ベッドで

三國 
ムチャぶりやな・・・あ、面と向かって言い難いんですけど、ここを借りて言わせてもらいます。ずっと前にインタビューの際にいただいたプレゼントの軍手なんですけど、ふとした拍子に右手だけ失くしてしまいました。今は左手だけしかない状態です。幸い、右手だけしかない手袋もありますので、それを合わせてこの冬は乗り切ろうと思います。せっかくプレゼントして下さったのにすみませんでした。・・・戻って来ました。
__ 
すみません。
三國 
いえいえ。
__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。
三國 
2回目ですよね。
__ 
そうですね。もう3年くらい前になりますよね。
三國 
はい。僕ももう役者ではないので、色々変わったと思います。
__ 
変わったとは。
三國 
今はサワガレという団体をやっていて、立場的なものが以前と違いますね。
__ 
最初にインタビューをさせて頂いた時は役者でしたね。
三國 
そうでしたね。僕は当初、役者をやろうと思っていたわけではなく、「人手がいないから出て」、って言われて舞台に立ったのがそもそもの始まりだったんです。そのせいか、芝居が上手くいってもそれほど自分自身カタルシスがなくてを実感できなくて、でも演劇自体には魅了されていったので、いつか自分の作品を作れるようになりたいという気持ちはあったと思います。
__ 
なるほど。
三國 
でも、バイトしながら演劇を続けるという先人達のようにはなかなか思いきれず、実は悪い芝居を辞めた後就職したんですよ。
__ 
あ、そうなんですね。初耳です。どのような会社でしたか。
三國 
営業系だったんですがいわゆるブラック企業で、新卒を大量に入れてはその3ヶ月後に1/4しか残っていないような・・・。でもやりがいはあったんですよ。
__ 
演劇を再開したのは。
三國 
ある日突然、上司から東京出向を命じられて。しばらくウィークリーマンションに身一つで宿泊してたんですよ。シャツと下着だけ持っていけば十分でした。少しして、インフルエンザに罹って。
__ 
ええっ。
三國 
その年はインフルが流行して、2週間くらい自宅待機で外に出られなかったんです。もうずっと、ベッドの上にいました。その間ずっと、布団にくるまって演劇の事ばっかり考えていたんです。
__ 
なるほど。
三國 
もう一度演劇をしようと思ったのはその時です。これはもしかして、大学時代に演劇をやっていたのが人生のピークだったのか、って今後思い続けるんじゃないかという考えがでてきたんです。まあインフルエンザの時に考えた事なんでアレだったかもしれないんですけど。
悪い芝居
2004年12月24日、旗揚げ。メンバー11名。京都を拠点に、東京・大阪と活動の幅を広げつつある若手劇団。ぼんやりとした鬱憤から始まる発想を、刺激的に勢いよく噴出し、それでいてポップに仕立て上げる中毒性の高い作品を発表している。誤解されやすい団体名の由来は、『悪いけど、芝居させてください。の略』と、とても謙遜している。(公式サイトより)

質問 織田 圭祐さんから 三國 ゲナンさんへ

Q & A
__ 
前回インタビューさせて頂いた、ニットキャップシアターの織田さんから質問です。「劇団を旗揚げすることについて。どういう所にやりがいを感じますか?」ピッタリな質問ですね。
三國 
シンプルですが、自分の表現したものへの反応がダイレクトに感じられる事ですね。作品にしろ、団体としての見せ方にしろ。役者として所属劇団の作品に参加していた時は、どれだけその作品に反響があっても他人事というか・・・。やっぱり自分が仕掛けたものを「これ、面白いだろ」って出して、そこに反応が返ってくるのが面白いんですよね。
__ 
なるほど。
三國 
学生劇団にいた時、一回だけ作演出をしたことはあったんですよ。その時は凄く良い反応を頂いて。まあ、見に来てくれたお客さんが日常的に芝居を見てない学生が多かったっていうのが多分大きかったと思うんですが。アンケートもほぼ「良かった」としか書かれなかったんですよね。
__ 
ロリータマザーコンプレックスですね。
三國 
よくご存知で。サワガレを立ち上げた時に思ったのは、世間は凄い。良くも悪くも正直で、だからこそやりがいをより強く感じます。甘くはないですね。今後どうサワガせていこうかなと思っています。

サワガレ「あいめまいみめい」

__ 
そんな三國さんが作られた芝居ですが、実は私は2本しか拝見していなくて。まずは「あいめまいみめい」ですね。宮崎の狂牛病と昭和の怪事件をモチーフにした作品でした。この素材は、どこから生まれてきたのでしょうか。
三國 
当時、宮崎での狂牛病がヤバいとか、日本は終わりだ、とテレビなんかでも報道されてたんですけど、肝心なところはなにも伝わってこない。変な話、すごく隔たりがあるように感じたんですよ。向うで牛が次々と感染しているのに、スーパーに行ったら牛肉が売られている。価格もそんなに違わない。騒がれている事件と僕の間に、見えないけど距離があるように思ったんですよね。それを芝居にしようと思ったのが始まりです。
__ 
あの時は日本中がその事でばかり騒いでいましたね。それとはあまり関係がなさそうな下山事件も、切り口の一つになっていましたが。
三國 
口蹄疫と似たような話ですが、下山事件が起った当時と今の日本の間のにある隔たりが気になりました。戦後すぐの時期で、革命がどうとか、学生運動がどうとか、日本の共産主義が元気あったりとか・・・。色んな資料を読んでも距離感があったんですよ。宮崎も下山事件も、両方共現実に起こったことかもしれませんが起こったことですが、今の僕自身の生活との距離感が拭えなかったんですよ。
__ 
その距離感は、いつ頃から感じられたものですか?
三國 
感覚として、分からない事があると気付いた日からですね。例えば、僕から見て全然分からなかった芝居を他の批評家が見事に切り口を付けて解説してることあるじゃないですか、僕には感じえないものを感じる人がいる。逆に言えば僕にしか感じられないものもある。もしかすると、演劇を通して身についた感覚かもしれません。
__ 
客観的な批評を通して対象と自分との間に距離を見つけたと。
三國 
そうですね。逆に、必ず批評を出来なくてはいけないのか?という疑問も出てきたんですよ。出来る奴はする、出来ない奴はしない。僕は批評をしたいと思ったらするし、何も感じないものは放っておくし×。それが僕の感性なのかな、と、今は思っています。
サワガレ「あいめまいみめい」
公演時期:2010/9/10~2010/9/12。会場:アートコンプレックス1928。

タグ: アートコンプレックス1928 ユニークな作品あります 俳優を通して何かを見る


サワガレ「小部屋の中の三匹の虫」

__ 
さて、「小部屋の中の三匹の虫」。大変面白かったです。後から知ったんですが、マルチエンディングだったそうですね。私が見たのはバッドエンドだったのですが。
三國 
全部バッドエンドです。ハッピーエンド?も一応考えたのですが、会場を扉も窓もない密室に見立て、そこから出ることだけが目的の芝居だったので、ハッピーっていっても、「出れる!出た!」だけで終わっちゃいますからね。なら別にいいかなって。
__ 
なるほど。スリラーというジャンルだと思うんですが、最初に脚本をきっちりと作った訳ではなく、稽古場のエチュードで作られた作品だそうですね。
三國 
稽古場で出てきたもので構成を考えて、それを基に作っていきました。だから変な話、4カ月稽古を続けてきたんですけど完成したのは本番直前なんですよ。
__ 
そうなんですか!
三國 
ソリッドシチュエーションスリラーというジャンルの作品を色々研究するうちに、結局は緊迫感が重要なんだと思ったんです。なのでギリギリに完成するくらいがいいのかな、と。3回目の本番ぐらいが、役者の緊張と落ち着きのバランスが絶妙で、僕も手が震えるくらいぞわぞわしました。
__ 
何回か見に行きたかったです。公演期間はロングランで京都市内6箇所を回っていましたが。
三國 
ロングランにしたのはやっぱり、旗揚げして一年経つのですがまだまだ集団としては体力がないなと思っていたからです。団体として強くなるには、1ヶ月ぐらいの公演を乗り越えないと、と。
__ 
大変でしたね。
三國 
続けざまに6会場25ステージと。ゲネプロもせずに本番、なんてザラで、役者にとっては大きな制約になっていたと思います。もちろん、演出としてもですけど。でもそれ以上に、繰り返しお客さんに見られる中で得られるものも大きかったですね。
__ 
ちなみに、あの血みたいな液体が入っていたペットボトルの中身は何だったんでしょうか。
三國 
あれは試行錯誤を重ねた結果ですね、コーヒーとココアを混ぜ、さらに緑と赤の着色料を加えたものです。とろみを付けたんですけど、あまり生かされなかったですね。
__ 
いや、あれはどういう原理の何だったんでしょうか?あのペットボトルを振るとその人が苦しんだりしていましたが。
三國 
映画ならいざ知らず、演劇で出来るリアルな暴力表現は限られていると思うんですよ。足を切断とかはできないし、血を吹き出させてもトリックを疑われてしまって興が冷めてしま。でも、演劇が虚構なら、暴力の対象が別に身体じゃなくてもいいんじゃないか。体の外に暴力の対象を設定することが出来れば、人を実際に殴らなくても、殴ることで発生する「痛々しさ」みたいなものだけ抽出できるんじゃないのかなって。それで、人間の心の醜さを見せられたらと思いました。
__ 
なるほど。
サワガレ「小部屋の中の三匹の虫」
公演時期:2011/8/5~8/30。会場:元・立誠小学校ほか。

タグ: バッドエンド エネルギーを持つ戯曲 凶暴な役者 暴力


水槽事件

__ 
さて、水槽事件について。というか、そう呼んでもいいですか?
三國 
はい、いいですよ。
__ 
実は私はこの件についてはどちらにも肩入れするつもりはないんです。もちろん事件は良くないですが・・・。
三國 
前科も悪意もない、という事で不起訴になりました。留置所には2日入れられましたけど。実名も団体名も報道され、社会的制裁を受けたと思っています。が、色々と思う事はあります。
__ 
というと。
三國 
もちろん、事件を起こしてしまったことについては一同反省しておりますが、僕らの団体名がサワガレじゃなかったら、報道にも載らなかったんじゃないかなと思うんですよね。
__ 
「劇団HAPPYS」とかだったらまた話は別でしょうね。
三國 
多少、いじりがいがある団体名と劇団のコンセプトなので、取り上げられた上に記事の方でもオチまでつけていただいて・・・。
__ 
「あいめまいみめい」での成果かもしれませんね。
三國 
はい、逆に(笑う)。今までメディア関係の方に資料をお送りしてもあまり反応は無かったんですが、一夜にして・・・。
__ 
今はサワガレのサイトのTOP、水槽にアイコンが沈んでいますね。面白いと思います。
三國 
あれは賛否両論ありますね。でも、ずっと粛々と謝っているだけでは何も生み出せないだろうなと。これに屈して潰れていくのでは、何だか全然意味がないんじゃないかと。来年春まで活動を自粛する予定ですが、その間、各自着々とできることをやろうと思っています。

タグ: 賛否両論 反省Lv.4


着々と

__ 
さて、次の公演は。
三國 
ウチには僕の他に田中次郎という作家がいます。脚本・演出家が二人いるというのが特色なんですが、そこをうまく打ち出せていなかったんですよね。水槽の件での反省の後、田中の脚本での作品を順々に発表していきたいと思っています。
__ 
目標は。
三國 
窃盗団というイメージから、2012年の末には田中の作品が見られる団体、というイメージになってたらいいですね。
__ 
田中さんは、どのような作品を作られるのでしょうか。
三國 
彼は西一風時代の後輩で、自分の持つ世界観を表現に昇華できる数少ない作家だと思っています。僕はコンセプトから作品を作るタイプなんですが、彼は客席を取り込むような世界を作っていくんですよ。力のある劇作家の方も褒めて下さっていて、これから注目を頂けるんじゃないかと。期待していただければと思います。

タグ: 世界観の作り込み


写植スタンプ

__ 
今日はですね。お話を伺えたお礼にプレゼントがございます。
三國 
ああ、また・・・。ありがとうございます。開けてもいいですか?
__ 
もちろん。
三國 
あ、これは。
__ 
スタンプ写植ですね。インタビューでは一切触れませんでしたが、三國さんはデザイナーなんですよね。
三國 
はい、おこがましいですが、ちょこちょこそういうのもやらせてもらっています。これ、ありがとうございます。使わせていただきます。

タグ: プレゼント(ツール系)


月面クロワッサンを終えて

___ 
今日はどうぞ、宜しくお願い申し上げます。月面クロワッサン、お疲れ様でした。面白かったです。
佐々木 
いや~、そう言って頂けたら嬉しいです~。
___ 
佐々木さん、ああいうお芝居をされるんですね。
佐々木 
久しぶりな感じの演技でしたね。学生劇団ではあんなのを主にやっていたので。
___ 
ちょけた感じですよね。森の精であるモリンチュとハナンチュを呼び出すのに、宇宙人を先導して呼びかけるのが無理矢理で面白かったです。
佐々木 
ありがとうございます。今回中々掴めなくて・・・今回演出が変わっていったので、本番入ってからこうしたらいいや、って思い切りました。
努力クラブ
元劇団紫の合田団地と元劇団西一風の佐々木峻一を中心に結成。上の人たちに加えて、斉藤千尋という女の人が制作担当として加入したので、今現在、構成メンバーは3人。今後、増えていったり減っていったりするかどうかはわからない。未来のことは全くわからない。未来のことをわかったようなふりするのは格好悪いとも思うしつまらないとも思う。だから、僕らは未来のことをわかったようなふりをするのはしない。できるだけしない。できるだけしないように努力している。未来のことをわかったふりをしている人がいたら、「それは格好悪いしつまらないことなのですよ」と言ってあげるように努力している。(公式サイトより)
月面クロワッサン
2011年、本公演の全作品の脚本と演出を、作道雄がつとめる演劇団体として設立。劇団員は随時募集しているが、基本的には作品ごとにキャスト・スタッフを集め、公演を行っている。2月、「月面クロワッサンvol.0/どっちみち阪急河原町」が、京都学生演劇祭にて第2位、最高総得点を記録。6月、「バイバイ、セブンワンダー」を京都市内2会場で公演、380人を動員。緻密でスピード感溢れるストーリー構成の脚本と、観客からの視覚的構図を意識した演出で独自の劇的世界を構築する。(公式サイトより)

無目的ビーム

___ 
最近はどんな感じでしょうか。
佐々木 
月面クロワッサンが終わって、努力クラブの稽古ですね。
___ 
「無目的ビーム」。多目的ホールをもじったんでしょうね。いいタイトルですよね。
佐々木 
合田さんのあのセンスは大好きですね。
___ 
ビームという、指向性そのものが無目的という矛盾が面白いですね。ここで改めて伺いたいのですが、努力クラブとは何なのですか?
佐々木 
僕が三回生の時、西一風の座長をやっていたんです。その時高田ひとしさんが企画した、学生劇団の代表を集めようという会があって。その時に彼に会いました。
___ 
第一印象は。
佐々木 
変なビジュアルで気持ち悪いなあと思いました。その後劇団紫を観に行ったんですよ。出た事もあります。大好きなんですよ。本番の前にアップしないし、セットも作らないし、西一風だったら「ちゃんとせな」って怒られるような感じでした。だからショッキングでしたね。
___ 
それで結成したんですね。
佐々木 
去年C.T.T.に出そうという計画があったんですが、一年くらいぐだぐだしていて。その後ようやく旗揚げしました。
努力クラブ3「無目的ビーム」
公演時期:2011/12/23~26。会場:壱坪シアタースワン。
C.T.T
C.T.T.とはContemporary Theater Trainingの略で「現代演劇の訓練」を意味する。1995年に京都のアトリエ劇研で発足し、70回以上の上演会を行う。現状、3カ月毎の上演会を予定。(公式サイトより)

タグ: 自分を変えた、あの舞台 わたしとわたしの矛盾 タイトルの秘密 悪意・悪趣味 旗揚げ


劇団内自立

___ 
佐々木さんは、努力クラブにあってどんな存在でいたいと思われますか?
佐々木 
合田くんとは全然別の存在でいたいと思いますね。相方ではあるんですけど、仲は全く良くないので、それが団体としてはしんどいところです。が、ある程度距離は取れてはいるんですけど。
___ 
なるほど。
佐々木 
普通に、合田団地・佐々木俊一と自立していたいですね。その上でお互い、リスペクトしていられたら。柿喰う客みたいですね。
___ 
おお、柿は確かにそういう関係性だそうですね。

タグ: 私の劇団について 相方


質問 桐山 泰典さんから 佐々木 峻一さんへ

Q & A
___ 
前回インタビューさせて頂きました中野劇団の桐山さんからです。「幸せだなあと思う瞬間は」。
佐々木 
劇研で仕込みが終わって、帰りに船岡温泉に行くというのが幸せですね。
___ 
銭湯ですよね。疲れが癒されるからですか?
佐々木 
何だろう。妙に何か、風情のあるところが好きなんですよ。船岡温泉に行くと、脱皮したような感覚になります。大体銭湯は好きなんですけど、船岡温泉は特に好きです。

タグ: 温泉の話題 銭湯の話題


『演技をする』っていう演技

___ 
佐々木さんは、何か思い出に残る芝居の体験はありますか?
佐々木 
客で言うと、下鴨車窓「王様」の時の岡嶋さんの演技ですね。今年は、あれをひたすら思い出しながら芝居していました。
___ 
凄いですからね。
佐々木 
例えば、他の登場人物に「兄さん!」って叫んで立ち上がって、ちゃんとした上手い演技をしながら、たまに手がピクピク震えてるんですよ。「うわ~この人、『演技をする』っていう演技をしてるよ~」って思って。ああいうのを見ると嬉しくなります。あれ、やっぱり計算してやってるんでしょうね。
___ 
織田さんのインタビューの時に、役に沿った外し方をするとか伺いました。衛星の稽古場でもそんな感じだったと思います。
佐々木 
すごいですね。憧れます。
___ 
では、舞台に立った時の思い入れの深い体験は。
佐々木 
色々ありますね。でも特にFrance_panは忘れられないです。
___ 
私は拝見出来なかったんですが、実験的な試みだったそうですね。
佐々木 
本当に勉強になりました。凄まじい経験値を得られたと思います。感謝しています。感謝感謝です。
下鴨車窓
京都を拠点に活動する劇作家・演出家の田辺剛が主宰するユニット。(活動紹介より)
下鴨車窓#7「王様」
公演時期:2010/12/16~2010/12/23(京都)、2011/1/29~2011/1/30(広島)。会場:アトリエ劇研(アステールプラザ多目的スタジオ)。

タグ: 尊敬している人


ドヒャー!ワー

___ 
佐々木さんがお芝居を始められたキッカケを教えて頂けないでしょうか?
佐々木 
大学に入って軽音部に入ろうと思っていたんですが、新歓ブースに行ったら何だか違うなと思って。その時に西一風が新人募集をしていて、チラシで「演劇なんて壊してしまえ」みたいな事を言ってて。でブースに行ったら全然適当で、全然勧誘する気がなくて。「うわ~素晴らしいここ」って思ったんです。
___ 
というのは。
佐々木 
ガツガツしていないのが好きだったんですかね。音響希望で入ったんですけど、そのうち役者もやらされて。
___ 
最初はどうでしたか?
佐々木 
最初は演技ってものが全くできませんでした。僕、演技って嫌なんですよ。今はまあ、良くも悪くも慣れましたけど、当時はドラマとか観てても「はいはい演技やろ」としかなれなくて。台本を渡されても、これを読んで会話なんか出来るわけないやんと。
___ 
なるほど。
佐々木 
稽古でも、劇の会話というものが全く出来ずに全部棒読みしてました。本番二週間前になって、急に何故か、セリフ全部叫んでやってました。
___ 
誰にも何も言われないのに?
佐々木 
はい、勝手に叫んでました。
___ 
素晴らしい。
佐々木 
もうわからへん、ドヒャー!ワーって。したら高田さんが面白がってくれてそのまま舞台に上がりました。
___ 
佐々木さんは、なぜ叫ばれたのでしょうか?
佐々木 
とりあえずその、会話風にセリフのやり取りをするのが嫌だったんです。そんな、嘘に塗り固めてしまうんじゃなくて。嘘やでーって。
___ 
嘘であろうという疑念があったんですね。もしかして、ヤケクソだった?
佐々木 
そうですね。そのときの出てた役者たちの中で、圧倒的に僕が役者を出来ていないのが分かっていたし。まあ、とにかく本番はあるからどうにかしないと、と思っていました。
___ 
今でも叫びたいと思いますか?
佐々木 
う~ん・・・思いますね。僕は今でも普通の会話劇は、きっと出来ないだろうなと思います。今でも「いま僕は嘘のセリフをホント風にやっています」という声が聞こえてきて。
___ 
お芝居しながらご自身を批評しているんですね。
佐々木 
それはありますね。忘れたくないです。

タグ: 優しい嘘


もっと僕がクソになれたら

___ 
今後、どんな風に攻めていかれますか?
佐々木 
今年旗揚げして、ありがたい事に音響としての仕事も頂いてきて。努力クラブとしては、もっと僕がクソになれたらなと思っています。
___ 
クソとは、ナンセンスという事でしょうか?
佐々木 
そう言えるかもしれません。
___ 
例えば前回公演「牛らしさ」の時に、数字を数えるシステムのコントがあったと思うんですが、あれはナンセンスでしたね。
佐々木 
あれ、合田さんのインタビューの時に「時間の無駄でした」って言われてて、本当に「ああ、よかった」と思って。嬉しかったです。良い人やって。
___ 
ああ、良かった。あれは本当に見るだけ無駄でしたね。全然意味ないし。
佐々木 
そうですね。生産性が全くない作品で。
___ 
無価値な物って、この世にはなかなか無いと思うんですよね。空気でさえ価値があるし、ゴミでもなんでも燃やしたら暖かくなる。つまらない芝居だったら、次の誰かの芝居の肥やしになるかもしれない。でも、無駄な芝居はマイナスですよね。人を集めて何週間も稽古してあまつさえお金を取って、見せるのは0でもマイナスでもない、''。空白文字。リソースを無駄に使う。
佐々木 
確かにそうですね。
___ 
そんな馬鹿馬鹿しいから騒ぎが、実際楽しかったんですよ。
佐々木 
どうやったらよりマイナスなものを作れるか、計算出来るようになりたいです。

タグ: キチガイ 今後の攻め方


おもちゃセット

___ 
お話を伺えたお礼に、プレゼントがございます。
佐々木 
ありがとうございま~す。
___ 
どうぞ。
佐々木 
お~。クリスマスですね。(開ける)お~。ミスティスモーク、大爆笑ブーブークッション! それに丸メンコだ。
___ 
親戚のお子さんがいたら、ぜひ。
佐々木 
姉に子供が生まれたら使います。

タグ: プレゼント(ゲーム系)


卵かけご飯、大好き

__ 
今日はどうぞ、宜しくお願いします。
桐山 
はい! よろしくお願いします。
__ 
最近は、桐山さんはいかがでしょうか。
桐山 
中野劇団の本公演と、コント公演が終わって。年明けに東梅田落語倶楽部でネタ下ろしするので、その準備をしています。あとは土日どちらかの深夜にやみいちの稽古があって。平日は高校で教員をしているので、なかなかぼーっとする時間がなくて・・・
__ 
そうそう、桐山さんは落語をされるんですよね。確か、「玉子亭掛御飯」という名前で。すごく面白い名前ですよね。
桐山 
あ、そうなんですよ。まず名前で興味を持ってくださったりして。卵かけご飯、大好きなんですよ。
__ 
実は私も今日、食べてきました。
桐山 
おいしいですね~。
中野劇団
京都を中心に活動する劇団。脚本・演出の中野守氏の織り上げる、緻密なプロットのコメディ。
やみいち行動
面白い事や面白くない事をや面白いかどうかよく分からない事などを行う即興的演劇的行為集団。(公演チラシより)。年二回、京都大学文学部学生控室(通称ブンピカ)にて公演を行っている。脚本はなく、役どころの最低限の約束事によって成立する。無料。
中野劇団第13回公演「チャットルームでなぐり合い!」
公演時期:2011/11/4~6。会場:in→dependent theatre 1st。
「スイス金鉱」
スイス銀行主催のコントバトル企画。11月の第1回に、スイス銀行、ドアーズ、中野劇団の3団体が参加。
東梅田落語倶楽部
落語家・桂出丸に師事する社会人の落語演者集団。年に数回、大阪で発表会・寄席を行っている。

おいおい白身どうしてん

桐山 
いいですよね、卵かけご飯。
__ 
桐山さんは、卵かけご飯に何をかけて召し上がられますか?
桐山 
僕はバターをかけますね。あとはkiriというクリームチーズ、ポテトチップスを砕いてかけたり、サバ缶を炒めてかけて食べるのも美味しいですよ。
__ 
具材をかける系なんですね。
桐山 
それが、色んな変遷を経て、実は今はあまり何もかけてないんです。
__ 
それは、醤油しかかけないという事ですか?
桐山 
はい、醤油はかけます。色んな方にお土産として全国の醤油をもらったりするんですよ。そのぶん卵は上等なものをと心がけています。・・・卵の話ばっかりじゃないですか?
__ 
実は卵かけご飯は、このサイトのテーマの一つなんですよ。
桐山 
えっそうなんですか。知らなかったです、ごめんなさい。
__ 
いえいえ、どこにも書いていないので・・・。でも底流にしっかりとあると思います。
桐山 
そうなんですね。へええ。
__ 
考えるに、その、ご飯と卵だけがあの料理の要素だけではないのではないかと。具材の風味、出自という縦糸と、混ぜる時の気温や食べる人間の状態が様々に絡まり合う営みだと思っています。味覚にしたって複合体験な訳ですから、最も単純な料理ですが。風味と温度という、全く違う現象が一つになる体験そのものだと思うんです。
桐山 
マリアージュですね。
__ 
はい! そこに何をかけるかというのはけっこう重要なテーマだと思っています。私は最近、何もかけないんですよ。すると卵の甘みとご飯の甘みだけが・・・
桐山 
そうそう、そうですよね。ああ、ついにそこまで。
__ 
あえて塩味を外すことで、素材と繋がる。
桐山 
おいしいと思います。僕も醤油がたまたま無かった時にそうして食べて。それ、冷やご飯で作ると、卵の風味が生きますよね。
__ 
そうですよね! もう一つ考えなくてはいけないのは、白身について。欲張りな発想で、白身を抜いた黄身だけで作る玉かけご飯なんてものは・・・
桐山 
うーん。
__ 
ですよね。
桐山 
白身がおいしいんですよね。僕も、黄身だけを使う料理がなんとなく許せないんですよ。おいおい白身どうしてん、って。
__ 
白身には白身の味わいが、黄身とは比較されるまでもなく、確固として存在すると思うんです。黄身こそが美味しいという構造から脱却せずにご飯と卵を混ぜあわせてしまって、果たして僕らは多様性について語れるんだろうか、と。
桐山 
何か、卵かけご飯でここまで語り合えるんですね。嬉しいなあ。

狂ちゃんが今も

__ 
桐山さんがお芝居を始められたのは。
桐山 
僕は完全に大学からですね。最初はSF研究会に入ろうと思ってたんですが、新歓説明会行こうとして迷って辿りつけなくて。その時近くにあった潔癖青年文化団(現・劇団ケッペキ)の立て看を見て、新歓公演を観たんですよ。蓮行さんの「希望の島奇譚」という作品でした。
__ 
ああ、初演ですね。
桐山 
桶雅景さんも出てはって、役者さんがみんな凄く面白くて、大好きで。この人たちなんか本気で怒ったりしてる!って感動して。
__ 
その頃に、何か思い入れのある役はありますか?
桐山 
新人公演でケラリーノ・サンドロヴィッチの作品を上演した時に「バカの狂ちゃん」という役をやらせてもらいまして。終了後、「狂ってたよ」って言ってもらったんです。徹頭徹尾バカな彼に、ものすごく感情移入することができた感覚があって。何か、あの狂ちゃんが、今もまだ身体のどこかにいる気がするんですよ。たまに、うずくんです。
__ 
それが、桐山さんの演技のおかしみに通じているのかもしれませんね。
ケラリーノ・サンドロヴィッチの作品
劇団健康時代の「スマナイ。」という、映画「モンティ・パイソンのホーリーグレイル」のパロディ作品でした。バカの狂ちゃんは、周囲がおかしくなっていく中で、「バカにもいいとこあるですよ~」とひたすら楽しく歌い続ける役でした。(桐山さんより)

ツッコミはじめました

__ 
中野劇団とやみいち行動に出演される事が多いと思うんですが、二つを比べて、何だか笑いの形がちょっと違いますよね。
桐山 
そうだと思います。中野劇団ってきっちりと作るんですよ。中野さんが僕に求めている役割もあるのかな、とも思います。
__ 
中野劇団だとツッコミも多いですよね。やみいちはボケ倒しなのに。
桐山 
落語を始めてみて、それまでできなかったツッコミもやらざるを得なくなったんです。それで、いけると思って下さったのだろうか、と・・・。どういう風に見てはりますか?
__ 
変な話、中野劇団では笑いを取りに行く、やみいちでは笑われる、みたいな感じだと思うんです。その、とぼけたキャラクターは、ご自身のどこから出てきているのでしょうか?
桐山 
「とぼけた」・・・うーん、「とぼけた」という表現は、僕の中では「大人の余裕が出た表情」なんです。竹中直人さんとか。僕はどっちかというとむしろ、目の前の事に心奪われすぎてたりとか、突然来た事に反応しきれないというか、そういう、視野狭窄なんですかねー。あと、自分は多動気味なので、もしかしたらそういう部分が、そう思われるのか・・・。
__ 
多動気味! やみいちだと確かに、そんな感じですよね。
桐山 
それでそこに、何も言えないくらいどんどんセリフがかぶせられてくるから。焦って、えっえっ、てなって。

もう一度始める

__ 
桐山さんは、一時期芝居を遠ざかっていた時期がありますよね。
桐山 
そうですね、仕事に就いてから3~4年、遠のいていました。
__ 
もう一度始めるというのは凄くエネルギーのいる事だと思いますが。
桐山 
そうなんですよ、何の舞台を観ても辛く感じる事がありました。何で僕はあそこにいないんだろう、って。でもブランクが長かったので、芝居の世界にどう戻ったらいいのか分からなくて。活動再開したのは、由良部正美さんの舞踏のワークショップからでした。
__ 
あ、そうなんですね。
桐山 
それから、まだ何かやれるかも・・・、と少しずつ思えてきて。やみいち行動に復帰させてもらったり、中野劇団に出させてもらったり。これからも、働きながらできる範囲で続けていきたいな、と思います。

タグ: 俳優のブランク