やみいちと夜を過ごす

__
そろそろ、録っていこうかと思うんですが。最近ですね。やみいちをですね、ずっと見逃し続けていて。
藤原
まあ頑張って見るほどのものじゃないから。
__
いえいえ。
藤原
京都から離れちゃうとしんどいよね。それは自分らでも良く分かってるんだけどね。大阪の人はこの時間にやられても困るだろうなと。ブンピカに泊まってもOKとはいえ。ブンピカに泊まる事が面白く思える人もいるだろうけど、抵抗がある人もいるだろうし。
やみいち行動
面白い事や面白くない事をや面白いかどうかよく分からない事などを行う即興的演劇的行為集団。(公演チラシより)。年二回、京都大学文学部学生控室(通称ブンピカ)にて公演を行っている。脚本はなく、役どころの最低限の約束事によって成立する。無料。
小さなもうひとつの場所
「別役実戯曲を『正しく』上演するためにつくられた」ユニット。藤原康弘広田ゆうみなどによって結成。
ブンピカに泊まってもOK
やみいち行動は金、土は24時開演であるので、終演は26時とかになる。チャリで京大に来れる人以外は帰りの足がなくなるわけである。そこで、帰りの足のないお客はブンピカで始発まで寝たりうだうだしたりしてもよい、という事になっている、という事象が前提としてある。(藤)

京都大学文学部学生控室

__
もう何年くらいでしたっけ。やみいちは。8年くらいでしたか。
藤原
いや、8年じゃないね。10・・・13年か14年くらいやってるんじゃないかな。
__
大昔ですね。
藤原
何年か前に、十周年の公演をやったから。でも中断期間も含めて、途中中断期間もあって、それも含めてだから。
__
初めてみたやみいちが、何だかよく分からないシェフの絵のやつで。
藤原
シェフの友。
__
それです。本当に新鮮でしたね。料理したり、役者のテンパってる姿だったり。ずっと高校演劇しか観てこなかったんですけど、そこで初めて小劇場演劇に触れたんですよ。私個人の演劇観は、今でもその影響を強く受けています。本当に、やみいちはずっと続いていってほしいなと思います。
藤原
まあ、かなり現実的な問題としてブンピカの存続は実は微妙だからね。
__
マジですか。
藤原
ブンピカが無くなったら一つの大きな節目というか、どうしようという事になるわな。
__
考えられないですね。
藤原
確定ではないんだけど、大学の長期的な計画ではなくなる事になってる。私の知っている範囲の計画ではグリーンベルトになる予定なのよ。
__
グリーンベルトと言えば、立て看板関係を思い出します。石垣CAFEとかありましたね。考えさせられます。
13年か14年くらいやってる
92年8月「ムツゴロウといっしょ」が初行動である。当時は「裏劇団やみいち」と名乗っていた。初回開演時には客席には観客が一人しかいなかったのも今となってはいい思い出である。(藤)
3年のブランク
第3回行動から第4回行動まで、3年のブランクがある。メンバーが就職したりして芝居から離れていた事などが原因。(藤)
第6回行動「シェフの友」
第6回行動「シェフの友」の事である。チラシのイラストはシェフチェンコ選手。現チェルシーFC所属。もちろん「シェフの友」だからシェフチェンコなのである。(藤)
大学の長期的な計画
国立大学の行政法人化に伴い、各大学は国からお金が取れるうちに資産価値を増やしておこうと施設整備に力を注いだという経緯がある。その結果、京都大学でもかなり性急な整備が行われた。また、その過程で立て看板の乱立する百万遍の石垣を一掃してこぎれいな大学にしようという意図も見られた、などなど。(藤)
石垣CAFE
石垣CAFE・・・京都大学の石垣周辺整備計画に同大学の一部学生が反発、「長年親しまれてきた石垣の風景と、立て看板を自由に出せる大学を守りたい」という理由で京都大学の百万遍に面する石垣の上に小屋を設営、CAFE及び寮を出店?した。詳しくはリンク先を参照の事。

タグ: 俳優のブランク


アマチュアリズム

藤原
まあ、やみいちのあまり前面に出てないバックグラウンドとして、アマチュアリズムのひとつの在り方を示す、というのがあって。
__
コンセプトですか。
藤原
芝居に関わっている人たちの雰囲気として、就職とかせずに芝居のために全ての時間を捧げてプロを目指すという取り組み方が出来ないんであれば大学を出て芝居を継続して行く価値はない、みたいな半ば脅迫的な観念が支配していた時期というのがあったような気がして。アマチュアとして続けて行ける道を探るなんてのはお遊びだからロクな芝居を作れないだろう、そんな活動には価値はない、そんな続け方ならやめてしまえ、みたいな。
__
はい。
藤原
そうじゃなくて、生活しながら、仕事しながら芝居をやっていけるっていう、かつ楽しめるものを作るというのが、というのが一つのコンセプトとしてあったんだけど。
アマチュアリズム
アマチュアリズムについての考察は桶総帥による以下の記事を参照の事。(藤)
「総帥の投げキッス、その他の思い」内 アマチュアリズムについて少しばかり
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/masakage/sousuishitsu/ama.html
また、その頃そういう続け方をしている人たちの芝居は実際ひどかったのでもある。(藤)

タグ: コンセプチュアルな作品


料理

__
料理を出すというのがやみいち行動のなかで大きなパートとなっていると思うんですけど。
藤原
まあ最近はそうでもないよ。
__
このところは併設バー、みたいなのがありますね。
藤原
L喫茶ね。まあ、ネタとして面白い料理も思いついてないから、それも大きいんだけどね。
__
そうだったんですね。
藤原
舞台上で魚を捌いて寿司を出すというのは一度やりたいと常々言っているんだけどね。
__
面白いですねそれは。
藤原
今ある食べ物ネタとしてはそれぐらいだよね。
__
アトリエ劇研の演劇祭でもやってましたよね。
藤原
ああ、カレーをね。
__
そういや、ブンピカのみならず、他の劇場で公演をしたりはしないんですか?
藤原
いや、招かれたら行くけどねというスタンスで。一度アートコンプレックスでもやったりはしてるんだよ。アートコンプレックスで劇団紹介みたいな企画があって。
__
2003年くらいの。ありましたね。
藤原
あれでやみいちも誘われて。何か映像とかないですかねと。映像なんか無い、じゃあ稽古するかと。
__
はい。
藤原
「エデンの干菓子」の前半だけやった。ひどい話やな、お客さん何のことだかさっぱりわからない。でもあそこでしかやってないネタもあって。流しそうめんしたんだな。
__
あそこでですか!
藤原
結局あれは、7Mの水路を作って中二階からシャーっと。
__
考えてみれば、そういうノリって実はなかなか成立しにくいと思うんですよね。やはり、京都的な風土みたいなのが根底にあるんだと思うんですが。
藤原
あるやろね。
__
もちろん努力をされているからだと思うんですが、言ってしまえば妙なノリの作品が質をちゃんと評価され、さらに続いているというのが。
藤原
まあ確かにちょっと他じゃ成立しないかもしれないね。
__
無料ですしね。
藤原
まあね。
__
やっぱり、粋なというか、やりきってるのを見るたびに、いいなと。
藤原
さすがにこないだの電車やみいちはちょっとお金を貰ったけどね。叡電を借り切って公演会場にした。
__
あ、何かありましたね。
藤原
さすがに借り切るのにお金が掛かったから。

左京区

__
Lmagazineが、左京区特集というのをやっていて。杉山準さんとかごまのはえさんとかの声が紹介されていて。
藤原
私も載っていたけどな。
__
あれ、気付かなかったです。
藤原
山下残の前に載ってた。
__
すみません、今度探しておきます。
藤原
いや探すほどの事言ってないから(笑う)。
__
今、大阪府の豊中市に住んでいるんですが、近くのセブンイレブンでそれを見つけて。びっくりしたんですよ。
藤原
確かに左京区って特殊だよね。それを左京区ってくくりで企画する編集者も凄いけど、それを特集にしたLmagazineも別の意味で。確かに左京区は面白いし他の所の人も来て見たらいいと思うけど雑誌の特集にしていいんかなという不安だな(笑う)。
__
まあオシャレですよね。
藤原
これをオシャレという決意の方がオシャレというね。
__
左京区か・・・。確かに、偶然とは言え妙な所で過ごしたなと思いますね。例えば、物凄く怪しい店があって。そのお店は、怪しさを出そうと思って出してる、というのとはちょっと違って。簡単に言うと、ヤバいんですよ。
藤原
おお。
__
「アリスの落ちた穴の底」っていう。
藤原
MICKね。
__
行かれた事はありますか。
藤原
一回だけ・・・いや二回ある。結構でかいよね。あの店。面積的に。
__
ええ。店の演出とマスターの混乱と気取りの無さが印象的でした。
藤原
ゴキブリとかいたしな。
__
テレビも付いていて、変な絵も飾ってあるし。その中で天井のネオンがやたらキレイなんですよ。
藤原
うん。
__
不思議だ。あそこで一人でコーヒー飲んでたんですけど、隣の3人の客の話がアカデミックで死ぬかと思いました。
藤原
使う人もそこがMICKである事に頓着してないよね。フツーのサークルの連中が騒いでたり。
__
マスターのお爺ちゃんが寝てたり、店員の女の子が物凄く可愛かったり。不思議な店です。ああいうお店に、左京区ぽさを感じるんですよ。

気質

__
先日、金田明子さんという、大阪で活動されている編集者の方とお話をさせていただいたんですよ。京都の方とも交流が非常にある方なのですが、その時にお聞きしたのが、大阪と京都の小劇場の違いと言う事で。
藤原
凄い違うよね。
__
ええ、チラシを見て、どちらがどちらか、というのが伏せられてても分かりますからね。これもその時に申し上げた事ではあるのですが。
藤原
まあ大体分かるよね。
__
何だか、京都の演劇人も大阪の演劇人も、何だかそういう価値観みたいのを共有してるんじゃないかと。もしかしたら私が京都にずっといたからなのかもしれないのですが、作品を見ていてやっぱり感覚が合わない所があるんですね。ですので一旦リセットしなければならないとは思うんですけどね。
藤原
うん。
__
大阪の方は、お客さんへのサービス意識がとても強いんですよね。
藤原
そういう気質があるんじゃないかな。受けてナンボみたいな。対して、京都の人は何かそこにもう一つ織り込むような、受けるにしても5秒、10秒後に面白さが分かるような感じを好むとか、そういう意識はあるよね。
__
ひねくれてる。それから、地理的に色々な劇団が隣接しているから、同時代的なサロンが狭い地域に局所化しているのが大きな違いかなとは思いますが。
藤原
うん。
__
そういう中で、ねじりをいれたい、という人が多くなるというのは面白い事だと思います。
金田明子氏
演劇・お笑いを中心とした編集、取材・執筆、公演企画、宣伝コーディネートなどで活動中。

タグ: 演劇人同士の繋がり 京都と大阪・大阪と京都


パラパラ漫画

__
今日はお話を聞かせていただいたお礼に、プレゼントがございます。どうぞ(渡す)。
藤原
何?おいしいもの?
__
いや、食べれはしないと思うんですが。
藤原
(開ける)メモ?
__
いや、ちょっとめくっていただいて。
藤原
ここまできても何だかわかんないぞ。(めくる)あ、へえ。
__
パラパラマンガですね。
藤原
あ、おもしれえ。すげえ。え、ちょっと待って。途中で・・・これは面白いわ。パラパラマンガね。いいね。やみいちではやったことないな。
__
この、なんともいえない軽さがいいですよね。
藤原
パラパラマンガを作ろう。


両立

__
今後、作品的にはどのような構想があるのでしょうか。
吾郷
まあ、言えばストレートプレイというか。まあ、そんなに変な事はやってなかったんですね。割とそのまま、みたいな。そこに、何層かのレイヤーを積み上げていく、というのが今考えていることで。ベースの上に、例えば身体的な表現が一枚加えられないだろうか、とか。
__
というのは。
吾郷
例えば、現代芸術家達の作品って実は娯楽性が高いなと感じていて。アートだけどもスノッブな感じもしなくてね。芸術性と娯楽性がいい形で両立していると思うんですよ。
__
これはポップなモノだと言われて鑑賞しても、クラシックな説得力を感じますよね。
吾郷
そうそう。伝統的な技法の上に成り立ってたりとか。そういうイメージを演劇の中にもレイヤーとして載せられないかなと。こないだは絵画を舞台奥にばんと置きましたが。
__
あれこそ、後ろに絵があって前にお芝居があって。レイヤーですよね。
吾郷
あれもね、舞踏をちょっと取り入れたんですよ。ああいう方法を、もう少し精度良く、組上げていって作品に奥行きを与えられないだろうかと。
__
また、各レイヤーを一枚ずつ剥がしていって楽しんだり、考えていったりと。
吾郷
うん。そういう、アート性をきっちりと両立出来ればなと。それが望みです。

ソーサー

__
実はプレゼントがございまして。どうぞ。
吾郷
すみません、恐縮です。開けてしまってもいいんですか?
__
あ、どうぞ。
吾郷
(開ける)おお。これは。
__
これは、コップとかを載せるソーサーですね。
吾郷
ああー。下の。あ、そうですか。ああー。
__
どうぞ。
吾郷
こんなオシャレなものを。


ロック

__
今日はですね、WANDERING PARTYの事を伺って行きたいと思いまして。まずは作品の事なのですが、どういう背景がワンパの作品にあるのかなと。2年ぐらい前から、いわゆる時代物をされていたように思いますが。
吾郷
何でかな。僕ね、ああいうのは学生の時に一回やった事あるんですよ。演劇を始める時に当たって刷り込みがあって。それは、MOPのマキノノゾミさんがお書きになられた「ピスケン」っていう作品を高校生の時に演出したのが初めてで。それが、大正時代のいわゆるピカレスクロマンで、主役が中途半端な強盗さんなわけですよ。
__
ええ。
吾郷
その、要するにダメな人なんですよ。その人を中心に、青猫というカフェの中での人間模様で。いつかそういうのを自分でも作りたいと思っていたんですね。それが元々のモチベーションになっていたと思います。
__
なるほど。
吾郷
あとは、歴史とか好きなんですよ。近代に入ってから、外国の文化が入ってくるでしょ。その混ざり合った感じが、魅力を感じて。
__
劇研での公演を拝見しました。
吾郷
「21世紀旗手」?
__
はい。非常に面白かったです。玉音放送から始まったから時代物かと思いきや、Apple社製品=Powerbookとかが出てくるし。その混ざり合った感じが良く出ていたなと思います。
吾郷
そうそう(笑う)。あれはね、自分としてはちょっとした転機となった作品で。それまでは石川啄木とか大杉栄とかを取り上げても、その時代の枠組みでやっていたので。突飛な事をやろうとはそんなに思っていなかったんだけども。だけど、それが段々窮屈になってきて。何かその、伸び代が無い気がしたし、単純に面白くないなと思っていたし。で、今この録音に使っているiPodのようなものを放り込めないかと思って。
__
それでiPodや、iBookを。
吾郷
時代物は、お話の筋も最後とか虐殺されたり、人物の目的も革命とかですしね。そういうの好きだったんですけど、大変じゃない。我々の経験の中にはないものだし。話をもっと身近な所に落とし込みたいなと。だから、とりあえず太宰治がiPodを買いにいくという話にしようと。
__
いや、設定からもうロックンロールですね。
WANDERING PARTY
2001年8月、結成。京都、大阪を中心に活動。「芸術と娯楽」は同義であることを追求すべく、現代美術、身体表現を換骨奪胎し、笑いと涙を誘う演劇づくりにいそしむ。(公式サイトより)
WANDERING PARTY11th.20世紀旗手
京都公演:アトリエ劇研協力公演。日時:2006年1月27~29日。会場:アトリエ劇研。東京公演:タイニイアリス演劇祭参加公演。2006年2月17~19日。会場:タイニイアリス。

舞踏

__
その、次はダンス公演だと聞いて。ちょっと意外な気がしていたんですが。
吾郷
実はね。うちの劇団員の結構な人数が日本舞踊やってるんですよ実は。
__
ええー!?
吾郷
意外でしょ(笑う)。舞台上でそういう教養のあるところを全く見せていない所とか。男はね、全員やってますよ。
__
へえー。
吾郷
僕もやっていたんですが、途中から休みがちになって。行けなくなって。
__
意外ですね。
吾郷
今度、先斗町の歌舞練場で発表会やるんですよ。
__
それが3月の。
吾郷
いや、それは舞踏なんです。そこで、丁度1年前くらいに、精華小劇場が出演されたアトリエ劇研の公演ビデオも一緒に見せてもらったんですよ。それで興味を惹かれて、川村悟さんに紹介して頂いたんですよ。ダンサーの方のちょっとした動きとか、些細な仕草とか、そういうのがいいなと思って。その時はダンスをやろうとは思ってなかったんですが。
__
なるほど。
吾郷
うちの役者はこういうのは出来ない。こういうふうにはいてられない。そういう感じを受けたんですね。
__
その、そういう感じというのは、細やかさとか。ダンサーが指を動かすだけなのに感じる、あの動きのことですかね。
吾郷
そうそう、何か、体全体に行き渡ってる感じがあるよね。
__
分かります。
吾郷
僕らはもっと、雑におると。
__
蛍光灯の前で手を振ると残像が残りますが、ああいった、ぎこちない。
吾郷
そうそう、南斗水鳥拳が始まるみたいな(笑う)。そういう動きの、切欠だけでも得られないかと。それで、うちの劇団でワークショップをやってもらえないかと、紹介していただいたんですよ。稽古場で何度か来ていただいて。それこそ歩くトレーニングとか。そのうち、向こうから一緒にやりませんか、というお話を頂いて。という事なんですね。こういう経験を、僕らなりに咀嚼して、自分達のものにしていきたいなと。
香月人美&WANDERING PARTY舞踏公演『聴かせてよ、愛のことばを』
公演期間:2007年3月20~21日。会場:アトリエ劇研。
精華小劇場
大阪市難波。元・精華小学校をリノベーションした劇場施設。
川村悟
詩人・演出家。ポエトリー・リーディング、舞踏の演出・構成・振付など、多方面の作家活動を展開。
香月人美
舞踏家。1997年、詩人河村悟の演出作品『オフィーリアの遺言』に主演。孤立した記憶に呼びかける、詩のカオスを抱えたダンスパフォーマーとして注目を浴びる。

タグ: カオス・混沌 日本舞踊 ユニークな作品あります 意外にも・・・


__
今後、ワンパはどんな道筋をされていくのでしょうか。それとも、ワンダリングする、みたいな。
吾郷
名は体を現す、みたいな。ワンダリングはしてますよ、ずっと。何でもそうなんですけど、自分達の生きる場所を探すのは難しいじゃないですか。演劇に限らず、本質的な場所を見つけるのは、とても。どうなんだろうな・・・。こないだの12月で30になったんですよ。いよいよいい年で。
__
ああ、はい。
吾郷
高橋君はいくつ。
__
25です。
吾郷
25。僕ね、25の時に会社を辞めてワンパを始めたんですよ。・・・何だっけ。道筋ね。いや、本当にね。毎日考えてます。例えば、いい芝居をやって良い評価を得たいというのが当然思っている所なんですね。これは皆思っていることだと思うんですが。僕はどうにかして生業にしていきたいなと思っていて。最近は、そういう意味ではラジオの台本を書かせてもらったりとか、芸術大学の演劇のクラスにお手伝いで呼んでもらったりとか、ちょっとはそういう技術が金銭に変わっていく事が、ないではないんだけれども。集団をプロ化するのはまたレベルが違うじゃないですか。
__
ええ。
吾郷
劇団員が9人いるんですよ。彼らをどうにかするには、もう気が遠くなるんですよ。まあ、あとは作品をどうやって良くするか、しかないですね。

笑い

__
宜しくお願いします。最近どうですか。
F J
最近ですか(笑う)!?何方面で、ですか。
__
バイオリズム的な面で。
F J
いや、まあ・・・。公演終ったところなんで。
__
そうですか。
F J
基本的には一緒ですね。朝起きて。京都行って、夜京都から大阪へ帰る。そんな感じですね(少し笑う)。
__
フルベースでしたね。
F J
はい。
__
ご自身の手ごたえは。
F J
手ごたえですか、まあとりあえず、無事終る事が出来てホッとしました。途中、挫けそうになりましたが。
__
挫けそうになったんですか。
F J
ええ、一日で休憩が一時間ない日があって。
__
そりゃひどいですね。
F J
6時間ぐらい舞台に立ってましたね。
__
相変わらず無茶されますね。
F J
喉がずっと調子悪くて。漢方薬を3種類ぐらい飲んでて。薬まみれでしたね。
__
ところでフルベースのPPPなんですが、やはりファックさんご自身で演出されたものなんですよね。
F J
あれはですね、半分くらい実話だったんですけど。ポロシャツ着てダサいとか言われたりとか。どうでした。
__
あの、やっぱりこう。現場にいないと作れない笑いだなと。最初、スポットライトがあてられて恥ずかしがるファックさんが登場しますよね。
F J
あ、はい。
__
それが2回続いて、照明が消えた暗い中でしばらく歩き回るじゃないですか。その時に観客から笑いが起きたんですよ。
F J
ああ、起きましたね。
__
その瞬間の、非常に上手い笑いを感じましたね。
F J
何でウケたのか分からないんですけどね。
__
分からないんですか!?ええ!?
F J
あれ、何でなんですか?
__
意図が無く!?
F J
はい。あれ、何でなんですか?
__
ええ!・・・いや、あれは、私が感じた所なんですが、まあ頼まれもしないのに、光が当たって半裸のファックさんが出てくる訳じゃないですか。
F J
うん。
__
で、次は客席に近い所で同じ事をすると。ここで観客は何がなんだか全く分からないんですが、とにかく引いていると。
F J
(笑う)
__
何なんだろう、これという気持ちを無視してまた暗転すると。しばらく、闇の中を歩き回る気配がする。今度は長い。その時、観客は「ああ、これ嫌がらせなんだ」、という意図に気付いて笑うというですね。
F J
あー。なるほどなるほど。
__
「次は私の所に来るの」みたいな。意図してなかったんですか・・・。
F J
いや、全く無かったという訳じゃないんですが。
__
凄く詰められた笑いだったので、びっくりしました。
劇団衛星
京都の劇団。代表・演出は蓮行氏。既存のホールのみならず、寺社仏閣・教会・廃工場等「劇場ではない場所」で公演を数多く実施している。
劇団衛星新春興業フルベース
公演時期:2007年1月27日~2月4日。会場:東山青少年活動センター。
PPP(ポスト・パフォーマンス・トーク)
フルベース本公演後に、FJ氏によるコントを上演。

シュート

__
ファックさんはこれから、どこへ向かおうとしているんですか?
F J
どこへ向かおうとしている。まあ、あれです。あのね、例え話でいいですか。
__
ええ。
F J
ガチンコの強いプロレスラーみたいにになりたいですね。
__
なるほど。
F J
伝わりますかね。
__
この、このマークってなんでしたっけ(人差し指を立てるサイン)。
F J
シュートですね。
__
プロレスで言う、ヤラセなしという。
F J
何かね、腹が出ているレスラーっているじゃないですか。試合中、笑いが起きてしまうような。でもガチンコをやらせたら強かった、みたいな演劇人になりたいなと。
__
なるほど。
F J
まあ単純に言うと。ヘタクソじゃなくなりたいなと。
__
ファックさんはもう既に、ヘタクソじゃないと思うんですが・・・。
F J
いやヘタですよ、ビックリしますよ。
__
(少し笑う)
F J
まあ何でもやれるようになりたいですね。あんまり、こんなお芝居がやりたいというようなのが無いので。
__
そうなんですか。
F J
まあ、あるんですよ、でもそれだけやりたいと言うわけでもないので。まあ、他所行った時に恥を掻くこともあるので。やらせて見たら、アイツ上手いやんって言われるのが夢ですね。

じゃれみさ

__
2006年度ももう終りますが・・・。夏も、ダンス公演とかされてましたよね。「I was born」。
F J
ああ、やりましたね。有難い話でしたね。
__
はい。
F J
死ぬかと思いました。
__
どんな意味で。
F J
まあ単純に体力で。小屋入りして最初に、通しをやったんですよ。夜に。
__
はい。
F J
終ったあと、本当に過去最高の消耗具合で。過呼吸みたいに息が切れていて。本番が全部終ったあと、劇研の楽屋出たとこの洗濯機のへりを掴んで崩れ落ちてましたからね。
__
マジですか。
F J
体力的に、色々。あと、怖かったです。ダンス公演に出るという緊張。初日の一番アガっている時に、楽屋でドキドキしながら待っていて、客席から声が聞こえてくるんですよ。
__
うわあ。
F J
「寺田さんというのは期待しているんだけど、コイツは・・・」という声が聞こえてきて(笑う)。
__
あー。
F J
今にも折れそうな僕の心を、ぽっきりと。
__
幻聴でしょう。
F J
幻聴ですかね。
__
あとは、ザ・ありがとうとかやりましたね。
F J
やった。楽しかったです。
__
どうでした。
F J
いやあ。あのね、大木湖南さんとやったんですが、やはりあの人は面白いなと。好きなんですよ。
__
ええ。
F J
ゴールデンウィーク中にがっちりと稽古もして。本番も楽しかったです。
__
いいですね。
F J
ただ、当初、ちっちゃい芝居が6つくらいあったんですけど、最初は仲の悪い設定で行こうと思ってて、喧嘩するシーンもあったんですよ。すると段々、稽古場の空気も悪くなっていって。ホントに仲悪くなってしまったんですよ(笑う)。
__
まずいじゃないですか。
F J
やばいどうしようとなって。仲の良い設定にしたら、現場の空気も軽くなって。で、稽古もうまく回り始めたんですよ。
__
なるほど。
F J
緊張した。そうですね、2006年ってそんなのもやってましたね。
I was born
砂連尾理+寺田みさこデュオ公演にダンサーとして出演。公演時期:2006年6月。会場:アトリエ劇研。
大木氏と劇団衛星の俳優・ファックジャパンのユニット。公演時期:2006年5月15日。会場:cafe weekenders。
大木湖南さん
ニットキャップシアター所属。俳優。

皮製の物入れ

__
じゃあ、そろそろまとめに入りたいと思います。
F J
え、大丈夫ですか?意味の無い事しか喋ってないような。
__
まあ。
F J
あ、(僕に)内容なんか求めてないんですか・・・。
__
いや、求めてますよ。
F J
ホントですか(笑う)。
__
ええ・・・。一応、プレゼントの方を。
F J
あ、ありがとうございます。Shin-bi・・・。
__
気に入るかどうか、分かりませんが。
F J
何やろう(開ける)。おお。え、何これ。
__
どうぞ。
F J
(皮製のポシェット。首に掛け、携帯電話を入れようとする)
__
入れ。
F J
(入らない)(笑う)
__
うわあ。残念です。
F J
もうちょい頑張ってみます?
__
ヒモを避ければ行けそうな気がするんですが。
F J
・・・。
__
あ、無理ですね。
F J
あ、いけそう・・・。
__
あ、やばいです、裂けます。他の物を入れるしかないですね。
F J
何入れよう。ありがとうございます。
携帯電話が入らない
この後、iPodshuffleが入る事になった。

フルベース

__
植村さんは、最近どうですか。「フルベース」が終ったばかりですが。
植村
三月の「珠光の庵」の準備がいよいよ本格的に始まったところですね。
__
静岡ですね。
植村
三月頭に静岡と、末に京都。
__
「珠光の庵」、もう足掛け四年くらいですね。
植村
2004年7月が最初だったので、三年くらい。でも公演は去年の五月からやってないので、久しぶり。
__
役者も変わり。
植村
そう、今回から二人新しい人に代わるので。またちょっと、新しい感じになるのではないかと思います。
__
もう、前のキャストでの珠光は見られないのでしょうか。
植村
いや、今のキャストにしたって今後同じメンバーが揃うかどうか分からないし。あちこちで上演していきたい作品だと思っているので、まあスケジュールだったり、インスピレーションだったりが合えばという感じで決まっていくと思います。今回の「フルベース」で、一つの役を複数でやる面白さみたいなのを実感できたので、それを今回の「珠光の庵」でもやることになった、というのかな。意図した訳じゃないんだけども。個人的には、そういう面白さを味わいたいな、と思います。
__
そういった、作品ごとの変遷を稽古場で察知して、公演という、まあ、皿に載せるというのが植村さんの役割だと。そういう理解で大丈夫でしょうか。
植村
んー、でもそれはどっちかっていうと演出じゃない?作品をどう変えていくか、とか。でも、「珠光の庵」に限らず、衛星の作品全般に言えると思うんだけども、受付からの演出とか、情報宣伝の段階からの物語の提示の仕方だったりとか、そういうのを含めて蓮行の作品だったりするから。ここから制作、ここから演出というふうには分けてないかな。
劇団衛星
京都の劇団。代表・演出は蓮行氏。既存のホールのみならず、寺社仏閣・教会・廃工場等「劇場ではない場所」で公演を数多く実施している。
劇団衛星新春興業フルベース
公演時期:2007年1月27日~2月4日。会場:東山青少年活動センター。
劇団衛星「珠光の庵」
劇団衛星作品。演劇と茶道を限りなく等しく融合させた「お茶会演劇」(公式サイトより)。初演:2004年7月1日~6日。その後、全国47都道府県での公演を目指し巡業企画中。2009年11月現在まで、14都道府県25ヶ所での上演を行う。

タグ: ユニークな作品あります


ブーム

__
確かに、小劇場ブームは落ち着いているなと思っておりまして。先日お話を伺った藤原さんによると、京都に関してだけなら特に盛り上がりを必要としていないのではないか、というような事を仰っていたんですよ。
植村
うん。
__
ワークショップの全盛ですとか。ポスト・パフォーマンス・トークですとか。そういうのがあって当たり前の。その中で、非常に過激な事をする人が少なくなっているのではないかと。
植村
過激、っていうと・・・?
__
受け止められないんじゃないか、みたいな・・・。どうですかね、小劇場の盛り上がりとかについて。
植村
うーんとね。昨日、精華小劇場に芝居を観に行って。そのアフタートークで聞いたんだけど。最近の関西の芝居は頑張ってきてる、と言ってて。20代後半から30代の劇団とかが。私が言うと語弊があるかもだけど。
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はい。
植村
別に、盛り上がってる訳でもないけど、盛り下がってるわけでもない、かな。価値観が一つじゃないから、それぞれが色んな形で演劇をしてる。一つの大きなブームとしては捉えられないという状況なんじゃないかな。
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多様性というか。
植村
うん。
藤原康弘
やみいち行動総務理事、小さなもうひとつの場所演出。
精華小劇場
大阪市難波。元・精華小学校をリノベーションした劇場施設。

難解

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劇団と、劇団の公演活動をプロデュースする立場に就かれている訳ですが。衛星の、コンセプトが非常に強い公演についてはいかがですか。例えば、衛星のここ3~4年の公演は、世界観をまず作って観客を取り込んでいく、という理解なんですが。
植村
一方的に何かこう、提示したものを消費してもらうだけじゃなくて、一緒に楽しんでもらおうと思ってます。その意味で、私は、衛星だけに限った事ではなく、パッと見て分からない、難しい作品ってのは結構好きで。
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はい。
植村
言ってみれば、文学とかの古典でも、昔の和歌を分かってなければ本歌取りの面白さが分からないみたいな。賢い人にはより楽しめる作品ってのは私は凄くいいと思っていて。見る立場の人も勉強しなくちゃいけなかったりだとか。積極的に理解しなけりゃいけなかったりだとか。
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ええ。
植村
もちろんそうしなくてもそれなりには楽しめるんだけど、こっちから踏み込んでいくとさらに楽しめるというか。そういう作品は私は好きで。衛星に入る前からね。だから、味わおうと思えばより味わえる、そういう手法もあるかな、と思います。
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なるほど。衛星の芝居は、そういう面ではいかがですか。
植村
いや、ホントはね。お客さんには衛星作品の本当の面白さは伝わっていないんじゃないかと思うの。私は、作ってる過程で、何を入れようとしてたのかとか、何を削ったかとか、その隠れた部分も全部分かっているから、お客さんよりも楽しんでいると思うのね。それが伝わらないと、ああ勿体無いなあと思うし。
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ええ。
植村
だから、本当、よく見るといっぱい何かがこめられている作品もあるのね。深く考えると、より楽しめる作品を作っていると思います。

タグ: コンセプチュアルな作品 難しい演劇作品はいかが 単純に、楽しませたい


距離

植村
作品と言うより、公演の打ち方としては、お客さんの方にこちらの方から近づいていこうというのがあって。物理的にね。
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物理的に。
植村
地元だけじゃなくて、色んな土地にこちらから行くっていうのもそうだし。劇場という場所だけじゃなく、普段皆が使っている場所、たまたま通勤で近くを歩いていたら、演劇に触れる契機があったりだとか。そういう、日常生活の中に演劇作品を持ち込むというのが一つの大きなコンセプトとしてある。最初はそんなふうに言語化して持ってたわけじゃないけど、後から考えると、あ結構最初からそういう方向でやってたなと。
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ビルの地下だとか野外とかでね。けして後付ではなく。
植村
衛星始めた当初から、あの頃から、考えてたかなと。