見たいから

__ 
「教育」の時も、役者が島状の観客席を歩き回りながら演技するという舞台をされていたんですよね。面白かったです。
稲森 
ありがとうございます。
__ 
そして、賛否両論でしたね。
稲森 
うーん。客席によって見え方が違うというところもあるのかな? ないのかな? でも、そういう試みに興味を持って下さるかというのは大きな要素だと思います。
__ 
面白く思えない、というのは本当に結構、受け入れられるかどうかというところがありますよね。個人的には、何でも面白がれるようになりたいと思いますが。
稲森 
もったいないとは思いますね。例えば舞台の構造を変えた作品に対して、序盤でシャッターを降ろしてしまったりとか・・・。
__ 
そうなってしまうと、何を見ても面白く思えなくなりますからね。
稲森 
舞台構造の事はさて置いて、単純に面白かったといってもらえたらなあと思っています。
__ 
なるほど。そういう志向と、今回のような、転がって演技するという試みとの折り合いはどこでついているのか気になります。弱男は、何故そういったことをするのでしょうか?
稲森 
それは、作演出の村上が見たいからだと思います。見たこと無いから。でも、方法は全く構築されていない訳ですから、役者の間でも分からないんですよ。
__ 
村上さんにも分からないんですね。
稲森 
だから、稽古場で実際にやってみるんですね。村上に実際に見せるんです。そこから全員で試行錯誤して・・・の繰り返しなんですけど。弱男にとって、面白がってもらうのが一番です。
__ 
勝手な解釈かもしれませんが、弱男の舞台は劇場に熱を入れる役割があるのかもしれないなあ。
夕暮れ社弱男ユニット 第二回劇場公演『教育』
大阪市芸術創造館マンスリーシアター。公演時期:2010年3月25日~28日。会場:大阪市立芸術創造館。

タグ: 賛否両論


不器用

__ 
さて、弱男ユニットとはどのような団体なのでしょうか。
稲森 
2005年ぐらいに村上がユニットとして始めました。2008年に「もっと出来るんじゃないか」という事になって、レギュラーを集めて劇団になりました。まあ、仲いいんじゃないですかね? あんまり呑みに行ったりはしないんですけど。
__ 
なるほど。
稲森 
同い年が多いですね。私と向井と御厨と小川は同い年です。みんな好きな事やってる感じです。
__ 
これはもう、なんとなくのレベルでいいんですが、弱男ユニットの強みとは。
稲森 
これ、自分で言うのもなんですけど・・・役者が強みです。不器用な人が多いんですけど、そこのところは演出が見て上手いこと配置しているんじゃないかと。
__ 
不器用さ。弱男らしい気がします。
稲森 
弱男らしさ。そうそう、チラシ作るにしても、カッコいいデザインとかを色々出してもらうんですけどね。でも、弱男っぽくないものもあって選びきれないんですよね。「弱男っぽさ」が何かというと、それはまだ誰も言葉に出来ていないんですが。
__ 
個人的には、終末感と失恋ソングみたいな感じかな。嫌な予感と絶望が同時にある感じなんだけど、汚くないしごちゃごちゃしていないというか。
稲森 
素材感?
__ 
あ、ちょっと近いかもしれないですね。素の感じがあるんですよ。ナチュラルな。
稲森 
あんまり工業製品ではないような感じですかね。
__ 
そうなんです、それでよく見ると可愛くもあるし、パッケージ化されていない彼らを見るのは、自分の不安定さに優しく触れるられるような。失恋した時に失恋ソングを聞くような感じかも。
稲森 
あー、聞きますね。
__ 
持って生まれた弱さを受け取る事によって、我々が抱えている不安感が形になるんじゃないかなと思うんですよね。その意味では、弱男を面白がれる人は分かれるかもなとは思います。そういう所に魅力があるのではないかと。

タグ: 汚す 器用さ・不器用さ


人間が見れる

__ 
では、稲森さんは弱男のどういう所が魅力だと思われますか?
稲森 
人間。
__ 
おお。
稲森 
人間が見れる所だと思います。人間像という意味ではなくて。私にとって弱男の舞台は、演じる場所というよりは、現実の地続きなんです。
__ 
地続き。
稲森 
私と向井さんは割と長いことやってるんですね。その二人の感じって、私達にしかたぶん出せないんですよ。舞台上にまで二人の関係性が延長している、という事ではなくて。阿吽の呼吸でもないんですけど、ノリですかね。
__ 
ノリが舞台に持ち込まれている?
稲森 
そうですね。関係性とか言っちゃうと、具体的になってしまうので。
__ 
分かる気がします。クセというか、セッションというか。
稲森 
そうですね。音楽みたいな。
__ 
触れ合いみたいな・・・つまり、関係性みたいな高レベルな層じゃなくて、もっと低レベルな、もっと深い層での接触があるんですね。
稲森 
そうですね。頭で考えたコミュニケーションじゃないんですね。
__ 
そういう関係を舞台で見て、我々自身の、リアルタイムな実生活を却って思い出すという事なのかな。ふれあいの記憶が呼び出されるような。だから、役者が不器用だというのは必要な条件なのかもしれませんね。

タグ: 舞台に立つまでの葛藤 器用さ・不器用さ 内輪ウケの・・・ 地続き 劇団力 関係性が作品に結実する


一つの劇団で

__ 
ところで、稲森さんが芝居を始めたキッカケは。
稲森 
村上が造形大にいた時に、@カフェで上演していた「ここでキスして」という作品を見たんですよ。私も関わりたいなと思って、衣装を手伝わせてもらおうとしていたら、いつの間にか舞台に立っていて。出たがりだったのもあって、それ以降ほとんど参加しています。
__ 
どんな目標がありましたか?
稲森 
一時は色んな劇団から呼ばれる人がカッコイイなと漠然と思っていたんです。いっぱいオーディションを受けてみたり・・・。でも、一つの劇団で続けるのもいいなと思ったんですよ。今回の作品で、より強く感じました。
__ 
ありがとうございます。では、今後はどんな目標がありますか?
稲森 
もうちょっと劇団員が増えたらいいなと思います。人が増えたら、色々なパターンが生まれると思うので。あと、個人的には、色々な事を並行して進められるようになりたいですね。

質問 森上 洋行さんから 稲森 明日香さんへ

Q & A
__ 
以前インタビューさせて頂きました森上さんから質問を頂いてきております。「引越しでの部屋選び。譲れない条件はありますか?」
稲森 
何でしょうなー。トイレが部屋にある。共同じゃない物件がいいです。

実は一番おかしい奴

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
稲森 
二都市公演とかやりたいですね。京都でしかやっていない訳ではないですが、色々な街を股にかけてやってみたいです。
__ 
頑張って下さい。稲森さん個人としては。
稲森 
夕暮れ社メンバーの中で、マジメそうに見られているんですよ。でも、まともそうに見えて、実は一番おかしい奴みたいになりたいですね。
__ 
羽目を外したい?
稲森 
どうでしょうね。ギャップを欲しているんだと思います。
__ 
なるほど。
稲森 
まだまだ、色々出来るんだろうと。

タグ: 今後の攻め方


白雪ふきん

__ 
今日はお話を伺えたお礼に、プレゼントがございます。
稲森 
ありがとうございます。
__ 
どうぞ。
稲森 
(開ける)ふきん?
__ 
白雪ふきんという、けっこういいものらしいです。
稲森 
私、他人に与える印象が和っぽいんですよ。あ、この柄めっちゃ可愛いですね。

タグ: プレゼント(食器系)


最後の日

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。松田さんは、最近はいかがでしょうか。
松田 
京都に別れを告げたばかりです。最後にいいパーティーをしてもらいました。
__ 
今晩のイベントですね。最後の一日として、ここにいる皆さんの中に残ればいいですね。
松田 
そうですね。
マレビトの会
2003年、舞台芸術の可能性を模索する集団として設立。代表の松田正隆の作・演出により、2004年5月に第一回公演『島式振動器官』を上演する。2007年に発表した『クリプトグラフ』では、カイロ・北京・上海を巡演するなど、その活動は海外にも広がる。非日常の世界を構想しながらも、今日におけるリアルとは何かを思考し、京都を作品製作の拠点として創作を続ける。主な作品に、『島式振動器官』『クリプトグラフ』『声紋都市ー父への手紙』『PARK CITY』『都市日記 maizuru』などがある。(公式サイトより)
マレビト式 反解釈な夜 ~やってみんばわからん~
開催時期:2012年2月25日。会場:UrBANGUILD。

質問 武田 暁さんから 松田 正隆さんへ

Q & A
__ 
松田さんの作品に過去何度も出演されている武田暁さんから質問を頂いてきております。「東京でやろうと思っている事は、既にありますか?」先ほど、トークショーでは演劇における時間を追求したいと仰っておられましたが。
松田 
ええ。演劇は常に現在の時間で行われているけれども、自分の中にある過去の時間を流したいという、一見不可能な事にも挑戦したいなというのがあります。
__ 
それを伺って、もしかしたら演劇って観客それぞれが内に持つ時間と、舞台上の架空の時間が一致する瞬間だと思ったのですが、そう考えるととてもロマンチックですね。

若い人たちと出会えて

__ 
先ほどのスピーチで混沌としたものが好きだと仰っておりました。それはご自身のどのようなところから発されている傾向なのでしょうか。
松田 
求心的な立場を取る人があまりいなくて、それぞれが自分達の表現を追いかけているのが好きなんですね。もちろん、その中に石を投じる事で様々な反応が帰ってくるんです。別に、「これが良い」みたいに主導するんじゃなくて。きっかけとして石を投げるくらいなんですよ。すると、様々な所から思わぬ波紋が返ってくるんです。
__ 
しかも、波紋が共鳴しあう事もある。俯瞰して眺めていると、時間の経過とともに色々な場所で散発的に反応があるんですよね。予測出来ない反応もある。
松田 
そうした環境の中で、若い人たちがこれからどんな表現をしていくのか。楽しみです。
__ 
では、若い世代に一言頂いても宜しいでしょうか。
松田 
若い人たちと出会えて一緒に創作が出来たのがとても大きかったですね。もちろん、昔の仲間と作っていく事も大事なんですけど。若い世代との仕事は、いや~、変えられますね。
__ 
10歳20歳も違いますしね。
松田 
自分の発想だけでは限りがあるんです。作品を作るときは一緒の目線でした。ああしろこうしろじゃなくて。そういうところが良かったなあと思います。
__ 
もちろん東京の方でも、素晴らしい若手の才能がたくさんいます。私の知る限り。これからたくさんの新しい方と、出会って新しい創作が行われる事をお祈りしております。
松田 
はい。出来るんだと思います。

マレビト・ライブ

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
松田 
攻め・・・。分からないですね。ただ、今、マレビト・ライブというのをやっています。その延長線上に何があるのか分からないんですが。
__ 
私はマレビト・ライブを、芸術センターの講堂でしか拝見していないのですが、それこそまさに時間流れの違いを感じていたんです。俳優の周りにだけ、円状に違う空気が流れているような。もしかしたら、街中ではなく屋内だからそう感じたのかもしれませんが。
松田 
劇場では常に、新しい時間が観客との間で流れるんですけど、例えば過去のような、異なる時間を流す事はなかなか難しいんですよね。
__ 
しかし、その体験は観客にとっては非常に刺激的かもしれませんね。だって、それは現在ではないのですから。東京でそれが、一つに作品になる事をお祈りしております。
松田 
そうですね。これからいろいろ、細かく試していこうと思います。
マレビト・ライブ
2012年の新作発表の為に、継続的な習作の発表と試演会を「マレビト・ライブ」と題し行う。初演時期:2011年~。会場:京都・東京各所。

タグ: 観客との関係性 今後の攻め方


マリアージュフレール GRAND SIECLE

__ 
今日はお話を伺えたお礼に、プレゼントを持って参りました。
松田 
ありがとうございます。これは。
__ 
これはですね、マリアージュフレールという紅茶専門店のものです。
松田 
あ、紅茶? 開けていい?
__ 
どうぞ。
松田 
わーわーわー。紅茶だ。
__ 
ウーロン茶、紅茶、緑茶、オレンジピールなどのブレンドです。静かな香りというリクエストをしたら、その茶葉を出されました。5分程度、蒸らすと良いらしいです。


京都ロマンポップ さかあがりハリケーンvol.5「ミミズ50匹」

__ 
今日はどうぞ、宜しくお願い申し上げます。向坂さんは、最近はいかがでしょうか?
向坂 
最近は三月の京都ロマンポップのさかあがりハリケーン公演「ミミズ50匹」の稽古をやっています。
__ 
タイトルが心を惹きますよね。
向坂 
まあ下ネタですけどね。役者50人を使っておうと思って。さかあがりハリケーンでは割と大喜利的なやり方で芝居を作る事が多いのですが、今回は大勢で同時にふざけている感じですね。
__ 
さかあがりハリケーンではこれまでコント公演が多かったと思うんですが、今回は長編ですね。しかも笑の内閣の高間総裁が主役。私は、常々総裁の演技がすごく面白いなと思っていて。俳優としての活躍をじっくり見たいなと思っていたんですよ。
向坂 
そうですね。確かに、ちょっと変わった位置取りのキャラクターですね。
京都ロマンポップ さかあがりハリケーン公演「ミミズ50匹」
公演時期:2012年3月1~3日。会場:アートコンプレックス1928。

タグ: アートコンプレックス1928 おふざけ


京都ロマンポップ 本公演「幼稚園演義」

__ 
さて、京都ロマンポップの昨年の本公演「幼稚園演義」。大変面白かったです。歌舞伎の格好とセリフを用いながら、内容自体は幼稚園児の心情をデフォルメしたものだという形式が非常にユニークでした。後半、向坂さん演じる主人公の男の子の語りだったという事が明かされて、その仕掛けの意味が分かるという流れも良かったです。セットも映像も、とても凝っていました。
向坂 
実は歌舞伎にはあまり詳しくなくて。最後まで参考資料は使わなかったんですよ。変に引きずられるよりはいいかなと思って。
__ 
なるほど。
向坂 
元々海外公演をしようと思っているんですが、その試作第一弾ですね。エセ歌舞伎を使ったちゃちい日本っぽさを他ならぬ日本人が演じる面白さが外面にあって、内容としては、日本という国の生活を、幼稚園児を通して伝えたかったんですね。日本人って意外とこういう所があるんだと、表現したかったんです。
__ 
そういえば字幕もありましたしね。海外が射程にあったんですね。
向坂 
脚本家が、今海外に出ているんです。日本の文化を発進しようという思いもあって、僕が演出したら・・・という。形になって良かったです。
__ 
もう一度観たいです。
向坂 
あれは再演したいですね。他にも、「沢先生」や「人を好きになって何が悪い」も、脚本を練ってもう一度再演したいです。
京都ロマンポップ第11回公演『幼稚園演義
公演時期:2011/8/26~30。会場:元・立誠小学校講堂。

タグ: 日本人の美意識 人が人を好きになるってすげえじゃん その題材を通して描きたい 俳優を通して何かを見る


こうじゃなきゃいけない見方なんて、ない

__ 
さて、向坂さんが作・演出をされる「さかあがりハリケーン」シリーズ。多分、これまで全てを拝見していると思います。いつも疑問に思っていたのですが、なぜいつも白塗りなのでしょうか?
向坂 
まあ、元々は一人が複数役を演じるコント公演に疑問があったんですよね。一人の役者が色々なキャラクターを演じていく時に、お上手ですねと思うんですけど、反面「同じ人がやってますよね」って思うんです。ウチは、最初から個性を消すつもりで白塗りをしています。演出をしていると、白塗りになった俳優達が、まるで自分の分身のような気がしてくるんですよね。ジョジョでいうスタンド能力のような感覚があります。
__ 
同じ衣装を着た役者が違う役をやる事に違和感があった?
向坂 
演劇って、見立ての遊びじゃないですか。それ自体は凄く素敵な方法で、例えば枯山水はただの岩から段々と滝や島のように見えてくる。でも、「岩やしな」って思う自分もいるんです。役者が「雨だわ」って言ったら雨は降ってるんですよ。そういう見立てが無ければお芝居って何も出来ないんですよ。そのようにして、劇場空間で「見せる」「見る」の手法としてデファクトスタンダードになっている見立てをボケと捉えて、彼にツッコミを入れたら非常に面白いんじゃないかと思っているんです。
__ 
素晴らしい。
向坂 
雨降ってねーじゃんとかただの岩じゃんとか。基本を疑う事も面白いと思うんですよ。僕らが白塗りをするのも、そういう面白さを提示する為ですね。白塗りって、物凄く長い時間を経た様々な思想があるんですね。白塗りするには思想が要る訳ですよ。宇宙がどうとかね。それ自体は凄いと思うんですけど、僕自身はそういう教育は受けていないし、学んでもいないので。そうじゃない白塗りの使い方があると思う。お芝居に対してのこうじゃなきゃいけない見方なんて無いと思うんです。色々な見方があって良いと思う。それと同じように、色々な人が観ていいと思うんです。

御巫山戯

向坂 
舞台が出来て、お客さんが入って見ている以上は楽しんでもらいたいですね。俳優が下手くそな芝居してても照明を浴びて光ってるというのは、何だかツッコミ待ちのボケだよねと思うんです。だから僕はツッコミを入れるんですが、最大限、そこで楽しんで帰ってもらいたいという気持ちがありますね。
__ 
なるほど。
向坂 
面白いお芝居だけじゃないのは分かっているんですけど、素直にみているだけでは楽しめない時もあるんですよ。
__ 
ひねくれた見方を持つのは大事ですよね。批評的な見方を持つというのは。
向坂 
そうですね。批評的な見方。あー、どうなんだろうな・・・? 以前、アートコンプレックスにきたチェルフィッチュを見たんですよ。
__ 
ええ。
向坂 
すごい評判の劇団としか知らなくて、彼らの演劇がどういう文脈上で成り立って評価を受けているのか、岡田利規がどういう人なのかも頭になくて、名前だけしか聞いた事のない状態で見たんです。実際見たら、凄くお洒落で洗練されていたんですよ。喋りながら踊っていて。でも演劇をちょっとかじっている僕が見て、「あーなるほどな」って思うこれを、劇場に訪れた事のない高校生が見てどう楽しむのか。
__ 
ええ。
向坂 
僕らは稽古場でチェルフィッチュごっこをしてそれなりに遊べますけど、中高生はあれを見てどうすればいいのか? でも、チェルフィッチュが白塗りで出てきて「コントです」って言ったら素直に見れますよね。
__ 
そうかもしれませんね。
向坂 
シーンと静かになっている劇場で、男女がずっとクーラーがああだこうだと言いながら踊ってるんですよ。話の内容もどうでも良くて、きっとふざけてると思うんですよね。地点も好きなんですけど、笑いたくなる瞬間とかあると思うんですけど、前衛的だと笑っちゃいけないんですかね?
__ 
いや、笑っていいと思いますよ。
向坂 
やっぱり、ふざけてますよね? 僕も三浦さんと何回かお話しさせてもらった事ありますけど、「ふざけてるんですか」って聞いた事はなくて。
__ 
どうでしょうね? やっぱり「これ面白い!」って思って繰り出していると思いますけど。つまり、ギャグとしての文脈を踏んではいないですが、結果的に笑いを立ち上がらせるものとしての意識はしているんじゃないでしょうか。
向坂 
おもろいと思ってやっているという事ですよね。もちろん、インタレスティングというよりはファニーという意味で。じゃあ、何で笑い声が起きないんだろう。皆、面白いと思ってないのかな? でも評判いいですよね。
__ 
私も自分が面白かったら遠慮せずに笑う方ですが、沸点が低いまたは何でも受け入れる体勢にあるのかもしれませんね。俳優の方にお話を伺った所、笑ってくれた方がホッとするらしいですよ。
向坂 
なるほど。三浦さんの笑いって秀逸で、一周回ってるんですよね。お笑い芸人が本当に面白い事を劇場でやったら面白くない、という感じなのかもなあ。

タグ: おふざけ 批評の果たすべき役割 単純に、楽しませたい


質問 安田 一平さんから 向坂 達矢さんへ

Q & A
__ 
前回インタビューさせて頂きました、安田一平さんからです。「演劇をやっていて、楽しかった事はなんですか?」
向坂 
俳優としてなら、舞台で集中している時間ですね。集中が研ぎ澄まされていった時に、空間を自分が把握して、しかもそこに自分の意思が反映されていると感じるんですね。自分がこうやったらお客さんが笑うな、というのが先に分かる瞬間。めったに無いんですけど、その時が気持ちいいですね。むしろ、それが無かったら芝居をやっていないと思います。
__ 
なるほど。色んなものがハッキリしている感覚?
向坂 
モヤモヤしている事もあるんですけどね。舞台をやっている人ならお分かりになるかもしれませんけど、舞台上に針が落ちても分かるぐらい研ぎ澄まされた感覚があるんです。
__ 
分かりました。ありがとうございます。「2.演劇をしていなかったら何をしていましたか?」
向坂 
何でしょう。演劇をしていなかったら廃人ですからね。
__ 
「3.好きな映画は何ですか?」
向坂 
X-MENシリーズと、北野映画が好きです。

「キス×キス×キス~シークレットフレンズ1928~」

__ 
さて、作品についてもう少し。以前の作品ですが「キス×キス×キス~シークレットフレンズ1928~」。大変面白かったです。
向坂 
ありがとうございます。フレンズって、アートコンプレックスプロデューサーの和田さんの事なんですよ。アトコンで公演しなくてごめんなさいという意味がありました。
__ 
あ、そうなんですね。主人公の女の子が大変可愛い作品でした。東京のマームとジプシーっぽかったですね。
向坂 
それっぽかったですか。ありがたいですね。KYOTO EXPERIMENTのプログラムでのマームとジプシーがずば抜けて面白かったんです。十代が感じる死の姿を繊細に描いて、終わりに向かう姿をビジュアル化していくセンスが凄く良くて。でも主人公の女の子の喋り方が凄いムカツくんですよね。ムカツく可愛さみたいな。これはもう、そのままやってみるしか無いと思いました。
__ 
なるほど。
向坂 
皆、もっとマームとジプシー見た方がいいと思います。
京都ロマンポップ第11回公演『幼稚園演義
公演時期:2011年4月29日~30日(京都)、2011年9月18日~19日(東京)。会場:アトリエ劇研(京都)、シアターKASSAI(東京)。

タグ: 繊細な俳優


不幸話

__ 
向坂さんはこれまで、どんな劇世界を作りたいと思っていらっしゃいましたか?
向坂 
本公演に関しては、作家のよりふじゆきがリアルな世界を描き出していくんですが、僕の方のはお客さんとの共犯関係を結んだ上で、嘘まるだしの舞台の上でちっちゃな嘘をボケとして切り取って提示します。具体的な話の方がいいですかね?
__ 
お願い致します。
向坂 
次のさかあがりハリケーンは深夜食堂みたいにしようと思います。何でも出来るからなあ。どうしようかな。戦国時代がやりたいですね。僕もよりふじも日本史を選択していたので、
__ 
なるほど。深夜食堂。
向坂 
不幸話書くの得意なんですよ。

タグ: 客席と舞台の共犯関係 嘘のない


湿った街

__ 
では今後、どんな感じで攻めていかれますか?
向坂 
そうですね。ちょっと年末くらいに色々考えていたんですけど、ちょっと色々、他の可能性を探る為に今出来ている話を白紙に戻したんですよ。そういう話を池浦君にしたら「バカヤロー」って言われて。「頑張ります」って答えました。
__ 
なるほど。
向坂 
僕はこれからも京都を拠点にやっていくつもりなんですが、やっぱりもっと評価されたいですね。そういう事を考えていくと、やっぱり京都は湿っているように思います。「東京に行ったら売れるし」とかいうのはネタやと思っていたんですけど、やっぱり行ったら何かあるんですよ。基本冷たいんですけど、火が点いたらすぐ燃え広がるんです。では僕は10年も、湿った京都で何をしていたんだろうと。このままではカビてしまうと。
__ 
なるほど。
向坂 
ただまあ、東京に行って売れたら何とかなるというのは僕の好みではないんですよ。だから、湿った京都の環境に対してアプローチ出来たらいいなあと思っていますね。
__ 
京都の湿った環境。確かに、観客席にアグレッシブさはないかも知れませんね。
向坂 
京都で演劇を観る客層って、ほぼ大学生か大学出身者なんですよ。そこは学生の街だからなんですけど、きっと他の地域よりコアなんですよ。悪く言えば学生ノリで広い内輪ノリなんです。もちろん東京にもその傾向はあるんですけど。
__ 
なるほど。
向坂 
東京の人はもうちょっと、素直な方も多いんですよ。ストライクゾーンが広い。観劇を趣味と言い切れるようなバイタリティもあるんでしょうね。何にせよ、京都の客層に関しては非常に特殊なんじゃないかと思いますね。
__ 
もっと客層に広がりがあれば、というよりは、色んな種の人に対してアプローチする企画公演があるべきかも知れませんね。
向坂 
そうですね。コンビニの前で屯している高校生が、演劇観に行ってほしいですね。本当は。

タグ: 内輪ウケの・・・ 京都の学生演劇 創造環境としての京都 今後の攻め方 時間停止都市としての京都