愛とか恋に浸れること

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愛とか恋に浸れることの価値。FUKAIPRODUCE羽衣は、そこに際限なく落としてくれるんですよね。愛と死を歌い、果てしなく美化する。観ていて自分も死にたくなるぐらい。以前このサイトで糸井さんにインタビューした時には、「そういう部分に自覚的なお客さんは、羽衣の作品に強く共感してくださる」と。日髙さんは、舞台上で歌っていて、何か思われることはありますか?
日髙 
ずっと羽衣でやっていて。あまり歌と芝居を分けたことがないんですよ。ミュージカルであれば例えば綺麗に歌うであるとかを意識するのかもしれないですけど、羽衣に関しては、芝居の部分にメロディーがのっているというだけなんです。セリフを喋ってるという感覚で、ずっと歌ってるんです。
__ 
セリフを喋るように歌っている。
日髙 
やっぱり色々な感覚、雑念、雑音、はあります。そこで発してみないとわからない、そんなこともあります。例えば「好きだ」というセリフを口から発して、喜びの感情が出るのか悲しくなるのかは発してみるまで分からない。糸井君はものすごく緻密に組み立てるんですけどね、僕は、緻密さとパッションは矛盾するかもしれないですけど両方大切にしています。常に、自分の心が動くように。そこに引きずられて結果的に、歌があまり上手くなく聞こえたとしても、心の部分を大事にしたいなという気持ちはあります。
__ 
その時舞台上でどう動くかということですね。線引きの難しい話題だと思いますが、テキストに沿って感情を「手動(主導)で動かしている」のか、それとも「感情が自ら動いている」、のか。
日髙 
色々な役者がいて、色々な考え方があると思うんですよ。役として一本通すというやり方の人もいると思うんですけど、これまでずっと羽衣でやってきた僕の場合、役よりも、舞台の上の会話だったり、人の圧であったり、そういう空気を大切にしたいなと思っています。それが結果的に、役になるのかなと思っています。分からないですけどね、半年後には意見が変わってるかもしれないし。毎日発見があります。
__ 
舞台に立ってみるまで分からない、ということではなくて・・・その時に生じたものである、ということが大事なんですかね。
日髙 
そうですね、ですがそれをそのままお客さんに出しても見せ物にはならないし。でも、そこで空気が生まれた時、確かに僕の中に「それが生まれた時の感覚」をお客さんに伝えたい、と思っています。
__ 
感情が生まれた感覚を伝え、見せる。そういう技術であると言ってよいのか、それとも姿勢と呼ぶべきなのか。
日髙 
そうですね、分からないですけどね本当に。もちろん状況と、ストーリーを伝えることが大切ですが、それだけではお客さんはただ文章を読んでるのと同じですから。感情を伝えるということが合わさって、そこにはいろいろな細かい感情も載って・・・。これが正解というのは無いんですね(どの分野もそうかもしれませんけど)。僕個人はその答えを見つけたくはないですね。追い求めて行きたいです。

虚脱感

__ 
これまでの舞台で、最も感情に流されそうになった経験はありますか?
日髙 
色々、憑依するとかいうじゃないですか。僕の場合は、比較的、残っているとかそういう影響はあまりないんですよね。ただ、やっぱり、2時間くらい感情を溢れさせるので。虚無感というのはあるんですよ。日々あります。でも明日も本番があるし。
__ 
そうですよね。
日髙 
今回の場合は特に、人を殺す演技をして、そして自分も死ぬと言う役で、やっぱり精神的にどっと来るんですよ。そのエネルギーが、やるだけでガクンときて。この舞台の疲れはラストのシーンによってきますね。肉体的な疲れはすぐに回復するんですけど、精神の疲れと言うか。なりきるという大それたことではないですけど、その行為を舞台上でするだけで。
__ 
虚脱感。
日髙 
そうですね。
__ 
その一部始終を見る観客は観客でかなりエネルギーを持っていかれますけどね。治平衛という人生の最後を見るんですからね。
日髙 
そうなんですよ。残された人と旅立つ人のベクトルは全然違う気がして。死ぬ人は、死ぬことが決まったら淡々と死んでいく気がするんですよね。残された人たちは辛い思いをする。お客さんは二重に疲れてるのかもしれませんね。

網目の上を歩く

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舞台上で生れる感情を見世物にするというのは、もちろん綿密な稽古が必要ですね。今作の場合は特にそう思います。舞台上が歩きにくいセットだということからも、ものすごい稽古量を感じます。網目を連想させる、雲形定規みたいな舞台の上で一歩一歩俳優さんが確かめながら歩いているような。
日髙 
稽古期間、毎日誰かが落ちそうになっていたんですけど、本番では今のところ何もありません。スタッフさんが丁寧に、役者に注意を向けてくれているので。身が引き締まる思いです。
__ 
これからも何もないことを祈っています。まあでも、観客というのは残忍なもので、ハラハラしている緊張感も良かった、という感覚があります。前回の舞台の写真から見ると、直線上の小さな橋が組み合わさっているようですが、今回は曲線という事で、難易度は跳ね上がっているように思えます。
日髙 
初演は平均台と同じぐらいの細さなので最初は大変なんですが、慣れていくと見当が付くというか。今回の場合は曲線が入ってるので、後ろ向きで歩いていたら気がついたらあとが無くなっている、ということも結構あるので。その辺は、(もちろん芝居に取り組みながら)一歩一歩気をつけています。それと、この舞台上は結構髙いんですよ。踏み外すとズボッと行ってしまうので、そのぶんかなり注意をして。
__ 
きっと、頭の中に道を入れておかないと危ないだろうなという気がするんですが、俳優が集中力を切らさないかと言うハラハラは結構あります。
日髙 
それは初演も結構言われたんですよね。けど、それは消えないように。道を頭に叩き込んでいます。
__ 
ハンデありで傑作音楽劇を!
日髙 
はい。

質問 nidone.worksのお二人から 日髙 啓介さんへ

__ 
前回インタビューさせていただいた、nidone.worksの福岡さんとやまもとかれんさんから、質問をいただいてきております。まず福岡さんから。「日常で創作のきっかけを得ることはありますか?」
日髙 
やっぱり僕は役者なので、創作と言っても台本と演出があっての肉体なので。クリエーション的なものは稽古が始まってからだと思うんですね。ただやっぱり、稽古が始まってからだと間に合わないこともいっぱいあるんですよ。肉体的なコンディションもそうですが、色々なものを感じることだと思うんですよね。稽古が始まってしまうと、その時にあるものを使わないといけないので。それ以外のものというのは色々なものをなるべくたくさん見て感じると言うか。見っぱなしではなくて、人との会話を経て、自分がどういう感情になっているのかを把握したり。そういうのが好きなんですね、僕は。次のクリエーションの素材として、集めるのが好きです。それを全て使うかどうかは別として。
__ 
やまもとかれんさんからも質問です。「日常でも、自分がパフォーマーであると感じることはありますか?」
日髙 
それはないですね。あんまりない、かなあ。ある人はあるのかな。

そもそも備わっていたのか

__ 
いま興味があることは何ですか?
日髙 
結構たくさんあるんですけど、演劇の謎みたいなこととか、はちょっとずつ解き明かせていけたら。正解はないですけどね。それと、人間の性悪説には興味があって。やっぱり人間ってひどい生き物だなと思っていて。ほっておけば多分ひどくて、自分のことしか考えずに自分のために全てを食いつぶして、自分もいつか喰い殺してしまう。それでもその中に、人と生活していく上での良心があって、それで生きていける。人間って、どこまで、なのかなと思いますね。そうあるべきじゃないとか言うのは置いといて、人間の密な部分。愛情に溢れて生活している僕らは本当に幸せなんですけど、本当の部分。知りたくはないんですけど、ふと思うんですよ。
__ 
まず、想像力に限界はありませんからね。宇宙の外のことであるとか、複雑なことも抽象的な道具を使って考えられてしまうじゃないですか。そして、自分の事ばっかり。
日髙 
それを理性で抑え込められるから、怖いですね。
__ 
人間の精神って、子供の頃から育てられて形成されていくから、理性というものが働く、という考え方がありますよね。でもやっぱり、欲望を爆発させてしまうこともある。
日髙 
僕は、人に興味があるから俳優をやってるのかもしれません。最近、動物としての人間に興味があります。
__ 
動物は心中しませんからね。
日髙 
そうそう、そうなんですよ。理性を保っている動物として・・・いや、もしかしたら、理性も野性の中に含まれている生存戦略なのかもしれないですけど。

2ヶ月のランデブー

__ 
これから四都市公演ですね。11月18日まで、2ヶ月のランデブーですね。何かお客さんに伝えたいことはありますか?
日髙 
京都で誕生した作品が、旅をしながら、ちょっとずつ変化していく様が、僕らも楽しみですね。場所が変われば芝居も変わるし、時間が経てば経つほど変わっていく部分もあるので。その時その時、その場でしか見れない作品をご覧になって欲しいと思います。ぜひ。それと、年末には吉祥寺で羽衣ライブもあります。毎年やっているんですが、糸井楽曲を3時間歌い続けます。
__ 
ライブ、いつか是非行きたいです。今後どんな感じで行かれますか?
日髙 
来年も舞台中心で予定が入っているので、当分は演劇の謎を突き詰めながら行って来たいです。基本的にはFUKAIPRODUCE羽衣のメンバーとして行っていますので、羽衣の創作に携わっていきたいなと。
FUKAIPRODUCE羽衣LIVE vol.11
構成・演出:深井順子 音楽:糸井幸之介 
12月18日(月)19:30start(18:30open)

12月19日(水)19:30start(18:30open)


***Singers***
FUKAIPRODUCE羽衣

***Band***
Guitar/斉藤浩樹(ParaboLa) Bass/堀田秀顕(あっぱ) Drums/河村俊秀(ペトロールズ)

***ticket***
3,000円(1drink別)
※整理番号付入場券(会場の状況によりお立ち見になる可能性がございます。)
※ご入場時に別途ドリンク代を頂戴いたします。

***会場***
吉祥寺STARPINE’S CAFE

nidone.works新作公演『おにぎりパン!』

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今日はどうぞよろしくお願いします。最近、お二人はどんな感じですか?
やまもと(以下、やま) 
 よろしくお願いします。最近は次回公演の製作をしながらもMVを2本作っています。ヨーロッパ企画さんの企画で作るかせきさいだぁさんのMVと、もう一本、別のミュージックビデオを作っています。
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次回公演とは、nidone.worksの新作公演でもある「おにぎりパン!」ですね。どんな作品になりそうでしょうか。
やま 
おにぎり屋さんの娘とパン屋の息子が結婚する話なんですけど、その結婚前夜のパーティーをおにぎり屋の店長であるお父さんとその仲間たちで開催するんだけど・・・?!という。ストーリーはそんな感じで、笑えて、視覚的に楽しいと言う方向に進もうとしています。
nidone.works
成長過程にいるこどもが おとなになることを、少しでもポジティブに捉えることができる作品づくりを目指しています。 メンバーは作/演出の渡辺たくみ、制作の加藤なつみを中心に、作品ごとにゆるやかなともだちを集めて活動中。舞台作品では、こども自らが表現することを後押しできるように、こどもたちが演者とコミュニーケションをとることでストーリーが進むよう構成しています。(公式サイトより)
nidone.works新作公演『おにぎりパン!』
おにぎり屋さんとパン屋さんのドタバタおめでとうパーティー!

おにぎり屋「にぎり亭」ではたらくおむすちゃんは、
パン屋「オレンジ・ベーカリー」のハッサクくんと結婚することになり、
晴れてあしたからパン屋さんになります!

みんなも『おにぎりパン!』に出席して、2人をお祝いしちゃおう!

■公演日時
2017年10月13日(金)~15日(日)
13日(金) 12:30/18:00
14日(土) 12:30/18:00
15日(日) 12:30

※開演30分前より受付・開場。
※上演時間は約30分を予定しています。

■会場
京都造形芸術大学人間館1階
カフェ横展示スペース(春秋座側)

作・演出=渡辺たくみ

■出演者
磯貝優志
井上向日葵
松田ちはる
山口慶人
渡部もも

■スタッフ
美術|やまもとかれん
照明|福岡そう
音響|安東優里奈
衣装|松田ちはる
制作|加藤なつみ
イラスト|宮城巧

■チケット料金
無料(要予約)

「チッハーとペンペン」

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私が最初に拝見したnidone.worksの作品は「チッハーとペンペン」と言う素晴らしい作品でした。私も元々舞台スタッフだったので、何かを作るということの難しさや面白さややりがいについては分かるつもりです。手作りで美術を作る、その精神が、チッハーという女の子のキャラクターや世界と非常に強く並走していたんですよね。いきなり私の考えを述べますと、「チッハーのおへや」という着地点を目指して作られたものじゃなかった様な気がするんです。ある種の冒険であるとか、面白さを求めながら作り続けると言う足跡を、生きた舞台美術、生きた舞台照明を感じたんです。
福岡 
それしかやってない・・・
やま 
うん。そこを経過しつづけての終着でしたね。
__ 
「大阪・新世界からやってきた、動物さんをお助けするマジカルな女の子の部屋」というお題だったら誰でもイメージがしやすいし、そのゴールは思い浮かべやすいと思うんですよ。でも、あの場にあったのはそんな容易なものではなかった。そこに到着しようとして言ってるんではなくて、山本さんや福岡さんの面白いと思っているモノ、がスタートラインだったからできたことだったと思うんですね。
やま 
今回「おにぎりぱん!」では、「チッハーとペンペン」ではトライしていなかったことにも挑戦しています。
__ 
とても楽しみです。なので、あえて「おにぎりパン!」については細かく伺うのは止めておこうと思います。細かいところまで全て楽しみなので、想像もやめておきたい。

”一瞬のために”

__ 
まず福岡さんにお話を伺いたいんですが、「チッハーとペンペン」での照明プランでとにかく素晴らしかったのが、動物から電話がかかってくる時に点滅する、天井近くの間接照明の様になっている明かりが。
福岡 
LEDですね。
__ 
あ、なるほど。
福岡 
メディアアートとかで使われているような照明で、プログラムを組んで点滅するように仕掛けてありました。
__ 
あのプランは素晴らしいですね。「初コールだ!」というテンションの上がりようが。本当に、よく考えたついたな、と思います。
福岡 
観客が頑張ってチッハーと一緒に気合を入れてくれたから、電話が派手に掛かってきた、というのが渡辺が考えていた事だったみたいです。初演とはまた違ってわかりやすく演出できたと思います。
やま 
彼はそういうのをシステム化しちゃうんですよ。
__ 
ああ、ボタンひとつで出来るみたいな。
福岡 
照明卓とコントロールの管理系を繋いでオペをしていました。
__ 
照明と音響と役者とお客さんが一体になる様な感覚。テレビ番組の中に迷い込んだような、という言葉で表現しようと思ってたんですが、お客さんの反応があるショーになっていたんですよね。テレビショーの撮影は途中で止めたりするから。でも演劇は途中では止まらない。盛り上がりに水を差すものはいない。
福岡 
そういうののゴリ押しみたいなところはありますね。渡辺はひたすら音と照明を合わせるプランに集中していて。で、例えば合言葉で冷蔵庫が開くシーンとか、客席にいる子供の声の反応を見て、大きな声を出してくれたらすぐ開く、という演出で、音響さんにその判断が委ねられてたりしてたんです。照明オペとしてもその操作を感じ取ってこちらも動くみたいな。
__ 
他にも色々印象に残ったシーンばっかりで、ハートが作られる時とか、ペンペンに魔法を掛けるシーンとか。なぜあんなにも、お客さんを盛り上げるさせる音と照明の連携のセンスがあるのか不思議でならない。
福岡 
美術についてはこちらがある程度用意するんですけど、何がどう動くか、いつ光るかは渡辺が全部決めてるんですよ。明かり作りとかの調整で、ここをこうして、と言われて「マジか」と思いながら作業しています。
__ 
渡辺さんの演出はどうですか。総体的に。
福岡 
後で思い返して、「やっぱり正しかったな」と思うことは多いんですよ。その時は「ハァ?」と思っても。まだまだやなと思います。
やま 
(笑う)
__ 
最終的には一つの判断を選ぶしかないじゃないですか。そこが仕事の難しいところですよね。
福岡 
できるだけ早い段階でビジョンを決めてしまうんですよ、渡辺は。時間がなくてもできてしまうんです。MVも粗編集ですごいのを作ってきたりして。絵コンテとかも簡単に切ってきて。
やま 
ビジョンが既にあるみたいなんですよね。
福岡 
最初は不安に思ってても。
やま 
渡辺自身はあまり自信がないこともあるみたいで、なんやかんやで道として成立する、みたいな。直接言いたくはないけど素晴らしいと思う。
福岡 
悔しいところはありますね。渡辺が悪いわけじゃなく、僕の落ち目。

トロッコは止まらない

__ 
次はやまもとさんに伺いたいんですが、まずは何をおいてもペンペンですよね。彼にはまさに、「手作りの良さ」とは何かを思い知らせてくれたと思う。購入したものには実施で宿らないものがそこにはあった。
やま 
魂を入れたもの、みたいな。
__ 
私はそれを「抜き身」の価値と呼んでいました。16年前の価値観なので今は伝わらないかもしれないですけど。日本刀を抜いた時みたいな、よく研いだ白米の芯の部分の甘さみたいな、病院の卸したてのシーツの束の中に手を伸ばした時。何言ってるかわかんないと思うんですけど。
やま 
それをペンペンに感じたということですか。
__ 
そういう新鮮さ以前の、着想がこの世に生まれた瞬間のひらめきと言うか。私もそれをこれまで何回か作ることはできましたが、チッハーとペンペンはその塊だった。
やま 
初演と再演ではペンペンは異なるものでした。初演は既製のものでしたが、再演ではペンペンも登場人物の一人として作ろうと言うことになりまして。
__ 
そうそう、再演のペンペンは、回転すると遠心力で羽が横に広がるんですよね。副産物と言うか。
やま 
実は、手動で羽根をパタパタと動かせる用にしよう、と仮止めしていたんですが、振るとパタパタするのが可愛かったから、あ、こっちだ、と。
__ 
もうそれ以上はする必要がありませんでしたね。遠心力で羽が振れるから良いんですよ。
やま 
良かったです。
__ 
舞台美術全般にしても、開けてないプレゼントの箱だとかが散りばめられてあって。ワクワク感もありつつ、チッハーのずぼらさも感じさせるみたいな。そして、トロッコのセットね。
やま 
気付かれましたか。
__ 
音と照明と踊りが合わさって、トロッコが到着するんですよね。そんなことが出来るんですか。そして、しようと仕事するんですか。
やま 
とにかく、私と渡辺が2人でミーティングをするとボケようとするんですよ。笑いを取ろうとするんです。トロッコにしても、スムーズに着くんじゃなくて、よたよたと進んで前途多難がありーのでようやく間に合う方が笑えるし、見ている大人にも子供にも「それが笑えるものだ」と気づいて欲しい。
__ 
笑えるものへのこだわり、以上の何かになっていたと思います。コストと時間を最も効率的なやり方で調整して作ったものでは残せない何かが残りました。ガタガタと進むトロッコ。予算があればすぐ着地できるんですよ。でも言っちゃ悪いけど我々が昔そうしていたように、予算はそんなにない。298円ぐらいのペンキを混ぜればどんな色でも作れるし、マスキングテープを貼ればネジも隠せる。汚いけど、そうじゃないとたどり着けないところがありますね。
やま 
と、私も思ってます。
__ 
でも、必ずどこかで、それを諦める瞬間があると思う。欲を言うならそうなって欲しくはない。お二人とも、16年後ぐらいには労力を惜しみ、過去のフレームワークの流用や、クラス継承、バリエーションによるコンテンツ感の錯覚戦術とか、そういう手法に絶対に手を染めるかもしれない。けれど、頑張って、今の手を忘れないで欲しいと思っている。
やま 
そうですね。現状、間違いなく、技術を向上させないといけないんですけど。いま、柴田隆弘さんの元で修行させていただいてて。一個一個に集中することも大事にしつつ、ちゃんとした技術も持っていないと続けられないことだから。どちらの気持ちも忘れずに続けたいなと思っています。
__ 
両方。職人的な、美しさへの執着。そしてお金と時間、クライアントのご希望に収まったもの。好きなものを作るのが一番だと思うんですけどね。

「集団製作」

__ 
はっきりと、製作に前向きになれた瞬間はいつですか?
やま 
舞台美術に固まったのは、nidone.worksで作る様になってから、なのかなあと思います。これを仕事にできるかもと思ったのは。集団制作で物を作ると言うことに対してずっと意識は向いていて、だから京都造形大学に入ったんですけど、でも「本当にこれなのかな」、集団制作ってこういうものなのかな、それこそ妥協に妥協を重ねることばかりで、そもそもの会話が成り立ってないとかでオモシロくないなぁと思っていて。でもnidoneの4人(福岡、やまもと、渡辺、加藤)でよく話す様になり、こういうのをやりたいねとかを話す時はすごくワクワクして。作ったものがさらに良くなっていく感覚。初めて共有して手に入れた感覚があったんです。これが集団製作や~~!と思ったんですね。その瞬間です。
__ 
一人だけ突出してしまってその一人の製作によってその一人のための満足が得られるとかじゃなくて。
やま 
価値ですよね。高校とかで行ってきた集団創作も楽しかったんですけど、そんなレベルじゃない価値を感じました。作って押し出したものが、お客さんにとっても「これだ」と思ってもらえたことがとても大切で、大事なことです。
__ 
それを忘れて存続のための仕事になっていくと良くなくて。年かさになると革命なんか求めなくなりますからね。福岡さんはいかがですか。
福岡 
僕の場合はnidone.works以外にも色々な現場に入っていて。照明プランにはパターンみたいなものがあるじゃないですか。ここで人が喋っていたらそこにピンスポットをうつ、みたいな。でもnidoneだと普通はやらないことをやっていて。「なんじゃこれは」と、戸惑ったんですけど、舞台っぽくない製作にみんなが慣れている感じに刺激を受けました。今でも、プランのアイデアを話している時は普通のやり方に持っていくんじゃなくて、ボケます。
やま 
ボケる瞬間。
福岡 
nidoneの場合はそれが案になったりします。過去に積み上げてきたものをとりあえず脇に置いておいて、
やま 
君はボケているよ。
福岡 
結構ボケます。
やま 
自分で言うてもうてるな。
福岡 
ボケだったらどんなことでも言えるじゃないですか。もしかしたらそこから拾えるものもあるかもしれないし。ちょっとこう、自分のキテレツ感をブーストして無理やりながら言ってみると。ボケが7割くらいの発言ですけど。
やま 
お互いがボケ合った末に採用されるアイデアもあるんですよね。卒業する前にそういう環境に出会えたのはラッキーだったと思います。
__ 
それは本当にそうですね。そういうチームに巡り会えるの人はこの地球上に何割もいないですから。普通の人はそういう関係性に巡り会えずに死んでいくから。まあ、いつかバラバラになるかもしれないけれども。その時でも喧嘩別れはしないようにして欲しいです。
福岡 
結婚したとかだったら、話し合うと思いますけど。
やま 
ケンカ別れは嫌だな~。今スタートラインに立ったけれども。4人じゃないと回らない組織になってしまうことによる危険性もきっとあるから。
__ 
チームを組んだと言う事で少なからず保守化という傾向も生まれてくるわけなので。
やま 
攻めていきたいですね。
__ 
たまたまエプスタインがいなかったら、彼らはどうなってたんだろう。リヴァプールで終わってたかもしれない。
やま 
たまたま出会った幸運のぶん、頑張っていかないといけないなと思ってます。

__ 
どんな製作をするのが夢ですか?
福岡 
僕はnidoneでは照明をやってるんですが、撮影とか舞台映像演出もやっているんですが、それをやりつつ、nidoneの映像面のカバーもやっていて。舞台以外の映像製作をやっていきたいです。その辺りを充実させるのが夢です。インスタレーション的な照明作品もやりたいなと思っています。パフォーマンスあるなしにかかわらず、映像も組み合わせたりして。
__ 
どんなものを展示したいですか?
福岡 
実現するしないかはともかくやってみたいと思うのは、音と照明と映像を全部、自分の手で操作したら作動する、みたいな事ですね。
__ 
なんとなくですけど分かる気がします。
福岡 
技術ありきじゃないですけど、舞台上にセンサーを張ったりして作動するみたいなプログラムを開発して、音や映像と同期するみたいなのを、一人で作りたいんですよ。
やま 
そう君は研究するみたいなのが得意と言うか、その辺を任せたくなると言うか。技術方面がハマると思っていて。
福岡 
そこはnidoneとかけ離れているから、出来るかどうかはですけど。
__ 
それはnidone関係なく、ご自身のものとして大切にした方が良いと思います。そのメディアアートで、人を驚かせたいと言うことですか?
福岡 
照明卓には照明卓のアルゴリズムがあるんじゃないですか、その処理を自分でイチから作れることに興味を持っています。
__ 
システムをゼロから作りたい?
福岡 
機材は既存のものですが、仕組みは本当に自分で作りたいです。
__ 
それは必ずできると思います。それを作りたいと言う発想は誰の心にも宿っているわけではなくて、それを持っている人はすでに心の中にフレームワークがあるんですよ。だから形にするのは簡単です。
福岡 
僕は最初照明だったんですけど、プログラミングで、こうしたらこういう信号が出るから、それを受ける機械に流す、みたいなのを習った時。単純な0と1のレベルまで掘り下げてみた時に、これはめっちゃ面白いなと思ったんですよ。そうなんだ!と。
__ 
その瞬間ですね。
福岡 
映像にしても、デジタルのレベルでの仕組みがあって、音との同期という概念を見つけて、全体的なフローがあって、自分でそれを作りたいと思うんですね。
__ 
今の学問は文系理系情報系に分かれていると思うんですけど、情報系の基本はレイヤーという概念を基礎にフローによる体系の製作ですからね。PCとの戦いですよね。

裏方のエンターテイメント

やま 
どんな製作をしたいか、というのと同じぐらい、どんな製作者になりたいかを考えていて。自分の中のアーティスティックな側面をおし出すと言うことじゃなくて、やりたいことを持っている人のイメージを具現化することに私が持つべき責任があると思っていて。微妙なニュアンスなんですけど。「ハートの扉が開く」というト書きがあったとして、言葉どおり再生するべく具現化すると言う事じゃなくて、そこに意味のあるビジュアルを持たせる仕事をする。そういう製作者になるのが夢です。自分の中に一本筋をおいているのは「裏側のエンターテイナー」で、夢を提供する製作者でありたくて(言葉はちょっと上からなんですけど)。比較的、言葉を読み取る力が自分にはあると思ってるんですが、それを使って人と機会を繋ぐ人材でありたいと思っています。
__ 
「言葉を読み取る」。
やま 
文章を読み取った時点でビジュアルが何かしらくるんです。頭の中に。それをさらに本人に聞いて確かめて、「それってこれがこうなってる」、とか、「こういう形でも表現できるんじゃない?」とかの打ち合わせをして。
__ 
まさに美術的ですね。
やま 
演劇以外のことかもやっていきたいと思っています。去年半年間イギリス留学に行った時に感じたことだったり、2年前にいろんな大学の分野の違うところから集まった学生たちでお化け屋敷を作ったことも大きく経験になっていて。今は音楽関係の人が持っているビジュアルは演劇の人のそれとはまた全く違うので興味があったり。私個人としては、色々な分野の人の橋渡して、一緒に何かを作れる様にトライし続けたいと思ってます。あと、よく役者に間違われるくらいに喋ってしまう。裏方やけどとにかく周りを楽しませたいという気持ちが強いです。
福岡 
僕たちも楽しいです。小屋入り中も楽しいです。
やま 
作業はしますが、笑いを取ることに集中しています。
福岡 
自分で自分の美術を褒めたりするしね。
__ 
裏方だけどエンターテイナー素晴らしい。分野と分野の橋渡しをする。ふた昔前の言葉で言うコラボレーションが取りこぼしている部分を「インターフェース」と呼ぶと思うんですけど、その辺りをやってそんな感じがしますね。

質問 芦谷 康介さんから nidone.works(2)さんへ

__ 
前回インタビューさせていただいたネコザポンティさんから質問を頂いてきています。「最近言われたドキッとしたことは何ですか?」
やま 
柴田さんに言われたんですけど「いつからがプロなのか」という話です。意識の話でもあるし、技術の話でもある。続けていくことで成り上がる部分もある。自分でどこにその基準を置くか。私はまた絶対プロではないから、ドキッとしました。何か完成かというかについてもずっと思ってます。芸大生みたいなことに悩んでいます。
__ 
まあ芸大生ですからね。諦めて悩んだら良いと思います。
やま 
そこを考えすぎて落ちるのも違うし、考えないのも良くないので。とにかく明るくあるというのが近づける方法なのかもと思っている最近です。
__ 
福岡さんはいかがですか。
福岡 
この間ヨーロッパ企画さんが毎年やってはるバーベキューに参加させてもらって、自分たちのことを色々な人に紹介させてもらったんです。
やま 
売り込みに。
福岡 
結構、「スタッフしかいないの」とかをめちゃめちゃ聞かれたり、「あまり聞かないような形だよね」とか言われたり、「最初から舞台以外の制作をやってるのは珍しい」とか。

大事なこと

__ 
舞台を作る過程でどんなことが大切だと思いますか?
やま 
会話です。
__ 
それはなぜですか?
やま 
青臭いけど・・・集団制作なので、全員の力を全て引き出すにはコミュニケーションが鍵やろうなと思います。合う人合わない人はいると思うけど、合わない人でも信用をおかないといけないし。
__ 
破壊的なコミュニケーションはどうしても下方向へのスパイラルに陥りがちですからね。
やま 
そうですね。肯定と信用のコミュニケーション。
__ 
そして、それが苦手なクリエイターは必ずいますからね。
やま 
そういう人からも引き出せるような高め合い方があると思うんです。目を合わせて、言葉が少なくてもちゃんと読み取るみたいな。そういう人間的なことなんじゃないかなって思っています。
__ 
福岡さんは。
福岡 
僕の場合は高めるというよりかは「否定をしない」ことも大切なんじゃないかなと思っていて。指示を出されても「無理!」って最初に言わない様にする。
やま 
ああ、それは間違いないわ。
福岡 
言っちゃうんですけど、その代わりに「予算的に厳しいのでこういう形ではどうか」とかいう形で。
やま 
1回受け止めるみたいな。
福岡 
どれだけ何それと思っても、「なるほどね」と言うのは割と心がけています。
やま 
今も一緒に製作してるんですけど、確かにそういう時怪訝な顔はしている、でも聞いてくれてる様な感じです。「じゃあどうしよう」という話になりあえる感じです。
__ 
「持ち帰る」というやり方ですね。即答はできないので一旦持ち帰って、複数の案を返却するみたいな。
福岡 
そういう場合のミニプレゼンをやる力もやって行きたいなと思ってます。打ち合わせを行うときにも何を話すのか、何を話すべきではないのか、みたいなのもコミュニケーションに含まれると思うので。
__ 
そういう打ち合わせの重なりってお客さんに伝わりますからね。
やま 
厚みを持っていきたいですね。渡辺は厚みを求めるポイントがたくさんあって。他の演出家やディレクターと違うポイントもたくさんあって。それに応える量も多いから、それが良さでもあるし、時間がかかると言う課題もある。
福岡 
課題でありつつも功を奏している部分もあったりして。脚本が上がるのが遅かったり。
やま 
美術が応える時間も結構かかったりするので、イラストや口頭で意識合わせをするんですけど、何箇所もこだわりのポイントがあるんですが、「そこを考慮するの?」みたいなポイントもどんどん出てきたりして。チッハーとペンペンは時間ギリギリになって役者の動線だったりだとかまでに気を配れなかったりして。nidone.worksには舞台監督がいなくて、外回りは加藤、内回りは私が担当しているんですけど、そこも課題です。加藤はあの歳で何でもやれるし、ものすごいバイタリティーなんですけど・・・
福岡 
裏側の整理に関しては本当に課題で、冷静に考えたらもっと気をつけないといけない部分がある。そういうことに関しては反省があります。
やま 
力及ばずな部分があります。それは若さ故で解決してはいけないところなので。

明日

__ 
今後、どんな感じで攻めて行かれますか。
福岡 
とりあえず撮影の仕事が欲しいです。PV撮りとかドキュメンタリーの仕事をしたいです。
やま 
稼ぐための技術を勝ち取りに行くと言う攻め方ですかね。そしてそれを放出するみたいな。

ロウソク立てとブローチ

__ 
今日はですね、お話を伺いたお礼にプレゼントを持って参りました。
やま 
ありがとうございます。見ても良いですか。
__ 
どうぞ。
福岡 
(開ける)ロウソク立てですか。
やま 
(開ける)ブローチですね。これ絶対私に似合うやつや。
福岡 
これは・・・
やま 
それで暗いところでも仕込みが出来るな。

カレーの話

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。ネコザポンティさんは最近、いかがお過ごしでしょうか。
ネコ 
よろしくお願いします。最近はですね、僕は料理が趣味で家でもよく作るんですね。このところカレーをスパイスから作ってるんですけど、なかなかうまくできないんですよ。
__ 
スパイスから作るんですか!
ネコ 
スパイスカレーが好きなので。いかに美味しいカレーを作れるか、探求中です。でもなかなかどうして、自分で「これだ」と思う味に出会えないんですよね。自分の味、というものに。
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自分の味に出会えたら良いですよね。
ネコ 
機会があれば大阪や京都のカレー屋さんに食べに行って勉強するんですけど、行くたびにどこも美味しいんですよ。で、いざ自分の作るカレーはまだ方向が定まらない、なんて。
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そうですね、店には店の味がありますよね。
ネコ 
それぞれの店に美味しい個性があるので、じゃあお前の味は何やったん、ってなるから・・・
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でも、自分の味に出会ったら一瞬でわかりますよね。私にも自分の料理があるので。それを偶然に作った時に、これだ!と思いましたから。
ネコ 
「まさにこれだ!」と。
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ただ、完全な再現はできないですよね。レシピ通りに再現が出来るかと言えば・・・
ネコ 
そう考えるとプロはすごいね。
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どんな状況や材料でも同じ味が生み出せるんですからね。
ネコ 
昔、ある有名なお店にお金を貯めては食べに行ってて。素敵な方がやっていて、例えば同じ煮物を作るにしても準備や時間を丁寧に扱えばこんなにも味が違う。あとは、空間も含めての料理だとか。なんか、いい経験でした。
よいとな
『ある映画』での出会いがキッカケで知り合った二人が、2015年末より立ち上げた「演劇ユニット」。

「演劇」と書いてはみたものの、踊ったり、フワフワしたりして、あんまり意志の強さは感じられない二人。

「腰は重いが、フットワークは軽い」という、アンビバレントな精神構造を共通にもっている。

狭い場所から広い場所まで、また、短編から長編まで、周りの人に助けてもらいながらも、幅広く舞台を重ねることを目的に活動している。

今日もわりかし元気に生きてます。

P.S
ある映画というのは、コチラの映画
もしよかったら、なにかの機会に観てくれたら、嬉しいな。
(公式tumblrより)
キャパシティせまめ
役者ネコ・ザ・ポンティと中嶋久美子によるパフォーマンスユニット。(公式tumblrより)

よいとなの自由研究

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よいとなの自由研究。よいとなが上演した作品、タイトルは「Tightrope Dancer」でしたね。面白かったです。
ネコ 
ありがとうございます。
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ただ、明確に感想を言えるわけじゃないんです。例えば「プリンター機器ってみんなの悩みだよなあ」とか「演劇をやっている人はお金も時間もなくても、周りの人と上手くやっていくことでなんとか生活と創作を両立できる。都合の調整があるけれども。そういう生活を四角く切り取ったらきっとこうした作品になる」「でもその人は周囲からは都合のいい人として扱われているんじゃないか」とか。生活者と創作者の間の綱渡りを見せてもらったんですよね。いや、切り取らなくてもいい一コマを切り出すと言うか。すごく趣味の良い冒険だなと思いました。
ネコ 
単純に嬉しいですね、そういう風に思ってもらって。今回の作品はよいとなの脚本・演出である殿井 歩さんが去年書いて上演した作品をブラッシュアップした再演です。稽古や対話の中で、変化はしていってるんですけど。
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そうだったんですね。切れ味のある作品でした。
ネコ 
殿井さんが面白いんですよ。殿井さんの才能が僕は面白いと思っていて、でも彼女も僕も、いや、特に僕が、演劇関係の方々にはあまり知られていないので、もっとたくさんの人に見に来てもらえたら良いなーと思ってます。今回はどこから始まったかも分からず、いつ終わったかもわからない。でも、実はそこに劇的なことが起きていた、みたいな感想もいただいていて。
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綱渡りみたいな感じですね。
ネコ 
実は演じている方も綱渡りで、何気ないように見えてたかもですが、非常にスリリングでした。
よいとなの自由研究
公演時期:2017/7/22。会場:恵文社コテージ。

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ネコさんは役者であると同時にダンサーなんですよね。私がダンサーとしてのネコさんを初めて拝見したのはバー弓子だったと思うんですが、とてもかっこよかったです。非常に鋭角的なダンスだったんですよね。構成的にも優れていたし。ネコさんはFacebookのエントリーで、身体に継続的な興味があると書いておられましたが、身体そのものに対してどんな興味がありますか?
ネコ 
ああ・・・なんか、インタビューって、ついつい良いことを言ってしまうじゃないですか。いやポジティブな意味でもね。背伸びをしているわけじゃないんですけど、今の自分より、ちょっと開かれた自分を見せようとしてしまうというか。ただその反面、インタビューの怖さって、半永久的に残るじゃないですか。思考や身体は常に刷新されるけれども、言語化して何かに定着させるとそこで止まったように。ソシュールのシニフィアン・シニフィエじゃないけど、どこまで言語で伝わるのかってのは難しいですね。だから、いまから僕が言うのは、ある流れの中での言葉なのでふんわりと捉えて貰えれば、と思うんですが・・・前置きが長くて申し訳ないんですが。
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いいえ。
ネコ 
僕は表現活動に関しては、若い時からずっと継続的に関わっていたとかじゃなくて、ちゃんとはじめたのは最近なんです。普段は医療系の仕事をしています。医療関係の講師としても長く働いているんですが、自分の研究の中では東京にいた当時、心因性の疾患がテーマだったんですよ。で、そのような患者さんに対するアプローチの一つとしての演劇という手法を使っていることを知って、元々、映画や演劇は見るのも好きだったし。ちょうどその頃、僕は人間関係論や生命倫理について教えていたんですね。で、演劇を見ている時に、どういう心持ちでこの人たちはやっているんだろうと、好奇心でワークショップに行ったのが最初です。そこで劇団のステージタイガーに出会いました。そこでは社会人でも演劇をやれると言われたので。今は退団してますが、今でも仲良くさせてもらっています。
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なるほど。
ネコ 
もちろん、ヒトって動物はなんなんだろうなって関心は続いていて、その流れでダンスにも入っていきました。劇団にアミジロウと言う先輩がいて、彼がコンテンポラリーダンスをしていたんですよ。出会わなければ知らなかったし。そういう風に扉をあけてくれたのはアミさんでしたね。二人とも、まったくタイプの違う性格なんですけどね。