質問 筒井 加寿子さんから 七井 悠さんへ

Q & A
__ 
前回インタビューさせていただきました筒井さんからご質問をいただいてきております。1.「来世でもやっぱり役者になりたいですか?」
七井 
はい。おそらくなりますね。
__ 
2.オタクの女性についてどう思いますか?
七井 
好きですね。流行にのっかってオタクやっているというよりは、壊れてるんじゃないかというくらいの人の方が好きです。
__ 
個人的な嗜好を大切にする人の方が。
七井 
そうですね。それは男性でも女性でも同じく。

だんだん余分なものを取って、余白が残って

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
七井 
今やっているロマンポップの芝居なり、自分の演技のあり方なりが全体的に過剰なんですよ。情報量だったり、熱量だったり。抽象的な話なんですけど。
__ 
というと。
七井 
とある役者の方に、沢先生を見に来ていただいて感想を伺ったんですよ。「テンションの高い会話劇だよね」って。荒削りって。それは事実、普通の会話でもテンションが高いんですよ。何でかなというと、脚本家が「芝居は観客をレイプする事なんだ。みんな、普通の人は見たくないんです、気違いを見たいんです」と常々言っていて。
__ 
なるほど。
七井 
するとどうしても、なんだか会話がおかしくなってくるんですよね(笑い)。例えば、静かな演劇の脚本をロマンポップでやったら全然違う方向になると思うんです。
__ 
そうかもしれませんね。
七井 
私個人の目標としては、今後はそれを削ぎ落としていく方向になるんじゃないかなと。
__ 
削ぎ落とす。引き算していくという感じでしょうか。
七井 
一つの表現に収斂させていくというよりは、だんだん余分なものを取って、余白が残って・・・という方向になったら何か出来るのかなと。舞台に立っていても、そういう実感があるんです。
__ 
わびさび、ですね。多分、理解するのは簡単だけど作るのはめちゃくちゃ難しい美だと思うんですよ。何というか、京都では受け止められやすい表現の方向だと思ういます。
七井 
何にせよ、まだまだ余白よりも伸びしろのある劇団なので、先の話でしかないんですが。

タグ: 揺らぎ、余白 情報量の多い作品づくり 静かな演劇と「出会う」 舞台にいる瞬間 今後の攻め方


瓶入りサイダーのアソート

__ 
今日はお話を伺えたお礼に、プレゼントがございます。どうぞ。
七井 
ありがとうございます。あ、でかい(笑う。開ける)おおっ。
__ 
サイダーです。5本あります。
七井 
へー。かわいいなあ。ありがとうございます。

タグ: プレゼント(食品・飲料系)


ルドルフ「授業」

__ 
今日はよろしくお願いします。ルドルフ「授業」終わりましたね。本当に面白かったです。
筒井 
ありがとう、本当に嬉しい。
__ 
不条理劇でありながら、ドライな手触り。まとう雰囲気は可愛らしい作品だったように思います。筒井さんにとってはどんな作品でしたか?
筒井 
最終的には自分が当初イメージしたものとは違うものになったけど、おもしろい方達と、納得のいくものが作れてよかったですね。
__ 
当初のイメージとは。
筒井 
とくにこんな風になるはず!とか思ってたわけじゃないです。作品は最初台本を読んで思い描くものとは大概違うものになるので・・・・・・あまり深い意味はありません。ただ、作品がもつ軽さと不気味さが混在したような雰囲気とか、人間が抱えてる普遍的な問題のようなものはしっかり描きたいと思っていたので、そこらへんはわりとうまくいったのではないかなあと思っています。
ルドルフ
京都で演劇を上演する集団。
ルドルフ「授業」
作・ウージェーヌ・イヨネスコ。演出・水沼健。出演・金替康博[MONO]・筒井加寿子・永野宗典[ヨーロッパ企画]。公演時期:2010年6月10~13日。会場:京都芸術センター。

もしかしたら廃墟かもしれない

筒井 
芝居って基本的には全部ウソですけど、舞台で演じている人を見て、この人たちものすごく本気になってしまってるっていうのがすごく伝わってきて心を動かされる瞬間が私は凄く好きで。ウソのなかにチラッとみえる本物の瞬間が作れたらいいなあって思います。
__ 
会話劇でも何でも、そんな瞬間ってありますよね。そういう舞台に立ち会った時、本当に嬉しいですよね。
筒井 
今回の作品でも、金替さんもすごくいい目をされるので、見てるだけで私も引き込まれることが何回もあってやってて楽しかった。お客さんも作品に乗ってきてくれてるなあと思える瞬間がありましたし、嬉しかったです。
__ 
そうそう、上演中のお客さんの乗り方も良かったですね。後でお聞きしますが、例の空気砲のとことか、「おお~」ってなってましたよ。明らかに反応のあった舞台でした。
筒井 
お客さんの感想で一つ心に残るものがありました。セットの手前にボロボロになったトイレがあったんですけど、今現在使われている様子はないので、ここがもしかしたら廃墟かもしれないとか、ここにいる人物は確かにここにいるけども、もしかしたら生きてるわけじゃないのかもしれない。それから劇中に出てくる鉛筆とかノート等の小道具を本物ではなくて全部A4の紙を丸めたりして使ってたんですが、その紙をナイフにして人を刺すと本当に死んでしまったりする。そういう、「ある」と「ない」の混在が面白いと言ってくれたんです。嬉しかったですね。演出の水沼さんのアイデアが良かったと思います。
__ 
そうそう、舞台上の設定が、シーンによって全然正確じゃなかったりしましたよね。疑問に思うのが楽しみな時間でした。今思い返してみても、まだ森をさまよっているような気がします。全然正確な芝居じゃないんだけど、ファンシーな感覚は確かにあるみたいな。
金替康博さん
MONO所属俳優。
永野宗典さん
ヨーロッパ企画所属俳優。
水沼健さん
MONO所属俳優。壁ノ花団主宰。

タグ: SeizeTheDay


永野くん上手に飛ばさはるわ

__ 
印象に残っているのが、女中(永野さん)の頭を教授(金替さん)が紙のナイフで刺すシーン。刺された後の永野さんの何食わぬ顔が面白かったですね。筒井さんは刺されて死んだのに、演劇のウソのウソそのものでした。
筒井 
あれ、みんなどういう風に思ったんだろう。
__ 
まず、よく出来たメタ的ネタだなと思いました。あの瞬間、教授のうさん臭さが本当にウソになったんだけど、それは演劇というシステムが最初からウソなので、実は何もおかしくないみたいな。で、最後にはもう一度筒井さんがインターホンで喋ってて、一番最初のシーンにもどるし。
筒井 
円環構造になってましたね。あのナイフのシーンは、教授と女中と生徒三人の関係をよくあらわしている象徴的なシーンだと思うので私は気に入ってます。紙を使った演出を最大限に活かせたと思います。
__ 
あとは、空気砲の演出が美しかったですね。
筒井 
美しかったっていうのは初めて聞いた(笑う)。あれ、上手いこと飛んでたもんね。永野くん上手に飛ばさはるわと思ってた。
__ 
四角く区切られた空間で丸い三次元の気体が捩れの関係で飛んでいったから美しかったんじゃないかなと。視覚的に衝撃的で美しかったし、壁の設定をその際に無視するという思い切りの良さも感じました。
筒井 
そっか、あの方向がね。
__ 
で、飛んでいった対象が筒井さんだったから、女中の生徒に対するある種の感情が表現されていた。コンタクトに科学的な力を使うという、訳の分からなさがよかったんですね。そこで筒井さんを襲う寒気が一気に視覚化されたんじゃないかなと。
筒井 
最初はドライアイスを使ってたんだけど、ドライアイスが空気より重いせいで上手く飛ばなかったんですよ。それでスモークマシンの煙を箱に入れて飛ばしました。タイミングと方向を定めるのが難しかったみたいですが、最終的にうまくいって良かったです。

タグ: 出来ない!難しい!演技


ぽろっとこぼれたもののなかに

__ 
奥村泰彦さんによる舞台セットもとても雰囲気が良かったですね。あ、そう言えばあのトイレ、誰も使ってませんでしたね。
筒井 
あれは、演出の水沼さんと奥村さんが話し合う中で、最初は見栄えの問題から出て来たものなんです。手前に仕切りがあったほうがいいし、仕切りがあるとすればその前になんか置きたいよねということになって、それじゃあトイレを置こうという流れになったそうです。あの汚れて壊れた感じは奥村さんが考えてくださいました。
__ 
あの、ひびの入ったトイレを。
筒井 
制作室に直にセットを組んで稽古をしていたんですが、特に稽古中大きく使うこともなくて、ずっとただただ置かれてただけだったんですけど、誰も「これいらないんじゃない?」とかは言い出さなくて、ずっとなんとなく残されてきたんです。私も、なんかわからんけど合うなあってどっかで思ってたから特に違和感も感じませんでしたし。それに、舞台が終わってから、多くのお客さんが帰り際にトイレをチラチラ見てたというのをある方から聞きまして。
__ 
そうそう。
筒井 
気になったんでしょうね。使ってないから余計かもしれません。あのトイレみたいな、作り手がはっきりと意識した上ではない表現って大事だなと思うんですよ。こうこうこういうふうにしてって作り手はいっぱい考えるけど、そういう意識的にやったところからぽろっとこぼれたもののなかに作品の本質が現れるっていうのは、今回に限らずいろんな作品を見るうえで一番おもしろいところかもしれません。もちろんそういうものは、偶然ではなく、意識的に作ってこそ生まれるものだとは思いますが。
奥村泰彦さん
MONO所属俳優。

タグ: 汚す 会場を使いこなす


質問 永野 宗典さんから 筒井 加寿子さんへ

Q & A
__ 
前回インタビューさせていただいた、永野宗典さんから質問を頂いてきております。1.男性のどんな部分に魅力を感じますか?
筒井 
芝居の事関係ないんや(笑う)。男性・・・。昔は笑かしてくれるという意味で面白い人が好きだったんだけど、だんだんオモロイにもいろいろあるなあ思うようになりまして、今は特に笑いにかぎらずなんかしら面白い人が好きです。この人面白いなと思ったら皆魅力的。あと、何の役にも立たないようなくだらないことを一生懸命やる人が好きです
__ 
2.自分の好きな部分はどこですか?
筒井 
好きなところか。時には嫌いなトコにもなるんだけど、すぐ夢中になる事かな。人から見たら迷惑な事かもしれんけど。

タグ: 一生懸命を描く


深く掘り下げて理解していく

__ 
今後、どんなふうに攻めていかれますか?
筒井 
ルドルフとしては、次はまた演出をすると思います。基本的に自分で脚本を書くつもりはなくて、既成の脚本を上演するという形自体に変わりはないんですが、それを舞台作品にしていくプロセス自体を見直したいと思っています。これまでは本読みして2ヶ月間バーッと稽古して本番やって、っていう流れだったんですけど、それだけだと不十分な気がしてます。作品のなかでどういうところをどういう風に表現するのかということについて、私だけでなく俳優・スタッフと共同で深く掘り下げて理解していくにはどんな手順を踏めばいいかなあって今考えてるところです。

タグ: 今後の攻め方


日常的にサラッと。

筒井 
あとこれは俳優としても演出としてもなんですけど、こんなん普通の事かもしれないけど、人物の無意識的な部分を考えるのが好きで。台本に書かれてあるセリフはその人物がある程度意識して発してるものだと思うんですけど、その奥に隠れてるけど確実にある無意識的な部分を考えて創り上げていくのが、演劇のおもしろいところのひとつなんじゃないかなと。
__ 
というと。
筒井 
日常生活の時のちょっとしたセリフの言い方を作るのでも、けっこう難しくて面白いんですよ。たとえば、「わかりました」というセリフがあるとして、それを(口ではこう言ってるけどなんかいまいち信用出来ないなあ)って受け取られるような表現にするとしたらそんなに簡単じゃないと思うんです。口で「わかりました」と言いながら、「信用できない感じ」を身体のどこかで表現したりとか、返事するタイミングを考えたりとかになるかもしれませんけど。今年の1月に上演した『熊』でも男女が痴話喧嘩をするシーンがあったんですけど、痴話喧嘩というからには喧嘩しながら「ホントはお互い好きなんちゃうん」ってお客さんに思ってほしいけど、そんなんどうやったら作れるのかなあってすごく悩みました。人間ってそういう複雑なことを日常的にサラッとやっててすごいと思います。
__ 
無意識の表現が表現される意識だけではなく、無意識も組み上げるんですね。「授業」ではそもそも原作からしてそういう要素が強かったですね。
筒井 
うん。演出の水沼さんが最初に思い描いたのが、生徒の私がはしごを降りて登場するっていう演出だったそうなんですけど、これは無意識のなかに降りていったととることもできますね、という感想を聞いて、おーと思いました。
__ 
あー、考えて見れば不思議ですね。どうしてこう、行間よりもさらに隠れた無意識というのが舞台を見る上で際立つのか。
筒井 
なんででしょうね。わかりませんけどおもしろいと思うので考えていきたいところです。
ルドルフ×このしたやみ企画 チェーホフ「熊」
アトリエ劇研提携公演・京都芸術センター制作支援事業。公演時期:2010年1月22~25日。会場:アトリエ劇研。

かまわぬのてぬぐい4種

__ 
今日はお話を伺えたお礼に、プレゼントを持ってまいりました。
筒井 
本当、ありがとね。私の好きなAngeだ(開ける)はっ。これめっちゃ嬉しい。手ぬぐい?
__ 
そうですね。


憧れのはじまり

__ 
今日は、ヨーロッパ企画の映像スタッフである山口淳太さんと大阪大学大学院でメディアアートの研究をしている西尾さんにお話を伺います。どうぞ、よろしくお願いいたします。まず、山口さんに・・・。どういう経緯でヨーロッパに入られたんですか?
山口 
2005年に、まだ高校生だった頃に参加させてもらったんですけど、それまで全然劇団や演劇なんて知らなくって。
__ 
あ、意外と最近だったんですね。
山口 
大学受験が終わって、ヒマな期間があったんです。その頃から「踊る大捜査線」がとにかく大好きで。本広克行監督が大好きで、監督のHPを見てたら、「サマータイムマシン・ブルース」ヨーロッパ企画の名前があったんです。何だろうこれはと、さっぱりわからなくて。
西尾 
ええ。
山口 
リンクを辿ったらヨーロッパ企画のHPに行って。そこで、次に上演するのが「平凡なウェ~イ」。見に行ったんですよ。何も分からずに。
__ 
いかがでしたか。
山口 
それ見て、うわってなって。面白そうだったんです。自分でもやりたいと思ったんですよね。HP見たらスタッフ募集をやっているから、面接に行って。
西尾 
どんなのだったんですか?
山口 
芝居の半分が映像だったんですよ。上田さんが言うには、映画の舞台挨拶ってそれまでスクリーンに映っていた人が出てくるとうわってなる。そこを狙ってたんですね。それ見て僕、面白そうだなと思って。
ヨーロッパ企画
98年、同志社大学演劇サークル「同志社小劇場」内において上田、諏訪、永野によりユニット結成。00年、独立。「劇団」の枠にとらわれない活動方針で、京都を拠点に全国でフットワーク軽く活動中。(公式サイトより)
ヨーロッパ企画「サマータイムマシン・ブルース」
ヨーロッパ企画公演。大学の野球部にタイムマシーンがやってきた夏の午後。力の抜けたSF舞台。
ヨーロッパ企画第17回公演「平凡なウェーイ」
公演時期:2005年2月~3月。会場:京都・東京・大阪各地にて。

ショートショート・ムービーフェスティバル

西尾 
ヨーロッパ企画さんは何か、劇団なのに、当たり前のように他のメディアを視野に入れて活動されてますよね。
__ 
SSMF(ショートショート・ムービーフェスティバル)とかね。あ、西尾さんはSSMFの大阪予選会に行かれたんですよね。
西尾 
はい。行きました。
山口 
今年は例年以上にクオリティ高いなと思いましたね。
西尾 
そうそう。アニメーションがあって、めちゃめちゃ面白かったです。
__ 
今回は山口さんも出品されましたね。すごく面白かったです。大阪予選も通って。
山口 
通ってよかったです。
__ 
劇団であるヨーロッパ企画がこういう企画をするのが面白いですよね。
ショートショートムービーフェスティバル
ヨーロッパ企画による映画祭。5分以内の映像作品を集め上映し、投票によりグランプリを決定する。

西尾さんはメディアアートを研究中

山口 
西尾さんはいま、どんな研究をされているんですか?
西尾 
メディアアートという、現代芸術のジャンルです。芸術側からと、工学側からと、同時並行で授業を選んで勉強してます。具体的には、テレビやパソコンをカンバスとして使うような芸術ですね。
山口 
拡張芸術、最近ようやく聞くようになりましたよね。
西尾 
やっぱりお金が掛かるんで、政治が絡んでくるんですよね。例えば、一つ展示をしようと思ったら100台モニタが必要になったりするんですよ。そうなると電機メーカー企業の協賛をマネジメントしないと展示出来ないですよね。
山口 
それはどこがやってるんですか?
西尾 
作家が自分でとりつけるか、企業が募集することもありますよ。お金が会社に入る訳じゃないけど、文化メセナになるんで、企業にとってもイメージアップになるし。・・・それ専門の展示施設がそろそろ出来るかもしれないんですよね。近畿にも。ただ、うまく行くかどうか・・・お客さんが来るかどうかなんですよね。
山口 
やっぱり手が届きづらいですよね。
西尾 
まだまだ入り口が狭くて、広い客層が楽しめるような作品の絶対数が少ないんです。そこが一つ、問題なんですよ。

タグ: 政治とパーティー


マレビトの会とロメオ・カステルッチ

山口 
最近見た、メディアミックス作品というと。
西尾 
松田正隆さんですね。
__ 
マレビトの会ですね。あれこそまさに映像メディアと演劇の融合で。
西尾 
客席一つ一つにモニタがついていて、それが舞台の様子を監視カメラっぽく移したり、それと同じシーンなのに微妙に違う映像を流したり。
山口 
ええっ。オペどうしてるんですか。
西尾 
YCAMでの滞在制作だったらしいから、そこの専門家がやってたんじゃないですかね。
山口 
すごいですね。
__ 
芝居自体は、乾いたシリアスタッチの情景でしたね。あの空気感は確かに松田正隆作品でしたね。
西尾 
私も解読するのに3日くらい掛かりました。一緒に行った人と散々喋って。見には行ったんですけど、どういう頭で見ればいいのか全然分からない。
__ 
東京にもいっぱいあるのかな、こういうのは。
西尾 
FESTIVAL/TOKYOという催しで一番評判の良かったロメオ・カステルッチの作品が良かったです。
山口 
どういう表現だったんですか?
西尾 
後半まで、ずっと一般のブルジョア家庭を淡々とした演技で見せるんです。最後のシーンで父親が息子に性的な暴力を与える。
山口 
淡々と。
西尾 
そう、セリフが聞き取れないくらい小さい声で。で、更にその後、いきなり舞台上がスペクタクルに移るんですよ。もの凄い大きさの花が背景を流れていくんですけど、丸く切り取られた枠の向こうを映像にしか見えない実物のセットが通り過ぎていくという。
山口 
ええ、まじっすか。
西尾 
どう見ても映像なんですよ。リアルだけど映像に見えて、でも実物っていう。ちょっと観客どよめいてたんです。ピントのボケ方が絶妙で、これは凄かったです。
松田正隆
マレビトの会を主宰する劇作家。
マレビトの会「PARK CITY」
公演時期:2009/8/28-29(山口県)、2009/10/24-25(滋賀県)。会場:山口情報芸術センター、滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール。
マレビトの会
2003年、舞台芸術の可能性を模索する集団として設立。代表の松田正隆の作・演出により、2004年5月に第一回公演『島式振動器官』を上演する。 2007年に発表した『クリプトグラフ』では、カイロ・北京・上海を巡演するなど、その活動は海外にも広がる。非日常の世界を構想しながらも、今日におけるリアルとは何かを思考し、京都を作品製作の拠点として創作を続ける。
山口情報芸術センター(YCAM)
山口県山口市。メディア利用に特化したラボを有する複合文化施設。展示スペース・劇場も併設。多数のメディアアート作品や舞台芸術が研究・制作されている。

タグ: 非日常の演出 暴力


明和電機とロボット演劇

山口 
僕、たまたま知り合いが同志社大学の同じような学部に知り合いがいて、ちょっと色々聞いてるんですよ。作品を作るだけじゃなくて開発も同時にしないと行けないんですよね。
西尾 
そうですね。
山口 
何か、授業で作ってはりますよね。それがすごいなと思って。
西尾 
そうなんですよ。パソコンから作っちゃう勢いで。ゲイナーっていう、USBにつないでプログラムを仕込む機器があって、それとモニターを繋いで展示環境から作ったり。
__ 
ああ、もう明和電機ですね。
西尾 
そう、明和電機。意外に日本のメディアアートは世界から注目されているんですよ。明和電機、凄いですよ。ホントにモノから作っちゃうし、パフォーマンスもするし。オーストリアでの最大のメディア博覧会にVIPで呼ばれてて。ヨーロッパからみると、日本人の「遊びを加えつつ、ゼロから自分たちで作ってしまう感」がびっくりするらしいんですよね。別会場では、DSとかWiiも置かれてた。
山口 
そういう技術を取り入れてる演劇も増えるでしょうね。絶対融合出来ますよね。
__ 
平田オリザさんの「ロボット演劇」がそうですね。
西尾 
あれ凄かったらしいですね。ほとんどの観客が「人間味を感じた」って。
__ 
不気味の谷を超えちゃってたんですね。

タグ: 日本人の美意識 ロボット演劇


質問 中屋敷 法仁さんから 山口さん・西尾さんへ

Q & A
__ 
前回インタビューさせて頂いた、柿喰う客の中屋敷法仁さんからご質問を頂いてきております。「立川談志さんが、『親を大事にしない奴は信用出来ない』と言っています。どうだ」。という。
山口 
親関係ですか。ちょっと重い話ですけど、大学を辞めようか悩んで、先日親に相談したんですよ。映像系の学校に行き直して進路を変えたいと。
西尾 
ああ・・・。
山口 
何言ってるんだと。遊んでないで帰ってこい、バカタレと。いくら活動するにしても大学だけは出ておけと。その頃は必死過ぎて視界が狭くなってたんですよね。大学に充てる時間を自分の映像の勉強やヨーロッパ企画に掛けたくて。結局3日間、親と話して。
__ 
なるほど。
山口 
就職先は自分の希望通り、映像関係に就く事は認めてもらって、でも今の大学だけは卒業する事に決めました。
__ 
偉いですね。いや、親と向き合うのもそうだし、自信の進路を持ってそういう風にきちんと喋れるって。
山口 
社会情勢的にも、自分の進路は間違ってないと思ってて。父親と母親と喋りました。特に親父とは絶対に話しあわないと納得してもらえない。もう、話すしかないんですよ。
西尾 
もう、解決はしたんですか?
山口 
してないですね。とりあえず大学を卒業する時期で。今は普通に大学生しています。思い知りましたね、絶対に大学とヨーロッパ企画は両立ムリです。どっちかがおろそかになるんで。上手い事出来なかったんですよ。
__ 
西尾さんはどうですか?
西尾 
大事にはしてますね。核家族とか、夫婦で二人暮らしとかは出来ないと思いますね。親とかその上の世代を排除した環境って想像出来ないですね。結婚するにしても、嫁入りか婿入りか。
山口 
同棲の憧れってないんですか?
西尾 
相手がいないと一人だけになるっていうのが怖いんですよ。親の意見が聞けない生活って考えられない。
山口 
二人で暮らしたいっていうのはないんですか?
西尾 
あるにはあるんですけど、二人だけの価値観だけになるってのが勿体無いんですよね。8人くらいで暮らしたいです。ウチ、祖父と祖母がめっちゃくちゃしんどい人なんですけど、それを見られる毎日の方が絶対濃いんですよ。
山口 
中々聞かないですね。いや、ちょっとプライベートな時間を一番内側に持ってくるんじゃないかなと。親とかは一段階外に置いて。僕、結構一人で居れるタイプなんですけど。
西尾 
一軒家に住んでると、襖一枚があれば結構知らないフリが出来るじゃないですか。だから1階・2階で完全に区切れるんじゃないかなって。大家族だったらこうなると思いますよ。

タグ: 結婚について もう、辞めたい


悩みますよね

__ 
今後、お二人それぞれ、どんな感じで攻めて行かれますか?
山口 
大学の卒業ですね・・・。知り合いで卒業出来なかった劇団員がいて、彼のブログに居たたまれない事が書いてあって、こうだけはなるまいと思ってます。
__ 
分かります。頑張ってください。西尾さんは。
西尾 
私も卒業したくって。いま院にいるんですけど、これの専門職として就職出来るように、まずはちゃんと卒業したいです。私は自分で作る人ではなく、人の作品を表すパーツとして働きたいんですよね。何か言われた時に役に立てるように。
山口 
どういうところに就職したいとかあるんですか?
西尾 
明確にはないんですよね。学芸員か、演劇系のスタッフも面白いなと思うし。
山口 
悩みますよね。
__ 
いや、二人ともめっちゃ選り取りみどりだと思いますよ。
西尾 
いえいえ。でも、向かう力がある人が凄いんじゃないかなって。私にはそういう力がないので、例えば売り込む力がある人がどんどん仕事を大きくしていくのが羨ましいですね。

FRIXION Bizとミニケース

__ 
今日はですね、お二人にお話を伺えたお礼にプレゼントがあります。
山口 
あ、恒例の。これ貰えるの夢だったんですよ。
西尾 
私もこれが楽しみで。
山口 
(開ける)え?消えるボールペン・・・。
__ 
すごくキレイに消えます。
西尾 
あれですよね、ラバーで擦ったら消えるっていう。
__ 
60度で消えます。水性インクです。
山口 
へー。(試す)え、マジで!?
__ 
若干、ラバーのカスが出る場合がありますが。
山口 
これ、めっちゃくちゃいいです。こんなに凄いとは思わなかった。
西尾 
これは。
__ 
chikinというパフォーマンスグループの公演後に買ったものです。それはオマケで、プレゼントはそれが入っている箱ですね。
西尾 
ありがとうございます。何入れよう。

タグ: プレゼント(文具系) プレゼント(容器系)


ルドルフ「授業」

__ 
今回はルドルフ「授業」(作=ウージェーヌ・イヨネスコ)に出演される、ヨーロッパ企画の永野宗典さんにお話を伺います。よろしくお願いします。もう、そろそろですね。
永野 
そうですね。どうなるやら。
__ 
頑張って下さい。とても楽しみにしております。今日の稽古はどんな感じでしたか?
永野 
先週通し稽古があって、それが終わって一発目の稽古でしたね。通し稽古を受けて、色々と修正していっています。ちなみに、ラストシーン中心の稽古でした。芝居がどんどん練りこまれて、出来上がってきています。丹念に作られてますよ。
__ 
楽しそうな時期ですね。
永野 
そうですね。でも自分の役どころでまだ迷うところもあって。役の全体像もまだおぼろげなんですよ。その中で、どのくらいのスタンスで役を作っていけばいいのか。役者として、まだ芝居全体に追いついていない状態ですね。
__ 
言ってみれば、みんなで森の中をさまよっているような。
永野 
さまよっています。たまに美味しい果物を見つけて、みたいな感じで。水沼さんを先頭としてついていってますね。
__ 
はぐれてしまわないように?
永野 
こっちの道も面白いかもですよって、たまに提案したり。フラットな稽古場なので、言いやすいですね。
ヨーロッパ企画
98年、同志社大学演劇サークル「同志社小劇場」内において上田、諏訪、永野によりユニット結成。00年、独立。「劇団」の枠にとらわれない活動方針で、京都を拠点に全国でフットワーク軽く活動中。(公式サイトより)
ルドルフ「授業」
作・ウージェーヌ・イヨネスコ。演出・水沼健。出演・金替康博[MONO]・筒井加寿子・永野宗典[ヨーロッパ企画]。公演時期:2010年6月10~13日。会場:京都芸術センター。
ルドルフ
京都で演劇を上演する集団。