ハンカチ

__
今日はありがとうございました。お話を伺わせて頂いたお礼に、プレゼントがあります。
肥田
ああ。
__
(渡す)どうぞ。
肥田
ありがとうございます。BEAMS・・・(開ける)。お、ハンカチですか。
__
ええ。
肥田
へえー。あ、ハンカチは便利ですね。こりゃいいや。
__
はい。オシャレな方だと思っておりましたので。
肥田
ハンカチは持たないんですよ普段は。もう、ジーンズで手を拭いたりして。
__
ああ。
肥田
これからはこれを持ち歩きます。
__
ありがとうございます。



根本
まちょっと、最近時間があって。長い意味でどうしていこうかなあみたいなのを考えていたというか。
__
うん。
根本
去年の公演「猿とおどる」を中止にしてしまって。
__
うん。
根本
体と心が付いていかなくなって頓挫してしまったから、もう一度自分の生活を見直していかないと思って。
__
うん。
根本
色々な事を自分の中でもちょっと整理しないとと思っていたから。今日はそういう話になるのかな。
__
そうですね、「猿とおどる」については聞きたいと思っていました。その、具体的に問題もあったと思うんですが、作品の作り手として不十分な点を自覚したって事なのかなと。
根本
そうだね。まずはもう本当に、技術的な部分。あとは時間の少ない中でやってしまったからそれを乗り切る体力の部分が無くなってしまったというのと。でも振り返ってみると、技術的には相当、高度なというか高望みをしようとしていた部分があって。単純に今後回復して「猿とおどる」リベンジをしようとしてもちょっとすぐには出来ないんじゃないかなと今は思っているんだよ。あの時にやりたいと思ってたのは、去年の「茶色い絵本」をやった時から、何となくベビー・ピー的なものというか、自分の作りたい芝居の大きな形みたいな物が見えてきた気がして。
__
うん。
根本
大体、いくつかのストーリーの軸があって、それらの絡み合いを見せていくというような。「猿とおどる」ではそれを、3人という最小限の人数でやりたいなと。MEW'S CAFEというお店でやる予定で、なるべくお店の形を崩さずに、あまり仕込まずにやる予定でした。
__
そういうのでかなり難しいと思うのは、やはり照明とか、セットとかを作ったりすると入りづらさが生まれてしまうと思うんだけど、そういうのを外してやりたかったと。
根本
そうそう。
__
さりげない。
根本
うん。・・・さりげないってのは絶対ないんだけどね(笑う)。色んな形でやらないといけないなと思っている。普通の劇場の形式でもやっていきたいなと思うんだけど。でもそうじゃなくて、例えば知恩寺とかの手づくり市とか。あそこは京大の能学部の人達が勝手に踊ってたりしてて、それを観てる人もいればその横で古本を探してたり品物をみてたりしてる人もいて、ああいうざっくばらんな状況が凄く好きで、喫茶店は、劇場と手作り市の丁度中間ぐらいかなと思ってて。
__
中間。
根本
音楽をやっている人がストリートライブをやってたりするけど、そういう形式への足がかりになったらと思っていた、というのが一つ。
__
うん。
根本
あとは、話の構造。基本的に手法・人物造形的にも軸が2本から3本あり、それが一つに集約していく、というような。
__
こないだの「みんなボブ」は。
根本
あれは一人20役ぐらい(笑う)。
__
うん。あれも軸が大体同じような世界の中で、5本位の話が並列的に語られていくわけだけれども。
根本
あれは役者5人で、二人がハケて、次に別の二人が出てきたら別のシーンになるけど、「猿と踊る」の3人という人数はそうもいかない。でも、落語とか漫才とかって、最初の枕で観客と対話して、だんだん劇世界に入っていくじゃん。それってやっぱり多重構造といえば多重構造で、そういう様式だからかも知れないけど、分かり易いし、違和感なく見れる。照明を焚いたり、走ったりするマイムなどの大仰な事をしなくても、あれだけ一人で分かり易く出来るのに。
__
うん。
根本
大人数でそうしたらより分かり易くなるのに、何故そうできないかというと、基本を踏まえずにいきなりハイレベルな所に行こうとしているからじゃないかと。そういう、古典芸能と、今まで自分が芝居でやってきた、ストーリーの重層性みたいなのを寄せていこうかと思っていた。
__
思っていた。
根本
しかし。結構、難しかったんかな。「茶色い絵本」時みたいにあまり話をまとめずにいければと思ったんだけど、その力も演劇人としての体力も足りなくて、ちょっとふがいないなと思ったんだけど、ここで無理をしても空回りするだけだなと思って。今回は公演を中止にするという判断をしました。
__
うん。
根本
自分の作りたい芝居の形も見えてきているし、これからも芝居を続けていきたいと思っているから、焦らんと気持ちを切り替えて、別のところからアプローチしていこうかなと思ってます。
ベビー・ピー
根本コースケ氏などによる演劇ユニット。ナンセンスコメディ、熱いジョジョ劇、お祭り芝居など、想像力を強く掻き立てられる作品群。
ベビー・ピー「猿とおどる」
公演中止となった。予定されていた公演時期:2006年12月28~29日。予定会場:Mew's Cafe。
ベビー・ピーのコント#1「茶色い絵本」
公演時期:2005年12月。会場:京都大学文学部学生控室。
ベビー・ピー#6「みんなボブ」
公演時期:2006年8月18日・20日。京都会場:shin-bi、大阪会場:BlackChamber(文化祭 =Culture Carnival= 参加作品)。

タグ: 手作りのあたたかみ 分かりやすい面白さと芸術的な面白さの中間 いつかリベンジしたい


__
何か、最近面白いなと思っているような事とかない?
根本
面白いなと思っている事か。
__
うん。
根本
何だろうね。夜勤明けで知恩寺の手作り市に行って。それから古本屋に行ってぶらぶらしてたんだけど。
__
うん。
根本
次の日も夜勤で、また同じように古本屋に買い逃した本を見に行こうと思って行ったら、がらんと何も無い知恩寺の風景があって。
__
うん。
根本
知恩寺の市の風景を見て、ああ自分の芝居もこういうのがいいなと思ってたんだけど。ごちゃごちゃで、それぞれがそれぞれで頑張ってるんだけど、でも次の日にキレイサッパリ無くなってて。これもいいなと思っていて。そうありたいなと。
__
分かるわ。

タグ: 手作りのあたたかみ


場所

__
今後も一応は、ベビー・ピーの代表として。
根本
うん、今年はね。やりたくなると思うんだけど、まず最初に人集めて会場押さえてチラシ作って、って自分を逃げられない場所に置いてから創作をやってたんだけど。それで体を壊したというのもあるし。ホントに今年は公演をやらないくらいの勢いで休もうと思ってます。
__
うん。
根本
何だかんだ言ってストーリーを作るのは、最終的には自分だから。書くという作業に向き合っていかないといけないなあと思っているから。そこを消化する年にしたいなと。
__
独力で作品を作り上げる。
根本
やがての公演の為に書いておくという意味でもあるんだけどね。ベビー・ピーはやっていきたいと思ってるし。・・・演劇人としては、ベビー・ピーっていう場は大事だと思っていて。京都演劇界とは違う場所で好きにやってるというのもあるし。
__
うん。
根本
もっと、本当はこういう層の演劇ってあった方がいいと。色んな人を混ぜ込む場所としてベビー・ピーを機能させていきたいと思ってます。みんなちょっと、正解を求めてやりすぎだと思うんだよ。

磁場

__
正解か。そういう、正解というのは、製作者がそれぞれ、自分で形を決めるものだと思うんだけど。
根本
何かね、ちゃんとしようという気持ちとか、フリンジとか舞台芸術とかを他の芸術にもひけを取らないちゃんとしたものにせなあかんとか、そういう流れがあって、そういう活動はいいと思うんだけど。
__
うん。
根本
でも演劇なんて、はっちゃけたいからやるんであって。あんまり、いきなりちゃんとしようとしすぎてもいけないんじゃないかなと言う気持ちがあって。成功も失敗も包み込んだ場所としてベビー・ピーがあって、そこに磁場が発生するのが目指す所。正しい道筋から振り落とされてきたものがある場所としてあって、かつ物凄い作品も作れればと思っていて。
__
うん。
根本
だから、まあ今は焦らんといこうと思っていて。
__
冷却期間、熟成期間か。重要だと思います。
根本
そういってくれるとありがたいです。

手法

根本
まあ、ちゃんと勉強をしないといけないなと思っています。何か、自分のオリジナルっていうのは、自分の中にあるものがオリジナルというよりは、それを扱う手さばきというか、手つきみたいなのがオリジナルなんじゃないかと思っていて。
__
うん。
根本
その為には、この世界が良いと言ってきたものを取り入れていかなければなと。古典とか。
__
最近読んでるみたいだね。
根本
自分のオリジナルがそういうものを扱う手さばきにあるんだとしたら、入れれば入れるだけ、良い方向に回っていくだろうなと言う。
__
うんうん。
根本
そういうものに流されてしまわずに受け止める土壌みたいなものはこれまでの活動で出来てきていると思っているので、ここらで大事に入れて行きたいなと。
__
そういう手法が、自分の強みだと言っていたと。
根本
単純に、手法っていうのも違うかもしれないけれど。手法自体も借り物でもいいと思う。素材も。
__
手さばき。
根本
手法を持ってくる手法。
__
それぞれの世界について、根本君は一定期間考える。一つずつでも複数まとめてでもいいから、考察したり自分の意識に取り入れていくと。その、取り入れるプロセスにご自身の力があると。
根本
そう。どんなにニュートラルに理解したつもりでも、自分の口から喋ればそれは僕自身が言ってる事になってると思うんだよ。
__
ああ。
根本
前はそういう、借り物の言葉に警戒してた事もあるんだけど、でもあいだに自分のキャラクターがちゃんと媒介されるならそれはそれで大丈夫かなあと。
__
うん。
根本
ダンスとかしてても自分だけずれているような状態を、大事にしたいなと。うん。

タグ: 外の世界と繋がる 作家の手つき


根本
あと、カフカの「城」という小説があって。
__
うん。
根本
ある測量技師が、ある城の領地の測量をしにやってくるんだけど、土地の人に「お前なんか知らん」と言われて、「城に行って手続きをしてこい」と言われて城に向かうんだけど、いつまで経っても城に辿りつかなくて、町の人達と不毛なやりとりをし続けるという話で。
__
うん。
根本
それだけの話なんだけど。
__
不毛だな。
根本
でも、自分にとっての物語というのは根本的にその城みたいなもんなんじゃないかと思っていて。それ自体を直接出してくることは出来ない。でもその、目的地にたどり着けずに土地の人と延々やりとりをしているだけで圧倒的に城が浮かび上がってくる。物語も、それをそのまま表現する事は出来なくって、そこに入ろうとしているんだけど入れない人を透かして物語りは浮き出てくるんではないかと思っていて。「月を食べる」の時は、月がそれの役割だった。一時期、月自体を書こうとしていたんだけども失敗していて、でもその、お釈迦様(月)の手の上で滅茶苦茶に動き回る人を書く事で手のひらなり月なりが浮かび上がってくるという事に気付いて。
__
浮かび上がる。
根本
だから、余計なものやノイズを歓迎する方向で作っていった方が、真ん中のものを浮かび上げる事が出来るんじゃないかと。
__
うん。
根本
そういう発想と、自分の手さばきっていうのかな、そういうのを生かしていきたいなと。
ベビー・ピー#5「月を食べる」
公演時期:2006年2日~4日。会場:京都大学西部講堂。

タグ: フランツ・カフカ


広告雑誌

__
(渡す)全然関係ないんだけどね、これ。この無関係性というのはどうかなと思って。
根本
ありがとう(開ける)。おお。
__
ほとんど根本くんには不要なものかもしれない。
根本
いや、こういう知識の入れ方もしないといけないなと思っていて。
__
へえ。
根本
凄いな。高橋君はこういうので勉強するの。
__
全然。ちょっと渋めの雑誌だからいいかなと。
根本
いや、本当に、何でも入れて行かないとと思っていて。こういうの自分では買わないからなあ。立ち読みしても見出ししか読まなかったり。いい機会にします。


配置換え

__
今日は、宜しくお願い致します。実は私、金田さんの現在についてあまり存じておらず・・・。ネットで検索しても審査員のお仕事ですとか、デス電所のお仕事ですとかの断片だけで。
金田
あんまり出ないでしょ。
__
そこで、非常に申し訳ないのですが、金田さんのお仕事をちょっとだけお教え頂けないでしょうか。
金田
基本、私の仕事は裏方なんですね。あんまり表に出る事がないんですね。どこから話せばいいんですか?私がここに至った経緯とか。
__
はい、宜しくお願い致します。
金田
きっかけは、某プレイガイドに入社した所から。そこでアルバイトしておりまして。配置替えがありまして。劇団さんですとかの比較的小口のお客様のチケット販売申込の窓口みたいな担当だったんですね。でそこから、なんだろう。もうちょっとこう、大きな劇場さんですとか、定期的にチケットを申し込まれる方々の担当になって。それが比較的演劇が多かったんです。いわゆる営業ですね。
__
はい。
金田
会社としては、なるべくこちらに沢山チケットを置いて欲しいと。うちに、これだけ沢山良い席のチケットを置いて欲しいと。そういう係りをしてたんですね。その内、たまたま同じ会社で情報誌の演劇ジャンルの編集をやってた人が退社される事になったので、畑違いではあったけれどもやってみないかと言われて、そこで編集担当になりました。
__
そうだったんですね。最初はアルバイトから、どんどん編集の方へ。
金田
編集は未経験だったんですが。あとは、私は仕事として演劇が仕事として面白かったので。自分は演劇は全くしてこなかったんですけど、ホントにたまたまで。あとは、前任の方が私を推薦して下さったのもありまして。
__
金田さんは、それまで小劇場はあまりご覧になっていなかったんでしょうか。
金田
会社に入るまでは、全然見たことがなくって。私は短大を出たんですけど、学生時代には浄瑠璃ですとか近世文学の勉強していて。そういうものは観ていました。あと大学の先生が蜷川幸雄さんのお友達だったので、その流れで蜷川さんのお芝居は見てました。が、なかなか小劇場へ踏み出すことはできなくて。
__
ええ。
金田
チケットを手に入れた時にも、熱を出して行けなかったり。私達が学生だった頃には、新感線さんですとかそとばこまちさんですとかが物凄く華やかに活動されていた時代だったんですね。公演をテレビとかで放送してたりとか。そういうのは観てましたが、実際に足を運ぶのは中々・・・。劇場に行くのは、子供の頃から祖母に連れられて行っていたんですが。
デス電所
1998年の近畿大学在学中に、作・演出の竹内佑を中心として結成。(公式HPより)ブラックな笑い、社会風刺を和田俊輔氏の音楽とともに表現する。

vol.34 金田 明子

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金田

業界

__
金田さんは、プロデューサー的な立場に立たれることも多いように見受けられますが。
金田
会社にいるときから色々、イベントをやっていましたね。シアター・ドラマシティさんや松竹さんなどと、ディレクター的な立場で、割と色々やらせてもらって。それから会社を辞めて、この業界から足を洗うつもりでいたんですね。私本当に、あまり役に立っていないんではないかとか、向いていないんじゃないかとか思っていて。一年くらい何もせずにいたんですね。
__
ええ。
金田
でも、その間に色々な人と話をしている内に、今までこの業界の人たちに育ててもらったなあと。会社の方にも育てていただいたというのも当然あるんですけど、この業界は本当に大切に人を育ててくれるところがありますし。
__
なるほど。
金田
私がこの業界に返せるものは何だろう、と思って。で、現在は、精華小劇場などで、そういう企画も少しずつやってはいるんですが、基本的にプロデューサーではないんですよね。ごまのはえ×竹内佑×山口茜「77年企画」は、プロデュースしましたけど。デス電所ではコーディネーターというよく分からないのをしたり、ニットキャップシアターなどの公演もお手伝いしてますが、制作者でもないですし。私は制作の仕事をやっているわけではないので。ですが、編集者でライターである故に、色々な視点からアドバイスが出来るんじゃないかと。
ごまのはえ×竹内佑×山口茜・77年企画「マリコの悪縁教室」
公演期間:2006年6月18日~25日。会場:精華小劇場。

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金田

役割

__
そういったコーディーネーターの役割というのは、劇団の目指す理想へと彼らを導くように適切な助言を与える、という理解で良いでしょうか。
金田
はい。
__
例えば、その劇団が企画しているものを別の色々な側面から見るというのは、具体的に一体どういう事なんでしょうか。
金田
うーん。デス電所の場合は、公演をスタートする段階から関わってますね。横からご意見番として助言する、という形ですね。例えば、「音速漂流歌劇団」
__
拝見しました。非常に面白かったです。
金田
ありがとうございます。本当に一から、タイトルを決める所から関わった初めての公演で。他、劇場との交渉とか、広報活動ですとか。制作さんでは手の回らない所を担当しました。
__
それでも、プロデューサーとはまた違うんですかね。
金田
いえ、デス電所はプロデューサーがいないんですね。彼らは自分達の手で全てやっていきたいと考えている集団なので。制作の方はいるんですけど、プロデューサーがいない為に、ツッコミを入れる余地がまだまだあったんですね。
__
チラシですとか、芝居そのものですとか、劇団のイメージを全て含めて劇団の公演だと思うんですけど、そこに適切な味付けをするといいますか。その面でのサポートをされていた。
金田
いわゆる、何でもやりたい劇団なので。そこをもう少し整理して分かり易いようにお客さんに届くようにしたいというのが私の希望でしたので。そういう面で彼らを助けたいと思って。
__
金田さんがデス電にこだわる理由とは。
金田
会社にいた頃からデス電を面白く思っていて。まだ早すぎると思われた時期に記事に取り上げたりとかしていましたね。私はその時に、彼らに対して大きな責任を持ったのかなと。
__
なるほど。
金田
それはもちろん他の劇団さんでも同じで、今ご活躍中で私が記事にした劇団さんたちは今だに凄く気になりますし。どうしても記事に取り上げた事でいい影響と悪い影響があると思うんですね。それに関して私は載せた側として責任を取らなくてはならないと思っていて。それを一番感じたのがデス電所だと思うんですね。
__
その、面白さですとか、魅力を伝えるというのはとてもドキドキしますよね。
金田
はい、凄く責任を感じます。
デス電所 第14回公演「音速漂流歌劇団」
公演時期:2005年11月12~20日。会場:精華小劇場

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金田

違い

__
京都に来てから、ずっと考えていた事がありまして。それは話をするにつれてずれていったりしてあまり深く追求出来なかった疑問があるんですが。
金田
はい。
__
小劇場に限って、ですが。大阪の小劇場と京都の小劇場の違いについて。
金田
うわあ、難しい。
__
そうなんですよ。ただ、チラシを見れば京都か大阪かどちらかを伏せられててもどちらがどちらなのかが分かるくらい感覚が違うなと思ってまして。
金田
すっごく雑な言い方をすると、文化にしてるか、エンターテインメントにしてるか。当然分かるように京都が文化ですね。
__
あ、それは分かり易い。
金田
比較的、お客さんを強く意識しているのが大阪。
__
それは確かに。
金田
で、作品をキチンと形にしようという意識が強いのが、京都じゃないかなー。いや、当然どちらもそういう側面への意識は強いですよ。でも、傾向としてはそういう風に分かれると思います。
__
確かにそうですね。
金田
作る現場としては京都の方がいいと思いますね。やっぱり、作品を長い時間熟成させて作ろうという意識が全体的にあるので。焦らずに作れる。大阪は、演劇に対して若干消費のにおいがするので、お客さんを意識しないと自分達の公演が成り立たないと感じてしまう事が多いんじゃないかなと思います。
__
なるほど。
金田
と言っても、育てようとしている劇場も多いし、スタッフだったりの環境も良いので、東京と比べたら関西は文化的傾向はまだ強いかなと。東京は消費のスピードが速いので。もし言うとしたらそうかな。・・・本当に語弊は多いのですが。
__
いや、語弊のある言い方しか出来ないのかもしれませんね。
金田
うーん。
__
京都は自転車でどこでもいけるんですね。そういうところから劇場への来やすさがやっぱりどうしてもあるな、と思うんですね。対して大阪は劇場と住宅地の間が離れてしまいがちなケースが多いため、どうしてもお客様に来てもらう意識が強まる、という交通的事情が背景にあると思うのですが。
金田
うん。そうね。今更そんなこと古いわ、と言われるかもしれませんが、やはり京都は教育が発達している土地だと思うし。で、大阪は商売しに行く土地だというのがあるし。今はそんなことはないと思うけど、どうしても風土的なものの影響は出るんじゃないかなと。
__
例えば関西の演劇人が全員失踪して帰ってこなくなったとして20年くらい断絶していたとしても、似たような状況が出てくると思いますね。
金田
うん。やはり大阪にいると京都が羨ましい。京都芸術センターを見ていると思いますね。
__
ああ。
金田
本当に。大阪にはそういう施設を作ろうとする動きは中々生まれないし、例えば芸術創造館は稽古場の貸し出しはしますが制作をサポートするところではないので。どっちにもそういうのがあればいいんですけどね。
__
ところで、砂連尾さんとお話させていただいた時に、これは東京と比べての話なのですが、「これはのんびりとしていられない」と思われるそうですね。
金田
そうね。良し悪しなんですよ。
__
うーん。
金田
良し悪し。けどね、やっぱりやる人たちの問題なんですよ。その人達がどういう立ち位置でやるかどうかですよ。
砂連尾理
京都を中心に活躍するダンスユニット、砂連尾理+寺田みさこ。

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金田

Meshi

__
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントをご用意しました。どうぞ。
金田
ありがとうございます。ええ、なにこれ?「Meshi」
__
今回のプレゼントはですね、久々に、見つけて楽しくなりましたね。
金田
へー。わ、凄い。ビジュアル的に凄く優れた本ですね。贅沢。いつもどうやって選ばれてるんですか?
__
うーん。実は、適当に・・・(笑う)


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金田

方法

__
司辻さんは、京都造形大学で演出を学ばれているのですか?
司辻
うーん。学ぶ環境はいっぱい揃っているんですが、でも、私を含めて演出をしている造形大生はみんな勝手にやってるんですね。やはり演出を学ぶには実践を重ねるのが一番なので。
__
教科書には載ってないこと。
司辻
そうですね。教科書はないですし、やらないと勉強は出来ませんよね。
__
自分の感じた世界を表現するのが演出ですから、他人の方法では自分の世界は表現できないという事でしょうか。
司辻
そうですね。演出を学ぶには演出を受ける方法もあると思うんですけど、話を聞いているだけじゃ何も身に付かないんです。演出だけは自分でやっていかないと。
辻企画
京都造形芸術大学出身、作・演出の司辻有香によって2002年に旗揚げ。(公式サイトより)
京都造形芸術大学
京都市左京区北白川瓜生山にある私立芸術大学。芸術学部に舞台芸術学科が置かれている。

世界について

__
今回の作品「世界」。手ごたえは。
司辻
悪くないと思います。
__
その、あれですよね。第二幕目のインパクトが凄かったです。一幕目の二人があんな感じで歌ってるのが。
司辻
ありがとうございます。
__
何か予感はあったんですよ。最初がアレだったので、舞台転換して全然違う世界になってたら面白いなあと思ってて。
司辻
二幕目の開場時に歌っていたんですが、休憩時間中ずっと歌っている感じが出せればと思っていました。でもやはり、お客さんが全て入ってしまわれたので・・・。
__
ええ。
司辻
これは開場中という雰囲気が出せないと思って。結局歌の間はドアを開けっ放しにして係員の人に立っていてもらう事にしました。
__
なるほど。主人公の女の子、たしか、「まるまるちゃん」・・・?
司辻
はい。
__
お母さんに一回しか言われなかった名前ですよね。
司辻
そうですね。でもあれは戯曲中では○○なんですよ。あの少女に名前は付かない方がいいと思ったので。そのまんまにしました。
__
今回の作品ですが、最初はエゴの応酬だったのにだんだん宗教の世界に入っていくみたいな感じだと思います。癒しの要素を入れたとか。
司辻
そうですね、終幕にはカタルシスが演出出来ればいいなと思って。叫んだと思ったら脱力、とか二部で入れてました。
__
サンドイッチを舞台上に散舞させるのは非常に気持ち良かったです。彩り的にとても効果的でした。
司辻
ありがとうございます。あれは、舞台入るまでにはあまり分からなかったんですが、やってみたら効果的でしたね。
__
あれは良かったです。ハムの色がね。
司辻
はい。ハムが魚肉ソーセージで。匂いが受け付けませんでした。
__
あ、そうなんですか。
司辻
匂い、どうでした?大丈夫でした?
__
はい、大丈夫でした。と思いますよ。
辻企画「世界」
公演時期:2006年12月1日~3日。会場:京都芸術センター。

タグ: 外の世界と繋がる


交換

__
ネタとして面白かったのは「私のアソコはミックスサンド」でしたね。これ絶対ウケ狙いでやってるなと。
司辻
違いますよ(笑う)私は基本、ウケ狙いにはいかないので。が、これは受けるかもしれないなと。
__
覚悟はしていたと。
司辻
あまり、ウケるウケないは気にしないので。あれはいいと思いますけど。
__
ええ・・・。
司辻
(エスプレッソ)しょっぱいですね。
__
しょっぱい?
司辻
濃いですね。
__
ああ、ちょっと焦げてるかもしれませんね。
司辻
私、エスプレッソ一回しか飲んだことがないので。
__
司辻さんは聞くところによると、エゴを表出させた作風だと思うのですが、そういうスタイルはどのようにして生まれていったんですか?
司辻
今まで、「世界」を入れて7作品を書いていて、そのうち6作を上演しているんですが、二作目の「レス」という作品を2003年に書いたんです。
__
ええ。
司辻
その時に、作品を作る時は、たとえそれがフィクションであってもその人の経験や考えや感情が出るもので。私は作・演出をしているからそれを立体化できるんですね。もちろん舞台上でパフォーマンスするのは俳優なんですけど、私は作・演出ですが自分の事を書かないと満足できなくって。それは周りの事を考えずに書く所までいかないと満足しない。一人の人間が生きている事を示す事に意味があると思うんですね。私は自分の創作姿勢としてそうやってきたんですけど、今はそこに、一人の人間の生身を出すことが人間が生きている事に繋がるんじゃないかと見出し初めています。
__
ええ。
司辻
人間に人間が生きている事を伝える事が大事なんじゃないかと思ってます。創作を重ねるごとに、そういうようなかたちになっていっていると思います。
__
司辻さんの芝居をみる事で、観客は司辻さんの生を確かめ、それが逆に観客個人の生を確かめるという事になっている、って感じですかね。
司辻
そうですね、確かめるという表現は私は使ってこなかったんですけど、そちらのほうが分かり易いかもしれませんね。舞台上で感情を出すことが、お客さんに感情の内容を知ってもらうというよりも体験してもらうようにしてもらえたらいいと思います。それが目的です。
__
感情をあまり表に出さず、正確にシーンを成立させる為の演技ではなく、感情を思いっきり放出する。
司辻
そうですね。
__
1時間40分出し続けてましたよね。確かに、ああいう芝居は今まで見た事が無かったですね。
司辻
でもね、あの、一個の感情を出すというのは凄く強い事じゃないですか。ですので一つだしたらずっと出し続けているように見えるんだと思うんですけれども。

今後

__
今後はどのような活動をされる予定でしょうか。パンフレットに、しばらく活動を休止されるとありましたが。
司辻
そうですね。ちょっとお休みします。でも、休むというのは自分から動くのを休むという事で。
__
何かあったら・・・。
司辻
そうですね。2007年は演出を休むのは決定です。来年(2007年)は受身でいようと思ってます。また何かあったら声を掛けてやってください(笑う)。

庭用サンダル

__
今日はですね、お話を聞かせていただいたお礼にプレゼントがあります。
司辻
え!?ありがとうございます。
__
サイズが合うかどうか分かりませんが。
司辻
え、ちょっと嬉しいです。頂きます(受取る)。
__
はい。
司辻
今までどんなものを・・・?
__
いや、無難にカップとかピンバッジとかですかね。
司辻
あ、かわいい。ありがとうございます。
__
庭に出る用のサンダルなんですかね。
司辻
可愛いです。


問題

__
田嶋さんはもう京都に来られて長い訳ですけれども、どうですか、京都の文化的な環境について。私はかなり恵まれているんじゃないかと思うんですけど。
田嶋
うん、凄く、恵まれているって思いますね。首都圏でやっていると、劇団の人同士が自転車で行き来できるってのは滅多にないと思うんですよ。やっぱり、演劇に限って言えば、人が集まらなければ何も進まない所があるので。すぐに集まれるっていうのは東京から来た身からすれば得がたいものだなあと。
__
あー。
田嶋
あとは、他の劇団の事が分かりますよね。
__
分かっちゃいますよね。
田嶋
それが狭い事の良さだと思います。逆に問題もよく見えるから。
__
その、問題というのは。
田嶋
あー。
__
・・・・・・。
田嶋
いや、京都だけにある、東京だけにある問題っていうのは実はないんじゃないかと思ってるんですよ。だけど、京都の方がそれが見え易い、という気はします。
__
うーん。
田嶋
まあ、東京にいた頃していた仕事とは少し質が違う仕事を京都ではしているということはあるんですけど。京都にいる今の方がいろいろなことが見えてくる気が。

芸術

田嶋
まあ、問題としては、日本はまだまだディレクター制度が定着していないということでしょうか。芸術センターもそうなんですけど。
__
ディレクター制度とは何でしょうか?
田嶋
芸術監督制度ですね。作品にははっきりと良し悪しがあって。それは凄くシビアにあると思うんですよ。でもそれは相対化出来る物ではないから。やっぱり、これは良くてこれは良くないとはっきりいう人が必要だと思うんですよ。
__
そういう、二元論ではなく、例えば価格とかを付ける、という訳には行かないんですかね。
田嶋
価格とはちょっと違う気がして。うーん。やっぱりね、どうしても予算が掛かっちゃう作品があると思うんですよ。でもそれが「迫る」作品であるかどうかは、バジェットとは関係がないことで。本来は、総予算をお客さんの数で割った金額がチケットの値段になればそれだけで作品は作れるんだけど、そうなると莫大な金額となる。だから、値段の問題は難しいですね。まあ、白黒はっきり付けるって言っても劇団のカラーや劇場のイメージっていうのが確実にあって、それをお客さんがもっと分かり易く選べるようになった方がいいと思うんですね。
__
例えば芸術センターではちょっと前衛的で練り上げられた、芸術性の高い作品をやっていると。一方アトコンではエンターテイメント性を強く主張した作品をやっているとか。
田嶋
まあ、そういう風に言われると今でも多少はあるのかもしれないですね。ただ、逆に方向性の転換が難しくなってしまうかもしれない。でもディレクター制度があれば、このディレクターだからこういう作品なんだ、とか、別の人だったらこういう芝居なんだなあ、とかそういう予見が出来るんだろうけども、今は誰がどういう責任を持ってディレクションしているのかが分かりにくい。
__
もし、ディレクター制度が出来て、恒常的に機能するようになったとしたら、お客さんはその広報する意見を参考に出来ると。
田嶋
それはあると思います。
__
日本では発達していないと仰いましたけど、それは欧米では発達している?
田嶋
そうですね。ディレクターがいるかいないかでは、質の高いものと、そうではないもの、面白いものと、面白くないもの。今はそれが全部同じ土壌で何とかなっているってのが、うーん。もうちょっと、プロとそうでないものをハッキリさせた方がいいんじゃないかと。
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うーん。
田嶋
何ていうのかな。普段サラリーマンやっている人がボーナスをつぎこんで芝居を一本打つっていうのは可能な訳ですよ。で、それが面白ければ観客にとってはとりあえずその人がサラリーマンであるかどうかはどうでもいいんですよ。
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そうですね。
田嶋
でもそれが面白くなかった場合でも、その人は毎期のボーナスを使って芝居が出来る訳で。その辺の淘汰の仕組みの無さが、・・・淘汰の仕組みとかいうと偉そうに聞こえちゃうかもしれないけど。でもやっぱりね、いいものを提供し続けていかないと、本当に演劇を好きなお客さんなんて一握りなんで、増えないと思うんですよ外に行って何故私が演劇が好きなのかとか、そういう事を人に話したとしても説得力がないんですよね。
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うーん。
田嶋
一方で、もちろん傑作を作るのは難しいと思うんですよ。
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そうですね。
田嶋
すっごく難しいし、多分一生見てても本当に凄い作品なんて2~3本だと思う。でもね、そこまで行かなくてもちょっと体温が上がったり、どこまでも歩いて帰れそうな作品ってある訳で。
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凄い喩えですね。
田嶋
そういう作品が増えるのがいい事だと思う。その仕組みを作るのは・・・。
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そのためにディレクター制があると。
田嶋
やっぱり、評価の仕組みが全然ないからなあ。
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アンケートが書かれて、それが劇団に吸い込まれるだけですからね。
田嶋
(笑う)
京都芸術センター
京都市の中心部にある芸術振興の拠点施設。元明倫小学校であった建物を再利用するかたちで設立された。ここの上演スペースでも毎週のように公演が行われている。
アートコンプレックス1928
三条御幸町の多目的ホール。ダンス、演劇公演、ショーやワークショップ、展覧会等を開催する。

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