パラパラ漫画

__
今日はお話を聞かせていただいたお礼に、プレゼントがございます。どうぞ(渡す)。
藤原
何?おいしいもの?
__
いや、食べれはしないと思うんですが。
藤原
(開ける)メモ?
__
いや、ちょっとめくっていただいて。
藤原
ここまできても何だかわかんないぞ。(めくる)あ、へえ。
__
パラパラマンガですね。
藤原
あ、おもしれえ。すげえ。え、ちょっと待って。途中で・・・これは面白いわ。パラパラマンガね。いいね。やみいちではやったことないな。
__
この、なんともいえない軽さがいいですよね。
藤原
パラパラマンガを作ろう。


両立

__
今後、作品的にはどのような構想があるのでしょうか。
吾郷
まあ、言えばストレートプレイというか。まあ、そんなに変な事はやってなかったんですね。割とそのまま、みたいな。そこに、何層かのレイヤーを積み上げていく、というのが今考えていることで。ベースの上に、例えば身体的な表現が一枚加えられないだろうか、とか。
__
というのは。
吾郷
例えば、現代芸術家達の作品って実は娯楽性が高いなと感じていて。アートだけどもスノッブな感じもしなくてね。芸術性と娯楽性がいい形で両立していると思うんですよ。
__
これはポップなモノだと言われて鑑賞しても、クラシックな説得力を感じますよね。
吾郷
そうそう。伝統的な技法の上に成り立ってたりとか。そういうイメージを演劇の中にもレイヤーとして載せられないかなと。こないだは絵画を舞台奥にばんと置きましたが。
__
あれこそ、後ろに絵があって前にお芝居があって。レイヤーですよね。
吾郷
あれもね、舞踏をちょっと取り入れたんですよ。ああいう方法を、もう少し精度良く、組上げていって作品に奥行きを与えられないだろうかと。
__
また、各レイヤーを一枚ずつ剥がしていって楽しんだり、考えていったりと。
吾郷
うん。そういう、アート性をきっちりと両立出来ればなと。それが望みです。

ソーサー

__
実はプレゼントがございまして。どうぞ。
吾郷
すみません、恐縮です。開けてしまってもいいんですか?
__
あ、どうぞ。
吾郷
(開ける)おお。これは。
__
これは、コップとかを載せるソーサーですね。
吾郷
ああー。下の。あ、そうですか。ああー。
__
どうぞ。
吾郷
こんなオシャレなものを。


ロック

__
今日はですね、WANDERING PARTYの事を伺って行きたいと思いまして。まずは作品の事なのですが、どういう背景がワンパの作品にあるのかなと。2年ぐらい前から、いわゆる時代物をされていたように思いますが。
吾郷
何でかな。僕ね、ああいうのは学生の時に一回やった事あるんですよ。演劇を始める時に当たって刷り込みがあって。それは、MOPのマキノノゾミさんがお書きになられた「ピスケン」っていう作品を高校生の時に演出したのが初めてで。それが、大正時代のいわゆるピカレスクロマンで、主役が中途半端な強盗さんなわけですよ。
__
ええ。
吾郷
その、要するにダメな人なんですよ。その人を中心に、青猫というカフェの中での人間模様で。いつかそういうのを自分でも作りたいと思っていたんですね。それが元々のモチベーションになっていたと思います。
__
なるほど。
吾郷
あとは、歴史とか好きなんですよ。近代に入ってから、外国の文化が入ってくるでしょ。その混ざり合った感じが、魅力を感じて。
__
劇研での公演を拝見しました。
吾郷
「21世紀旗手」?
__
はい。非常に面白かったです。玉音放送から始まったから時代物かと思いきや、Apple社製品=Powerbookとかが出てくるし。その混ざり合った感じが良く出ていたなと思います。
吾郷
そうそう(笑う)。あれはね、自分としてはちょっとした転機となった作品で。それまでは石川啄木とか大杉栄とかを取り上げても、その時代の枠組みでやっていたので。突飛な事をやろうとはそんなに思っていなかったんだけども。だけど、それが段々窮屈になってきて。何かその、伸び代が無い気がしたし、単純に面白くないなと思っていたし。で、今この録音に使っているiPodのようなものを放り込めないかと思って。
__
それでiPodや、iBookを。
吾郷
時代物は、お話の筋も最後とか虐殺されたり、人物の目的も革命とかですしね。そういうの好きだったんですけど、大変じゃない。我々の経験の中にはないものだし。話をもっと身近な所に落とし込みたいなと。だから、とりあえず太宰治がiPodを買いにいくという話にしようと。
__
いや、設定からもうロックンロールですね。
WANDERING PARTY
2001年8月、結成。京都、大阪を中心に活動。「芸術と娯楽」は同義であることを追求すべく、現代美術、身体表現を換骨奪胎し、笑いと涙を誘う演劇づくりにいそしむ。(公式サイトより)
WANDERING PARTY11th.20世紀旗手
京都公演:アトリエ劇研協力公演。日時:2006年1月27~29日。会場:アトリエ劇研。東京公演:タイニイアリス演劇祭参加公演。2006年2月17~19日。会場:タイニイアリス。

舞踏

__
その、次はダンス公演だと聞いて。ちょっと意外な気がしていたんですが。
吾郷
実はね。うちの劇団員の結構な人数が日本舞踊やってるんですよ実は。
__
ええー!?
吾郷
意外でしょ(笑う)。舞台上でそういう教養のあるところを全く見せていない所とか。男はね、全員やってますよ。
__
へえー。
吾郷
僕もやっていたんですが、途中から休みがちになって。行けなくなって。
__
意外ですね。
吾郷
今度、先斗町の歌舞練場で発表会やるんですよ。
__
それが3月の。
吾郷
いや、それは舞踏なんです。そこで、丁度1年前くらいに、精華小劇場が出演されたアトリエ劇研の公演ビデオも一緒に見せてもらったんですよ。それで興味を惹かれて、川村悟さんに紹介して頂いたんですよ。ダンサーの方のちょっとした動きとか、些細な仕草とか、そういうのがいいなと思って。その時はダンスをやろうとは思ってなかったんですが。
__
なるほど。
吾郷
うちの役者はこういうのは出来ない。こういうふうにはいてられない。そういう感じを受けたんですね。
__
その、そういう感じというのは、細やかさとか。ダンサーが指を動かすだけなのに感じる、あの動きのことですかね。
吾郷
そうそう、何か、体全体に行き渡ってる感じがあるよね。
__
分かります。
吾郷
僕らはもっと、雑におると。
__
蛍光灯の前で手を振ると残像が残りますが、ああいった、ぎこちない。
吾郷
そうそう、南斗水鳥拳が始まるみたいな(笑う)。そういう動きの、切欠だけでも得られないかと。それで、うちの劇団でワークショップをやってもらえないかと、紹介していただいたんですよ。稽古場で何度か来ていただいて。それこそ歩くトレーニングとか。そのうち、向こうから一緒にやりませんか、というお話を頂いて。という事なんですね。こういう経験を、僕らなりに咀嚼して、自分達のものにしていきたいなと。
香月人美&WANDERING PARTY舞踏公演『聴かせてよ、愛のことばを』
公演期間:2007年3月20~21日。会場:アトリエ劇研。
精華小劇場
大阪市難波。元・精華小学校をリノベーションした劇場施設。
川村悟
詩人・演出家。ポエトリー・リーディング、舞踏の演出・構成・振付など、多方面の作家活動を展開。
香月人美
舞踏家。1997年、詩人河村悟の演出作品『オフィーリアの遺言』に主演。孤立した記憶に呼びかける、詩のカオスを抱えたダンスパフォーマーとして注目を浴びる。

タグ: カオス・混沌 日本舞踊 ユニークな作品あります 意外にも・・・


__
今後、ワンパはどんな道筋をされていくのでしょうか。それとも、ワンダリングする、みたいな。
吾郷
名は体を現す、みたいな。ワンダリングはしてますよ、ずっと。何でもそうなんですけど、自分達の生きる場所を探すのは難しいじゃないですか。演劇に限らず、本質的な場所を見つけるのは、とても。どうなんだろうな・・・。こないだの12月で30になったんですよ。いよいよいい年で。
__
ああ、はい。
吾郷
高橋君はいくつ。
__
25です。
吾郷
25。僕ね、25の時に会社を辞めてワンパを始めたんですよ。・・・何だっけ。道筋ね。いや、本当にね。毎日考えてます。例えば、いい芝居をやって良い評価を得たいというのが当然思っている所なんですね。これは皆思っていることだと思うんですが。僕はどうにかして生業にしていきたいなと思っていて。最近は、そういう意味ではラジオの台本を書かせてもらったりとか、芸術大学の演劇のクラスにお手伝いで呼んでもらったりとか、ちょっとはそういう技術が金銭に変わっていく事が、ないではないんだけれども。集団をプロ化するのはまたレベルが違うじゃないですか。
__
ええ。
吾郷
劇団員が9人いるんですよ。彼らをどうにかするには、もう気が遠くなるんですよ。まあ、あとは作品をどうやって良くするか、しかないですね。

笑い

__
宜しくお願いします。最近どうですか。
F J
最近ですか(笑う)!?何方面で、ですか。
__
バイオリズム的な面で。
F J
いや、まあ・・・。公演終ったところなんで。
__
そうですか。
F J
基本的には一緒ですね。朝起きて。京都行って、夜京都から大阪へ帰る。そんな感じですね(少し笑う)。
__
フルベースでしたね。
F J
はい。
__
ご自身の手ごたえは。
F J
手ごたえですか、まあとりあえず、無事終る事が出来てホッとしました。途中、挫けそうになりましたが。
__
挫けそうになったんですか。
F J
ええ、一日で休憩が一時間ない日があって。
__
そりゃひどいですね。
F J
6時間ぐらい舞台に立ってましたね。
__
相変わらず無茶されますね。
F J
喉がずっと調子悪くて。漢方薬を3種類ぐらい飲んでて。薬まみれでしたね。
__
ところでフルベースのPPPなんですが、やはりファックさんご自身で演出されたものなんですよね。
F J
あれはですね、半分くらい実話だったんですけど。ポロシャツ着てダサいとか言われたりとか。どうでした。
__
あの、やっぱりこう。現場にいないと作れない笑いだなと。最初、スポットライトがあてられて恥ずかしがるファックさんが登場しますよね。
F J
あ、はい。
__
それが2回続いて、照明が消えた暗い中でしばらく歩き回るじゃないですか。その時に観客から笑いが起きたんですよ。
F J
ああ、起きましたね。
__
その瞬間の、非常に上手い笑いを感じましたね。
F J
何でウケたのか分からないんですけどね。
__
分からないんですか!?ええ!?
F J
あれ、何でなんですか?
__
意図が無く!?
F J
はい。あれ、何でなんですか?
__
ええ!・・・いや、あれは、私が感じた所なんですが、まあ頼まれもしないのに、光が当たって半裸のファックさんが出てくる訳じゃないですか。
F J
うん。
__
で、次は客席に近い所で同じ事をすると。ここで観客は何がなんだか全く分からないんですが、とにかく引いていると。
F J
(笑う)
__
何なんだろう、これという気持ちを無視してまた暗転すると。しばらく、闇の中を歩き回る気配がする。今度は長い。その時、観客は「ああ、これ嫌がらせなんだ」、という意図に気付いて笑うというですね。
F J
あー。なるほどなるほど。
__
「次は私の所に来るの」みたいな。意図してなかったんですか・・・。
F J
いや、全く無かったという訳じゃないんですが。
__
凄く詰められた笑いだったので、びっくりしました。
劇団衛星
京都の劇団。代表・演出は蓮行氏。既存のホールのみならず、寺社仏閣・教会・廃工場等「劇場ではない場所」で公演を数多く実施している。
劇団衛星新春興業フルベース
公演時期:2007年1月27日~2月4日。会場:東山青少年活動センター。
PPP(ポスト・パフォーマンス・トーク)
フルベース本公演後に、FJ氏によるコントを上演。

シュート

__
ファックさんはこれから、どこへ向かおうとしているんですか?
F J
どこへ向かおうとしている。まあ、あれです。あのね、例え話でいいですか。
__
ええ。
F J
ガチンコの強いプロレスラーみたいにになりたいですね。
__
なるほど。
F J
伝わりますかね。
__
この、このマークってなんでしたっけ(人差し指を立てるサイン)。
F J
シュートですね。
__
プロレスで言う、ヤラセなしという。
F J
何かね、腹が出ているレスラーっているじゃないですか。試合中、笑いが起きてしまうような。でもガチンコをやらせたら強かった、みたいな演劇人になりたいなと。
__
なるほど。
F J
まあ単純に言うと。ヘタクソじゃなくなりたいなと。
__
ファックさんはもう既に、ヘタクソじゃないと思うんですが・・・。
F J
いやヘタですよ、ビックリしますよ。
__
(少し笑う)
F J
まあ何でもやれるようになりたいですね。あんまり、こんなお芝居がやりたいというようなのが無いので。
__
そうなんですか。
F J
まあ、あるんですよ、でもそれだけやりたいと言うわけでもないので。まあ、他所行った時に恥を掻くこともあるので。やらせて見たら、アイツ上手いやんって言われるのが夢ですね。

じゃれみさ

__
2006年度ももう終りますが・・・。夏も、ダンス公演とかされてましたよね。「I was born」。
F J
ああ、やりましたね。有難い話でしたね。
__
はい。
F J
死ぬかと思いました。
__
どんな意味で。
F J
まあ単純に体力で。小屋入りして最初に、通しをやったんですよ。夜に。
__
はい。
F J
終ったあと、本当に過去最高の消耗具合で。過呼吸みたいに息が切れていて。本番が全部終ったあと、劇研の楽屋出たとこの洗濯機のへりを掴んで崩れ落ちてましたからね。
__
マジですか。
F J
体力的に、色々。あと、怖かったです。ダンス公演に出るという緊張。初日の一番アガっている時に、楽屋でドキドキしながら待っていて、客席から声が聞こえてくるんですよ。
__
うわあ。
F J
「寺田さんというのは期待しているんだけど、コイツは・・・」という声が聞こえてきて(笑う)。
__
あー。
F J
今にも折れそうな僕の心を、ぽっきりと。
__
幻聴でしょう。
F J
幻聴ですかね。
__
あとは、ザ・ありがとうとかやりましたね。
F J
やった。楽しかったです。
__
どうでした。
F J
いやあ。あのね、大木湖南さんとやったんですが、やはりあの人は面白いなと。好きなんですよ。
__
ええ。
F J
ゴールデンウィーク中にがっちりと稽古もして。本番も楽しかったです。
__
いいですね。
F J
ただ、当初、ちっちゃい芝居が6つくらいあったんですけど、最初は仲の悪い設定で行こうと思ってて、喧嘩するシーンもあったんですよ。すると段々、稽古場の空気も悪くなっていって。ホントに仲悪くなってしまったんですよ(笑う)。
__
まずいじゃないですか。
F J
やばいどうしようとなって。仲の良い設定にしたら、現場の空気も軽くなって。で、稽古もうまく回り始めたんですよ。
__
なるほど。
F J
緊張した。そうですね、2006年ってそんなのもやってましたね。
I was born
砂連尾理+寺田みさこデュオ公演にダンサーとして出演。公演時期:2006年6月。会場:アトリエ劇研。
大木氏と劇団衛星の俳優・ファックジャパンのユニット。公演時期:2006年5月15日。会場:cafe weekenders。
大木湖南さん
ニットキャップシアター所属。俳優。

皮製の物入れ

__
じゃあ、そろそろまとめに入りたいと思います。
F J
え、大丈夫ですか?意味の無い事しか喋ってないような。
__
まあ。
F J
あ、(僕に)内容なんか求めてないんですか・・・。
__
いや、求めてますよ。
F J
ホントですか(笑う)。
__
ええ・・・。一応、プレゼントの方を。
F J
あ、ありがとうございます。Shin-bi・・・。
__
気に入るかどうか、分かりませんが。
F J
何やろう(開ける)。おお。え、何これ。
__
どうぞ。
F J
(皮製のポシェット。首に掛け、携帯電話を入れようとする)
__
入れ。
F J
(入らない)(笑う)
__
うわあ。残念です。
F J
もうちょい頑張ってみます?
__
ヒモを避ければ行けそうな気がするんですが。
F J
・・・。
__
あ、無理ですね。
F J
あ、いけそう・・・。
__
あ、やばいです、裂けます。他の物を入れるしかないですね。
F J
何入れよう。ありがとうございます。
携帯電話が入らない
この後、iPodshuffleが入る事になった。

フルベース

__
植村さんは、最近どうですか。「フルベース」が終ったばかりですが。
植村
三月の「珠光の庵」の準備がいよいよ本格的に始まったところですね。
__
静岡ですね。
植村
三月頭に静岡と、末に京都。
__
「珠光の庵」、もう足掛け四年くらいですね。
植村
2004年7月が最初だったので、三年くらい。でも公演は去年の五月からやってないので、久しぶり。
__
役者も変わり。
植村
そう、今回から二人新しい人に代わるので。またちょっと、新しい感じになるのではないかと思います。
__
もう、前のキャストでの珠光は見られないのでしょうか。
植村
いや、今のキャストにしたって今後同じメンバーが揃うかどうか分からないし。あちこちで上演していきたい作品だと思っているので、まあスケジュールだったり、インスピレーションだったりが合えばという感じで決まっていくと思います。今回の「フルベース」で、一つの役を複数でやる面白さみたいなのを実感できたので、それを今回の「珠光の庵」でもやることになった、というのかな。意図した訳じゃないんだけども。個人的には、そういう面白さを味わいたいな、と思います。
__
そういった、作品ごとの変遷を稽古場で察知して、公演という、まあ、皿に載せるというのが植村さんの役割だと。そういう理解で大丈夫でしょうか。
植村
んー、でもそれはどっちかっていうと演出じゃない?作品をどう変えていくか、とか。でも、「珠光の庵」に限らず、衛星の作品全般に言えると思うんだけども、受付からの演出とか、情報宣伝の段階からの物語の提示の仕方だったりとか、そういうのを含めて蓮行の作品だったりするから。ここから制作、ここから演出というふうには分けてないかな。
劇団衛星
京都の劇団。代表・演出は蓮行氏。既存のホールのみならず、寺社仏閣・教会・廃工場等「劇場ではない場所」で公演を数多く実施している。
劇団衛星新春興業フルベース
公演時期:2007年1月27日~2月4日。会場:東山青少年活動センター。
劇団衛星「珠光の庵」
劇団衛星作品。演劇と茶道を限りなく等しく融合させた「お茶会演劇」(公式サイトより)。初演:2004年7月1日~6日。その後、全国47都道府県での公演を目指し巡業企画中。2009年11月現在まで、14都道府県25ヶ所での上演を行う。

タグ: ユニークな作品あります


ブーム

__
確かに、小劇場ブームは落ち着いているなと思っておりまして。先日お話を伺った藤原さんによると、京都に関してだけなら特に盛り上がりを必要としていないのではないか、というような事を仰っていたんですよ。
植村
うん。
__
ワークショップの全盛ですとか。ポスト・パフォーマンス・トークですとか。そういうのがあって当たり前の。その中で、非常に過激な事をする人が少なくなっているのではないかと。
植村
過激、っていうと・・・?
__
受け止められないんじゃないか、みたいな・・・。どうですかね、小劇場の盛り上がりとかについて。
植村
うーんとね。昨日、精華小劇場に芝居を観に行って。そのアフタートークで聞いたんだけど。最近の関西の芝居は頑張ってきてる、と言ってて。20代後半から30代の劇団とかが。私が言うと語弊があるかもだけど。
__
はい。
植村
別に、盛り上がってる訳でもないけど、盛り下がってるわけでもない、かな。価値観が一つじゃないから、それぞれが色んな形で演劇をしてる。一つの大きなブームとしては捉えられないという状況なんじゃないかな。
__
多様性というか。
植村
うん。
藤原康弘
やみいち行動総務理事、小さなもうひとつの場所演出。
精華小劇場
大阪市難波。元・精華小学校をリノベーションした劇場施設。

難解

__
劇団と、劇団の公演活動をプロデュースする立場に就かれている訳ですが。衛星の、コンセプトが非常に強い公演についてはいかがですか。例えば、衛星のここ3~4年の公演は、世界観をまず作って観客を取り込んでいく、という理解なんですが。
植村
一方的に何かこう、提示したものを消費してもらうだけじゃなくて、一緒に楽しんでもらおうと思ってます。その意味で、私は、衛星だけに限った事ではなく、パッと見て分からない、難しい作品ってのは結構好きで。
__
はい。
植村
言ってみれば、文学とかの古典でも、昔の和歌を分かってなければ本歌取りの面白さが分からないみたいな。賢い人にはより楽しめる作品ってのは私は凄くいいと思っていて。見る立場の人も勉強しなくちゃいけなかったりだとか。積極的に理解しなけりゃいけなかったりだとか。
__
ええ。
植村
もちろんそうしなくてもそれなりには楽しめるんだけど、こっちから踏み込んでいくとさらに楽しめるというか。そういう作品は私は好きで。衛星に入る前からね。だから、味わおうと思えばより味わえる、そういう手法もあるかな、と思います。
__
なるほど。衛星の芝居は、そういう面ではいかがですか。
植村
いや、ホントはね。お客さんには衛星作品の本当の面白さは伝わっていないんじゃないかと思うの。私は、作ってる過程で、何を入れようとしてたのかとか、何を削ったかとか、その隠れた部分も全部分かっているから、お客さんよりも楽しんでいると思うのね。それが伝わらないと、ああ勿体無いなあと思うし。
__
ええ。
植村
だから、本当、よく見るといっぱい何かがこめられている作品もあるのね。深く考えると、より楽しめる作品を作っていると思います。

タグ: コンセプチュアルな作品 難しい演劇作品はいかが 単純に、楽しませたい


距離

植村
作品と言うより、公演の打ち方としては、お客さんの方にこちらの方から近づいていこうというのがあって。物理的にね。
__
物理的に。
植村
地元だけじゃなくて、色んな土地にこちらから行くっていうのもそうだし。劇場という場所だけじゃなく、普段皆が使っている場所、たまたま通勤で近くを歩いていたら、演劇に触れる契機があったりだとか。そういう、日常生活の中に演劇作品を持ち込むというのが一つの大きなコンセプトとしてある。最初はそんなふうに言語化して持ってたわけじゃないけど、後から考えると、あ結構最初からそういう方向でやってたなと。
__
ビルの地下だとか野外とかでね。けして後付ではなく。
植村
衛星始めた当初から、あの頃から、考えてたかなと。

血の創世記

__
ええとですね、衛星団員だから思っている事でもあるんですが。この所衛星の活動は何か、落ち着いた感じだなあと思っていたんですが、こないだの「フルベース」を見て、ああやっぱり元気があるなと思ったんですよ。
植村
うん。
__
非常に魅力のある芝居をするなと。そこで。なんていうか、これは一観客としての希望でもあるんですが、何か、滅茶苦茶をやってほしいなと思っておりまして。まあ、正直に申しまして、「血の創世記」とかのナンセンスな作品群をもう一度見たいなと思ってまして。
植村
あれから衛星を見始めた人は多いな。
__
ああいう、派手な事をやっていた時代を見逃した身としては「惜しい」というのがあるのですが。
植村
「血の創世記」みたいに、野外でやるのはあの頃は学生という免罪符があったから出来たもので。それが今は無いので、大変と言えば大変なんだけど。言うとね、今でも、やってる身としては全然落ち着いた感はなくて。
__
ああ。
植村
例えば「コックピット」とかは、関係者みんなしんどくて「やだ」とか言うんだけど、私はもう一回やりたいと思ってて。で、こないだ喋ってる時も「やりましょうよ」って言ってくれた子がいたので。
__
ああー。
植村
もちろん、当時は無茶でやっていた事を今後はきちんとやれるようになっていかなきゃいけないと思っています。やる側としてはきっちりやって、傍目には無茶に見える公演をやって行きたいなと。
__
なるほど。
植村
「珠光の庵」も、ある意味無茶やねん。一年もないお点前の稽古で茶道関係者に見てもらっても納得してもらえるぐらいにしなきゃならんかったりとか、その上で芝居としても面白く作らなきゃならんかったりとか。ある種、色んな無茶をやってると思う。まあそれが楽しいけどね衛星は。私は凄い好き。
__
私もです。
植村
しんどいのはしんどいよ。地方に行ったりしたときは、無茶なタイムスケジュールだったりとかね。
劇団衛星興業「血の創世記」
公演時期:1999年7月9~20日。会場:吉田神社境内。
劇団衛星アトリエ劇研演劇祭参加作品「Candle」
公演時期:1998年2月18日~21日。会場:アトリエ劇研。
劇団衛星興業「コックピット」
50席限定の完全可搬型劇場を製作し、各地で公演を行う。初演時期:2002年6月12日~15日。会場:アートコンプレックス1928。

蟻の絵のワンポイントが描かれた平皿

__
ありがとうございました。
植村
いえいえ。
__
今日はお話を聞かせて頂いたお礼に、プレゼントが・・・。
植村
ありがとうございます。開けていい?
__
どうぞ。
植村
わーい。(開ける)あ、かわいい。ありがとうございます。ワンポイントが。
__
うん。蟻。


自主練

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最近、いかがですか。
大木
最近。東京公演の稽古が3月半ばから始まるので、それまでは自主練などをしています。新人稽古とか。
__
「お彼岸の魚」東京公演が、一番近い本番なんですかね。
大木
そうですね。
__
今後のスケジュールは。
大木
あれは一応、三月東京、四月名古屋、五月に名古屋のカラフル2というイベントがあって、それに。あとは、同じ五月に福岡で。
__
なるほど。
大木
大阪での反省点を踏まえて、色々変えていくことになりました。
__
あれ、最後のジャンプ感が凄いですよね。
大木
あのジャンプ感が、もっと、なんていうのかな、キレイに決まるようにしたい。ジャンプはしてるけれど、やりきれていないっていうのがあるんですよ。
__
はい。
大木
そこを何とか、東京では磨いて行きたいなと思います。
__
分かりました。・・・大木さんはニットの旗揚げメンバーですよね。
大木
ええ。
__
何年くらいになりますか。
大木
1999年からですから。
__
7、8年くらいですかね。
大木
それくらいですね。
__
色んな公演がありましたね。
大木
旗揚げ準備公演には出なかったんですが。それ以降は殆ど出てますね。ほぼ。
__
どん亀との出会いがあり。
大木
そうですね(笑う)、あれは2年目くらいに出来たんですかね。
__
凄いキャラですよね。考えてみれば。
大木
ああ・・・作家が面白がってくれたのが大きいですね。そういうのが、劇団にいるメリットだと思います。シリーズにしてくれたってのが嬉しいですよね。
__
あの悲惨さは中々。
大木
中々ねえ。ああいうキャラっていうか、ああいう事をする人は沢山いると思うんですよ。ただ、あれを面白がって、作品にして、名前をつけてくれているってのが、一つ上に行けているって事なんだなあと思いますね。
ニットキャップシアター
京都の劇団。代表・演出はごまのはえ氏。個性的な俳優陣と高い集団力をもってごまのはえ氏の独特な世界観を表現する。
ニットキャップシアター第22回公演「お彼岸の魚」
公演時期:2006年12月22日~2007年5月20日。大阪:in→dependent theatre 2nd、東京:下北沢 駅前劇場、愛知:愛知県芸術劇場小ホール、福岡:ぽんプラザホール。
どん亀
ニットキャップシアターのコメディシリーズ。不幸の申し子どん亀の不器用な生き方は観客に共感を与え、笑いと涙を同時に誘う。

タグ: ジャンプ!についてのイシュー


稽古

__
次の公演が決まって、それから台本を渡されて、それから稽古が始まるんですが、どんな感じでお芝居を作っていっているんですか?
大木
そうですね。まあ、稽古の取っ掛かり、稽古の為の稽古から始まるんですよ。
__
はい。
大木
大体、台本の第一稿は初日に上がってますから、それを元に、例えば稽古場のシーンがあったら、それを元にエチュードとかをやっていくんですけど。
__
はい。
大木
特にうちは年齢とか実力にバラつきがあるので、どうしても底上げをやっていかざるを得ないんですね。下の子らが、稽古場に臨めるようにしなくちゃならない。
__
なるほど。
大木
最初の一ヶ月は、まるまるそれに潰れていきますね。
__
ニットの世界観に載せられるような実力を培う、という事ですね。それを一ヶ月間。
大木
その後、二ヶ月目に入ったとき辺りに第二稿が入ってくるんですよ。そこに、その一ヶ月間の結果がモロに反映されているんですよ。もう役がなくなったりしますし、セリフが短くなったり。それが怖い所ですね。
__
結構、システム的なものが。
大木
いや、システムというよりは、うちはそうなってしまうんですね。いつも。出入りが激しいのもあって。使ってあげたいけど、どうかという事もあります。僕とかは、あんまり駄目出しもなく、最後になって変えてくれと言われて焦る事もありますけど。
__
うーん。その、稽古のことばかりで申し訳ないんですが、その他、稽古の中で何か困る事というか、問題になる事などはありますか?
大木
僕個人ではあんまりないんだけど、そうですね。やっぱり、劇団の年長者でもありますし、最近は劇団員対客演の率で言うと半々か劇団員の方が少ないくらいになっていますから。そういう時に、こういう劇団なんですよというのを体現していかなきゃならない。こういう演技をやってほしいんだ、という。
__
はい。
大木
それはやっぱり、ごまが演出をつけるだけでは分からなかったりするんじゃないかな。ごまは、結構抽象的な駄目出しが多いんですよ。そういうのを具体的に咀嚼して説明したり、時にはやってみせたりとか。そういうのが、客演の方にしたらちょっと鬱陶しいと思うかな、と思ったりしますが、ある種の責任感もあって。
__
ああ。
大木
こういう劇団なんですよ、と示すのが、時には人のプライドを傷つけたりするんじゃないかと思ったりしますね。まあ、構わずにやるんですけど。

キッカケ

__
本番に望む態度ですとか、テンションですとか。そういう場面での姿勢などを伺っていきたいなと思うんですが。
大木
はい。そうですね、ホール入ったら、まず劇団員としてしなくちゃいけない事がありますので。
__
はい。
大木
で、うちはキッカケとかが本当に細かく沢山ありますので。細かい段取りのしばりも多くて。キッカケとかに入ると、もうマシーンですね。
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マシーン・・・。
大木
あまり自我を持たないようにするとか。言われた事だけをやると。でないとプライドが傷つく。「いいからやれ」みたいな言葉が多いので。役者も稽古場でやってきたこととの刷り合わせをしないといけないんですけど。演出家からすれば、早く音響とか照明とかの段取りを済ませたいんですね。だから、役者が演技面で止めたりすると凄く怒るんですね。冷たくあしらわれる。
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はい。
大木
それが、俳優にとってはカチンと来る言葉だったりするので。それを何年もやってきているので、もう分かってきていますね。ニットキャップの本公演のキッカケは、とにかく黙ってやることが大事で。よっぽど問題が無い限り、演技の面での問題はとにかく覚えるだけにしておくと。
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難しい作業ですね。
大木
他の役者が寄ってきて、確認をしようとすると「いいから引っ込めよ」とか言われますね。
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中々、手順化出来ない現場ですよね。
大木
「いやいや、これが決まらないと照明を決められないだろう」という所をごまは「いいから!」って切っちゃうんですよ。
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そこで、舞台監督の出番かな、と思う訳ですが。
大木
そうですね、うちは、そういう所で舞台監督が介入してくることはそうそうないですね。問題が起こったら出てきますけど、大まかな流れの時はあまり。舞台監督をやってくれる清水さんとかは、「ニットは楽だ」と言ってくれますね。口を出さずに進めてくれるからと。
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俳優・演出で決めれらる所は決めていくと。
大木
客演さんは戸惑ったりする事がありますけど。
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そういった、気を使う作業を乗り越えて本番では。
大木
本番に入ったらもうこっちのもんだという気持ちがありますからね。
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ああ。
大木
とにかく、テンションで。本番前にはとにかくセリフを言いますね。楽屋で、後輩の子に僕意外のセリフを大まかに言ってもらって、という事をしてましたね。セリフはとにかく、とちらないようにという事で。
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なるほど。
大木
そうする事で、まあ気持ちも楽になりますし。それ以外の時は、なるべくバカさを見せるようにはしてますが。
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あはは。
清水忠文
京都を中心に活躍する舞台監督。

タグ: 本番前の過ごし方


ごまのはえ

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その、他の舞台ですとかテレビにも出演されている訳ですけれども。
大木
まあ、うん、テレビね。はは。
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やはりニットキャップシアターにあって、ごまさんの世界を表現するのが目的だ、という訳だと思うんですが。
大木
はい。
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その、ごまさんの世界について、何か思われる事は。
大木
ごまの世界観ね。まず、僕はもう付き合いが圧倒的に長いわけですよね。こないだごまと喋ったんですけど、僕の20代で一番長く一緒にいたのは彼なんですよ。明らかに。
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はい。
大木
大学時代からの知り合いですから。一緒にお芝居をやっていく中で、ごまが喜ぶものとそうでないものが分かってくるんですね。で、ごまの劇団でごまの芝居をやるのですから、ごまの好きそうなものを選ぶんですね。すると不思議なもので。俳優っていうのは基本、演出に褒められたいんですね。どんな芝居でも。演出と喧嘩してやろうという俳優はあんまりいない。ごまが好きなものを選ぶと同時に、そういう演技が好きになっていった、というのがあるんですね。
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なるほど。
大木
元々、似た所があったんだと思うんですが。言ったら、ごまの演技も凄くいいですから、僕も刺激を受けてるんですね。その真似をしたくなると。ごまが好きそうなものへのチョイスと、ごまから受けた刺激から生まれた演技という二本柱が、ニットキャップの中での大木湖南の演技の根幹になってるんですね。
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それを根本に、作られている訳ですね。
大木
そうですね。
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ごまさんの情けない男の世界ですね、「男亡者の泣きぬるところ」ですとか。
大木
あれに関してはですね、ごまはハマリ役だと思うんですけど、僕の役はもっと似合う人がいるんじゃないかと思います。
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はあ。
大木
僕とごまの呼吸っていうのがあって、ああいうスピード感とか、ニットキャップ的な濃い空気ってのは僕とごまだから出来ると思います。が、僕の方の男Bという役の内面とか内情は、僕より上手くやれる人がいると思います。あそこまで暗くなれない部分があって。人間性的にはね。そういうのを体現出来ればなあ、と思いますね。
ニットキャップシアター第17回公演 「男亡者の泣きぬるところ」
公演時期:2004年10月1日~18日。会場:アトリエ劇研