アレクサンダーテクニックのワークショップ

__ 
今日は宜しくお願いします。
豊島 
宜しくお願いします。
__ 
今日は確か、アレクサンダーテクニックのワークショップを受けられていたと伺いましたが。
豊島 
そうですね。
__ 
この近くにそういう場所があったんですね。
豊島 
はい、ご自宅で開催されていて、今日は1年ぶりくらいに行きました。友達と一緒に、ペアレッスンという形で。
__ 
内容としてはどんな。
豊島 
とてもいろいろあると思いますが、たとえば、身体の正しい知識というか。自分が思っている身体のイメージに気付かされたり、そのうえで実際の身体のつくりはどうなのかを教えていただいたりですね。
__ 
それを実際に確認していくという内容なんですね。例えば、どんな感じで役立ちますか?
豊島 
楽になることが多いです。思い込みのイメージがいつの間にかあって、そのことでつらくなる身体の使い方をしていたりするので。たとえば、今日のことでいうと、これまで背骨の位置を後ろに、またとても細く捉えてしまっていたりしていました。でも、もっと身体の中心に近いところを通っていて、太さも握りこぶしの手首まであるのだ、と知ると、案外しっかりした身体だなと思って、安心する気持ちが生まれました。また、していたい姿勢がすこし変わり、そうするとただ座っていることがいつもより楽に思えました。 そもそも、はじめて行ったのは5年ほど前です。そのころ、関節が痛くなってしまって。おおげさですけど、手足がちぎれるように痛くて、洗面器が持てなくなるような時があったんです。色んな病院に行っても原因が分からなかったんですね。そういう時に友達の影響で行ってみたんです。そこで、自分の体の癖に気づかされたんですね。
__ 
ああ、客観的に身体の事が見えたと。
豊島 
はい。今でもそうなりがちなんですけど、手首に力を入れてぎゅっと握る癖があったんですね。自転車のハンドルとか、何でも握りすぎる、力んでいる。それが、一ヶ月二ヶ月と受講していくうちに、そんなにぎゅっと握らなくてもいい事に気がついたんですね。すると、関節が千切れていくような感覚がなくなったんですよ。
__ 
何かそれ、良く分かります。
豊島 
でもこれは私の場合で、アレクサンダーのことを人に話す勉強が私にはできていません、すみません。自分の身体が見えなくなってきたりするとアレクサンダーのことを思い出すみたいで、また、いま少しずつできたらいいなと思っています。こころを見ることにもつながると思うので。背骨のことも、以前に教えていただいていたのに、忘れてしまって、長年の思い込みのほうが出てきちゃっていたようで、もったいないなと思いました。

タグ: 力んでいる


vol.105 豊島 由香

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2008/春
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豊島

「かえるくん、東京を救う」

__ 
さて、この間のウイングフィールドでの「かえるくん、東京を救う」。非常に面白かったです。
豊島 
ありがとうございます。
__ 
あれを見ていて、何かこう全般的に、「正しい方法で演技している」という印象を受けました。丁寧に出された言葉が、こちらに正確に、優しく伝わってくるというか。豊島さんの力もそうですし、そして村上春樹の言葉にもそういう正しさがあったのかなと。
豊島 
そうなんです。凄いんです。村上春樹さんのテキストはやさしい言葉で、なのに、強度があって、深みがある。それがすごいな、と思います・・・ありきたりな言い方しかできなくて恥ずかしいんですけど・・・。配列も無駄がないし。たとえばセリフ忘れで何か一つの言葉を抜かしたり加えたりするときはもちろん、入れる箇所を間違えたりしてもすぐにおかしいなって思うんですよ。それはあたりまえですけれど。でも、その言い間違いによって文章としての精度がぐんと落ちるのがわかるような、かなりパンチのある気持ち悪さです。セリフを間違わずに音に出す時に、気持ちいいというとおかしいかもしれないんですけど・・・。
__ 
分かります。正しく気持ち良く出したセリフが客席に気持ち良く流れ込んでくるというか。
豊島 
そうなんです。何で読んだんだったかな、ある記事に、村上さんは原稿を声に出して確認しているっていうようなことが書いてあったんです。やっぱりそういう作業をされているんだなと思いました。
__ 
だから、朗読劇という形式だったんでしょうか。まあ、実際は本を持って読んでいるシーンはあんまりなかった訳ですが。
豊島 
そうですね、少なめですね。
朗読劇 かえるくん、東京を救う
公演時期:2008年10月22(水)~23(木)。会場:ウイングフィールド。原作:村上春樹。

タグ: 恥ずかしいコト 村上春樹 朗読劇についてのイシュー


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豊島

しっぽを掴む

__ 
引き続き、「かえるくん」について。本番で言葉を出す時に、何か気を使った事はありますか?
豊島 
恥ずかしいんですけど、今回はもう一つ出来ていなくて。でも、お客さんに助けて頂いた点が多いですね。結局、本番で、セリフを通してお客さんと会話する事が重要だなって。
__ 
朗読であれば、そういうコミュニケーションに集中出来そうですね。
豊島 
それが朗読が好きな理由の大きなひとつですね。実は、初演の時に何かもう一つ奥に声のありようみたいなものがあるような気がしたんです。それを探りたいという気持ちがありました。再演の稽古期間では、そのしっぽを触った気がしたんです。
__ 
奥ですか。
豊島 
お客さんが向こうにいて、稽古ではそれを仮定しながらするんですが、そちらへの向かい方で声の出方も変わるのだと思います。その感覚のなかにあるものですね。でも公演の直前数日に情けないことがいろいろあって、本番のころには、しっぽがちょろちょろと動いて・・・。
__ 
そのしっぽというのは、朗読をする上でのもう一つ上の段階、という事だと思うんですけど、声を発する事の真価ですよね。発話して、向こうの人に伝わる間の事だと思うんですけど。
豊島 
そうですね、そのあいだの事ですね。
__ 
しっぽを掴む為に、どのような努力が必要なのでしょうか。
豊島 
きっと、得なければいけない感覚もあると思うんですけど、外していかないといけないものがあるとも思うんですよ。中学から演劇をやってきて、その経験から来る意識や癖から抜け出ないと。
__ 
というのは。
豊島 
舞台でお客さんと関係を結ぶ時の、簡単に依ってしまう便利な型みたいな。私は悪い意味で複雑さを排除しがちなんですよ。すると、単純だけども薄っぺらで嘘くさい表現になってそれが声に出てしまうんです。単純という言葉は好きなんですが、本当にシンプルで美しいものは、逆に凄く情報量が多いと思うんです。もちろん、役者の訓練をしないという事ではなく、余計なものを纏わないようにすることが必要だと思いますね。
__ 
余計なニュアンスをセリフに重ねてしまうのではなく。
豊島 
はい、ここにある本当に見たいものを鈍らせない為に。

タグ: 恥ずかしいコト 情報量の多い作品づくり 俳優を通して何かを見る


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豊島

マークのお芝居

__ 
今回は演出が田中遊さんでしたね。
豊島 
そうですね。初演の時もお願いしたんですけど。
__ 
あ、そうだったんですか。良ければ、経緯を教えて頂きたいのですが。
豊島 
以前、田中さんの「イス」という作品を見たんですよ。
__ 
それを見れなかったんですよ私。もの凄く面白かったという評判を伺っています。
豊島 
あ、そうだったんですか。面白かったです。イスを使って、パズルみたいに組み立てていくみたいな。さっきちょっと、シンプルの話をしたんですけど、人なのに情とかをそぎ落としたみたいな。
__ 
デザインされた、みたいな?
豊島 
私、タバコの箱のデザインとかが好きなんですよね。そういったものを想起するんです。美しくデザインされた演出なんですよ。それで彼のファンになりました。それで、彼の作品を見るようになって、また、彼を役者としても見て、マレビトの会や、水沼さんの演出の作品に出ておられたときのとか、いずれも、声が興味深かった。声のありようが面白かったんです。彼の演出作品にしろ、役者としての彼にしろ、面白かったです。その声の出どころや向かう先を探りたかったし、知りたかったんです。でも今回、田中さん大変だったと思います(笑う)。どうしても私のやりたい事はあったし、でも彼にも言って欲しいし聞きたいし、そういうややこしいなかで凄くよく付き合って下さって。共同演出というのは、とくに依頼されているほうはしんどいだろうなと思いました。
田中遊さん
正直者の会代表。作家、演出家。

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豊島

もうちょっと、先に

__ 
全てひっくるめて、ご自身の手ごたえとしてはいかがでしたか。
豊島 
もうちょっと、先にいきたいなと。貰ったものは大きかったんですよ。観て頂いた方から聞いた感想やイメージとか。人によっては、それが、私の表現したものよりも膨らんだりしていたんです。それはとても嬉しかったんですが、同時に悔しかったり、申し訳なかったりする面もありましたね。こんなに豊かな感性を前にさせていただいていたんだなとあらためて思って、私の方でもっとできていれば、どうなっていたんだろうと思うんです。ちょっとギュッとしていたなと・・・。でも、それはそれで、あそこであったかけがえのないことだし、とても大事に思います。ただ、つぎは名古屋に行くんですけど、ちょっと硬くなってしまったものを放したい、と思っています。
__ 
お客さんからの感想って、参考になりますよね。まして一人芝居だと、尚更だと思います。

タグ: 一人芝居


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豊島

ほそぼそとでも、こつこつとでも

__ 
今後、「かえるくん」は再演を重ねていきたいとパンフレットにありましたが。それはどのような狙いがあるのでしょうか。
豊島 
色々あります。前に音楽が弾ける人と共演したことがあるんですけど、そういう技術って財産だなと思ったんです。バイオリンをぱっと弾けたりとか、その人のもので。役者は一回一回稽古する必要があるんですね。それはすっごくすっごく好きな作業なんですけど。
__ 
ええ。
豊島 
一つの舞台作品を自分の一つの仕事にして、人に喜んでもらえるようなレパートリーを持ちたいですね。元関西芸術座の新屋英子さんという女優の方が、2000回以上一つの作品を続けられたという自伝を読んだことがあって、素敵だと思ったんですね。ひとつの作品を再演し続けたら、その先があるんだと思うんです。一回一回の作品が通過点であり、到達点である、過去のものが低いということではなくて。
__ 
なるほど。では、豊島さんご自身は今後、どんな感じで。
豊島 
ほそぼそとでも、こつこつとでも。かえるくんは、ちょこんちょこんと続けていきたいですね。友達の家でやるというお話も出ているので。そんな感じでも出来たらいいなと思います。でもやっぱり、お芝居したいなと。
__ 
ええ。
豊島 
相手がいて、会話をしたいですね。そういうお芝居の稽古って、ジャンプしていくというか。ドキドキするんですよ。人とやると、やはりそういう面は強くなりますね。
__ 
会話もやっていきたいと。
豊島 
はい。
新屋英子さん
女優。劇団野火の会。ひとり芝居「身世打鈴」の再演を1973年以来2000回重ねる。

タグ: ジャンプ!についてのイシュー どんな手段でもいいから続ける 再演の持つ可能性について 楽器の話題・バイオリン


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豊島

本当にいい人たちに会えたと思います

__ 
豊島さんはTARZAN GROUPという劇団に所属されていたとの事ですが。
豊島 
はい、今もしています。ここ最近は、1年に1回くらい集まって飲みますね(笑う)。もう一度やりたいという気持ちはみんなあるんじゃないかと思うんですが、お子さんがいたり、仕事が忙しかったりで。でも、もっとおじさんおばさんになってからもう一度やりたいですね。
__ 
昔と今では、ご自身の演技にどんな違いがあると思われますか?
豊島 
ちょっと暗い話なんですけど、TARZANに入った頃舞台に立つのが怖くてしょうがなかったんです。
__ 
怖いとは。
豊島 
お芝居はしたいんですけど、不安だったんです。私もっと好きだった筈、みたいな記憶で立っていたんです。そういう気持ちで立っていたからダメ出しも多かったんですね。
__ 
何が原因だったんでしょうか。
豊島 
それは結局、自分が嫌いだったと思うんですよ。それまで、TARZANに入るまでの頃は演劇が楽しくて仕方なかった。でも、自分が恥ずかしい人間だと気づかされるようになってからは、演劇を好きという理由でうまく逃げ場所にしていると自覚したんです。それからは、どんな役に対してもただ引け目を感じて怖くなった。考えるのは自分の事ばっかりで、舞台に立っていても、こんな自分の事はばれていると。そうした時に大学のサークルの人や、TARZANのみんなには助けていただきました。そのあともいろいろな人や出来事に出会って、だんだん、もうばれてしまったらいいな、ここから人に手をのばしていこうと、そんな力を育ててもらったように思います。
__ 
それは良かったですね。
豊島 
はい。本当にいい人たちに会えたと思います。
TARZAN GROUP
京都を中心に活躍していた劇団。1988年旗揚げ。

タグ: 恥ずかしいコト


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豊島

質問 益山 貴司さん から 豊島 由香さん へ

Q & A
__ 
さて、前回インタビューをさせて頂きました益山さんからですね、豊島さんにご質問を預かってきております。
豊島 
はい。
__ 
「好きな映画は何ですか?」
豊島 
ええ、何だろう。うーん・・・是枝さんの、「誰も知らない」という。
__ 
ええと、柳楽優弥の。
豊島 
あ、そうです。
__ 
あの悲惨な。お母さん役のYOUが絶妙なキャスティングでしたね。
豊島 
そうですね。ダメなんだけど憎めない。
__ 
最初に画面に出てきたとき、あまりにハマっていて笑っちゃいました。YOUには本当に失礼な話なんですが。
豊島 
ええ、あのYOUは、誤解を受けるかもしれませんが、魅力的でした。あの母親はひどいかもしれないけど、彼女なりに背負っているものがあって、自分とは無関係に思えない、あちら側の悪い人、とは思えない。あと、「歩いても歩いても」という映画があるんですけど、面白かったです。特に劇的じゃないんだけども感動しました。人はしんしんと怖くて悲しくて、でも同時に面白いなというのをあらためて感じました。是枝さんはドキュメンタリーを以前よく撮られていて、そこで培われたであろう視点が好きなんだと思います。村上春樹さんに通じると思います。どちらの方の作品も、人を、世界をよく見て、耳を澄ましていて・・・。
__ 
それを再構成して作品に昇華するという感じなんでしょうね。作品性に結び付けるって凄いなと思います。
豊島 
都合良くしていないんですよね。あと、料理のシーンがめちゃくちゃおいしそうですね。枝豆とかがザアって出てきたりとか、食材をかき混ぜたりとか。希林さんって料理好きなんだろうなと思いました。一番好きなシーンですね。

「誰も知らない」
2004年日本。監督:是枝裕和。
「歩いても歩いても」
2008年日本。監督:是枝裕和。

タグ: ドキュメンタリー 村上春樹


vol.105 豊島 由香

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2008/春
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豊島

SCHLEICHの動物フィギュア

toyoshima_present

__ 
今日はですね、豊島さんにお話を伺えたお礼にプレゼントがございます。
豊島 
わあ、嬉しい。ありがとうございます。このコーナーを見ていて緊張していたんですよ。
__ 
いえいえ、それほど大したものではありませんから。どうぞ。
豊島 
ありがとうございます。(開ける)え、これは。楽しいです。小さい時こういうのいっぱいあって。飾らせて頂きます。
__ 
どうぞどうぞ。

タグ: プレゼント(可愛らしい系)


vol.105 豊島 由香

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豊島

MONOスペシャルイベントin金沢 『チェーホフを待ちながら』

__ 
今日は宜しくお願い致します。
長沼 
お願いします。緊張してます。
__ 
いえ、そんな肩肘をはったものではありませんので。最近の長沼さんは、どんな感じでしょうか?
長沼 
最近は、次の公演の準備です。稽古期間が短いので、台本は稽古が始まる前に渡されて、各自が覚えてくるという。稽古が始まったらすぐに立ち稽古、通し稽古、という感じなのだと思います。
__ 
どんな作品なのでしょうか。
長沼 
MONOさんの、金沢市民芸術村でのスペシャルイベントです。チェーホフの一幕物なんですけど。
__ 
あ、MONOですか。
長沼 
はい、声を掛けて頂いて。
__ 
この間のぶんげいマスターピースの「三人姉妹」から、チェーホフが続きますね。
長沼 
続きますね。でも今度やる一幕物は、「三人姉妹」とはだいぶ雰囲気が違うので、また新鮮に楽しめそうです。
MONO スペシャルイベントin金沢 『チェーホフを待ちながら』
公演時期:2008年10月5日。会場金沢市民芸術村

タグ: 稽古期間が短いピンチ


vol.104 長沼 久美子

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2008/春
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長沼

ぶんげいマスターピース工房「三人姉妹」

__ 
さて、ぶんげいマスターピース工房の「三人姉妹」。9月の末にありましたね。ものすごい大人数のお芝居でしたが、稽古はどんな感じで進んでいきましたか?
長沼 
他に公演を抱えている方もいたので、最初のうちは代役をたてたり、その日いるメンバーでできるシーンから作っていきました。結構長い稽古期間だったんですけど、全員揃ってからの盛り上がりは高速で、その後はあっという間でした。
__ 
 なるほど。
長沼 
あと、今回は初共演の皆さんもたくさんいらしたので、さぐりさぐりな距離感が面白かったです。
__ 
たくさん役者がいる訳ですから、本番まではやりがいのある期間だったでしょうね。
長沼 
そうですね、どの芝居でもそうなんですけど、稽古の初期段階では全体を平等に見ていられるのに、稽古が進んでいくと自分の役を中心に作品を見てしまう傾向があって、で、そんな時に、ふと自分の出番じゃない時とかに、別の俳優さんが、自分の想像を超えるような解釈というか、役の成長を遂げられてるのを目の当たりにすると興奮しますね。そういう部分でも、初共演の方々からは目が離せませんでした。
__ 
なるほど。本番はいかがでしたか?
長沼 
メイク・衣裳に照れましたね。
__ 
照れるというのは?
長沼 
いつもは普段着でナチュラルメイクで芝居をしているので、単純に照れました。メイクつけての稽古もほとんどなかったので、相手役の顔に慣れるのが大変でしたね。ものすごいメイクしてるのに真剣に芝居してるのがお互いおかしくて、笑いそうになって。
__ 
ああ、確かに派手で、宇宙人っぽい感じでしたよね。
長沼 
どうだろう、その、芝居との違和感みたいなものは感じませんでしたか?
__ 
観ている側としては、そのギャップが面白いというのはありましたよ。というか、SFモノみたいな刷り込みがあったのでメイクはすんなりと受け入れられましたね。かつ、演技がちゃんと内面が分かるように作られていたので、それほど違和感というのはありませんでしたが。
長沼 
あ、いいお客さんですね。
ぶんげいマスターピース工房「三人姉妹」
公演時期:2008年8月30~31日。会場:京都府立文化芸術会館。

タグ: 必殺メイク術 舞台全体を見渡せる感覚 あの公演の衣裳はこだわった


vol.104 長沼 久美子

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長沼

劇団八時半

__ 
さて、長沼さんのこれまでの事についてお伺い出来ればと思います。私が初めて長沼さんのお名前を拝見したのは、劇団八時半の公演だったと思うのですが。
長沼 
ええ。
__ 
以前から、八時半の作品に参加されていたのでしょうか。
長沼 
2003年からです。最初は客演で参加して、その後入団することになったので引っ越して来ました。
__ 
どうして八時半だったのでしょうか。
長沼 
鈴江さんの本が好きだったからです。あとは、客演した時に、正確には客演のオーディションを受けた時に劇団員の皆の雰囲気がやわらかくて面白くていいなぁと感じたからです。
__ 
そこからしばらくして京都に来られたと。京都の演劇についてどんな印象を持たれましたか?
長沼 
まず稽古場に恵まれてるというのが一番最初の印象です。これはきっとよそから来られた方は皆感じてるんじゃないでしょうか。特に京都芸術センターには驚きましたね。芝居に使う荷物を置いたまま帰っていいし、タタキも出来るし、装置を立て込んで稽古することもできる。
__ 
まあ、申請して認可されれば使えますね。
長沼 
以前はあちこち小道具もって巡るのが当たり前だったので、ほんと有難かったです。
__ 
芝居自体の風土というか、全体的なノリとしては。
長沼 
好印象です。それぞれがマイペースに伸び伸びやれている、という感じがしました。こういうのがマルでこういうのはバツだから、というのじゃなくて、まず自分はこういうのがやってみたいからと健康的に悩んで、まっすぐ表現されてる方が多いという印象です。都会は入れ替わりも激しくて、それは刺激的で良い環境だと思うのですが、周りの評価を気にし過ぎたり、自分が何をやりたかったのかわからなくなってしまったり、必要以上に急かされてる感がありました。個人的にですけど。
__ 
それが京都だと、そうでもない。
長沼 
そうですね、私はこういう表現をやります、あの人はああいう表現をやります、それでいいじゃないかという雰囲気ですね。誰に引け目を感じることもなく、自分がいいと思う作品を集中して作れる環境だと思います。
__ 
そういう空気はありますね。
長沼 
純粋ですよね。京都に来る前ちょうどそんなことばかり考えて悩んで停滞していたので、客演はタイミングが良かったというか、今だ!と迷いなく移住を決めることができました。

タグ: 伸び伸びと演技 マイペースの価値


vol.104 長沼 久美子

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長沼

実際、自分だったら

__ 
長沼さんの、役者としてのスタイルみたいのを伺えたらなと思います。ご自身では、どのような俳優だと思われていますか?
長沼 
自分で自分の事を?
__ 
または、どう受け止めて貰いたいか、とか。
長沼 
そうですねぇ、たまに言い回しが独特だと言われます。心当たりがあるとすれば、自分が同じ状況になったとしたらどうなるか、というのを気にしてるからかもしれません。
__ 
演技の仕方、という事でしょうか。
長沼 
解釈、ですかね?例えば、私は大学に入るまで演劇未経験者だったんですよ。で、演劇科を受験したので、エチュードが入試に含まれてたんですね。その時のことで例えると、
__ 
大学の入試で、エチュード初体験ですか。
長沼 
はい。設定を与えられて、待ち時間30分の間に2分間のを作らなくちゃいけない。大きな部屋に受験者が3人ずつ入れられて各々課題に取り組むわけです。どうやら私以外の二人は高校演劇をやっていたみたいで、もうさっそく作り始めたんです。
__ 
ちなみに、どういう課題だったんでしょうか。
長沼 
念願の大学にやっと合格しました、その入学式に遅刻しそうですさあどうする、みたいな感じだったと思います。
__ 
はい。
長沼 
その二人は「キャー!遅れてしまいそうだわ、どうしよう」みたいなセリフ作ったり泣き叫んだりしてて。それ見て、私もこれをやらなきゃいけないのかと恥ずかしくなっていたんですね。
__ 
ああ、分かります。
長沼 
それだけは避けたいと。その時に「実際、自分だったらどうするだろう」って想像して。そしたらまず、町中でそんな大きな声は出さないだろうってことに気付いて。結局それ以上はあまり思い浮かびもしなかったので、あとはぶっつけ本番で最初から最後まで無言でウロウロ。そうしている内に2分経って。
__ 
ああ、それは素晴らしいですね。
長沼 
その感覚はずっと覚えておこうと思っています。どうしたらより普通に出来るかとか、普通って何かってことは忘れたくないです。
__ 
より普通に。
長沼 
普通な事の連続が結果、ドラマチックになると思うんですよ。舞台上の役の人は大体は一般人じゃないですか。だから、普通の人の感覚を常識を持って、秩序を持ってできるのが理想です。
__ 
その積み重ねがドラマチックさを生むんですね。分かります。
__ 
なるほど、そういう事を考えて稽古されるんですね。
長沼 
あ、長々と話してるけど、実際はもう少し適当にやってます(笑)。ていうか、言い回しが独特、の理由になってるのかな、これ。ごめんなさい、わからなくなってきました。

タグ: はじまりのエチュード


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長沼

一個ずつのお芝居に

__ 
今後、どんな舞台に出演したいですか?
長沼 
そうですね、やっぱりミュージカルでしょうか。ウソです。いやあながち嘘でもないんです。最初に芝居をやりたいと思ったキッカケもミュージカルなので。
__ 
あ、ミュージカル。
長沼 
はい。歌とダンスで挫折して、「これはセレブのやる仕事だ」と(笑う)。
__ 
まあ、色んな。
長沼 
そうですね。いろいろ挑戦してみたいです。京都では色々なところに出演させて頂きました。今回憧れのMONOにも参加させて頂けることになって、本当に嬉しいんです。私でいいんですかと。台本を読ませてもらって、久し振りに声を上げて笑いました。足を引っ張らないように頑張ります。
__ 
頑張って下さい。
長沼 
はい。見にきて下さい(笑う)。
__ 
金沢ですか・・・。予定があけばぜひ。さて、長沼さんは今後、どんな風に攻めていかれますか?
長沼 
そうですね、攻めるという感覚はないですね。一個ずつのお芝居に自分なりに取り組んでいければと思っています。

タグ: ミュージカルの話題 今後の攻め方


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長沼

質問 吉川 莉早さん から 長沼 久美子さん へ

Q & A
__ 
今日はですね、前回インタビューさせて頂きました悪い芝居の吉川さんからご質問を頂いております。1.三人姉妹では凄く大きな階段でしたが、体力の維持に何かやっていますか?
長沼 
何もやってないですね(笑う)。これは背筋を鍛えた方がいいなと思ったのが本番の朝だったので、間に合いませんでした。
__ 
2.長沼さんは、スタイルの維持に何かなさっていることはありますか?
長沼 
スタイル?スタイルは維持できていない方です。筋トレが好きなので、思いついて突然やりだしたりします。
__ 
3.悪い芝居って知ってますか?
長沼 
はい、知ってます。
__ 
ちなみに、どんな印象を持たれていますか?
長沼 
美男美女さんが多いですね。美男美女で、オシャレ。客席が満席、ファンが熱い。
__ 
ああ、そういう感じはあるかもしれませんね。

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2008/春
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長沼

マークスアンドウェブのハンドタオル・ソープ・ハーバルウォーター

naganuma_present
__ 
今日はですね、長沼さんにお話を伺えたお礼にプレゼントがあります。
長沼 
あ、噂の。
__ 
どうぞ。
長沼 
うわ、でかい。アロマ系?
__ 
石鹸と、アロマスプレーとハンドタオルですね。
長沼 
すっごい嬉しい。大好きなんですよこういうの。これでキレイにしておけよという。
__ 
いえいえ。香りがこう、慈味というか、優しい香りでしたのでお選びしました。

タグ: プレゼント(化粧品系)


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2008/春
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長沼

「やりたいこと」の追及

__ 
今日は、宜しくお願い致します。
河瀬 
宜しくお願い致します。
__ 
最近はいかがでしょうか。
河瀬 
そうですね、次の11月公演の脚本を書いています。
__ 
劇団ZTONさんは、かなりハイペースに公演をされている印象がありますが。
河瀬 
そうですね、今年で4本目ですので、ちょっと限界です。けど、12月にはプロデュース公演も予定しています。
__ 
12月もやるんですか。どのような感じの公演になりますか?
河瀬 
プロデュースということで、ZTONでは出来なかった好きな事をしようと思っています。演劇になるかすら怪しいという。「こんな芝居、50円でたくさんだ」っていうコントみたいなのを大量に出す予定ですね。
__ 
ZTONでは出来ないというのは。
河瀬 
どうしてもですね、お客さんのニーズに答えようとしている以上、表現できないことが出てくるんですよ。ドタバタコメディや、会話劇みたいなことがしてみたいなぁと。だから、個々人の名前で「やりたいこと」を追及してみようかなと思います。

動員も花道も

__ 
さて、前回公演の「月黄泉ノ唄について伺えればと思うのですが。初めてのアトコン進出でしたけれども、お客さんが沢山入ってましたね。
河瀬 
ちょっとびっくりしましたね。実は、情報宣伝を担当している関係上、今回の動員数は予想してたんですよ。
__ 
当てずっぽうですけど、400人弱でしょうか。
河瀬 
そうですね。作・演出もやっていて、花道を作って欲しいと言ったら、舞台監督に400人分も客席は作れないと言われまして。動員も花道も諦めきれなかったんですが、結局400人も来ないだろうと花道を作ってもらいました。自信が無かったんですね。
__ 
さて、作品の方ですが、私は非常に面白く拝見しました。いわゆる時代モノのエンタメ演劇作品って結構多いと思うんですが、実はちょっと苦手なんですよ。それはもちろん完成度が低いだけなんですが、いかにもというセリフの応酬で、人間同士の会話が成立していないという作品が多くて。
河瀬 
分かります。正直、時代モノの衣裳を着て、固定されたキャラ概念での演技って見ていて面白くないんですよね。それは僕も大嫌いで。そういうのに風穴を開けるべくZTONを作ったというのもありますし。
__ 
あ、そうなんですか。
河瀬 
こういう芝居をやっていると、よくその系統に括られるんですよ。それがもう嫌で嫌で。
__ 
分かります。でもZTONさんは会話がきちんと出来ていて見やすいと思います。もちろん作品としてはエンタメなんですけど、役者の演技が全く硬直していないというか。
河瀬 
良かった、分かって頂けて。ただ、お客さんは何も考えずに見れる芝居を望んでいたりもする方も多いと思うんですよね。そこまで芝居を見ない人は、会話というよりは、ボゴーンボゴーンっていうのを求める人が多いんですよ。そういうお客さんには「月黄泉ノ唄」はウケましたね。アンケートなんか見ても。
__ 
なるほど。
月黄泉ノ唄
劇団ZTON vol.5「月黄泉ノ唄」公演時期:2008.8.29~31、会場:アートコンプレックス1928。ART COMPLEX 提携公演

タグ: 衣裳・時代物


手段としての殺陣

__ 
さて、前述の会話が出来ていない芝居をですね、「仮エンタメ系」と呼ぶことにしましょう。ZTONさんはそれ系と違わせる為にどのような事をしているのでしょうか。
河瀬 
実は、日本刀と殺陣が大好きなんですよね。いつか振るってみたいなあと。でも、殺陣を見せられて楽しいか?というと、僕は楽しくないんですよ。なので、究極的には殺陣は入れたくないんです。話の要所に入れることはありますが。なので、言い方は悪いですがオナニーにならない殺陣の作り方を研究していますね。
__ 
それはどのような。
河瀬 
「ここでこうきたらこう返す」みたいなセオリーには頼らずに、必要なだけの殺陣を作っています。言ったら、目的ではなく、手段としての殺陣なんですよ。ダンスもそうですし。でもそれらを目的としてしまったら、仮エンタメ系となってしまうと思うんです。
__ 
なるほど。では、殺陣などの部分以外の、作品そのものの製作としては。
河瀬 
一番描きたいのは、人間の内面です。一般的に演劇というのは、それを普通の会話劇を通して描いていると思うんですけど、それも見ていて面白くないんですよ。確かに芝居が進むにつれて、キャラクターの心に微妙な変化は表れてくるんですけど、そういった会話劇を見せられても・・・。三谷幸喜の劣化版だと思っちゃうんですよ。例えば初めて演劇を見る人が「どんなんだろう」と思ってちょっと観に行って、そういうものを見せられたとしても絶対に面白くないと思うんです。そこを劇的に、意図的に見せなくてはと思うんです。ダンスや殺陣は、そのための手段として入れていますね。
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例えば、前回の「月黄泉ノ唄」では、主人公の死に別れた筈の妹が鬼として再び現れて、彼女の生への執念と向き合わなければならなかったと。そこで彼の、新しい時代を開きたいという理想とのジレンマが発生していました。結局、妹とはもう一度死に別れなければならなかった訳ですが、実は主人公は芝居が始まった頃よりずっと強くなっていたという、成長を描く物語でもありました。さて、そういった物語を、観客にどのように受け止めて貰いたいのでしょうか。
河瀬 
偉そうなんですけど、「この国はおかしい」と。僕自身は、作品に出てきた蜜さん演じる安陪清明と同じく、世界の矛盾・理不尽を破壊したいなと考えています。この国を疑問に思って貰いたいんですよ。ちょっと政治的かも知れませんけど。
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なるほど。だから、単に激しいだけの仮エンタメとは違うんですね。そういえば、今年の3月の「沙羅双樹のハムレットという作品もそういった面がありました。
蜜さん演じる安陪晴明
陰陽師・安陪晴明を怪演とも言える熱演。
沙羅双樹のハムレット
劇団ZTON vol.3「沙羅双樹のハムレット」公演時期:2008.3.6~9、会場:東山青少年活動センター 創造活動室。

タグ: 「初めて芝居を見たお客さん」 表現=「自己満足、オナニー」? 手段を選ばない演劇人 俳優を通して何かを見る 大・大・理不尽


「世界はハッピーエンドで終わるんだ」

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沙羅双樹のハムレット」。この作品も大変面白かったです。一番驚いたのが、何の希望もない、まさしくバッドエンドで終わったという事なんですよね。大筋としては、主人公が死んだ父親にとり憑かれ、その狂気が為政者に利用されるというものでした。主人公が正気に戻る訳でもなく、かつての仲間たちを黒幕の思惑どおりに斬り捨て、自らも死に、悪役がほくそ笑んで終わりという。思いきった作品だなあと。蜜さんにインタビューさせて頂いたときもバッドエンドが多いと伺いましたが、バッドエンドが好きなんですか?
河瀬 
はい。実は、僕は元々漫画家になりたかったんですよ。中学からジャンプに投稿していたんです。その時はハッピーエンドが好きというか、当然だと思っていて、ある時、ある漫画に出会ったんですよね。主人公とヒロインの女の子が出てきて、いい感じになるのかな?と思ったらキャラがボコボコ死ぬという。
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タイトルは。
河瀬 
EDEN」です。ちゃんと、綿密なストーリーがあるんですよ。主人公はどんどん薬に溺れて行くんですが。あれを中学の時に読んでしまったのが運の尽きで。ジャンプの漫画を読んで育ち、「世界はハッピーエンドで終わるんだ」と思っていたのが、「これはいかん」と。のうのうと過ごしていては、と。そこからバッドエンドの方向に進んでいったんですね。
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最後に世界の厳しさを叩きつけて終わる、みたいな。
河瀬 
そのニュアンスは大いにありますね。でも、バッドエンドの方が未来があると思うんですよ。辛いけど、どうしようもないけど、だからこそどうするかという問いかけなんですよね。そこに気付かないのが一番良くないと。
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なるほど。特に「沙羅双樹のハムレット」は、一片の希望もなかったですね。
河瀬 
原作も僕ではなかったですし。いい意味で投げて書けたと思います。「月黄泉ノ唄」みたいに、無理矢理、希望が残るように書く事もあるんですけどね。

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