こんなんでもいいんだ

__ 
そういうスタイルは、いつ頃から始まったんでしょうか。
津野 
柳川を始めた当初は、それこそ三谷幸喜さんみたいな作品に憧れていたんですけどね。上手く複線が張り巡らされていて、最後には全てが活かされるみたいな。それに飽きて、モンティパイソンとかを見るようになったんです。見ている内に、「こんなんでもいいんだ」って思えるようになって。
__ 
なるほど。一番最初のシュールな演出というのはどんな。
津野 
昔、アトリエ劇研でやった「サンシャインボーイズ」という公演で、当初「12人の優しい日本人」をやろうと企画したんです。で、稽古を始めてみてから、どう考えてもキャストが4人しかいないことに気付いたんですよ(笑う)。4人で12人は無理だよね、と。必然的に一人が複数の役を演じる事になったんですね。でも書いていると無理が出てきて、自分で自分に話しかけることになったり、誰も舞台上にいなくなったりして。
__ 
え!
津野 
話を進めようがなくなっちゃったんですけど、もういいじゃんと。そこからはチャップリンのお話を始めたらいいじゃない、とか思って。結果的には『12人~』とは全く別物のお話になりましたけど。でも、4、5年前から「面白いじゃんこれで」と思えるようになったんです。飽きたら、そこから紙芝居でも始めればいいじゃん。だってそうなっちゃったんだから。そうなると、舞台でお話を見せているというよりかは、僕たちがお芝居を作るまでの2ヶ月間の苦労を見せているという状態になりましたね。
__ 
なるほど。
津野 
飽きたら、別のお話を始めればいいじゃない。開き直りなんですけどね。最近はさじ加減が分かってきました。映像を使ったりして。
__ 
台本を書いている途中で飽きるっていうのがいいですね。
津野 
本番二週間前くらいに思いついたことじゃないと、僕が乗り切れないんですよ。おかげで役者は大変なんですけど(笑う)。

タグ: 三谷幸喜 さじ加減


ギリギリの線

津野 
面白さの感覚のスピードってすんごい早いと思うんですよ。
__ 
それは、新しい芸人が現れては飽きられるまでのスピードという事ですか?
津野 
というよりは、何を面白いと感じるかっていう、時代の流れの速度ですかね。たとえばいとしこいしを見ていると、僕らのお父さん世代は凄く笑うんですよ。エンタツアチャコとか、大助花子とか。でも、僕らが見ると上手いなあとは思うけど、腹を抱えては笑えない訳で。たぶん、10年後には、若い子はダウンタウンでも笑えなくなっていると思うんですよ。
__ 
そうかも知れませんね。
津野 
今僕が、例えばシチュエーションコメディを面白いと思って作品を作っても、どこかで怖さが残るんですよ。いつまでもこれを続けていても、多分この人たちは、すぐ笑わなくなる筈だと。であれば、お客さん達が予想するよりも前に進んでいなくてはならない。と思っているのは僕たちだけなのかも知れないけど、そこに甘んじて前と同じレベルにいるのは耐えられないし、飽きるんですよ。もちろん、常に変わらないものを提供し続ける人達も素晴らしいと思うんですが、他でもない僕らが安定したものをやってどうするんだと。いつも新しい、未知のものを提案していきたいと思うんです。ぶっちゃけてしまうと、お客さんが笑わなくてもいいかなと思っているんですよ。もちろん、笑いが取れるギリギリの線を探るんですけどね。でも、僕はその線を越えてもいいかなと。それはTVでは出来ない事ですし。
__ 
キラー・ナンセンス」は、私は十分付いていけましたが、ご自身はいかがですか。
津野 
あれは結構、考えました。大阪ってこともあったし、本番前に、大分長かったシーンや一線を越えた部分を切っています。
__ 
お客さんに見せるものとしては洗練されていたということですね。
津野 
はい。でも、僕としてはこれで良かったのかな?と思うんですよね。

タグ: 瑞々しい感覚


サミュエル・ベケット

__ 
次回は10月だそうですが。
津野 
はい。次回は古典をやろうと思っています。
__ 
古典ですか。
津野 
ベケットという、不条理劇の先駆けと言われている人なんですが。
__ 
サミュエル・ベケットですね。
津野 
はい。参考にと思って台本を買ったんですよ。で、読んだんですけどいまひとつ面白くなかったんですね。ベケットがやったことって当時はすごく斬新な事だったんですよ。それまで演劇は何かドラマチックなものの筈なのに、何も起こらないという事を題材にしたという。でも、今そんな演劇多いじゃないですか。
__ 
ああ、そうですね。
津野 
静かな演劇と言われるものがあったりとか。今の時代で、このベケットをどう演出するべきなのか、ですよね。昔、劇研で柳川の公演をした時に「ベケットに通じるものがある」と言われた事があったんですが、読んでも「このおじさんつまんないな」と思ってしまう。でも、未だに名前が残っているという事は、何かあるんだろうなと思うんです。20世紀を代表する偉大な劇作家な訳ですから。ちょっと勝負をしてみようと思うんです。まあ、10月になってもベケットかどうかは分からないんですけど。
__ 
古典ってちょっと意外ですね。
津野 
古典はちょっとやりたいなと思っていたんです。台本書かなくていいから(笑う)。
__ 
確かにそうですね(笑う)。しかし、当時は斬新だったんですよね、ベケット。
津野 
ベケットの凄いところは、演劇に必要だとされていた部分をどんどん排除していって、役者の肉体もいらないって、口だけの芝居をしちゃった人なんですよ。役者がずっと壷から顔出してるだけだったり、女の人が土に埋まったままずっと芝居したり。そこまで行き着けるのは凄いと思うんですよ。50年代にそういう事をしたというのは。
__ 
なるほど。
津野 
でも、今見るとそれほど刺激的とは言えないですね。
__ 
今はもう蹂躙されてしまっているからでしょうね。
津野 
まあでも、僕らもそろそろ真面目にやってもいいかなと。やり方はきっとデタラメですが、僕らは10年間そのデタラメな事をやってきたつもりなので。

タグ: 静かな演劇と「出会う」


質問 高杉征司さん から 津野允さん へ

Q & A
__ 
今日はですね、ワンパの高杉さんから津野さんへのご質問を預かってきております。
津野 
あ、高杉さん。
__ 
ええと、「グラビアアイドルのどこを見ますか? また、どこに面白さを感じますか?」という。
津野 
面白さ?
__ 
高杉さんがおっしゃるには、グラビアは時代を映す鏡であると。だから、グラビアのどこを見るかによって時代感覚が分かるだろうと。あとは、グラビアアイドルの肉体のどこを見るのかなどについても。
津野 
実は僕はずっとPLAYBOYを買い続けていて、グラビア好きだった時期があるんですよ。
__ 
あ、それでしたらピッタリですね。
津野 
高杉さんの言うてはることとは違うかも知れないんですけど、お尻を見るんですよ。歳をとったなと思いますね。
__ 
どういう事でしょうか。
津野 
大体、高校生までの男は顔を見るんですよ。で、二十歳そこそこになると胸を見るようになる。さらに行くと腰のくびれ、おっさんとなると足が綺麗だと思うようになるんですね。そういう質問じゃないですかね(笑う)。
__ 
いえ、趣旨に合っているかと思いますよ。

世間の声から逃げつつ

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか。
津野 
正直、自分の作品がどうなっていくのか分からないんですよ。「これが面白い」と言う世間の声から逃げつつやっているので。
__ 
「これはどこかで同じものを見た」という感覚から逃げると。
津野 
ええ。飽きられないように、予想は裏切り続けたいなと思います。

タグ: 今後の攻め方


指人形

tuno_present
__ 
今日はですね、津野さんにお話を伺えたお礼にプレゼントがあります。どうぞ。
津野 
ありがとうございます。(開ける)何ですか、これは。
__ 
指人形ですね。
津野 
あ、可愛い。え・・・これはどうすればいいんでしょうか。
__ 
裏にマグネットが付いておりますので、どこかに付けられてはいかがでしょうか。
津野 
ありがとうございます。冷蔵庫に飾ります。


シェイプアップ

__ 
今日は宜しくお願いします。
高杉 
宜しくお願いします。
__ 
最近はどんな感じですか。WANDERING PARTYの代表としてもお伺いしたいのですが。
高杉 
最近ですか。劇団の作品の方向性とか、組織そのものの体質もガラッと変わってきていまして。色々大変ですが、劇団をちゃんと形にするために、もっともっと努力したいですね。いまやっている事に満足している訳ではないので。絞っていきたいですね。
__ 
絞っていくとは。
高杉 
今までのやり方というのは、どうしても甘さがあったんですが、それではちゃんと作りたいものが作れないんですね。遊びを有益なものにしたいと思っています。遊びがないというのは、またちょっと違うじゃないですか。そういう部分をシェイプアップしていきたいと思うんですけれど。
__ 
ワンパのこれからの発展を目の当たりに出来るというのは嬉しいですね。
高杉 
いえいえ。でも、緊張感がありますね。うん。会議ひとつとってみても。本当に、過渡期なんだろうなと思います。作品も集団ももっと納得のいくものに仕上げたいんです。すると方向転換が必要になりますね。その時の、えも言われぬプレッシャーが。
__ 
あごうさんにインタビューした時に伺ったんですが、やっぱり劇団をやっていくことは大変だと仰っておりました。劇団員を何とかしていかなくちゃならないという。
高杉 
本当に大変ですよね。ぶっちゃけ、1ヵ月生活出来るだけの給料を毎月支払えない以上、作品性、向上心、人間性みたいなものでしっかりと結びついていなければならないわけですから。
WANDERING PARTY
2001年8月、結成。京都、大阪を中心に活動。「芸術と娯楽」は同義であることを追求すべく、現代美術、身体表現を換骨奪胎し、笑いと涙を誘う演劇づくりにいそしむ。(公式サイトより)

タグ: 最高の研鑽は成功を担保する訳ではない 劇団の方向転換


ジレンマ

__ 
作品の事について伺っていければと思うんですが、直近の公演では「レオナール・F S改」がありました。非常に面白かったです。高杉さんはレオナール役でしたが、演じられていていかがでしたか?
高杉 
そうですね。設定として、大正から昭和にかけて活躍した画家と、現代の劇作家との邂逅を描くという話だったんですが。
__ 
時代設定があやふやとなっていたというか。
高杉 
普通、お芝居って時代がいつだっていうのが決められていて、それに基づいて役作りしたりすると思うんですけど。こないだのは立ち位置をここと決められないというか。代わりに現代が戦時中であるという比喩を使って、本当の太平洋戦争中の時代をダブらせていたんですね。場所にしても、病室から稽古場に変わったり。でも、立ち位置のあやふやさというのは、本当は普通のストレートプレイをする時も持っていなくちゃいけない感覚なんだろうなと思うんですよ。今はこういう時代で、こういう場所で、こういう人、とガチ決めにして疑いなくやるというのは、凄く単純な記号化で。結局、人間のやる事というのは記号化しなければ表現にならないんですが、記号に裏切られるくらいの方が面白いんですよ。」
__ 
裏切る記号ですか。
高杉 
舞台上で役者が、自分の演技を疑わずに「ここはこういう記号を発します」、「あなたのそのセリフをこういう記号として受け取って、こういう記号を込めて返します」という単純な記号の連続って、何か奥行きが無いというか、面白くないというか。もっともっと、作品も疑って自分自身や自分の思考も疑って行くという作業が必要となると思うんですね。疑った上で、結局僕は僕でしかない、というジレンマを抱えながら舞台に立つことが仕事なんじゃないかと思います。
__ 
ジレンマですか。
高杉 
俺って一体何なんだろう、演じるって一体何なんだろうという問いかけ、そういったものが、結局僕を舞台に立たせるんだろうなと思うんです。
WANDERING PARTY15th.『レオナール・F S改』
公演時期:2008/6/17~22。会場:精華小劇場。

タグ: 役をつかむ


読み抜く・言い抜く

__ 
ジレンマについてもう少し伺います。役者が指定されたある演技に対して持つべきジレンマという事ですが、高杉さんは稽古場などでそれをどのように扱うのでしょうか。
高杉 
元々、うちのあごうがやっている稽古は、何でしょうね。それっぽい抑揚を付けて読むという事を嫌う訳ですね。楽しいシーンのセリフを「楽しそうに読めばいいんでしょう?」という「っぽい」演技というのに対して、先がないと思うんですね。芸術として見た時に、そこから先へのアプローチが何も感じられないんだよね。そこで完結しちゃって、「うん、楽しいシーンという事でやってるんだよね、それっぽく見えるからOK」で。
__ 
最初にゴールを設定して、そこにたどり着いた、という、演技一つを取った時に製作への欲が見られないということでしょうか。
高杉 
うん。そういった場合の役者が出来るアプローチとしては、その「ぽさ」をどれだけ実感として伴えるか、という作業だけだと思うんですけど。
__ 
あと、その納得をどれだけ客席に届けるか、ですね。
高杉 
そうそう。でも役者は、自分の中から出てきた訳ではない、どこまで行っても他人の書いたセリフを言わなければならないというジレンマを抱えなければならないと思うんです
__ 
その上でお聞きしたいのですが、本番1ヵ月前のレオナールFS改の公開稽古を拝見したんです。そこでの高杉さん演じるレオナールの演技は初演とはあまり変わっていない、ちゃんと抑揚の付いたものでした。でも、本番では全く逆の。
高杉 
棒読みでしたね。私一人だけ。
__ 
あれは一体、どういう経緯でああなったのでしょうか。
高杉 
棒読みと言いましたけれども、あれはロボット的な機械音とは違うセリフの出し方だったんですね。ニュアンスを抜いてフラットに読み抜くというか。でもやってみるとこれが出来ないんですね。
__ 
はい。
高杉 
今までやってきた「オルターナティブグリフ」なども、淡々とセリフを言いぬいていく芝居でした。でも、情報量は圧倒的に多かったなと僕も演出も判断していまして。「ぽさ」を抜いてニュートラルな演技で作っても行けるだろうと。今回の「レオナール」でも、最も立ち位置が不安定なレオナールでしたが、演出の判断でああなりました。でも、他の役者も出来るだけシンプルにやってるんですよ。
__ 
そうだったんですか。
高杉 
今までの演技のクセや、感情を思考して出さない、与えられたセリフをつるつると出すという。セリフに意味はあるわけですから。狙ったナチュラリズムとは違うシンプルな芝居を作りました。その中でも僕は極端な形でしたが。でも演出がそれで決めたという事は、後は僕は「何故自分はこんな喋り方をしているのか」という模索な訳ですよ。他の人たちが普通の喋り方をしている中、棒読みで視線も合わない、ずっと瞳孔が開いたように一点を見て喋り抜いていくと。その事自体へのジレンマがあれば良かったんですね。でも、「俺はこう決められたからこうやってるんだよ」という、淡々とした感じじゃなくって、ぼくなりに悩みながら考えながらそこに立っているという、そこが重要だったのかなと終わった今は考えていますね。やってる最中はそれどころじゃなかったんですが。
__ 
なるほど。そういう事だったんですね。
高杉 
そうなんですよ。その中でもやっぱり、たまに自分の中でピンとくる、鳥肌が立つ瞬間がある訳ですよ。その時に「あ、この為か」と思うんですが、それが一体何の為なのか分からない。自分で説明出来ない、今の自分の文化レベルを遥かに超えたところで何かが噛み合った瞬間というか。もう一瞬ですよ。それが何度かあったんですが・・・。
__ 
個人的な感想ですが、高杉さんの演技は、どこがどうとは言えないんですけど苦しそうというか。切実な感じが出ていたと思います。
高杉 
そういう風に感じて貰えたというのは良かったなと思いますね。実際のレオナールという人物も、かなり苦しんでいただろうと思うんですが、それを苦しみとして表現しようとするとまた直接的なものになるだろうし。
WANDERING PARTY13th.オルターナティブグリフ
公演時期:2007/6/15~18。会場:ART COMPLEX1928。
WANDERING PARTY14th「total eclipse」
公演時期:2007/6/15~18日。会場:ART COMPLEX1928。

タグ: 情報量の多い作品づくり


方向性

__ 
一つ、非常に印象的なシーンがあったんですが、高杉さんの演じるレオナールの長台詞中、その全く同じレオナールが喋る映像が高杉さんに覆いかぶさるというのが。
高杉 
ありましたね。
__ 
で、映像も高杉さんも喋っている、しかも棒読みで。あれは非常に面白かったです。
高杉 
あれは、あごうが本番直前に決めたんですよ。ちょっとその辺は、彼に聞いてみないと分からないんですが、面白いと直観的に思って決めたんでしょうね。
__ 
あれは新しかったなと思います。そういった新しい試みもさることながら、最近のワンパは本当に、次への挑戦をし続けていますよね。そこで伺いたいのですが、ワンパの芝居って少し前とは随分趣向が変わりましたよね。前は時代物が多かったのが、今は芸術的な。たとえば「オルターナティブグリフ」は、非常に芸術的でかつエンターテインメントとしても完成度が高く出来ていて。方向性が一気に変わったなと感じました。戸惑いなどはありましたか?
高杉 
ありましたよ。もちろん。ありましたよ、もう大混乱。今までやってきた事を全部否定された訳ですよ。
__ 
そうですね。
高杉 
でも、僕も別に今までやって来たことに疑いを持たずにやってきた訳でもなく、変わりたいという気持ちは持っていたので、それまでの事を捨てるという事には強い反発は無かったですね。この先に何かがある筈だと、これを捨ててしまわないと次に進めないという事を多分劇団員みんなが感じていたと思います。ただ、だからといって次の表現方法がすぐに見つかるという訳ではないですからね。捨てるのも簡単じゃないですし。
__ 
ジレンマだった訳ですね。
高杉 
役者として空っぽの、不安定な状態だった訳ですよ。何もない。
__ 
ええ。
高杉 
でも、今までやってきたことに固執していては、自分の経験を演技に活かす事は出来ない。先の、何か新しい表現方法を獲得した時に初めてフィードバック出来るんです。捨てる時に「今までやってきた事は何だったんだ」と思いがちですが、違うんですよね。そればかりを大切にしていたら、結局は些細な事のすり合わせでしかなくなって、経験を金魚のフンみたいに無駄に引きずってしまうんですよ。何やっててもそうだと思うんですけど、新しい事に挑戦してこそ。
__ 
今までの経験が立ちあがってくるという訳ですね。
高杉 
はい。今新しい何かを獲得した訳じゃないですけど、役者として新しいステップに入れたなと思います。あれは演出家あごうさとしの偉大なる挑戦だったなと思いますよ。

転化

__ 
ところで作品の変遷的には、「二十一世紀旗手」で、Apple社製品(powerBook)が出てきたところが転換点かなと思うのですが。
高杉 
そうですね。あそこが明らかに転換点でしたね。あの時から、二つの時代を織り交ぜながら、劇中でつっこむ訳でもなく、当たり前のこととして受け入れているという。
__ 
ワンパの冒険ですね。そこからレオナールFの初演、オルターナティブグリフと。
高杉 
オルターナティブグリフというのは、棒読み(便宜上棒読みと言っているが棒読みではない)をフルシャウトしていったんですけどね。それからは、棒読みを今喋っているくらいの音量にしています。その時に、失われたエネルギーは何に転化されるのかと。叫んでいる時の圧を普通に喋っている時にも出すべきで。そこは未だに模索中なんですが、僕としては今まで言ってきたジレンマとか違和感が転化していくんじゃないかなと。
__ 
それらが、今後の高杉さんのキーワードになると。
高杉 
自分でも楽しみですね。でも、結果こんなのが生まれたという次の瞬間に、それをぶち壊して次のステージに行かなければならない。破壊・再構築の繰り返しになるんですが、そのエンドレスな作業を楽しんでいきたいと思いますね。
WANDERING PARTY11th.21世紀旗手
公演時期:2006/1/27~29(京都)、2006/2/17~19。会場:アトリエ劇研(京都)、タイニイアリス(東京)。

質問 弓井茉那さん から 高杉征司さん へ

Q & A
__ 
今日はですね、高杉さんへの質問を預かってきております。弓井茉那さんという、前回インタビューさせて頂いた方なんですけれども。
高杉 
あ、毎回やっている訳ですね。
__ 
ここ最近ですね。
高杉 
へえ。ちなみにいつもどこに出演されている方なんですか?
__ 
フリーですね。次はぶんげいマスターピース工房の「三人姉妹」に出演されるそうです。そんな弓井さんから。「高杉さんは、普段どうやってその体格を維持されているのですか?」
高杉 
(笑う)いや、僕は小学校の頃からずっとスポーツをやってきた訳ですよ。運動神経とか割と良くって。一番体格が変わったのが高校の柔道でした。インターハイの常連校で、バリバリの軍隊式でしたね。朝イチで筋トレ、授業が終わってからも畳にゲロを吐くような練習でした。そこでもともと筋肉質だった体がパンプアップしたと。その時に代謝のいい体が出来たんでしょうね。大学でも柔道をやっていたんですが、卒業から10年、維持する為に特別な何かをしている訳ではないですね。走ったりするぐらいでしょうか。
__ 
走られるんですね。そこが。
高杉 
ついサボりがちになりますが。やる時はバーっと。芝居が詰まってくるとなかなか出来ないですけどね。

分かち難い身体性

__ 
これから、どんな感じで攻めていかれますか。
高杉 
別ジャンルの方から、「ダンサーは身体、役者は言葉」というふうに言われることがあったんですね。それが悔しくて。
__ 
なるほど。
高杉 
役者というのは体一つでパフォーマンスする訳で、そこには圧倒的な身体性があるんですよ。今の我々の芝居が、いかに身体を感じてもらえていないかということだと思います。言葉は舞台上に立つ身体によって初めて現れるものであって、演劇が言葉に重点を置いている事は認めるんですが、ライブである以上、分かち難い身体性こそを大事にしたいなと思うんです。ダンサーみたいに動きまわるということではなくって、ただ何もせずにそこに立っているだけで身体性を感じられる訳で。
__ 
違うんですね。
高杉 
体という物質を舞台上に存在させるというだけで、そこにある喜びを紡ぎだしていきたいと思うんですよ。そのように身体性が変わるとセリフの扱い方もガラっと変わると思うんですね。
__ 
体の重要性を再認識するということですね。
高杉 
セリフの言い方に執着していた時とは全く違う乗り方をすると思うんです。どう変わるかは分かりませんが。
__ 
全く別のやり方になると。
高杉 
とっかかりとしてはそういうところですね。どのような結果が出るのか、自分でも楽しみです。

タグ: 今後の攻め方


次回公演「饒舌な秘密」

__ 
次回公演ですが、タイトルが確か「饒舌な秘密」ですね。
高杉 
はい。まだ台本は上がってないんですが・・・。あごうの頭の中をちょっと聞かせてもらっただけですね。内容はちょっと詳しく言えないんですが、今までやってきた事を突き詰めた、代表作になることは間違いないです。
__ 
タイトルからして楽しみです。
WANDERING PARTY 16th.饒舌な秘密
公演時期:2009/1/24~2/1(京都)、 2009/3/13~15(東京)。会場:五条楽園(京都)、下北沢「劇」小劇場(東京)。

ルアー型ミニナイフ

takasugi_present
__ 
今日はお話を伺えたお礼に、プレゼントがあります。
高杉 
おっ。ありがとうございます。
__ 
どうぞ。
高杉 
開けてもいいですか。
__ 
はい。
高杉 
(開ける)ナイフですか? 最近規制の厳しくなった(笑う)。
__ 
普段使いにして頂ければ。
高杉 
ナイフ、普段は使いませんよ(笑う)。これ、キーホルダーとして使えばいいんですね。かわいいですね。ルアー型で。


ぶんげいマスターピース工房「三人姉妹」

__ 
今日は宜しくお願いします。
弓井 
宜しくお願いします。
__ 
最近はいかがですか?
弓井 
忙しいですね。仕事をしているので、夕方になってから稽古に行くんです。アクターズラボにも参加しているので、休んでない感じで頑張ってます。
__ 
弓井さんは今年のぶんげいマスターピース工房の「三人姉妹」に参加されておりますが、今日もそれの稽古ですか。
弓井 
はい。
__ 
つまり、土日も稽古だったんですね。お疲れ様でした。稽古はどんな感じですか?
弓井 
何というか・・・。ごまさんの中で段階がきっとあるんですけど、今は外見(そとみ)というか、振りを付けられている段階で、それがそろそろ終わるだろうという所です。次は、付けた振りに内面を沿わせていくというところに入っていきそうです。
__ 
なるほど。稽古場は楽しいですか?
弓井 
はい。でも、私はまだ他のメンバーの方とそれほど仲良くなりきれていないので、早く仲良くなりたいと思っているんですけど。
ぶんげいマスターピース工房「三人姉妹」
公演時期:2008/8/30~31。会場:京都府立文化芸術会館ホール。

タグ: 劇研アクターズラボ


vol.94 弓井 茉那

フリー・その他。

2008/春
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弓井

「可愛らしく演じて下さい」

__ 
三人姉妹」ではどんな役なのでしょう。
弓井 
姉妹の男兄弟の嫁です。
__ 
ああ、「地点谷弘恵さんがやってた。ナターシャでしたっけ。
弓井 
はい。ショッピングカートを何度もぶつけていた。
__ 
リモコン妊娠の。
弓井 
あれ面白かったですよね(笑う)。
__ 
最低でしたね(笑う)。
弓井 
「三人姉妹」は、作者であるチェーホフによると全員が主役で、強いて言うならナターシャを入れた四人が主役だそうです。
__ 
群像劇みたいですね。どんな感じで演じていこうとか、そういうのはありますか?
弓井 
三人姉妹の稽古場に入る前は、ナターシャって表面的には悪い女というイメージを持っていて。それは大事な要素なんですけど、三人姉妹が一生懸命生きていこうとするのを結果的にはぶち壊してしまうんですね。自分中心に家を動かしていこうとしたり。でも私には、ナターシャはそんなに悪い人だとは思えないんですね。観ている最中は「何この人むちゃくちゃだなあ」と思われても、観た後には「よく考えてみると悪い人でもないな」と思えるようになってほしいなと考えていたんです。
__ 
そういうプランというか、目論見があったと。
弓井 
でも、稽古が始まってみると、とにかく引っ掻き回す事がまず求められたんですね。それから私のイメージには全く無かったんですけど、「可愛らしく演じて下さい」と言われたんです。
__ 
どういう意味なんでしょうね。
弓井 
参考文献として挙げられたのが、ビッグコミックスピリッツで連載している高橋しんの「花とおくたん」って言われて、買って読んだんですよ。子供っぽい感じの人物で。その発想は無かったですね。今の所、振りで与えられた可愛さと自分の意識のギャップが埋められていない状態です。
__ 
頑張って下さい。
地点
多様なテクストを用いて、言葉や身体、物の質感、光・音などさまざまな要素が重層的に関係する演劇独自の表現を生み出すために活動している。劇作家が演出を兼ねることが多い日本の現代演劇において、演出家が演出業に専念するスタイルが独特。(公式サイトより)

タグ: 一生懸命を描く 反復の生むもの 群像劇


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2008/春
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弓井

映画、舞台

__ 
弓井さんは、お芝居を始められたのはどのようなきっかけがあったのでしょうか。
弓井 
高校三年生の時に、映画を撮りたかったんですよ。凄く。でも、映画の現場ってどういうものか全然分からなくて、たまたま映画館で見つけた映画のオーディションのチラシを見て、とりあえず関わりたいと思って受けたんですよ。それが井土紀州さんという方の「ラザロ」っていう作品で、そのオーディションに受かったのがキッカケです。
__ 
それから京都造形大学に入られて、映像を学ばれていたんですよね。
弓井 
そうなんですよ。もともと造形大を選んだのが、映像も舞台も出来るからだったんです。映像の作り方同様、演じる事にも興味があったんです。高校の頃、ちょっとクラブでやっていたりしたので。でも、ウェイト的には映画監督になりたいと思って入りました。その内に、「ラザロ」で共演した人から劇団の旗揚げに誘われたんです、カウボーイダンスっていう。
__ 
あ、知ってますね。
弓井 
あ、凄い。3回しか公演をやっていないので、知っている人に初めて会いました。そこと、大学で舞台の授業を取ったりするうちに、舞台のウェイトが高くなっていきました。
__ 
ちなみに、在学中はどのような映像作品を作られたんでしょうか。
弓井 
ドキュメンタリーしか撮ってないですね。大学に入って一番最初に作った習作も、フェイクドキュメンタリーでした。
__ 
どのような題材でしたか?
弓井 
さっき言った、劇団の旗揚げに誘ってくれた人が主役で、その女性が好きな人について色んな思い出を語っていくんだけど、それは全て妄想だったという・・・。まあ、1回生の頃でしたね。
__ 
面白そうですね。

タグ: ドキュメンタリー 映像の現場


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弓井

学びたい

__ 
弓井さんが、今後関わっていきたいお芝居とは。
弓井 
そうですね。新劇が好きですね。ストレートプレイというか。割と、造形色ではないんですよ。
__ 
京都造形大的カルチャーというか、ポップアートっぽくない、という事でしょうか。
弓井 
そういうものがあるとすれば、ですが。でも、機会があれば是非そういう作品にも出演したいですね。凄く、学びたいという気持ちが強いので。
__ 
学びたい。今まで、どのような事を学ばれてきたのでしょうか?
弓井 
造形大では、割合で言うと3:2:5で講義:基礎:舞台製作という形でしたね。今はカリキュラムが変わったので分かりませんが、私の時はそんな感じでした。とにかく、基礎をすっ飛ばしていたんですね。ストレッチとか、演技のメソッドとか。そういうものに割く時間は例えば欧米の学校に比べたらきっと少なかったと思います。私がいた頃はどちらかというと、作品の制作が主でした。松田正隆先生であったり、大田省吾先生であったり。そこでは、講師の考え方に少しは触れる事が出来たのですが・・・。大学4回になって、学科再編した際に、アメリカからスタニフラフスキーシステムを教えて下さる先生が来たんですよ。凄く衝撃的でしたね。
__ 
基礎~応用の段階を学びなおした、と。
弓井 
実は大学二回の頃から、アクターズラボにも参加していて、そこでも沢山基礎をやっていたんですね。・・・結局、自分に自信がなくて。
__ 
今後は、具体的にどんな形で学んでいくおつもりでしょうか。
弓井 
新国立劇場のオーディションをずっと受けてるんです。今年も受けるんですが。あと、文学座にも挑戦してみようと思っているんですね。スタニフラフスキーメソッドを本格的に教わりたいので。
__ 
なるほど。
弓井 
もちろん、京都でも短い期間であればそういうワークショップを受ける機会もありますので、継続的に受けていこうと思っています。3年は学びたいですね。で、いつかは留学したいと思っているんです。
__ 
留学。どちらにでしょう。
弓井 
ニューヨークです。というのは、大学の先生の影響が強いんですけど。現実的には英語も喋れないし、お金もないんですけど、いつかは。恥ずかしながら。
__ 
なるほど。わかりました。全く恥ずかしい事ではありません。

タグ: 恥ずかしいコト 新劇と「出会う」 留学して表現を学ぶ


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弓井

質問 西村直子さん から 弓井茉那さん へ

Q & A
__ 
今日はですね、ヨーロッパ企画西村直子さんという方から弓井さんに質問を預かってきております。
弓井 
え? よく出ていらっしゃる方ですよね。私の事を知っていらっしゃるんですか。
__ 
みたいですね。
弓井 
何でだろう。
__ 
たぶん、ベビーピーの「月を食べる」でしょうね。
弓井 
知って下さっていて、ありがとうございます。
__ 
二つ質問があります。「お幾つですか?」と「身長を教えて下さい」との事でした。
弓井 
あ、簡単に答えられそうな。「23歳です」と、「146cmです」。西村さんはちなみに。
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同じ23歳だそうです。身長は分かりませんが。

vol.94 弓井 茉那

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2008/春
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弓井