゃいますよね。春野恵子さんとか。改めて読み直してみると、関西演劇界の一時代の貴重な資料になるのではないかと思いましたよ。
dracom
1992年、dracomの前身となる劇団ドラマティック・カンパニーが、大阪芸術大学の学生を中心に旗揚げ。基本的には年に1回の本公演(=「祭典」)と、同集団内の別ユニットによる小公演を不定期に行う。年に一回行われる本公演では、テキスト・演技・照明・音響・美術など、舞台芸術が持っているさまざまな要素をバランスよく融合させて、濃密な空間を表出する。多くの観客に「実験的」と言われているが、我々としては我々が生きている世界の中にすでに存在し、浮遊する可能性を見落とさずに拾い上げるという作業を続けているだけである。世界中のあらゆる民族がお祭りの中で行う伝統的なパフォーマンスは、日常の衣食住の営みへの感謝や治療としてのお清め、さらには彼らの死生観を表現していることが多い。我々の表現は後に伝統として残すことは考えていないが、現在の我々がおかれている世界観をあらゆる角度からとらえ、それをユーモラスに表現しているという意味で、これを「祭典」と銘打っている。(公式サイトより)
dracom Gala公演「たんじょうかい」
公演時期:2013/5/17~19。会場:心斎橋 ウイングフィールド。

vol.293 松田 裕一郎

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2013/春
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松田

未知の世界で最初に出会う

__ 
松田さんがお芝居を始めたのは、どのような経緯があったんでしょうか。
松田 
私は30歳の頃、一度転職をしているんですよ。前職場と今の職場の間に少し間があるのですが、その間に「滋賀県演劇アカデミー」というWSに参加したんですね。今から考えるとものすごく安い料金でした。しかも講師は青年団の志賀廣太郎さんで、丁寧に教えて頂きまして。それが最初ですわ。子供のとき、学校で「嫌いな先生の教科が嫌いになる」っていうことってあるじゃないですか。それぐらい未知の世界で最初に出会う指導者って大きいんですよね。志賀廣太郎さんという良い人に出会えてラッキーだったなと思います。
__ 
ああ、社会人になってから演劇を始めるって結構珍しいかもしれませんね。
松田 
演劇人って、学生時代に演劇を始めて30歳を過ぎたあたりで辞めいく人が多いでしょう。結婚とかで生活がかかってきて続けられなくなって・・・本当に惜しい事に。私の場合は逆で、30歳から始めて、その時点で既に仕事をしていた訳ですから、今も仕事をしつつ芝居を続けてます。
__ 
確かに、その意味では松田さんは逆ですね。

タグ: 分岐点 その人に出会ってしまった 就職と演劇の二択 静かな演劇と「出会う」


vol.293 松田 裕一郎

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2013/春
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松田

俯瞰する

__ 
今まで、この芝居を機に自分の演技が変わった、というような公演はありますか?
松田 
ありますね。今はもう解散しちゃったんやけど、France_panの「家族っぽい時間」という作品に参加させてもろうた時。それこそ20代ぐらいのメンバーの中に一人混ざってやってたんです。そこで結構、演出というか演技の細かい指示を色々出されたんです。「松田さん、そこ1秒間をとって」とか。
__ 
細かい演技の指示があった。
松田 
それまでは、そのままのキャラクターを期待されて声を掛けられる事が多く「素」のままでやっていればよかった(笑)。だから、かなり細かく演出を付けられて、ずいぶん戸惑いました。でもその作品が出来上がるプロセスを目の当たりにして、全体の中における自分の果たす役割をきちんと認識することができた。それ以降、役者の立場でありながらも、全体的な作品の仕上がりを見る事は多くなりましたね。
__ 
「家族っぽい時間」では、作品としての完成度をはっきり認識する事が出来た。
松田 
はい。具体的には「台本の読み込み」「セリフの間」「どれくらいの集中力が必要か」そして「稽古の質と量」などについて考えさせられました。それまでは「地でやらしといて面白いから、そのまんまでやらしとけ」みたいな。前田司郎さんの「生きてるものはいないのか」に出演させてもらったときも、そんな感じだったんちゃうかな。
France_pan
04年結成。演劇における恥ずかしい境界を壊しつつ護りつつ、覚束無い言葉のコミュニケーションを軸に、真面目と不真面目の中間地点を探り続ける。揺らいじゃった身体性、現代人の悲喜劇性、ペンペケピーな前衛性。作品はポリリズミックに展開。観客の過剰な能動性や批評眼の重要性を各方面に訴えながら、演劇知の可能性を弄ぶ。(公式サイトより)
France_pan 14th「家族っぽい時間」
公演時期:2008/12/12~14。会場:AI・HALL。

タグ: 役者の積み上げ 自分を変えた、あの舞台 コンセプチュアルな作品 ちゃんと楽しませる 追い詰められた時期 自分で考えてきたもの、の価値 前衛は手法から作る人々を指す


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2013/春
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松田

質問 渡辺 ひろこさんから 松田 裕一郎さんへ

__ 
前回インタビューさせていただいた、渡辺ひろこさんから質問を頂いてきております。「普段はどういう事をしているんですか?」
松田 
普通に仕事してますね。プライベートで言うと、最近はよく料理をしています。タジン鍋ってあるでしょう、あれが楽でね。あれでよく、ピラフみたいなのから何から、色々。
__ 
ピラフも作れるんですか。
松田 
はい。炊飯器で作るよりおいしいですよ。直接火に掛けるだけで簡単で、弱火でやったら、油も敷かなくていいんですよ。このあいだ、鯛の酒蒸しをやりました。

タグ: クッキングの話題 お互いのプライベート知らん


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2013/春
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松田

「業」

__ 
松田さんは定職をもちながら演劇をしているという事で、しかも役職についていながらかなり様々な公演に出演されていますよね。それはきっと大変な事だと思うんですが、どういうバランスでやっているんですか?
松田 
少なくとも楽ではないですよね。自分にとって「芝居って何なんだろう」と考えた場合、ここまで来るともう趣味とは言えないんですよ。趣味って、余暇を利用して、自分の中に何か活力が再生産する役割があるでしょう。ところが、逆にヘトヘトに擦り切れることも多いですから(笑)。
__ 
それはまあ、演劇は作って上演するのにとんでもない労力を費やしますからね。
松田 
もう、「業」なんじゃないか。「それをやらないと生きていけない」という・・・。
__ 
芝居を辞めたらどうなりますか?
松田 
目に力がなくなって、死んだ魚みたいな目になるのではないかと。実際には死ななくても「死んだも同然」だと思います。しかし、その対象は「現代演劇でないといけないのか?」と考えてみると別にそうでもなさそうで、昔から落語や狂言もやってきましたしね。後、文章を書くのも面白いと思います。私、東北に4回ほど震災のボランティアに行ったんですが、その事を勤務先の広報誌に書かせてもらったりして。おかげさまで好評でした。結局、表現する事が自分にとっては大事なんじゃないかと思います。

タグ: ドキュメンタリー 一瞬を切り取る 書いてみたいと思った 落語 生きている実感


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松田

dracom Gala公演「たんじょうかい」

__ 
次回に出演される作品、意気込みを教えて下さい。
松田 
dracomの「たんじょうかい」。これは短編上演会の略でして、深津篤史さん(桃園会)、中村賢司さん(空の驛舎)、サリngROCKさん突劇金魚)の短編作品を上演するという企画です。私が出るのは深津篤史さんの「コイナカデアル。」。正直、色々な意味で手ごわい作品ですが、自分の頭の中で創造性を働かせて、面白い作品を作りたいですね。演出の筒井潤さんを信用して。やっぱりあの人は信頼出来ますから。
__ 
ええ。
松田 
筒井さんと芝居を作っていると「この人の頭の中は一体どういう構造になってるんだろう」と思うことがよくあって非常に面白いです。前衛的なことに取り組む一方、メチャクチャ「ベタ」なことも取り入れたりするところもうれしい!そして、演出家で一番大切なのは「信頼出来るかどうか」だと思いませんか。演出の意図が理解できなくても「この人についていけばいい」と役者に思わすことができるかどうかという・・・。
__ 
それはとても大切ですね。俳優としていくら作品の中身を知っているとはいえ、作品としてまとめて、客席に届けるのは演出家ですからね。
松田 
もちろん演出力や演劇に対する知識なども重要なことは間違いないんですが、もっと幅広く人間として信頼出来るかどうか・・・筒井さんは、それを満たしている人なので、安心してついていけるんですよ。

タグ: 「ベタ」の価値 信頼のおける演出家 筒井潤 前衛は手法から作る人々を指す


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松田

可能な限り

__ 
今後、松田さんはどんな感じで攻めていかれますか?
松田 
ええとね、どこまで続けていけるかの勝負です。私は今まで一度も劇団に所属したことがないのですが、その理由は責任が持てないから、なんですよ。例えば、宣伝したり知人に声を掛けて回ったり、その他制作的な仕事が、定職を持っていると厳しいですよね。だったら、最初から団員になるな、という事になってしまう。
__ 
どころか、芝居に出る日を押さえるのも大変ですね。
松田 
いくら出演のオファーを受けても、仕事と重なったらどうしようもない。今は以前いた部署に比べて休日出勤が少ない部署なので、その意味では、少しやりやすくはなりました。よく出演させていただいている「てんこもり堂の藤本隆志さんも結婚して正規雇用で働きつつ演劇を続けています。お互いに「同士!」なんて冗談で言い合ったりしています(笑)。
__ 
いつか、子供も生まれるかもしれない。
松田 
そうですね。そこで私は挫折するんでしょうか(笑)。いずれにしても、劇団に所属しないから、定期的に舞台に出られる訳ではないのですが、今まで同様オファーがあれば可能な限り受けていこうと思っています。
てんこもり堂
「てんこもり堂」とは、『面白い』と思うものを徹底的に「てんこもり」=「てんこ盛り」で上演していこうと2007年に結成された演劇ユニットです。(メンバーは藤本隆志、金乃梨子)「面白いもんとはなーんだ」と捜索し、色々な遊びから創造していこうと思います。(公式サイトより)

タグ: 今後の攻め方 社会人俳優についての考察


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松田

ストレージブック

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントがございます。
松田 
ありがとうございます。
__ 
どうぞ。
松田 
開けていいんでしょうか。
__ 
もちろんです。
松田 
(開ける)これは?
__ 
それはですね、旅行者用の思い出ボックス、というものだそうです。そこに写真やチケットや記念品をしまっておく、という使い方だそうですよ。
松田 
私は、海外旅行が好きでよく行くんですが、まあ整理せえへん人間でしてね。よく嫁に怒られまんねん。私のこと、よく分かって下さって(笑)。

タグ: プレゼント(容器系)


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2013/春
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松田

劇団飛び道具「四人のショショ」

__ 
今日はどうぞ、宜しくお願い致します。最近は渡辺さんは、どういう感じでしょうか。
渡辺 
飛び道具の公演「四人のショショ」が終わって、5月に愛知に行く準備をしています。
__ 
なるほど。
渡辺 
愛知に行くって言ったらみんな「名古屋に行くの?」って聞いてくるんですけどね。みんな、その地名を言ったら「どこ?」って。私の方が叫びたいぐらい知らない土地なんですよ。工業地域で、農業してて、でも海もある不思議な土地です。京都とあまりにもかけ離れていて、やんややんや文句を言ってました。
__ 
今でもまだ、喧嘩している?
渡辺 
いや、今はそんな土地があっても良かろうと。本拠地は京都で、長期出張に行くみたいな気持ちです。
劇団飛び道具
京都を拠点に活動する劇団。
四人のショショ
公演時期:2013/3/21~24。会場:スペース・イサン。

タグ: 出立前夜 引っ越し 土地の力