演劇のやり方、はじめ方

__ 
石田さんがお芝居を始められたのはどのようなきっかけがあるのでしょうか。
石田 
元々映画が好きで。中学生の頃になると夜中にTVを付けて映画を見てたんですよ。本当は女性のおっぱいが見たかったからです。まあ色気付いてきた年頃なので。深夜の映画を見てたのもおっぱいが映るからでした。
__ 
当時は19時から普通にありましたね。23時からはギルガメッシュナイト、11PM。単発の企画モノもありましたね。
石田 
夜な夜なこっそり起きて見てました。もう少し大きくなってから分かったんですが、そのころ見てたのがATG(日本アート・シアター・ギルド)配給の映画だったんです。最初はおっぱい見たさで見てたんですが、いや最初から最後までおっぱい見たさでしたけど。一つだけ、おっぱいじゃない印象のシーンがあるんです。
__ 
というと。
石田 
東陽一さんの『サード』という映画で、部屋をバーンと開けたら峰岸徹がベッドの上にいて、背中の入れ墨にクローズアップするというシーン。その映像を鮮烈に覚えています。なんじゃこりゃ、って。そういう、強烈な印象の映像がいくつもあって。それからしばらく経って、ATGの映画を借りてみていたらいつか見た事のある映像にいくつも突き当たったんです。これもこれも、昔深夜に見たことある!って。人の臭いとか存在感が、僕の中に残っていたんです。
__ 
俳優業は、すでに始まっていたんですね。
石田 
高校生の頃に、市の財団がやってる演劇教室に参加してたんですよ。週末に稽古して、年度末に公演するという。そこでは男が僕一人だけでした。それが最初の演劇体験かな。稽古では、延々と『ロミオとジュリエット』の稽古やってましたね。何が面白いのか分からなかったし、恥ずかしかったなあ。
__ 
そこから桐朋に?
石田 
そういう学校があると聞いて、でも何が面白いのか、どうやればいいのか分からずに続けてたな。
__ 
ご自身で俳優術を発見してから、変わりましたか?
石田 
というよりは、演劇のやり方ですね。セリフのしゃべり方というわけではなく。こうやったら演劇好きになって、続けていきたくなるよ、というのは誰も教えてくれないよね。そういうものって教えられないんじゃないかな。それから、学校出て10年くらい新劇の劇団に入って、三浦に会って地点を旗揚げして京都に来て。その時々で色々考えはあったけれど、全部タイミングですね。

タグ: 夜の共犯者


質問 鉾木 章浩さんから 石田 大さんへ

__ 
前回インタビューさせて頂いた、鉾木さんから質問です。「大阪の演劇について、どう思いますか?」
石田 
僕、不勉強で、こっちに来てからあまりみて回ってなくて。エンターテインメント性の強い劇団が多いという事は聞いています。
__ 
そうですね。もっとこう、芸術を使って真理とかの追求を行うよりは、人間同士の繋がりを実現していく感じなのかなと。人間系のアプローチが多い印象はあります。
石田 
人情話?
__ 
そうですね。
石田 
でも、落語とかだと人情噺は、東京の方が多いらしいですね。

舞台上で「何かあるぞ」という予感

__ 
これからの目標は。
石田 
地点で活動していくのは前提として、傑作を作りたいですね。
__ 
傑作とは何を指しますか?
石田 
みんながこれから演劇を作る上で意識されるものです。「地点はあれを作った」と、事あるごとに思い返されるような、ベケットの『ゴドーを待ちながら』のような作品です。
__ 
私にとっての傑作とは、その時代のその劇団にしか作れない作品と、時代の気分と観客の認識が一致し、それ自体が力を持った時空間の事を指します。演劇は時間と空間を使える唯一のメディアで、その中で行われるアジテーションによって、観客の認識が一致すれば、誰もがみんな、それが傑作だと分かると思います。
石田 
その場で何かが生まれる瞬間ね。今傑作とされているものは、本物だから残っているんでしょうね。
__ 
これまでいやというほど演劇は上演されていて、しかし全てが本物の傑作として残っている訳ではない。しかし、世界は傑作を求めている。
石田 
圧倒的なものには憧れるよね。長年やっていると、舞台上で「何かあるぞ」という予感はある。色んな要素が、その時代や環境によってあるんでしょうね。
__ 
「何かある」とは? 予感ですか?
石田 
うん、本番でも時々あるんですよ。舞台の上で抜き差しならない空気になることが。何ものにも代え難いもの。20何年やってますが、鳥肌が立つなんてものじゃない。アレはねえ・・・。幾度か体験したんですけど、やっぱりそういう凄いものを作らないと意味がないですね。

タグ: 傑作の定義


チェック柄の鍋敷き

__ 
今日はお話を伺えたお礼に、プレゼントを持って参りました。どうぞ。
石田 
ありがとうございます。クリスマスプレゼントですね。嬉しいです、なかなか貰えませんからね。
__ 
大したものではないですけどね。
石田 
(開ける)鍋敷きですか。いいですね。お洒落ですね。色も、僕の好きな緑です。


わたわたする日々

__ 
今日はどうぞ、宜しくお願い致します。築地さんは最近どんな感じでしょうか。
築地 
最近はちょっとわたわたしてます。努力クラブの公演が近づいてきたので。それと同時進行して、市川タロが3月に横浜で上演することになったので、その辺りのことをしています。
__ 
市川タロさんの「デ」。横浜に行くんですね。
築地 
はい。STスポットです。平日なんですけど。是非来てくださいという感じです。__お忙しそうですね。
築地 
昨日は大阪で、受付。でした。
__ 
そう、築地さんは当日制作に入られる事があるんですよね。あれ、いつ知り合いになったんでしたっけ。多分、「とまる。」の広告でメールしたのが最初でしたっけ。
築地 
あの時はありがとうございました。
__ 
いえいえ。こちらこそ、広告を出させてもらい、ありがとうございました。
とまる。
京都の小劇場の情報を専門的に扱うフリーペーパー。季刊(4月・7月・10月・1月)。劇場紹介記事、演劇公演のスケジュール表なども。
努力クラブ
2011年3月に佛教大学劇団紫で団長をしていた合田団地と立命館大学劇団西一風で座長をしていた佐々木峻一を中心に結成。努力クラブ5「旅行者感覚の欠落」を機会に京都産業大学劇団ACTで主幹をしていた無農薬亭農薬と喜撃名詞が入団。現在団員は4名である。公演のタイトルをよく誉められる。できるだけ言葉を大事にしたいなあと思っている。人からはよく不条理だといわれる。僕ら自身はナンセンスコメディだという自覚がある。人が持っているネガティブな部分を陽の目に晒してそれを面白がりたい。魂を震わしたい。それからあえてチープ感を忘れないようにしているよう。良いチープ感を狙っている。まあ、簡単に言えば、うわあって感じの団体です。うわあっていうところが面白いと思うのです。(公式サイトより)
努力クラブ5 旅行者感覚の欠落
公演時期:2012/12/7~10。会場:元・立誠小学校 音楽室。
市川タロ
劇作家。演出家。

高田ひとし、tabula=rasa、田辺さん

__ 
築地さんがお芝居を始めたのはいつごろからなのでしょうか。
築地 
大学に入学後、初めて劇団西一風を見てからです。高校の頃は多趣味で、好きな事をいろいろやってたんです。大学に入ったらそういったサークルを見まわってたんですけど、全体的にチャラチャラしているように思って。演劇部も全て見たんですが、西一風が一番好みで。高田ひとしの問題作でした。
__ 
どんな内容でしたか。
築地 
性的なシーンがあったり、紙皿いっぱいの生クリームを女優にぶつけたりとか。
__ 
荒れてましたね。
築地 
荒ぶってましたね。
__ 
大学卒業後、tabula=rasaですね。
築地 
はい。でも、tabula=rasaは終わっちゃったんですよ。高田が東京にに行ったので。もう一度、高田・前田・築地の3人でやる事はあったとしても、tabula=rasaの活動としては“おしまい”という形になったんです。
__ 
築地さんが制作を続けているのは、どうした理由があるのでしょうか。
築地 
元々私は西一風からの流れで照明と制作をやっていて、tabula=rasaが“おしまい”になった時点で色々と考え、制作に絞りました。
__ 
制作には、例えばどのような楽しみがありますか。
築地 
うーん、やっぱり目標を達成した時ですよね。それと役者さんのサポート。世話焼きをするのが好きなんですよね。世話焼き欲が満たされるというか。炊き出しをする時に、お腹の調子が悪い俳優さんがいたらメニューを変えたりとか。
__ 
素晴らしい。私も炊き出しをしたことはありますが、自分の好きなものを作ってばかりでした。築地さんは世話焼き2.0ですね。
築地 
いえいえ。でも、本格的に制作に絞ったのは今年からなので。これまでは自分の劇団制作と兼任して、という形だったんですが、これからはプロデュースなどについても学んでいかないとなと。
__ 
なるほど。
築地 
田辺さんが下鴨車窓の「王様」の時に手伝いで呼んで下さったりして、意識は高まったと思います。いつまでも当日制作ばっかりではだめなので頑張らなくちゃ。
tabula=rasa
京都を拠点に活動する演劇のカンパニー。2009年に高田ひとしを主宰に設立。活動は、いくつかの連続的なシリーズを並行的に上演するスタイルを取る。(公式サイトより)
下鴨車窓
京都を拠点に活動する劇作家・演出家の田辺剛が主宰するユニット。(活動紹介より)
下鴨車窓#7「王様」
公演時期:2010/12/16~2010/12/23(京都)、2011/1/29~2011/1/30(広島)。会場:アトリエ劇研(アステールプラザ多目的スタジオ)。

さつまいものポタージュ

__ 
田辺さんと言えば、先程「Tea for Two」見てきたんですけどね。Aチームを見てきました。
築地 
Aチーム!イッパイアンテナの阿部さん、良かったですよね!あの自然体な感じ。
__ 
そうですね。で、劇団ソノノチチーム限定の築地さんのスープ。めちゃくちゃ美味しかったです。あのふわふわな、クリーミーな感じが。
築地 
ホントですか。ありがとうございます。あれ、カンタンなんです。野菜と牛乳とコンソメがあったら出来るんですよ。あとちょっと玉ねぎを使ってます。
__ 
作り方を伺っても良いでしょうか。
築地 
野菜を蒸して、適量の水と一緒にミキサーにかけてペーストにして、コンソメと一緒にZipLockに入れて凍らせて、それを溶かして牛乳と混ぜたら出来るんですよ。私が劇場にいなくても仕上げが出来るような工夫をしました。野菜の甘みが出るようにしました。
__ 
あれは料理になっていましたね。Facebookで築地さんの料理の写真がアップされてたりして、楽しみです。何故、築地さんはそんなに料理が上手なんでしょうか。
築地 
いやいや趣味です。自炊の延長です。
__ 
あ、そうなんですね。
築地 
貧乏なんで(笑う)安くて美味しいものが出来るように、手間を惜しまずにやってますね。
__ 
料理に対する勘を感じるんですが、それはどこから。
築地 
実家で、母に教わったんですよ。母が若いころ保育士をやっていて、女の子は料理が出来てなんぼ、と。小学校一年の時にキレイな卵焼きが作れたんですよ。
劇団ソノノチよりみち2(劇団ソノノチ+トランポリンショップ)「Tea for Two」
公演時期:2012/11/6~25。会場:一坪シアタースワン。
イッパイアンテナ
同志社大学の学生劇団「同志社小劇場」のOBを中心として、2007年11月に旗揚げされた演劇団体。主な演目はコメディとコント。劇場を気持ちよく走り抜けるライブ空間にすべく日夜活動している。(公式サイトより)
劇団ソノノチ
中谷と北海が大学在学中に4年間所属していた劇団テフノロGを卒業後、2008年に社会人劇団として集団を再結成。メンバーはそれぞれにジャンルの異なった自身の作家活動や制作活動をおこなっているため、その得意分野を生かした舞台表現に今後注目が集まる。人と時間の繋がりを大切にしながら継続的に作品発表の場を持ち続けることを目標にしており、舞台表現とアート・デザインの複合性とその「これから」を探る(劇団名もこの「これから(その後)を探る」にちなんでつけられた)。(公式サイトより)

タグ: クッキングの話題 自然体


質問 辻 悠介さんから 築地 静香さんへ

__ 
前回インタビューさせて頂いた、辻悠介さんから質問を頂いてきております。
築地 
あ、友達です。
__ 
「あなたを構成するキーワードは何ですか?」
築地 
ええー、難解。どういう意図があるんだろう。
__ 
彼はワークショップをやりまくっている人なんですが、そういうWSをやろうと思っている、んだそうです。
築地 
高校時代からの友達曰く、私のことを「母性」と言ってました。分からないですけど。「オカンキャラ」と。
__ 
ご自分ではどう思いますか?
築地 
悲しい哉そう思います(笑う)普通に友達とキャピキャピしたいのに、いつの間にかそのコミュニティでもオカンになってしまったり。

タグ: 母性性


質問 中谷 和代さんから 築地 静香さんへ

__ 
劇団ソノノチの中谷さんからも質問です。「何をしている時が一番楽しいですか?」
築地 
うーん、人の為に何かしている時ですね。料理も。実は自分の為の料理はかなり適当なんですけど、誰かの為の料理は手間を掛けたり。乙女座って、そうらしいんですよ。
__ 
次です。「誰かと初めて会った時、その人の何をチェックしますか?」
築地 
初対面の時ですよね。姿勢かな?少しだけ猫背だと親しみやすいかも。

タグ: クッキングの話題


単純に、彼らを好きだから

__ 
築地さんはプロデュースについて学んで行きたいという事ですが、今、具体的に方向性を見出していたりしますか?
築地 
うーん。でも、フェスティバルなどのプロデュースにはまだ目を向けられていないです。それよりは、応援したい劇団さんの制作として、公演や盛り上がりに力添えしたいなと思っています。今は努力クラブと、市川の「デ」ですね。
__ 
例えば、ショーケースの企画ではないのですね。
築地 
イベント的なものは、お客さんとして参加したいですね。自分でやるのは、やっぱりまだいまは劇団ですね。団体じゃなくても、オルタナ・アートセレクションなどの公演につくのも好きですけど。
__ 
劇団と公演にこだわる。
築地 
基本的に、対象の人たちへの愛情が主だからじゃないですかね。別にイベントが嫌いという訳じゃないんです。イベントを企画するより、特定の彼らをプロデュースする方が、私は多分嬉しいです。
__ 
単純に、彼らを好きだから。
築地 
そうですね。
__ 
築地さんが好きになるのは、どういう人ですか?
築地 
作風かな・・・。内容的に好みというのが前提ですね。例えば努力クラブと市川タロは、彼らの書くものが好きで、どうか彼らが有名になってほしいからで。
__ 
仮説なんですが、応援したくなる劇団というのがこれからのキーワードなんじゃないかなと思うんです。「面白い劇団」というだけではなくて、存在としての魅力が常に発信される時代だからこそ。
築地 
確かに、私にとっても、彼らは応援したくなる愛らしさというか・・・を感じますね。私にとって応援したい劇団は、作品が好みなのは大前提でその上ムリしてない団体かな。「売れたい!」っていうのは、いいことなんですけど、そんなんじゃ保たないんじゃないかなって心配になるので。自分たちのペースでいってほしいです。努力クラブのロゴの説明でチラシに、「潰れまいとすることが大事だと言わんばかりに。」という言葉があって。
__ 
あ、クラブだから蟹か。
築地 
潰れないように、ゆっくりと。
__ 
お客さんに媚びるじゃないですけど、応援したいと思わせる。
築地 
努力クラブには中年のファンが多いんですよ。何故かおじさんおばさんに支持されてるんです。
__ 
彼らにしか出来ない存在感があるんですね。
築地 
他の団体さんとはまた違った愛らしさがあるんですよね。
__ 
という事は、劇団によって応援したいと思わせるポイントは違い、なおかつ受け手が思う応援したいポイントは違うのか。
築地 
そうですね、違いますね。これから私が力を付けられたら、応援したい範疇は広がるかもしれません。でも、私自身もムリしない範囲で少しづつスキルアップしたいです。
__ 
彼らが演劇をやっている物語が理解出来るような宣伝が出来たら、親しみが誰にも感じられるようになるのかなと

タグ: イベントの立ち上げ


才能があるかどうかは、継続出来たかどうか

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
築地 
うーん、でも、ムリせずに。「才能があるかどうかは、継続出来たかどうか」だって言葉があって。諦めた人は、その時点で才能が無いと見なされる、だから続け続けるというのは才能があるという言葉なんですね。
__ 
素晴らしい。
築地 
だから私は、調整しながらも続ける事で、才能があることを証明したいです。自分には本当にその分野の才能があるのか?証明してくれるのは、他人の評価じゃなくて、今も続いているかどうかなんですよ。これまでいろいろと多趣味に手を出して来ましたけど、今も続いているのは料理と演劇だし。

タグ: クッキングの話題 どんな手段でもいいから続ける 続ける事が大事 今後の攻め方


陶器のピッチャー

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。
築地 
おおー!それがあるんですよね。すっかり忘れていました。
__ 
どうぞ。
築地 
最近自分で自分に買い物してばっかりだったので。(開ける)おおーこれはめっちゃ可愛いい。
__ 
割れものなので、気を付けてくださいね。それ、日常生活ではきっと使わないんですよ。でも、ケータリングとかだと重宝するかなあと。
築地 
そうですね、私ドレッシング作るんですけど、それをケータリングのサラダの横に置いたら完璧ですね。


エアポケットと自転車

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。辻さんは最近はいかがでしょうか?
辻  
最近は、自転車を漕いでいるような感じですね。何かをしないと落ち着かないという感覚があります。でも時々、「こんな事をして大丈夫かな」と思い込んでしまうような。エアポケットのように。
__ 
自転車。
辻  
僕自身が自転車が好きなのもあって。高畑勲さんだと思うんですけど、「自転車は風景を楽しむのに最適な乗り物」だとどこかで言ってたんですよ。僕が思うに、自転車は漕ぎ続けないと倒れてしまう乗り物で、その代わりに小回りが効く。
__ 
いつか車に乗り換えたいと思いますか?
辻  
車だと、道筋を辿って目的地に行く事が主体で、自転車のように風景を風景の中で楽しむ事は難しいんじゃないかなと。僕は、当分自転車に乗っていると思います。
__ 
なるほど。
辻  
普段のバイトに加えて、空いている時間にNPO法人寺子屋共育轍-わだち-というNPOで、ReActionという、演劇に触れた事のない人にも演劇の楽しさを還元するワークショップ(以後、WSと表記)をしたり、京都学生演劇祭の実行委員会でも企画づくりのWSをしたりしています。
__ 
なるほど。
辻  
あとは、僕は立命館大学の劇団月光斜にいたんですけど、たまにそこでWSをしたりしています。演技のやり方を一緒に考えていったり、自分自身の演技について考えてもらったり。
__ 
演劇WS活動で、面白い事はなんですか?
辻  
何点かあるんですが、自分が考えている事が伝わったという実感があると嬉しいですね。それと、自分が新しい視点を提供してあげられたと感じた時。僕自身にも「こういう伝え方があるんだ」と発見していく時もあるんです。終わった後の講師のミーティング(Re:Action)で、そうした気付きを発見出来るんです。参加者も講師も、価値観が色々あって、みんな違ってみんな面白い。
__ 
価値観そのものが様々に違う事をリアルタイムに感じる体験と言えるのかもしれませんね。
辻  
そうですね。価値観をすり合わせていく過程と、つながって結果に結びつく瞬間があると面白いんです。
__ 
すり合わせる。しかし、ある意味ではとても難しそうですね。個人的な体験から言うと、その、自意識が邪魔しそうで。
辻  
そういう人をときほぐしていく喋りだったり、「いてもいいんだよ」という空気をいかに作ってあげられるか。それは僕ら講師の課題です。「いていいんだよ」というのは上から目線で、「一緒に楽しみましょ」というスタンスを取るようにしています。
__ 
そうした空間が受け入れられない人は、一生足が向かなさそうですね。
辻  
最初は戸惑うかもしれませんが、でも、一度慣れてしまえば。水と一緒で。WSを始める前には、お互いにほぐれているという認識を共有するために、めっちゃどうでもいい話をするんですよ。初心者向けの演劇WSとなると、みんな経験がないので、「言われた通りにしよう」となってガチガチなんですね。みんな一緒だよ、という認識を共有して、同じ空気の中に入ってきてほしい。それが大事です。
京都学生演劇祭
学生の街、京都。ここには多くの学生劇団が存在し、日々活動しています。しかし、それぞれの劇団間の交わりは少なく、この地の特徴を生かせないでいるのが特徴です。私たちは、この状況を何とかしたい。互いに触れ合い、競い合うことで互いに成長したい。京都の学生演劇、ひいては京都演劇界を活性化させたい。この演劇祭は、そんな思いのもとに生まれました。京都学生演劇の「今」、そして「これから」を見守ってください。京都演劇界の未来が、ここに集います。(公式サイトより)

タグ: 相互承認 ガチガチな身体


vol.270 辻 悠介

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2012/春
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辻

水平方向を探る

辻  
最近、俳優には二つの方向の仕事があるなと思っているんです。
__ 
というと。
辻  
一つは、上を目指す事=「上手になる、売れる。」もう一つは、演劇の土壌を広げてあげる事なんじゃないか。僕は圧倒的に後者ですね。基礎のコミュニケーションゲームとか、そこから演劇にはこういう要素があるよねとか、台詞を格好良く言える事の前に、演じてコミュニケーションする価値があるよねと。この前の京都学生演劇祭の時は、毎日のように基礎練習を交えて、いろんなコミニュケーション、もしくは演劇WSをやっていました。
__ 
その「水平方向」。どのような経緯で演劇WSに取り入れられるようになったのでしょうか。
辻  
「上を目指す」ためのWSだったら、僕よりももっと上の人たちがいるんですよ。でもそれをやろうと思ったら、辛く恥ずかしい訓練をしないといけない。自分を曝け出したり。僕は正直、それが嫌なんですよ。自分もやった事はあるのですが。
__ 
それよりは、水平の土壌方向。
辻  
広げるという意味ですが、別に演劇の観客をもっともっと増やしたいという事ではないんです。お芝居に興味のない方がWSに参加してみて、「ああ面白いんだ。でも観ないけど・・・」これで充分だと思うんです。演劇というジャンル、カテゴリに拘る必要はないと思うんですよ。
__ 
おお。
辻  
僕も野球は好きですけど、毎日は見ませんし、ましてやプレイもしない。参加者のアンテナに触れて、そこから個人の中で発展していくのが土壌を広げるという事だと思うんです。僕の演劇WSは、集団による作品作りをしますが、それを通して、会話の基礎であるとか、誰も指摘してくれない見方であるとかを提供する場でありたいと思っています。もちろん、演劇が面白いと思ってくれるきっかけになってくれれば最高ですね。
この前の京都学生演劇祭
辻さんは第2回京都学生演劇祭で、劇団月光斜参加作品「Celebration」では作・演出を務めた。

タグ: カテゴライズされる俳優 役者に求めるもの


vol.270 辻 悠介

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2012/春
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辻

不親切グラフ

辻  
他にも色々なWSを展開していきたいんですよ。
__ 
例えば。
辻  
ソーシャルであるとか、町づくりであるとか、そうした方向です。テーマはまちまちで演劇とはあまり関係ないんですけどね、そこでもやっぱり、コミュニケーションってWSには重要な要素なんだなと考えさせられます。日本人の会議って、喋る人と黙る人に二極化するんですよね。
__ 
そうですね。
辻  
言わない人の話をどうやって引き出すかを意識します。それは個人の特性であると片付けるのはカンタンなんですが、その上で、どうやって聞こえるようにするかが重要なんじゃないか。
__ 
うーん、私は黙ってしまう方ですね。会議の性格によっては、私も喋りますけど。
辻  
話合う前に、この会議の方向性や、どういう事が課題として残っているのか。を見えるようにしたら。講師としての課題は、結論へ持っていく道筋やポイントの置き方。もっと言えばそのバランスですね。僕は、WSを受けに来た人たちに白地図だけ渡して「好きな進み方をしてみてください」という事はしたくないです。不親切グラフというものがあるんですが。
__ 
ある程度までしか案内しない?
辻  
そうですね、考えが発展しやすいように、もしかしたら目的と逸れてしまうかもしれませんが、色んな考えが道すがらにあって、オリジナルな結論が(あわよくば意図していた結論に近い)生み出されたらいいですね。
__ 
なるほど。
辻  
演劇もそれと似ているように思うんです。演出の操り人形であるうちは、その俳優の芝居は面白くない。役者が自分の考えた演技を稽古場に持ってきて、「あ、それ面白いじゃん」って笑ってくれる瞬間が、やっぱり一番気持ちいいと思うんですね。初めての子ならなおさら。WSって、それが簡易に短時間で出来る場なんじゃないか。皆が笑い合う、それでやったーと思う、そういう承認しあう空間が作れるんだと思っています。

タグ: 日本人の美意識 オーガナイザーの企み


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2012/春
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辻

キャンプファイヤーWS

辻  
WSの理想的な状態を表した図というのがあるんですよ。こちらです。火が真ん中にあって、それを囲む人々がいます。それは、全員が一つの価値観を共有していて、同時に自分自身のバックも持っている。目の前のひとつの価値と、個人の価値観がバランスよく存在している。個人の価値観はそれぞれにあった上で、同時に何か違ったものを構成しあうというのがWSの理想で、演劇ってこれだと思うんですね。
__ 
これは分かりやすい。確かに演劇もこういうふうに、価値観を巡る生のコミュニケーションと言えるかもしれない。それは上演中でも、稽古でも関係なく。
辻  
いや、本の引用なんですけどね。演劇って生だから、稽古ももちろん生で作る必要があると思っています。役者が失敗してもそれを取り入れて進む事もあるし、スタッフさんからの指摘もある。すり合わせて作る過程に、僕はより、演劇らしさを感じます。
__ 
一つの価値観を共有した瞬間。それはきっと、参加者全員が、それを明確に感覚している状態なんだと思うんです。短い時間で結果を出す、キャンプファイヤーWSというのは理想的な体験ですね。そして私は、そうした体験が直接生活の糧になるとまでは思っていません。ただし、考える材料にはなる。
辻  
仰るとおりで、例えば僕の出したアドバイスとかが守られなくてもいいんですよね。昔は「上手くいかないなあ」と思ったり、口に出したりしてしまったんですが。結局は、参加者の体験になって、生きる上で役に立つ材料になってくれればいいんですよ。
__ 
参加者にとっては、実生活とは切り離された箱庭での体験ですからね。もしかしたら、それは幼児体験に近いものになるかもしれない。何故なら、純粋に人との関係性を体験するから。そして、日常生活からは年齢と共にそうした機会が無くなっていく。
辻  
ええ。
__ 
さらに、ネットのインフラが発達しまくって、コミュニケーションの主な手段がメディア越しになってしまったら?
辻  
今はそこら中に自己発信が出来る機会がありますしね。ナマでの表現(つまり演劇も含まれますね)というものの価値観が、どのように変わっていくか。もしかしたら、僕らのやっていることは危ないのかもしれません。食いっぱぐれるという意味で。でも、そういう現状を理解した上で何とかしようという人たちもいるんですね。これだけコミュニケーションという言葉が叫ばれているのも、そうした流れへのカウンターだと思うんです。WSという短い時間の中で、共同体験が持てるというのは意義があると思っています。

タグ: SeizeTheDay


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2012/春
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辻

質問 藤原 ちからさんから 辻 悠介さんへ

__ 
前回インタビューさせて頂きました、藤原ちからさんから質問です。「一人になりたい時にはどこにいますか?」
辻  
あー、無いかなあ。寂しがり屋なので。誰かと一緒にいたいですね。本当に一人でぼーっとしている時間は不安ですね。どちらでもいいんですけどね。

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2012/春
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辻

本当は恐ろしいWS

辻  
あと、要約力のWSというものをやろうと考えてます。まとめる力って必要なんですよね。完結に自分を出すという。自分を構成する要素をフリップで出すというね。「もう一度受けたい国語の授業」っていうWSを一度やりたいです。学校教育ではやらないんですよ、要約って。
__ 
そうした教育系だけではなく、WSって、地頭の良さと表現力がすごく必要とされると思うんです。自己表現を磨こうと思ったら、なおの事。その辺はどうでしょう。
辻  
それは僕も注意しています。最初に「あ、面白くなくていいですよ~」って。演劇のWSも、目立ちたい子に「笑い取る必要ないからね」。って。
__ 
そういう場ではない。価値観を確認しあう場所であるから。
辻  
はい。今日は様々なWSがあるという事を紹介したんですが、それぞれ色んな視点があるんですよね。それらがカテゴリを越えて色んな気づきをもたらしてくれていて、とても勉強になるんです。
__ 
垣根を越えて、新しいアイデアを作っていく。
辻  
それが理想ですね。
__ 
上手くいけばいいですね。一方、きっと、参加者に悪影響を与えるWSもあるはず。
辻  
それ、一度やってみようと思っています。
__ 
おお。
辻  
本当は恐ろしいWS。
__ 
面白い。
辻  
いわゆる信頼のワークを繰り返して、そこで僕がある言葉を与えたらそれを信じこむ参加者が出てきてしまう。自分で考える力を削いでいくという事に近いです。そう考えてみると、WSって、本当は恐ろしいんですよ。

タグ: 垣根の無い世界へ


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2012/春
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辻

ライフスタイル

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
辻  
今のライフスタイルは気に入っています。昼は仕事して、WS活動を行なって。それが維持出来ればいいなと思っています。
__ 
頑張って下さい。

タグ: どんな手段でもいいから続ける 今後の攻め方


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2012/春
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辻

烹菓のクッキー

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持っていまいりました。どうぞ。
辻  
クッキーですか。へー、かわいい。


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辻