KUNIO06『エンジェルス・イン・アメリカ-第1部 至福千年紀が近づく』

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次回澤村さんが出演される、KUNIO「エンジェルス・イン・アメリカ」。どんな役どころなのでしょうか。
澤村 
今回、初の外人役なんですよ。セリフは日本語なんですけど(笑う)、出ずっぱりで外人。
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KUNIOさんの演出はいかがですか。
澤村 
凄く丁寧に作っている感じがしますね。演技を細かく付けていきます。ある程度自由というよりは、「このシーンはこうしてほしい」という風に明確なビジョンがある。特に僕の役に対しては。それでいて結構、「君の才能に任せるよ」って、冗談であの人言うんですけど。東京弁で(笑う)。
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なるほど。
澤村 
カッチリしているんですよね。作品も社会派で、こういう硬派な作品に参加出来て嬉しいですね。
__ 
貴重な体験ですね。
澤村 
初めてのマジメな役です。また違う澤村をお見せできるんじゃないかと。
__ 
見どころとしては。
澤村 
アメリカそのものを体現した作品になっています。政治とか人種問題とか、マイノリティとか。日本人には分からない宗教観も出てきます。そういった、日本と同盟関係にあるアメリカという国の、知識としては知っているけど感覚的にはほとんど知らない文化。これを舞台に、細かく描いた人間関係が大きな見どころじゃないかと思います。
KUNIO06『エンジェルス・イン・アメリカ-第1部 至福千年紀が近づく』
京都芸術センター舞台芸術賞2009ノミネート演出家上演作品。公演時期:2009年9月19~20日。会場:京都芸術センター。
KUNIO
杉原邦生氏。京都造形芸術大学大学院芸術研究科博士課程在籍。演出・舞台美術多数。

小さな映画館で

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さて、お芝居を始められたキッカケを伺っても宜しいでしょうか?
澤村 
ずっと、小さい頃から憧れていたんでしょうね。実は僕の実家が小さな映画館をやっていて。
__ 
そうなんですか。素敵ですね。
澤村 
本当に、ニューシネマパラダイスみたいな小さな映画館で。だからか、昔から演じる事や観せる事に興味があったんでしょうね。でも役者を始めるって中々一大決心じゃないですか。決心が付かなかったんですよ。映画を撮ったり、作品の興行をする立場なら職業として確立していますし。そっちの方へ行けばいいんじゃないかと迷った時期もあったんですけど。
__ 
映像に関しての勉強とかも──
澤村 
大学の時、映像制作の授業の選抜に受かって、一時期、CM制作のプロの講師に師事した事があったんです。
__ 
授業を受けるのに試験があるんですか。
澤村 
それだけに周りは面白い奴ばっかでした。おもしろい作品を作るのが好きだったんですね、僕も同級生も。けどそんな楽しい中でも「何か違うな」と感じるようになったんです。そんな中で授業を受けていたからか、やっぱり、出たいという気持ちが募ったんですね。そんなこんなで迷ってたら、留年しちゃって(笑い)、たまたまビギナーズユニットのチラシを見て、これかもなと思ったんです。そこで出会ったのが、ごまのはえでした。

向こう側への憧れ

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しかし、本当に子供の頃からだったんですね。
澤村 
何かあったんでしょうね、スクリーンの向こう側への憧れみたいなものが。役者になる事を親に話したんです。そしたら「まあ、こういう稼業をしていて、そっちの方向に行きたがらない訳ないなあ」って。それが僕だと認めてくれたんですね。親不孝者ですけど。
__ 
いえいえ、そうでもないと思いますよ。しかし、映画の方面の方だったんですね。その上ご実家からとは。
澤村 
小学校三、四年の頃から手伝いをしていました。特に毎週土日は地方の公民館に行って、移動映画館をやるんですよ。会場の設営、つまりスクリーンの準備や遮光、それから受付のモギリまで。だから芝居を始めて受付に立ったりとか、あまり違和感はありませんでしたね。大学生時代は映画館でバイトしてましたし。
__ 
興行する側に、生まれつきいるという感じですね。
澤村 
そうですね(笑う)。シネフィルと言われるほど映画を見ている訳じゃありません。それよりも、たとえばチラシを見て、その興行の予算や成績を予測したりとか。映画を見るよりはそんなことを考えるのが好きだったんですね。完全に興行師(笑い)。その辺の知識というか勘は、ニットで制作を兼任している今でも役に立っていると思います。

質問 山本 握微さんから 澤村 喜一郎さんへ

Q & A
__ 
前回インタビューさせて頂きました、劇団乾杯の山本さんからご質問を頂いてきております。1.これ知っている人絶対いないだろうけど、面白い作品ってありますか?
澤村 
「僕達のアナ・バナナ」という、ニューヨークを舞台にした映画です。エドワード・ノートンが監督と主演やっていて、ベン・スティラーも出てるんですが。けして有名な作品じゃないんですけど、そうですね、「エンジェルス・イン・アメリカ」とちょっと似てて。アメリカ文化と宗教をテーマにした人間ドラマですね。コメディタッチで、神父とユダヤ教のラビが幼馴染で仲良くケンカするという。秀作です。
__ 
ありがとうございます。2.今度飲みにいきませんか?
澤村 
マジですか? 僕、ほとんどお酒飲めないんですけど、いいですか? ぜひ行きましょう。

タグ: 映画の話題


自分らしくきちっと

__ 
さて、澤村さんは今度どんな感じで攻めていかれますか?
澤村 
やり始めた頃は、こういう役がやりたいとかこんな役者になりたいとかばかり思っていて、苦しんでいたんですけど・・・でも最近は割とそういうのは無くなってきたんですよ。自分らしくきちっとやれればと思います。例えばごまのはえや客演に呼んで下さった演出の方が、僕にその役を振ってくれた理由をちゃんと考えて作品作りに当たりたいですね。
__ 
自分に期待されていることを把握すると。
澤村 
演出の望むものと、さらに期待以上のものを持っていけるようになりたいと思います。それが今のところの目標ですね。まあ、そういうことをキチンとしていけばどんどん仕事は繋がっていくだろうと思っているので。
__ 
素晴らしい。
澤村 
まあ・・・売れたいですよね(笑う)。あと、こないだ自主映画のお仕事に行ったんですけど、映像の現場はやっぱり違いますよね。瞬発力が求められるんですよ。当日台本を渡されてはい作って下さいって。ヒリヒリするような緊張感がありました。楽しかったです。また、映像の仕事が貰えればいいなと。だから最終目標は銀幕ですね(笑い)。

タグ: 感性ではなく考えて表現出来る人 映像の現場 今後の攻め方


CODE headwearのチューリップハット

__ 
今日はお話を伺えたお礼に、プレゼントがあります。
澤村 
あ、例の。ありがとうございます。(開ける)あ、帽子ですね。こういうタイプ欲しかったんですよ。
__ 
そりゃ良かったです。
澤村 
ノッポさんみたいになるからやめとけとか言われてたんですけどね。ありがとうございます!

タグ: プレゼント(装飾系)


普通による芸術‐普通芸術

__ 
今日はどうぞ、宜しくお願い致します。最近はいかがですか?
山本 
今、ここFLOATで展覧会をやっています。簡単に言うと、僕が考えていることをまとめた文章を飾っているんですけども。
__ 
前回の公演の時も展示されておりましたね。新しい劇団の形を色々提示するみたいな。
山本 
今回はそれだけじゃないですね。共通するのは、特別な技術がなくても芸術を生み出すことが出来るという、普通芸術の考えで展示を行っております。
__ 
普通芸術とは。
山本 
例えば一般的な会社員として働きながら生活しながらでも、作品を作り発表する事は可能だと思うんですね。もしそこに金銭のやりとりがなければ、もっと自由に出来ると思うんです。
__ 
そういえば、前回公演「街街」も無料でしたね。
山本 
はい。芝居を観に行くとお金が掛かるし、となると選ぶ側としては好きなものしか観たくない。やってる側も選ばれている以上は、期待されているものばかりを提供しようとすると。そういうあり方に疑問があるんです。
__ 
今日は、そのあたりも伺えればと思います。
FLOAT
大阪市西区安治川の展示スペース。

『街街』(まちがい)

__ 
前回公演「街街」、非常に面白かったです。メタ的なネタがたくさん出たり、言葉遊びがふんだんに用いられていたりと、刺激的な作品でした。前半の終わりでタクシーを呼んでましたよね。あれはタクシー会社との打ち合わせはあったんですか?
山本 
ないですね。幸い本番の時はすぐ来たんですよ。リハーサルの時はすぐこなかったりしていたんですが。慣れてきてくれたみたいですね。
__ 
どこを走っていたんですか?
山本 
いや、近所の小学校までです(笑う)。
__ 
タクシーに乗り込んだ時の格好良さとドライブ感は印象的でしたね。そうそう、キャストの女性5人が皆チャーミングでした。どこから集められたんですか?
山本 
いやー、必死な営業活動です。毎回毎回、神の配剤があって。ありがたいことです。
劇団乾杯10周年記念第10回公演『街街』(まちがい)
公演時期:2009年5月23~24日。会場:FLOAT

演劇って何だろう

__ 
「街街」、メタ的な手法もあり、創作作品として非常に挑戦的なものだったと思います。ご自身の手ごたえとしてはいかがでしたか?
山本 
実はメタ手法で演劇を壊したいとか、そういうつもりもないんですよ。例えばあの作品の後半で、3次元から2次元の漫画、2次元から1次元の小説へと登場人物が移っていくという展開があったんですが。
__ 
ええ、敵の忍者から逃げるために。
山本 
あれは、演劇って何だろうと考えるための実験だったんですよ。観るにしろやるにしろ、目前で行われていることを検証しようと思った。演劇って何の疑いもなく3次元で行われていますが、どんなもんかと確認したかったんです。演劇という手法の再確認ですね。
__ 
なるほど。

出会い系芸術

__ 
さて、先ほどおっしゃった普通芸術。そういった挑戦的な姿勢で作品を作られているのはどのような理由があるのでしょうか?
山本 
関西小劇場がいけすかない奴らばっかりだからですね。作品は面白いですけど、公演スタイルだけみたらダメダメやなと。
__ 
というのは。
山本 
例えば、劇団乾杯がもっと武闘派だった頃は打ち上げというのを一切やらなかったんですよ。あえて。極端な話、劇以外に楽しみを作ってしまうと作品が不純になってしまうというか。僕はそういうのを出会い系芸術と呼んでるんです。実際には良い劇を作りたいと思っている一方で、単に演劇人的な振舞いをしたいという気持ちがあるんじゃないか。これは色んな業界で起こる現象だと思います。筒井康隆の「文学部唯野教授」みたいな。
__ 
文学部で、研究評論そっちのけで学内政治ばっかりやってましたね。
山本 
ブログで「今日は誰誰と飲みに行きました」とか書いたり。単にみんな寂しいのかなと思いますね。副次的なそういう部分に重きを置いていると、いつか矛盾が生じてくるんじゃないかと。
__ 
語弊がある言い方ですが、ストイックさが足りないと。
山本 
この際そう言ってもいいと思います。もっと、真摯に作品に向き合っていけるんじゃないか。今のままだと、仲間や友達の内輪業界だけで演劇が終わってしまう。外開きの、もっと気軽に見に行けるような雰囲気を作っていけたらと。

タグ: 内輪ウケの・・・ 政治とパーティー


佳作は諸悪の根源

__ 
劇団乾杯としては、今後どんな感じで。
山本 
今後の予定は一切なしでございまして。毎回そうなんですけど、それも一つのストイックな(笑う)。「やりたいな」「やらなあかんな」と思った時にやるので。さらに、その時に出演者が揃わないと出来ないと。
__ 
あ、じゃあ劇団乾杯の作品に出会えるのはちょっとレアなんですね。
山本 
あれで終わりなのかなと思われるかもしれませんね。でも、毎回「これで終わりでも良い」と思えるようにやっているので。続ける事が目的では一切ないです。
__ 
寂しいですね。
山本 
以前もそういうお言葉を頂いたんですが、次の事は想像出来ないですね。僕たちに限らず、傑作以外は上演するべきじゃないと思っているんですよ。それを佳作撲滅運動と呼んでいるんですが。
__ 
佳作撲滅運動
山本 
一言で言うと、演劇が冴えないのは傑作が少ないからです。良くても佳作。傑作が出来なくて佳作が続くと、劇団も成長しないし観劇人口も増やせない。
__ 
それは何故でしょう。
山本 
例えば、公演中に次回公演の情報が既に決まっていたりとか、色んなお話がひっきりなしに来るって一つのステータスと思うんですよ。でも、劇団の過去の傑作を越えられるものって中々作れるものじゃない。と言っても佳作は作れる。さらに、いまの批評のレベルだとそれで評価は得られてしまうでしょう。だから、傑作が生まれる条件としては佳作は諸悪の根源やなと。駄作よりもダメやなと。どこが悪かったかって言えないじゃないですか。駄作じゃないんだから。
__ 
確かに、私もそういう作品に会うことはあります。初めて拝見した劇団が面白かったら次回公演はほぼ必ず行くんですけど、二回目が前回の衝撃を越えられるか、というのは大きなネックですね。

タグ: 続ける事が大事 批評の果たすべき役割


みんな演劇をしばらく休もう

山本 
さっき佳作が諸悪の根源だと申し上げたんですけど、それにはもう少し理由があるんです。単なる佳作では、初めて劇場に来たお客さんに観劇を習慣にしてもらえないと思うんですよ。
__ 
というと。
山本 
演劇フリークではない、初めて劇場に来たお客さんは二種類に大別出来るんじゃないか。何となく演劇の世界に憧れていて、内輪になりたい、またはなる素質を持っているお客さん。これを潜在的内輪と呼んでいます。
__ 
なるほど。
山本 
逆に、芸術なんて本当に触れた事がない人達、が実は大多数だと思うんです。本当の外輪の方がずっと多い。そういう人たちが例えば佳作を見たって次は来ないですよね。もちろんそれなりには面白かったと思うんですよ、佳作にはそれだけの力はありますから。でも肌にビリビリ来ないから次は来ないし、習慣化しない。だから、傑作オンリーでいかないと、観客は増えないんです。
__ 
難しいと思いますが。
山本 
可能でしょう。まあ、逆説になっちゃいますけど、傑作だという確信がなければやらなかったらいいんですね。
__ 
あ、なるほど!
山本 
みんな一斉に三年くらい演劇をやめて、その間働きながらネタや欲求や鬱積を貯めて、解禁になったら各カンパニーが傑作だけを上演するんですよ。しかも、無料で。とにかく多くのお客さんが来て、演劇の魅力が発見されるキャンペーンがあったら、良いと思いますけどね。
__ 
オリンピックみたいですね。
山本 
管理社会的な(笑う)。もちろん、当然、不可能だし。そういう管理に従うのが芸術かというとそんな訳ないですし。でも、傑作を作ることはそんなに難しくないはずです。たとえば、柿喰う客は傑作でしたよね。
__ 
ええ。
山本 
もちろん、個々人によって相対的な評価はまちまちですが、やっている側は絶対に傑作だと確信していた筈なんです。確信がそこかしこに溢れていた。だから傑作になったんです。で、それはきっと難しい事ではない。
__ 
確かに。あれはそういった重さを持つ作品だと思います。
山本 
佳作にはそんな力はない。やってる側の心のどこかに「これは面白いのかな」という不安を抱かせるのが佳作なんですよ。傑作を作ろうという気持ちがあれば、今の公演が終わらないのに次回公演の予定なんて軽々しく立てられないと思うんです。内輪で「次何する?」「こういうのやんねん」なんていう馴合いから次の公演が始まるなんて、違うやろと思うんです。
柿喰う客
東京の非常に勢いのある若手劇団。
立命芸術劇場
柿喰う客。2009年度に横浜、福岡、大阪、札幌、愛知などで全国ツアーを行う。

タグ: 外の世界と繋がる 「初めて芝居を見たお客さん」 内輪ウケの・・・ 社会、その大きなからくり


質問 浅田 麻衣さんから 山本 握微さん

Q & A
__ 
前回インタビューさせて頂きました、京都ロマンポップの浅田さんからご質問を頂いて来ております。1.猫は好きですか?
山本 
あまり好きではなかったんですが、ここFLOATに猫が住み着いてるんですよ。人懐こい奴で。親しんではいますね。
__ 
2.大阪の演劇事情をどうお考えですか?・・・これさっき、大体聞いちゃったんですけどね。
山本 
傑作を作るために、もっとストイックになって欲しい、ですね。
__ 
3.今度、お茶しませんか?
山本 
はい、もう何回でも。全然OKです。
__ 
出会い系芸術じゃないですか(笑う)。
山本 
オチが付きましたね(笑う)。

京都ロマンポップ
京都の若手劇団。演出は向坂達矢氏。

うねりの中で

__ 
今後、山本さんはどんな感じで攻めていかれますか?
山本 
作品を作ること、見ることも当然やっていきますが、もう二つ。一つは場づくり。今構えている事務所を24時間出入り可能にしようかなと思います。もう一つの情報網作りというのは、「今行処」というメーリングリストです。これは既にあるんですけど、中々乗っかってくれないという。理念としては間違っていないと思うので、もっと検証していきたいなと思います。とまあ、何かしらは発信したいと思います。
__ 
お芝居作りとしては。もう少し何かを貯める形ですか?
山本 
まあ、うねりの中で作って行ければ。傑作が生まれる必然性に従って創作したいと思います。

タグ: 今後の攻め方


PAPIER LABOのフォルダー

__ 
今日はお話を伺えたお礼に、プレゼントがございます。どうぞ。
山本 
ありがとうございます。
__ 
どうぞ。
山本 
(開ける)あ、これはフォルダーですね。
__ 
硬い紙製のものです。使いやすいものらしいですよ。
山本 
ありがとうございます。職場で使います。私の方からもプレゼントがあるんですよ。
__ 
え!
山本 
これは昔、展示で「劇団差入」という概念を発表したんですが。そのTシャツです。
__ 
おお!ありがとうございます。素晴らしい。
   

タグ: プレゼント(文具系)


最近どうですか?


考えるひとたち・京都ロマンポップ

__ 
浅田さんが、京都ロマンポップに入られたのは。
浅田 
ずっと学生劇団(立命芸術劇場)にいたんですけど、2年前くらいにロマンポップに客演で出させて頂いて、その時に誘われたんですよ。
__ 
京都ロマンポップって、どんな劇団なのでしょうか。
浅田 
気が狂った団体ですね(笑う)。反面、凄く考えている人たちだと思います。今の私たちがどうあるべきかとか、芸術についてとか。博識な人間が多いですね。雑学寄りになってしまうかもしれないけど。
__ 
どういうところに魅力を感じて。
浅田 
いま、同世代の若い人達がたくさん劇団を旗揚げされているんですけど、失礼かもしれませんがあまり考えずに作品を作っているように思ったんですよね。現状についてとか、どうありたいのかを考えずに流されてやっていやしないかと。
__ 
ロマンポップは考える所が違う。
浅田 
考えて考えて、それでも前に進もうするのに魅力を感じます。一緒に戦って行ければと思いました。それが入団した理由ですね。考えすぎて立ち往生することもあるんですけど(笑う)。
__ 
かなり入念に下調べをされてから脚本を書かれているようですが。
浅田 
最近は下調べして製作する作品が続きますね。資料を使って幅広く知識を集めてから書きあげるというスタイルです。前回公演の「復活」の公演の時に福祉に携わる方が観に来て下さって、「良く調べてるね」と褒めて下さったんです。というぐらい、調べているみたいです。
__ 
なるほど。
浅田 
調べるのが主みたいですね。
京都ロマンポップ
京都の若手劇団。演出は向坂達矢氏。
立命芸術劇場
立命館大学の学生劇団。

人は何度でも出会える・前回公演「復活」

__ 
その前回公演「復活」。どんな作品だったのでしょうか。
浅田 
そうですね。「人は何度でも出会える」というテーマのお芝居でした。実際にあった精神医学のレポートを元に作ったんですね。
__ 
あ、実際にあった症例だったんですね。
浅田 
発達障害を抱えた女の子が出てくるんですけど、それを精神科医が診るんです。彼女の頭の中には、凄く綺麗で何でも出来るというアンナという女の子がいる。そしてその女性が実際に出てくるんですが、アンナは彼女の成長とともに消えてしまうんです。精神科医はその女性が好きになっていたのに。それをバーでぐちぐち言っていたら、隣にいた初対面の男性に「お前なんやねん」って怒られるっていう。
__ 
浅田さんはどんな役どころでしたか。
浅田 
その発達障害の女の子でした。まるがという名前なんですけど、足が悪くて精神年齢が5歳という。めちゃくちゃしごかれましたね。まるががおかしかったら全部おかしくなるって。歩き方とか表情とか。
__ 
浅田さんは、どんな風にして演技を作っていくのでしょうか。
浅田 
私もまず、人物について調べますね。ディテールから、自分と共通している点はどこかって。その上で、私にしか出来ない演技は何だろうと考えますね。結果的に感情ベースで作ってしまうのがまだ技術不足な点ですが。
__ 
なるほど。
浅田 
最後には開き直って、「これが私のまるがや」って(笑う)。
京都ロマンポップ 第八回公演『復活』
作:よりふじゆき。演出:向坂達矢氏。会場:京都大学西部講堂。公演期間:2009年4月2~6日。

タグ: 泡のように消えない記憶


無茶

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京都ロマンポップの作品の魅力とは。
浅田 
荒削りなところですかね。それは欠点でもあるんですけど、計算された上での無茶と捉えて貰えばまた違うと思います。無茶の出来る劇団なんですよ。
__ 
無茶。
浅田 
役者の力押しという部分では、他の劇団よりは強いと思います。もっと、細かい部分での繊細な演技も出来るようになったらいいなとは思います。
__ 
今後、どんな感じで攻めていったらいいと思われますか?
浅田 
いわゆる制作ですね。私自身制作者を兼任しているんですが、売り込み方がちょっと下手だと思うんで、もっと多くの人に見てもらえる方法を考えています。ロマンポップの、無茶さを前面に出した感じの。

今の若い人へ、怒り

__ 
では、京都ロマンポップは、何故演劇をしているのでしょうか。
浅田 
まず、芸術の発端について考えているんですよ。古代ギリシャでどうして芸術が生まれたのか。脚本家いわく、恐怖を根源として生まれたんではないかと。
__ 
なるほど。
浅田 
そういう発祥を持つ芸術に携わっているにも関わらず、今の若い人には怒りというものが足りないんじゃないかと。私たちの微々たる力でも、そういう現状を変えられるんじゃないかと思っているんですね。
__ 
なるほど。
浅田 
ウチの芝居にはもの凄くパワーがあると思うんですけど、くすぶっている人たちにそれを見て貰いたいですね。
__ 
どういう感じ方をして貰いたいですか?
浅田 
ざっくり言ってしまうと、考えてもらいたいですね。ウチの芝居の感想は、「何かよく分からなかった」というのが多いんです。まあそうやなと思うんですけど(笑う)。
__ 
ちょっと難解な作品が多いですね。
浅田 
でも、「ここはこうだったんだね」って、作品を理解して頂けると嬉しいんです。もちろん、何かを感じて頂けるだけでもと思います。

タグ: 難しい演劇作品はいかが 自分は何で演劇を