目指してもらえるような

__ 
では今後、どんな感じで攻めていかれますか?
坂口 
僕はフリーなので、当たり前ですけど呼ばれないと仕事がないんです。マネージメントからプロデュース、全て自分で考えないといけないんですけど、やっぱり自分にはそこが向いてないというか、甘いなと痛感してます。だから、本気になってそこを頑張るか、頑張りきれないなら、代わりに自分を売ってくれる人を見つけないといけないと思ってます。あと、今まで自分には出来ないと諦めていた、作品を0から生み出す作業にも挑戦してみたいし、今年は海外で長期に渡って作品を創る機会がありそうなんで、新しいフィールドで自分がどんな評価を得れるのか試してみたいですね!
__ 
私としては、坂口さんが元気で芝居をやっていてくれたら嬉しいです。
坂口 
少なくとも、もう少し羽振りよくなりたいよね。芝居でもっと儲けたい。今は芝居を続けてても次に登って行く階段が見えないもんね。下の世代の子達の為にも、僕らの世代が頑張らないと!!新しい道を開拓したいと思っています。

タグ: どんな手段でもいいから続ける 今後の攻め方


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2012/春
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坂口

僕らがやってきた表現

__ 
海外で舞台に立つ坂口さんは容易に思い浮かぶんですよ。凄く楽しそうな坂口さんと、受けてる観客が。そうだ、オリジナルテンポも何回も海外行ってるし。
坂口 
僕にとって演劇って言葉、日本語の占める割合がすごく大きいんです。台本の読み取り、セリフ、どれも日本語の能力が試されています。オリジナルテンポはその言葉を使わない。自分が頼りきっている日本語を使わないで、どんな表現が出来るのか知りたかったんです。
__ 
つまり、海外でも通じやすい?
坂口 
言葉の壁はないですね。でも結局、言葉を使ってなくても、日本人が持っている表現の引き出しでしか自分たちが演技していないことに気付かされました。日本を意識しようとしまいと、もう僕らの創る作品は日本での生活とは切り離せないものになっているんだと。後は、それを海外の人たちがどう受け取るかだけなんです。想像以上に好意的に受け取ってもらえてビックリしました。楽しむのが上手なんですね、向こうの人は。
__ 
僕らのコミュニケーションがこういう事になっていて、成立していると。考えてみればオリジナルテンポ、凄い試みですよね。
坂口 
ほんと良い機会を与えてもらったと思います!
オリジナルテンポ
2002 年に演出家ウォーリー木下を中心として設立されたThe original tempo(TOT)は、海外での作品発表を目標とし、台詞を一切使わないパフォーマンスグループとして活動しています。TOTでは、国内で評判のよい作品を海外で発表するのではなく、はじめから海外で発表することを目的として、ポータビリティや言葉の問題などを意識し、作品に反映させていくことを活動の主題としています。言葉に頼らないパフォーマンスを通し、私たちが生きる現代日本の文化や日常生活をより身近でより直接的な感覚として感じ、楽しんでもらうことは、TOTの活動における最終的なミッションと考えています。その趣旨に賛同した俳優や映像作家、舞台技術者、制作者などが集まり、定期的に実験・稽古を繰り返し、作品を制作ししていくTOTは、柔軟性な組織性を活かしたファクトリーとして成立しています。(公式サイトより)

タグ: 日本人の美意識


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坂口

スーツリフレッシャー

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントがございます。
坂口 
プレゼント? はー! ありがとうございます。
__ 
毎回、お礼として、お話を伺えた方にさせて頂いているんですよ。どうぞ、宜しければ。
坂口 
これは・・・?
__ 
スーツリフレッシャーというものです。シャツにスプレーしてスーツを着ると、ほのかに清潔な香りが。
坂口 
これ、めっちゃ嬉しいなあ。外でタバコのにおいがつくの本当に嫌で。僕用に選んでくれたの?
__ 
はい。スーツで舞台に出られているのを見た事があって。もし共演しているひとが、シャツからいい香りがしてきたら驚くんじゃないかと思いまして。
坂口 
ありがとう~!早速、帰ったらつけますね!

タグ: プレゼント(化粧品系)


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坂口

三都市ツアー2012『短編集:仇野の露(あだしののつゆ)』

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。さて、2012年には「仇野の露」の全国ツアーですね。
阪本 
はい、2月3月と、三重、舞鶴、岡山に行きます。
__ 
頑張って下さい。
阪本 
はい。幅広い年代のお客さんに来て頂きたいですね。
__ 
初演を京都で拝見したんですが、烏丸の作品としては、取っつきやすいという印象があります。
阪本 
そうですね。どんな環境に置かれている人でも、共感したり心が動くようなものを作りたいですね。圧倒的な何か、ではなく。
__ 
というと。
阪本 
もちろん前衛性の度合いが高い芸術作品には大変価値があると思うんですよ。でも、私たちがやるのはそこではないなと思っていて。普段の生活に密着したものの方が、お客さんが受け止めやすいんじゃないかなって。それは、笑いを取る作品のことでもなく、単純な作品を作るという事でもなく。生活で抱えているもやっとした何かを、表現したいと思いますね。
__ 
なるほど。
阪本 
見て、「はー面白かった」というような感想は出ないかもしれないです。
__ 
そのぶん、受け止めやすい感覚があるんですね。
烏丸ストロークロック
1999年、当時、近畿大学演劇・芸能専攻に在学中だった柳沼昭徳(劇作・演出)を中心とするメンバーによって設立。以降、京都を中心に、大阪・東京で公演活動を行う。叙情的なセリフと繊細な演出で、現代人とその社会が抱える暗部をモチーフに舞台化する。(公式サイトより)
舞鶴・津・岡山 三都市ツアー2012 『短編集:仇野の露(あだしののつゆ)』
舞鶴公演・公演時期:2012年2月19日。会場:まいづる智恵蔵。津公演情報・公演時期:2012年3月9日~11日。会場:津あけぼの座スクエア。岡山公演・公演時期:2012年3月17日~18日。会場:上之町會舘。

タグ: 繊細な俳優 津あけぼの座


劇場で上演している時しか出せない空気

__ 
烏丸ストロークロック。私はこの5年くらい拝見しています。2010年の作品、「八月、鳩は還るか」。大変面白かったです。最後の、部屋の間取りを地面に書いてからのシーン。
阪本 
稽古場でいろいろ試してみてメンバー全員で創っていきました。
__ 
痛々しいシーンでしたね。ごっこ遊び療法というか。あのシーンで、照明が回りながら落ちてきて、空間を閉じながら昇っていく演出が見事でした。あそこで一気に世界観が広がるようでした。さて、烏丸の芝居は、何というか空気感があるんですよね。客席を世界の中に取り込んでしまうような気がするんです。
阪本 
最近ようやく、烏丸のお芝居を客観的に見れるようになってきたんです。確かに柳沼さんが作った作品のイメージもあるんですけど。その、劇場で上演している時しか出せない空気ってあるじゃないですか。一緒にお客さんがいてしか体験出来ない空気が。
__ 
ええ。
阪本 
それには音響も照明も俳優も、もちろんお客さんも必要なんだなと、最近は思っています。
__ 
お客さんがいてこそ、というのはありますよね。それぞれの本番における観劇体験の仕組みを言葉で説明するのは、本当に沢山の説明をしないといけないと思っています。お客さんに与えたイメージで、劇世界が膨らんでいくのが基本的な構成だと思いますが。
阪本 
そこに、やる価値があるのかなと思うんです。そこが、他の芸術とは違うところはないかもしれないって。
__ 
そうですね。しかも、大事な部分が崩れるとすぐ破綻するし。
阪本 
怖いですよね。編集が出来ないですからね。ダンスにしても同じですね。だから余計に魅力を感じるんだと思います。
「八月、鳩は還るか」
烏丸ストロークロックが2010年までの5年を掛けて創作したシリーズ「漂泊の家」。この作品はその総集編。公演時期:2010年3月5日~14日。会場:アトリエ劇研。

タグ: 空気感を大切にした 自分の演技を客観的に見る


質問 小林 洋平さんから 阪本 麻紀さんへ

Q & A
__ 
前回インタビューさせて頂いた、地点の小林洋平さんから質問です。「稽古していて、しんどい事、嫌なことは何ですか?」
阪本 
今、劇団に俳優は私しかいないので、作品に参加する俳優は劇団員以外の方がずっと多いんですよ。
__ 
ええ。
阪本 
普段仕事をしている人もいて、だから作品に参加する意識がどうしても同じ方を向かない事が多いんですよね。いかに、同じ意識というか、価値観を共有出来るかで悩んだりする事があります。
__ 
同じ現場で、違う立場の人がいる。大変ですよね。

「上手だな」って感じさせへん人

阪本 
でも、それは過程ですので。苦痛という訳ではないですね。柳沼さんの世界を体現するに当たって、どういう感覚を持てばいいのかを私は何となく分かるんですけど。その、さっき言った空気をどういう風につかめばいいのか。やっていくことでしか分からないし作れないんですよね。
__ 
書いた人じゃないから、分からない事もありますしね。では、空気をつかむ力ってどうすれば分かるようになるのでしょうか。
阪本 
私が凄いなと思う俳優は、「上手だな」って感じさせへん人なんです。あ、そこにいるよね、というぐらいの。いらんものをとっぱらって、すっと没頭出来る人をみると、凄いってなります。
__ 
ええ。
阪本 
そういう存在になりたいし、そういう作品に出会えると嬉しいです。だから、役者さんに技術や能力があっても、私はそこはあまり重視していなくて。もちろん上手だなとは思いますけど。
__ 
すっと、そこに自然に立っているんですね。
阪本 
そうです。その作品の世界観をどこまでリアリティを持って立てるかというのが俳優の力なんじゃないかなと思います。
__ 
宛書きというのが、一つのアプローチかもしれませんね。だから、全然別の文脈や文法の役柄を振るときには勇気がいるのかもしれません。
阪本 
昔、シェイクスピアの作品に出させてもらった時にデズデモーナ役を演じる機会がありました。まずはオードリーヘプバーンの映画を見たり、高貴な方の振る舞いを研究したりしました。
__ 
なるほど。
阪本 
まず身体が全然違って。でも、自分と共感するところを探して、そこを軸に作っていきました。その役と、自分が生きてきた中で得てきたものがリンクして生まれたものがあれば、その人でしか出来ない演技なんじゃないかなと思うんです。そういうのを見たいしやりたいと思います。それが稽古なんですね。
__ 
その俳優でしか出来ないこと。
阪本 
私は他の人になるという事が出来ないと思うんですよ。どうしてもその人が出るんだと思います。

タグ: シェイクスピア 世界観の作り込み


深夜

__ 
お芝居を始めた理由は。
阪本 
高校の演劇部です。ずっとピアノをやっていて、ピアニストを目指していました。
__ 
あ、そうなんですね。
阪本 
中学校の時、生徒会でサザエさんの演劇をやったんですね。顔を黄色に塗って太陽役をやったら大受けで。それから、ピアノのレッスンが息詰まった時にたまたま演劇部の公演を見て、「これや」って思ってそのまま入部しました。
__ 
烏丸に出会ったのは。
阪本 
私が在学中に、柳沼が既に旗揚げしていて。2回目の公演の「クヨウミチ」に手伝いに入ったんですよ。その上演を見て、感動しました。
__ 
面白かった。
阪本 
今まで体験した事のない舞台の空気を感じて、やりたいって思ったんです。
__ 
それから入団したんですか?
阪本 
いえ、実は入団前に自分でやりたい作品があって。自分でユニットを組んで2回ほど公演をしてから入っていたんです。
__ 
どんな。
阪本 
深夜(フカヨル)という。
__ 
あ、もしかしたら名前を聞いた事があるかも。どのような作品だったのでしょうか。
阪本 
実は近しい人が精神的にダウンして、どうしていいか分からなかったんです。「自分自身が外に出たいと思ってからでいいよ」と伝えたくて。表現したくて。
__ 
なるほど。
阪本 
2回目は一人芝居で。でも、演出をするというのはやってもらう人に感覚を分かってもらう必要があるんですよね。それが分かって、まずは自分が演じる事が出来てからだと思うようになりました。

タグ: 黄色


ロウソク型ミニライト

__ 
今日はですね。お話を伺えたお礼にプレゼントがあります。どうぞ。
阪本 
ありがとうございます。これは・・・?
__ 
中にREDライトが入っています。息を吹きかけると明かりが消えるんですね。自然な感じで。
阪本 
かわいい。これ、ベッドサイドに置いてみます。

タグ: プレゼント(インテリア系)


「トカトントンと」

__ 
今日はお忙しい中ありがとうございます。どうぞ、よろしくお願いします。最近は地点の次回公演の稽古ですよね。
小林 
神奈川芸術劇場で来年2月に新作を上演するんですが、その稽古を現地で行ってきました。すごく良い劇場なんですよ。
__ 
そうなんですね。
小林 
開館して1年なので、再新鋭の設備が整っているんです。そのKAAT(神奈川芸術劇場)の日本文学シリーズで、去年は芥川をやったんです。今年は太宰治の作品をやります。
__ 
見たいですね。2月ですよね。
小林 
はい、2月9日から14日までです。劇場を見がてら遊びにきてください。
地点
多様なテクストを用いて、言葉や身体、物の質感、光・音などさまざまな要素が重層的に関係する演劇独自の表現を生み出すために活動している。劇作家が演出を兼ねることが多い日本の現代演劇において、演出家が演出業に専念するスタイルが独特。(公式サイトより)
トカトントンと
公演時期:2012/2/9~14。会場:KAAT(神奈川芸術劇場)。

槍のようなもの

__ 
その「トカトントンと」。どんなテイストの作品になるのでしょうか。
小林 
「トカトントン」という短編小説を、コラージュという形ではなくそのままやるんです。別の作品も挟む予定ですが、地点としては少し珍しいかたちです。
__ 
地点の作品というと、戯曲を破壊して再構築するという事が多かったと思うのですが。
小林 
まだ稽古が始まったばかりなのでどうなるのかわからないんですが、今は頭から小説のシーンをやっているという状態ですね。その、小説をそのままやるというのがやっぱり難しいんです。戯曲は台詞が書いてあって、それはカットしたりつなぎなおしたりが出来るんですけど・・・
__ 
ええ。
小林 
小説は情景描写の文章があって、その状況をどうやるかなんですよ。たとえば喫茶店に入って注文した・カップにコーヒーが注がれた・目の前のそれを飲む、って。僕らはその状況を実際にやるのではなく台詞で表現する事が多いので。その情景をどう発語するかが課題です。
__ 
小説文の言語空間って、個人の読書体験の中でしか得られないものだと思います。そうした主観的だからこその広大な世界体験を、舞台化する事にどのような価値があるとするかですよね。
小林 
やっぱり、小説の世界観の出し方って情景描写をどうするかが大事なんですよね。それに、小説特有の回りくどい言い方というのがあるんです。たとえば「カップに沈む木漏れ日がまるでなんとかかんとかのようだ」って結局光だろ、みたいな。言いたいことは1行なのに比喩と隠喩だけもう1ページぐらいあるんです。そういうエビ天の衣みたいなのが世界観だと思うんですよ。結局中身はエビなんですけど。
__ 
難しいですよね。読み手の解釈が刺激を呼ぶ場合もあるし。
小林 
そうなんですよ。文学作品を楽しむなら、一人でイメージを作ればいい。舞台化するのなら、実験を重ねて、槍のようなもので文学を刺す手法しかないんですよね。
__ 
というと。
小林 
今試している手法は、中身が結局エビであるという事をバラしちゃうんです。「この人こんなまわりくどい事言ってるけど結局エビですよ」って。もちろん、実験中なのでそれがメインではないんですけど。

タグ: 世界観の作り込み


「かもめ」

__ 
地点の前回の作品の「かもめ」、お疲れさまでした。とても楽しかったです。トレープレフ役でしたね。私は和室での公演は拝見出来なかったのですが・・・。
小林 
実は、2月に再演する予定があります。まだ詳細は決まっていないので、ホームページをチェックしてもらえれば。
__ 
あ、そうなんですね。是非予定を空けて見に参ります。
小林 
席が少ないので、お早めに。
__ 
そうそう、三浦さんがアフタートークで、和室公演とアートコンプレックス公演は比較すると面白いと、自信作だと仰っていました。
小林 
和室は、ほぼトレープレフしか喋らないんですよ。
__ 
あ、そうなんですね。アートコンプレックスの公演では全員喋ってましたが。
小林 
トレープレフは床の間にいて、ずっとぺちゃくちゃ喋ってるんです。時たま他の登場人物が覗いてくるんです。彼の寝室でもあり、お墓でもあるかもしれないという。
__ 
お話のスジ上、これはどこのシーンだろうという仮定がいくつか成り立つんですね。
小林 
もしかしたら、トレープレフの自作劇が失敗した後の事かもしれないし。
__ 
あ、あの超大ゴケした実験劇。すごい微妙な感じになりましたね。トリゴーリンがずっと苦笑いしてましたね。
小林 
デカダンな、頭でっかちな作品って言ってましたね。若者がメチャクチャやって、「それ見たことか」ぐらいになったらいいなと。
__ 
事前にテキストを読んだお客さんはなおさらでしょうね。
小林 
読んでいなくてももちろんいいんですけどね。事前に読んでいると、地点のあの喋り方に心構えが出来るかも(笑う)。
__ 
原作を読んでおくことで、現場での解釈に幅が生まれるんでしょうね。
小林 
それに、アトコンでは三方客席で結構緊張感があったんです。やっている立場から言うと、想像していたよりもお客さんの目線の圧力がありました。
__ 
しかも、近いですからね。
小林 
その上、お客さんに喋りかける演出があったんです。難しい単語が出てくるとちょっと面白く注釈みたいに解説したり。その時に、お客さんがニコリともせず神妙な顔をしてると、一瞬心が折れ掛けそうになりました(笑う)。
__ 
地点では囲み舞台は珍しいですよね。だから、冒頭に甘いお茶が出るのは面白いなと。変な言い方かもしれませんが、そう来たかと思いました。
小林 
あれは好評でしたね。入ってきたらみんなお茶をサーブしているって。
地点『かもめ』
公演時期:2011/9/28~10/16。会場:京都芸術センター 和室「明倫」、アートコンプレックス1928。

タグ: アートコンプレックス1928


「かもめ」の二つのシーンについて

__ 
その実験公演のオチで、ニーナとトレープレフがアトコンの壁に手を付いているシーンが面白かったです。
小林 
あれはもう、必死で左足をあげてました。二人でハアハア言いながら足を上げていました。
__ 
しかも左右対称じゃないですしね。色々と、見所のある公演でした。タップダンスも良かったです。
小林 
あれは実は、最初に地点で「かもめ」を上演したときにやっていたんですよ。
__ 
そうなんですね。
小林 
昔、三浦演出の「かもめ」でやった事があるんです。それが残っていたんでしょうね。トレープレフの若気の至りが爆発するような。
__ 
そうですね。
小林 
タップを踏みながらニーナの事が気になってチラチラ見るんですけど構ってくれなくて、気が付いたらお母さんが泣いているみたいな。
__ 
地団駄を踏むという感じでしたね。
小林 
そうですね。台詞のかわりに肉体を酷使するような。タップの音も結構暴力的に鳴りますし。

タグ: 凶暴な役者 暴力


キャラは強くない

__ 
以前拝見した地点の作品で、小林さんがお客さんに向けて無理矢理スピーチして扇動するという演出があって。私がすごくそれが好きなんですよ。話セバ解ルと、式典。
小林 
ああ、確かにね。ニヤニヤしながら。式典はMONOの土田さんが面白いテキストを書いて下さったので、お客さんに直接しゃべるのがとても楽だった印象があります。
__ 
あれも良かったですね。なんか、ちょっと溜めてちょっと溜めてちょっと溜めて出すみたいな節が。
小林 
その時は、何かを隠している気持ちなんですかね。
__ 
なるほど。そのあたりが、何か濃いキャラクター性があると思っています。
小林 
キャラが濃い・・・。地点の中で、僕はキャラは強くない方だと思っていて。
__ 
ええっ。
小林 
色々動いているんですけど、印象に残るかどうか。
__ 
いや、お客さんの4割は小林さんの事を思い出しながら帰っていると思いますよ。何というか、地点の世界に足を踏み入れる上で、仲立ちとなる存在じゃないかと。
小林 
ああ、そういう役回りが回ってくる事は多いですね。地点もここまで回数を重ねてくると、役所が決まってくるんですよ。いいのか悪いのか。

タグ: 印象に残るシーンを作りたい MONO


質問 名越 未央さんから 小林 洋平さんへ

Q & A
__ 
前回インタビューさせていただいた、名越さんから質問を頂いてきております。「自分の魅力を伸ばすには、どうすれば良いでしょうか?」
小林 
思うに、自分の魅力は伸ばそうとしてはいけないんじゃないかと思います。自分の魅力に気づいて、それを伸ばそうとすると、いつか壁にぶち当たるでしょう。
__ 
ええ。
小林 
その時点で、半分くらい魅力が減ってるんですよ。タップダンスみたいな技術は、どんどん磨けばいいと思うんですけど。
__ 
どこかのタイミングでその魅力を相対化してしまうのかもしれませんね。
小林 
自覚すると、ちょっと気持ち悪い事になるので・・・あまり意識しないぐらいがいいと思います。

変な大人がいるんだな

__ 
お芝居を始めた理由は。
小林 
中学の時に学園祭に出たり、高校の頃は美術部と演劇部をやっていました。でも初めて演劇を意識したのは高校卒業後に入学した舞台芸術学院です。その時の先生が、金杉忠男さんというアングラ演劇の雄と呼ばれた人で。
__ 
なるほど。
小林 
なんだか、変な大人がいるんだなって思ったんですね。演劇の世界でも変な人はたくさんいますけど、金杉さんは演劇的な言葉や空間を作るのに誠実に向き合っておられて。こんな人もいるんだって思ったんです。その時、本気でやってみたいと思いました。
__ 
触発を受けたという事ですね。そのショックは、まだ小林さんの中にもありますか?
小林 
ありますね。原体験だったんでしょうね、ずっと頭の中にあります。芝居の現場にいるときに、よぎるんですよ。例えば金杉さんと稽古していて、ロッカーを殴るシーンがあって、演出をつけるために金杉さんが自分でロッカーを殴ったんですけど、けっこう思いっきり殴ってて。ちょっとひくぐらい。
__ 
ええっ。
小林 
「ロッカーの殴り方はそうじゃないだろ。こうだろ!」って。時々思い出します。
__ 
いまそれを思い描いたんですけど、すごく瑞々しいですね。
小林 
金杉さんはかなりハードな事をやっていて、例えば「突撃板」という伝説的な試みがあるんです。役者が台詞を叫びながら上手と下手にある壁に思いっきりぶつかるという。
__ 
素晴らしい。
小林 
それで骨折した俳優がいたそうで、骨の折れる音が劇場に響いたそうなんですよね。だからロッカーを殴るぐらいは全然。

タグ: 瑞々しい感覚 アングラ演劇という価値


スリリング

__ 
今まで、どんな俳優を目指してこられましたか? そして、今後はどう攻めていかれますか?
小林 
特定の人を目指すという事ではないんですけど、金杉さんの劇団の俳優さんとか。金杉さんと同年代の方がメインなんですけど、稽古が煮詰まったりすると、「次のシーン、原っぱでやるよ」って言って、子供時代に帰るんですよね。50~60代の大人が、子供みたいにきゃあきゃあ言いながら台詞を使って遊ぶんです。大人が、すぐに子供のようにはしゃげるという事がバカみたいだけど、いいなと思うんですよね。まあ、そうやってはしゃげるような演劇空間を作れる金杉さんがすごいともいえるんですけど。
__ 
ええ。
小林 
演劇以外にはないんですよね、「次のシーン、子供でやってみて」なんて。そういうふうに、演劇の力を信じられる役者さんが素敵だなと思います。
__ 
演じる事が許される場所は、人がそのままでも許される場所でもあるのかもしれませんね。
小林 
地点の稽古場でいうと、あんまり考えて練ったプランを持っていってもその場の雰囲気によって思ったとおりのプランにいかないことがあるので、その場で柔軟に自分が考えてきたプランとその場の雰囲気をミックスして一番いい方向を見つける。もちろん、その場その場だけでは脊髄反射だけになって虫みたいになっちゃうんですけど(笑う)。でも、地点の稽古場は新しいアイデアが沢山生まれる場所なんです。スリリングではありますね。
__ 
ジャズみたいですね。

タグ: 今後の攻め方


新しい風

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
小林 
来年、KAATでやる太宰の作品と、ロンドンのグローブ座でシェイクスピアの作品をやります。しっかりしないとなと思っています。攻めでいうと、キャラが決まっていくという事にあらがっていきたいと思います。
__ 
なるほど。
小林 
決まった役所に安住すると沈没してしまうんです。常に新しい風を吹かせないと、稽古場が持たないんですよ。
__ 
キャラ変ですね。
小林 
稽古で、みんな色々やるんですけどあまり採用されないんです。今までの自分の雰囲気ではないものが、最後に残ってくれれば嬉しいですね。

タグ: 今後の攻め方


ブックカバーとドナルド・J・ソボル「2分間ミステリ」

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントがあります。どうぞ。
小林 
あ、ありがとうございます。(開ける)手帳? 「2分間ミステリ」。
__ 
手軽に読める短編集です。
小林 
このブックカバーも素敵ですね。ありがとうございます。

タグ: プレゼント(書籍系) プレゼント(ツール系)


ハシ×ワタシ

__ 
今日はよろしくお願いします。
名越 
お願いします。
__ 
名越さんは最近はいかがでしょうか。
名越 
11月にtabula=rasaと、12月にBRDGのハシ×ワタシと公演が続いていたのですが、それが終わってほっと一息ついてるところですね。
__ 
私はハシ×ワタシしか見れなかったんですが、面白かったです。演劇なのかダンスなのか、どちらでも構わない感じでしたね。橋というモチーフに対して、純粋にアプローチしていく作品でした。
名越 
最初はダンスと演劇の中間くらいという印象があったんです。みんなで作って構成してという感じでしたね。例えば、稽古が始まる前に実際に橋に行って見えたものをレポートして録音するというのがあったんですよね。初めての体験でした。
__ 
そうそう。その録音は舞台上で役者が聞きながら再体験するという表現になっていましたね。面白かったです。
名越 
聞きながらその時見た風景が見えているように、という指示に苦労していました。「目の前にある」ってことに出来なくて、どっしりしなかったですね。
__ 
名越さんはそうした、物語ではない公演に関わるのは珍しいのでは。
名越 
そうですね、特に脚本がまったくないというのが初めてで。例えば自分の故郷の橋を紹介する時に、どうすれば魅力的に聞こえるか、ひとつひとつの言葉選びから考えるのが大変でしたね。役でもないし感情もあまりないし、物語もないから、あくまでも「名越未央」というわたし自身で勝負しなくちゃいけないと強く感じる作品で、難しかったです。が、勉強になりました。
__ 
名越さんは最後に、橋の崩落事件の朗読がありましたね。
名越 
あれは実際にあった話なんですよ。あの場面では、ちょっと笑っちゃうような変なことをいっぱい言ってましたけど、全部本当に本に書いてあることを読んでいただけなんです。
__ 
終末的なイメージがありましたね。
tabula=rasa
京都を拠点に活動する演劇のカンパニー。2009年に高田ひとしを主宰に設立。活動は、いくつかの連続的なシリーズを並行的に上演するスタイルを取る。(公式サイトより)
BRDG企画公演「ハシ×ワタシ」
公演時期:2011/12/2~4。会場:ロクソドンタブラック。

vol.197 名越 未央

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名越