地球上の人全員を笑わせたい

__ 
いつか書きたいテーマはありますか。
田中 
大きい事を言うと、全人類が超面白いものを書きたいんですが、どうなんですかねえ、だってスターウォーズの新作にも怒ってる人いるんでしょう? 僕も見たんですけど、笑いながら超すげえと思ってたぐらいなのに。
__ 
物語は難しいですよね。サービスし過ぎてもいけないし。
田中 
誰も怒らないというところを狙ってても難しいし、開き直りも何か違うような気もしたりして、ただ配慮するのも・・・サッカバカナに関しては、自分のクソな部分をいかに笑ってもらうかという一点だけで書けたんですけど、理想的には見た人が幸せになるようなものが書ければなと。アンパンマンを見ても怒る人はいるんですかね?
__ 
いないとは思わないですけどね。
田中 
バイキンマンへの扱いとかもNGになって、もしかしたら配慮が必要になっていくのかなあと思ったりしますよね。

陶器の加湿器

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。
田中 
ありがとうございます。開けていいですか。
__ 
どうぞ。
田中 
(開ける)ええー。あ、ここに水を入れると。
__ 
加湿器になるやつですね。
田中 
こんなのがあるんですね。ありがとうございます。へー。

ダウンタウンとやみいち行動

__ 
この5年で影響を受けた作品を教えてください。
高嶋 
ダウンタウンの「ガキの使いやあらへんで」の30分ぐらいのコントで、浜田雅功のなぞなぞワールド。なぞなぞにはまった浜田雅功にみんなが振り回されるみたいな。それに影響を受けたかもしれないですね。構図よりも見せ方に興味があって、浜田雅功がなぞなぞにハマったパラレルワールド。ちょっとだけ変わった日常の世界だったんです。フェイクドキュメンタリーというんでしょうけど、その生の感覚もある構造。アドリブを対応している感がありました。舞台でやったらあんまりよくないのかもしれないので、影響を受けてるかどうか微妙ですが。
__ 
モキュメンタリーという奴ですね。後付けもモキュメンタリーに近いかどうかは置いておくとして。舞台以外の人間の身体性をメディアに載せた時の鑑賞体験に興味があると。
高嶋 
隠しカメラで撮るとかそういうことじゃないんですよね。あとは、やみいち行動に影響を受けています。
__ 
京大系演劇のエキスですね。

質問 菊池 航さんから 高嶋 Q太さんへ

__ 
前回インタビューさせていただいた、ダンサーの菊池 航さんから質問をいただいてきております。「今一番興味のあることはなんですか?」
高嶋 
ラーメンです。

雪だるまの人形

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。
高嶋 
ありがとうございます。(開ける)おお・・・。

謎の拍手

__ 
最近考えてることを教えてください。
高嶋 
最近は、意識について思っています。人は何故、何かを考えるんだろう、みたいな。なぜ意識があって、どういう仕組みで動いてるのか、とか。別に検証していないから、単に思っているだけですけど。
__ 
なるほど。
高嶋 
お客さんの意識で何が起きているのか、みたいな事にも興味があって、学生演劇祭で出した「めだまやきくん大集合」で、京都タワーについて語るコメディで、女の子が出てきて「エントリーナンバー1番」と言ったときに拍手が起きたことです。状況がダブったんですよね。なぜ拍手が起きたんだろう。僕には、それまで見ていた作品の流れを断ち切って全く異なる作品に移行した、みたいな事が起こっていたような気がして。
__ 
無茶な見立てを課せられ、また共犯関係を強いられたから、そこで反応が起きて観客席側から舞台側に仕掛け返した、という感じかな。後付けのスタイルに慣れていたからこそ、そうした、観客席側から笑いを取る、というアクションが生まれたのだと思います。同じ高さの目線の位置ができていたからこそ。背景には嬉しさがあると思う。
高嶋 
一緒の空間ということですね。僕にとってはそれは没入感でした。
__ 
ああ、同じ方向を向いている。たぶん様々な要素はあった。
高嶋 
ただ、少なくとも没入感がなければ共時感覚は産まれないと思いますし、でも入り込みすぎるとそれはそれで違うし。良いバランスを求めるという事で・・・いや、求めるというとおこがましいというのがあるから、「良いバランスがあったら良い」、です。

現実をかたどり抜く

__ 
これからどんなことをしていきたいですか?
高嶋 
役者主動の発信ですので、この人が面白いなという人と一緒に何かをやれればなと思っています。今のメンバーも面白いですが、違う組み合わせや新しい人ともやりたい。ただ、それだと僕が作家だと言えるかどうか、というのもあるのかな。あと、今のところは演劇を通じて伝えたいテーマとかはないです。
__ 
可能性を見たいなと思っています。目指している最後の着地点が毎回同じ、というのはどうなんだろう。
高嶋 
そうですね。でも、着地点は一緒でも、一周したところで何かが変わっている、みたいなことはあります。常に、終着点が目論見と違うという事はあると思います。写真のような絵画のように。現実を抜き出すことについても、ちょっとずつ異なる結果が出てくる。
__ 
では、作品が観客にどのような存在となるのか、そこに夢を見出せるような、チャンスのある作品であるべき。そういう考え方についてはどう思いますか?
高嶋 
僕は7:3で、それを探さなくても良いという考えにいきかけていますね。
__ 
なるほど。それを踏まえて、今後はどんな製作を続けていかれますか。
高嶋 
まず、淡々とやって行くということに加えて、僕の挑戦の仕方として、僕の知らない人とか世代が違う人と一緒にやって、その人達の面白さを生かした作品が作りたいなと思ってます。今のメンバーも好きですが、その人達に限らず探っていきたいなと思ってます。

舞台外の彼ら

__ 
ユニークな後付けの表現。これをどうやって受け取ってもらいたいか、意識がなんとなくわかった気がします。愛してもらいたいみたいな事なんでしょうか。
高嶋 
はい、その辺りは企画の立ち上げ当初からありましたね。
__ 
なるほど。まずは伺いたいのですが、後付けはどういうところから始まって行ったんでしょうか。
高嶋 
起点は、僕がまず入谷旭くんや、劇団洗濯氣のじゅういちくんとかと知り合って話すうちに、舞台上ではない日常で話している時間の面白さと愛しやすさ、それをまるっきりじゃないですけど舞台に持っていったら面白いんじゃないかなと思って。それが初めでしたね。まず僕が面白いコメディが作りたいなというのがあったんですが、これまであんまりバシっとこなくて。そういう人たちの生の姿を伝えたいと思ったし、それを伝えるのは僕が割とうまいんじゃないかなと思ったんです。ただ、やっぱり役者発信の引け目みたいなはあります。役者には常に感謝してます。

表面と内面から

__ 
後付けの作品を作るにあたって、今楽しみなことは何ですか?
高嶋 
本番の上演にて、役者たちの台詞でどういう反応が返ってくるのかというのが、まず楽しみです。今回は不条理といえば不条理な、まず形式的なコントではないので、果たして受け入れられるのかどうかと言う壁がありまして。爆笑なのか失笑なのか、その後にどういう感想を頂くのかも楽しみです。
__ 
そのために大切にしていることは何ですか?
高嶋 
まず、一般的なコメディーを作る上で、お客さんの反応を想像した間や演技などの表面的な部分を作り上げることが大切だと思っていまして。一方、もう一つの内面的なことで言うと、お客さんを掴みにいく意識。同じ空間に引っ張り込む感、そういうものを何となく大切にしていきたいなと思っています。
__ 
内面。同じ空間に引っ張り込む。
高嶋 
僕自身がたまに経験することなんですが、何かでラーメンを食べていて、何も面白いことはないんですけどなぜか笑けてくるみたいな。特に面白いこともないけど、家族や友達でぼんやりテレビを見ている空間に飲み込まれる。言葉であまり説明しにくいですけど、一体化してしまい、そこからふっと離れた瞬間に笑いが起こるような。
__ 
想像上の繋がりというやつですね。実際には存在しないが、ある種精神的な構造が各々の差はあれ一致する点が多くなり、同時空間において同じシチュエーションに身を置き、自分の意識と他のメンバーの意識の方向性が一致し、そこに一時、原始的な退行が発生してしまう、というところでしょうか。私はこれまでの人生で一度だけ合コンを体験したことがあるんですが、それはまあまあうまくいった方だと思うんですけど、2次会にカラオケに行ったし。後付けの公演をそういう風な方向で成功させるにはどうすれば良いのでしょう。
高嶋 
表面上のことであれば、設定をダブらせるという状況を作り出すのが、僕らにとっては一つの鍵なのかなと思っています。演劇祭に出した作品を例にとると、京都タワーについて語るというシチュエーションのコメディをやったんですが、演劇を見にきたのにその女の子のスピーチを見ることになってしまったという・・・そういう構造があったからうまくいったのかなと思っています。次の公演も、ブンピカという特殊なスペースでやりますので、そこに溶け込むようなことができたらいいなと思っています。内面的なところでは、まず、クオリティを保ち、ノイズを発生させないことと、役者その人が舞台に出てきてワーっとやっている感じ。

後付け・劇団FAX主催の短編持ち寄り公演「サフランライス」

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いいたします。最近、高嶋さんはどんな感じでしょうか。
高嶋 
よろしくお願いします。最近は、今月の23日から24日に、後付け・劇団FAX主催の短編持ち寄り公演の準備ですね。
__ 
もうじきですね。どんな公演になりそうでしょうか。
高嶋 
今年の学生演劇祭で上演したコント作品の内の一つを膨らませた公演になりそうです。マクドナルドになりたいという女性が色々相談をするというコントを元にした作品になります。前回の公演よりも、コント公演に近くなると思います。
__ 
後付けにおける、コント公演の定義とは?
高嶋 
曖昧なんですが、僕としては、笑わせるために、日常のやり取りや反応からある程度外れたものを行うことをコント公演と定義しています。
後付け
京都で活動する演劇団体です。主宰は高嶋Q太です。コメディを行います。(公式Twitterより)
後付け・劇団FAX主催の短編持ち寄り公演「サフランライス」
後付け・劇団FAX主催
短編持ち寄り公演
「サフランライス」
【会場】
ブンピカ
(京都大学旧文学部棟学生控室)
【日時】
2017年
12/23(土) 11:00~ / 15:00~ /19:00~
12/24(日) 11:00~ / 15:00~ /19:00~
【料金】
予約:300円
当日:500円
【予約】
『後付け・劇団FAX共同公演『サフランライス』』チケット予約フォーム

10月から毎月舞台に立っていた

__ 
今日はどうぞ、宜しくお願い申し上げます。菊池さんは最近、どんな感じでしょうか。
菊池 
よろしくお願いします。最近は、連続していた本番が終わって一息付いたかなというところです。10月くらいからずっと出演してたので。
__ 
そうですね。「息をまめる」に出て、FoUR DANCERSに出て、ANTIBODIES COLLECTIVEに出て。
菊池 
それと、ANTIBODIESの前に淡水で作品を出してたので。
__ 
あ、それは拝見出来ませんでしたが、お疲れ様でした。今年はまだ何かありますか。
菊池 
今年は男肉duSoleilでライブに出るのと、北村成美さんの八尾プリズムホールのイベントが今週末にあります。本番は来年1月末ですね。
身体パフォーマンス団体「淡水」
振付/演出の菊池航を主宰に2008年近畿大学在学中に結成。人、音、空間、映像など場の関係性を重視し、日常と非日常の境界模様を身体性や空間構成を使い描き出す。サイトスペシフィックな、その空間でしか起き得ない演出で劇場外での公演企画【魚企画(うおきかく)】を2014年までに5回開催、作品を発表。(公式サイトより)
男肉 du Soleil
関西を中心に活動するダンスカンパニー (公式Twitterより)
ANTIBODIES COLLECTIVE
“ANTIBODIES”は様々な鍛錬や境界がダイナミックに関わり合う「インターディシプリナリー」なコラボレーションの形態を発展させていくことに焦点をおくスペシャリストの集合体です。 それぞれのリサーチと実験による蓄積はパフォーマンス・イベントやコミュニティー・ワークショップといった行 為、インスタレーション、出版物などへと結実しながら市民社会や教育の現場に貢献していきます。 “ANTIBODIES”は『抗体』を意味する単語。2015年、京都を拠点にするパフォーマンス・アーティストの東野祥子とカジワラトシオによって設立された。 2000年にダンス作品の制作を開始して以来、アジアや南米地域を含む国内外での公演活動を続け、多岐にわたる地域活性化事業に関わってきた来た 「Dance Company Baby-Q」を母体としている。(公式サイトより)
ラプソディin八尾ブルー
「八尾のものづくり」をテーマに、しげやんときくっちー、
そして市民ダンサーが踊る!踊る!!踊る!!!
なにわのコリオグラファー(振付家)“しげやん”こと北村成美さんが、八尾のみなさんと踊るためのオリジナル作品を作り上げます!
ラプソディ(狂詩曲・rhapsody)とは?
自由奔放な形式で民族的または叙事的な内容を表現した楽曲。
ここ八尾で赤ちゃんから人生の大先輩までさまざまな人々によって踊り奏でられるラプソディにご期待ください!
●振付・演出・美術・出演
北村成美<しげやん>
●出演
北村成美<しげやん>
菊池航<きくっちー>
市民ダンサーのみなさん
●舞台監督
難波まはる
●照明
三浦あさ子
●音響
勝藤珠子
■公演日程
平成30(2018)年1月28日(日)14:00開演(13:30開場)
■会場
八尾プリズム小ホール(八尾市文化会館)
■チケット
全席自由・税込 大人:1,000円 高校生以下および障がい者と付き添いの方1名まで 500円(当日増なし)
※3歳未満で膝上鑑賞の場合は無料。
・プリズムクラブ(友の会)・一般前売発売 12月17日(日)10:00~

ANTIBODIES COLLECTIVE Dislocation Dance

__ 
ANTIBODIES COLLECTIVEのDislocation Dance。とても面白かったです。刺激的な構成と、前半の猥雑な感じ。打って変わって後半は丁寧なダンスでしたね。東野祥子さんはSFだと仰ってたんですが、言葉を使わなくても超自然的な光景を雄弁に語っていたというか。
菊池 
あれだけ舞台作品っぽいのは久しぶりだと思いますね。僕がANTIBODIESに参加してからは初めてで。
__ 
確かにANTIBODIESの作品で、お客さん回遊型以外の作品は初めてかも。
菊池 
今回は凄くダンス作品という事を推してましたね。
__ 
こういう表現はあれかもしれませんが、後半は丁寧なコンテンポラリーダンス作品だったと思います。調和してたというか。作品としてまとまって見やすく、理解しやすい作品だった。
菊池 
見やすかったというのは今回、よく頂いた感想です。回遊型は観るポイントがたくさんあって、見逃してしまうポイントも多いという部分はあったので。見やすいという事はある程度大事で、楽しめるラインというのは守りたいと思いますね。自分で見ていても同じ事を思うし、それはダンスを始めた当初からそうでした。
__ 
Dislocation Dance、60分の怒涛の展開でしたね。そして必要な間が意味を持って存在していて、完成度の高さがあり、製作者が注いだ労力の多大さを感じました。その分の苦労も。
菊池 
どれだけ客観的に見るか、という事もあり、客観的に見るべき部分・そう見るべきではない部分とかもありますしね。
__ 
ああ、そうですよね。そうなんですよね。
菊池 
削ってはいけない間もある。
__ 
お客さんを退屈させてでも保つべき間とかもありますからね。何なら作品の評価が落ちる事が分かっていてもそうすべき間もある。
菊池 
ありますね。
「Dislocation_Dance」 ANTIBODIES Collective New Performance
公演時期:2017/12/2~3。会場:京都芸術センター フリースペース。

この作品は京都芸術センターにてWork in Progress発表し、2018年4月には横浜赤レンガ倉庫ホールにてリクリエーションし、形態を大きく変えて上演。さらに最終的には岡山県犬島の島全域を使った、大掛かりな自由回遊型の舞台芸術作品として成長していきます。

2018 performance
YOKOHAMA 横浜公演
2018年4月28日(土)、29日(日)
PLACE:横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fホール
神奈川県横浜市中区新港1-1-1

INUJIMA 犬島公演を計画中
2018年9―10月頃を予定
PLACE:岡山県岡山市犬島
助成:公益財団法人福武財団

犬島パフォーミングアーツ助成/企画助成
地元との関係構築や島の歴史・風土を理解する機会として、平成 30 年度中に犬島に滞在し、公演環境を考慮した実現可能な企画立案を対象とした助成です。 ANTIBODIESは本年度の助成を受け、来年度の犬島での公演に向けた企画の検証やリサーチを行なっています。

今年の思い出

__ 
今年はいかがでしたか。かなり出演が多かったと思いますが。例えばFoUR DANCERSには2回以上出演されましたよね。
菊池 
結構呼んでもらいましたね。今年の思い出・・・春先の事はあんまり覚えてないんですよね。でもやっぱり、「踊りに行くぜ!」で山下残作品に出た事は大きかったですね。
__ 
ああ、「左京区民族舞踏」。大変面白かったです。
菊池 
去年の今頃、城崎で3週間、滞在制作で作りました。夏頃から稽古はしていたんですが、左京区に新しいダンスカンパニーを作るという設定で、山下残のメソッドをひたすらやる、というところから始まったんです。そこで体に対する意識の共有や使い方など、いわゆる「カンパニー」としての作業というか稽古を行うというか。そういう前段階があったんです。それを踏まえながら残さんの中で作品のアイデアが生まれていって、三週間の制作で一つの作品を作っていきました。
__ 
贅沢ですよね。
菊池 
それこそ本当に合宿なので。城崎に滞在するチームによってそうした時間の使い方は違うと思うんですけど、僕たちの場合は本当に「カンパニー」で。朝10時から集まって、僕は元々ヨガを毎日やってるんですが、それをやり、そこから1時間ぐらい基礎の稽古や筋トレをやったり即興で踊ったり。そしてお昼ご飯を作って、昼寝して、そこから夜まで作品作りの稽古でした。本当に、作品と生活の事しかやらなかったですね。その「踊りに行くぜ!」と、ANTIBODIESは、今年の中でもガッツリと取り組んだ現場でした。
踊りに行くぜ!! ? [セカンド] vol.7 ダンスプロダクション[全国公募・新作]「左京区民族舞踊」
振付・演出:山下 残 音楽:田島 隆ダンス:菊池 航[淡水]/瀬戸沙門/山下 残

男肉duSoleilと私

__ 
今年は男肉duSoleilは「お祭りフェスティバルまつり」と「リア王」やりましたよね。「お祭り」で、指を鳴らすと五星紅旗が画面に出る奴。あれは面白過ぎましたね。
菊池 
団長が思いつきでいつもそういうものは考えます。やりたくなるんでしょうね。
__ 
特に「リア王」は真面目に作られた作品でしたね。
菊池 
男肉は作品性とは違い、意外とマジメに作るんです。その赤がどうのとか悪ふざけもありますけど。(笑)大学の3回生から本公演に出演し始めました。その年にindependent 1stで「ツキイチ」企画で毎月公演していて、その2回目から本格的に出演しましたね。
__ 
私はすみださんが「空だーっ!」って上を指すセリフを強く覚えてるんですけど・・・
菊池 
あの頃は結構、尖った事をやってたんです。「ツキイチ」の最初は全然お客さんが入らなくて、5人とかの回がありました。
__ 
最近はライブハウスでも出演されるんですよね。
菊池 
そうですね、結構、月1回か2回は出てますね。それはそれで、いつも通りの男肉です。コントしながら、何かにかこつけて3、4曲くらいダンスしてます。
__ 
男肉の巻き込んでいく力は様々な劇団や人に影響を与えてますよね。
菊池 
そうですかね!? だったら嬉しいんですけど。全然そういう話は入ってこないですけど。
__ 
ある程度好きにやったらいいんだ、みたいな。いや、私に影響を与えてくれたんです。
菊池 
なるほど。ありがとうございます。
大長編 男肉 du Soleil『お祭りフェスティバルまつり』
≪京都公演≫ 2017年2月9日(木)~12日(日) <会場>元 立誠小学校 音楽室 ≪東京公演≫ 2017年2月20日(月) 21日(火) <会場> 駅前劇場
大長編 男肉 du Soleil 『リア王』
≪京都公演≫ 2017年7月27日(木)~30日(日) <会場> 元 立誠小学校 音楽室 ≪東京公演≫ 2017年8月7日(月) 8日(火) <会場> 駅前劇場

「反応」

__ 
ANTIBODIESのこの間の作品「Dislocation Dance」、やっぱりインタラクティブな演出がとても気になっていたんですよ。巨大なオレンジ色の風船が舞台下手で膨らんでいくというシーンがあって。ものすごいビビットだったんです。で、ダンス作品なのにそういう仕掛けを使うという事は、明確に、具体的な特定のイメージを観客に与えたいという意思を感じたんです。
菊池 
はい。
__ 
そこで思ったんですが、ダンス作品において、観客の反応を掘り下げて考えた事があんまり無かったなあ、という事に気が付いて。というか、「反応」も、人間のコミュニケーション手段の一形態で、意識的に制御することが非常に難しい部類のものである事に気付いたんですよ。一度に一つしか選択出来ないし。そう考えると、我々の祖先たちが過ごしていた過去の時間においても、人は自分の反応を制御出来て無かったんだなあとか思うと不思議だ。ダンスを観ていても、物語と言葉が無い場合が多いから、反応が観客の内的作業のベースにならざるを得ない。それがもし、不特定多数の客席において大まかに方向性を一致させる事が出来るのなら、そこに何らかの可能性があると思う。
菊池 
この間の作品においては、その「反応」の方向性をある程度固定化してしまっているんじゃないかな、という気もしていて。それがどうでるのか、という気はしています。SFとか、政治的なテーマであるとか、連想させるイメージはある程度方向付け出来ていて、ただそれはもっともっと多様な見方が出来てもいいんじゃないか、と思う部分もあります。もちろん今回の作品はそれがテーマなので、やっている側としてはそれが正解だとは思いますが。
__ 
見やすいというのが、果たして善なのか問題。
菊池 
ダンスというのは、(お客さんに)振り過ぎても逆に捉えられないからキツいんですけど、もうちょっと広くてもアリっちゃアリなのかな、または、それぐらい色を出すならコンセプチュアルさ、コンテクストやロジックに突っ込んでもいいのかなと。

ダンス甲東園2017「息をまめる」

撮影:高橋拓人
__ 
高野裕子さん振付作品「息をまめる」にも参加されていましたね。いかがでしたか。
菊池 
あれはとても良かったです。出ている側として良かったし、その良かったと思える何かが観ている側にも伝わったのではないかという実感があったような気がします。高野さんはじめ僕らは、やり方やスキル、構成などを使って「何か」をやるんですけど、その何かというのは高野さんが「誰かと一緒に踊りたい」「その人と一緒に踊るにはどうしたら良いのか」を本当にその人と向かい合って、一緒に考えて、やる、という事を・・・何というのかな、クリエイションの過程で作った関係性をそのまま舞台に載せるんです。出演者全員が、他の出演者同士全てとの間で。
__ 
なるほど。
菊池 
「まめる」という言葉は、作品中でも発話していたのですが、「混ぜる」というかいっしょくたにする、とか色んな意味があるんですけど(壁一面に塗り付けるとか仕事に精を出すとか)、息をまめるというタイトルの通り、全員の息をかき混ぜて一緒にする。という事がある種の目的だったんように思います。で、高野さんはこのタイトルを思いついた時点では「まめる」という言葉が実際にあるとは知らず、造語で「息をまめる」という感じやねんなー、と。でも調べてみたら実際にあった。
__ 
奇跡か偶然か。いいですね。
菊池 
稽古している間とかは、僕は意識はしてなかったんですよ。それぞれにそれぞれのミッションがあったし、それをこなす事が大事だと思ってたんですけど、小屋入りの前日にコンタクト的なシーンを練習する過程で「息をまめる」という感覚がすっと、分かったんですよね。言葉にしづらいですが、ああ、こういう事がしたかったんだ、って。
__ 
感覚は、およそ最も意識に近い層の、トータルな情報ですよね。「息をまめる」はコミュニケーション段階を重視する作品という事であれば、「相手に伝えた時の感覚」が肉体を通して観客に伝わった。多分そういう事は多かれ少なかれ起こっていたと思いますよ。それは究極的な現象だと思います。
菊池 
そうですね。きっとこちらが本当にそういう風に感じていないと伝わらないし、それでも伝わらない作品はあると思いますが、「息をまめる」に関してはそうじゃなくて。高野裕子という人の人間性がモロに舞台に乗った作品だったと思います。それは、観た人も悪い気はしないと思います。そういった、優しい表現での舞台はあまり見た事がないです。優しいと言っても馴れ合っている訳ではなく、それぞれが自分のやるべきことをやっていて、ちょっとだけ全員が溶け合っているんです。
__ 
色んな言葉でそういう状態を言い表す事が出来ると思うんですが、男肉の小石さんが「悲しい体になっていたら悲しい人間に見えるのだ」みたいな事を言ってたのを思い出しました。
ダンス甲東園2017「息をまめる」
公演時期:2017/11/10~11。会場:西宮市甲東ホール。

カタチが先か、気持ちが先か

__ 
伝わるかもしれない、伝わらないかもしれない。でも出演者・観客の経験に関係しなければそれはきっと違う、のかもしれない。それは生身を売るみたいな発想に繋がっていくけれども。
菊池 
カタチが先か、気持ちが先か、という話に繋がっていくと思うんですが、大学での先生だった竹内銃一郎さんがおっしゃるには、感情は要らないと。とにかく全て段取りで「ここで何秒止まって、ここまで歩いてこうして」ということをきちんとやれば自ずとそこに感情は生まれる、と。決して感情が優先ではないと。それはそれで凄いなと思うんですよ。ダンスも一緒で、感情的にやったらいいのか、というのはまた違う。段取りは段取りであって、それをこなしながらさらにそれを越えないといけないのかなと思いますね。振り付けをするときはそこを考えないと。
__ 
段取り、型。
菊池 
僕自身は、そういうマインド的なものは割と否定的だったんですよ。でも高野さんの作品では、それが良くて。考え方が変わった部分はあります。もちろん気持ちの乗っている作品とそうでないものは分かってたんですけど。
__ 
高野裕子さんの作品では、出演者同士の対話を非常に重視するそうですね。「人と踊る」ために。
菊池 
色んな事は当たり前じゃないんですよね。踊ることはなおさら当たり前じゃない。立つ事も。だったらもちろん、誰かと踊ることも当たり前ではない。僕は、それはあんまり考えたことはなかった。だからそれを可能にするにはどうすればいいのか。

質問 繁澤 邦明さんから 菊池 航さんへ

__ 
前回インタビューさせていただいた、うんなまの繁澤邦明さんから質問を頂いてきております。「彼女はいますか?いるとしたらどんな関係ですか?」これはプライベートな質問ですので、お答えになりたくなければ結構です。
菊池 
います。関係性はなんというか。随分長い事付き合っていますので。

揺れ動くロウソクたち

撮影:松田ミネタカ
__ 
ダンスについて最近考えている事はなんですか?
菊池 
うーんと・・・中身ですね。テクニックとか、どう踊るかとか、形よりも、マインドというところともまたちょっと違うんですけど。立ち方というか。言い方が難しいんですけど、どういうつもりでそれをやるか、自分の中での位置付けとか。覚悟というと言葉が強いんですけど。
__ 
存在理由と呼ぶべきものでしょうか?
菊池 
まあそうですね、結局それがないとどういう形でやってもどういう段取りでやっても良くないし面白くない。ということを最近特に思っていて。
__ 
それは確かに、マインドとは違いますね。
菊池 
そうですね、頑張ってやるのは当たり前と言えば当たり前なので。頑張って形を形通りにやろうとするというところじゃなくて、何のためにそれをやるのか。何て言ったらいいのか。やっている方がどういう雰囲気を出すのか、いや、出したいとかじゃないのか。いい言葉が出てこないんですけど。だから淡水でやったこの間の作品は、その事だけしかやってなくて。
__ 
というと。
菊池 
ダンサーは手に壁に付いているスイッチの部分だけを握っていて、それをそれぞれ押していくんですけど。舞台に上がった最初にお客さんの人数を数えて、その人数に等しい回数になるまでスイッチを押していくというだけの。
__ 
ヤバいな。
菊池 
はい、形の振付は全くなく、ただ見やすさの事はあるので要所要所で形みたいなことは付けたんですけど。でも数字を回していくだけ。で、いま数字がどこで、誰の順番なのかをとにかく必死に考えるということだけに体を集中させる。ただ、数字を押すだけではなくて、自分の番が回って来たら自分のスイッチを押す瞬間まで自由に動いてもらうんですね。ただしその動くことの基にあるのは「一番最小単位のダンス」をすることで、ボクにとってこれやったらダンスだろう、というものは何かというと、重心を一回でも移動させたらそれはもうダンスと言えるのではないか、という。それはやっている本人にしか分からないぐらいちょっとした移動でもいいし、もの凄く動いてもいい。でもあくまで自分の重心を動かすというところから外れては、嘘だから。
__ 
ロウソクの火のように、という事ですよね。
菊池 
その時の構成によっては、自分の中で数字を数えるであったり、数字を他人と回す事を考える。その間は体がほんの少し動いているだけ、でもそれっていうのは自分の中ではものすごい作業に集中していて、それは見ている側にも伝わると思うんですよね。その身体の状態。また何かしらの法則性が。
__ 
その内側での作業がダンサーで行われている様を、観客はどのように受け止めているんだろう。というのはやっぱり、観客の視線による理解ではない領域で洞察されるんじゃないかなと思います。それだけ純粋に集中している人間の意識の濃淡や方向性は、それはやっぱり伝わる。それが出来なければ、少なくとも演劇やダンスなんて生まれる訳がない。ただし論理的な解釈は十分には出来ない。とはいえ、その劇場における純粋さの度合が高ければ高いほど、それぞれが定義する形而上的な価値に近づいていくんだろうなと思います。
菊池 
中身のことをやるうえで、今回の作品で目指していたのは集中している身体の実現で、そのためにはどういう事を負荷として課せばいいのかを考えていました。まあでも、最終的にそういう状態になれるなら負荷は無くても良いし、逆にそれが当たり前に出来ていて欲しい、というのはあります。中々それを共有するのは難しいですが。一応、システムとしてそういう作品を作って、トレーニングしようかなと思っています。立ち方を変えるとか、どのくらいの身体のスタンスを取るか、とか。そういうのを考えれば出来るし、立っているだけで十分見せられるんだな、というのがここ一年で獲得した感覚ですね。でもこれを他の人に伝えるのにどうしたらいいのかなと。僕がどれだけ出来ているのかというのもちょっと分からないんですけど。

他の人たちは一体どうやって作品を作っているんだろう

__ 
今日のインタビューはそろそろ終わりますが、何かおっしゃっておきたい事や聞いてほしかった事などはありますでしょうか。
菊池 
そうですね、皆さんが一体どのように作品を作っているのか、そういうのを知りたいなと最近は思いますね。ここ2年ぐらい淡水では作品を作っていなかったんですけど、それまでの作り方が何か違うなあというのは思っていて、かといって全然新しいやり方を試すのもどこから取っ掛かりをつくろうかと。いま持っている方法論もあるんですけど、これからどういうことをしていこうかなと考えていて。なので、どういうやり方でみんな作品を作っているのかなというのに興味があります。
__ 
ゼロから1を生み出す訳ですからね。