最初に全部決めている。でも・・・

__ 
その京都ロマンポップ「人を好きになって何が悪い」。みどころは。
七井 
京都の学生劇団全部に声を掛けて、参加者を募りました。今までの京都ロマンポップで一番参加者が多いんですよ。
__ 
あ、そうなんですか。
七井 
今までの中では、わりと明確に何かを言おうとしている作品じゃないかなと。
__ 
私も京都ロマンポップの作品を全部拝見している訳じゃないですが、珍しい気がしますね。
七井 
決め打ちじゃないけど、最初から言いたい事は決まっている。それがどういう風になっていくのかなと思っています。
__ 
最初に全部決めている。
七井 
でも、作る過程まで決めきっているわけじゃないので。これからの稽古でどんな風になっていくのか。楽しみなところですね。

高田会計さんの言えない表情

__ 
ロマンポップの公演はこれまで5回拝見しています。特に最近のコント公演のめちゃくちゃさ加減が、個人的にはすごくお気に入りです。全員白塗りのメイク、衣装は袴。まさに大正ロマンな雰囲気で。
七井 
うんうん。
__ 
なのに、全くミスマッチなコントを持ってくるような姿勢が好きなんですよ。逆上がりハリケーンで、高田会計さんが向坂さんに、ある日コンビニに入ってきた変な女の話を聞かされるシーンがあったと思うんですけど。それを聞いている白塗りの高田さんの表情がたまらなかったですね。呆れ顔とも無表情ともとれない、曰く言いがたい顔でした。あれはよく作られたなあと。
七井 
あの公演で高田君の評価は一部でうなぎ登りでしたね。
__ 
伺いたいのですが、七井さんから見て、ロマンポップの魅力とは。
七井 
全員が、真面目に物事を考えているんですね。今なぜ演劇をやることについて、真面目に考えている、という事ですね。真面目だからいいというだけじゃなくて、何かを乗り越えようとしている意志を感じるんです。非常に主観的ですけど、そういう姿勢に魅力を感じます。
__ 
七井さんも、ご自身はそういう姿勢なのですか。
七井 
そうですね。実は大学卒業後に、劇団態変というカンパニーに出会ったんです。
京都ロマンポップのさかあがりハリケーンvol.1「苦しみを煮込んで喰え」
公演時期:2009/8/15~16。会場:アトリエ劇研。
劇団態変
主宰・金満里の「身体障害者の障害じたいを表現力に転じ、未踏の美を創り出すことができる」という着想に基づき、身障者自身が演出し、演じる劇団として 1983年より大阪を拠点に活動を続けている。(公式サイトより)

タグ: 衣裳・時代物


持っていいんだ

七井 
そこでは演出補という役割で、2年半ほど関わらせてもらいました。そこの主宰が行っている身体表現研究所という教室に通いつつ、何度か公演にも関わらせて貰って。
__ 
劇団態変といえば、身体障害者による非常に見事な舞踏やパフォーマンスをされていると伺っています。ご自身にとって、どのような経験でしたか?
七井 
 すごくストイックなカンパニーですね。思想に非常に信頼を置いていて。だからこそ、自分たちの表現の社会における意味を常に捉え返しているのだと思います。
__ 
というと。
七井 
私の口から語るより本当に観て貰ったほうが早いのですが、例えば。何の志も持たない表現活動では、何をやっても障害者が健常者に踊らされているんでしょ・・・って常にそう見られかねないところにいる。だからこそ我々がこれをやるということに対して明確なポリシーを持っておられます。そしてそういったものを持つべきなんだ、もってもいいんだと学びました。そこからの影響が大きいです。ポリシー云々に関しては健常者である私が語れることではないので、あくまで感想です。

バカバカしい、意味のなさそうに見える

七井 
で、自分でも舞台に立とうと思った時期に向坂と出会ったんです。
__ 
最初の印象は。
七井 
最初に見たのは大学の追い出しコンパで、何やら危なそうなのがいるなと(笑う)。
__ 
そこから、ロマンポップの旗揚げに。
七井 
はい。旗揚げから5年ですね。途中何回か出演しない公演もありましたが。
__ 
ところで京都ロマンポップ、3年くらい前とは結構印象が違う気がします。西部講堂での「宇宙人Xの言葉」を見た事があるんですが、テイストも違うし、演出のスタイルも違うように思います。イメージを明確に打ち出す、みたいな。
七井 
演出が向坂に変わってから、ですね。公演を重ねるにつれ、彼の中でのイメージも練れてきているのかなと思います。「ドイツ!ドイツ!ドイツ!」あたりからかな。
__ 
それに、ビジュアル的に鋭くなっているように思うんですよ。アートコンプレックス1928でのコント公演で、学生服の彼が踊った舞踏は非常にかっこよかったです。コント公演でありながら、無常性が常に舞台にあったように思います。
七井 
向坂はあまり褒められない性質らしいので、言ってやってください(笑う)。バカバカしい、意味のなさそうに見えるんだけど、ディテールに込められた意味をくみ取ってくれると嬉しいんですよね。
京都ロマンポップ第六回公演「宇宙人Xの言葉」
公演時期:2007/9/23~24。会場:京都大学西部講堂。
京都ロマンポップ第七回公演「ドイツ!ドイツ!ドイツ!」
公演時期:2008/5/16~18(京都)。2008/6/14~15(大阪)。会場:京都市東山青少年活動センター(京都)。ロクソドンタブラック(大阪)。

タグ: その人に出会ってしまった


質問 筒井 加寿子さんから 七井 悠さんへ

Q & A
__ 
前回インタビューさせていただきました筒井さんからご質問をいただいてきております。1.「来世でもやっぱり役者になりたいですか?」
七井 
はい。おそらくなりますね。
__ 
2.オタクの女性についてどう思いますか?
七井 
好きですね。流行にのっかってオタクやっているというよりは、壊れてるんじゃないかというくらいの人の方が好きです。
__ 
個人的な嗜好を大切にする人の方が。
七井 
そうですね。それは男性でも女性でも同じく。

だんだん余分なものを取って、余白が残って

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
七井 
今やっているロマンポップの芝居なり、自分の演技のあり方なりが全体的に過剰なんですよ。情報量だったり、熱量だったり。抽象的な話なんですけど。
__ 
というと。
七井 
とある役者の方に、沢先生を見に来ていただいて感想を伺ったんですよ。「テンションの高い会話劇だよね」って。荒削りって。それは事実、普通の会話でもテンションが高いんですよ。何でかなというと、脚本家が「芝居は観客をレイプする事なんだ。みんな、普通の人は見たくないんです、気違いを見たいんです」と常々言っていて。
__ 
なるほど。
七井 
するとどうしても、なんだか会話がおかしくなってくるんですよね(笑い)。例えば、静かな演劇の脚本をロマンポップでやったら全然違う方向になると思うんです。
__ 
そうかもしれませんね。
七井 
私個人の目標としては、今後はそれを削ぎ落としていく方向になるんじゃないかなと。
__ 
削ぎ落とす。引き算していくという感じでしょうか。
七井 
一つの表現に収斂させていくというよりは、だんだん余分なものを取って、余白が残って・・・という方向になったら何か出来るのかなと。舞台に立っていても、そういう実感があるんです。
__ 
わびさび、ですね。多分、理解するのは簡単だけど作るのはめちゃくちゃ難しい美だと思うんですよ。何というか、京都では受け止められやすい表現の方向だと思ういます。
七井 
何にせよ、まだまだ余白よりも伸びしろのある劇団なので、先の話でしかないんですが。

タグ: 揺らぎ、余白 情報量の多い作品づくり 静かな演劇と「出会う」 舞台にいる瞬間 今後の攻め方


瓶入りサイダーのアソート

__ 
今日はお話を伺えたお礼に、プレゼントがございます。どうぞ。
七井 
ありがとうございます。あ、でかい(笑う。開ける)おおっ。
__ 
サイダーです。5本あります。
七井 
へー。かわいいなあ。ありがとうございます。

タグ: プレゼント(食品・飲料系)


ルドルフ「授業」

__ 
今日はよろしくお願いします。ルドルフ「授業」終わりましたね。本当に面白かったです。
筒井 
ありがとう、本当に嬉しい。
__ 
不条理劇でありながら、ドライな手触り。まとう雰囲気は可愛らしい作品だったように思います。筒井さんにとってはどんな作品でしたか?
筒井 
最終的には自分が当初イメージしたものとは違うものになったけど、おもしろい方達と、納得のいくものが作れてよかったですね。
__ 
当初のイメージとは。
筒井 
とくにこんな風になるはず!とか思ってたわけじゃないです。作品は最初台本を読んで思い描くものとは大概違うものになるので・・・・・・あまり深い意味はありません。ただ、作品がもつ軽さと不気味さが混在したような雰囲気とか、人間が抱えてる普遍的な問題のようなものはしっかり描きたいと思っていたので、そこらへんはわりとうまくいったのではないかなあと思っています。
ルドルフ
京都で演劇を上演する集団。
ルドルフ「授業」
作・ウージェーヌ・イヨネスコ。演出・水沼健。出演・金替康博[MONO]・筒井加寿子・永野宗典[ヨーロッパ企画]。公演時期:2010年6月10~13日。会場:京都芸術センター。

もしかしたら廃墟かもしれない

筒井 
芝居って基本的には全部ウソですけど、舞台で演じている人を見て、この人たちものすごく本気になってしまってるっていうのがすごく伝わってきて心を動かされる瞬間が私は凄く好きで。ウソのなかにチラッとみえる本物の瞬間が作れたらいいなあって思います。
__ 
会話劇でも何でも、そんな瞬間ってありますよね。そういう舞台に立ち会った時、本当に嬉しいですよね。
筒井 
今回の作品でも、金替さんもすごくいい目をされるので、見てるだけで私も引き込まれることが何回もあってやってて楽しかった。お客さんも作品に乗ってきてくれてるなあと思える瞬間がありましたし、嬉しかったです。
__ 
そうそう、上演中のお客さんの乗り方も良かったですね。後でお聞きしますが、例の空気砲のとことか、「おお~」ってなってましたよ。明らかに反応のあった舞台でした。
筒井 
お客さんの感想で一つ心に残るものがありました。セットの手前にボロボロになったトイレがあったんですけど、今現在使われている様子はないので、ここがもしかしたら廃墟かもしれないとか、ここにいる人物は確かにここにいるけども、もしかしたら生きてるわけじゃないのかもしれない。それから劇中に出てくる鉛筆とかノート等の小道具を本物ではなくて全部A4の紙を丸めたりして使ってたんですが、その紙をナイフにして人を刺すと本当に死んでしまったりする。そういう、「ある」と「ない」の混在が面白いと言ってくれたんです。嬉しかったですね。演出の水沼さんのアイデアが良かったと思います。
__ 
そうそう、舞台上の設定が、シーンによって全然正確じゃなかったりしましたよね。疑問に思うのが楽しみな時間でした。今思い返してみても、まだ森をさまよっているような気がします。全然正確な芝居じゃないんだけど、ファンシーな感覚は確かにあるみたいな。
金替康博さん
MONO所属俳優。
永野宗典さん
ヨーロッパ企画所属俳優。
水沼健さん
MONO所属俳優。壁ノ花団主宰。

タグ: SeizeTheDay


永野くん上手に飛ばさはるわ

__ 
印象に残っているのが、女中(永野さん)の頭を教授(金替さん)が紙のナイフで刺すシーン。刺された後の永野さんの何食わぬ顔が面白かったですね。筒井さんは刺されて死んだのに、演劇のウソのウソそのものでした。
筒井 
あれ、みんなどういう風に思ったんだろう。
__ 
まず、よく出来たメタ的ネタだなと思いました。あの瞬間、教授のうさん臭さが本当にウソになったんだけど、それは演劇というシステムが最初からウソなので、実は何もおかしくないみたいな。で、最後にはもう一度筒井さんがインターホンで喋ってて、一番最初のシーンにもどるし。
筒井 
円環構造になってましたね。あのナイフのシーンは、教授と女中と生徒三人の関係をよくあらわしている象徴的なシーンだと思うので私は気に入ってます。紙を使った演出を最大限に活かせたと思います。
__ 
あとは、空気砲の演出が美しかったですね。
筒井 
美しかったっていうのは初めて聞いた(笑う)。あれ、上手いこと飛んでたもんね。永野くん上手に飛ばさはるわと思ってた。
__ 
四角く区切られた空間で丸い三次元の気体が捩れの関係で飛んでいったから美しかったんじゃないかなと。視覚的に衝撃的で美しかったし、壁の設定をその際に無視するという思い切りの良さも感じました。
筒井 
そっか、あの方向がね。
__ 
で、飛んでいった対象が筒井さんだったから、女中の生徒に対するある種の感情が表現されていた。コンタクトに科学的な力を使うという、訳の分からなさがよかったんですね。そこで筒井さんを襲う寒気が一気に視覚化されたんじゃないかなと。
筒井 
最初はドライアイスを使ってたんだけど、ドライアイスが空気より重いせいで上手く飛ばなかったんですよ。それでスモークマシンの煙を箱に入れて飛ばしました。タイミングと方向を定めるのが難しかったみたいですが、最終的にうまくいって良かったです。

タグ: 出来ない!難しい!演技


ぽろっとこぼれたもののなかに

__ 
奥村泰彦さんによる舞台セットもとても雰囲気が良かったですね。あ、そう言えばあのトイレ、誰も使ってませんでしたね。
筒井 
あれは、演出の水沼さんと奥村さんが話し合う中で、最初は見栄えの問題から出て来たものなんです。手前に仕切りがあったほうがいいし、仕切りがあるとすればその前になんか置きたいよねということになって、それじゃあトイレを置こうという流れになったそうです。あの汚れて壊れた感じは奥村さんが考えてくださいました。
__ 
あの、ひびの入ったトイレを。
筒井 
制作室に直にセットを組んで稽古をしていたんですが、特に稽古中大きく使うこともなくて、ずっとただただ置かれてただけだったんですけど、誰も「これいらないんじゃない?」とかは言い出さなくて、ずっとなんとなく残されてきたんです。私も、なんかわからんけど合うなあってどっかで思ってたから特に違和感も感じませんでしたし。それに、舞台が終わってから、多くのお客さんが帰り際にトイレをチラチラ見てたというのをある方から聞きまして。
__ 
そうそう。
筒井 
気になったんでしょうね。使ってないから余計かもしれません。あのトイレみたいな、作り手がはっきりと意識した上ではない表現って大事だなと思うんですよ。こうこうこういうふうにしてって作り手はいっぱい考えるけど、そういう意識的にやったところからぽろっとこぼれたもののなかに作品の本質が現れるっていうのは、今回に限らずいろんな作品を見るうえで一番おもしろいところかもしれません。もちろんそういうものは、偶然ではなく、意識的に作ってこそ生まれるものだとは思いますが。
奥村泰彦さん
MONO所属俳優。

タグ: 汚す 会場を使いこなす


質問 永野 宗典さんから 筒井 加寿子さんへ

Q & A
__ 
前回インタビューさせていただいた、永野宗典さんから質問を頂いてきております。1.男性のどんな部分に魅力を感じますか?
筒井 
芝居の事関係ないんや(笑う)。男性・・・。昔は笑かしてくれるという意味で面白い人が好きだったんだけど、だんだんオモロイにもいろいろあるなあ思うようになりまして、今は特に笑いにかぎらずなんかしら面白い人が好きです。この人面白いなと思ったら皆魅力的。あと、何の役にも立たないようなくだらないことを一生懸命やる人が好きです
__ 
2.自分の好きな部分はどこですか?
筒井 
好きなところか。時には嫌いなトコにもなるんだけど、すぐ夢中になる事かな。人から見たら迷惑な事かもしれんけど。

タグ: 一生懸命を描く


深く掘り下げて理解していく

__ 
今後、どんなふうに攻めていかれますか?
筒井 
ルドルフとしては、次はまた演出をすると思います。基本的に自分で脚本を書くつもりはなくて、既成の脚本を上演するという形自体に変わりはないんですが、それを舞台作品にしていくプロセス自体を見直したいと思っています。これまでは本読みして2ヶ月間バーッと稽古して本番やって、っていう流れだったんですけど、それだけだと不十分な気がしてます。作品のなかでどういうところをどういう風に表現するのかということについて、私だけでなく俳優・スタッフと共同で深く掘り下げて理解していくにはどんな手順を踏めばいいかなあって今考えてるところです。

タグ: 今後の攻め方


日常的にサラッと。

筒井 
あとこれは俳優としても演出としてもなんですけど、こんなん普通の事かもしれないけど、人物の無意識的な部分を考えるのが好きで。台本に書かれてあるセリフはその人物がある程度意識して発してるものだと思うんですけど、その奥に隠れてるけど確実にある無意識的な部分を考えて創り上げていくのが、演劇のおもしろいところのひとつなんじゃないかなと。
__ 
というと。
筒井 
日常生活の時のちょっとしたセリフの言い方を作るのでも、けっこう難しくて面白いんですよ。たとえば、「わかりました」というセリフがあるとして、それを(口ではこう言ってるけどなんかいまいち信用出来ないなあ)って受け取られるような表現にするとしたらそんなに簡単じゃないと思うんです。口で「わかりました」と言いながら、「信用できない感じ」を身体のどこかで表現したりとか、返事するタイミングを考えたりとかになるかもしれませんけど。今年の1月に上演した『熊』でも男女が痴話喧嘩をするシーンがあったんですけど、痴話喧嘩というからには喧嘩しながら「ホントはお互い好きなんちゃうん」ってお客さんに思ってほしいけど、そんなんどうやったら作れるのかなあってすごく悩みました。人間ってそういう複雑なことを日常的にサラッとやっててすごいと思います。
__ 
無意識の表現が表現される意識だけではなく、無意識も組み上げるんですね。「授業」ではそもそも原作からしてそういう要素が強かったですね。
筒井 
うん。演出の水沼さんが最初に思い描いたのが、生徒の私がはしごを降りて登場するっていう演出だったそうなんですけど、これは無意識のなかに降りていったととることもできますね、という感想を聞いて、おーと思いました。
__ 
あー、考えて見れば不思議ですね。どうしてこう、行間よりもさらに隠れた無意識というのが舞台を見る上で際立つのか。
筒井 
なんででしょうね。わかりませんけどおもしろいと思うので考えていきたいところです。
ルドルフ×このしたやみ企画 チェーホフ「熊」
アトリエ劇研提携公演・京都芸術センター制作支援事業。公演時期:2010年1月22~25日。会場:アトリエ劇研。

かまわぬのてぬぐい4種

__ 
今日はお話を伺えたお礼に、プレゼントを持ってまいりました。
筒井 
本当、ありがとね。私の好きなAngeだ(開ける)はっ。これめっちゃ嬉しい。手ぬぐい?
__ 
そうですね。


憧れのはじまり

__ 
今日は、ヨーロッパ企画の映像スタッフである山口淳太さんと大阪大学大学院でメディアアートの研究をしている西尾さんにお話を伺います。どうぞ、よろしくお願いいたします。まず、山口さんに・・・。どういう経緯でヨーロッパに入られたんですか?
山口 
2005年に、まだ高校生だった頃に参加させてもらったんですけど、それまで全然劇団や演劇なんて知らなくって。
__ 
あ、意外と最近だったんですね。
山口 
大学受験が終わって、ヒマな期間があったんです。その頃から「踊る大捜査線」がとにかく大好きで。本広克行監督が大好きで、監督のHPを見てたら、「サマータイムマシン・ブルース」ヨーロッパ企画の名前があったんです。何だろうこれはと、さっぱりわからなくて。
西尾 
ええ。
山口 
リンクを辿ったらヨーロッパ企画のHPに行って。そこで、次に上演するのが「平凡なウェ~イ」。見に行ったんですよ。何も分からずに。
__ 
いかがでしたか。
山口 
それ見て、うわってなって。面白そうだったんです。自分でもやりたいと思ったんですよね。HP見たらスタッフ募集をやっているから、面接に行って。
西尾 
どんなのだったんですか?
山口 
芝居の半分が映像だったんですよ。上田さんが言うには、映画の舞台挨拶ってそれまでスクリーンに映っていた人が出てくるとうわってなる。そこを狙ってたんですね。それ見て僕、面白そうだなと思って。
ヨーロッパ企画
98年、同志社大学演劇サークル「同志社小劇場」内において上田、諏訪、永野によりユニット結成。00年、独立。「劇団」の枠にとらわれない活動方針で、京都を拠点に全国でフットワーク軽く活動中。(公式サイトより)
ヨーロッパ企画「サマータイムマシン・ブルース」
ヨーロッパ企画公演。大学の野球部にタイムマシーンがやってきた夏の午後。力の抜けたSF舞台。
ヨーロッパ企画第17回公演「平凡なウェーイ」
公演時期:2005年2月~3月。会場:京都・東京・大阪各地にて。

ショートショート・ムービーフェスティバル

西尾 
ヨーロッパ企画さんは何か、劇団なのに、当たり前のように他のメディアを視野に入れて活動されてますよね。
__ 
SSMF(ショートショート・ムービーフェスティバル)とかね。あ、西尾さんはSSMFの大阪予選会に行かれたんですよね。
西尾 
はい。行きました。
山口 
今年は例年以上にクオリティ高いなと思いましたね。
西尾 
そうそう。アニメーションがあって、めちゃめちゃ面白かったです。
__ 
今回は山口さんも出品されましたね。すごく面白かったです。大阪予選も通って。
山口 
通ってよかったです。
__ 
劇団であるヨーロッパ企画がこういう企画をするのが面白いですよね。
ショートショートムービーフェスティバル
ヨーロッパ企画による映画祭。5分以内の映像作品を集め上映し、投票によりグランプリを決定する。

西尾さんはメディアアートを研究中

山口 
西尾さんはいま、どんな研究をされているんですか?
西尾 
メディアアートという、現代芸術のジャンルです。芸術側からと、工学側からと、同時並行で授業を選んで勉強してます。具体的には、テレビやパソコンをカンバスとして使うような芸術ですね。
山口 
拡張芸術、最近ようやく聞くようになりましたよね。
西尾 
やっぱりお金が掛かるんで、政治が絡んでくるんですよね。例えば、一つ展示をしようと思ったら100台モニタが必要になったりするんですよ。そうなると電機メーカー企業の協賛をマネジメントしないと展示出来ないですよね。
山口 
それはどこがやってるんですか?
西尾 
作家が自分でとりつけるか、企業が募集することもありますよ。お金が会社に入る訳じゃないけど、文化メセナになるんで、企業にとってもイメージアップになるし。・・・それ専門の展示施設がそろそろ出来るかもしれないんですよね。近畿にも。ただ、うまく行くかどうか・・・お客さんが来るかどうかなんですよね。
山口 
やっぱり手が届きづらいですよね。
西尾 
まだまだ入り口が狭くて、広い客層が楽しめるような作品の絶対数が少ないんです。そこが一つ、問題なんですよ。

タグ: 政治とパーティー


マレビトの会とロメオ・カステルッチ

山口 
最近見た、メディアミックス作品というと。
西尾 
松田正隆さんですね。
__ 
マレビトの会ですね。あれこそまさに映像メディアと演劇の融合で。
西尾 
客席一つ一つにモニタがついていて、それが舞台の様子を監視カメラっぽく移したり、それと同じシーンなのに微妙に違う映像を流したり。
山口 
ええっ。オペどうしてるんですか。
西尾 
YCAMでの滞在制作だったらしいから、そこの専門家がやってたんじゃないですかね。
山口 
すごいですね。
__ 
芝居自体は、乾いたシリアスタッチの情景でしたね。あの空気感は確かに松田正隆作品でしたね。
西尾 
私も解読するのに3日くらい掛かりました。一緒に行った人と散々喋って。見には行ったんですけど、どういう頭で見ればいいのか全然分からない。
__ 
東京にもいっぱいあるのかな、こういうのは。
西尾 
FESTIVAL/TOKYOという催しで一番評判の良かったロメオ・カステルッチの作品が良かったです。
山口 
どういう表現だったんですか?
西尾 
後半まで、ずっと一般のブルジョア家庭を淡々とした演技で見せるんです。最後のシーンで父親が息子に性的な暴力を与える。
山口 
淡々と。
西尾 
そう、セリフが聞き取れないくらい小さい声で。で、更にその後、いきなり舞台上がスペクタクルに移るんですよ。もの凄い大きさの花が背景を流れていくんですけど、丸く切り取られた枠の向こうを映像にしか見えない実物のセットが通り過ぎていくという。
山口 
ええ、まじっすか。
西尾 
どう見ても映像なんですよ。リアルだけど映像に見えて、でも実物っていう。ちょっと観客どよめいてたんです。ピントのボケ方が絶妙で、これは凄かったです。
松田正隆
マレビトの会を主宰する劇作家。
マレビトの会「PARK CITY」
公演時期:2009/8/28-29(山口県)、2009/10/24-25(滋賀県)。会場:山口情報芸術センター、滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール。
マレビトの会
2003年、舞台芸術の可能性を模索する集団として設立。代表の松田正隆の作・演出により、2004年5月に第一回公演『島式振動器官』を上演する。 2007年に発表した『クリプトグラフ』では、カイロ・北京・上海を巡演するなど、その活動は海外にも広がる。非日常の世界を構想しながらも、今日におけるリアルとは何かを思考し、京都を作品製作の拠点として創作を続ける。
山口情報芸術センター(YCAM)
山口県山口市。メディア利用に特化したラボを有する複合文化施設。展示スペース・劇場も併設。多数のメディアアート作品や舞台芸術が研究・制作されている。

タグ: 非日常の演出 暴力


明和電機とロボット演劇

山口 
僕、たまたま知り合いが同志社大学の同じような学部に知り合いがいて、ちょっと色々聞いてるんですよ。作品を作るだけじゃなくて開発も同時にしないと行けないんですよね。
西尾 
そうですね。
山口 
何か、授業で作ってはりますよね。それがすごいなと思って。
西尾 
そうなんですよ。パソコンから作っちゃう勢いで。ゲイナーっていう、USBにつないでプログラムを仕込む機器があって、それとモニターを繋いで展示環境から作ったり。
__ 
ああ、もう明和電機ですね。
西尾 
そう、明和電機。意外に日本のメディアアートは世界から注目されているんですよ。明和電機、凄いですよ。ホントにモノから作っちゃうし、パフォーマンスもするし。オーストリアでの最大のメディア博覧会にVIPで呼ばれてて。ヨーロッパからみると、日本人の「遊びを加えつつ、ゼロから自分たちで作ってしまう感」がびっくりするらしいんですよね。別会場では、DSとかWiiも置かれてた。
山口 
そういう技術を取り入れてる演劇も増えるでしょうね。絶対融合出来ますよね。
__ 
平田オリザさんの「ロボット演劇」がそうですね。
西尾 
あれ凄かったらしいですね。ほとんどの観客が「人間味を感じた」って。
__ 
不気味の谷を超えちゃってたんですね。

タグ: 日本人の美意識 ロボット演劇