泣ける下ネタ

__ 
結局下ネタが入るというのは、失敗ではないのですか?
西  
前回公演の「キャプテンクトゥルー年代記」では、最初はナシで行こうとしていたんです。でも、途中からすごく遣る瀬無い気分になってきて。結局は「泣ける下ネタ」を目指していました。
__ 
泣ける下ネタ! 最高じゃないですか。
西  
下ネタには、まだまだ可能性があると思うんです。
__ 
WillBeの作品「猫型ロボット」を拝見したんですが、よく西さんが舞台上でオナニーシーンを見せていましたよね。TENGAを使った。もちろんギャグとして、笑い易いようにして。男性の内向きの性欲が強烈に切り出されていたように思います。西さんにとって、下ネタはどのような存在であって欲しいのでしょうか。
西  
人間性を極端に表現する有効な方法だと思っています。僕はここまでさらけ出しました、もう丸腰です、かかって来なさい、そう叫ぶような表現です。
__ 
「猫型ロボット」では、西さんはTENGAをご自身の周囲に並べて叫んでいましたね。お尻を出しながら。当然、露出狂的な快楽とは違うと思いますが、では、舞台上で精神的にも肉体的にも裸になる事についてはどのように思われますか?
西  
実は、ちょっと性描写は苦手なんですよ。
__ 
ええっ。
西  
今は分からないですが、客席から見ていて、舞台の上の人が裸になると凄く生々しくて、直接的で、引くと思います。それは、僕の中に性描写についての文法がないからなんですが、「本当に?」って思っちゃうんですよね。
__ 
というと。
西  
それが本当に人間なんだろうか、って思うんです。セックスは人間性からは独立した現象なんじゃないか。アプローチとしての下ネタの方が、人間性を表現するのに適切ではないだろうか、って。
Will Be SHOCK Entrance Gate「さらば彼女の愛した海底都市 或いはキャプテンクトゥルー年代記」
公演時期:2011/2/12~14。会場:京都市東山青少年活動センター創造活動室。
Will Be SHOCK Entrance Gate 3rd OPEN「猫型ロボット~青いベストフレンドの伝言~」
公演時期:2009/6/12~14。会場:人間座スタジオ。

タグ: 性欲 世界がズル剥け 下ネタを考える 女性と下ネタ


質問 山本 大樹さんから 西 真人さんへ

Q & A
__ 
前回インタビューさせて頂きました、イッパイアンテナ山本大樹さんからも質問を頂いて来ております。「自分の事を、どう思いますか?」
西  
どんくさい。汗っかきだと思います。

タグ: 役者の汗を見せる


えっちな事は、いけないことじゃなくて

__ 
さて、何色何番の前回公演「不可解な国のアリス」大変面白かったです。西さんは脚本でしたね。あれはどういう流れで企画されたのですか?
西  
たかつさんとは、僕がWillBeの第二回公演の時に色々アドバイスをしてもらったんですよ。上演が近いのにしっちゃかめっちゃかだった作品に、「こうした方がいいよ」とかアドバイスをして下さって。それから親しくさせて頂いています。それから、何か一緒にやりたいねって。
__ 
なるほど。あの作品では完結はありませんでしたが、元はどのような。
西  
僕がリツゲイでやった作品なんですが、元は3時間くらいあったんですよ。結末も、主人公が殺人を認めて、でもそれは彼の世界と幻想の住人達全てを守る為の決断だったという少年ジャンプ的なものでした。
__ 
西さん演じる主人公は美を愛する系の絵描きロリコンでしたが、ご自身もロリコンなんですか?
西  
それはどうなんでしょうね・・・ロリ系も、熟女も好きです。
__ 
私はエロ漫画が好きなのですが、実はユニークな作風の作家により魅力を覚えるんですよ。ロリ系だと「うさくん」とか、「ゴージャス宝田」とか。
西  
ゴージャス宝田先生ですか! 僕も大好きです。
__ 
いいですよね。
西  
ゴージャス先生はどこかのインタビューで、「自分は12歳の少女の肉体精神の不安定さを描きたいんだ」みたいな事を言われていたんです。それをエロ漫画という、世間的には評価されない世界で頑張ってるのかと思うと、僕らも狭い範囲で芝居をしていて不安になる事も多いですが、その度にゴージャス先生の事を思い出して頑張っています。
__ 
そうそう。「キャノン先生トばし過ぎ!」の作中で、主人公の売れないエロ漫画アシスタント・ルンペン貧太が「エロ漫画家になるのが夢だった」と言った時、が海乃みるく先生が「嘘ぉ!?」って言ったじゃないですか。あのシーンが好きなんですよね。
西  
あそこはいいですよね。ラストで作品を仕上げる見開きのコマも燃えました。「えっちな事は、いけないことじゃなくて、隠してはいるけどとても大切な事だって。
__ 
言葉では全て説明されないんですけど、絵から伝わる表現でしたよね、あれは。
何色何番 色色(イロイロ)企画『不可解な国のアリス』
公演時期:2011/9/17~19。会場:アトリエ劇研。

タグ: ジャンプ!についてのイシュー 何色何番


交換ノート企画(宴)

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願い致します。最近はいかがでしょうか?
西  
あ、最近はピンク地底人の稽古が始まりまして。あとは、何色何番さんと十中連合さんとの合同企画が動き出しました。
__ 
あ、聞きました。凄く楽しみです。
西  
僕も楽しみで・・・。
__ 
台本を交換してやるんですよね。今から楽しみです。
Will Be SHOCK Entrance Gate
京都で活動している不思議チーム。劇団。西真人(脳浮遊茶之助)、田中浩之が所属。
ピンク地底人
京都の地下は墨染に生まれた貧乏な三兄弟。日々の孤独と戦うため、ときおり地上にあらわれては演劇活動をしている。夢は関西一円を征服することと、自分たちを捨てた母への復讐。最近は仲間も増え、京都を中心に大阪にも出没中。(公式サイトより)
何色何番
京都の片隅にてお芝居の活動をしています。(主に京都市内の北側にて)たかつかな と 村井春也。(むらいはるな)の二人で構成されています。よく「女の子らしい芝居だ」と評されるのですが、二人とも女の子なのでそりゃあそうだろうなと思います。等身大の生活(外世界)と自分(内世界)を、基本的に地味に、時々派手に創り上げます。毎公演ごとに色(テーマ)を決めて企画を練り、御馴染さんやその色に合った方を招いて、ユニット形式で公演を打っています。年に2回程の公演を心がけています。(公式サイトより)
十中連合
2009年大谷大学演劇部劇団蒲団座を母体に旗揚げ。京都を中心に現在5名で活動中。渡邉のSF(少し不思議)な脚本を元に、悲しいことも楽しいことも全て「茶番劇」に作り変えてしまう。(公式サイトより)

どこかに伸びて行きたい

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
西  
下ネタを極めて行きたい気持ちもあり、新しい何かをしたという気持ちもあり。そうですね、新しいとっかかりを探していかないとあかんのだろうなと思います。
__ 
新しい何か。今、何か見えていますか?
西  
自分が今まで、何をしていたのかを客観的に捉え直そうという気持ちがあります。下ネタだけだとしたら、やるにせよやらないにせよ、もっと価値のあるものを作っていかなければならないと思います。
__ 
方向性。
西  
もうちょっと演劇のことを好きになってみようと。今まで僕は、どんくさいオタクであっても演劇人としてのプライドは持たないように心がけてきました。でも、この間何色何番さんに参加させて頂いて、芝居をする事についての興味と言うか、執着というか、誇りというのがようやく人並に付いて来ました。とりあえず、どこかに伸びて行きたいなと思っています。

タグ: 「演劇を好きになる」 今後の攻め方


ピンクのウィッグ

__ 
今日はお話を伺えたお礼に、プレゼントがございます。エネマグラか、オナニーホール「俺の妹がこんなに締め付ける訳がない」かで迷っていましたが、結局これにしました。
西  
あ、ありがとうございます。開けても大丈夫ですか?
__ 
どうぞ。
西  
(開ける)これは。
__ 
ウィッグです。
西  
ありがとうございます。僕は、ピンク色のキャラクターが大好きなので。被っていいですか?
__ 
もちろんです。

タグ: プレゼント(装飾系) プレゼント(アダルティ系)


いつか粉になって

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。織田さんは、最近はいかがでしょうか?
織田 
宜しくお願いします。最近はそうですね、とてもありがたい事に途切れる事無く芝居に関われていて。良い感じでボロボロになりそうです。
__ 
ボロボロになると、どうなるんですか?
織田 
僕結構、ボロボロになるのが好きで。小学校の頃からサッカーをやっていて、ギリギリまで走ったり、がつがつボールに当たっていって。危険なんですけど。稽古で疲弊するのは、気持ちいいですね。
__ 
それは、カッコ良さですか?
織田 
カッコいいというよりは、生き急いでいる感じがしてて。命を削っている感覚が好きなんですよ。のんびりしたいというのもあるんですが、どんどん削って、30か40くらいで粉になって消えたいというのがあります。楽しいというより、今日も削れたなと実感出来るのがいいんですよ。
__ 
実感出来るのがいい。
織田 
オフになるとスイッチが切れて、ぼーっとしちゃうんで。演劇をしていないと何をしているのか分からなくなってしまうんです。
ニットキャップシアター
京都を拠点に活動する小劇場演劇の劇団。1999年、劇作家・演出家・俳優のごまのはえを代表として旗揚げ社会制度とそこに暮らす人々との間におこる様々なトラブルを、悲劇と喜劇両方の側面から描いてゆく作風は、新しい「大人の演劇」を感じさせる。日常会話を主としながら、詩的な言葉を集団で表現することも得意とし、わかりやすさと同時に、観客の想像力を無限に引き出す奥深さも持っている。(公式サイトより)

タグ: 生きている実感


これどうですか?

織田 
今は役者の他に小道具とか作らせてもらってるんですが、作るのが好きなんですよね。
__ 
なるほど。分かります。
織田 
むしろ本番より、稽古とか製作とかの方が好きで・・・本番も当然好きなんですけど。例えば本番当日に、アップで体を起こしたりする時間とかよりは、稽古でシーンを作っていくのが好きなんですよ。体を起こすためにうシーンをやったりとかじゃなく。
__ 
確かに、本番直前は新しく何かを製作する時間ではありませんからね。
織田 
最近出演させて頂いた「林檎の木の真ん中の心臓」とか、ニットももちろんそうですし、夏に出た少年王者舘も。演技を作る時に「これどうですか?」って出演者同士で会話するのが好きなんですよ。

第26回国民文化祭・京都2011「現代演劇の祭典」、企画委員会プロデュース公演「林檎の木の真ん中の心臓」

__ 
林檎の木の真ん中の心臓」。千秋楽に拝見しました。大変面白かったです。出演者が20名以上でも、一人一人が思い出せるくらい立ってましたよね。どのような稽古場でしたか。
織田 
とにかく上の世代の方々と同じ空間にいられたのが貴重でしたね。もう演劇始めたばっかの浅っい人間ですから、何も分からない同然で望みました。
__ 
織田さんが主に出てきたのは、第四章でしたね。朝平陽子さんと若夫婦を演じられていて。
織田 
実は当初、キャラクター優先で演技を作っていたんですよね。最初は面白がられたんですが、だんだん他のほとんどの出演者と方向性が違ってしまったんです。
__ 
というのは。
織田 
演出の方針はもちろん、上の世代の方は、気持ちで舞台に立つ事が出来ているんですよね。「そう想って舞台に立っているだけでいいんだよ」って、演出のキタモトさんに言われました。役柄上、色々と面白い動きは出来たんですけど、ニットではそれで通る事もあったんですけど、考えたネタが役柄を外れたり、作品のバランスを崩したりしていたんです。
__ 
なるほど。
織田 
稽古場で参考になったというか、凄いと思ったのはやっぱり岡嶋さんだったんです。僕は面白い事をやると役から外れるという事で悩んでいたんですが、岡嶋さんは役に合った外し方をするんですよね。俳優として芯があるからなのか・・・。で、稽古場でのスタイルも、役に合った外し方を沢山試されるんですよ。試した上で、どれかを選択するんです。引き出しの多さ、選択の仕方に、経験の深さを感じました。
__ 
今は、どのように思われますか?
織田 
もっとやれたんじゃないかと思っています。キャラ作りと調整で行けると思っていたんですが、そうではなかった。テンポとかも全然違った。爪あとみたいなのを残せればと思って空回りしちゃっていたんです。本当に、朝平さんとの関係で作らないといけなかった。
__ 
もし同じ舞台に立っていたのであれば、そのやり方は空気を通して伝わったというように思います。
織田 
そうだといいですね。やっぱり明らかに、他の方々は気持ちで立っていて、「それで立てるんだ!」て感心したんです。

タグ: 役をつかむ


質問 西 真人さんから 織田 圭祐さんへ

Q & A
__ 
前回インタビューさせて頂きました、西真人さんから質問を頂いてきております。笑顔を作ってと言われたら、どうしますか?
織田 
あ、僕笑うとすっごい笑顔になっちゃうんですよ。だから、極力力を入れて笑わないようにしています。
__ 
そうなんですね。普通に笑うと?
織田 
こういう風になります。
__ 
すっごい笑顔!

舞台に立てる身体

__ 
織田さんは、どういうところからニットキャップシアターに入られたのですか?
織田 
実は、***に入っていて。
__ 
あ、そうなんですか。
織田 
そこを卒業して、何をしようかと思っていたんです。でも随分前から、演劇をやってみたいという気持ちはありました。近い事をしていたとは言え、知らない世界だったんですよね。高校の時に演劇の発表をする授業があったんですが、その時に教えて下さった方に話してみたら、同じ高校出身者だった高原に会えまして。そこから「愛のテール」の稽古見学に参加させて頂きました。
__ 
いかがでしたか?
織田 
見学している僕が緊張していたんですよ。でもぼーっと見ているだけなのは何か違うなと、せっかくだからとメモをずっと取ってたんです。「なんだあのメモは」って思われていたみたいで(笑う)。そのうち、「良かったらスタッフとして参加してみませんか?」と、今に至ります。
__ 
初舞台は。
織田 
「クレームにスマイル」です。演技って思っていたよりむっちゃくちゃ難しいと思いました。他人から与えられたセリフをやるというのは、意外に動けない。どうしていいか分からないという戸惑いがありました。
__ 
その不可能感は、もしかしたら「林檎の木」で覚えられたものと根っこは同じかもしれませんね。
織田 
それはありますね。「クレームにスマイル」はキャラクターとか分からなかったから、なおさら。ただ、キャラを作れば僕は動けるという実感があったんです。立っていられるんです。
ニットキャップシアター第23回公演「愛のテール』(再演)
公演時期:2008/2~5。会場:名古屋、大阪、東京、福岡。
ニットキャップシアター第24回公演「クレームにスマイル』(再演)
公演時期:2008/11~12。会場:ART COMPLEX 1928(京都)、下北沢 ザ・スズナリ(東京)。

タグ: 入団の経緯


やっぱり通じているんですね

__ 
キャラ作りではなく役作りについて。どのようなアプローチがご自身にあると思われますか?
織田 
僕は、演じている役の気持ちというのは見ているお客さんには分からないんじゃないかと思っているんです。僕もお芝居を見るときは、こういう気持ちなのかなというのが分からなかったり。でも、「林檎の木」で上の世代の方々の芝居を見ると、気持ちで立っている事の安心感があるんですよ。あ、立っているって。僕も、そうした安心感を持てるようにしたいなと。
__ 
逆に言うと、織田さんの持ち味である不安定感や奇妙さというのとは相反するかもしれませんね。客席から見ていると、対象が人間である以上、どこか気持ちというのは見える事もあるかなと。
織田 
気持ちが見えるんですね。
__ 
ええ。
織田 
それは、僕にとっては結構嬉しい事ですね。いや、僕が出来ているとかではなくて。やっぱり通じているんですね・・・大丈夫なんですね。
__ 
いえ、やっぱり分かりますよ。本当に。

タグ: 奇妙さへの礼賛


気味悪さだったりおぞましさだったり

__ 
今後、織田さんはどんな感じで攻めていかれますか?
織田 
色んな役を死ぬほどやっていきたいですね。今回の役はこの役でした、ではなくて。複数の役を一人で引き受けてみたいです。
__ 
なるほど。
織田 
「チェーホフの御座舞」の時に、そういう役割だったんですよ。それが僕の中で一つの手応えだったんです。複数を分けてやれるなあって。これは僕の欠点でもあるんですが、積み重ねが出来ないタイプだと思うんです。つまり引きずらないから、切り替えるのが得意なんです。
__ 
切り替える。
織田 
その末に、気味悪さだったりおぞましさだったりを表現出来たらと思います。奇妙さを表現するのに、体を使ったダンスに興味があります。人間らしくない動きとか・・・。
__ 
あ、ちょっと分かります。
織田 
少年王者舘でも夕沈さんが振り付けをされていたんですが、バレエでもヒップホップとも違う、動きと言った方がいいようなダンスがあって、いい経験になりました。次の「さらば箱舟」で佐藤さんに振り付けと出演をお願いするんですが、凄く楽しみです。
あうるすぽっと+京都府立文化芸術会館+ニットキャップシアター+モノクロームサーカス 共同プロデュース『チェーホフの御座舞 ~『結婚申込』・『結婚披露宴』・『三人姉妹』~』
公演時期:2010/12月。会場:京都府立文化芸術会館(京都)、あうるすぽっと(東京)。

タグ: ダンスに興味あり 今後の攻め方


ポーチ

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持ってい参りました。
織田 
ありがとうございます。いま見ちゃって大丈夫ですか?
__ 
もちろんです。
織田 
(開ける)あ、ポーチですか? ちょうどこういうの欲しかったんですよ。うわあ。嬉しい。
__ 
ホントですか。

タグ: プレゼント(ポーチ系)


方向性について

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。
山本 
お願いします!
__ 
いきなりですが、山本さんはどんなキッカケでイッパイアンテナに。
山本 
まず、就活をする前に将来の事を考えてみたんですよ。真剣に。僕は世界に対して完璧主義というか、物事を始める時にその前提があるべきだと考えてしまうんですね。だから、舞台に立つ事なんて全ての人が当然持っている目標だと思っていて。何の疑いもなく。
__ 
なるほど。
山本 
大学に入って、まずバンドを始めてみました。したら全然違うんですよ。純粋に音楽が上手くなりたい奴もいれば、目の前のお客さんを沸かせたい人もいる。ギターで派手なパフォーマンスをしたいのもいれば、舞台の内側だけで浸ってる奴もいる。本当に、色んな志向があるんですよ。
__ 
ああ、それは確かに・・・表現をアクティビティの一つとしてみた時に、志向の違いはあるかもしれませんね。
山本 
僕は誰かの曲をやる時は、いわゆるカバーしたいんです。が、まんまコピーしたいという奴がいるんです。僕は、元々の歌詞を変えずに新しい意味を付けるのが得意でやってたんですが、元のニュアンスそのままで唄う事が一番だという人がいる。
__ 
へえ。
山本 
MCも違うんです。盛り上げるのと、紹介だけの人と。最初は許せなかったですね。盛り上げようとしないとか、やる意味があるのかって。でも、その後合宿したり練習したりしていく内に、この人の最高潮はこれなんだなって思えるようになったんです。皆フロントマンになりたいわけじゃないんやなって。それは逃げや自信の無さじゃなくて。
__ 
今の山本さんは、彼のコピーについて認めている?
山本 
認めてますね。それが彼の目標ですから。堂々としているのを見ていると嬉しいです。おっさんになった時も、変わらないでいてくれるかなあって。
イッパイアンテナ
同志社大学の学生劇団「同志社小劇場」のOBを中心として、2007年11月に旗揚げされた演劇団体。主な演目はコメディとコント。劇場を気持ちよく走り抜けるライブ空間にすべく日夜活動している。(公式サイトより)

質問 渡辺 綾子さんから 山本 大樹さんへ

Q & A
__ 
前回インタビューさせて頂きました、同じくイッパイアンテナの渡辺さんから質問を頂いてきております。「役者じゃなかったら何していましたか?」
山本 
そうですねー。役者をしたいという気持ちが根本的過ぎて、逆に気付かなかったんですよ。色々考えて、消去法的にやっと役者に辿り着いたんですが、その前は先生になりたかったんです。
__ 
あ、そうなんですね。何だか似合うと思います。
山本 
ありがとうございます、で、教職課程を取ったんですよ。でも授業には全然行かなかったんです。最低ラインで合格すればいいと思っていたんですが、その前に何故先生になりたいのか考えないとあかんと。整理して考えてその答えが出なかったら辞めようと思って一日考えたんです。最終的な答えは青春ドラマでの先生になりたかったんだと自覚して。文化祭でも生徒の自主性に任せるんじゃなくて、これやろうぜ、って言っちゃうんだろうなって。だから、その道は辞めました。

タグ: もう、辞めたい


売り方を自分達で

山本 
で、まあ結局自分の事を知って、俺は役者になると言ってたらバイト先のつながりで肥後橋輝彦に会って。僕芝居やりたいんですけど、って言ったら盛り上がったんですよ。「THE掘削」に出演させてもらって、そこでクールキャッツさんと会って。
__ 
あ、共演されたんですね。
山本 
この人とやりたいなってなって、4月の公演の打ち上げにお邪魔させて頂いたんです、その日誕生日だったんですけど・・・
__ 
おおっ。
山本 
「俺、イッパイアンテナに就職します」って言ったんですよ。
__ 
何故、イッパイアンテナだったのでしょうか。
山本 
めっちゃ売れたいととりあえず思っていました。それには事務所に所属したりとかが普通だと思うんですが、売り方を自分達で決めていったほうが面白いんじゃないかって。
__ 
なるほど、そう考えるとすごく自由ですね。

壁の中に生きる人々

__ 
山本さんは、役職に美術デザインとありますが。
山本 
僕は最初、小道具だったんですよ。で小嶋が舞台セットで、その上に載っているものは何でも僕が選んで集めてきたものでした。動かへんもの全部。このカフェで言うと、テーブルからイスまで。さすがにそれは死ぬほど大変なので、動かへんもののデザインを決めるようになって。ここはこういうデザインで行きます、って。結構いいポジションなんですよ(笑う)。
__ 
あ、そうなんですね。
山本 
今はチラシのデザインや文章の作成を任せてもらってます。ガツガツやっています。
__ 
そうそう、イッパイアンテナの美術は凄く可愛いですよね。
山本 
そのセットに住んでいるのは小粋な奴という設定なんですよ。イッパイアンテナの作品はパネルが置いてある事が多いんです。箱庭じゃないですけど、ちょい小粋な世界が見えるようになっています。
__ 
そういえば、室内である事が多いですね。それは何故でしょうか。
山本 
お客さんが位置している4つ目の透明な壁から見たシーン、という考え方をしています。そして、その中で生きている人間はちょっと過剰でもいいと思うんです。見守っていてくれているお客さんには、やっぱり僕らが考える面白い人達を見てもらいたいと思うんですよ。だから、壁=誰か一人の視点として、世界の住人がプリッと生きていて欲しいですね。

タグ: 舞台美術


アンテナ式舞台セットの作り方・山本さん編

山本 
舞台のイメージを考える時、「バカも休み休みYear!」とかの酒瓶の並べ方やら、ファイルナビゲーターのマネージャー専用のゾーンとか、もう僕の中で勝手に決めちゃうんですよね。それをミーティングに掛けてみて、それが脚本に取り入れられたり、逆に稽古での役者の動き方に影響を与えて、面白いシーンになったりするんです。
__ 
連携があるんですね。
山本 
結局、モノを作る時にかしこまってないんですよね。決められたルールは一旦外して考えています。大きくてそれだけで見ていてキレイなセットも凄いし、作れたらいいですけど、普段の生活で僕らが部屋に作っていっているインテリアだってそういう成り立ちをしているんじゃないかなと。
__ 
閉じられた世界の中に、色んな文脈が渦巻いていたり整理されたりしているんですよね。そうして、ルールやイメージが具体的な形を持ち始めるというか。
山本 
稽古を重ねていくと、ある時、小道具と役者と脚本が一つになる瞬間があるんですよ。そういう時はよっしゃ、となりますね。全力で遊ぶ事に大して、めっちゃ集中力が高くなります。
__ 
イッパイアンテナの具象舞台は一見ごちゃごちゃしているのですが、どこかに一体感がありキャラクター性を感じます。それだけでも見応えがありますね。
イッパイアンテナ9th session「バカも休み休みYear!」
公演時期:2010/9/17~20。会場:アートコンプレックス1928。

信じあえる人々

山本 
何か、京都の人の話すテンポが好きなんですよね。
__ 
というのは。
山本 
原始的な言葉で話が出来ると思うんですよ。俺がこのコーヒーが美味しいと思ったら、「このコーヒー美味しいね」って伝えるだけで済むんですよね。大阪だと「で?」と聞き返される所が、京都にいると「そうだね」って返してくれつと思うんですよ。
__ 
ああ、はんなりしていますからね。
山本 
ネタを求められるような会話は、いつでも面白さを求められているようで、息苦しい気がしていて。間を怖がらないで、何かちゃんと話せるペースが好きなんです。面白い口触りの会話なんかより、ずっと情報の交換が出来るような気がするんすよ。コーヒーを愛している気持ちだって、そのまま表現出来るのが嬉しいんです。原始的な言葉を使えるから。
__ 
抽象的な、とは違いますね。
山本 
うーん、相手の人の気持ちに対して信じあえるんですよ、そういう事を考えている人とは。激しい言葉を使った時も、落ち着いて話が出来るんですよね。