『街街』(まちがい)

__ 
前回公演「街街」、非常に面白かったです。メタ的なネタがたくさん出たり、言葉遊びがふんだんに用いられていたりと、刺激的な作品でした。前半の終わりでタクシーを呼んでましたよね。あれはタクシー会社との打ち合わせはあったんですか?
山本 
ないですね。幸い本番の時はすぐ来たんですよ。リハーサルの時はすぐこなかったりしていたんですが。慣れてきてくれたみたいですね。
__ 
どこを走っていたんですか?
山本 
いや、近所の小学校までです(笑う)。
__ 
タクシーに乗り込んだ時の格好良さとドライブ感は印象的でしたね。そうそう、キャストの女性5人が皆チャーミングでした。どこから集められたんですか?
山本 
いやー、必死な営業活動です。毎回毎回、神の配剤があって。ありがたいことです。
劇団乾杯10周年記念第10回公演『街街』(まちがい)
公演時期:2009年5月23~24日。会場:FLOAT

演劇って何だろう

__ 
「街街」、メタ的な手法もあり、創作作品として非常に挑戦的なものだったと思います。ご自身の手ごたえとしてはいかがでしたか?
山本 
実はメタ手法で演劇を壊したいとか、そういうつもりもないんですよ。例えばあの作品の後半で、3次元から2次元の漫画、2次元から1次元の小説へと登場人物が移っていくという展開があったんですが。
__ 
ええ、敵の忍者から逃げるために。
山本 
あれは、演劇って何だろうと考えるための実験だったんですよ。観るにしろやるにしろ、目前で行われていることを検証しようと思った。演劇って何の疑いもなく3次元で行われていますが、どんなもんかと確認したかったんです。演劇という手法の再確認ですね。
__ 
なるほど。

出会い系芸術

__ 
さて、先ほどおっしゃった普通芸術。そういった挑戦的な姿勢で作品を作られているのはどのような理由があるのでしょうか?
山本 
関西小劇場がいけすかない奴らばっかりだからですね。作品は面白いですけど、公演スタイルだけみたらダメダメやなと。
__ 
というのは。
山本 
例えば、劇団乾杯がもっと武闘派だった頃は打ち上げというのを一切やらなかったんですよ。あえて。極端な話、劇以外に楽しみを作ってしまうと作品が不純になってしまうというか。僕はそういうのを出会い系芸術と呼んでるんです。実際には良い劇を作りたいと思っている一方で、単に演劇人的な振舞いをしたいという気持ちがあるんじゃないか。これは色んな業界で起こる現象だと思います。筒井康隆の「文学部唯野教授」みたいな。
__ 
文学部で、研究評論そっちのけで学内政治ばっかりやってましたね。
山本 
ブログで「今日は誰誰と飲みに行きました」とか書いたり。単にみんな寂しいのかなと思いますね。副次的なそういう部分に重きを置いていると、いつか矛盾が生じてくるんじゃないかと。
__ 
語弊がある言い方ですが、ストイックさが足りないと。
山本 
この際そう言ってもいいと思います。もっと、真摯に作品に向き合っていけるんじゃないか。今のままだと、仲間や友達の内輪業界だけで演劇が終わってしまう。外開きの、もっと気軽に見に行けるような雰囲気を作っていけたらと。

タグ: 内輪ウケの・・・ 政治とパーティー


佳作は諸悪の根源

__ 
劇団乾杯としては、今後どんな感じで。
山本 
今後の予定は一切なしでございまして。毎回そうなんですけど、それも一つのストイックな(笑う)。「やりたいな」「やらなあかんな」と思った時にやるので。さらに、その時に出演者が揃わないと出来ないと。
__ 
あ、じゃあ劇団乾杯の作品に出会えるのはちょっとレアなんですね。
山本 
あれで終わりなのかなと思われるかもしれませんね。でも、毎回「これで終わりでも良い」と思えるようにやっているので。続ける事が目的では一切ないです。
__ 
寂しいですね。
山本 
以前もそういうお言葉を頂いたんですが、次の事は想像出来ないですね。僕たちに限らず、傑作以外は上演するべきじゃないと思っているんですよ。それを佳作撲滅運動と呼んでいるんですが。
__ 
佳作撲滅運動
山本 
一言で言うと、演劇が冴えないのは傑作が少ないからです。良くても佳作。傑作が出来なくて佳作が続くと、劇団も成長しないし観劇人口も増やせない。
__ 
それは何故でしょう。
山本 
例えば、公演中に次回公演の情報が既に決まっていたりとか、色んなお話がひっきりなしに来るって一つのステータスと思うんですよ。でも、劇団の過去の傑作を越えられるものって中々作れるものじゃない。と言っても佳作は作れる。さらに、いまの批評のレベルだとそれで評価は得られてしまうでしょう。だから、傑作が生まれる条件としては佳作は諸悪の根源やなと。駄作よりもダメやなと。どこが悪かったかって言えないじゃないですか。駄作じゃないんだから。
__ 
確かに、私もそういう作品に会うことはあります。初めて拝見した劇団が面白かったら次回公演はほぼ必ず行くんですけど、二回目が前回の衝撃を越えられるか、というのは大きなネックですね。

タグ: 続ける事が大事 批評の果たすべき役割


みんな演劇をしばらく休もう

山本 
さっき佳作が諸悪の根源だと申し上げたんですけど、それにはもう少し理由があるんです。単なる佳作では、初めて劇場に来たお客さんに観劇を習慣にしてもらえないと思うんですよ。
__ 
というと。
山本 
演劇フリークではない、初めて劇場に来たお客さんは二種類に大別出来るんじゃないか。何となく演劇の世界に憧れていて、内輪になりたい、またはなる素質を持っているお客さん。これを潜在的内輪と呼んでいます。
__ 
なるほど。
山本 
逆に、芸術なんて本当に触れた事がない人達、が実は大多数だと思うんです。本当の外輪の方がずっと多い。そういう人たちが例えば佳作を見たって次は来ないですよね。もちろんそれなりには面白かったと思うんですよ、佳作にはそれだけの力はありますから。でも肌にビリビリ来ないから次は来ないし、習慣化しない。だから、傑作オンリーでいかないと、観客は増えないんです。
__ 
難しいと思いますが。
山本 
可能でしょう。まあ、逆説になっちゃいますけど、傑作だという確信がなければやらなかったらいいんですね。
__ 
あ、なるほど!
山本 
みんな一斉に三年くらい演劇をやめて、その間働きながらネタや欲求や鬱積を貯めて、解禁になったら各カンパニーが傑作だけを上演するんですよ。しかも、無料で。とにかく多くのお客さんが来て、演劇の魅力が発見されるキャンペーンがあったら、良いと思いますけどね。
__ 
オリンピックみたいですね。
山本 
管理社会的な(笑う)。もちろん、当然、不可能だし。そういう管理に従うのが芸術かというとそんな訳ないですし。でも、傑作を作ることはそんなに難しくないはずです。たとえば、柿喰う客は傑作でしたよね。
__ 
ええ。
山本 
もちろん、個々人によって相対的な評価はまちまちですが、やっている側は絶対に傑作だと確信していた筈なんです。確信がそこかしこに溢れていた。だから傑作になったんです。で、それはきっと難しい事ではない。
__ 
確かに。あれはそういった重さを持つ作品だと思います。
山本 
佳作にはそんな力はない。やってる側の心のどこかに「これは面白いのかな」という不安を抱かせるのが佳作なんですよ。傑作を作ろうという気持ちがあれば、今の公演が終わらないのに次回公演の予定なんて軽々しく立てられないと思うんです。内輪で「次何する?」「こういうのやんねん」なんていう馴合いから次の公演が始まるなんて、違うやろと思うんです。
柿喰う客
東京の非常に勢いのある若手劇団。
立命芸術劇場
柿喰う客。2009年度に横浜、福岡、大阪、札幌、愛知などで全国ツアーを行う。

タグ: 外の世界と繋がる 「初めて芝居を見たお客さん」 内輪ウケの・・・ 社会、その大きなからくり


質問 浅田 麻衣さんから 山本 握微さん

Q & A
__ 
前回インタビューさせて頂きました、京都ロマンポップの浅田さんからご質問を頂いて来ております。1.猫は好きですか?
山本 
あまり好きではなかったんですが、ここFLOATに猫が住み着いてるんですよ。人懐こい奴で。親しんではいますね。
__ 
2.大阪の演劇事情をどうお考えですか?・・・これさっき、大体聞いちゃったんですけどね。
山本 
傑作を作るために、もっとストイックになって欲しい、ですね。
__ 
3.今度、お茶しませんか?
山本 
はい、もう何回でも。全然OKです。
__ 
出会い系芸術じゃないですか(笑う)。
山本 
オチが付きましたね(笑う)。

京都ロマンポップ
京都の若手劇団。演出は向坂達矢氏。

うねりの中で

__ 
今後、山本さんはどんな感じで攻めていかれますか?
山本 
作品を作ること、見ることも当然やっていきますが、もう二つ。一つは場づくり。今構えている事務所を24時間出入り可能にしようかなと思います。もう一つの情報網作りというのは、「今行処」というメーリングリストです。これは既にあるんですけど、中々乗っかってくれないという。理念としては間違っていないと思うので、もっと検証していきたいなと思います。とまあ、何かしらは発信したいと思います。
__ 
お芝居作りとしては。もう少し何かを貯める形ですか?
山本 
まあ、うねりの中で作って行ければ。傑作が生まれる必然性に従って創作したいと思います。

タグ: 今後の攻め方


PAPIER LABOのフォルダー

__ 
今日はお話を伺えたお礼に、プレゼントがございます。どうぞ。
山本 
ありがとうございます。
__ 
どうぞ。
山本 
(開ける)あ、これはフォルダーですね。
__ 
硬い紙製のものです。使いやすいものらしいですよ。
山本 
ありがとうございます。職場で使います。私の方からもプレゼントがあるんですよ。
__ 
え!
山本 
これは昔、展示で「劇団差入」という概念を発表したんですが。そのTシャツです。
__ 
おお!ありがとうございます。素晴らしい。
   

タグ: プレゼント(文具系)


最近どうですか?


考えるひとたち・京都ロマンポップ

__ 
浅田さんが、京都ロマンポップに入られたのは。
浅田 
ずっと学生劇団(立命芸術劇場)にいたんですけど、2年前くらいにロマンポップに客演で出させて頂いて、その時に誘われたんですよ。
__ 
京都ロマンポップって、どんな劇団なのでしょうか。
浅田 
気が狂った団体ですね(笑う)。反面、凄く考えている人たちだと思います。今の私たちがどうあるべきかとか、芸術についてとか。博識な人間が多いですね。雑学寄りになってしまうかもしれないけど。
__ 
どういうところに魅力を感じて。
浅田 
いま、同世代の若い人達がたくさん劇団を旗揚げされているんですけど、失礼かもしれませんがあまり考えずに作品を作っているように思ったんですよね。現状についてとか、どうありたいのかを考えずに流されてやっていやしないかと。
__ 
ロマンポップは考える所が違う。
浅田 
考えて考えて、それでも前に進もうするのに魅力を感じます。一緒に戦って行ければと思いました。それが入団した理由ですね。考えすぎて立ち往生することもあるんですけど(笑う)。
__ 
かなり入念に下調べをされてから脚本を書かれているようですが。
浅田 
最近は下調べして製作する作品が続きますね。資料を使って幅広く知識を集めてから書きあげるというスタイルです。前回公演の「復活」の公演の時に福祉に携わる方が観に来て下さって、「良く調べてるね」と褒めて下さったんです。というぐらい、調べているみたいです。
__ 
なるほど。
浅田 
調べるのが主みたいですね。
京都ロマンポップ
京都の若手劇団。演出は向坂達矢氏。
立命芸術劇場
立命館大学の学生劇団。

人は何度でも出会える・前回公演「復活」

__ 
その前回公演「復活」。どんな作品だったのでしょうか。
浅田 
そうですね。「人は何度でも出会える」というテーマのお芝居でした。実際にあった精神医学のレポートを元に作ったんですね。
__ 
あ、実際にあった症例だったんですね。
浅田 
発達障害を抱えた女の子が出てくるんですけど、それを精神科医が診るんです。彼女の頭の中には、凄く綺麗で何でも出来るというアンナという女の子がいる。そしてその女性が実際に出てくるんですが、アンナは彼女の成長とともに消えてしまうんです。精神科医はその女性が好きになっていたのに。それをバーでぐちぐち言っていたら、隣にいた初対面の男性に「お前なんやねん」って怒られるっていう。
__ 
浅田さんはどんな役どころでしたか。
浅田 
その発達障害の女の子でした。まるがという名前なんですけど、足が悪くて精神年齢が5歳という。めちゃくちゃしごかれましたね。まるががおかしかったら全部おかしくなるって。歩き方とか表情とか。
__ 
浅田さんは、どんな風にして演技を作っていくのでしょうか。
浅田 
私もまず、人物について調べますね。ディテールから、自分と共通している点はどこかって。その上で、私にしか出来ない演技は何だろうと考えますね。結果的に感情ベースで作ってしまうのがまだ技術不足な点ですが。
__ 
なるほど。
浅田 
最後には開き直って、「これが私のまるがや」って(笑う)。
京都ロマンポップ 第八回公演『復活』
作:よりふじゆき。演出:向坂達矢氏。会場:京都大学西部講堂。公演期間:2009年4月2~6日。

タグ: 泡のように消えない記憶


無茶

__ 
京都ロマンポップの作品の魅力とは。
浅田 
荒削りなところですかね。それは欠点でもあるんですけど、計算された上での無茶と捉えて貰えばまた違うと思います。無茶の出来る劇団なんですよ。
__ 
無茶。
浅田 
役者の力押しという部分では、他の劇団よりは強いと思います。もっと、細かい部分での繊細な演技も出来るようになったらいいなとは思います。
__ 
今後、どんな感じで攻めていったらいいと思われますか?
浅田 
いわゆる制作ですね。私自身制作者を兼任しているんですが、売り込み方がちょっと下手だと思うんで、もっと多くの人に見てもらえる方法を考えています。ロマンポップの、無茶さを前面に出した感じの。

今の若い人へ、怒り

__ 
では、京都ロマンポップは、何故演劇をしているのでしょうか。
浅田 
まず、芸術の発端について考えているんですよ。古代ギリシャでどうして芸術が生まれたのか。脚本家いわく、恐怖を根源として生まれたんではないかと。
__ 
なるほど。
浅田 
そういう発祥を持つ芸術に携わっているにも関わらず、今の若い人には怒りというものが足りないんじゃないかと。私たちの微々たる力でも、そういう現状を変えられるんじゃないかと思っているんですね。
__ 
なるほど。
浅田 
ウチの芝居にはもの凄くパワーがあると思うんですけど、くすぶっている人たちにそれを見て貰いたいですね。
__ 
どういう感じ方をして貰いたいですか?
浅田 
ざっくり言ってしまうと、考えてもらいたいですね。ウチの芝居の感想は、「何かよく分からなかった」というのが多いんです。まあそうやなと思うんですけど(笑う)。
__ 
ちょっと難解な作品が多いですね。
浅田 
でも、「ここはこうだったんだね」って、作品を理解して頂けると嬉しいんです。もちろん、何かを感じて頂けるだけでもと思います。

タグ: 難しい演劇作品はいかが 自分は何で演劇を


番外公演「苦しみを煮込んで喰え」、10・11月本公演

__ 
次の公演予定は。
浅田 
8月に番外公演「苦しみを煮込んで喰え」がアトリエ劇研でありまして、その次は10月に、団員の沢大洋の故郷、島根県の隠岐の島で公演をします。
__ 
おお、それはすごい。
浅田 
その作品は11月に京都のアートコンプレックス1928でも上演します。
__ 
どんな作品になりそうでしょうか。
浅田 
沢のお父様が教師だったんですけど、その方の人生を追うという形になります。熱血教師ものになると思います。演劇教育を学校に取り入れようとした人で。実際の人物を取り上げるので、今脚本家がレポートを書いている最中ですね。
__ 
面白そうですね。凄く楽しみです。
京都ロマンポップのさかあがりハリケーン vol.1『苦しみを煮込んで喰え』
作・演出:向坂達矢氏。会場:アトリエ劇研。公演期間:2009年8月15~16日。
アートコンプレックス1928
京都市中京区三条に位置する劇場。1999年オープン、小劇場・コンサート・ライブイベントなど多数公演あり。

質問 七味 まゆ味さんから 浅田 麻衣さんへ

Q & A
__ 
前回インタビューさせて頂きました、七味まゆ味さんからご質問を頂いてきております。1.インタビュアー、つまり私ですね。の第一印象は?
浅田 
あー。マトリョーシカを思い浮かべましたね。
__ 
なるほど。2.柿喰う客、出てみますか?
浅田 
あ、はい。
__ 
東京で活動してみたいと思いますか?
浅田 
うーん。ちょっと最近は興味ありますね。場所に関わらず芝居は続けられるなと思うんですけど、選択肢の一つとしてあるかもなと。

ちょっと空気が違うような

__ 
浅田さんは、今後どういう感じで攻めていかれますか?
浅田 
気の狂った役者になりたいですね。インパクトがあって、「あれ何だったんだろう」と思われるようになりたいと思います。そうなるためには色々勉強しないとダメなんですけど。
__ 
変な人。
浅田 
いわゆる、統率の取れた役者にはなりたくなくて。その人だけちょっと空気が違うような、どこかしら気味の悪さを持った、何をしでかすか分からない人になれればと面白いなと思います。

タグ: 今後の攻め方


ボタニカルズのハーブティー・レモンバーベナ

__ 
今日はですね、浅田さんにお話を伺えたお礼にプレゼントがございます。
浅田 
ありがとうございます。開けても大丈夫ですか?
__ 
どうぞどうぞ。
浅田 
お、これは。ハーブティーですか?
__ 
そうですね。
浅田 
へえー。最近、ハーブとか好きなんですよ。
__ 
それはレモンバーベナというものです。いい香りですよ。

タグ: プレゼント(食品・飲料系)


亀井さんの最近

__ 
今日はどうぞ、宜しくお願い致します。
亀井 
よろしくお願いします。
__ 
最近はいかがですか?
亀井 
もうすぐ、うちの劇団のファミリー劇場の稽古が始まります。
__ 
あ、亀井さんのホームグラウンドですね。
亀井 
はい。お時間ありましたら、いらしてください。

壁ノ花団「アルカリ」

__ 
ちょっと前になりますが、壁ノ花団「アルカリ」ご出演、お疲れ様でした。
亀井 
ありがとうございます。ご覧になってくださったんですよね。いかがでしたか?
__ 
面白かったです。亀井さんは男性か女性かもわからない役どころだったと思うんですが、謎めいていながらチャーミングな印象がありました。
亀井 
男性か女性かわからなかったですか・・・それも面白いですね。最初はいろいろ戸惑ったんですけど、刺激の多い舞台でした。
__ 
「アルカリ」は作品全体が謎めいていたものだったので、そのせいもあるかもしれませんが。戸惑われたというのは。
亀井 
やったことのない感じの芝居でしたし、稽古の仕方とか、作品の持ってる可能性の広がりですね。
__ 
そういえば、今でも分からないことばかりの作品でしたね。想像の材料がたくさん引き渡されたような。それからまた、座組が豪華でしたね。
亀井 
私、あのチームが凄く好きだったんですよ。
__ 
金替さんに。
亀井 
ホントに良く入れて貰えたなと思いますね(笑う)。内田さんは初めてお会いしたんですけれど、本当素敵な方で。カッコいいし、優しいし、女性としても憧れます。
__ 
可愛いですしね。何か我々、さっきから褒めまくってますが。
亀井 
はい(笑う)。
壁ノ花団第四回公演『アルカリ』
十三夜会奨励賞受賞。演出・水沼健。京都・東京にて公演。初演:2008年11月20~24日(京都)。
金替康博さん
MONO所属俳優。
ファックジャパンさん
劇団衛星所属俳優。
内田淳子さん
女優。ユマニテ所属。

タグ: この座組は凄い 混成軍的な座組 MONO


スケッチ

__ 
そんな、謎めいた作品「アルカリ」。実際はどんな稽古だったんでしょうか?
亀井 
試作の繰り返しという感じですかね。冒頭にセリフのない場面があったんですけど、水沼さんが「服を取りあってる感じで始めたい」って仰ってて、それを稽古の中で探していったんです。
__ 
それが最後には、ファックジャパンが子供用の服を着ようとするシーンになったと。そういう、具体性やストーリー性のないインスピレーションが素材だったんですね。
亀井 
はい。どこにいくのか分からないので、私は戸惑ってたんですけど。
__ 
つまり絵で言うと、スケッチを重ねて行ったんですね。だからコンテンポラリーダンス作品を思わせる、言葉だけで説明するのが難しい仕上がりだったと。
亀井 
そういえば、何枚も絵を描くような稽古だと思ったことがありました。上演の頃には油絵っぽいなと思うようになってたんですけど。
__ 
あ、分かります。照明の加減とかもそうだったように思います。
亀井 
それもそうですし、作品自体、様々なイメージを上から重ねるような感じがあったんですよ。下の絵が体に残っている感覚があるんです。そういえば、公演直前の通し稽古の時に、感覚が二重になる体験をして。
__ 
どういうことでしょう?
亀井 
下からにじみ出るみたいに、「過去の稽古で見た景色」と「今見えている景色」がしばらく二重に見えていて。不思議体験でしたね。