映画派か舞台派かで言うと舞台

__ 
今まで出演された中で、転機となった作品はありますか?
弓井 
映画ではあるんですけど、2つあります。1つ目は、私の大学の先輩が監督の作品でした。大学2回生の頃で。実はそれまでに、ある監督の方から「あなたは映画派か舞台派かで言うと舞台ですね」と言われていて。だからその作品に参加する時に「私は映画では役に立てるかどうか分かりませんが・・・」と言ってたんです。でも、凄くいい作品を完成されて、学内でそれが評価されたんですよ。私の存在も割と見てもらえるようになって、それがキッカケで林海象さんという、造形大の教授の作品に結構いい役で出させてもらって。先輩の作品では、私の映画コンプレックスを払拭して下さったし、林海象さんの作品では、外に出る扉を作って下さいました。

vol.94 弓井 茉那

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2008/春
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弓井

意識を配ったり

__ 
一つ伺いたいのですが、カメラの前に立つ時は、どんな意識を持っておいでですか?
弓井 
相手に100%意識を集中させる事ですね。
__ 
相手?
弓井 
共演者ですね。それが舞台とは違う事だろうなあと思うんですけど。集中力を切らさず、例えば視線に意識を配ったりします。
__ 
それが共演者との空気を作って、やっとカメラの向こうに繋がる、という事ですね。

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弓井

世界は思ったより

__ 
今後、俳優として、どんな感じで攻めていかれますか。
弓井 
さっきの話も、どう攻めていくかだったんですけど、今回の三人姉妹で、自分の外見を初めて意識したんですね。あまり好きではなかったんですよ、自分の外見が。身長が低いのもイヤだったし。そういう風に、自分の外見を受け入れてこなかったので、今回を機にちゃんと自分の容姿とか小ささを分かった上で、そこを使えるようにならなくちゃなあと思っています。
__ 
武器として使えるように、という事ですかね。
弓井 
あとは、舞台の上で関係を結べるように、ですね。
__ 
なるほど。では、最後の質問をさせて頂きます。三人姉妹への意気込みを教えて下さい。
弓井 
意気込みですか。人生を感じさせる、そういう作品になればと思います。チェーホフの戯曲にはその要素が沢山含まれていると思いますし、私もそういう、人生に向き合って必死でもがいている姿を描いた作品が好きなんですよ。ごまさんの演出は、それを丁寧に描こうとしていて、とにかく私がそれを潰さないようにと。
__ 
なるほど。
弓井 
今も稽古場で、ちょっとした事で上手く行かなくなったり、逆に希望が見えるようになったり。でも、今回出演させてもらったのはとても光栄なので、頑張りたいと思います。
__ 
いけますか。
弓井 
そこにですか? いや、いかないと(笑う)。いかないといけません。

タグ: 今後の攻め方


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弓井

Sweet Bathroom ~ Natural Milky Acoustic


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弓井

yumii_present yumii_presenting
__ 
今日はお話を伺えたお礼に、プレゼントがあります。
弓井 
あ、すみません。
__ 
どうぞ。
弓井 
ありがとうございます。開けてもいいですか?
__ 
どうぞ。
弓井 
あ、CDですか。
__ 
はい。
弓井 
バスルームで聞くCD。へー。嬉しいです。お風呂で聞ける環境を早く整えたいです。
__ 
まあ、お風呂でなくても。
弓井 
私も、私に興味を持ってくださったお礼にプレゼントがあるんですよ。本当にちょっとしたものなんですけど。
__ 
えっ。ありがとうございます。
弓井 
どうぞ。
__ 
これはどうも(開ける)。あ、栞ですか。
弓井 
良かったら使って下さい。
__ 
もったいない。使わせて頂きます。

タグ: お風呂


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弓井

おかっぱ

__ 
今日は宜しくお願いします。髪型が物凄く決まってますね。
西村 
ああ、おかっぱが。好きなんですよ、まとまってる感が。
__ 
お似合いです。最近はいかがですか?
西村 
ヨーロッパ企画がやっぱり、中心の生活ですね。イベントとか出させてもらったりとか、ホームページで新しい企画がはじまったり。
ヨーロッパ企画
98年、同志社大学演劇サークル「同志社小劇場」内において上田、諏訪、永野によりユニット結成。00年、独立。「劇団」の枠にとらわれない活動方針で、京都を拠点に全国でフットワーク軽く活動中。(公式サイトより)

あんなに優しかったゴーレム

__ 
さて、こないだの「あんなに優しかったゴーレム」。地下に住む中学生役でしたが、純粋というか、素直な役でしたね。作品自体もとても面白かったです。私は最後列で拝見していたんですけど、もう少し前で見たかったですね。
西村 
また、見に来てください。東京公演もあるんで。
__ 
出来れば参ります。演じられて、ご自身ではいかがでしたか。
西村 
まあ、年齢的に中学生大丈夫なんかな?というのはありました。学生役を当てられる事はよくあるんですけど。まあ、やりやすさはありました。
__ 
西村さんの演技というのは、確かに凄くナチュラルで、見ていてほんとにほっとします。しかも衣装はセーラー服でしたね。お似合いでした。
西村 
ありがとうございます。あれは昔着ていたもので。
__ 
ああ、ある意味で私服だったんですね。稽古中、何か悩む事はありましたか?
西村 
稽古は大体エチュードから始まるんですけど、みんなやっぱり面白くて、それについていけてなかったというのがありますね。まだまだで。
あんなに優しかったゴーレム
やったね10周年ツアー。全国各地で公演。公演時期:2008/5/11~8/25。

オーディション

__ 
西村さんは、お芝居を始めたのはヨーロッパ企画からですよね?初舞台は確か、「インテル入ってない」でしたっけ。
西村 
インテルですね。発売はされてないんですけど、最近映像を見たんですけど面白かったです。
__ 
発売されたら拝見したいです。ところで、何故、ヨーロッパ企画に入ろうと思われたんでしょうか。
西村 
高校を卒業して、何をしようかと。それで何となく演劇でもやろうかと思ったんです。そういうのに興味があったのか覚えてないんですけど。それまでやっていたという訳でも、見ていた訳でもなく。さらにヨーロッパはテレビでしか見た事なかったんですけど、たまたまサイトを見たらオーディションをやっていて、その時既に締め切りを3日過ぎてたんですけど。
__ 
あ、過ぎていた。
西村 
メールで、過ぎてるけどお願いしますと言ったら、じゃあ来てください、と言って貰えて。
__ 
初めてのオーディションは緊張されましたか。
西村 
何か、上田さんと諏訪さんと永野さんが並んで座ってて、質問されるんですけど全然答えられなくて、うんとかはいとか、ごにょごにょ言っちゃって。で、持っていった作品を見てもらったら和んで貰えたという感じですね。あたしだけかな、そう思っているのは(ちょっと笑う)。
__ 
合格のお電話を貰った時はどんな感じでしたか。
西村 
おわぁっ、てなりました。楽しそうな人達でしたし、嬉しかったです。

クレイアニメ

__ 
クレイアニメを作られたのはいつからなのでしょうか?
西村 
高校生の時に選択科目で美術を選んだんですけど、その授業の卒業制作でクレイアニメを作ろうという事になって。
__ 
凄いですね。
西村 
その時に初めて作ったんです。それをヨーロッパのオーディションに持っていったんですね。
__ 
あ、さきほどオーディションで見せられた作品ってそういう。
西村 
オーディションの募集要綱は、自己PRの変わりに作品を一つ持っていく事が条件だったので。そしたらみんなクオリティの低さに爆笑して。それで合格したという。
__ 
初作品を持っていったんですか。それが今でも、続いているという。
西村 
まあ、ものづくりですね。チマチマとした。
__ 
特技ですね。今後、作品はどんな形で発表されますか?
西村 
今年のショートショートムービーフェスティバル予選会で、クレイアニメ、作れたらと思います。

質問 延命聡子さん から 西村直子さん へ

Q & A
__ 
ここで、西村さんにある方から質問を預かってきています。私の友人で、延命聡子さんという、俳優・演出をされている方です。彼女から。『今、お幾つですか?』と。
西村 
今は23歳です。
__ 
以上です。
西村 
エ? それだけ?
__ 
はい。

エンジェルポケット

__ 
次は西村さんのご趣味について伺えればと思います。
西村 
趣味はね、たくさんありますよ。雑貨を集めたりとか。結局、集めるのが好きなんですね。小学校くらいの頃からずっと集めているのは、コンパクトの中にちっちゃな家が収められているおもちゃで。エンジェルポケットっていう。30種類くらい発売されているんですけど。
__ 
なるほど。沢山種類があるんですね。
西村 
この世で一番かわいいおもちゃだと思いますね。元々外国の製品で、日本に輸入されてきたんですよ。今はもうオークションでしか売られていなくて、物によっては5千円くらいするんです。
__ 
プレミアが付くんですね。
西村 
あと、subikiawa食器店という京都の手作り市にオリジナルの作品を出されているコップ作家がいて、その方のファンですね。手作り市って、行かれた事ありますか?
__ 
はい、知恩寺で毎月出されているものに2回ほど。雑貨だけじゃなく、お菓子とか食品とか色々ありましたね。中でもコーヒーを出されている出店もあって、びっくりしました。
西村 
ヨーロッパのホームぺージでやっている手芸の企画で、一度出店させていただいたことがあって。
__ 
ちなみに、どのような企画なのでしょうか。
西村 
ハンドメイドで、事務所にあるいらないものを材料に何かをこしらえるみたいな。それをオークションに出すという。
__ 
なるほど。頑張って下さい。

タグ: 手作りのあたたかみ


ミニチュアのイスと灰皿(?)

nisimura_present
__ 
今後、どんな感じで。
西村 
ヨーロッパで頑張っていきたいですね。で、ヨーロッパの中でも例えば映像の編集はこの人が得意、とかあるんですけど、そういう突出したものを見つける事が出来ればと思います。
__ 
クレイアニメとかですかね。
西村 
そうですね。でもまだまだ自己流なので、ちゃんと勉強したいですね。
__ 
分かりました。今日は西村さんにお話を伺えたお礼に、プレゼントがあります。
西村 
わあ、ありがとうございます。嬉しい。
__ 
どうぞ。
西村 
何ですか?(開ける) 何だこれは。凄い、イスだ。ミニチュアの。ありがとうございます。クレイアニメに使えそうな。
__ 
もう一つ箱の中にあります。
西村 
あ、かわいい。
__ 
灰皿ですかね。昔観た映画のセットにそんなのがありまして。それのマネですね。


就任

__ 
今日は、宜しくお願いします。
田辺 
宜しくお願いします。
__ 
最近はいかがですか?
田辺 
6月に「農夫」が演出される作品の準備と、11月に自分の作品を劇研で上演するので、その準備ですね。それから、9月から劇研のディレクターになるので、その引継ぎと年間の方針の策定です。準備ばっかりなんですけど(笑う)。今月は公演の予定はないのですが、役者さん向けのワークショップをやっているところです。
__ 
そう言えば、劇研ディレクター就任は9月からでしたね。
田辺 
はい、個人として劇作と演出をやりつつ、劇場をどうしていくかを考えていきます。
__ 
どのような方向を考えておられるのでしょうか。
田辺 
もともとアトリエ劇研はアートスペース無門館という名前で、若い作家・演出家・俳優に公演をしてもらう場所だったんですよ。劇場側が選ぶのではなく開かれた場所という意味で、だから無門館と言っていたんです。これからも京都で演劇をやろうという若い人達に使ってもらって、実力をつけてもらう場所になってほしいですね。あそこを出発点にして、いろんな人達が集まって研鑽を積む場所になったらと思います。もちろん、僕もそのうちの1人ですし。
下鴨車窓
京都を拠点に活動する劇作家・演出家の田辺剛が主宰するユニット。(活動紹介より)
下鴨車窓#4「農夫」
公演時期:2008/6/25~29。会場:アトリエ劇研。
松田正隆
劇作家・演出家。マレビトの会主宰。

農夫

__ 
前回、アトリエ劇研で上演された「農夫」。非常に楽しく拝見致しました。
田辺 
ありがとうございます。子供からお年寄りまでという間口の広さは無いので、つまりお客さんに選ばれて見られるような芝居だったと思います。ですので、そう言って貰えると素直に嬉しいです。
__ 
そうですね、どちらかと言うとお客さんを選ぶ作品でしたでしょうか。
田辺 
こちらがお客さんを選ぶというか、選んで見に来て頂きたいですね。昔、「農夫」よりももっと抽象性の度合いが高いお芝居をやっていた時に、出演者が友達をいっぱい呼んでくれたのは嬉しいんですけど、何て言ったらいいんでしょう、アメ村的オシャレな金髪の方に来て頂いて、心の中で物凄く謝ったことがありました(ちょっと笑う)。僕が選ぶというのはおこがましいと思うんですけど・・・。
__ 
でも、重要なところですよね。
田辺 
それこそ、子供からお年寄りまで見て頂くのに越したことはないんですけど、かと言ってお客さんに合わせて書く程には器用でもなく。せめて、チラシをデザインしたり広報をする時に、どういった作品なのかが伝わるようにしています。最近ではあらすじを載せたりしていますね。
__ 
確かに、今回あらすじが載っていましたね。さて、作品の上演が終わって数週間経ちましたが、ご自身の手ごたえはいかがでしたか?
田辺 
韓国での研修から帰ってきて最初の新作だったんですね。今終わってみて、すこし肩の力が入りすぎていたように思います。あれもやろう、これもやらなきゃ、と気負った部分があって、実際ご覧になったお客さんから見たら感じなかったかもしれませんが、反省はあります。でも、もちろんやりたいと思ったことは出来たんですね。二歩進んで一歩下がるという所です。
アトリエ劇研
京都・下鴨にある客席数80程度の小劇場。1984年に設立し96年に「アトリエ劇研」に改称、2003年11月にはその運営主体がNPO法人となった。(公式サイトより)

タグ: 反省Lv.2


言葉

__ 
なるほど。これは是非伺いたかったことなんですが、「農夫」のラストシーンが、村に迷い込んだ革命者の姉が、布に文字をいつまでも書いているというものだったんですけれども、非常に印象の強いラストでした。言葉を永遠に書き続けているという。
田辺 
あの布というのは象徴的に使っているんですね。元々僕は大学で哲学をやっていて。人間の言葉にまつわる勉強をやっていたんですね。人間を考える時に、どうしても言葉を考える事になるんです。「農夫」では、村にやってきた革命家達の語る固い言葉、ちょっと頭の悪い文盲の弟、そのお兄さんは芝居の後半で商売に目覚めて市場経済の話を持ってくるわけですが、舞台上でいろんな言葉が行きかうんです。これは実際、僕らの身の回りでもそうですよね。例えば、喫茶店で隣に物理学者が二人座っていて、専門的な話題を始めたとします。僕らには同じ日本語としても分からないですけどそんな言葉もいきかっている。
__ 
専門用語だらけでしょうね。
田辺 
政治の言葉、生活の言葉、経済の言葉、といろんな種類の言葉があふれているわけです。氾濫しているともいえる。それらが交錯する模様を描こうと思いました。
__ 
言葉の氾濫ですか。
田辺 
そうしたなかに「芸術の言葉」もあって、僕は「詩」を考えることが多いんですけど、詩の存在感って日常生活のなかではすごく薄いなって思うんです。そこで詩の特殊な存在感を、姉に布の上に書かせる事で、再度問いたいと思ったんですね。あの詩の言葉というのは劇中、「なにこれ」って言われて誰にも通用しなかったじゃないですか。でも、ああいった言葉の価値が見失なわれたら、それはとても貧しい世の中になるんじゃないかなと思います。
__ 
わかりました。ところで、あの巨大な面積の布の前面に文字が連なっていく様は何か、とても壮大なイメージでした。人の脳の暗喩というか。そこから文盲だった農夫の弟が少しずつ言葉を学んでいくというのが非常に印象的な演出でしたね。
田辺 
あの布は舞台美術の川上明子さんによるものなんですよ。穴から引っ張り出して舞台に登場するんですが、裏側を引き剥がしてきたというイメージもあります。我々の立っている地面の裏には、言葉がびっしりと埋まっている、という。わたしたちの生が先人たちの語った言葉や記された言葉のうえで成り立っているというか、支えられてるというか、裏打ちされているというような。そうしたことを再発見するというのも、作品に盛り込んだイメージなんですね。
__ 
へえー。
田辺 
モノだけでなく言葉もどんどん消費されていく世の中じゃないですか。新しい価値を発見することはとても楽しいし、刺激はあるんですが、今までにあったものを再発見することの大切さっていうのがあるんじゃないかって。新発見と再発見のバランスが取れればもっと豊かになるんじゃないか。と思います。

タグ: 自分は何で演劇を


範囲

__ 
私実はですね。結構昔に田辺さんの作品を拝見した事がありまして。t3heaterだったと思うんですけど、登場人物の男の方が、死んでいるか生きているか不明の女に向かって「難しいな、難しいよ」と言って終わるものでした。
田辺 
おお! それは「うみのうた」ですね。リアリズムだった時の。
__ 
あ、やはり田辺さんの作品だったんですね。それと、最近の2作を拝見している訳ですが、いわゆる静かな演劇ですよね。そこでひとつ伺いたいのですが、下鴨車窓では、俳優に演技を付ける時にどのような点に留意しますか?
田辺 
とりあえず、役作り禁止ですね。どんなに僕らに身近な風景の作品でもそうだと思うんですけど、舞台俳優の「この役の事はすべて分かっている」という態度に違和感を感じるんですよ。分からんでしょうそんなこと、って。例えば、自分の親とか生まれてからずっと付き合っていてもいまだに知らないこといっぱいあるし。でも演劇となるとたかだか台本を読んだくらいで分かりました、といえることの傲慢さってなんだろうと思うんです。
__ 
なるほど。
田辺 
だから、役作りは禁止です。もちろん、何もナシで演技が出来る訳ではないので、最低限これは言えるね、ということを積み上げていってもらいます。例えば、このセリフを言うのでも、これ以上いっちゃうとセリフとして言えない、逆にそれ以下だとシーンが成立しない、という演技の可能性の範囲を探し当てる作業をするんですね。
__ 
演技をポイントで決めるのではなく、演技が作品として成立する範囲を探っていくという事でしょうか。
田辺 
そうですね。実はこれは本番でも決定しないんですね。その都度、揺らぎがあるようにしたいと思っています。そういうやり方を俳優の方でも受け容れてくれたら嬉しいですね。
__ 
作り方についてもう少し伺いたいのですが、役作り禁止で、かつ演技を範囲で考えていくという事は、作品を作る上で舞台上の人物の感情については管理しないという事ですか?
田辺 
段取りはあるんですよ。セリフの言い方を指定することもあります。でも、けして感情とリンクさせないようにしますね。怒りを込めてとか、悲しみを堪えて、みたいな指定はしません。確かに、台本を沢山読み込んで、役の内面を追って「ここはこの人は怒っているからこういう言い方をするよね」ということを話し合いはします。でも、具体的に感情を付ける演出はしないんです。問題は、それをやってみせるかどうか。それは僕らの中にちゃんとあるけれど、出しはしない。役の解釈と役の表現とを分けて考えて、結論めいたものを舞台上で出さないようにすることが重要なんですよ。

タグ: 静かな演劇と「出会う」


寓話

__ 
今後、田辺さんは演出として、どんな感じで攻めて行かれますか?
田辺 
中々、天邪鬼な所があって、演劇そのものを素直に信じられていないんですよ。演劇を疑いながら「演劇にできること」を探っていきたいと思います。劇作家・演出家としての今後は、これまでの作品は京都から出すまいとして。
__ 
そういえば、京都での上演が多いですね。
田辺 
大阪・東京など別の土地で上演するという機会はあまり無かったんですよ。でも、これからはもっと別の地域の人達に見てもらいたいと思います。それで、秋の新作は年明けに東京・名古屋で上演する事が決まっていたり、来年2月は広島に演出として呼んでいただいたり。今後も、そうやって発表の場が外に広がっていけばいいなと思います。
__ 
作品をお書きになるうえで、目指したい世界みたいなものはありますか?
田辺 
「旅行者」「農夫」を発表した時に頂いた評価と、それから自分でも分かっていたことなんですけど、僕の作品は寓話的と言われるんですね。
__ 
寓話性とは、一体どのような事を指すのでしょう。
田辺 
例えば神聖な物事を視覚的に表現しようとした場合、白色を持ってくる事がありますね。そういう時の白というのは、神聖なもののアレゴリー(寓意)と言うんですね。イソップ寓話の教訓話でも、キツネというのはずるがしこいものの寓意です。ただ教訓を書き連ねるだけでは読者に受け入れられない。が、キツネのような寓意性を背負った役を配した物語を通すと理解しやすくなる。それが寓話です。そういう、何かの置換を、寓意を使って物語を紡いでいくということですね。
__ 
分かりました。ありがとうございます。
「旅行者」
公演時期:2008/3/20~23。会場:精華小劇場。

犬の写真集

tanabe_present
__ 
今日はですね、田辺さんにお話を伺えたお礼にプレゼントがあります。
田辺 
あ、例の。
__ 
どうぞ。
田辺 
重いじゃないですか。あ、開けてもいいですか?
__ 
ええ。
田辺 
(開ける)あ、写真集ですか。へー。犬の写真ですか。どうして僕が。何かイメージが。
__ 
というのもありますが、写真集であるという事が重要だったんですね。


豆企画「消失」

__ 
今日は、宜しくお願い致します。
延命 
お願いします。
__ 
最近、いかがですか。
延命 
芝居の予定で一番近いのは、9月頭の芝居の演出ですね。
__ 
ああ、「豆企画」ですね。
延命 
はい、「消失」という作品です。
__ 
ケラリーノ・サンドロヴィッチさん作の。
__ 
俳優の他に演出もされる延命さんですが、延命演出ならではの特徴というのはどのような点にありますか。何かを大事にしているですとか。
延命 
普通やと思いますね。
__ 
普通と仰いましたが、例えば役者に演技を付ける時の大きな方針ですとか。
延命 
相手のセリフを聞かないように、という演出は他の人より多いと思いますが。
__ 
はい。んん? 相手のセリフを聞かない?
延命 
セリフを受けて喋る、会話を行う人が二人いる状態よりも、喋っているのに伝わらないであるとか、聞くつもりはあるのに上手く受け取れないであるとか、そういう空気が好きなんですね。
__ 
ああ、何となく分かる気はします。コミュニケーションが出来ていそうで出来ていないという状態ですよね。
延命 
何か、内容を受けて発言するというよりも、相手が何か言うから言葉を重ねるであるとか。以前演出した時に、片方は一生懸命喋っているし,もう片方は一生懸命喋っている側の言う事を聞こうとしているのに、全く伝わっていないという。そういうのが凄く好きなんですよ。普通だと、相手のセリフを聞いて咀嚼して返す、というのをやってくれるんですが、「あ、そうじゃなくていいよ」と言います。
__ 
なるほど。出来ていない会話のとぼけた感じというのでしょうか。
延命 
会話は成立してないけど、話を聞いていない人の中ではとても筋が通っているという。キャッチボールをしたいのに、出来ていないという。次の「消失」もそういう感じになると思います。
少・F・年
松本健吾(少年A)と延命聡子(少・F・年)を中心とした演劇サークル。(公式サイトより)
豆企画「消失」
公演時期:2008/9/5~7。会場:西部講堂。

タグ: 会話のキャッチボール


同じにやっても意味がない

__ 
その上で9月の「消失」の見所を教えて頂きたいんですが。
延命 
見所、という訳じゃないんですが・・・。ケラさんの会話は凄く好きなんですが、人間を上から目線で見ているのが苦手で。そこは払拭したいと。
__ 
上から目線というのは、ぱっと思いつくのは、人間の愚かな部分がぶつかり合う様みたいな?
延命 
そうですね。同じにやっても意味がないので、自分好みにしていこうと。作品の最後、築いてきたように見えてた人間関係がバラバラになってしまうんですけど、それでも人間がコミュニケーションをとろうとすることに希望はあるんだ、という終わり方になればなと。あと、劇場のサイズ的に、大劇場での作品を西部講堂でやったらどうなるか、というのもありますね。もっと面白くさえなれるのではないかと。頑張ります。
__ 
頑張って下さい。