動員も花道も

__ 
さて、前回公演の「月黄泉ノ唄について伺えればと思うのですが。初めてのアトコン進出でしたけれども、お客さんが沢山入ってましたね。
河瀬 
ちょっとびっくりしましたね。実は、情報宣伝を担当している関係上、今回の動員数は予想してたんですよ。
__ 
当てずっぽうですけど、400人弱でしょうか。
河瀬 
そうですね。作・演出もやっていて、花道を作って欲しいと言ったら、舞台監督に400人分も客席は作れないと言われまして。動員も花道も諦めきれなかったんですが、結局400人も来ないだろうと花道を作ってもらいました。自信が無かったんですね。
__ 
さて、作品の方ですが、私は非常に面白く拝見しました。いわゆる時代モノのエンタメ演劇作品って結構多いと思うんですが、実はちょっと苦手なんですよ。それはもちろん完成度が低いだけなんですが、いかにもというセリフの応酬で、人間同士の会話が成立していないという作品が多くて。
河瀬 
分かります。正直、時代モノの衣裳を着て、固定されたキャラ概念での演技って見ていて面白くないんですよね。それは僕も大嫌いで。そういうのに風穴を開けるべくZTONを作ったというのもありますし。
__ 
あ、そうなんですか。
河瀬 
こういう芝居をやっていると、よくその系統に括られるんですよ。それがもう嫌で嫌で。
__ 
分かります。でもZTONさんは会話がきちんと出来ていて見やすいと思います。もちろん作品としてはエンタメなんですけど、役者の演技が全く硬直していないというか。
河瀬 
良かった、分かって頂けて。ただ、お客さんは何も考えずに見れる芝居を望んでいたりもする方も多いと思うんですよね。そこまで芝居を見ない人は、会話というよりは、ボゴーンボゴーンっていうのを求める人が多いんですよ。そういうお客さんには「月黄泉ノ唄」はウケましたね。アンケートなんか見ても。
__ 
なるほど。
月黄泉ノ唄
劇団ZTON vol.5「月黄泉ノ唄」公演時期:2008.8.29~31、会場:アートコンプレックス1928。ART COMPLEX 提携公演

タグ: 衣裳・時代物


手段としての殺陣

__ 
さて、前述の会話が出来ていない芝居をですね、「仮エンタメ系」と呼ぶことにしましょう。ZTONさんはそれ系と違わせる為にどのような事をしているのでしょうか。
河瀬 
実は、日本刀と殺陣が大好きなんですよね。いつか振るってみたいなあと。でも、殺陣を見せられて楽しいか?というと、僕は楽しくないんですよ。なので、究極的には殺陣は入れたくないんです。話の要所に入れることはありますが。なので、言い方は悪いですがオナニーにならない殺陣の作り方を研究していますね。
__ 
それはどのような。
河瀬 
「ここでこうきたらこう返す」みたいなセオリーには頼らずに、必要なだけの殺陣を作っています。言ったら、目的ではなく、手段としての殺陣なんですよ。ダンスもそうですし。でもそれらを目的としてしまったら、仮エンタメ系となってしまうと思うんです。
__ 
なるほど。では、殺陣などの部分以外の、作品そのものの製作としては。
河瀬 
一番描きたいのは、人間の内面です。一般的に演劇というのは、それを普通の会話劇を通して描いていると思うんですけど、それも見ていて面白くないんですよ。確かに芝居が進むにつれて、キャラクターの心に微妙な変化は表れてくるんですけど、そういった会話劇を見せられても・・・。三谷幸喜の劣化版だと思っちゃうんですよ。例えば初めて演劇を見る人が「どんなんだろう」と思ってちょっと観に行って、そういうものを見せられたとしても絶対に面白くないと思うんです。そこを劇的に、意図的に見せなくてはと思うんです。ダンスや殺陣は、そのための手段として入れていますね。
__ 
例えば、前回の「月黄泉ノ唄」では、主人公の死に別れた筈の妹が鬼として再び現れて、彼女の生への執念と向き合わなければならなかったと。そこで彼の、新しい時代を開きたいという理想とのジレンマが発生していました。結局、妹とはもう一度死に別れなければならなかった訳ですが、実は主人公は芝居が始まった頃よりずっと強くなっていたという、成長を描く物語でもありました。さて、そういった物語を、観客にどのように受け止めて貰いたいのでしょうか。
河瀬 
偉そうなんですけど、「この国はおかしい」と。僕自身は、作品に出てきた蜜さん演じる安陪清明と同じく、世界の矛盾・理不尽を破壊したいなと考えています。この国を疑問に思って貰いたいんですよ。ちょっと政治的かも知れませんけど。
__ 
なるほど。だから、単に激しいだけの仮エンタメとは違うんですね。そういえば、今年の3月の「沙羅双樹のハムレットという作品もそういった面がありました。
蜜さん演じる安陪晴明
陰陽師・安陪晴明を怪演とも言える熱演。
沙羅双樹のハムレット
劇団ZTON vol.3「沙羅双樹のハムレット」公演時期:2008.3.6~9、会場:東山青少年活動センター 創造活動室。

タグ: 「初めて芝居を見たお客さん」 表現=「自己満足、オナニー」? 手段を選ばない演劇人 俳優を通して何かを見る 大・大・理不尽


「世界はハッピーエンドで終わるんだ」

__ 
沙羅双樹のハムレット」。この作品も大変面白かったです。一番驚いたのが、何の希望もない、まさしくバッドエンドで終わったという事なんですよね。大筋としては、主人公が死んだ父親にとり憑かれ、その狂気が為政者に利用されるというものでした。主人公が正気に戻る訳でもなく、かつての仲間たちを黒幕の思惑どおりに斬り捨て、自らも死に、悪役がほくそ笑んで終わりという。思いきった作品だなあと。蜜さんにインタビューさせて頂いたときもバッドエンドが多いと伺いましたが、バッドエンドが好きなんですか?
河瀬 
はい。実は、僕は元々漫画家になりたかったんですよ。中学からジャンプに投稿していたんです。その時はハッピーエンドが好きというか、当然だと思っていて、ある時、ある漫画に出会ったんですよね。主人公とヒロインの女の子が出てきて、いい感じになるのかな?と思ったらキャラがボコボコ死ぬという。
__ 
タイトルは。
河瀬 
EDEN」です。ちゃんと、綿密なストーリーがあるんですよ。主人公はどんどん薬に溺れて行くんですが。あれを中学の時に読んでしまったのが運の尽きで。ジャンプの漫画を読んで育ち、「世界はハッピーエンドで終わるんだ」と思っていたのが、「これはいかん」と。のうのうと過ごしていては、と。そこからバッドエンドの方向に進んでいったんですね。
__ 
最後に世界の厳しさを叩きつけて終わる、みたいな。
河瀬 
そのニュアンスは大いにありますね。でも、バッドエンドの方が未来があると思うんですよ。辛いけど、どうしようもないけど、だからこそどうするかという問いかけなんですよね。そこに気付かないのが一番良くないと。
__ 
なるほど。特に「沙羅双樹のハムレット」は、一片の希望もなかったですね。
河瀬 
原作も僕ではなかったですし。いい意味で投げて書けたと思います。「月黄泉ノ唄」みたいに、無理矢理、希望が残るように書く事もあるんですけどね。

タグ: ジャンプ!についてのイシュー バッドエンド ハッピーエンドについての考え方


追及

__ 
さて、そんな劇団ZTONの旗揚げの経緯を伺えますでしょうか。
河瀬 
僕は月光斜に所属していたんですけど、参加した作品に納得してなかったんです。それで、自分で企画したらそういうストレスはなくなるかなと思って。僕が3回生の時に、月光斜の新歓公演で演出をやったんですけど、手応えを感じたんですよね。「これ行けんじゃねえか?」と思って。飲み会の席でたまたま一緒だったメンバーで「じゃあやろっか」と。
__ 
一番最初の公演は、いかがでしたか?
河瀬 
「じゃあやろっか」と言ってから4カ月後に、学園祭の企画でやりましたね。その頃既に仮エンタメ大嫌いだったので、そういう要素が全面的に入った作品でした。エンタメ糞喰らえ、みたいなネタの塊でしたね。今年の11月に再演するんですけどね。
__ 
タイトルは。
河瀬 
ISUKA」です。神武天皇の時代のお話です。
__ 
エンタメ糞くらえで時代モノというのが矛盾していて魅力的ですよね。ちなみに、現代を舞台にしたお話は作られないのでしょうか?
河瀬 
書きたいんですけどね。書くとなると、リアリティをどこまで追及出来るか?という話になるんですよ。書きたい話はあるんですけどね。ウイグル自治区の難民問題をエンタメに載せてみたいと思っています。
__ 
素晴らしい。
河瀬 
これについては気が狂う位の量の勉強をしないといけないと思うので、今、リアリティを追及すると自信がないんですよ。例えば、現代を舞台にしたエンタメでは拳銃が良く出てきますね。あれほど、現代の日本人にリアリティのないものはないと思うんです。僕の祖父は明治生まれで3回戦争に行ったんですけど、隣で匍匐前進していた同僚が撃たれて死んだとか、そういう話を聞いたんです。そこまでリアリティは要らないなと。もしそういう話をするのであれば、社会問題をもっと勉強させてほしいという。

タグ: 自信がない 飲み会結成 劇団ZTON、参る


質問 四葉さん から 河瀬 仁誌さん へ

Q & A
__ 
さて、今日は前回インタビューさせて頂きました四葉さんから質問を頂いてきました。1.月光斜の後輩に一言。
河瀬 
後輩ですか。
__ 
現在、10月の卒業公演の準備中だそうですが。
河瀬 
まあ、楽しんでやったらいいんじゃないですかねと。アグレッシブに挑戦してほしいですね。僕もそうして、「いけるやん」と思ったから旗揚げした訳ですし。挑戦する場ですから。
__ 
2.好きな女性のタイプは。
河瀬 
ええと・・・。年上の女性ですね。冷たくされると燃えますね。

劇団月光斜 2008年10月の卒業公演
さくたま!~異説!伊達娘恋緋鹿子。公演時期:2008.10.23~25、会場:立命館大学 学生会館小ホール、作・演出:四葉 さん。

今後

__ 
さて、今後、どんなふうに攻めていかれますか。
河瀬 
それは勿論、芝居で食っていくようになりたいですね。芝居に関わる仕事をしながら劇団を大きくしたいです。最終的には劇団が大きくなればいいですね。それだけで食べられるようになったら文句はないなと。
__ 
大変でしょうけれど、頑張って下さい。作家としては、今後描いていきたい世界は。
河瀬 
11月は、先ほどの通り初演の作品の再演です。その次は、3月に大きな公演をやりたいなあと思っています。シェイクスピアをやりたいなと。
__ 
それは、本当にシェイクスピアをやるんですか?
河瀬 
いえ、いじります。時代的には応仁の乱で。
__ 
舞台は日本なんですね。
河瀬 
はい。日本人が外人の名前で呼び合うのに寒気を覚えるんですよ。
__ 
骨組にすると。
河瀬 
本当に骨組程度ですね。

タグ: どんな手段でもいいから続ける シェイクスピア 今後の攻め方


無印良品の醤油さしと醤油用スパイスミックス

kawase_present
__ 
今日はですね、河瀬さんにお話を伺えたお礼にプレゼントがあります。
河瀬 
ありがとうございます。
__ 
どうぞ。
河瀬 
でかいですね。(開ける)お、これは。おしゃれですね。
__ 
無印良品の醤油さしですね。
河瀬 
うち、醤油がないんですよ。
__ 
えっ!
河瀬 
いや、大人数で暮らしているもんで、早く無くなるんです。
__ 
あと、にんにく醤油用・かつお昆布醤油用スパイスミックスです。
河瀬 
・・・これの賞味期限、僕の誕生日と一緒ですね。
__ 
えっ!
河瀬 
これ。
__ 
ああ・・・小さい奇跡ですね。

タグ: プレゼント(食器系)


劇団月光斜 2008年度 卒業公演
『さくたま~異説!伊達娘恋緋鹿子』

__ 
今日は、宜しくお願い致します。
四葉 
宜しくお願いします。
__ 
最近は、10月の卒業公演の準備ですよね。もうレパも選び終わったとの事でしたが。
四葉 
レパ選の時はまだ書き上がってない状態だったんですよ。その状態で選んでもらったんです。今はキャストを選び終わって、練習が始まったところです。
__ 
今回はどんなお話なんですか?
四葉 
遊郭のお話です。でも学生劇団の長所はエネルギッシュな舞台ですので、それを生かしたいなあと思ってます。私は本来、暗い話が好きなんですけど、明るくしようと。日本のお祭りをテーマにして、遊郭と任侠の世界観を兼ね合わせたお祭り芝居を作ろうとしています。
__ 
それは楽しみですね。
四葉 
あれだけいっぱいの人数をこうしてああして、というのが難しくて。緊張しますね。
__ 
なるほど。
レパ
台本のこと。月光斜ではこう呼ぶ。
あれだけいっぱいの人数
月光斜所属の団員は多い為、一つの公演期間中団員をまとめるのは自然と演出に委ねられる。

超特盛り秋祭り

__ 
卒業公演の事についてもう少し伺いたいと思います。私がいた頃の劇団月光斜はエンタメ路線だったんですよ。今回もそういう・・・?
四葉 
エンタメっていうと、刀とかが出てきて殺陣をやったりするものだと思うんですけど、今回はちょっと違います。というよりはドタバタですね。お祭りにしたくて、キャッチコピーは「超特盛り秋祭り」という。
__ 
あ、お祭りですか。
四葉 
人生は祭りだ!というテーマにしようと、この間ミーティングで決めました。
__ 
なるほど。作品のタイトルは。
四葉 
さくたま!~異説!伊達娘恋緋鹿子」といいます。これは八百屋お七と石川五右衛門の話なんですけど、この二人は歴史上絶対に絡まないじゃないですか。でも、二人とも処刑されていて、自分の道を貫いて死んだというところが似ていると思っているんです。
__ 
あ、じゃあフィクションという感じですか。
四葉 
いえ、どちらもそれぞれ本人ではなく、五右衛門は石川五右衛門に憧れていて、お七も火が好きな女の子という設定なんですよ。内容的には少年少女向けのお話です。他の登場人物も、歴史上の人物の名前を仮に付けているだけで、みんな憧れているだけなんです。でも、そういう人たちなりの不器用な生き方やしんどい人間関係をうわあって詰め込んで、でも最後はお祭りにするという事がしたいと思います。
__ 
最後がお祭りっていう運びがいいですね。
四葉 
でもそこにいくまでの人間関係を、ちゃんと濃密に描きたいと思っています。学生劇団だから、ウリにするのはワイワイしているところなんだけど、それだけじゃないものも作るべきだと思っていて。
__ 
分かりました。さて、学生劇団となると、やっぱり基本的な演技指導が稽古のかなりの部分を占めると思うんですが、これについてはどんな方針を取られますか?
四葉 
そうですね。私が前に中野劇団さんに出演させてもらった時、演出の中野さんとお話していて、私自身がやっぱり演技のスタイルがまだ全然定まっていない役者だったので、演技指導するとなると大変だなと。
__ 
なるほど。
四葉 
特に望む事となると、私のレパは最初から最後までその人の思っている事を盛り込んだセリフを書いているんで、キャラに巻き込まれないようにしてほしいですね。突き詰めていくと、「この人は凄く不器用で、要領が悪くて、でも一つの事だけは凄く信じられる人だよ」という見解を与えて、それが役者自身とリンクする部分を引き出していきたいなと思います。その役者さんが理解出来る感情を、一番伝えやすい形でしてくれればいいなと。さらには、演技する事の楽しさを1回生の子にも教えてあげられればいいなと思います。
__ 
でも、大変そうですね。
四葉 
学生劇団は特に、演出という役割にサークル内の関係を取り持つ役回りが求められるんですよね。例えばスタッフ間の連携とか、公演準備期間中の雰囲気とかを調整するのが演出なんで。演出が揺らぐと、みんなしんどくなってしまうんです。皆に分かりやすく、楽しく進めていければいいなと思いますね。ちょっと話がややこしくなっちゃったんですけど、雰囲気作りと、役者がやり易いスタイルを引き出すというのが二本柱かなと思います。
中野さん
中野劇団主宰。四葉さんは「楽屋ちゃん 2008」に女子高生役で出演。

劇団員の手売りについて

__ 
ちなみに、四葉さんは今後もお芝居を続けていかれるのでしょうか?
四葉 
いえ、私は普通に就職するつもりです。ただ、お芝居の世界には関わっていく予定です。エンターテイメント系の企業に就職が決まっているので。まあ、卒業出来ればですが(笑う)。でも、自分でクリエイトするのはもしかしたらこれで最後かもしれないですね。その分、この卒業公演には力を入れています。
__ 
なるほど。就職されるんですね。ちなみに内定は。
四葉 
はい、もう頂いています。そこで勤めて、お芝居の事をもっと広めていきたいなと。
__ 
広める。
四葉 
今のアマチュア劇団の人たちって、チケットを売るのって大変じゃないですか。どうしても知り合いに手売りするしかない。ぶっちゃけ、知り合いしか見に来ない。もっと効果的に広く売って行けるシステムを働いていく中で考えて行こうと思っています。本当は劇団を続けていきたかったんですけど、そのままでは社会に関われないと思ったんですね。
__ 
そうかもしれませんね。ちょっと話は戻って、劇団員の手売りについて。最近は例えば、一つの公演の予約をホームページなどで予約が出来るところが大多数です。でも、そういうシステムが用意されているのはいいんですが、例えば参加者が多い作品ほど集客率が良かったりするのを見ると、やっぱり手売りだなと。とすると、大多数の見に来ない人から見たら「何か内向きな事やってるな」みたいな偏見が付いていたりするんでしょうねえ。
四葉 
そうなんですよ。「ああ、ガンバって」みたいな。劇団四季とかはまだ、みんな何となく四季の作品をテレビで見て知っているから受け止められているけど。
__ 
四季も宝塚も、独立して認められていますからね。芝居を見る、というレジャーの選択肢の一番最初に来ていて、その下には何もないというか。
四葉 
映画を見るのと同じようにあってほしいんですけどね。フランスやイギリスとかだと結構身近で、例えば地域に劇団と劇場が根付いていて、週末にみんなで見に行くみたいなテンションらしくて。日本にはそういうのはないですね。
__ 
そうですね。
四葉 
でも、例えば新感線に見に行くお客さんはファンを始め、幅広い客層がいますよね。チケットがいくら高くて、つまり敷居が高い舞台にお客さんが沢山入っていて、逆に敷居が低いはずの小劇場には入らない。何かなーって思います。
__ 
果たして、小劇場を見に行くというオプションはいつ加わるのか、ですね。
四葉 
そうですね。小劇場ってクローズな印象の人が多いと思われているから、というのもあるかもしれませんが。
__ 
確かに。

タグ: アートへの偏見1「訳の分かんないやつでしょ」 外の世界と繋がる


一番身近な劇場

__ 
そういった、小劇場の世界がありますと。それとは別に、学生劇団という世界がまた別にありますよね。この二つは案外離れているように思えます。例えば私が劇団月光斜にいた頃の卒業公演の動員が750名を越えた事があったんですよ。これは小劇場の劇団からすれば驚異的な数字で。
四葉 
あ、実はそれ以降に800人行ったこともあるんです。でも今は落ち着いていますね。
__ 
でも凄いですよね。いくつか要因があるとしたら、学内での宣伝がし易い事。同じ大学内という事で、お客さん(=学生)の囲い込みが出来る、というのがあると思います。チケットも安いですしね。
四葉 
それと、関わる人が多いからかもしれないですね。
__ 
ああ、友達という事で手売りし易いという。それでも、買ってくれるというのには何か理由があると思います。もしかしたら、大学に入学して初めて触れる演劇で、新鮮だから見に行くのかも。というのは、高校の演劇部が文化祭でやるのを見るのとは全く別だと思われているんじゃないかなと。観劇体験への憧れみたいな。それは逆に言うと、そこでつまらないと感じればもう劇場には来ない。そういう観客のサイクルがあると思います。
四葉 
そうですね。確かに。
__ 
でも、学生にとっては一番身近な劇場として、学生劇団は依然として存在していますよね。
四葉 
友達が出ているから嫌々見に来たという人が芝居に感動して、結局入団したという例もあります。ハマる子は本当にハマるんですよね。そういう掛け橋の一つとしては良いものだと思います。
__ 
ええ。もちろん、やる側にとっても良い環境ですね。そういう、背負わなさがもしかしたら見やすさ・来やすさの大きい要因かもしれない。劇団月光斜は特に。

サークル仲間というよりは仕事仲間

__ 
学生劇団そのものについて、もう少しお話をさせて頂きたいと思います。まず、劇団活動というのは捉えようによっては非常に仕事的だなと感じておりまして。自分たちで成果物を準備して、宣伝して、お客さんにお金を払って貰って、様々な段取りをして、終わらせるという。次回公演があれば反省して、もっと良い方向を探るなりしますね。例えば趣味でやっているにしても「お仕事」としての側面が強いのが演劇だと思うんです。それを学生の内から体験するというのは、実はその後の社会生活にも良い影響があるのではないかと考えているんですよ。
四葉 
そうですね。サークル気分で入った子が一番最初に辞めちゃうのが劇団月光斜なんですよ。まず部署がはっきり分かれていて、参加するごとに自分が何をすればより良い作品になるのか、という事が分かるようになるんですね。1回生でも、「俺やってやるぜ」っていう意識を持った人がどんどん伸びていきますね。みんな目の色が変わっていくんですよ。自分がそうしたいと思っていって、例えば他の劇団を見に行ったりして勉強すると、技術的にも成長するんです。それは、他の世界についても同じだと思います。厳しい話ですけど、劇団月光斜はそういうところですね。
__ 
ええ。
四葉 
本当に、自分の役割を意識する場なので、人生においてとても重要な事を学んでいると思いますね。3年間やっているとそう思います。後輩を見ていても、最初は頼りなかった子が、今は頼りがいのあるメンバーになっているんですよ。私的には、サークル仲間というよりは仕事仲間ですね。そういう意識は、他の部活とは違うと思います。
__ 
そうした中で、成功する公演のカギとはどのようなものですか?
四葉 
大きく二つあると思うんですよ。作品のクオリティの高さと、公演期間中のチームの調和性です。作品のクオリティが高くても、ムードが悪い場合もありますし、その逆もあります。私は、そのどちらも必要だと思っています。特に、今回の卒公はそうですね。ただ、集団なので、クオリティを重視する人もいれば、仲良くやりたい人もいるんです。そういう人たちを取りまとめるのがめっちゃ難しいんですよ。
__ 
演出ということで、そういうマネージャー的な仕事もあるんですね。
四葉 
正直悩みどころですね。それはどんなサークルも同じだと思うんですが。でも、みんないい公演にしようというのは変わらない筈だから。頑張ろうと思います。

タグ: 反省Lv.4 調和の価値


歩いていく

__ 
さて、今後、石川さんはどんな感じで攻めていかれますか。
四葉 
そうですね。私自身としては、演劇の世界に残るかどうかは分からないんですけど、一生関わりたいなと思っています。いかにこの面白いものを世の中に広めていけるか、という意識もありますし、演劇自体を他の色んな角度から見ていきたいという思いもあります。
__ 
というと。
四葉 
抽象的な言い方になりますけど、演劇には色々な見方・関わり方があるんじゃないかなと思うんですが、それを作りだしていきたいと思うんです。役者も機会があればやりたいし、書くのも、または企画するのもやってみたいですね。私が人生の中で芝居でどれだけ遊べるか、という。私は多分、一生芝居と一緒に歩いていくと思いますね。
__ 
ご自身で、どうしてそこまで演劇が好きなんだと思われますか?
四葉 
うーん。ハマりこんだら抜けられないタイプなんだと思うんですね。何だかんだいって、好きな事をずっとやっている人をかっこいいと思うんですね。視野が狭くなるのは怖いんですが、でもこれを中心にして色々な人と会っていければ、いろんな人や物事を繋げていければと。で、今までやってきた演劇を選んだんですよ。両親にも、これは譲れないから、と言ってますね。
__ 
なるほど。

タグ: 「異なる角度から」 今後の攻め方


質問 クールキャッツ高杉さん から 四葉さん へ

Q & A
__ 
さて、前回インタビューさせて頂きました、クールキャッツ高杉さんから質問を頂戴してきております。ちなみに、お知り合いではありませんか?
四葉 
いえ、会った事はないんですけど知ってます。
__ 
その方からの質問です。
四葉 
え、あたしにですか?
__ 
はい。1.好きな異性のタイプは?
四葉 
(笑う)そうですね、自分の芯がある男の人です。別に格好良くなくてもいいから、これだけは譲れないものを持っている人。「バッカだなー」とか言いながら付いていくと思います。
__ 
2.月光斜に入って楽しかったことは。
四葉 
そうですね。いっぱいあるんだけど、人と人との出会いかな。公演後の6ステで、「こんなたくさんの人と関わったんだなー」とぼーっと考えるのが楽しいですね。
__ 
あ、6ステまだあるんですね。ちょっと安心した。3.好きな女優さんは。
四葉 
真野絵里さんです。
__ 
どんなところが。
四葉 
すごくおしとやかなんですけど心の中に凄い情熱を持っているんですよ。鋭い目線で、演出の考えている事を読んだりとか。あまり人には言わないのに、聞いたら絶対教えてくれて、たおやかさというか。本当に凄い人だなと思います。

真野絵里さん
女優。四葉さんとは中野劇団「楽屋ちゃん 2008」で共演。

お菓子ボックスとコインチョコ

yotuha_present
__ 
さて、四葉さんにお話を伺えたお礼にプレゼントがあります。
四葉 
ありがとうございます! 開けていいですか?
__ 
どうぞ。
四葉 
プレゼントを開ける時って、ドキドキしますよね(開ける)。コインチョコですか?凄い、タイムリーですね。
__ 
あ、そうなんですか。
四葉 
卒公の芝居にコインが出てくるんですよ。ありがとうございます。
__ 
一応、月光斜のBOXのお菓子入れみたいな感じで使って下さればと思います。
四葉 
ありがとうございます。元々あったんですが、他のに使われて無くなっちゃってるんで。これ置いておこうかな。すっごい可愛いです。

タグ: プレゼント(食品・飲料系) プレゼント(容器系)


10月2~6日「東京はアイドル」

__ 
今日は、宜しくお願い致します。
吉川 
お願いします。
__ 
最近はいかがですか。
吉川 
最近はそうですね。悪い芝居の10月公演の準備中です。
__ 
東京はアイドル」ですね。どんな作品になるんでしょうか。
吉川 
はい。演出の山崎さんが言われているのが、YouTubeとかの動画サイトって、何でかわからないけどずっと見続けてしまいますよね。そういう感覚の作品にしたいと言ってますね。
__ 
ああ、その感覚は分かります。
吉川 
作品として芝居を見に来ている筈なのに、いつの間にかお客さん自身が自分でコンテンツを選んで見ているような感じになるんじゃないかと。
__ 
タイトルの意味から、東京自体がアイドルという着想なのかなあと思うんですが。
吉川 
そうですね、そう受け取る人もいるかもしれません。
__ 
あ、見てからのお楽しみという。
吉川 
そうですね、演じている方も全部分かっている上でやっている訳ではないんですよ。見ている方も、「ここはこういう意味なのかな?」って想像しながら見る作品になると思います。あまり、全てをお客さんに教える作品ではないですね。
__ 
なるほど。では、意気込みの程を。
吉川 
最後の京都のみで行う公演ということで、是非見にきて頂きたいと思います。ひとつの街を舞台上に作って、それをお客さんに観てもらうことになるんですが、本当にそこで生きれたらと思いますね。
__ 
あ、街で生活する人の姿を描くみたいな。
吉川 
というよりは、そこにいる、みたいな感じです。アートコンプレックスに入ったら、そこで人が生活していたみたいな。
__ 
楽しみにしております。ところで、毎回思うんですがチラシの出来がいいですよね。
吉川 
ありがとうございます。
__ 
中開きの写真が、びっくりしました。あの水着写真らしからぬ悲壮さというか。
悪い芝居Vol7.「東京はアイドル」
公演時期:2008年10月2~6日。会場:アートコンプレックス1928
山崎さん
山崎彬。悪い芝居劇団員、作、演出、俳優。
アートコンプレックス1928
劇場。京都小劇場のメッカ。

vol.101 吉川 莉早

フリー・その他。

2008/春
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吉川

東京メドレー

__ 
今回は落語にも挑戦するそうですが。
吉川 
あ、「東京メドレー」で。
__ 
それは、ご自分からやりたいと。
吉川 
そうですね。それまで落語はちゃんと見た事がなかったんですけど、劇団のミーティングで、山崎さんが「藤代さん落語やりたいとか言ってたし、そういうのもいいと思う」ってポロっと言ったんですよ。それに私も乗っかろうと思って、「私もやりたいです」って軽く言ったら、結局藤代さんはコント、私一人だけ落語をすることになりました。
__ 
なるほど。
吉川 
その稽古もあるので、今わちゃわちゃしてます。まだ全部覚えきれていないし、稽古の仕方も分からない状態で。
__ 
最低限、暗記さえしていけば最悪の事態は免れると思いますよ。
吉川 
そうですかね。本屋で入門書みたいなのを探したんですけど無くて、「タイガー&ドラゴン」を見たり、人に聞いてもらったりして練習してます。
__ 
手ごたえとしては。
吉川 
ちょっと怖いですね。セリフが飛んだらどうしようと。一つの提案として、カンペを持ってきてくれる黒子をお願いしようとしたら却下されて。
__ 
ああ・・・。頑張って下さい。本当に。
藤代さん
藤代敬弘。悪い芝居劇団員、俳優。
タイガー&ドラゴン
TBS金曜ドラマ。落語が題材であった。

vol.101 吉川 莉早

フリー・その他。

2008/春
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吉川

劇団に就職

__ 
悪い芝居に入ったキッカケを教えて頂きたいのですが。
吉川 
理由が明確ではないので、聞かれるといつも困るんですけど・・・。私は入って1年ちょっとなんですけど、その頃がちょうど就職活動の時期だったんです。周りの人たちが面接に行き始めている頃に、私もこの先どうしようと思って。それでリクナビとかにも登録したんですけど、それと同時に「劇団ってどうなんだろう」と思ったんですね。それで「京都 劇団」で検索したら、「悪い芝居」のリンクが出てきたんです。変わった名前だなと思ってクリックしたらサイトが可愛くって。いいかもと思って、「入れませんか」ってメールしたら・・・という流れです。
__ 
あ、就職しちゃった。
吉川 
親にも「劇団に就職したし」って言って。
__ 
それまでお芝居をやったことは。
吉川 
一切ないですね。見たこともなくて。私の勝手な固定観念なんですけど、「高校の演劇部の人たち」ってイメージがあったんですよ。
__ 
まあ、あの先入観ですよね。でも、それでどうして演劇を始めようと思われたのでしょうか。
吉川 
小さい頃から、本当にやりたいことが私にはなかったんですよ。何か一つやりたい事があったら、凄く頑張るのになあとずっと思っていたんです。就活の時期に、改めて好きな事を仕事にしたいのにって悩んだんです。でも別に無いし、それだったら、色んな事をばーってやって、それで一個ダメだったらまた別の事をしようと。最初は映画関係の仕事がいいなと思っていたんですけど、大学で経済やってた子がいきなり映画はどうかと。その時に、劇団とかどうだろうと思いついたんです。小劇場の劇団だったら、美術も、映像も、照明も、制作も、音楽も、色んな仕事がちっちゃな塊に凝縮されているじゃないですか。そこに入ったらいっぱい選択肢があるし、もしかしたら私がやりたいことも見つかるんじゃないかなと思ったんです。
__ 
なるほど。入団されてからいくつかの公演に関わった訳ですが、どのように変わりましたか?
吉川 
入団したての頃時は「やったーっ」って思って、ここで頑張ろうと思ってたんですよ。でも、それを続けられる自信はなかったです。昔から飽き性なので。
__ 
飽きないことがあった?
吉川 
最初に参加した「イク直前ニ歌エル女(幽霊みたいな顔で)」という公演で、美術の手伝いをやってたんですけど、それが本番を迎えた時に「あ、稽古と全然違う!」とびっくりしたんです。
__ 
そうですよね、稽古や仕込みと本番では、もう全然違いますもんね。セットの見え方も違うくらいの。
吉川 
それ以上に役者さんも、稽古と一緒の事をやっている筈なんですけど、本番で客席から見たら全然違うんです。私も頑張ろうと思いました。

タグ: SeizeTheDay


vol.101 吉川 莉早

フリー・その他。

2008/春
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吉川

「あ、私ダメだ」

__ 
初舞台はどうでしたか。
吉川 
初舞台は「性春群憎劇のススメ」という作品で、コントだったんですけど。初めて演技をしたのが映像撮影だったんです。それが水着でお風呂に入ったり、セーラー服を着て公園で遊んだりするものだったので、「ああ、こういうもんなんだ」と思って。
__ 
ええ(笑う)。
吉川 
本番での初演技としては、最後のシーンで長セリフを喋るというものだったんですけど、自分は何をやっているんだ?と。何で目の前でお客さんが笑っているのか本当に分からなくて。
__ 
いや、面白かったと思いますよ。
吉川 
ありがとうございます。でも、全く分からないまま舞台に立ったという感じで、上がった瞬間に「あ、私ダメだ」と。
__ 
足が震えたりしませんでしたか。
吉川 
いえ、緊張はしませんでしたね。大丈夫かなとは思ってましたが。緊張した方がいいんですかね?
__ 
いや、人によると思います。一応、テンションが高ければいいと思いますよ。あ、そういう意味では、悪い芝居の役者は何かにとり憑かれている感があっていいですね。酔った目つきとか。
吉川 
本番や稽古の前は「私は頭がおかしいんだ」って暗示を掛けてやってます(笑う)。それでも、その公演の稽古に慣れるまではまだ恥ずかしいですけど。
悪い芝居のブレてる助走07「性春群憎劇のススメ」
公演時期:2007年5月10~13日。会場:スペースイサン。コント集。

タグ: 恥ずかしいコト


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吉川

「なんじ」

__ 
さて、一番最後に吉川さんを拝見したのは精華演劇祭vol.9での「なんじ」という作品でした。たしか赤いドレスを着てましたよね?
吉川 
はい、着てました。
__ 
非常に面白く拝見しました。あれは、ご自身ではどのような公演でしたか?
吉川 
それまでに出演した2つの作品と比べて、考えた量も稽古した量も全然違いました。その分、得るものも大きい公演だったと思います。
__ 
量が違った。
吉川 
主役ってゆうプレッシャーもありましたし、一年前までお芝居を観たこともなかったし、演技をするにしたって、例えば声の出し方とか、こんなにおおげさに喋っていいのかなあとかいちいち分からなかったし。稽古が始まったあたりは言われたままにやる事しか出来なくて。「吉川さん、真ん中にいて」って言われたら「あ、すみません・・・」っていう感じで。
__ 
ええ。
吉川 
でも、次第に作品の事を考えるようになったんですよね。私はあのお話が好きなんですけど、作・演出の山崎さんにどんどん聞いていったんですね。「このお芝居をどうして書こうと思ったんですか?」とか。本人は聞かれたくなかったと思うんですけど、結構しつこく。でもそれで、なんじとの距離も短くなったと思います。
__ 
どのように変わりましたか?
吉川 
そうですね、山崎さんは私に、私が本当は持っているめちゃ汚い部分を出して貰いたかったらしくて、でも自分でも自分の事なんて全て分からないじゃないですか。どうしたら出るんだろうと最後まで悩んでいました。でも、周りの人たちの一言に助けられましたね。
__ 
最後には納得出来るものが出来た、と。
吉川 
とりあえず、あの時点で出来ることは全て出来たと思います。
__ 
素晴らしい。
悪い芝居Vol7.「なんじ」
公演時期:2008年4月2~6日。会場:精華小劇場。

タグ: 赤色


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