初夏の寒い夜

大川原 
悪い芝居の大川原です。コーヒーを取りに行ってもらってるんですが、その間喋って良いと言われました。
大川原 
スタバが混んでます。外人さんが多い・・・あ、また来た。
大川原 
めちゃ混んでるわ。今日寒い。外もいいけど、今日めちゃ寒いしな。昼晴れてるからそれに合わせて薄着でいたら夜めっちゃ寒くなる。
大川原 
2分経った。
大川原 
3分なる。なった。未だこず。スタバおそるべし。あ、来はった。
___ 
失礼しました。
大川原 
あはは。ほとんどなにも言ってません。寒い寒い言ってました。
悪い芝居
2004年12月24日、旗揚げ。メンバー11名。京都を拠点に、東京・大阪と活動の幅を広げつつある若手劇団。ぼんやりとした鬱憤から始まる発想を、刺激的に勢いよく噴出し、それでいてポップに仕立て上げる中毒性の高い作品を発表している。誤解されやすい団体名の由来は、『悪いけど、芝居させてください。の略』と、とても謙遜している。(公式サイトより)

せっかく、劇団なんだから・・・関係性とお芝居作り

___ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。最近は大川原さんはどんな感じですか?
大川原 
ABC中之島演劇祭の石原正一ショーに出させてもらっていたんですが、それも終わって。今は前回公演の映像編集をしていました。それから、次回公演の稽古と。
___ 
映像編集出来るんですね!
大川原 
「キョム!」から私がやっているんですよ。教えてもらったり、自分で調べたりして。カナヅチ女の公演で売れるように準備中です。お楽しみに。
___ 
次回公演「カナヅチ女、夜泳ぐ」。稽古中ですよね。どんな感じでしょうか。
大川原 
ぼちぼち客演さんが揃い初めてきました。ワークショップ的なところから始めています。台本はまだ、あえて出してないという感じじゃないでしょうか。
___ 
なるほど。
大川原 
山崎が、「演劇って練習したら出来るんだよ」と。それよりも、チームワークや基礎的なところを重点的にやっています。チームワークが良いと思わせるような劇団はハズレなく面白いんですよね。新人の子もまだ一年なので、そのあたりで説得力を持たせていければなと。
___ 
劇団内のムードが良いというのは大切ですよね。心のやりとりを大切にしたり、そういう会話劇とかは特に。
大川原 
人との関係性を構築するという意味では、もしかしたら台本がない方がいいかもしれないですね。それがあった状態で台本が来たらいいんじゃないかなと思っているみたいです。何も関係性がないのに台本が来て、「このホンいいよね~」って言い合ってるんじゃなくて。せっかく、劇団なんだから。
悪い芝居vol.13『カナヅチ女、夜泳ぐ』
公演時期:2012/06/13~20(大阪)、2012/07/10~16(東京)。会場:in→dependent theatre 2nd(大阪)、王子小劇場(東京)。

タグ: 新人の不安 悪いけど、芝居させてください


危険でも、全力でぶつかって。無重力で飛び出す作品?

___ 
台本があったら演劇が出来るというのは、確かにそうですね。稽古すれば、下手でも上手でも、最後まで出来ると思う。
大川原 
俳優って、誰でも出来るっていいますからね。
___ 
そうですね。それでお客さんを満足させるものが出来るかというと別ですけどね。その次の段階を目指そうとしているのは素晴らしいなと思います。
大川原 
いえ、まだまだ難しいです・・・、でも、前回と同じものを作るよりは、新しいやり方を試すというのに今興味があって。危険かもしれないけど。危険でも、全力でぶつかっているのが悪い芝居のいいところだと思います。それがお芝居に乗ったらいいな。
___ 
今回は東京と大阪ですね。東京は、佐藤佐吉演劇祭に参加ですね。
大川原 
そうなんですよ。こちらでも聞くような、東京の劇団さんと一緒に並べて貰えるんです。光栄です。京都からは、悪い芝居とピンク地底人さんと。
___ 
そうですね。京都の攻め系劇団ですね。
大川原 
どうなるんだろうなと。物語はまだ決まってないんですけど(5/12時点)、役者が舞台を飛び出して、無重力で飛んでいけるような。
___ 
味わった事のない感覚になりそうですね。

質問 長谷川 寧さんから 大川原 瑞穂さんへ

___ 
前回インタビューさせて頂いた、冨士山アネットの長谷川さんから質問です。質問というか、メッセージなのですが・・・「今年、アトリエ劇研演劇祭で京都に行くので仲良くしてやってください」だそうです。
大川原 
ああ!是非是非!見に行かせていきます。よろしくお願いします。

自分の言葉ってもの

___ 
大川原さんは今、どんな目標がありますか?
大川原 
自分の言葉を持つ。劇団に対しての考えとか、自分の演技についてとか。今までだと、何で今の演技をやったのか聞かれると「いやちょっとわかんない」って答えてしまってて、反射的に。本当はよくない事なんですけど、出来ていなくて。しっかり、自分の言葉ってものを相手に返せるようにしたいです。
___ 
なるほど。
大川原 
若い時は「わかんない」でも良かったのかもしれないですけどね(笑う)。
___ 
あー。私個人は無視されるのが怖くて自分の意見を言って、ウケを狙っていましたね。
大川原 
私はたぶん、その逆だったんですよ。一人っ子だったので(笑う)。特に何も言わなくても、周りがまーまーまーで済ませてくれたんだと思います。周りが汲んでくれてたんでしょうね。今は、反対立場でも賛成立場でも、何らかの意見を言わないといけないので。一年前からメンバーが変わって、後輩が出来て。意見を持たないと、後輩の子にぐいぐい来られるから。語彙が少ないんですよ。興味が向く事しかやってこなかったから。
___ 
色んなものの説明を頭で行うというのは、良いトレーニングかもしれないですね。私がやっていたやり方なんですけど、人間観察しているときに、あの女性のファッションから立ち位置まで、言葉で説明していって、他の事象と関連づけていくと、言葉が出やすくなるかもしれない。
大川原 
日記を付けるといいのかもしれませんね。頭で考えた事を一旦言葉にしたら、語彙が広がるかも。三日坊主にならなければいいですけどね(笑う)。

頑張ります

___ 
最近、石原正一ショーやsundayに出演されている大川原さんが新鮮でいいですね。
大川原 
新しいねと言われます。嬉しいです。でも、何で新しいのかな。
___ 
悪い芝居の外に出て、大川原さんのポテンシャルを開放しているのが面白いのかもね。コメディエンヌだったりとか。そういう風に知らなかった側面を見られるというのはすごく面白いと思うんですよ。大川原さんは、自分の作品を作ったりしますか?
大川原 
先日、自分のパフォーマンスを作って劇団内で公開するという稽古がありました。私はどうしようかなと悩んだ結果、落語をやる事にしたんですけど・・・既成の本を演ることに若干プライドが・・・(笑)。
___ 
ええ。
大川原 
自分らしさってなんやろうな、うーん、と考えて。で、語りの最後に、自分が着ていた衣服を脱いだんです。みんな笑ってましたよ(笑)稽古場で久しぶりに下着になりました。お見苦しいものを見せたと思ってますが。
___ 
大川原さんは、スライマーかもしれませんね。
大川原 
スライマー?
___ 
よこえともこさんにインタビューさせていただいた時に出た話なんですけど、内側にあるものを外に出すと、薄い被膜が光とともに現れるのをスライマーだと。それを、一人でプロデュース出来るのをピンスライマーと呼ぶんだそうですよ。
大川原 
近いと思います。遠慮してる癖に、自己主張は激しいみたいな。へー。
___ 
いいと思います。
大川原 
頑張ります(笑う)。

タグ: 落語


わ~~~~

___ 
今後、どんな感じに攻めていかれますか?
大川原 
劇団員がそれぞれ自分の創作を頑張っているので、私も自分が作れるものを考えています。
___ 
俳優としては。
大川原 
自分の演技というものが欲しいです。嫌われてもいいんですよ。それは、嫌いという形で頭に残っているから。好かれたらそれは万々歳ですけど。
___ 
大川原さんの芝居で印象に残っているのは、「最低の夢」の時のキスシーンかな。ロマンチックなキスに見せかけて・・・
大川原 
わ~~~~っという。

タグ: 今後の攻め方


着せ替えシール

___ 
今日はですね。お話を伺えたお礼にプレゼントがございます。
大川原 
あらっ。
___ 
前回は手袋でしたが、今回はまたちょっと違います。どうぞ。
大川原 
ありがとうございます(開ける)あっ!!かわいいー!
___ 
着せ替えシールです。色々な服や小道具でアレンジが出来ます。
大川原 
可愛すぎる。すごいすごいすごいすごい。いやー、シール大好きなんですよ。ロフトとか行ったら、2、3枚買っちゃうんですよ。ぷくぷくしてるし。
___ 
良かった。当たりでしたか。
大川原 
当たりですよ。ホンマにシール大好きですから。

タグ: プレゼント(可愛らしい系)


エンロン

___ 
今日はどうぞ、よろしくお願い致します。最近は長谷川さんはどんな感じでしょうか。
長谷川 
今参加しているエンロンという舞台の稽古やリハでいっぱいでした。GW中は冨士山アネットのツアーのリハで埋まっていたので、予定がごちゃごちゃしていましたね。
___ 
稽古続きだったんですね。
長谷川 
振付も出演もしていたので、ちょっと忙しかったです。
___ 
そのエンロン。先程拝見しましたが、非常に面白く拝見しました。エンターテイメント的な感じで経済をやるのかなと思っていたんですが、それだけじゃなくて、会社を大きくしようとズルした普通の人がどのようにして悪人扱いされていくのかという流れが興味深かったです。お金を巻き上げるつもりが、お金によってもてあそばれる感じがね。
長谷川 
台本が本当によく出来ていましたね。あれはほとんど実話なんですよ。実際にあった事件を当時二十代の女性作家が調査の末書きあげた作品。実話なんですけど、ウソみたいな話ですよね。当時の社会の、お金をめぐって起きた事件が現在でも起こっているしね。ムーヴメントシーンが多かったでしょう? 今回色々な流れが合って僕がやらせてもらえる事になって。
___ 
そうそう。見せ場がありましたね。
長谷川 
ライトセーバーとかね。演出家がストレートプレイを主にやっている人らしくて、シンプルになるように心がけていました。
エンロン
公演時期:2012/4/13~29(東京)、2012/5/12~13(大阪)、2012/5/16(名古屋)。会場:天王州銀河劇場(東京)、イオン化粧品 シアターBRAVA!(大阪)、名鉄ホール(名古屋)。
冨士山アネット
2003年活動開始。類稀な空間演出と創造的なヴィジュアル、身体性を強く意識したパフォーマンスにて創造的な空間を描き出す。近年は、戯曲から身体を立ち上げるといった、ダンス的演劇(テアタータンツ)という独自のジャンルから作品を制作。(公式サイトより)

冨士山アネット-テアタータンツ

___ 
長谷川さんが冨士山アネットでされているテアタータンツという技法。台本がある作品を、台詞を一切使用せずにあえて動きやダンスで表すんですよね。かといって無言劇でも無くパントマイムでもない。
長谷川 
ドイツに滞在していた時、古典の舞台を見たんですよ。大まかな流れがわかっていたら、言語が違おうと使われていなくても筋が分かったりするんですよね。意味が分からなくても面白い。人物同士の関係性が面白いんですよね。何故かというと、舞台に上がっている人間同士の関係性がきちんと作れているからなんです。それを見た時から、関係性を作る事が面白いなと思うんですね。
___ 
それを舞台上で表現するという事ですね。
長谷川 
例えば、付き合って数年のカップルが居て、そのカップルの関係がセリフで分かる時もあれば、ただの目線だけで分かったりもする。もしくは、片足を相手の足の間に入れたり。関係性で、立ち位置や姿勢が決まるのが面白いんですよ。そういう所に豊かさを感じる。
___ 
演劇とダンスの間にありながら、具体的に関係性を描き出していく表現。
長谷川 
実は最初は、ダンスをどうやって作っていくのか分からなかったんですね。演劇しかやっていなかったから、ダンスの設計図の引き方が分からなかった。なら、演劇の方法論を下敷きにした考え方が手がかりになるのかなと。それまでやってきた事を捨てる必要はないと思ったんです。

タグ: ユニークな作品あります 無言劇


拡大解釈(1)

___ 
関係性を表すダンスについて。例えば片足を相手の足下に置くような姿勢。見ている人の想像力を一気に喚起するんですよね。そして反面、言葉がないのであれば誤読が生じやすいのではないかと思うのですが。
長谷川 
観客がふっと一瞬一瞬を切り取って、自分の想像力を頼りにシーンとして頭の中で作っていくのが面白いんじゃないかなと思うんです。読者が選択をしていくゲームブックのように。
___ 
なるほど。
長谷川 
この二人は良い関係じゃないのかな、みたいに、勝手に拡大解釈していく。そういうヒントや描写をちりばめていくんです。
___ 
つまり、注意深く見るとどんどん想像力がかき立てられるんですね。
長谷川 
そうですね。探りながら見て貰う面白さはあると思います。次回の「八」(エイト)は挟み舞台なので、距離が近いぶん、そういう体験が出来るんじゃないかな。
___ 
では、テアタータンツに出演される方に求める事はありますか?
長谷川 
それもやっぱり関係性ですね。俳優さんもダンサーさんの使うんですけど、それぞれの良さがあるんですよ。でも、意外にも俳優の生理というものがあって、「動くための理由」がなければ動きにくいみたいなんですね。確かに、そこをクリアにしていく事で作品の強度が上がるというのは確かにあるんですね。但し俳優でもダンサーでも理由がつかない面白さというのも存在するので、それだけやる訳にはいかないんですけど、積み重ねの作業は面白いです。

タグ: 一瞬を切り取る


冨士山アネットpresents[八](エイト) JAPANTOUR2012

___ 
次回の[八](エイト)。心理療法師と作家の物語なんですね。
長谷川 
書けなくなった作家が心理療法師を訪れて、作家がだんだんと書けるようになっていく。その物語が、心理療法師の行動を先回りして書かれていく。患者にプライバシーを暴かれていき、自分と本の境目がなくなっていくという話です。これは元々10年前に書いた本なんですよ。その時は精神科医だったんですけど、今回は療法士で。療法士って処方を出来ないんですよ。つまり、ある種ではその存在は曖昧に映る事も有る。そのあたりのあやふやさが、今回は効果的になるのかなと。
___ 
そうしたモチーフに興味がある
長谷川 
僕の作っている作品と、夢というモチーフは凄く相性が良いんですね。夢も僕の作品も、言葉として出ないから脈絡がない事が平気で起こる。今回は東京・京都・福岡でワークショップと発表公演をしてきて、参加者の方に悪夢を聞いたりしています。
冨士山アネットpresents[八](エイト) JAPANTOUR2012
公演時期:2012/6/1(福岡)、2012/7/14~15(兵庫)。会場:イムズホール(福岡)、AI・HALL(兵庫)。

質問 蓮行さんから 長谷川 寧さんへ

___ 
前回インタビューさせて頂いた、劇団衛星の蓮行さんから質問です。「劇団のプロ化について。東京から地方に移っている劇団がありますが、そうした方法についてはどのように思いますか?」
長谷川 
真面目に来ましたね。まず、何を持ってプロ化と言うべきかなんですよね。
___ 
長谷川さんが考えるプロ化とは?
長谷川 
もちろんそれは金銭的な事も関わってきますけど、意識なんじゃないかなと僕は思います。じゃあアマチュアって何だという話ではありますけど・・・。例えばワークショップに来てくれた方に「10年後、何をやっていますか?」と聞く事があって、それは色々な答えが返ってくるんですよ。売れていなくても演劇やダンスを続けますという人も、何歳までに芽が出なければ辞めますという人もいる。僕はどっちが良いとも悪いとも思わないんですが、そのどちらとも言えない人が危険なんじゃないかと思うんです。
___ 
というと。
長谷川 
自分のカンパニーの公演や、客演が続く人が、辞めるとも辞めないともせずにただ続けている状態。決断する時期を逸してしまうのが良くないんじゃないかなと。好きだから生活の傍ら続けます、か、やっていても然して結果を残せないから辞めよう、とか。東京にいようがどこにいようが、どちらかを割り切った意識を持っていたら、プロ化にこだわらなくてもいいんじゃないかなと思います。

タグ: X年後のあなた


粘土

___ 
長谷川さんは、いつ演劇をやっていこうと思われたのでしょうか。
長谷川 
大学に入った時、文化祭などの時期にしか公演しないサークルに入るのが違うと思っていて。それよりは、学外で作った自分のカンパニーでやっていきたいと思ったんですね。
___ 
なるほど。
長谷川 
すると、だんだんとメンバーが固定化していったんです。それ自体は今思えば悪い事じゃないんですけど、当時は限界を感じて、人の役割を固定しないユニットになりました。
___ 
学外に出たのは、独立したかったという事ですか?
長谷川 
いえ、そもそも演劇を演ること自体が最初から独立だと思うんです。専門的な演劇の教育を受けたという訳じゃないですしね。でも、自由に施設が使えたりとか、そういう環境にコンプレックスがあったんだと思う。
___ 
今の若手に一言頂けますか?
長谷川 
自分もまだまだ全然若手だと思っているので何も言えた事はないと思うのですが(笑う)好きなだけ、ガツガツしていればいいんじゃないかなと。僕にしたって、自分で何だか分からないまま演出も振り付けも出演もさせて貰っているので。でも、そういったものを志向しないとここまでは来れなかったんだと思います。
___ 
ええ。
長谷川 
やっぱり製作って楽しいんですね。ずっと粘土をこねているようで楽しいです。何か言える事としたら、「こねたら?」と。どうこねたらいいか分からないかもしれないけど、諦めずに作り続ける事だと思います。

タグ: 後輩たちへ 続ける事が大事


拡大解釈(2)

___ 
長谷川さんは、お客さんをどこに連れて行きたいのですか?
長谷川 
一昨日、さいたまスーパーアリーナに、レディ・ガガのコンサートに行ったんですよ。
___ 
あっ。いいな。
長谷川 
や、たまにはそういうものも観てみるものだと思って。色々面白かったですよ。舞台には城が建ってました。途中ではI Love TOKYO!!って何度も叫んでて。埼玉なのに。バイクと一体化してステージを練り歩いたり、ピアノとバイクがドッキングした上に股がって弾き語りしたりして、途中で感極まって泣いたりしながら。揺るがないよね。
___ 
そうですね。
長谷川 
そこでも考えたのだけど、時間の感覚って常にあるんですよね。ダンスって、演劇より時間を歪ませる力を持ってるんじゃないかなと思うんです。時間を気にさせないというか。あの感覚が、良いなと思うんですよね。つまんない、つまるとかじゃなくて。その概念からもう少し解放したいなと思うんです。
___ 
ダンスだと、一瞬一瞬に見入るんですよね。物語が提供されていないからか。
長谷川 
その、時間が止まって見入る感覚。それを演劇に持ち込めないかなと思うんですよね。一時期、映画のSFXで時間をぐぅわ~って遅くしたり、対象を中心に視点が円周にそって動いたりという技法が流行ったでしょう。そういうことが出来ないかなと。上手くいったら、一秒のシーンを30分ぶんの感覚に見せたり出来るんです。きっと。身体を使っている強みだろうなと思う。それを演劇のフォーマットに持ち込めるのが、僕らの武器だと思います。

可能性について

___ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
長谷川 
今年は国内ツアーのあとに韓国に行きます。共同製作で振付をしにいく予定で。それがメインかな。あと、東京で次回作の試演会をやれないかなと。来年京都にも何回か来る予定なので。
___ 
すばらしい。
長谷川 
今年の始めに冨士山アネット/Manos.(マノス)という演劇企画を立上げて、クロムモリブデンの板倉チヒロ君を主演に一人芝居を作ったんですよ。楽しかったです。現代でも古典でも、その戯曲を皮切りに解釈をどんどん加えていける。それも含めて、今後も演劇とダンスの差異は何処にあるのかという事を探りたいですね。
___ 
今後も、ご自身の手法にこだわらず、色々開拓していかれる感じなのでしょうか。
長谷川 
そもそも狭くて生き辛いジャンルなので、何か決まった物だけに固執していてもしょうがないんですね。かといって捨てる事もありません。捨てるという事は、可能性を狭める事でもあるから。

タグ: 今年のわたし 今後の攻め方


SFIDA HEAD SPA Handpro

___ 
今日はですね、お話を伺えたお礼に、プレゼントがございます。
長谷川 
いいんですか?ありがとうございます。
___ 
もちろんです。
長谷川 
(開ける)おお。ヘッドスパ。
___ 
疲れている男性には頭皮ケアが良いかと思いました。
長谷川 
いえいえそんな、ストレスなんて抱えたこともありませんので。

タグ: プレゼント(化粧品系)


シーズンがはじまる

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。蓮行さんは、最近はいかがですか?
蓮行 
最近ですか。まず季節でいうと、俺様シーズンが始まって来ましたね。どういう事かと言うと、僕は寒いのが駄目で。寒い季節が終わると、長い花粉症の時期が始まる訳ですよ。それが終わると、いよいよ俺様の季節が始まると。
__ 
ええ。
蓮行 
冬が終わった段階では20~25%稼働率が上がり、俺様の季節だと当社比100%となります。もっと長い人生スパンで言うと、20歳から演劇を始めて今は40前なので、丁度折り返し地点なんですね。世の中的にも、人生的にも、業界的にも中堅ですね。中日ドラゴンズで言うと森野選手あたり。派手にタイトルを取ったりする訳じゃないけれど、生え抜きとしての重要なポジションを占める選手っているじゃないですか。そういうところかな。
__ 
俺様シーズンになると他にどのような事が出来るようになるのでしょうか。
蓮行 
あのね、高橋君は良く知っていると思うんですけど、僕はグズなんですよ。
__ 
いえいえ。
蓮行 
旅公演の宿泊先で、8時半に起きたのにも関わらず10時半の集合に間に合わないくらいの。コーヒー飲んだり朝食を食べたりしていて、それでも気がついたら10時15分に荷物がまとまっていないというね。そういう、自分のグズな性分からすると、冬というのは鬼門の季節で。さらに、冬は着るものが多い。夏の数倍ある。そういう意味で言うと、夏は自分のグズの性質を相殺する訳です。暑いのは平気なので。
__ 
とにかく、寒いのが苦手なんですね。
蓮行 
冬場なんか、歯磨きが面倒くさいという理由で2時間起きてたりします。めちゃくちゃ眠いのに。
__ 
ご自身の生活からノイズが無くなる季節という訳ですね。
蓮行 
そうそうそう。
劇団衛星
京都の劇団。代表・演出は蓮行氏。既存のホールのみならず、寺社仏閣・教会・廃工場等「劇場ではない場所」で公演を数多く実施している。

社会と折り合う

__ 
先程「中堅」というお言葉を伺ったのですが、それはどのようなポジションなのでしょうか。
蓮行 
我々のプロフェッションを野球に置き換えて考えた時、20代というのはとにかくバットを振れ、投げろという世界なんです。チームプレイを叩きこまれていく時期ですね。レギュラー10年となると、メジャーに行くだの別のチームにFAで行くだの。一方、チームに残った選手は仕事として後輩の指導をすることになる訳ですよね。指導をしなくても、背中を見せる。
__ 
ええ。
蓮行 
若いうちは練習して活躍するだけで良かったかもしれない。でも、世代の真ん中として、若手選手をある程度見ないとあかんのやろうなと。僕は生え抜きなので。
__ 
若手に何か一言頂けますか?
蓮行 
口はばったいけど、自分たちがどういうアイデンティティで進んでいくかを早めに決めた方が良いと思う。そうしないと、取り残されるという訳じゃないけど、なんにもならないという事になる。今、僕らのような中堅世代で曲がりなりにも活躍というか、活動を続けられているのは、やっぱり頑張って自分たちの正体、それからやる事を明確に見出す努力をして、そして社会にコミットしていこうとしているからだろうと思う。
__ 
活躍という事で真っ先に思い出すのはやはりヨーロッパ企画ですね。
蓮行 
うん。ちょっとそれますけど・・・ヨーロッパ企画が売れてて悔しいとか、ネタで言うけどホントは全然そんな事はなくて。例えば駅でポスターが貼ってあったら画鋲さしてやりたくなるとかね(笑う)言うんだけど、本当に全然なくて。正直に言うと。
__ 
なるほど。
蓮行 
衛星や僕個人を好きで面白いと言ってくれる人や、劇団員でもいいけど、ああいう方向で行きたかったとか売れたかったとか、そういう思いを感じてもらえる事についてはありがたいと思うんだけど、僕自身は全然そんな事はなくて。というか・・・芸能界とかテレビ界に出ていく事にはあまりピンと来ていなくてですね。
__ 
テレビ志向ではないのですね。
蓮行 
テレビなんてこの20年見てないから、最初からあんまりそれがやりたいという訳じゃなかったんですね。ヨーロッパ企画が素晴らしいと思うのは、テレビとかマスメディアの仕事をしながら、必ずしも大きい劇場だけでやることを良しとせず、百人しか入らない劇場で5回公演するような、つまり汗をかくことや骨を折ることを厭わず、肉体で表現し続けるところだと思う。電波やお金に強い指向性を持たずにね。僕の考えだと演劇は肉体労働なので。彼らも必要に迫られてやっている事かもしれないけれど。彼らの身体は我々よりも圧倒的にテレビとかメディアにマッチするところがある。
__ 
そうかもしれませんね。
蓮行 
そこで行くと、例えばJリーガーはイチローを見て「俺もあっち行けば良かったな」とあんまり思わないはずなんですよね。年俸高くて羨ましいなと思うかもしれないけどね。「でも俺ボール蹴ってる方が好きだし」。
__ 
なるほど。
蓮行 
同じプロスポーツ選手だけど、隣接するジャンルだけど、やっている事が違うんですね。そういう事を前提にした場合、ヨーロッパ企画さんが京都を拠点だと言いはって頑張っているという事は、彼らは完全には電波主義ではないという事だ。東京に行くという事は電波主義だから。
__ 
東京は、色々な可能性が近くにある地域ですからね。もちろん、何もしなくていいという訳ではないですが。
蓮行 
ヨーロッパ企画が見事なのは、その二つを上手くハイブリッドして渡って行っているのが素晴らしいのよね。平田オリザさんもそうだけど、TVに出ながら、自分たちの演劇を作り続けていく姿勢。そのようにして、社会とどこかで折り合う事をしないとなんにもならないんです。仕事をしながら、自費で個展を開くような美術系アーティストの方がよっぽど社会に認められると思う。社会性すらも否定するロック魂のところは、大いにやってくれと思うけれども。
__ 
社会と折り合うには、どのような事が必要なのでしょうか。
蓮行 
一言で言うのなら、自分達の手法にアイデンティティを明確に持って、劇団だったらそれを共有する事ですね。アマチュアでもプロでもいい、表現を目指すのなら、それを早く獲得しないと。イチローさんだって、高校卒業と同時にプロ野球選手になったんですから。教師もそう。先生を目指す多くの人は、大学入学前に、教育大を選ぶんです。もちろん、モラトリアムが長い方が芽が出る部分もある訳ですが、大学を卒業して2、3年モラトリアムをしながら演劇やって、それからプロを目指すというのは世の中から見れば遅いんですよね。結構、みなさん、ぼーっとしてるように見えてしまう。世間のスピードというものを考えたら、はよ決めた方がいいんちゃうと。
ヨーロッパ企画
98年、同志社大学演劇サークル「同志社小劇場」内において上田、諏訪、永野によりユニット結成。00年、独立。「劇団」の枠にとらわれない活動方針で、京都を拠点に全国でフットワーク軽く活動中。(公式サイトより)

タグ: 役者の汗を見せる 後輩たちへ


愉快な生活

__ 
蓮行さんは、ご自身のアイデンティティをもって自己実現されていますか?
蓮行 
うん、そういう意味では出来ていると思います。さほど有名になりたい訳でも、金持ちになりたい訳でも、かと言って創作にだけ打ち込んでいたいという訳でもなく。あまり高望みしない欲が集合して出来ている人間なので。
__ 
それでは、何をもって自己実現されていると思われますか。
蓮行 
それは、「ああ日々愉快だなあ」と思えているからですね。
__ 
愉快。
蓮行 
もっとああだったらいいのに、とかあんまり思わない。それよりは、もっと胃腸が丈夫になりたいとか視力を回復させたいとか、そういう事。誰それのようになりたいというのは、ないわけじゃないけど、薄いです。
__ 
蓮行さんの生活は愉快なんですね。
蓮行 
そうですね。気楽に生きています。もっと大変な思いをして、自分の身を捨てて活動している人を見ると申し訳ないですけどね。でも、お気楽主義の体現者として生きていくのもいいと肯定しています。