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dracom Gala公演「たんじょうかい」
- __
- 次回に出演される作品、意気込みを教えて下さい。
- 松田
- dracomの「たんじょうかい」。これは短編上演会の略でして、深津篤史さん(桃園会)、中村賢司さん(空の驛舎)、サリngROCKさん(突劇金魚)の短編作品を上演するという企画です。私が出るのは深津篤史さんの「コイナカデアル。」。正直、色々な意味で手ごわい作品ですが、自分の頭の中で創造性を働かせて、面白い作品を作りたいですね。演出の筒井潤さんを信用して。やっぱりあの人は信頼出来ますから。
- __
- ええ。
- 松田
- 筒井さんと芝居を作っていると「この人の頭の中は一体どういう構造になってるんだろう」と思うことがよくあって非常に面白いです。前衛的なことに取り組む一方、メチャクチャ「ベタ」なことも取り入れたりするところもうれしい!そして、演出家で一番大切なのは「信頼出来るかどうか」だと思いませんか。演出の意図が理解できなくても「この人についていけばいい」と役者に思わすことができるかどうかという・・・。
- __
- それはとても大切ですね。俳優としていくら作品の中身を知っているとはいえ、作品としてまとめて、客席に届けるのは演出家ですからね。
- 松田
- もちろん演出力や演劇に対する知識なども重要なことは間違いないんですが、もっと幅広く人間として信頼出来るかどうか・・・筒井さんは、それを満たしている人なので、安心してついていけるんですよ。
可能な限り
- __
- 今後、松田さんはどんな感じで攻めていかれますか?
- 松田
- ええとね、どこまで続けていけるかの勝負です。私は今まで一度も劇団に所属したことがないのですが、その理由は責任が持てないから、なんですよ。例えば、宣伝したり知人に声を掛けて回ったり、その他制作的な仕事が、定職を持っていると厳しいですよね。だったら、最初から団員になるな、という事になってしまう。
- __
- どころか、芝居に出る日を押さえるのも大変ですね。
- 松田
- いくら出演のオファーを受けても、仕事と重なったらどうしようもない。今は以前いた部署に比べて休日出勤が少ない部署なので、その意味では、少しやりやすくはなりました。よく出演させていただいている「てんこもり堂」※の藤本隆志さんも結婚して正規雇用で働きつつ演劇を続けています。お互いに「同士!」なんて冗談で言い合ったりしています(笑)。
- __
- いつか、子供も生まれるかもしれない。
- 松田
- そうですね。そこで私は挫折するんでしょうか(笑)。いずれにしても、劇団に所属しないから、定期的に舞台に出られる訳ではないのですが、今まで同様オファーがあれば可能な限り受けていこうと思っています。
- ※てんこもり堂
- 「てんこもり堂」とは、『面白い』と思うものを徹底的に「てんこもり」=「てんこ盛り」で上演していこうと2007年に結成された演劇ユニットです。(メンバーは藤本隆志、金乃梨子)「面白いもんとはなーんだ」と捜索し、色々な遊びから創造していこうと思います。(公式サイトより)
ストレージブック
- __
- 今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントがございます。
- 松田
- ありがとうございます。
- __
- どうぞ。
- 松田
- 開けていいんでしょうか。
- __
- もちろんです。
- 松田
- (開ける)これは?
- __
- それはですね、旅行者用の思い出ボックス、というものだそうです。そこに写真やチケットや記念品をしまっておく、という使い方だそうですよ。
- 松田
- 私は、海外旅行が好きでよく行くんですが、まあ整理せえへん人間でしてね。よく嫁に怒られまんねん。私のこと、よく分かって下さって(笑)。
劇団飛び道具「四人のショショ」※
- __
- 今日はどうぞ、宜しくお願い致します。最近は渡辺さんは、どういう感じでしょうか。
- 渡辺
- 飛び道具の公演「四人のショショ」が終わって、5月に愛知に行く準備をしています。
- __
- なるほど。
- 渡辺
- 愛知に行くって言ったらみんな「名古屋に行くの?」って聞いてくるんですけどね。みんな、その地名を言ったら「どこ?」って。私の方が叫びたいぐらい知らない土地なんですよ。工業地域で、農業してて、でも海もある不思議な土地です。京都とあまりにもかけ離れていて、やんややんや文句を言ってました。
- __
- 今でもまだ、喧嘩している?
- 渡辺
- いや、今はそんな土地があっても良かろうと。本拠地は京都で、長期出張に行くみたいな気持ちです。
右往左往
- __
- 劇団飛び道具「四人のショショ」。大変面白かったです。渡辺さんは看護師役として、右往左往してましたね。
- 渡辺
- ありがとうございます。私、一度「アイス暇もない」※の時にやってたんですよ。看護師役を。でもその時は上手くいかなくて、苦手なのかなと。
- __
- というと。
- 渡辺
- 看護士さんって、一見自然に振る舞っていても計算されているんですね。いい意味で。どういう風にすれば患者さんと距離を詰められるかとか、とか。「アイス暇もない」の時は、もっと考えるべきだったんですよ。今回は助産婦の役で、「助産婦って何だろう」と色々見て研究したんです。大内さんによると、やっぱりどんな事があっても冷静でいないといけない。出産って一大事だから。
- __
- なるほど。
- 渡辺
- バタバタと右往左往するでもいいんですけどね。実は私の役は一番出ハケが多くて、重いテーマの話なので、空気を切り替える役目を果たせていたらと思います。上手くいけてたかどうかは分かりませんが。
- __
- いや、変えられてましたよ。
- 渡辺
- 良かったです。空気を変える役は、結構難しいですね。まあ、その狙いが分かられてしまったら嫌なんですけど。
- ※アイス暇もない
- 公演時期:2004/3/3~7。会場:アトリエ劇研。
子供が出来たら・・・
- __
- 渡辺さんは結婚して、愛知に行くんですよね。
- 渡辺
- はい。
- __
- 出産は考えていますか?
- 渡辺
- 今回、「四人のショショ」をやるにあたって、妊娠と出産について女性陣で勉強したんですよ。そこで分かったんですが、私は出産したいと思った事がないんですよ。
- __
- なるほど。
- 渡辺
- 子供が嫌いという訳じゃなくて。その、結婚・妊娠・出産・子育てというのが、世間一般では自然な事だとされているけれども、実は凄く難しい話だと。結婚してなかなか子供が出来ないみたいな話がありますからね。まあ、結婚したんですけどね。
- __
- 自分が子供を産むとは思ってない?
- 渡辺
- 一緒に暮らしたら何か変わるかもしれませんね。環境によって違うだろうし。子供はめちゃめちゃ好きだし。
- 渡辺
- 今は子供を産まない、という選択肢を、何故自分は取っているのか。なんですよね。
- __
- 渡辺さんの遺伝子がまだその時期ではないと思っているから、なのかなとはちょっと思います。邪推だな。
- 渡辺
- いいですよ邪推でも。
- __
- 今は子供を作るべきではない、みたいな。
- 渡辺
- そうなのかな。ゲームで言えば、フラグが立ってないという事なのかも。自分で立ててないのかもしれないですけど。
- __
- もしそうであれば、環境が変わったらきっと凄く変わるかもしれませんね。
- 渡辺
- どうなるんでしょうね。子供が出来たらもうちょっとしっかりするのかな。あんまり変わらないんじゃないかな。ちょっと楽しみではありますね。
出会う
- __
- 渡辺さんがお芝居を始めた経緯を教えてください。
- 渡辺
- 大学に入って一年目、京大の11月祭に遊びに行ったら、高校の同級生が劇団の宣伝をやっていたんです。誘われて観に行った「名人戦」が、劇団その1※との出会いでした。もう、物凄い迫力でびっくりして。終演後に入団説明会があったんですが、ちょっと怖くて帰ったんです。で、次回公演の「桜ジェット」を吉田寮で見ました。駒田さんが主役でした。「桜ジェット」も全然意味が分からなかったんですが、すさまじくて。入団しました。
- __
- 分かります。私も「桜ジェット」を見ています。とにかくものすごい熱量でしたね。
- 渡辺
- しばらくその1でやってて、辞めた後に椎名さんにおすすめされて飛び道具の公演に当日受付で入らせてもらったんですよ。それが初めての飛び道具でした。
- __
- いかがでしたか。
- 渡辺
- こんな、静かに喋る演劇もあるんだって。もちろんすごく面白かったです。入りたいなあって、思ったんですよね。
- ※劇団その1
- 京都を拠点に活動していた劇団。後のHANAFUBUKI。
質問 九鬼 そねみさんから 渡辺 ひろこさんへ
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- __
- 前回インタビューさせていただきました、努力クラブの九鬼そねみさんから質問です。
- 渡辺
- 「そねみ」?
- __
- はい。
- 渡辺
- 嫉妬心が強いのは、いい女ですよね。
- __
- そうですね。「本番前に緊張してしまった時はどうしますか?」
- 渡辺
- 私も物凄い緊張しいなんです。でも、自分を俯瞰するとほぐれるみたいです。私の場合、自分を斜め上から見下ろしてるつもりで緊張している自分を自覚すると笑えてきちゃって。「あはは~緊張しとる」って。その時はもう緊張してないですね。
寄り添う僕ら
- __
- 飛び道具の良さは調和だと思っています。それは、舞台上の人間関係や会話が様々なレベルで非常に調和されて美しくまとまっているという事だけではなく、演劇作品が、そのテーマが持つ重みに対して肉薄しているという印象がありまして。会話がキャッチボール出来ているというか、それが当然の効果を持って演じられているというか。
- 渡辺
- 舞台上で自然に会話のキャッチボールが出来ているんですよね。私も初めて見た時からその印象は変わっていません。そこが驚きなんです。
- __
- やっぱり。
- 渡辺
- 全体的に、奇をてらわないからかも。お客さんをきっちり楽しませるスタンスだし。でも、みんな心の中ではくそっと思っているんじゃないかなと思います。もしかしたらそれがとっても大事なところかも。
- __
- というと?
- 渡辺
- 主役でも端役でも、表現する時に「自分がどうしたいか」という根幹が関わってくるんですよ。いわゆる「我が(わが)」はあると思うんです。それが、その役の中心点に迫っていたらいいんですけど、集団で作る作品は必ずしもそうじゃない。集団で人々を描くとは何か?それが、七刑人の時にはよく話されていたと思います。
- __
- 飛び道具「七刑人」※。罪人達が死刑に向かう、非常に重厚な演劇作品でしたね。大変面白かったです。
- 渡辺
- 俳優個人がどうしたいか、それは一旦どうでも良くて。その役の中心にどこまで行けるか。もっと言うと、この人達はどこに向かおうとしているのか?が大切なんだ、って。集団で何かをやるのって、そういう事なんだろうと。だから、ワガワガにならないんじゃないかと思います。逆に、ワガワガは簡単に出来るんです。
- __
- 俳優個人を超えた調和を実現する。それはきっと放任する事じゃないんですね。むしろ、個人の可能性をずっと思考し続ける事かもしれない。
- 渡辺
- 「お前の役はこういう性格で、こういう存在なんだ」とかは言われないです。役割としての話はされますけど、具体的にこうあれとかこうしろとかは言われない。「そんなん、ナンセンスや」って。どれだけ物語に寄り添えるかが、飛び道具のお芝居の本質なんじゃないかなと思います。それは優しい所ですよね。この人達、凄いなあと思いますね。新参者の気持ちが続いています。
- __
- そうですね。
- 渡辺
- 人に寄り添うという事については、ここ数年思いますね。藤原さんが言ってたのかな。例えば職場に嫌な人がいたとしても、その人の出来ない事はみんなでフォローするんです。まず、自分の出来る事をやって、その人をフォローして。社会としては排除するのが一番効率的なんですけど、みんなが輝ける場を作るのが、飛び道具で学んだ事でした。
- ※飛び道具「七刑人」
- 公演時期:2012/5/24~27。会場:アトリエ劇研。
つづく
- __
- 今後、どんな感じで攻めていかれますか。
- 渡辺
- 既成台本というか、古典の戯曲に挑戦してみたいですね。一度、東京国立劇場にオーディションを受けに行ったときに長台詞を読むというのがあったんですが、全然言えなくて。それと、引っ越しはするんですが、メインは変わらず京都のつもりです。飛び道具の公演は、確実に受付に立ってると思います。でも、その愛知の引っ越し先でも、演劇WSは行われるみたいなんですよね。
- __
- あ、そうなんですか。
- 渡辺
- まずはそこで、演劇未経験者を装ってWSを受けてみようと思います。
ショッピングバッグ
- __
- 今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。
- 渡辺
- ありがとうございます。
- __
- つまらないものですが・・・
- 渡辺
- (開ける)あ、袋?
- __
- ショッピングバッグですね。まあ、お買い物に使っていただければ。
- 渡辺
- これ、折り畳めるんですね。便利そう!いいですよこれ。使わせて頂きます。
努力クラブ 必見コント集「正しい異臭」※
- __
- 今日はどうぞ、よろしくお願いします。最近、九鬼さんはどんな感じでしょうか。
- 九鬼
- 最近は努力クラブの稽古ですね。
- __
- あ、必見コント集「正しい異臭」ですね。どのような作品になるのでしょうか。
- 九鬼
- お客さんの反応が全く分からないんですよね。こんな笑いがあるのか、というか、これで笑っていいのか分からない、みたいな。私、稽古場で全然笑ってないですよ。わからなくて。
- __
- 私は最近、そういうものは「悪趣味な笑い」と呼べるのではと思っています。
- 九鬼
- 悪趣味。
- __
- 自分にしか分からない、他人にはとっては価値がないポイントの笑いであり、その事に対し自覚的であるという事から、そう呼べるのではないかと。努力クラブはそういう笑いの可能性を広げていこうとしているんじゃないかと思っています。
- 九鬼
- 合田君や丸山君、その呼び方を聞いたらどう思うんですかね、反応が気になります。
- ※努力クラブ
- 元劇団紫の合田団地と元劇団西一風の佐々木峻一を中心に結成。上の人たちに加えて、斉藤千尋という女の人が制作担当として加入したので、今現在、構成メンバーは3人。今後、増えていったり減っていったりするかどうかはわからない。未来のことは全くわからない。未来のことをわかったようなふりするのは格好悪いとも思うしつまらないとも思う。だから、僕らは未来のことをわかったようなふりをするのはしない。できるだけしない。できるだけしないように努力している。未来のことをわかったふりをしている人がいたら、「それは格好悪いしつまらないことなのですよ」と言ってあげるように努力している。(公式サイトより)
- ※努力クラブ 必見コント集「正しい異臭」
- 公演時期:2011/12/2~4。会場:XXXX。
わたしの登竜門
- __
- 九鬼さんが俳優として参加した作品、努力クラブと弱男ユニット「夕凪アナキズム」※を拝見しました。どれも大変面白かったです。演劇を始めたのはどのような経緯があったのでしょうか。
- 九鬼
- 高校演劇から始めて、龍谷大学時代に劇団未踏座※に入りました。でも、未踏座時代に得た事を全然生かせてないんですよね。
- __
- というと。
- 九鬼
- 未踏座から努力クラブの旗揚げにひょいっと呼ばれて、だから大学時代と隔絶していると思います。後輩に見に来てって言えないですね。
- __
- 大学時代はどのような作品を。
- 九鬼
- 皆やりたいものを持ち寄ってだったので、色々でした。団員の創作脚本だったり、古城十忍とか、鴻上尚史とか、キャラメルボックスとか、ですかね。あと、三回生の時に初めて演出をさせてもらったんです。漫画原作の、「鈴木先生」っていう。
- __
- あ、ドラマ化された?
- 九鬼
- そうなんですよ。ドラマ化されて映画化されたので・・・
- __
- 凄いですね。始めて実写化したのは我々だと。
- 九鬼
- いえそこまではおこがましくて言えないんですけど(笑)。今でも原作者の方とは交流があります。※
- __
- おお・・・
- 九鬼
- 先生、優しい人なんですよ。私は六巻の内容をメインに舞台用に再構成しました。でも長編ですから、四巻からの伏線が六巻で昇華されたりしていて。なんとか、そこの辻褄が合うように、何人かのキャラクターを一人の人物にまとめたり、メインキャラクターを思い切ってカットしたり。今思うとかなり乱暴なことをしてしまいました。原作者の方に本番をご覧頂けて、「自分も六巻だけを読み切りで描くならば、こういうやり方をしたかもしれないね」と言ってもらったんですよ。先生、優しいからお世辞かもしれないですけど。それが凄くありがたかったです。
- __
- パロディというか、茶化しましたか?
- 九鬼
- 茶化したつもりはないですね。その時なりに、真剣だったかも。未踏座時代は、卒業してからも演劇を続けようという気持ちは無かったんです。未踏座の活動でストレスがたまると漫画を買って発散するような日々で。だから、普通に、働いて、みたいな、そういう生き方をしようとしていたんですけど、「鈴木先生」をやって、こんなに楽しい思いが出来るなら、またしたいなって。でも、学生劇団時代、最後の最後で私は卒業公演には出られなかったんですよ。悔しかったです。
- __
- 悔しかった。
- 九鬼
- 卒業公演は演出補に回りました。演出補って難しいですね。私の話なんて聞いてくれない役者もいましたし。役者落ちした人の話なんて聞かないですもんね。役者に、「それは違うんじゃないの」って逆ダメ出しされたりしましたね。今思うと、落ちた理由もなんとなく想像つくっていうか、納得できるんですけど。あの時はただただ、後輩に対して恥ずかしかった。卒業公演で役に立つって、卒業しても続けててもいい最低条件みたいなものじゃないですかね。いつか演出をする為の修行として、役者がしたいなと思っていた所に合田君が声を掛けてくれて。それ以降、努力クラブには旗揚げから参加しています。舞台上で緊張したり、集中できてなかったりすることを、むしろ良いって言ってくれる、大事な劇団です。
器用にこなせなくても、やれる事はある
- __
- 九鬼さんは、役者活動の先に、何かがあると思っているんですね。
- 九鬼
- はい。多分。器用で上手な役者さんいるじゃないですか。私この人にアドバイスされたら聞くなあって思っちゃいますよ。説得力があるというか。だからつまり、私はそうじゃないから、自分の不器用さがもどかしく思っていた反動だったからかもしれないんですけど。この間合田君に、「九鬼さんは頭は悪くないと思うけど、器用じゃないからなあ」って言われたんです。それでいいのかもしれない。
- __
- どういう事でしょうか。
- 九鬼
- 役者の個々の目として器用に演技がこなせるという事と、全体を見て、例えば「この作品の全体はこういう形をしているから、このシーンの演出はこうであるべきじゃない?」という考え方は、ちょっと違うのかもなあって思ったんです。器用さ=賢さだと思ってたんですね。役者として器用にこなせなくても、やれる事はあるんだなあ、って。
- __
- 次はコント集ですからね、ずっと空気を切らないようにする事が必要なんでしょうね。それこそ、全体を見る目で。
- 九鬼
- そうですね。それを願ってやみません。
あなたが好きな物が好き
- __
- 九鬼さんがお芝居を見た頃に見た、衝撃を受けた作品を教えてください。
- 九鬼
- 私、これは癖なんですけど、その時周りにいる近しい人が何かの作品を見て、首ったけになっている姿を見て、うわああってときめくんですよ。ああ、面白そうにしている。ああ、って。
- __
- 例えば。
- 九鬼
- 本谷有希子の作品にハマっている友達がいて、作品に夢中になっている姿が可愛くて。だから、本谷有希子というよりは、本谷有希子を観ているその子に、衝撃を受けたといえば、受けた。
- __
- ときめいている姿にときめく。
- 九鬼
- はい。
- __
- 瑞々しい感覚ですね。分かる気がします。ご自身にはなぜそういう感じ方があると思われますか?
- 九鬼
- 自分の目に自信がないんでしょうね、きっと。あなたが好きな物が好き、という言葉になるんですけど。私がこの人センスがいいなあと思う人がいたとして、その人は最初私のことをそんなに好きじゃない。私が心底頑張って、その人がもし私の事を気に入ってくれたら、その人が好きになったものなら私も好きになれるから、それで自分を肯定出来そうな気がする。という気持ちですかね。
- __
- なるほど。
- 九鬼
- 自分の碇を持ってる人はセンスがいい気がします。努力クラブの稽古場でも、合田くんや丸山くんがどういうポイントで笑うかが面白いんですよ。本当はお客さんにそこを見て貰いたいですね。
質問 西原 希蓉美さんから 九鬼 そねみさんへ
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- __
- 前回インタビューさせて頂いた、西原希蓉美さんから質問です。「本番の前日に必ずやることは何ですか?」
- 九鬼
- 仕込み日と本番の日には、出来るだけ同じものを食べようと思っています。
- __
- なるほど。
- 九鬼
- 体の感じを覚えこませようとするには食べ物かな、って。例えばお昼はなか卯の親子丼だけにする、みたいな。
頭が言葉を迎えにいく
- __
- 九鬼さんは演劇を続けようかどうかでとても悩んでいるそうですね。
- 九鬼
- 努力クラブに入るかどうかですごく悩んでいるんですよ。旗揚げ公演から関わっていて、入るなら努力クラブなんだろうなと思うんですが。ここに載る時も、所属に努力クラブって書いて欲しい気もしたり。まあ入ってなくても出てますからね。何だか結婚する前に同棲を始めたカップルみたい。入籍するきっかけがなかなか。※
- __
- 演劇を続けているのは、どういう思いがありますか?
- 九鬼
- いつか演出をしてみたいから、かな。そのための役者修行が4年くらい続いてますけど。
- __
- いつか、どんな演技が出来たらいいと思いますか?
- 九鬼
- うーん。声が大きくて頑張ってる役者さんがいたとして、でも台詞が全然頭に入ってこない場合があると思うんです。逆に、小さい声量でも耳が自然と言葉を追う事があって。それは何でだろうと思うんですよ。役者さん本体の力なのかもしれないですけど。お客さんが、無理せず台詞を聞き取れる役者になりたいですね。
- __
- 一つの側面として、役作りというのはあるかもしれませんね。俳優として立っている人間の言葉と、彼が演じている役の経験の重みが一致している時にその台詞が言えてる、という。
- 九鬼
- なるほど。
- __
- その「言えてる」はガラスの仮面でよく出てきますが、主観的な指標なので判断しづらいんですけどね。しかも演技ってそれで価値を持つ訳じゃないし。
- 九鬼
- そうなんですよね。役者だけが頑張っても、全体の演出がそれを生かせてないと意味がないし。
- ※努力クラブに入ろうか迷っている
- 後日、入団されたそうです。おめでとうございます。
「くっ」
- 九鬼
- 最初に演出をした時、お芝居の中で、女の子に性的な意味で負荷の掛かる主張をさせたんですね。学級会という設定でその子に辱めを受けさせたんです。その子以外はドン引きしている状況で。で、その子を結果的に責めることになってしまう役まわりの女優がですね、「くっ」ってその子から目を反らしたんです。みてられない、みたいな顔をして。私は、それは違うと思って。信じられないものを見る目でその子を見なさい、と指導しました。直後の返し稽古で、見られた方の子が泣き出して。それが凄く楽しくて、恥ずかしい台詞を言わせたことだけじゃなくて、彼女が周りの視線によって惨めになって泣かせることができて嬉しかった。後で本人に聞いたら、惨めで仕方がなかったって。
- __
- すばらしい。
- 九鬼
- そういう出来事が嬉しかったですね。後輩の女の子を泣かせて、ひどいんですけど。
- __
- お芝居の稽古というか、人間性に直近したというのが大きな成果なんでしょうね。
- 九鬼
- そういうのをもっとやっていきたいなあと。役者が、役者として深く潜ってくれるのは、わかっていて。その結果、惨めな子が可哀想で、「くっ」とやろうと思って、稽古で見せてくる。それに、違和感を感じて、この違和感って何だろう、むしろ逆に視線を逸らさず、見た方がいいんじゃないか。結果惨めさがアップする。なんかそう言う風に作っていけたら。そうした葛藤の全てが最後の最後に決着を見て、ストレスが解放されるというのがいいですね。でもいま努力クラブで全然別の価値観を見させられているので・・・正解っていっぱいあるんでしょうね。価値観は一つだけってわけでもないですから。
距離感
- __
- 今後、やってみたい人や参加したい劇団はありますか。
- 九鬼
- いや、そりゃあ、末永く努力クラブに出させてもらえたら嬉しいんですけどね。憧れてた弱男ユニット※さんについに出させて頂きましたし。これ以上欲張ると罰が当たりそう。出たかったといえば、笑の内閣※ですかね。卒業してしばらく映像オペやらせてもらってたんですけど、ずっとオペ卓で観てて、どうしても、楽しそうで。絶対出られないと思うと辛くて。アゴラで舞台に立つとか、うらやましくてしょうがなかったです。でも籔内君とか、オペしながら舞台に立ってたし。もちろん、私にあんな器用なことは出来ませんが。
- __
- 今後、演出として作ってみたい作品は。
- 九鬼
- 何かを信じている人、と、その周囲を、書きたくてしょうがないんですよ。お芝居でも音楽でも、何かを信仰している人に付き合わされる話が。基本的には優しいいい人だから、つい付き合いで芝居とかライブとかに行ってしまう。目の前の関係性に負けて。それは結果的には良くないんですけど。
- __
- その人との距離感、でしょうか。
- 九鬼
- はい、どこまでやれば、干渉になっちゃうのか、という・・・何を信じるかではなく、どう信じるかである、という事をずっと思っているんですけど、その一貫性が私にはないからうわぁってなってるんです。その信じ方変だよって言う権利があるかどうかなんて。
- ※夕暮れ社弱男ユニット
- 2005年結成。当初はライブハウス、砂浜など劇場外での活動を主としていたが、2008年より活動の場を劇場へと移す。従来の客席・舞台という構造の認識を、骨太な戯曲により再構築することを試みている。過去には、客席を破壊/再生した「現代アングラー」(2008年/次代を担う新進舞台芸術アーティスト発掘事業「CONNECT vol.2」優秀賞受賞)や、劇場の真ん中に客席を設置し、その周りをグルグルまわりながら物語を紡ぐ「教育」(2010年/大阪市立芸術創造館セレクション選出)などがある。(公式サイトより)
- ※笑の内閣
- 笑の内閣の特徴としてプロレス芝居というものをしています。プロレス芝居とは、その名の通り、芝居中にプロレスを挟んだ芝居です。「芝居っぽいプロレス」をするプロレス団体はあっても、プロレスをする劇団は無い点に着目し、ぜひ京都演劇界内でのプロレス芝居というジャンルを確立したパイオニアになりたいと、06年8月に西部講堂で行われた第4次笑の内閣「白いマットのジャングルに、今日も嵐が吹き荒れる(仮)」を上演しました。会場に実際にリングを組んで、大阪学院大学プロレス研究会さんに指導をしていただいたプロレスを披露し、観客からレスラーに声援拍手が沸き起こり大反響を呼びました。(公式サイトより)
九鬼そねみ
- __
- 今後、どんな感じで攻めていかれますか?
- 九鬼
- バイトでチラシを四条河原町で配ってるんですけど、前回公演を見て下さった方が「努力クラブで踊ってた人が配ってた」ってtwitterで書いてくれて。「踊ってた人」じゃなくて、名前を覚えてもらえるようになったら嬉しいですね。
- __
- 「そねみ」という言葉は、どういう意味なんでしょうか。
- 九鬼
- 九鬼は本名なんですけど、名字のインパクトが強すぎるのでバランスをとろうと思って。それと「ねたみそねみちゃん」というキャラクターを金平守人さんの漫画だったかな、見た気がするんですが、そこからも。・・・羨ましいんですよね。
- __
- 嫉妬心が深い?
- 九鬼
- まぁ・・・。
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- 嫉妬心が深い事を公言する人はなかなかいないですね。
- 九鬼
- 羨ましいです。何もかもが。羨ましい。悔しいです。
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