「チッハーとペンペン」

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私が最初に拝見したnidone.worksの作品は「チッハーとペンペン」と言う素晴らしい作品でした。私も元々舞台スタッフだったので、何かを作るということの難しさや面白さややりがいについては分かるつもりです。手作りで美術を作る、その精神が、チッハーという女の子のキャラクターや世界と非常に強く並走していたんですよね。いきなり私の考えを述べますと、「チッハーのおへや」という着地点を目指して作られたものじゃなかった様な気がするんです。ある種の冒険であるとか、面白さを求めながら作り続けると言う足跡を、生きた舞台美術、生きた舞台照明を感じたんです。
福岡 
それしかやってない・・・
やま 
うん。そこを経過しつづけての終着でしたね。
__ 
「大阪・新世界からやってきた、動物さんをお助けするマジカルな女の子の部屋」というお題だったら誰でもイメージがしやすいし、そのゴールは思い浮かべやすいと思うんですよ。でも、あの場にあったのはそんな容易なものではなかった。そこに到着しようとして言ってるんではなくて、山本さんや福岡さんの面白いと思っているモノ、がスタートラインだったからできたことだったと思うんですね。
やま 
今回「おにぎりぱん!」では、「チッハーとペンペン」ではトライしていなかったことにも挑戦しています。
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とても楽しみです。なので、あえて「おにぎりパン!」については細かく伺うのは止めておこうと思います。細かいところまで全て楽しみなので、想像もやめておきたい。

”一瞬のために”

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まず福岡さんにお話を伺いたいんですが、「チッハーとペンペン」での照明プランでとにかく素晴らしかったのが、動物から電話がかかってくる時に点滅する、天井近くの間接照明の様になっている明かりが。
福岡 
LEDですね。
__ 
あ、なるほど。
福岡 
メディアアートとかで使われているような照明で、プログラムを組んで点滅するように仕掛けてありました。
__ 
あのプランは素晴らしいですね。「初コールだ!」というテンションの上がりようが。本当に、よく考えたついたな、と思います。
福岡 
観客が頑張ってチッハーと一緒に気合を入れてくれたから、電話が派手に掛かってきた、というのが渡辺が考えていた事だったみたいです。初演とはまた違ってわかりやすく演出できたと思います。
やま 
彼はそういうのをシステム化しちゃうんですよ。
__ 
ああ、ボタンひとつで出来るみたいな。
福岡 
照明卓とコントロールの管理系を繋いでオペをしていました。
__ 
照明と音響と役者とお客さんが一体になる様な感覚。テレビ番組の中に迷い込んだような、という言葉で表現しようと思ってたんですが、お客さんの反応があるショーになっていたんですよね。テレビショーの撮影は途中で止めたりするから。でも演劇は途中では止まらない。盛り上がりに水を差すものはいない。
福岡 
そういうののゴリ押しみたいなところはありますね。渡辺はひたすら音と照明を合わせるプランに集中していて。で、例えば合言葉で冷蔵庫が開くシーンとか、客席にいる子供の声の反応を見て、大きな声を出してくれたらすぐ開く、という演出で、音響さんにその判断が委ねられてたりしてたんです。照明オペとしてもその操作を感じ取ってこちらも動くみたいな。
__ 
他にも色々印象に残ったシーンばっかりで、ハートが作られる時とか、ペンペンに魔法を掛けるシーンとか。なぜあんなにも、お客さんを盛り上げるさせる音と照明の連携のセンスがあるのか不思議でならない。
福岡 
美術についてはこちらがある程度用意するんですけど、何がどう動くか、いつ光るかは渡辺が全部決めてるんですよ。明かり作りとかの調整で、ここをこうして、と言われて「マジか」と思いながら作業しています。
__ 
渡辺さんの演出はどうですか。総体的に。
福岡 
後で思い返して、「やっぱり正しかったな」と思うことは多いんですよ。その時は「ハァ?」と思っても。まだまだやなと思います。
やま 
(笑う)
__ 
最終的には一つの判断を選ぶしかないじゃないですか。そこが仕事の難しいところですよね。
福岡 
できるだけ早い段階でビジョンを決めてしまうんですよ、渡辺は。時間がなくてもできてしまうんです。MVも粗編集ですごいのを作ってきたりして。絵コンテとかも簡単に切ってきて。
やま 
ビジョンが既にあるみたいなんですよね。
福岡 
最初は不安に思ってても。
やま 
渡辺自身はあまり自信がないこともあるみたいで、なんやかんやで道として成立する、みたいな。直接言いたくはないけど素晴らしいと思う。
福岡 
悔しいところはありますね。渡辺が悪いわけじゃなく、僕の落ち目。

トロッコは止まらない

__ 
次はやまもとさんに伺いたいんですが、まずは何をおいてもペンペンですよね。彼にはまさに、「手作りの良さ」とは何かを思い知らせてくれたと思う。購入したものには実施で宿らないものがそこにはあった。
やま 
魂を入れたもの、みたいな。
__ 
私はそれを「抜き身」の価値と呼んでいました。16年前の価値観なので今は伝わらないかもしれないですけど。日本刀を抜いた時みたいな、よく研いだ白米の芯の部分の甘さみたいな、病院の卸したてのシーツの束の中に手を伸ばした時。何言ってるかわかんないと思うんですけど。
やま 
それをペンペンに感じたということですか。
__ 
そういう新鮮さ以前の、着想がこの世に生まれた瞬間のひらめきと言うか。私もそれをこれまで何回か作ることはできましたが、チッハーとペンペンはその塊だった。
やま 
初演と再演ではペンペンは異なるものでした。初演は既製のものでしたが、再演ではペンペンも登場人物の一人として作ろうと言うことになりまして。
__ 
そうそう、再演のペンペンは、回転すると遠心力で羽が横に広がるんですよね。副産物と言うか。
やま 
実は、手動で羽根をパタパタと動かせる用にしよう、と仮止めしていたんですが、振るとパタパタするのが可愛かったから、あ、こっちだ、と。
__ 
もうそれ以上はする必要がありませんでしたね。遠心力で羽が振れるから良いんですよ。
やま 
良かったです。
__ 
舞台美術全般にしても、開けてないプレゼントの箱だとかが散りばめられてあって。ワクワク感もありつつ、チッハーのずぼらさも感じさせるみたいな。そして、トロッコのセットね。
やま 
気付かれましたか。
__ 
音と照明と踊りが合わさって、トロッコが到着するんですよね。そんなことが出来るんですか。そして、しようと仕事するんですか。
やま 
とにかく、私と渡辺が2人でミーティングをするとボケようとするんですよ。笑いを取ろうとするんです。トロッコにしても、スムーズに着くんじゃなくて、よたよたと進んで前途多難がありーのでようやく間に合う方が笑えるし、見ている大人にも子供にも「それが笑えるものだ」と気づいて欲しい。
__ 
笑えるものへのこだわり、以上の何かになっていたと思います。コストと時間を最も効率的なやり方で調整して作ったものでは残せない何かが残りました。ガタガタと進むトロッコ。予算があればすぐ着地できるんですよ。でも言っちゃ悪いけど我々が昔そうしていたように、予算はそんなにない。298円ぐらいのペンキを混ぜればどんな色でも作れるし、マスキングテープを貼ればネジも隠せる。汚いけど、そうじゃないとたどり着けないところがありますね。
やま 
と、私も思ってます。
__ 
でも、必ずどこかで、それを諦める瞬間があると思う。欲を言うならそうなって欲しくはない。お二人とも、16年後ぐらいには労力を惜しみ、過去のフレームワークの流用や、クラス継承、バリエーションによるコンテンツ感の錯覚戦術とか、そういう手法に絶対に手を染めるかもしれない。けれど、頑張って、今の手を忘れないで欲しいと思っている。
やま 
そうですね。現状、間違いなく、技術を向上させないといけないんですけど。いま、柴田隆弘さんの元で修行させていただいてて。一個一個に集中することも大事にしつつ、ちゃんとした技術も持っていないと続けられないことだから。どちらの気持ちも忘れずに続けたいなと思っています。
__ 
両方。職人的な、美しさへの執着。そしてお金と時間、クライアントのご希望に収まったもの。好きなものを作るのが一番だと思うんですけどね。

「集団製作」

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はっきりと、製作に前向きになれた瞬間はいつですか?
やま 
舞台美術に固まったのは、nidone.worksで作る様になってから、なのかなあと思います。これを仕事にできるかもと思ったのは。集団制作で物を作ると言うことに対してずっと意識は向いていて、だから京都造形大学に入ったんですけど、でも「本当にこれなのかな」、集団制作ってこういうものなのかな、それこそ妥協に妥協を重ねることばかりで、そもそもの会話が成り立ってないとかでオモシロくないなぁと思っていて。でもnidoneの4人(福岡、やまもと、渡辺、加藤)でよく話す様になり、こういうのをやりたいねとかを話す時はすごくワクワクして。作ったものがさらに良くなっていく感覚。初めて共有して手に入れた感覚があったんです。これが集団製作や~~!と思ったんですね。その瞬間です。
__ 
一人だけ突出してしまってその一人の製作によってその一人のための満足が得られるとかじゃなくて。
やま 
価値ですよね。高校とかで行ってきた集団創作も楽しかったんですけど、そんなレベルじゃない価値を感じました。作って押し出したものが、お客さんにとっても「これだ」と思ってもらえたことがとても大切で、大事なことです。
__ 
それを忘れて存続のための仕事になっていくと良くなくて。年かさになると革命なんか求めなくなりますからね。福岡さんはいかがですか。
福岡 
僕の場合はnidone.works以外にも色々な現場に入っていて。照明プランにはパターンみたいなものがあるじゃないですか。ここで人が喋っていたらそこにピンスポットをうつ、みたいな。でもnidoneだと普通はやらないことをやっていて。「なんじゃこれは」と、戸惑ったんですけど、舞台っぽくない製作にみんなが慣れている感じに刺激を受けました。今でも、プランのアイデアを話している時は普通のやり方に持っていくんじゃなくて、ボケます。
やま 
ボケる瞬間。
福岡 
nidoneの場合はそれが案になったりします。過去に積み上げてきたものをとりあえず脇に置いておいて、
やま 
君はボケているよ。
福岡 
結構ボケます。
やま 
自分で言うてもうてるな。
福岡 
ボケだったらどんなことでも言えるじゃないですか。もしかしたらそこから拾えるものもあるかもしれないし。ちょっとこう、自分のキテレツ感をブーストして無理やりながら言ってみると。ボケが7割くらいの発言ですけど。
やま 
お互いがボケ合った末に採用されるアイデアもあるんですよね。卒業する前にそういう環境に出会えたのはラッキーだったと思います。
__ 
それは本当にそうですね。そういうチームに巡り会えるの人はこの地球上に何割もいないですから。普通の人はそういう関係性に巡り会えずに死んでいくから。まあ、いつかバラバラになるかもしれないけれども。その時でも喧嘩別れはしないようにして欲しいです。
福岡 
結婚したとかだったら、話し合うと思いますけど。
やま 
ケンカ別れは嫌だな~。今スタートラインに立ったけれども。4人じゃないと回らない組織になってしまうことによる危険性もきっとあるから。
__ 
チームを組んだと言う事で少なからず保守化という傾向も生まれてくるわけなので。
やま 
攻めていきたいですね。
__ 
たまたまエプスタインがいなかったら、彼らはどうなってたんだろう。リヴァプールで終わってたかもしれない。
やま 
たまたま出会った幸運のぶん、頑張っていかないといけないなと思ってます。

__ 
どんな製作をするのが夢ですか?
福岡 
僕はnidoneでは照明をやってるんですが、撮影とか舞台映像演出もやっているんですが、それをやりつつ、nidoneの映像面のカバーもやっていて。舞台以外の映像製作をやっていきたいです。その辺りを充実させるのが夢です。インスタレーション的な照明作品もやりたいなと思っています。パフォーマンスあるなしにかかわらず、映像も組み合わせたりして。
__ 
どんなものを展示したいですか?
福岡 
実現するしないかはともかくやってみたいと思うのは、音と照明と映像を全部、自分の手で操作したら作動する、みたいな事ですね。
__ 
なんとなくですけど分かる気がします。
福岡 
技術ありきじゃないですけど、舞台上にセンサーを張ったりして作動するみたいなプログラムを開発して、音や映像と同期するみたいなのを、一人で作りたいんですよ。
やま 
そう君は研究するみたいなのが得意と言うか、その辺を任せたくなると言うか。技術方面がハマると思っていて。
福岡 
そこはnidoneとかけ離れているから、出来るかどうかはですけど。
__ 
それはnidone関係なく、ご自身のものとして大切にした方が良いと思います。そのメディアアートで、人を驚かせたいと言うことですか?
福岡 
照明卓には照明卓のアルゴリズムがあるんじゃないですか、その処理を自分でイチから作れることに興味を持っています。
__ 
システムをゼロから作りたい?
福岡 
機材は既存のものですが、仕組みは本当に自分で作りたいです。
__ 
それは必ずできると思います。それを作りたいと言う発想は誰の心にも宿っているわけではなくて、それを持っている人はすでに心の中にフレームワークがあるんですよ。だから形にするのは簡単です。
福岡 
僕は最初照明だったんですけど、プログラミングで、こうしたらこういう信号が出るから、それを受ける機械に流す、みたいなのを習った時。単純な0と1のレベルまで掘り下げてみた時に、これはめっちゃ面白いなと思ったんですよ。そうなんだ!と。
__ 
その瞬間ですね。
福岡 
映像にしても、デジタルのレベルでの仕組みがあって、音との同期という概念を見つけて、全体的なフローがあって、自分でそれを作りたいと思うんですね。
__ 
今の学問は文系理系情報系に分かれていると思うんですけど、情報系の基本はレイヤーという概念を基礎にフローによる体系の製作ですからね。PCとの戦いですよね。

裏方のエンターテイメント

やま 
どんな製作をしたいか、というのと同じぐらい、どんな製作者になりたいかを考えていて。自分の中のアーティスティックな側面をおし出すと言うことじゃなくて、やりたいことを持っている人のイメージを具現化することに私が持つべき責任があると思っていて。微妙なニュアンスなんですけど。「ハートの扉が開く」というト書きがあったとして、言葉どおり再生するべく具現化すると言う事じゃなくて、そこに意味のあるビジュアルを持たせる仕事をする。そういう製作者になるのが夢です。自分の中に一本筋をおいているのは「裏側のエンターテイナー」で、夢を提供する製作者でありたくて(言葉はちょっと上からなんですけど)。比較的、言葉を読み取る力が自分にはあると思ってるんですが、それを使って人と機会を繋ぐ人材でありたいと思っています。
__ 
「言葉を読み取る」。
やま 
文章を読み取った時点でビジュアルが何かしらくるんです。頭の中に。それをさらに本人に聞いて確かめて、「それってこれがこうなってる」、とか、「こういう形でも表現できるんじゃない?」とかの打ち合わせをして。
__ 
まさに美術的ですね。
やま 
演劇以外のことかもやっていきたいと思っています。去年半年間イギリス留学に行った時に感じたことだったり、2年前にいろんな大学の分野の違うところから集まった学生たちでお化け屋敷を作ったことも大きく経験になっていて。今は音楽関係の人が持っているビジュアルは演劇の人のそれとはまた全く違うので興味があったり。私個人としては、色々な分野の人の橋渡して、一緒に何かを作れる様にトライし続けたいと思ってます。あと、よく役者に間違われるくらいに喋ってしまう。裏方やけどとにかく周りを楽しませたいという気持ちが強いです。
福岡 
僕たちも楽しいです。小屋入り中も楽しいです。
やま 
作業はしますが、笑いを取ることに集中しています。
福岡 
自分で自分の美術を褒めたりするしね。
__ 
裏方だけどエンターテイナー素晴らしい。分野と分野の橋渡しをする。ふた昔前の言葉で言うコラボレーションが取りこぼしている部分を「インターフェース」と呼ぶと思うんですけど、その辺りをやってそんな感じがしますね。

質問 芦谷 康介さんから nidone.works(2)さんへ

__ 
前回インタビューさせていただいたネコザポンティさんから質問を頂いてきています。「最近言われたドキッとしたことは何ですか?」
やま 
柴田さんに言われたんですけど「いつからがプロなのか」という話です。意識の話でもあるし、技術の話でもある。続けていくことで成り上がる部分もある。自分でどこにその基準を置くか。私はまた絶対プロではないから、ドキッとしました。何か完成かというかについてもずっと思ってます。芸大生みたいなことに悩んでいます。
__ 
まあ芸大生ですからね。諦めて悩んだら良いと思います。
やま 
そこを考えすぎて落ちるのも違うし、考えないのも良くないので。とにかく明るくあるというのが近づける方法なのかもと思っている最近です。
__ 
福岡さんはいかがですか。
福岡 
この間ヨーロッパ企画さんが毎年やってはるバーベキューに参加させてもらって、自分たちのことを色々な人に紹介させてもらったんです。
やま 
売り込みに。
福岡 
結構、「スタッフしかいないの」とかをめちゃめちゃ聞かれたり、「あまり聞かないような形だよね」とか言われたり、「最初から舞台以外の制作をやってるのは珍しい」とか。

大事なこと

__ 
舞台を作る過程でどんなことが大切だと思いますか?
やま 
会話です。
__ 
それはなぜですか?
やま 
青臭いけど・・・集団制作なので、全員の力を全て引き出すにはコミュニケーションが鍵やろうなと思います。合う人合わない人はいると思うけど、合わない人でも信用をおかないといけないし。
__ 
破壊的なコミュニケーションはどうしても下方向へのスパイラルに陥りがちですからね。
やま 
そうですね。肯定と信用のコミュニケーション。
__ 
そして、それが苦手なクリエイターは必ずいますからね。
やま 
そういう人からも引き出せるような高め合い方があると思うんです。目を合わせて、言葉が少なくてもちゃんと読み取るみたいな。そういう人間的なことなんじゃないかなって思っています。
__ 
福岡さんは。
福岡 
僕の場合は高めるというよりかは「否定をしない」ことも大切なんじゃないかなと思っていて。指示を出されても「無理!」って最初に言わない様にする。
やま 
ああ、それは間違いないわ。
福岡 
言っちゃうんですけど、その代わりに「予算的に厳しいのでこういう形ではどうか」とかいう形で。
やま 
1回受け止めるみたいな。
福岡 
どれだけ何それと思っても、「なるほどね」と言うのは割と心がけています。
やま 
今も一緒に製作してるんですけど、確かにそういう時怪訝な顔はしている、でも聞いてくれてる様な感じです。「じゃあどうしよう」という話になりあえる感じです。
__ 
「持ち帰る」というやり方ですね。即答はできないので一旦持ち帰って、複数の案を返却するみたいな。
福岡 
そういう場合のミニプレゼンをやる力もやって行きたいなと思ってます。打ち合わせを行うときにも何を話すのか、何を話すべきではないのか、みたいなのもコミュニケーションに含まれると思うので。
__ 
そういう打ち合わせの重なりってお客さんに伝わりますからね。
やま 
厚みを持っていきたいですね。渡辺は厚みを求めるポイントがたくさんあって。他の演出家やディレクターと違うポイントもたくさんあって。それに応える量も多いから、それが良さでもあるし、時間がかかると言う課題もある。
福岡 
課題でありつつも功を奏している部分もあったりして。脚本が上がるのが遅かったり。
やま 
美術が応える時間も結構かかったりするので、イラストや口頭で意識合わせをするんですけど、何箇所もこだわりのポイントがあるんですが、「そこを考慮するの?」みたいなポイントもどんどん出てきたりして。チッハーとペンペンは時間ギリギリになって役者の動線だったりだとかまでに気を配れなかったりして。nidone.worksには舞台監督がいなくて、外回りは加藤、内回りは私が担当しているんですけど、そこも課題です。加藤はあの歳で何でもやれるし、ものすごいバイタリティーなんですけど・・・
福岡 
裏側の整理に関しては本当に課題で、冷静に考えたらもっと気をつけないといけない部分がある。そういうことに関しては反省があります。
やま 
力及ばずな部分があります。それは若さ故で解決してはいけないところなので。

明日

__ 
今後、どんな感じで攻めて行かれますか。
福岡 
とりあえず撮影の仕事が欲しいです。PV撮りとかドキュメンタリーの仕事をしたいです。
やま 
稼ぐための技術を勝ち取りに行くと言う攻め方ですかね。そしてそれを放出するみたいな。

ロウソク立てとブローチ

__ 
今日はですね、お話を伺いたお礼にプレゼントを持って参りました。
やま 
ありがとうございます。見ても良いですか。
__ 
どうぞ。
福岡 
(開ける)ロウソク立てですか。
やま 
(開ける)ブローチですね。これ絶対私に似合うやつや。
福岡 
これは・・・
やま 
それで暗いところでも仕込みが出来るな。

カレーの話

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。ネコザポンティさんは最近、いかがお過ごしでしょうか。
ネコ 
よろしくお願いします。最近はですね、僕は料理が趣味で家でもよく作るんですね。このところカレーをスパイスから作ってるんですけど、なかなかうまくできないんですよ。
__ 
スパイスから作るんですか!
ネコ 
スパイスカレーが好きなので。いかに美味しいカレーを作れるか、探求中です。でもなかなかどうして、自分で「これだ」と思う味に出会えないんですよね。自分の味、というものに。
__ 
自分の味に出会えたら良いですよね。
ネコ 
機会があれば大阪や京都のカレー屋さんに食べに行って勉強するんですけど、行くたびにどこも美味しいんですよ。で、いざ自分の作るカレーはまだ方向が定まらない、なんて。
__ 
そうですね、店には店の味がありますよね。
ネコ 
それぞれの店に美味しい個性があるので、じゃあお前の味は何やったん、ってなるから・・・
__ 
でも、自分の味に出会ったら一瞬でわかりますよね。私にも自分の料理があるので。それを偶然に作った時に、これだ!と思いましたから。
ネコ 
「まさにこれだ!」と。
__ 
ただ、完全な再現はできないですよね。レシピ通りに再現が出来るかと言えば・・・
ネコ 
そう考えるとプロはすごいね。
__ 
どんな状況や材料でも同じ味が生み出せるんですからね。
ネコ 
昔、ある有名なお店にお金を貯めては食べに行ってて。素敵な方がやっていて、例えば同じ煮物を作るにしても準備や時間を丁寧に扱えばこんなにも味が違う。あとは、空間も含めての料理だとか。なんか、いい経験でした。
よいとな
『ある映画』での出会いがキッカケで知り合った二人が、2015年末より立ち上げた「演劇ユニット」。

「演劇」と書いてはみたものの、踊ったり、フワフワしたりして、あんまり意志の強さは感じられない二人。

「腰は重いが、フットワークは軽い」という、アンビバレントな精神構造を共通にもっている。

狭い場所から広い場所まで、また、短編から長編まで、周りの人に助けてもらいながらも、幅広く舞台を重ねることを目的に活動している。

今日もわりかし元気に生きてます。

P.S
ある映画というのは、コチラの映画
もしよかったら、なにかの機会に観てくれたら、嬉しいな。
(公式tumblrより)
キャパシティせまめ
役者ネコ・ザ・ポンティと中嶋久美子によるパフォーマンスユニット。(公式tumblrより)

よいとなの自由研究

__ 
よいとなの自由研究。よいとなが上演した作品、タイトルは「Tightrope Dancer」でしたね。面白かったです。
ネコ 
ありがとうございます。
__ 
ただ、明確に感想を言えるわけじゃないんです。例えば「プリンター機器ってみんなの悩みだよなあ」とか「演劇をやっている人はお金も時間もなくても、周りの人と上手くやっていくことでなんとか生活と創作を両立できる。都合の調整があるけれども。そういう生活を四角く切り取ったらきっとこうした作品になる」「でもその人は周囲からは都合のいい人として扱われているんじゃないか」とか。生活者と創作者の間の綱渡りを見せてもらったんですよね。いや、切り取らなくてもいい一コマを切り出すと言うか。すごく趣味の良い冒険だなと思いました。
ネコ 
単純に嬉しいですね、そういう風に思ってもらって。今回の作品はよいとなの脚本・演出である殿井 歩さんが去年書いて上演した作品をブラッシュアップした再演です。稽古や対話の中で、変化はしていってるんですけど。
__ 
そうだったんですね。切れ味のある作品でした。
ネコ 
殿井さんが面白いんですよ。殿井さんの才能が僕は面白いと思っていて、でも彼女も僕も、いや、特に僕が、演劇関係の方々にはあまり知られていないので、もっとたくさんの人に見に来てもらえたら良いなーと思ってます。今回はどこから始まったかも分からず、いつ終わったかもわからない。でも、実はそこに劇的なことが起きていた、みたいな感想もいただいていて。
__ 
綱渡りみたいな感じですね。
ネコ 
実は演じている方も綱渡りで、何気ないように見えてたかもですが、非常にスリリングでした。
よいとなの自由研究
公演時期:2017/7/22。会場:恵文社コテージ。

__ 
ネコさんは役者であると同時にダンサーなんですよね。私がダンサーとしてのネコさんを初めて拝見したのはバー弓子だったと思うんですが、とてもかっこよかったです。非常に鋭角的なダンスだったんですよね。構成的にも優れていたし。ネコさんはFacebookのエントリーで、身体に継続的な興味があると書いておられましたが、身体そのものに対してどんな興味がありますか?
ネコ 
ああ・・・なんか、インタビューって、ついつい良いことを言ってしまうじゃないですか。いやポジティブな意味でもね。背伸びをしているわけじゃないんですけど、今の自分より、ちょっと開かれた自分を見せようとしてしまうというか。ただその反面、インタビューの怖さって、半永久的に残るじゃないですか。思考や身体は常に刷新されるけれども、言語化して何かに定着させるとそこで止まったように。ソシュールのシニフィアン・シニフィエじゃないけど、どこまで言語で伝わるのかってのは難しいですね。だから、いまから僕が言うのは、ある流れの中での言葉なのでふんわりと捉えて貰えれば、と思うんですが・・・前置きが長くて申し訳ないんですが。
__ 
いいえ。
ネコ 
僕は表現活動に関しては、若い時からずっと継続的に関わっていたとかじゃなくて、ちゃんとはじめたのは最近なんです。普段は医療系の仕事をしています。医療関係の講師としても長く働いているんですが、自分の研究の中では東京にいた当時、心因性の疾患がテーマだったんですよ。で、そのような患者さんに対するアプローチの一つとしての演劇という手法を使っていることを知って、元々、映画や演劇は見るのも好きだったし。ちょうどその頃、僕は人間関係論や生命倫理について教えていたんですね。で、演劇を見ている時に、どういう心持ちでこの人たちはやっているんだろうと、好奇心でワークショップに行ったのが最初です。そこで劇団のステージタイガーに出会いました。そこでは社会人でも演劇をやれると言われたので。今は退団してますが、今でも仲良くさせてもらっています。
__ 
なるほど。
ネコ 
もちろん、ヒトって動物はなんなんだろうなって関心は続いていて、その流れでダンスにも入っていきました。劇団にアミジロウと言う先輩がいて、彼がコンテンポラリーダンスをしていたんですよ。出会わなければ知らなかったし。そういう風に扉をあけてくれたのはアミさんでしたね。二人とも、まったくタイプの違う性格なんですけどね。

心と身体

ネコ 
人は心も体も一緒だとよく口にするし、特に日本ではそういう風にいいますよね。でも日本でも教育の過程で、デカルトさんあたりからの人間機械論に基づいた一部の西洋の考えがそれこそ身体に強く入ってきているから、実はどこかで心と肉体を感覚的に切り離して捉えているかも。面白い混じり方をした国だと思います。僕のいう身体性っていうのは、もっと生々しく肉体と精神を同一にしているというか。魂は触れ合った場所にこそ宿るって言葉ありますよね。曖昧な意訳ですが。体に関心があるかと言うより、人そのものに関心があるんですよ。
__ 
これまで取材してきたダンサーの方々は、ほぼ全員、心の事について言及してますね。
ネコ 
いやあ、僕がダンサーと呼べるかどうかはわからないですけど。心か・・・
__ 
ダンス踊っているときの心構えはありますか?
ネコ 
分からないです。周りによく言われるのが「お前はいつも、訳の分からないことをやってきている」って。本番は基本、いつも楽しいです。演じる事も踊る事も。心構えというか、そんな感じ。
__ 
緊張するとかは。
ネコ 
あ、もちろん緊張はしている・・・いや、していないかも。どういう感じだろう。呼吸をすること。空間そのものを感じること、なのかなあ。
__ 
その場に身を置くことを感じる?
ネコ 
あ、確かにそれはあるかもしれません。それは口癖のようになってて。その場にちゃんといる事を大事に。
__ 
それは逆に言うと、逃げないという事でしょうか。
ネコ 
いえ、時には逃げてもいいんだと思います。逃げるってのにも色々とあるはずだから。どう言ったらいいのかな。ただそこにちゃんと居ること、その瞬間のためにやっている。でも言葉とか身体って自分一人で作り上げたものじゃないから。色んな人の言葉や身体の影響が、たまたま、いまの僕をこうして喋らせているようなもので。自分一人の力でここにいる、という事はないと思う。
__ 
文脈や影響の交差点にいるという事実が人をして喋らせているのかも。
ネコ 
そうですね。自分がその触媒になっているような。もちろん自分は自分やからさ、自己を捨て去る事は出来ないけれども。例えば、元々僕は総合格闘技の選手もしていたので、お互いのエゴとエゴを思い切りぶつけ合う意味での、文字通りのコンタクトという行為があることも知っているつもりだけど。まるで触媒として反応することができたとしたら、それも良いなあ、と思う。だから、自分で作品を創作するのは、今はあまり好きではないんです。テクストを作るよりはそこにテクスチャー(肌理)としてありたい、というか。作品に質感やレイヤーをもたせることに興味があって。その純度を上げるだけで手一杯。だから僕は人の作ってくれた作品に出たいんですよね。

自分の味

__ 
自分の味を発見したら一瞬で分かりますよね。
ネコ 
さっき言ってましたね。確かに、これだと思うのかな。でも僕は単純だから、別のものを食べたら、あ、これだった!になるのかも。まだまだ分からないですね。演じる事とかも一緒ですね。結構本を読んだり、実際に試したりもするんですけど、毎回、これかなと思ってます。悩みながら。
__ 
創作者って複雑ですよね。ゼロから作る人なんてあまりいない。外からの影響が形作る交差点の上で作っている。それでも、自分の味に出会えたら、それがそれだと分かるし、奇跡なんですよね。
ネコ 
まだ出会えてないのかもしれませんね。カレーに関しても(笑い)。
__ 
そして、何故、これが自分の味だと分かるんでしょうね。
ネコ 
そうですよね。それこそ理屈を離れた、身体で分かる事なのかもしれませんね。

質問 芦谷 康介さんから ネコザ ポンティさんへ

__ 
前回インタビューさせていただいた、芦谷康介さんから質問をいただいてきております。「死んだ後どうなると思われますか?」
ネコ 
それは・・・めっちゃ長くなるから。一応、そういう事を生徒と一緒に考える先生だったので。様々な要素があるからサッとは言えないですよね。肉体自体というものは滅びるけれども、魂とか精神というものはどうなるのか。例えば、輪廻というものはあるのか。それとも生物というものは複雑化された化学反応の塊で、それが終了するのが死、なのか。死んだ後はどうなるんだろう。
__ 
うーん。
ネコ 
ただ、「死んだ後はどうなるのか」、それを考えるのはヒトだけだといわれています。他の動物は死後のことは考えないとされている。なぜかと言うと、彼らは言語によって未来を語らないから。「明日」や「一年後」、「二年後」という概念がないと、未来に対する不安と期待は生まれないんです。動物にも言語はあるし、種によってはなんなら嘘もつけるんだけど「一週間後にここで会おうぜ」という約束はしない、今を生きているから。全然答えにはなっていないけど、そういう疑問を持つこと自体が人間らしいなと思います。
__ 
死んだ後どうあって欲しいか、を考えるのもまた人間らしいですよね。
ネコ 
そうですね。動物だって死ぬ前に怖がったりする行動をしますが、こんな事を言ったら動物が好きな人に怒られるかもしれませんが、単純に危険に脅かされるという生存本能の反応である可能性が高いです。「死んだ後に自分はどうなってしまうだろう」とか「私が死んでも、不在のままこの世界が続いて行く」という思考はないんじゃないかな。人間ほどの死への恐怖は他の動物にはないのかも。自分が死んでもこの世界が続くということに人間はとらわれるから。ごめんね、こんな答えになって。
__ 
いえ、ありがとうございます。

ヤクシャとカメラ

__ 
憧れた表現とかそういうものはありますか?
ネコ 
うーん。例えば、初めてプロセスチーズを食べて美味しい美味しいって言ってたら、隣にいたグルメな人が「プロセスチーズなんかチーズじゃないよ、ブルーチーズとかヤギのチーズこそが本物のチーズなんだよ」と。で、食べてみたらちょっと癖が強くて、今の自分じゃまだ味がわかんないです、ってあるじゃないですか。優しさで、本物のチーズの世界を教えてあげたい気持ちもわかる。ただ、本格的なチーズもプロセスチーズも両方食べたらいいじゃないですか。ハンバーグだって美味しい。いや本当の上質な素材は手を加える必要がない、と言うのも分かるけれども、ミンチにしたハンバーグが食べたい日もある。表現もそれと同じで、僕はどっちかにはまだ偏れないなあ、と。個人的にはけっこうマニアックなところがあるので、演技でも踊りでも追求した世界観がけっこう好きだし、自分でもたまに関わっているつもりだけど。ストレートプレイも素直に好きです。なので、選べないです。さっき言ったけれども、僕はプレイヤーでありたいと思っていて。その時その時の作品そのものに純粋に集中できたら良いと思います。
__ 
演技は結局、役者が個人で作るものなので、分かりやすい表現であろうがマニアックな表現であろうが、自分自身で作るという姿勢を崩さない限り、その人は良い役者やと思いますけどね。
ネコ 
そうなれたらいいですけどね。
__ 
それがそこにいるという事じゃないかなと思います。前々回取材した、門石藤矢さんがそういう事をおっしゃっていて。「いつかどんな演技ができるようになりたいですか」という質問に対して、「分からないです」とお答えになって。演技を因数分解して作り上げることはできるけれども、それに注力してるわけではない、と。もちろん台本はあるけれども、その場その場での反応を大切にして立つのが役者であると。
ネコ 
共感しますね。
__ 
だからこそその人の味が成立するし、そうであって欲しいなと思います。
ネコ 
そうかもしれませんね。だけど僕は、どこかで「自分だけではない」ということも忘れてはいけないなと思ってます。最近映画に出る機会が何度かありましたが、その時に強く感じたのは、カメラの前に立つんですけど、カメラの後ろ側にいる人たちの影響がめちゃめちゃ大きいなという感覚があって。その人たちの結果がここにある。
__ 
カメラの後ろとは、撮っている人たち、という事ですか?
ネコ 
そうですね。その人たちの何か、が結構大きい要素だなと、良くも悪くもですけど。通常はカメラの前では演じる人は孤独であることが多い気がします。やっぱりカメラは暴力に近いな、と。それを言うなら、舞台も、見ている人たちの影響がとても大きくて無視なんてとてもできない。無理にそれをコントロールしようとした瞬間、もはやそれは違うものになってる気がして。それに演じている時は相手もいるし、物理的な相手がいなくても、生々しい空間というか場の存在感がそこにある。もうちょっと開かないといけないのかな、簡単なようで、それはすごく難しいけれども。
__ 
お客さんも最初は閉じているんですけど、後半に向かって自分を開いて行く、みたいなことがあるんじゃないかなと思います。まあ私がそうなんですけれども。個人の人間として。カメラはそういうことはしないので、役者が孤独を感じると言うのは分かります。
ネコ 
どうなんでしょうね。僕は表現活動の世界では友達は少ないし、しかも一般的な流れから演劇を始めたわけではないので、今も、演じるということがどういうことか分からない。だから、色んな人と実験とかできたら、と思っています。意外とね、僕は孤独な作業をしてる時間が多いです。この間東京にいるダンスの師匠に言われたんです。「ネコさんは孤島にいて、そこで独自に進化したトカゲみたいなものだから孤独やろうね」と、それはポジティブな意味でいってくれたと思いますが、いやいや僕、色んな人に影響もされたいから。面白がって揺るがしてくれる人がいたらいいな、と思っています。京都とか大阪の表現活動の人と仲良くしたいですよ。作品にも呼んでくれたら嬉しいのにな(笑い)

世界を見るものたち

__ 
最近の、踊る上でのテーマ教えてください。
ネコ 
見てくれた人がそのまま好きに感じてくれていいので、自分の作品についての解説は普段しませんが。前回のFoURDANCERSの作品にタイトルをつけるなら「往く、過ぎる」でした。それはユクスキュルという生物学者の名前の言葉遊びの意味もあって、彼の環世界(ウムヴェルト)という発想を潜ませて作ったつもりです。作っている過程を見ていた殿井さんからは「他人の夢の中を歩くような作業をしてますね」と言われて、よく当てるなこの人って思いました。それと、この間送っていただいたこのサイトに出た遠藤くんのインタビューで、自分じゃない人の感覚。面白いなと思ってます。環世界も、動物とヒトの感覚はまったく違っていて、ヒトでは可視化できない色を見ることができる昆虫にとってはこの世界はまったく違った見え方をしていて、色が分からない猫にとってはこの世界は白黒で。でもどちらが豊かな世界なのか、と言うのは全く関係ない。世界に客観はなく、それぞれの主観なのだと。ざっくりいうとそんな感じ。
__ 
地球ってそういう独自の感覚に支えられた生活をそれぞれ持つ種族のガラパゴスたと思うんですけど、宇宙からしたらどうなんですかね。
ネコ 
ああ、そうやねえ。宇宙にも生物はいるやろうから。
__ 
いるんですかね?
ネコ 
NASAも認めていると聞くけど。後はいつ見つけるか、だと。知的生命体がいるかどうかは分からないけど、かつて生命がいた星はあるだろうし、今もいるんじゃないかなと。
__ 
コミュニケーション取れますかね。
ネコ 
取れるのかな。全然僕らの常識とは違う生命なのかもしれないし。
__ 
仮に、もし全然面白くなかったらどうします?
ネコ 
(笑う)どういう事?
__ 
宇宙生命体が発見されるんですけど、それは一見普通のネズミで、そして実際マジで普通のネズミで。
ネコ 
確かにそれはそれでビックリするけど。
__ 
なんなら、地球ですでに発見されているポピュラーな種で。
ネコ 
それはちょっとガックリやな。
__ 
そいつらだけしかその星にいなくて、生活サイクルとか、別に独特な点はない。もちろん言語とかも全然発達してなくて。何なら、地球上でその星と同じ環境を作ったら、完全に同じ状況になる。その星にとって最大の事件は人間に発見された事ぐらい。
ネコ 
逆に面白くなっちゃう。何で特に進化もしなかったのか。
__ 
NASAは実はその星を見つけているけど、そんなのみんながっかりするから隠してるんですよ。
ネコ 
なるほど期待させたいからね。ちょっとショボーンやね。
__ 
まあ真相を言うと、宇宙ステーションが昔事故を起こして、そこでの実験動物とコケとかが繁殖しただけ、なんですけどね。生命なんてそうそう、自然に生れるわけがないですよ。
ネコ 
命を作る条件と言うのはやっぱり地球と同じじゃないとあかんのかな。そして、命ってわからんところでさ。死んだらどうなるかという話と逆で、よく授業でも生徒にディスカッションしてもらったんですけど、「生命は、どこからが生命なのか」これは皆さんにも聞きたいんだけど、例えばウイルスは生命と非生命の間にある、とも言われるけど。
__ 
難しいところですよね。
ネコ 
精神分析もやっている精神科医の友達がいるんですけど、彼とは昔から一番、忌憚のないやり取りをしていて。今二人が興味があるのはAIについての問題。例えば、いまのAIが、めちゃめちゃ進化して発展して進歩したらそれは生命と呼べるのか呼べないのか。AIが生命になる条件、または、絶対にならないとするならそれはどうしてなのか。
__ 
どうなんでしょうね。スワンプマンですね。
ネコ 
ある意味、ぽいね。色んな意見聞いてみたいなあ。気軽にこう思うっていうくらいの考えでいいので。
__ 
個人的にはAIがめちゃくちゃ進化しても人間の知性に追いつく、という期待はしていません。でも仮定の上で、人間とほぼ同等の知性と悟性を持つようになったとしても、それはやっぱり人間が作ったものなんですよ。人間は神となっても良いのだろうか、みたいな事かもしれません。
ネコ 
なるほど。うん。AIにとっては人間が創造主なんだけど。
__ 
人間は彼らAIに対してテストしないといけないのかもしれませんね。今のスピードなら、50年以内にはAIに対してインタビューすることがあるかもしれませんね。
ネコ 
僕が今思っているのは、今の段階では、AIとヒトは明確に違うところが一つある。で、それがないと生命としては難しいと思うんだけど。それは、アホらしいぐらいシンプルなこと。
__ 
マジすか。
ネコ 
逆にいえば、これがあったらAIは生命に一歩近づくのかもしれない。と、まあここは、あえて黙ってみます。皆さんはどう思っているんだろう。教えて欲しいです。

ただ、聴きたい

__ 
何がご自身を舞台に向かわせているのですか?
ネコ 
自分でもまだ明確にはわからないです。
__ 
今日のインタビューはそろそろ終わりますが、何かお話になっておきたかったことはありますか?
ネコ 
僕は色々な影響を受けて今がある感じがするので、もっとたくさんの人と対話がしたいですね。人の話を聞くのが好きなんです。真面目な話だけじゃなくてバカな話も。むしろそっちが好きかな。これからも色々な人に揺り動かされながら生きていきたいなと思ってます。なので、見た目は「何考えてるかわからない」ってよくいわれますけど、怖い人間ではないので。気軽に声かけてもらって仲良くなって欲しいです。
__ 
ありがとうございます。今後どんな感じで行かれますか?
ネコ 
よいとなが10月にイベントに参加するのでそれを頑張るのと、出演した映画がいくつか公開になるので、もしよかったら見て欲しいなと思います。今後も変わらず演じたり踊ったりを、面白いなーと思ったりわからないなと思ったりしながら続けていくんじゃないかなと思います。
__ 
ネコさんのダンスはもっと観たいです。
ネコ 
今は自分で作るより、なるべく人の振り付けで踊りたいんですよね僕。
少し怪しい祭り実行委員会『少し怪しい祭り』
演劇×人形劇×マイム──異なる表現形式による3つの作品
尾上一樹、アメリカ帰国後初となる自主企画公演。人形劇(JIJO)/演劇(よいとな)/マイム(尾上一樹)と、3団体の作品をブッキング形式で上演。
【日時】(全5ステージ)
2017年
10月7日(土) 19:00-
10月8日(日)   14:00- / 18:00-
10月9日(月・祝)11:00-★ / 15:00-★


※開場は各回ともに開演の30分前。
★9日11:00-、15:00-の回は、開演前にオープニング・アクトがあります。
〔O.A.出演〕D.D.コーヒー

【会場】
あとりえミノムシ
〒602-0807京都府京都市上京区不動前町1-2
Tel & Fax : 075-200-8261
〔Webサイト〕http://at.mino3064.com/
【アクセス】
・京都市営地下鉄烏丸線 「鞍馬口」下車、1番出口より徒歩10 分
・京阪本線「出町柳」駅下車、4番出口より北西へ徒歩約15分
【チケット料金】 (前売、当日とも)
一般 ¥2,000
18歳以下 ¥1,000
※未就学児の入場はお断りさせて頂きます。
※人形劇場を会場としていますが、お子さま・親子さま向けとして創作した作品ではありませんので、その旨ご了承ください。
【ご予約・お問い合わせ】
sukoaya@gmail.com(少し怪しい祭り実行委員会)
【ご予約方法】
上記メールアドレス宛に・お名前・希望日時・人数(18歳以下の方はその旨も)をお知らせください。
折り返し、ご確認のメールをお送りします。このメールをもちまして、ご予約完了とさせていただきます。(自動返信ではありませんので、ご返信に少々日数・時間がかかることがあります。)
※お手数ですが、gmailアドレスからのメールを受信できるよう設定をお願いします。
※座席数に限りがございますので、お早めのご予約をおすすめします。
【CAST】

JIJO

殿井歩
申芳夫
田辺泰信

尾上一樹
仲谷萌
(ニットキャップシアター)
籔本浩一郎
(音楽:アコーディオン) 

【STAFF】

照明:木内ひとみ
【参加団体プロフィール】
尾上一樹…いいむろなおき氏主催「マイムラボ・セカンド」1期生。その後渡米し、Corporeal Mimeを学ぶ。
JIJO…人形劇・キグルミパフォーマンス。糸あやつり人形劇団みのむし・人形劇団ココンの作品にもスタッフ&出演中。
よいとな…殿井歩・申芳夫(ネコ・ザ・ポンティ)の両名が立ち上げた演劇ユニット。短編~長編作品まで幅広く展開。
★twitter@sukoaya でも、3組の最新情報を発信していきます。よろしくおねがいします。
ことなるジャンルの3組による新作を含む短編作品たちを、どうぞおみのがしなく!

チェックのハンカチ

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今日はお話を伺いたお礼にプレゼントがあります。大したものではありませんが、よろしければお開けください。
ネコ 
ありがとうございます。ドキドキしますね。(開ける)おっ、ハンカチ。ナイスタイミングですね。僕は雑いので、ハンカチを持ってなかったんですけど、イースタンプロミスという映画を見てからハンカチを持とうと思ってたんです。誰かにツバを吐きかけられた時に使えるように(笑い)。使わせていただきます。
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どんなシーンでも使えるものを選んだつもりです。もしよければ。