一緒にやってみよう

__ 
そう、村松さんはいつからイッパイアンテナに入られたのでしょうか。
村松 
僕は関東の大学に行っていて。東京で小さな劇団に入っていたんですよ。大崎と高校の頃一緒で、東京で芝居をやるからって声が掛かったんですよ。
__ 
あ、そうなんですね。あー、てっきり同志社の人だと思っていました。
村松 
全然京都人じゃないんです。京都に来たのは最近なんです。その芝居が結構ウケて、で、彼らと一緒にやってみようと。
__ 
いまは、イッパイアンテナではどのような役割をされているのでしょう。
村松 
役者と制作ですね。広報したりとか、団内の各種調整をしたりとか。劇団自体のプロデュースと舵取りは大崎がやっています。で、僕とクールキャッツ高杉で団内ユニットとしてマカロニフィンガーズというのをやっています。
マカロニフィンガーズ
イッパイアンテナのクールキャッツ高杉と村松敬介による団内ユニット。

タグ: 私の劇団について


構造

村松 
最近は、演じている素の自分をさらけ出そうという意識があります。演じていると、どうしてもカッコ良くしてしまうんですね。
__ 
ええ。
村松 
何故そうなるかというと、人に見てもらうからとか、後で自分で映像を見るから、とかなんですけどね。でも、そうするよりはありのままでやってみる方が面白いのかもなと。大崎が僕に振っている役を越えてカッコ付けると、これは笑えないなと。
__ 
周りの反応からそれが分かった?
村松 
それもそうだし、その前に、自分の演技が相手に対してどのような反応を起こすのかをもっと知りたいんですよ。テンプレート化された反応ではなく、本当の所はどうなんだろうという。周囲に気を遣える、本当にこの人はどう思うんだろうという想像が出来るようになりたいですね。
__ 
どういうやり方をすればよりリアルに見える、というアプローチの他に、他人への影響を洞察するという事ですね。
村松 
それが出来れば、舞台で、素の自分で生きる事がもっと出来ると思っています。感覚的な事なので言葉にしにくいんですけど。
__ 
例えばボケに対するツッコミをやる時に、どんな想像をするのでしょうか。
村松 
なんでツッコミが存在するかというと、一つにはボケを制裁する為の攻撃というのがあるんですよね。その時、どんな形でもいいのであれば成立させるのはあまり難しくないんです。でも、お客さんを含めた「周囲」を納得させる為には、何も考えずに叩いてしまってはダメだと思うんです。
__ 
というと。
村松 
普段の生活でも、誰かを注意する時はその人の今後の立場を考えるじゃないですか。会議の時に軽く叱ったり、隅でこそっと注意したりとか。後でどうなるかという事を考えながら叱っていると思うんですよ。その関係を面白く、例えば立体的に成立させるには論理だけでもセンスだけでもいけない。
__ 
関係を考える時の反射的な思考が必要という事ですよね。でも、本当に感覚と結びついているから、舞台でしか実現出来ない表現なんですよね。
村松 
それを繊細に作りこんでいく作品90分やるので、やっぱり集中力と体力が必要なんですよね。いや、どんな演劇も大変だと思うんですけど。

タグ: 俳優の「素」を生かす 繊細な俳優 言葉以前のものを手がかりに


肉迫

__ 
今後、村松さんはどんな感じで攻めていかれますか?
村松 
イッパイアンテナを主に活動していくんですが、次回は東京での公演もあります。今後は関東での公演も多くしていきたいですね。
__ 
なるほど。
村松 
それとは別に、マカロニフィンガーズでは色々な場所でやる事に興味があるんです。高杉とは青森のりんご園とか横浜中華街とかプールとかでやってみたいとか言っています。
__ 
それは面白そうですね。
村松 
劇場ではない、親しみのあるその場所を生かしたミニマムな公演を行なっていきたいですね。二人共色んな所に行ってみたいという気持ちもあるので。
__ 
少し前、京都ロマンポップの作曲担当の井村さんが、舞台に立っている演者が観客の興味と重なる事を導入にすべきという事を仰っていて。中華街のような特定の場所から、お客さんを世界に引きこむというのは一つの面白いアプローチだと思います。
村松 
ただ、難しいのはボーダーのお話で。カフェで公演するといっても、結局、お客さんのいる所が客席でこっちが舞台だ、みたいなカタチになってしまうんですよね。そこを如何に薄くしていくかが大きなネックで。どうしたらギリギリ近くのラインにまで寄せられるか。試行錯誤していますね。
__ 
劇団衛星のようにお客さんを世界に取り込んで役割を与えるとか、WANDERING PARTYのようにお客さんを儀式演劇の参加者としてお面を被せたり。
村松 
なるほど。
__ 
もしくは、ヨーロッパ企画のように、お客さんが近くに寄って来やすい空気感をプロデュースしたりとか・・・色々なやり方がありますよね。
京都ロマンポップ
2005年、当時立命館大学生であった向坂達矢(現・代表)、よりふじゆき(脚本家)を中心として旗揚げ。以後一年に2~3本のペースで公演。ポップな新劇というスタイルを取り、芸術的・哲学的テーマを基調とした演劇を製作する。
劇団衛星
京都の劇団。代表・演出は蓮行氏。既存のホールのみならず、寺社仏閣・教会・廃工場等「劇場ではない場所」で公演を数多く実施している。
WANDERING PARTY
2001年8月、結成。京都、大阪を中心に活動。「芸術と娯楽」は同義であることを追求すべく、現代美術、身体表現を換骨奪胎し、笑いと涙を誘う演劇づくりにいそしむ。2011年2月、解散。(公式サイトより)
ヨーロッパ企画
98年、同志社大学演劇サークル「同志社小劇場」内において上田、諏訪、永野によりユニット結成。00年、独立。「劇団」の枠にとらわれない活動方針で、京都を拠点に全国でフットワーク軽く活動中。(公式サイトより)

タグ: 空気感を大切にした 今後の攻め方


豚の置物

__ 
今日はお話を伺えたお礼にプレゼントがあります。どうぞ。
村松 
ありがとうございます(開ける)あ、これめっちゃいいです。
__ 
あまり可愛くない感じがいいですよね。
村松 
僕、インテリアに興味があって、こういう置物も好きなんですよ。これも飾っておきます。ありがとうございました。

タグ: プレゼント(インテリア系)


イッパイアンテナ12th session「討ち上げベイベー」

__ 
今日はどうぞ、宜しくお願いします。小嶋さんは、最近は次回公演の稽古という感じでしょうか?
小嶋 
はい。京都と東京で上演する予定の「討ち上げベイベー!」という作品です。
__ 
今回は何だか騒がしいタイトルですね。どのようなお話になるのでしょうか。
小嶋 
これは幕府が現代まで続いていたらという仮定で、AKO47士という、赤穂浪士をもじったアイドルグループがいる日本のお話です。
__ 
あ、つまり、西洋化されていない場合の日本ですか?
小嶋 
いえ、現代化はされていて、でも何となくの江戸文化が折衷している感じです。まだ、どうなるかは分からないんですけど。
__ 
そうそう、小嶋さんは役者と同時に舞台美術も手がけておられるんですよね。大変ですね。
小嶋 
そうですね、他の何人かと一緒に。同志社小劇場に入っていた大学一年からやっています。
__ 
なるほど。そういえば、イッパイアンテナは具象舞台が多いですね。
小嶋 
はい。舞台セットだけでどこまでリアルに近づけるかというのを意識しています。ただ、資料通りに作るのでは遊び心がないんですよね。美術デザインの山本と連携してやっていて、デザイン的にださくないものを意識しています。
__ 
あ、そうなんですね。いつも何か、妙にまとまったセットだなあと思っていて。
小嶋 
ありがとうございます。インテリア関係に興味のある人が多いので、その辺りのこだわりは負けたくないと思っています。
イッパイアンテナ
同志社大学の学生劇団「同志社小劇場」のOBを中心として、2007年11月に旗揚げされた演劇団体。主な演目はコメディとコント。劇場を気持ちよく走り抜けるライブ空間にすべく日夜活動している。(公式サイトより)
イッパイアンテナ12th session「討ち上げベイベー」
公演時期:2011/11/24~27(京都)、2012/1/13~15(東京)。会場:ART COMPLEX 1928(京都)、王子小劇場(東京)。

タグ: 会場を使いこなす


アンテナ式舞台セットの作り方・小嶋さん編

__ 
今まで一番、思い入れのあるセットは。
小嶋 
去年の年末にやった「無人島でコーヒー」。いつもの具象舞台なんですけど、インテリアではなくて野外を劇場の中にそのまま作ったんですよ。会場はほとんど森のようになっていました。
__ 
客席に入った時はびっくりしたでしょうね。
小嶋 
そうですね。出入口が見えないぐらいの暗がりがあって。そういう指定は全て大崎が指示して、それを僕らが近づけていく形です。まず設計をして、そこから打ち合わせ。大崎を始めとする稽古場のメンバーに伝わると、イメージが固まっていくんですよ。
__ 
おお。
小嶋 
すると大崎の方でも、「そういう設定の場所があるならこうしてみようか」って新しいアイデアが沸いてくるんです。まだセットは影も形もないですけど。
__ 
うーん。お話も部屋も、同時に作っていくんですね。
小嶋 
実は大崎も、稽古場で台本を足したり変えたりする事が多いので(笑う)舞台セットの案が台本に影響する事があるんですよ。作ったり設営したりするのは人手不足だから大変なんですけど、そういう事があると面白いなと思いますね。
イッパイアンテナ10th session「無人島でコーヒー」
公演時期:2010/12/17~20。会場:ART COMPLEX 1928。

タグ: 会場を使いこなす


アンテナは何も残さない・小嶋さん編

__ 
小嶋さんにとって、イッパイアンテナとはどんな劇団なのでしょうか。
小嶋 
僕はやる方も見る方も楽しいコメディが好きなんですけど・・・基本、見終わった後に何も残らないのが理想だと思っています。劇団としてもそういうコンセプトですね。そこはある種、短所としてメッセージ性が無いと言われるんですが、別に何かを訴えるつもりもないんです。ただ見に来てもらって「面白かった」と思ってもらえればと。次の日に何も覚えていない、でいいと思うんですよ。
__ 
なるほど。この10年、「終わった後に何も残らない」性については様々な劇団が理想としてきた境地だと思いますが、いかがでしょうか?
小嶋 
うちは、やっぱりハッピーエンドに近づける為にそういうコンセプトを掲げていますね。ネガティブな表現に対して、例えば人が死んだりとか、お客さんにそういう感情を覚えてもらってどうするんだ、という思いは個人的にはありますね。

タグ: 覚えてもらう ハッピーエンドについての考え方


質問 唐仁原 俊博さんから 小嶋 海平さんへ

Q & A
__ 
以前インタビューさせて頂きました、唐仁原さんから質問です。「柳川お疲れ様でした。好き勝手やる僕みたいな人と一緒に舞台に上がると大変な事も多いとは思いますが、今まで舞台上で一番焦った事はなんですか。人に言える範囲で結構です」との事です。
小嶋 
ありがとうございます。そうですね、これは本当にちょっとダメな話なんですが・・・。去年、Dogs on the trampというカフェ公演があったんです。そこで僕が刀で斬られて虫の息でテーブルに突っ伏しているというシーンがあったんですけど。
__ 
ええ。
小嶋 
僕はその公演中、役者の移動の管理の為に携帯電話を持っていたんですが、そのシーンの時だけ楽屋に置いてくるのを忘れてしまったんですよ。もちろんバイブモードにしてたんですけど、メールが来て、目を閉じたまま何でここに携帯があるんだって思っていました。
__ 
うわ。
小嶋 
そんなに動いちゃいけないシーンなので、バレないように携帯を切ろうとしたら、通話ボタンを押しちゃったんです。で、そのステージには仲のいい友だちが来ていて、ワンプッシュ機能でその友達に電話がいっちゃったんです。
__ 
奇跡が重なりましたね。もしかして、その友達も電話を切っていなかった?
小嶋 
カフェ公演だったので、マナーモードのお願いはしていなかったんですよね。友達も電話をパッてみたら、「小嶋海平」って出ていて、でも僕は目の前で死んでるんで(笑う)。電話に出たら二重音声状態で舞台からも電話からもセリフが聞こえるみたいな。
__ 
それは・・・今、世界で一番かかってこないはずの人から電話が来てるわけですからね。
小嶋 
舞台が終わった後に気づいて。あれは焦りましたね。
イッパイアンテナ8 1/2th session「Dogs on the tramp」
公演時期:2010/7/2~4。会場:DEN-EN。

あのオチはどういう意味?

__ 
前回の本公演、「ファイルナビゲーター」。大変面白かったです。悪夢のようなオチでしたね。
小嶋 
はい。大崎としては、平和に終わるだけじゃなくてエグい事もやりたいという気持ちがあるらしいです。
__ 
そう、スラップスティックな感じですよね。あのドンデン返しは要らないですからね。正直言って。
小嶋 
不思議なもので、ステージによっては大受けしたり、一切受けなかったり。アンケートにも「意味が分からなかった」とか「好きです」って書かれたりしたんですよ。いや~、難しいですよね、ホモ落ちは。
__ 
私の時は一切受けなかったですね。
小嶋 
最後、野球部部室に来ていた生徒会長と書記がゲイ関係だったという事が映像で明かされるじゃないですか。
__ 
ああ、あの生々しい。
小嶋 
あの時のスクリーンを出したのは、その二人だったんですよ。僕と村松が出しました。
__ 
あ、そうなんですか!
小嶋 
人手不足なんで。自分達の映像を自分達で出して、そして一切ウケない時があるんです(笑う)。本編のウケが良かった時は、何をやっているんだろうと思っていました。
__ 
でも、そういう普通はしないドンデン返しが出来るのがイッパイアンテナの強いところなんじゃないかなと思うんですよ。
イッパイアンテナ11th session「ファイルナビゲーター」
公演時期:2011/5/13~16。会場:ART COMPLEX 1928。

「ファイルナビゲーター」の思い出

__ 
今後、イッパイアンテナはどんな方向で行けば良いのでしょうか。
小嶋 
これまでは、今いるメンバーだけで出来る作品を追求していこうとしていたんですが、振り返ってみると反省点の多い内容だったんです。が、「ファイルナビゲーター」では一つの到達点が見えたんじゃないかなと思っています。
__ 
というのは。
小嶋 
それまでの作品では、シーンを繰り返し練習してもメンバーが演技を追求しきれていなかった事があったんです、が、ファイルナビゲーターの時は集中出来たんですよ。実は、メンバー同士で色々言い合ったんです。
__ 
喧嘩したんですか。
小嶋 
いや、そこまでの事はしないですけど。「その芝居、つまらんわ」って冷静に。何でも言える環境にはなったのかなと思います。
__ 
大事ですよね。言い合う事で、バラバラなメンバー同士でも信頼が出来ますもんね。
小嶋 
お互いに言い合ったから、じゃあ次は相手はやってくれるようになるし、だから自分もやらなきゃいけない。役者同士の掛け合いも、個人プレーも安定してきたと思います。ここは大丈夫、ここを乗り切れば大丈夫、というポイントが明確になっていったと思うんです。失敗した時も次のこの見せ場でみたいな、感覚が出来ました。
__ 
なるほど。
小嶋 
ウチは全員で紡いでいく方針なんですよ。何でも言えるようになったという事と、芝居の全体の流れを(言い方悪いですけど)コントロール出来たという感覚。これが大きな収穫だったと思います。今回の「討ち上げベイベー!」では客演さんもいて、初の東京公演ですし、これまでの成果が試される機会なのかなと思います。まずは、11月の京都公演でもっとイッパイアンテナの名前を知って頂ければと思っています。
__ 
頑張って下さい。とても楽しみにしております。

タグ: 反省Lv.3


試行錯誤だけじゃないやり方

__ 
今後、小嶋さんはどんな感じで攻めていかれますか?
小嶋 
この間柳川さんで客演をさせてもらって、全く違うところのやり方を学べたので、とても勉強になりました。それを生かして、イッパイアンテナをベースに、どんどん外にも出ていければなと思っています。
__ 
ああ、「昔、柳川がいた」ですね。どうでしたか。
小嶋 
大変でしたね(笑う)。いつも参加している作品と全く違うので、戸惑う事はありました。会話の返し方も違うし、台本の解釈も違うし、ドツボに嵌りそうになって・・・でも、競演している二人の先輩が稽古場で色々な事を試しておられて、それが全て面白かったんです。短い稽古期間でしたが、スムーズに吸収出来たと思います。
__ 
次に、同じような短い作品を作るとしたらどのような事に気をつけたいですか?
小嶋 
競演した浦島さんが仰っていたんですが、「やり過ぎると良くない」んですよ。どうしても感じる事が出来なくなってしまう。演技の解釈やタイミングを繰り返し試行錯誤すると、中身に取り込まれて面白さを感じる事が出来なくなるんですね。
__ 
面白さの論理は知り尽くすのに、外から見た時の味が分からなくなると。
柳川presents「昔、柳川がいた。」
公演時期:2011/10/29~30。会場:アトリエ劇研。

タグ: 色んなものを吸収 後輩たちへ 稽古期間が短いピンチ 今後の攻め方


ユアンソープ・檜

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントがあります。どうぞ。
小嶋 
ありがとうございます。(開ける)ユアンソープ?
__ 
自然素材の製品だそうですが、実際いいものらしいです。檜タイプです。
小嶋 
あ、良い匂いしますね。使います。ありがとうございました。

タグ: プレゼント(化粧品系)


アトリエ劇研でのワークショップ

__ 
今日はどうぞ、宜しくお願いします。
堀川 
お願いします。
__ 
京都へは、確かワークショップで何度も来られるんですよね。
堀川 
はい。11月は再来週14、15日。12月は12~13、1月は4~5にアトリエ劇研で開催します。
__ 
どのような内容なのでしょうか。
堀川 
今回やっているのは、本当に凄く基本的な事なんですよ。あまり普通のワークショップでは扱われないぐらい。例えば11月には立ち方について扱います。
__ 
姿勢の取り方という事でしょうか。
堀川 
実は、キレイな立ち方は俳優が自分で気を付けていても中々難しい事なんですよ。私は体が右に落ちているので、そのままでは客席にまでセリフを伝える事が出来ないんですよね。伝わらないから、言葉の力が弱くなる。
__ 
それは初めて聞きました。それは、シンメトリーである事が美しいという事になりますか?
堀川 
長台詞をばーっと言う時に体が左右どちらかに落ちていると言葉の伝わりが悪いと思うんです。左右どちらかに落ちていると、声のベクトルがずれてしまう。直接言葉を伝えるには、体をまっすぐにするのがベストだと思っているんです。それは片方の鼻が詰まっているだけでも変わります。だから、自分の体のどこがウィークポイントで、どこをまっすぐにしないといけないかを知る、というワークショップにしようと思います。
__ 
そうなんですね、そんな基本的な事をされるんですね。
堀川 
やっぱり20年・30年・・・と生きてくると、生活によって体がどこかに偏っていくんですね。
__ 
あ、そういう話は聞いた事があります。左にヴァイオリンを持ち続けたヴァイオリニストが、重心が左になって、楽器をもってやっとバランスが取れるようになったとか。
堀川 
そういうことを、参加者の方が指摘しあうワークショップにしたいと思っています。
世田谷シルク
2008年1月「15 minutes made vol.3」で旗揚げ。特徴は「踊る大人の絵本」。脚本・演出の堀川炎が考える芸術作品を行う団体。2009年より本格的に劇場で公演を行う。アングラや一律の会話劇でもなく、独特の照明と音響演出で美しい舞台を追求し、多人数のダンス群舞を得意とする。2010年、「第4回公演 渡り鳥の信号待ち」にて世田谷区芸術アワード”飛翔”舞台芸術部門賞受賞。(公式サイトより)

タグ: 肉体、重心 ユニークな作品あります 立ち方 アングラ演劇という価値


[model:unkei]

__ 
私が初めて世田谷シルクに出会ったのは去年の末でしたね。15 minutes madeでした。あの時の作品、面白かったです。
堀川 
ありがとうございます。
__ 
先ほどワークショップの件で仰っていた通り、俳優がモノローグを言う時には客席正面にまっすぐに向かっていましたね。堀川さんにとって、俳優にそういう台詞の出し方を求めるのはどうしてですか?
堀川 
普通に台詞を言うのは面白くないなと思っていて・・・私は元々、山の手事情社という前衛的な作品を作るカンパニーに研修生として入っていたんです。だから演劇の面白さを追求する時に、普通は気付かない角度から考えるようにしているんだと思います。
__ 
なるほど。
堀川 
あの作品では他にも、背景に文字が流れたりとか出演者が懐中電灯で自分を照らしたりとか。会話シーンも、内面の吐露だけではなく、見せ方を色々工夫してた気がします。
__ 
確かに、会話シーンはあくまで構成要素として扱われていましたね。
堀川 
対話は本公演でもやるんですけど、ぱっぱと切り替わるような、身体表現やダンスがめまぐるしく変わる構成にする事が多いです。
__ 
ああ、だからちょっと不思議な感覚だったんですよね。映像アート作品をみている感覚がありました。
15 Minutes Made
東京の劇団・Mrs.fictionsによるショーケース公演。6団体がそれぞれ15分程度の作品を上演する。

タグ: 「異なる角度から」 工夫する俳優 前衛は手法から作る人々を指す


夜の公園で

__ 
それから3月に震災がありましたね。
堀川 
その時もショーケース公演で、しかもウチの上演時だったんですよ。舞台に立っている俳優は気づかなかったんですが。
__ 
ええ。
堀川 
途中で上演を止めて・・・お客さんを外に出して、新宿御苑の公園に行って。上演中止になりました。でもその後7月に同じショーケースが企画されて、その作品の続きが出来たんです。でも、最初とは内容が変わりました。
__ 
『轟くヘヤー!!』ですね。あらすじをHPで拝見しましたが、パチンコ店のお話だそうですね。
堀川 
はい。地震を受けて、あの時の色々を反映した作品にしたかったんですよね。節電中のパチンコ店という設定で。面白そうだと思ったんですよ。
堀川 
ありがとうございます。
『轟くヘヤー!!』あらすじ
朝、パチンコ店の前に行列を作って並ぶ男達。今日は80年代アイドル・エミリーユウナの新台が出る日。彼女はアイドル絶頂期に謎の引退をしているが、未だにそのファンは多い。店内では新しいバイトの面接が始まっていたが、やってきた夢見はエミリーユウナにそっくりで「弟を探すためにお金を貯めたい」と言う。そこで店長は採用を決める。オープンした客のフロアに夢見が現れると、男たちは本物のエミリーユウナだと思いこみ、熱狂的な声援を送るが夢見はとまどいを隠せない。やがて夢見が手をかざしておまじないを唱えた台が確変にはいり、玉があふれフロアを満たし、ついには裏モード「エミリーユウナの過去」に突入する。それはエミリーユウナがアイドルまでの軌跡を描いたダイジェストだった。その時、店長は店の隅でイカサマをしていた寺部を見つけ、問いただす。しかし彼はエミリーユウナは自分の姉で金持ちだからこんなことはやってないといい、事務所のテーブルにあった夢見の履歴書を見て自分の姉だといいはる。だが、夢見の年齢は20代、寺部は50近いことから、店長は取り合わない。そこへ夢見が帰ってきた。お姉ちゃんとすがる寺部。頭がおかしいといい寺部をつまみだした店長に、夢見はこう言った。「相変わらず髪ぼさぼさだったなあ、あの人、あたしの弟なんです。女は、いつでもアイドルでいたいんです。」
♪ お部屋のなかで轟いて(ヘヤー)
♪ 髪振り乱して轟いて(ヘヤー)
♪ 全部がめちゃくちゃ轟いて(ヘヤー)
♪ いいも悪いも轟くヘヤー!!
(公式サイトより)

タグ: 夜の公園で


笑える芸術

__ 
いつか本公演を見たいと思っていました、世田谷シルク。京都でも来年、公演されるんですよね。とても楽しみにしております。さて、これまで転機になった公演とは。
堀川 
あ、第一回から今までの全ての公演が転機です。
__ 
そういえば、HPに掲載されているチラシの変遷を見ると、毎回方向性が変わっているような印象を受けました。
堀川 
あえて言うなら4回目の公演で、毎回出て下さる役者さんたちがいなかったので不安もあったんです。だけど意外と、やったらできちゃって。
__ 
ええ。
堀川 
しかもすごく運のいい事に、世田谷区芸術アワード”飛翔”舞台芸術部門賞というのも頂けて。結局、ある意味凄く孤独な状態で作っていたのが逆に良かったのかもしれません。
__ 
ずっと転機だったという事は、方向性を固定せずに、公演を作る時にはその時の面白さを大切にしているという事ですか?
堀川 
私はまだ、自分の方向性を分かってないんですよね。毎回違うよね、と言われています。色んな事を試したいと思っているんです。それと、原作がある場合が多いので、毎回変わるのは自然なことかもしれません。
__ 
では、今後舞台を作っていく上で、どういうものが拠り所になるのでしょうか?
堀川 
本当は、エンターテイメントが好きなんです。笑える芸術を目指して活動中という事にしているんです。わははって。
__ 
なるほど。
堀川 
前衛的な演劇作りは自体は自由に出来るんです。山の手事情社でもやってきたし。でも、それだけではエンターテイメントにはいけないんですよね。ちょっといびつかもしれませんが、自分が今まで培ってきた技術を生かして、お客さんが心から笑えるような作品を作りたいと思います。

タグ: 作家として不安はない


質問 井村 匡孝さんから 堀川 炎さんへ

Q & A
__ 
前回インタビューさせて頂きました、京都ロマンポップの作曲家・井村さんから質問を頂いて来ております。重たい質問です。「1.ハンバーグがウリのお店に4、5人で入りました。みんなハンバーグを頼む流れになっていますが、あなたは今とてもカレーライスが食べたい。そのとき、あなたはどうしますか?」
堀川 
カレーライスを頼みます。あまりその時の空気を読まないので・・・食べたい時に食べたいものを食べたいですね。
__ 
素晴らしい。ちなみに井村さんはハンバーグにするそうです。
堀川 
えらーい。偉いと思う。
__ 
「2.演劇には本当にBGMは必要なのでしょうか?」ちなみに、井村さんは芝居の主役は俳優だと考えており、完全な添え物として作曲するとの事です。
堀川 
私はあまり、音楽をBGMとしては使わないですね。ダンスの曲としては使います。
__ 
というと。
堀川 
誰かが会話するシーンで、雰囲気を盛り上げる為に掛けるような使い方はしないですね。絶対この曲でなければならない、という曲を素材としてしか使いません。
__ 
なるほど。
堀川 
ダンスする時に、次のフレーズの8カウントでこういう演技をする、という使い方です。だから、その曲のメッセージがお客さんの耳に届いて、シーンが形作られるのが理想です。

COMME CAとANNA SUI

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
堀川 
これから定期的に、東京だけではなく京都でも公演をやれたらと思っています。
__ 
あ、いいですね。楽しみです。では、どんなお芝居を作って行きたいですか?
堀川 
「SF=すこしふしぎ」というコンセプトを掲げているんですが、そんな作品を作りたいですね。あと、男性はおしゃれな作品が苦手だと思うんですよ。おしゃれすぎず、でもスタイリッシュなものがいいんじゃないかなって思っています。
__ 
お洒落すぎず、しかしスタイリッシュな?何だか分かるような気がします。東京っぽい感じですよね!
堀川 
東京らしい作品って、私の中ではカットチェンジが多くて、パッパとシーンが切り替わるようなのを思い浮かべます。何かわかんないけど(笑う)、SFな感じで、都会っぽさを出していけたらと思います。
__ 
堀川さんの東京的な洗練さとは。
堀川 
コムサにアナスイを足したみたいな・・・ボーダーの世界にチョウチョを足したみたいな。
__ 
では、京都はどんなイメージですか?
堀川 
和ですね。今日も着物の女の子をたくさん見たんですよ。
__ 
私も今日見かけました。気合の入った感じのは舞妓さんなんだと思います。

タグ: 転調 今後の攻め方


かんさい絵ことば辞典

__ 
今日はお話を伺えたお礼に、プレゼントがあります。どうぞ。
堀川 
ありがとうございます。あ、本だ。えー、かわいい。今の私にピッタリですね。
__ 
絵が可愛いんですよね。
堀川 
これから関西、マスターしないと。
__ 
この本のいい所は、アクセントがきちんとついているんですよ。今の関西弁をよく表していると思います。

タグ: プレゼント(書籍系)


出会いは夜

__ 
今日はどうぞ、宜しくお願い申し上げます。
井村 
こちらこそ、宜しくお願いします。京都ロマンポップで作曲を担当させて頂いております、井村と申します。
__ 
ありがとうございます。高橋と申します。さて、井村さんは京都ロマンポップには「幼稚園演義」から参加という感じですか?
井村 
いえ、東京公演からです。最近入ったばっかりで。
__ 
あ、さかあがりハリケーンからなんですね。入団前はどのような事を。
井村 
高校時代から音楽活動はしておりまして、大学に入ってからバンドを組んでいました。芝居はというと、実は高校生から寺山修司の作品が好きで、「田園に死す」を見てました。あと、東京グランギニョル。そのぐらいから、演劇の連中は頭おかしいという事には気づいていたんですけど。
__ 
ああ、そうなんですね。入団されたきっかけは。
井村 
京都ロマンポップには、偶然入ったバーの向うに向坂がいたんです。「僕、バンドやってるんですよ」って言ったら、「いいねえーじゃあ曲作ってよ」って。
__ 
おお、バーテンにスカウトされるのは面白いですね。
井村 
何か直感で声を掛けられて・・・。気がついたら入団していました。まあまあ、やってみたら面白かったんで良かったです。
京都ロマンポップ
2005年、当時立命館大学生であった向坂達矢(現・代表)、よりふじゆき(脚本家)を中心として旗揚げ。以後一年に2~3本のペースで公演。ポップな新劇というスタイルを取り、芸術的・哲学的テーマを基調とした演劇を製作する。現在、次回公演さかあがりハリケーンvol.5
「ミミズ50匹(仮)」
の出演者募集中。
京都ロマンポップ第11回公演『幼稚園演義
公演時期:2011/8/26~30。会場:元・立誠小学校講堂。