それをひっくるめて強い

__ 
最後に拝見した突劇金魚の本公演、「巨大シアワセ獣のホネ」。大変面白かったです。上田さんは他人とのコミュニケーションを上手く取れない人物でしたね。
上田 
僕も、出演していながら興味深かったです。実は、作品の中での立ち位置に悩んでいました。引きこもりなんだけど、まるでその世界の支配者の様でいて、誰かの協力を求めるみたいな、結構歪んだ事をしなくてはいけないので・・・。
__ 
そうそう、主人公たちを集めてホネを掘らせていましたね。最終的に、サリngROCKさんが演じる主人公が部屋から連れ出して。
上田 
そうですね。部屋から出られましたね。
__ 
蔵本さんにインタビューした時にも申し上げたんですが、最後に電車に乗っているシーン。赤星さんが演じたあの彼が声援を送っていたじゃないですか。それまでのサリngさんの作品では一人で孤独に旅立つ事が多かったのに。
上田 
実は、以前までの作品とは違ってスタート地点から既に人々が動いているんですよね。よく言われるように、世界観が展開した、という事だと思います。出演しながら、近くで見られて良かったな、という感覚があります。
__ 
サリngROCKさんの作品について、どのように思われますか?
上田 
女って怖いな、ドロドロしているなと。そうした感情を世界に表現出来る作家だと思っています。それが最近、整理が付くようになってきているので、今後どうなっていくかが楽しみですね。
__ 
突劇金魚の公演、お客さんにどういう風に受け取ってもらいたいですか?
上田 
女は怖いけど、それをひっくるめて強いと。
__ 
強さ。
上田 
女性の、男性が求めるみたいな上辺だけではない、ドロドロしたものを含めての女性の魅力だと思っています。女性には共感を呼ぶと思うし、もしかしたら女性も男性も、人間の魅力の源はそこなのかもしれませんね。
突劇金魚「巨大シアワセ獣のホネ」
公演時期:2011/2/2~7。会場:精華小劇場。

タグ: ひきこもり


質問 紙本 明子さんから 上田 展壽さんへ

Q & A
__ 
前回インタビューさせて頂きました、劇団衛星・ユニット美人の紙本さんから質問です。「1.ご自身の自慢ポイントはどこですか?」
上田 
特に意識はしていないんですが、色んな人に「変ですね」と言われる事ですね。別に狙っている訳でもなくて、当初はコンプレックスだったんですけど。でも、周りにはそんな事を言われる人もあまりいないので、生かしていこうと思います。
__ 
ありがとうございます。「2.ご両親とは仲がいいですか?」
上田 
母は尊敬しています。母は美術教師をやっていて、影響を受けています。
__ 
ああ、上田さんのブログ、たまに書かれた絵が掲載されていますよね。あの絵、いいですよね。
上田 
ありがとうございます。母が、結構ルールを無視した絵を描いていたんです。絵って、自由に書いていいんだ、って思ったんですよ。良かったら見てください。

めっちゃ頑張って死

__ 
その、「変だ」と言われるのは、どういう部分が。
上田 
多分、自分自身の死生観がその一つだと思います。死に対してはドライに考えているんです。火葬よりも土葬の方が環境には良いと思えるぐらい。僕はいつ死んでもいいと思っています。今は楽しいので、だから今死ねたら幸せなんじゃないかなと。子供が出来たらきっと変わるでしょうけど。
__ 
そうした死生観は、一体どこから。
上田 
いいえ、子供の頃から死ぬのが怖くて、一度それに向き合ってとことん考えたんです。そこでやっと、死について受け入れる事が出来たんです。怖いとか不安とか、感情と切り離して考える事が出来たんですよね。
__ 
それはいつの事ですか?
上田 
10歳のある日、気がついたら突発的に自殺しようとしていたんです。自分の遺伝子の半分が父親のものであるのが嫌で。目の前の陸橋の柵を越えれば死ねるという直前にまできて、すると物凄く負荷が掛かったんですよ。何か、上から押し付けられるような。でも、その力はめっちゃ頑張ったら越えられるという手応えがありました。
__ 
なるほど。
上田 
そこで気がついたんです。めっちゃ頑張って死ぬというのは可笑しい。それだったらその半分の頑張りで生きたらいい。そこから死、ひいては生きる事について考えるようになって、こうなりました。
__ 
その、負荷に対抗して柵を乗り越えるエネルギー。今はどのようになりましたか?
上田 
柔らかくなったと思います。
__ 
質的にですか?
上田 
はい。芝居を始めてからつい最近までは周りの人へのねたみとかそねみとかが原動力だったんですが、今はあの人面白いなあって素直に思えるようになりました。それは色んな人に感謝するようになったのと、より良いものを作ろうとした時に周囲をきちんと見れるようになったからだと思います。
__ 
その変化を、ご自身ではどのように思われますか?
上田 
自分は、人生には流れが重要だと思っているんですね。この変化も、良い方に流れていると思っています。

一見さん!

__ 
今後、上田さんはどんな感じで攻めていかれますか?
上田 
沢山、色んな事をしたいと思います。色んな舞台に呼ばれたいので、身体を作ったりしますし、自分で本を書いて面白いと思ってもらえたりしたいです。
__ 
当面の目標は。
上田 
一見さんに面白いと思われたいですね!
__ 
おお。
上田 
いや、「何あの変なひと」から三回目でようやく面白いと思ってもらえているので。三回目役者なんですよ(笑う)。

タグ: 今後の攻め方


クリスマスマグカップ・コインチョコ入り

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントがございます。
上田 
ありがとうございます。
__ 
どうぞ。
上田 
(開ける)あ、嬉しいです。正解です。
__ 
おおっ。
上田 
サンタですね。この慈愛の表情がいいですね。
__ 
チョコレートが入っています。
上田 
あホントだ。
__ 
サンタは慈愛に溢れた系と単に自分が楽しい系がありますが、これは慈愛派ですね。

タグ: プレゼント(食器系)


「演劇やるから」仕方なく

__ 
西さんは、Will Be SHOCK Entrance Gateの代表なんですよね。その、どのようなところから演劇を始められたのかを伺いたいのですが。
西  
僕は、小学校の頃から落ち着きが無くて浮いていて。でも、教科書の音読するのを褒められたんですよ。
__ 
なるほど。
西  
あと子供の頃から特撮オタクだったんんですが、なにか特撮に近いクラブ活動はないかと親に聞いたら演劇というものがあると教えてもらって。小学校高校と演劇部に入って、大学で立命館芸術劇場に入りました。それから5回生で卒業するまで、まあ色んな人が卒業とともにやめていったんですよね。凄く面白い、優秀な人たちだったのに辞めて就職していくんですよ。
__ 
ええ。
西  
もやもやしつつ僕も辞めて就職したんですけど。8ヶ月程会社員でした。しんどくなって辞めるときに「何故だ!」と聞かれて、仕方なく「演劇やるから」と言っちゃったので、今も続けています。

タグ: 親に連れられて劇場 就職と演劇の二択


質問 堀川 炎さんから 西 真人さんへ

Q & A
__ 
前回インタビューさせて頂きました、世田谷シルクの堀川炎さんから質問を頂いて来ております。ええと、実は堀川さんには西さんについて、以下のようにご紹介しました。すなわち、優秀な演出家であり俳優で、強度のある下ネタを作品に多用する作家であると。堀川さんからの質問です。「下ネタがない芝居を作る気はありますか?」
西  
それは自分にとっては、ずっと考えていかなければならない問題です。今回は下ネタ無しで行こうと思っても、結局は入っている事が多いです。僕は、「下ネタで笑いを取る事はかっこ悪い、安易だ」という事をカッコ付けて言う奴の事が身震いするほど嫌いだからです。
__ 
分かります。
西  
僕も笑いの事はあまり分かっていないけど、お前に下ネタの何が分かるんだ、って。

泣ける下ネタ

__ 
結局下ネタが入るというのは、失敗ではないのですか?
西  
前回公演の「キャプテンクトゥルー年代記」では、最初はナシで行こうとしていたんです。でも、途中からすごく遣る瀬無い気分になってきて。結局は「泣ける下ネタ」を目指していました。
__ 
泣ける下ネタ! 最高じゃないですか。
西  
下ネタには、まだまだ可能性があると思うんです。
__ 
WillBeの作品「猫型ロボット」を拝見したんですが、よく西さんが舞台上でオナニーシーンを見せていましたよね。TENGAを使った。もちろんギャグとして、笑い易いようにして。男性の内向きの性欲が強烈に切り出されていたように思います。西さんにとって、下ネタはどのような存在であって欲しいのでしょうか。
西  
人間性を極端に表現する有効な方法だと思っています。僕はここまでさらけ出しました、もう丸腰です、かかって来なさい、そう叫ぶような表現です。
__ 
「猫型ロボット」では、西さんはTENGAをご自身の周囲に並べて叫んでいましたね。お尻を出しながら。当然、露出狂的な快楽とは違うと思いますが、では、舞台上で精神的にも肉体的にも裸になる事についてはどのように思われますか?
西  
実は、ちょっと性描写は苦手なんですよ。
__ 
ええっ。
西  
今は分からないですが、客席から見ていて、舞台の上の人が裸になると凄く生々しくて、直接的で、引くと思います。それは、僕の中に性描写についての文法がないからなんですが、「本当に?」って思っちゃうんですよね。
__ 
というと。
西  
それが本当に人間なんだろうか、って思うんです。セックスは人間性からは独立した現象なんじゃないか。アプローチとしての下ネタの方が、人間性を表現するのに適切ではないだろうか、って。
Will Be SHOCK Entrance Gate「さらば彼女の愛した海底都市 或いはキャプテンクトゥルー年代記」
公演時期:2011/2/12~14。会場:京都市東山青少年活動センター創造活動室。
Will Be SHOCK Entrance Gate 3rd OPEN「猫型ロボット~青いベストフレンドの伝言~」
公演時期:2009/6/12~14。会場:人間座スタジオ。

タグ: 性欲 世界がズル剥け 下ネタを考える 女性と下ネタ


質問 山本 大樹さんから 西 真人さんへ

Q & A
__ 
前回インタビューさせて頂きました、イッパイアンテナ山本大樹さんからも質問を頂いて来ております。「自分の事を、どう思いますか?」
西  
どんくさい。汗っかきだと思います。

タグ: 役者の汗を見せる


えっちな事は、いけないことじゃなくて

__ 
さて、何色何番の前回公演「不可解な国のアリス」大変面白かったです。西さんは脚本でしたね。あれはどういう流れで企画されたのですか?
西  
たかつさんとは、僕がWillBeの第二回公演の時に色々アドバイスをしてもらったんですよ。上演が近いのにしっちゃかめっちゃかだった作品に、「こうした方がいいよ」とかアドバイスをして下さって。それから親しくさせて頂いています。それから、何か一緒にやりたいねって。
__ 
なるほど。あの作品では完結はありませんでしたが、元はどのような。
西  
僕がリツゲイでやった作品なんですが、元は3時間くらいあったんですよ。結末も、主人公が殺人を認めて、でもそれは彼の世界と幻想の住人達全てを守る為の決断だったという少年ジャンプ的なものでした。
__ 
西さん演じる主人公は美を愛する系の絵描きロリコンでしたが、ご自身もロリコンなんですか?
西  
それはどうなんでしょうね・・・ロリ系も、熟女も好きです。
__ 
私はエロ漫画が好きなのですが、実はユニークな作風の作家により魅力を覚えるんですよ。ロリ系だと「うさくん」とか、「ゴージャス宝田」とか。
西  
ゴージャス宝田先生ですか! 僕も大好きです。
__ 
いいですよね。
西  
ゴージャス先生はどこかのインタビューで、「自分は12歳の少女の肉体精神の不安定さを描きたいんだ」みたいな事を言われていたんです。それをエロ漫画という、世間的には評価されない世界で頑張ってるのかと思うと、僕らも狭い範囲で芝居をしていて不安になる事も多いですが、その度にゴージャス先生の事を思い出して頑張っています。
__ 
そうそう。「キャノン先生トばし過ぎ!」の作中で、主人公の売れないエロ漫画アシスタント・ルンペン貧太が「エロ漫画家になるのが夢だった」と言った時、が海乃みるく先生が「嘘ぉ!?」って言ったじゃないですか。あのシーンが好きなんですよね。
西  
あそこはいいですよね。ラストで作品を仕上げる見開きのコマも燃えました。「えっちな事は、いけないことじゃなくて、隠してはいるけどとても大切な事だって。
__ 
言葉では全て説明されないんですけど、絵から伝わる表現でしたよね、あれは。
何色何番 色色(イロイロ)企画『不可解な国のアリス』
公演時期:2011/9/17~19。会場:アトリエ劇研。

タグ: ジャンプ!についてのイシュー 何色何番


交換ノート企画(宴)

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願い致します。最近はいかがでしょうか?
西  
あ、最近はピンク地底人の稽古が始まりまして。あとは、何色何番さんと十中連合さんとの合同企画が動き出しました。
__ 
あ、聞きました。凄く楽しみです。
西  
僕も楽しみで・・・。
__ 
台本を交換してやるんですよね。今から楽しみです。
Will Be SHOCK Entrance Gate
京都で活動している不思議チーム。劇団。西真人(脳浮遊茶之助)、田中浩之が所属。
ピンク地底人
京都の地下は墨染に生まれた貧乏な三兄弟。日々の孤独と戦うため、ときおり地上にあらわれては演劇活動をしている。夢は関西一円を征服することと、自分たちを捨てた母への復讐。最近は仲間も増え、京都を中心に大阪にも出没中。(公式サイトより)
何色何番
京都の片隅にてお芝居の活動をしています。(主に京都市内の北側にて)たかつかな と 村井春也。(むらいはるな)の二人で構成されています。よく「女の子らしい芝居だ」と評されるのですが、二人とも女の子なのでそりゃあそうだろうなと思います。等身大の生活(外世界)と自分(内世界)を、基本的に地味に、時々派手に創り上げます。毎公演ごとに色(テーマ)を決めて企画を練り、御馴染さんやその色に合った方を招いて、ユニット形式で公演を打っています。年に2回程の公演を心がけています。(公式サイトより)
十中連合
2009年大谷大学演劇部劇団蒲団座を母体に旗揚げ。京都を中心に現在5名で活動中。渡邉のSF(少し不思議)な脚本を元に、悲しいことも楽しいことも全て「茶番劇」に作り変えてしまう。(公式サイトより)

どこかに伸びて行きたい

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
西  
下ネタを極めて行きたい気持ちもあり、新しい何かをしたという気持ちもあり。そうですね、新しいとっかかりを探していかないとあかんのだろうなと思います。
__ 
新しい何か。今、何か見えていますか?
西  
自分が今まで、何をしていたのかを客観的に捉え直そうという気持ちがあります。下ネタだけだとしたら、やるにせよやらないにせよ、もっと価値のあるものを作っていかなければならないと思います。
__ 
方向性。
西  
もうちょっと演劇のことを好きになってみようと。今まで僕は、どんくさいオタクであっても演劇人としてのプライドは持たないように心がけてきました。でも、この間何色何番さんに参加させて頂いて、芝居をする事についての興味と言うか、執着というか、誇りというのがようやく人並に付いて来ました。とりあえず、どこかに伸びて行きたいなと思っています。

タグ: 「演劇を好きになる」 今後の攻め方


ピンクのウィッグ

__ 
今日はお話を伺えたお礼に、プレゼントがございます。エネマグラか、オナニーホール「俺の妹がこんなに締め付ける訳がない」かで迷っていましたが、結局これにしました。
西  
あ、ありがとうございます。開けても大丈夫ですか?
__ 
どうぞ。
西  
(開ける)これは。
__ 
ウィッグです。
西  
ありがとうございます。僕は、ピンク色のキャラクターが大好きなので。被っていいですか?
__ 
もちろんです。

タグ: プレゼント(装飾系) プレゼント(アダルティ系)


いつか粉になって

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。織田さんは、最近はいかがでしょうか?
織田 
宜しくお願いします。最近はそうですね、とてもありがたい事に途切れる事無く芝居に関われていて。良い感じでボロボロになりそうです。
__ 
ボロボロになると、どうなるんですか?
織田 
僕結構、ボロボロになるのが好きで。小学校の頃からサッカーをやっていて、ギリギリまで走ったり、がつがつボールに当たっていって。危険なんですけど。稽古で疲弊するのは、気持ちいいですね。
__ 
それは、カッコ良さですか?
織田 
カッコいいというよりは、生き急いでいる感じがしてて。命を削っている感覚が好きなんですよ。のんびりしたいというのもあるんですが、どんどん削って、30か40くらいで粉になって消えたいというのがあります。楽しいというより、今日も削れたなと実感出来るのがいいんですよ。
__ 
実感出来るのがいい。
織田 
オフになるとスイッチが切れて、ぼーっとしちゃうんで。演劇をしていないと何をしているのか分からなくなってしまうんです。
ニットキャップシアター
京都を拠点に活動する小劇場演劇の劇団。1999年、劇作家・演出家・俳優のごまのはえを代表として旗揚げ社会制度とそこに暮らす人々との間におこる様々なトラブルを、悲劇と喜劇両方の側面から描いてゆく作風は、新しい「大人の演劇」を感じさせる。日常会話を主としながら、詩的な言葉を集団で表現することも得意とし、わかりやすさと同時に、観客の想像力を無限に引き出す奥深さも持っている。(公式サイトより)

タグ: 生きている実感


これどうですか?

織田 
今は役者の他に小道具とか作らせてもらってるんですが、作るのが好きなんですよね。
__ 
なるほど。分かります。
織田 
むしろ本番より、稽古とか製作とかの方が好きで・・・本番も当然好きなんですけど。例えば本番当日に、アップで体を起こしたりする時間とかよりは、稽古でシーンを作っていくのが好きなんですよ。体を起こすためにうシーンをやったりとかじゃなく。
__ 
確かに、本番直前は新しく何かを製作する時間ではありませんからね。
織田 
最近出演させて頂いた「林檎の木の真ん中の心臓」とか、ニットももちろんそうですし、夏に出た少年王者舘も。演技を作る時に「これどうですか?」って出演者同士で会話するのが好きなんですよ。

第26回国民文化祭・京都2011「現代演劇の祭典」、企画委員会プロデュース公演「林檎の木の真ん中の心臓」

__ 
林檎の木の真ん中の心臓」。千秋楽に拝見しました。大変面白かったです。出演者が20名以上でも、一人一人が思い出せるくらい立ってましたよね。どのような稽古場でしたか。
織田 
とにかく上の世代の方々と同じ空間にいられたのが貴重でしたね。もう演劇始めたばっかの浅っい人間ですから、何も分からない同然で望みました。
__ 
織田さんが主に出てきたのは、第四章でしたね。朝平陽子さんと若夫婦を演じられていて。
織田 
実は当初、キャラクター優先で演技を作っていたんですよね。最初は面白がられたんですが、だんだん他のほとんどの出演者と方向性が違ってしまったんです。
__ 
というのは。
織田 
演出の方針はもちろん、上の世代の方は、気持ちで舞台に立つ事が出来ているんですよね。「そう想って舞台に立っているだけでいいんだよ」って、演出のキタモトさんに言われました。役柄上、色々と面白い動きは出来たんですけど、ニットではそれで通る事もあったんですけど、考えたネタが役柄を外れたり、作品のバランスを崩したりしていたんです。
__ 
なるほど。
織田 
稽古場で参考になったというか、凄いと思ったのはやっぱり岡嶋さんだったんです。僕は面白い事をやると役から外れるという事で悩んでいたんですが、岡嶋さんは役に合った外し方をするんですよね。俳優として芯があるからなのか・・・。で、稽古場でのスタイルも、役に合った外し方を沢山試されるんですよ。試した上で、どれかを選択するんです。引き出しの多さ、選択の仕方に、経験の深さを感じました。
__ 
今は、どのように思われますか?
織田 
もっとやれたんじゃないかと思っています。キャラ作りと調整で行けると思っていたんですが、そうではなかった。テンポとかも全然違った。爪あとみたいなのを残せればと思って空回りしちゃっていたんです。本当に、朝平さんとの関係で作らないといけなかった。
__ 
もし同じ舞台に立っていたのであれば、そのやり方は空気を通して伝わったというように思います。
織田 
そうだといいですね。やっぱり明らかに、他の方々は気持ちで立っていて、「それで立てるんだ!」て感心したんです。

タグ: 役をつかむ


質問 西 真人さんから 織田 圭祐さんへ

Q & A
__ 
前回インタビューさせて頂きました、西真人さんから質問を頂いてきております。笑顔を作ってと言われたら、どうしますか?
織田 
あ、僕笑うとすっごい笑顔になっちゃうんですよ。だから、極力力を入れて笑わないようにしています。
__ 
そうなんですね。普通に笑うと?
織田 
こういう風になります。
__ 
すっごい笑顔!

舞台に立てる身体

__ 
織田さんは、どういうところからニットキャップシアターに入られたのですか?
織田 
実は、***に入っていて。
__ 
あ、そうなんですか。
織田 
そこを卒業して、何をしようかと思っていたんです。でも随分前から、演劇をやってみたいという気持ちはありました。近い事をしていたとは言え、知らない世界だったんですよね。高校の時に演劇の発表をする授業があったんですが、その時に教えて下さった方に話してみたら、同じ高校出身者だった高原に会えまして。そこから「愛のテール」の稽古見学に参加させて頂きました。
__ 
いかがでしたか?
織田 
見学している僕が緊張していたんですよ。でもぼーっと見ているだけなのは何か違うなと、せっかくだからとメモをずっと取ってたんです。「なんだあのメモは」って思われていたみたいで(笑う)。そのうち、「良かったらスタッフとして参加してみませんか?」と、今に至ります。
__ 
初舞台は。
織田 
「クレームにスマイル」です。演技って思っていたよりむっちゃくちゃ難しいと思いました。他人から与えられたセリフをやるというのは、意外に動けない。どうしていいか分からないという戸惑いがありました。
__ 
その不可能感は、もしかしたら「林檎の木」で覚えられたものと根っこは同じかもしれませんね。
織田 
それはありますね。「クレームにスマイル」はキャラクターとか分からなかったから、なおさら。ただ、キャラを作れば僕は動けるという実感があったんです。立っていられるんです。
ニットキャップシアター第23回公演「愛のテール』(再演)
公演時期:2008/2~5。会場:名古屋、大阪、東京、福岡。
ニットキャップシアター第24回公演「クレームにスマイル』(再演)
公演時期:2008/11~12。会場:ART COMPLEX 1928(京都)、下北沢 ザ・スズナリ(東京)。

タグ: 入団の経緯


やっぱり通じているんですね

__ 
キャラ作りではなく役作りについて。どのようなアプローチがご自身にあると思われますか?
織田 
僕は、演じている役の気持ちというのは見ているお客さんには分からないんじゃないかと思っているんです。僕もお芝居を見るときは、こういう気持ちなのかなというのが分からなかったり。でも、「林檎の木」で上の世代の方々の芝居を見ると、気持ちで立っている事の安心感があるんですよ。あ、立っているって。僕も、そうした安心感を持てるようにしたいなと。
__ 
逆に言うと、織田さんの持ち味である不安定感や奇妙さというのとは相反するかもしれませんね。客席から見ていると、対象が人間である以上、どこか気持ちというのは見える事もあるかなと。
織田 
気持ちが見えるんですね。
__ 
ええ。
織田 
それは、僕にとっては結構嬉しい事ですね。いや、僕が出来ているとかではなくて。やっぱり通じているんですね・・・大丈夫なんですね。
__ 
いえ、やっぱり分かりますよ。本当に。

タグ: 奇妙さへの礼賛


気味悪さだったりおぞましさだったり

__ 
今後、織田さんはどんな感じで攻めていかれますか?
織田 
色んな役を死ぬほどやっていきたいですね。今回の役はこの役でした、ではなくて。複数の役を一人で引き受けてみたいです。
__ 
なるほど。
織田 
「チェーホフの御座舞」の時に、そういう役割だったんですよ。それが僕の中で一つの手応えだったんです。複数を分けてやれるなあって。これは僕の欠点でもあるんですが、積み重ねが出来ないタイプだと思うんです。つまり引きずらないから、切り替えるのが得意なんです。
__ 
切り替える。
織田 
その末に、気味悪さだったりおぞましさだったりを表現出来たらと思います。奇妙さを表現するのに、体を使ったダンスに興味があります。人間らしくない動きとか・・・。
__ 
あ、ちょっと分かります。
織田 
少年王者舘でも夕沈さんが振り付けをされていたんですが、バレエでもヒップホップとも違う、動きと言った方がいいようなダンスがあって、いい経験になりました。次の「さらば箱舟」で佐藤さんに振り付けと出演をお願いするんですが、凄く楽しみです。
あうるすぽっと+京都府立文化芸術会館+ニットキャップシアター+モノクロームサーカス 共同プロデュース『チェーホフの御座舞 ~『結婚申込』・『結婚披露宴』・『三人姉妹』~』
公演時期:2010/12月。会場:京都府立文化芸術会館(京都)、あうるすぽっと(東京)。

タグ: ダンスに興味あり 今後の攻め方