全力でパレードを回す

__ 
アパ太郎さんは次回も出演されるんですよね。意気込みを伺ってもよろしいでしょうか。
アパ 
根底に流れている、坂井さんの世界観を汲み取って表現できたらなと思っています。全員でコミュニケーションを取り合って最適な媒体を目指すのが、トイネストパークでの役者の役割なんじゃないかなと思っています。そこにつなげるために外部の劇団さんに出させていただいたりとか、メイクの勉強を日々したりしています。
__ 
アイトクさんは。
アイ 
僕は多分これが最後の役者出演なんです。
__ 
ああ、就職活動だから。
アイ 
自分の中では節目という意味での意気込みがあります。僕の役所的に、停滞した空気を壊すというポジションなので、坂井さんの期待を上回ってやろうと思っています。最後なので暴れたろうと。
__ 
TiBiMiNAさんは。
TB 
そうですね、本当に全力で楽しんでやろうという感じです。トイネストに入って一年、最初はやらせてもらってありがたいという気持ちばっかりでしたが、今回は純粋に楽しんでいきたいなと思っています。みんなが全力でやっているのを見守りながらも、私ができることを最大限に出したいなと思っています。
__ 
ここまで話を伺って気がついたんですが、全力で楽しむのがトイネストパークなんですね。
アイ 
みんな暴れてますよ。
TB 
それを許してくれる、勢いよく活動ができる環境だと思います。
__ 
私はトイネストパークのメインターゲットじゃないから、上演を観るにつけ「暴走してるなあ」という印象がありました。観客席には二十歳前後のお嬢さんばっかりだったので・・・だから私のような人間がトイネストパークの芝居を理解するのは無理なんじゃないかと思っていて。
アパ 
そんなことないです。
アイ 
みんながちゃんと規則正しくしたら、それはただのミュージカルになっちゃうんじゃないかなと思います。
アパ 
トイネストパークなので、ミュージカルじゃないんです。
河合 
パレードなので。
アパ 
今まで自分たちが信念を持って作ってきたものを集結させて暴れています。坂井さんと裏方の皆さんの加護のもとで。全員で、一致団結して暴れます。
アイ 
檻の中で暴れてるみたいな。
__ 
パレードなんですね、トイネストパークは。私のようなひねくれた者が観ていいものじゃないんじゃないかと思えてきました。
全員 
いやいやいや!
坂井 
誰にでも見てほしいです。
__ 
パレードが通過するのを余すことなく見ることができる位置、それがトイネストパークの上演だと。つまりメインターゲットは全人類ということですね。

誰も傷つかない戦い

河合 
次回の作品に関しては、前回と同様僕が殺陣をつけさせていただきます。ナツキが最後なのでどれだけ派手に動かせるかなと考えています。そういう部分でワクワクしています。ナツキが派手に散る。
全員 
(笑う)
河合 
散りはしないですが、本当にかっこいいなと思ってもらえるように、それぞれの役にぴったりな殺陣を考えていきたいです。
__ 
小さい頃の坂井さんが思い描いていた、優しい世界に近づいているでしょうか。
坂井 
なんか、その中でも誰かが傷ついたりとか怪我したりとかはあんまりなかったので。
河合 
そうなんですよ、怪我しちゃダメなんですよ。一番気を使うのが、誰もやっつけちゃダメなんですね。殺陣芝居とかのかっこいいところってとにかく相手を斬って戦うところなのに。
坂井 
怪我をするんですけど、ちゃんと治るんです。
河合 
誰かが重傷を負って悲しい思いをするとかはないので。そういう、制約というとあれですけど、その中でどれだけ動かすことができるか。
__ 
逆にとてもクリエイティブですね。

赤くない涙

__ 
坂井さんの、上演に向けての意気込みを教えてください。
坂井 
絵画教室の一件で、自分のことで人が嫌がる思いをするのが嫌になってったと思うんです。自覚はなかったんですけど。ほんまにあんまり笑わないし家でも喋らへんくってディズニーアニメばかりを見ているおとなしい子だったんです。でもその時に思っていたことや経験を脚本に詰め込んでいます。
__ 
というと。
坂井 
当時、仲良かった子がいじめられていて。ある日公園で遊んでいたらその子がペットボトルをぶつけられそうになって、とっさに庇ったんです。血が出てしまって。いじめっ子は私の血にドン引きして逃げて、とりあえず私はその子を家に連れてってあげて。家に連絡してあげるよと言われたんですけど、「お母さんには絶対に言わないで下さい」って、そのまま逃げてしまったんです。家に帰らないで夜中走り回って。
__ 
そりゃ逃げ回るわ。
坂井 
自分が庇ったのが原因だから、その子が悪いという事にされたくなくて逃げ回ってたんですね。顔も服も血で汚れてて、親には見せられないし。夜中捜索されて、結局見つかったんですけど。その時お母さん、初めて泣いて、自分が傷ついたことによって傷つく人もいるんだよって言われて・・・そんな経験も注ぎ込まれています。
坂井 
母親を泣かせたくないし困らせたくなかったんですね。
__ 
優しいという気持ちが強すぎたんですね。
坂井 
その事件をきっかけに、血を見ると失神するぐらいダメになったんです。
__ 
パレードでは血は流れない?
坂井 
お客さんの中にも、過去に傷ついたことや嫌なことを抱えている人がいると思うんですけど、それを心の中で昇華してもらって何かの救いになったらいいなと思ってます。と言うことを常に思いながら書いています。
__ 
NEXT PARADEはそういう人たちが出てくると。
坂井 
登場人物は各々抱え込んでいるものがあるんですけど、でもお互いに支えあいながら乗り越えていく話です。

質問 橘カレンさんと松本真依さんから トイネスト・パークさんへ

__ 
前回インタビューさせて頂いた、橘カレンさんと松本真依さんから質問をいただいてきております。松本真依さんからは「おすすめの安眠方法は何ですか」と、橘カレンさんからは「最近一番感動したことは何ですか」
坂井 
安眠方法は落語を聴くこと。笑うことって結構幸せなことだと思ってて。爆笑とまではいかないんですけど、ふふって笑うぐらいの。感動したことは、友達に子供ができたことです(拍手)。今度見に行く予定です。
アパ 
全て完璧と思って寝ること。寝る時の状況、音楽、香り、予定、全てを合わせて「私完璧、周りも完璧、よし寝よう」と。ストレッチと白湯も飲んで、すっと寝てすっと目が覚めます。感動した事は、先日「スパイダーバース」を映画館で観たんですが、作っている人たちの果てしない労力を想像して、ものすごいことをやってのけたんだなあと思った事です。私も絵を描いたりしているので。
アイ 
安眠方法は服を全部脱ぐ事です。
全員 
(盛り上がる)
__ 
私も一時期試したことがあるんですが、風邪をひいてしまって諦めました。感動したことは?
アイ 
僕はずっと妹と仲が悪くて。家族とも仲悪くて、こっちにきてお金を稼ぐことの苦労だったり、一人で生活を維持することの大変さだったりを知り、価値観が変わったんです。先日、妹が大学受験で。大学生になったら化粧するから化粧品を送ったんです。そうしたらめっちゃ笑顔の画像がLINEで来て。
__ 
素晴らしい。
アイ 
今度また、京都に来るんです。仲が良くなったのかはまだわからないですけど、心が通じ合えたのかな。
__ 
時間と距離を置いたら、少し変わるかもしれませんね。
アイ 
そうですね。親とも話すようになったので。

質問 橘カレンさんと松本真依さんから トイネスト・パークさんへ

TB 
安眠方法は、寝たいときに寝る事です。というか、安眠したことがないです。
__ 
常に命を狙われてるとかですか?
TB 
(笑う)時間の作り方が下手で、生活リズムが成り立ってなくて。寝ようと思った時に眠れなくて気がついたら床に倒れている事もよくあって。寝る時間をちゃんと取ってほしいです。私が言うことじゃないですけど。
__ 
感動したことは。
TB 
自分の周りで色々なことがあって。誰にも相談出来ずに自分だけで抱え込んでいたんです。でも改めて、自分一人だけじゃないんだな、という事に気付いたんです。トイネストパークや自分の家族、たくさん相談しても答えてくれたんですね。携帯に着信履歴があって、少し安心したり。
河合 
安眠方法は毎日同じ時間に起きる事ですかね。そうすると自動的に同じ時間ぐらいに眠くなる。そのタイミングにベッドに入ると超眠れます。
__ 
一番感動したことは。
河合 
鼻毛が抜けるようになったことです。怖かったんですがある日どうしても気になって、試しに置いてみたら痛かったけど抜けたんですよ。鼻毛て抜けるんだと感動しました。
坂井 
(盛り上がる)
__ 
めっちゃ痛いですけどね。
河合 
新しいスキルを手に入れました。

出会う

__ 
皆さんがトイネストパークに入ったのはどういうきっかけだったんですか?
アパ 
坂井さんに誘われてです。
アイ 
僕もです。
TB 
坂井さんが私のサークルのイベントを見に来てくれて、サークルの先輩が最初にトイネストパークのお手伝いみたいなことをしていて、それで観にいったらすごく面白くて、入りたいと思ったので。
河合 
僕が入ったきっかけはネバーアカデミアでした。
__ 
坂井さんは、このメンバーに何か言いたいことはありますか?
坂井 
ええ~?日々割と、伝えてるつもりではあるんですけど。もしここから誰かがいなくなったとしても、もしくは私がいなくなったとしても、場所が変わったとしても、みんなのことをずっと大事に思ってるよ、と。
全員 
(笑う)
坂井 
皆が各々、幸せになってくれたら嬉しいし、私は幸せです。
__ 
ありがとうございます。そう考えると私はよこしまな気持ちでトイネストパークに近づいていたかもしれませんね。本当、トイネストパークの演技体は非常に現代的なパフォーマンスだと思ってたですよ。暴走する役者のセリフにずっと、自分の根幹を揺らされているような気がしていて、その正体を知りたかったのに、みんな純粋な想いだけで演技を作っていたなんて思わなかったから・・・根本的なところを踏まえずに見ていたのは良くなかった。
坂井 
全然構いません、どうぞ。邪で結構です。
__ 
これからも私には、パレードが暴走しているようにしか見えないかもしれないけど。
坂井 
あ、はい。それは間違いないので。
アイ 
すごく新鮮ですよ。

学び

__ 
トイネストパークの稽古場はどんな感じなんでしょうか。
坂井 
だらだら。だらだら、ゲラゲラしています。でも結構ディスカッションが多い気がします。キャラクターの関係性だったりとか。私があまり何も考えていないんですが、みんなが「こういう設定っていいよね」って、それぞれがどうしてそういう関係になっていたのかを掘り下げていって。坂井さんこういうのどうすか、って聞かれて「いいね!」って採用する。
__ 
採用しないことはあるんですか?
坂井 
よっぽど外していなければ大体採用します。そういうの素敵ね、と話をまとめて終わりみたいな。基本的には、私は否定しないです。そういう考え方もあるんだねと。
__ 
集団創作の中で二次創作が始まってる?
坂井 
あ、そうですね。
__ 
つまりアリ地獄ということかな。
坂井 
そうですね、考えてみればそうかも。
アイ 
設定だけ渡されてエチュードをやってるような。
__ 
積み上げるというより掘り下げていく方向なんですね。
アパ 
彫っている感じはしますね。
河合 
僕の感覚だと、蟻地獄というよりアリの巣というイメージがあります。地面を掘って部屋を広げて、別の部屋とつながるみたいな。
TB 
坂井さんの脚本は、掘ったら何かが出てくるのがすごい楽しいから。
アパ 
自分の役のオタクになるんですよね。
河合 
すごく良くわかる。自分のキャラの一番の推しは自分でしょ、みたいな。
アイ 
宛て書きというのも大きいよね。
アパ 
多分それぐらい、自分自身のどこかに沿った役がいただけるんだと思います。自分の背骨に沿ったキャラクターだからちゃんと立っているんだと思います。だからこそ、掘っていってつながった時の爆発力は大きい。根底に、自分には何かが欠けていると思いながら生きている人物が多いと思っていて。そういう欠陥が、トイネストの重しになっている泥臭い、灰暗い部分で。
__ 
そういう認識を共有しているからこそ、何かを掘るという行為が全員の中で成り立ってるのかもしれませんね。
坂井 
そうなんだ。なるほど。学び。
__ 
大切に作られた作品などということは間違いないですね。
坂井 
だから再演というものはあまり考えていないんです。
TB 
だから私たちも、トイネストパークを上演するための最適な媒体として頑張らないといけない。

真っ正直に・・・

__ 
今後の目標を教えてください。
坂井 
数年前、母親が亡くなったことを受けて。やっぱりどんな好きな人でも永遠に一緒にいることはできないんだなと実感としてわかりました。それを考えるとちょっと寂しいんですけど、お客さんにこの先嫌なことがあった時も、トイネストの芝居を思い出して、またあそこに行きたいと思ってくれるような、そんな場所にできるように。楽しんでもらえるエンターテイナーになれるように努力したいです。
アパ 
しっかり立って歩けるように。ちゃんと背筋を伸ばして、自分の中にお守りをたくさん身につけて。音楽とか好きなマンガとかね、トイネストパークに出たこととかみんなのこととか。一つ一つが全て私にとってのお守りで、自分の中の宗教のようにあります。泥にまみれても、人間として立ってやっていけるように。
アイ 
トイネストパークで一番学んだことは、演技をしないことです。色々な意味で。まず役者としては、自分の中で役を読み込んで、それを本物に近づけていくこと。結局見栄を張ってる人って本物には勝てないんじゃないかなってずっと思っていて。自分の生き方として演技をしないというのはトイネストパークで学んだことです。それをキーワードに生きたいですね。次も自分の役として読み込んで行きたいです。
坂井 
そうですね、あまり気取らない芝居をするのがナツキの特徴だなと思ってます。今の話を聞いてなるほどと。つながりました。
__ 
気取らない。演技をしていないんですね、トイネストパークは。
坂井 
そうですね。カッコつけないと言うか。変に好かれようとしない、いい意味で、良く思われようとしないんです。真っ正直に生きている。
__ 
エンターテイメントのセオリーの演技として見ていたところはありましたが、でもどこか違うから私はこんなに引っかかってたんだろうなあ。確かに、トイネストの登場人物たちはいいところを見せようとしない。
アイ 
エンターテイメント系の、パチッと決める演技はしてほしくないってよく言ってますもんね。
坂井 
エンタメとかミュージカルをしているつもりは私には全然なくて。各々が楽しくやれる方法としての芝居を模索してもらえたら一番いいかなと思っていますので。変に何かかっこつけたり気取ったりしなくていいよと、いつも言ってます。伝わってる?めちゃめちゃニヤニヤされてる。
__ 
大丈夫です。私の認識も大きく変わりました。
TB 
私は、このままのスタンスを維持しながらも、どんどん上げていけたらいいなと思ってます。盛り下がらないように。これまで私はダンスを続けてきましたが、トイネストに入ってから楽しみ方が自分の中で変わっていて。最初はトイネストの振付師というポジションでしたけど、今は稽古以外の機会でも積極的に楽しく踊っているんですよ。役者が、役そのままで生き生きと演技している、かつ自分らしく踊ってるというのが、お客さんにとっても楽しいと思うんです。それを邪魔したくないからみんなで協力してダンスを作っていけたらいいなと思っています。私自身としては、演劇の経験とか全然少ないですけど、トイネストだったらこのまま胸を張って続けていってもいいんじゃね?と、誠心誠意真っ正面からやるだけです。今のままで。
__ 
ありがとうございました。

ピーク

__ 
河合さんは今後、どんな感じで。
河合 
目の前にある一つ一つのことに精一杯で、その先の目標とかはあまり意識していなくて。でも今はそれでいいかなと思っています。6thパレードを、どれだけ深堀りして最大化できるかということに集中してればいいかなと思っています。もっと先に何か、自分が変化する時があればそれも受け入れて進んで行きたいです。目の前にある、自分の仕事を最大化します。
__ 
年末までもう、残りわずかですね。
河合 
そうですね。全然短いですね。
坂井 
うん、多分あっという間に本番やん。
__ 
もう来週ぐらいの勢いですよ。
河合 
9ヶ月か。
アイ 
役者でいられるのも・・・
坂井 
4回生の9ヶ月は早いよ。
アパ 
あっという間でした。
坂井 
息した瞬間終わるからね。
河合 
吸ってはいたら終わるよ。
アイ 
あー終わりかー。
アパ 
今?早い早い。まあでもわかんないからさ、どうなるかなんて。
アイ 
こないだ夜の公園で、終わった後のことを考えてて。どのタイミングで泣くか考えてたら泣いてました。
全員 
(笑う)
アイ 
カーテンコールが終わった瞬間に泣くのかな、でも客ハケやらないといけないし、写真撮影もあるから泣けない。それが終わったら泣くのか俺、って。
アパ 
2、3回泣いておこう。何波かに分けたらいいんじゃない、終わった後に泣き、写真撮影で泣き。
アイ 
どこのタイミングで泣きゃええねんと思って泣いてました。
アパ 
こりゃもう泣かへんな、意外と涙出なかったわってなる。
アイ 
だったらやだな。
__ 
いや、新しい旅立ちですから涙は禁物ですよ。
アパ 
そうやね。
__ 
見送りといえば、トイパはお客さんのお見送りを役としてやるんですよね。あれは凄いですよね。
坂井 
グリーティングと呼んでいます。
__ 
あれはめちゃくちゃ新鮮でした。
坂井 
でも知り合いが来ると中の人になりそうになるというのが難しいみたいな感じです。みんなオロオロしています。
河合 
知り合いがきても目力で制しますからね。
坂井 
まあでも、そこを曲げないでほしいですね。

たから箱

__ 
今日はですね、お話を伺いたお礼にプレゼントを持って参りました。
坂井 
何かな、ポップコーンかな。
__ 
はっ?
坂井 
いや、みんなで分けれそうだから・・・
__ 
どうぞ。
坂井 
拝見させていただきます。よぉーっ。
アパ 
よぉーっ。なになに。
アイ 
二重になってる。
坂井 
二重に楽しみです。赤い。
TB 
可愛い。
坂井 
包装用紙を破くのがへたくそです。なんだなんだ。
河合 
まだある。
坂井 
・・・可愛いー!
__ 
それ、開きますよ。
坂井 
なんか、とても上等な。
全員 
ありがとうございます。

春のパレード




『グリーティング』

__ 
坂井さんから見て、役者の皆さんはそれぞれどういう人なんでしょうか。
坂井 
五十音順で。アイトクナツキ、マイペースで飽き性なところがありますけど、何でも正直に話してくれます。気が優しいからキツい言い方はしないですけど、嫌なことは嫌、今はそれは出来ないとか、キチンと言ってくれるんで、助かってます。私が元気なさそうにしてるとご飯に誘ってくれます。可愛いです。
坂井 
アパ太郎。所属キャストの中で最も付き合いが長いです。プライベートでも後輩先輩っていう枠を超えて嫌なことも嬉しいことも共有し合える仲、私は友達だと思ってます。考え方とか共感する部分が多くて、私の話もよく聞いてもらってます。可愛いです。
坂井 
河合厚志。所属キャストの中では一番年長さんであり、良くも悪くも一番純粋。不器用、そして優しい。脚本とか演出の相談に乗ってくれて助けられてます。その中で、すれ違ったりすることもあるけどそれでも離れずにここに居てくれてます。いつもありがとう。可愛いです。
坂井 
TiBiMiNA。ダンスのショーで一目惚れしてオファーしました。彼女のダンス見てると元気になるので私にとって踊る魔法使い。いつも明るく朗らかですが人一倍責任感が強くて、でも一人でなんとかしようとするので力になりたいと思ってます。様々な意味で目が離せません。可愛いです。
__ 
そして、たしか、トイパ所属のキャストが増えたんですよね?
坂井 
はい、4月から所属になった期待の新人キャストのユー。媚びない、カッコつけない、小細工しない、どストレートな子。役を自分に寄せていくタイプです。素直で、いつも優しい言葉を投げかけてくれます。白黒ハッキリしてるところが男の子らしいなと思ってます。可愛いです。


(パレードは冬に戻ってくる)

ふたり

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願い致します。幻灯劇場の橘カレンさんと松本真依さんにお話を伺います。最近、お二人はどんな感じでしょうか。
橘  
よろしくお願いします。最近は暖かくなってきて。前回公演の「盲年」の稽古は寒い時期で大変で、生きるの難しいなと思ってました。でも気候が暖かくなると、こんなに世界で柔らかかったっけ、ってなっています。気温のせいか分からないですけど。
__ 
生きやすいと。
橘  
生きやすいんですよ。
松本 
いいですね。
__ 
誰でも生きやすい社会がいいですね。松本さんはいかがですか。生きやすいですか。
松本 
どちらかというと夏が好きなので、暖かくなると元気になるんですよ。ちょっと気持ちが上がってきています。
__ 
桜も咲きますしね。
橘  
来週ぐらいには満開かな。
幻灯劇場
映像作家や俳優、ダンサー、写真家などジャンルを超えた作家が集まり、「祈り」と「遊び」をテーマに創作をする演劇集団。2017年文化庁文化交流事業として大韓民国演劇祭へ招致され『56db』を上演。韓国紙にて「息が止まる、沈黙のサーカス」と評され高い評価を得るなど、国内外で挑戦的な作品を発表し続けている。2018年、日本の演劇シーンで活躍する人材を育てることを目的に、京都に新設されたプログラム『Under30』に採択され、2021年までの3年間、京都府立文化芸術会館などと協働しながら作品を発表していく。(公式サイトより)

幻灯劇場「盲年」

__ 
前回の幻灯劇場の本公演「盲年」が大変面白かったんです。人物たちの犯した罪が、彼ら自身に対して罰として返ってくるのではなく、ただ彼らの経歴としてしかそこに置かれていなくて、我々観客の方が罪障意識を掻き立てられてしまったんですね。自分がやったことを軽やかに忘れている奴ら。それは新しい生き方だと言える気もするし、同時にどこか薄気味悪くもある。作品全体を通して、そうした人間性の希薄さを漂わせていながら、しかし彼らは同時に正義や愛を求めているようでもあったんです。奇妙な演技体でした。そういう方向で演技を作っていたのか、はたまた、元々の俳優の雰囲気なのか、その辺りを知りたいと思います。まず今お二人の中では「盲年」という作品はどう消化されていますか?
松本 
さっき「自分がやったことを軽やかに忘れている」とおっしゃいましたが、私も結構、前のことのように感じていて。ただ、終わってすぐは中国訛りみたいなものが抜けませんでした。
__ 
ああ、中国人の役もやってましたからね、お二人とも。
撮影:白井康平
松本 
稽古していたら段々とその訛り方自体がよくわからなくなってしまったのに、本番が終わってからはスッと出てくるようになったんです。自然に。本番でもこれくらい出来てたら良かったのになと。
__ 
訛りとか方言は伝染りますよね。何だろう、可愛いからかな。
松本 
関東から関西に引っ越してきた人は一週間ぐらいで関西訛りになる勝手なイメージがあります。
__ 
中国人の日本語イントネーションの件は、アフタートークでも質問されてましたね。藤井さんの実体験から来るものだとか。
橘  
でも、「この台詞はこういう意味で書いてるからこういう感情でこういう風に言って欲しい」という演技指導は、深くはされていなかったと思います。
松本 
人物の設定は、みんなで作っていったところがあって。登場人物の役柄から「どういう人だったら面白いだろう」というのをみんなで考えていきました。春くんはどういう人で、お父さんはどんな仕事をしているんだろう、みたいな。
撮影:白井康平
__ 
主人公の春君は本当によくできた人物像でしたね。全盲の青年、どこから来たかは分からない浮浪者。彼の精神的な奥の深いところにはあまり入り込まずに、さっと傷跡を添わせるだけの描写でした。懊悩がしまわれている窓が視界に入るが、だからといって共感とかはしない。登場人物たち同士もお互いに同情はしない。レストランのシーンで、松本さん演じる刑事と橘さん演じる容疑者が、お互いに過去を話し合いました。が、感情的には一切ならなかった。
松本 
悲しいシーンにはなっていなかったと思いますね。
__ 
ラストシーンは最初の阪急大宮駅の情景に戻り、ただ作品を回帰的に示された。作品そのものを手渡されて、観客それぞれの主観に任せる。ソリッドな表現ってこういう事なんじゃないかと思いました。
第七回公演「盲年」
Under30支援制度プログラム採択 Kyoto演劇フェスティバル意欲的激励賞受賞作品
Story

舞台は大阪・八尾。ある誘拐事件に、
それぞれ関わりを持ってしまった四人の男女。
互いの距離が近づくにつれ「記録」と「記憶」がすれ違い、
不可解な事件のすべてが、盲目の少年に繋がっていく。
第四回せんだい短編戯曲賞を史上最年少受賞した藤井颯太郎の新作戯曲を、
Under30支援プログラムの第一弾として、京都府立文化芸術会館で上演。
世阿弥の息子・観世元雅の傑作能「弱法師」を下敷きに、現代の「盲目」を描ききる。

出演
村上亮太朗 / 春
松本真依 / 立花
橘カレン / 梅
藤井颯太郎 / 透

スタッフ
作・演出 / 藤井颯太郎 演出助手 / 今井聖菜 
機材 / 長井佑樹(ぷっちヨ@Kyoto.lighting) 音響 / 小野桃子
衣裳 / 杉山沙織 宣伝美術・写真 / 松本真依 
広報 / 橘カレン 石原口大樹
制作 / 谷風作 プロデューサー / 小野桃子

日程
2019年 1月 12日(土)~2月 3日 (日)
会場
人間座スタジオ・京都府立文化芸術会館

線形と作業

__ 
お二人の最近のテーマを教えてください。
橘  
最近のテーマは、お芝居ってめっちゃ作業だなと思ってて。作業をしよう、がテーマです。盲年も、いろんな役をやりましたが、感情とかよりも作業だなと思ってて。立ち位置とか声の量、動きとか全部作業で、全部こなしていくものを見せるのかなと思ったんです。村上君はダンサーで、何か凄く作業的にやってる印象があって。
__ 
工場の作業工程のように、演技を洗練していったという事ですね。
橘  
目が見えないからこうするというのもちゃんと考えてるんですけど、演出で指定がついたら、ダンサーとしての能力でそれを作業のようにやる。その作業を見届けたお客さんには、「目の見えない人の動き」に見えるという結果になる。それを普通にやるんですよ。ああ、これは作業だなーと思って。
__ 
表現を遂行するという、まさに作業ですね。
松本 
最近の私のテーマは、物を見る事についてです。例えば家族のアルバム、自分の知らないおじいちゃんの世代の写真や、もちろん演劇を見た時。自分がどう思ったのかとか、どこで自分の感情が動いたな、考えの幅が広がったなとか、自分への影響をじっくり考える時間が最近持てなかったんですよ。考える時間をとること、考えたことを文字にするなり人に話すなり、形に残すのが最近のテーマです。
__ 
そうやって感想をアウトプットする時に表現が整理されていくんでしょうね。頭の中にある素材を一旦形にして線形にして、一度ストリームに流して、もう一度自分にインプットする、そういう整理のループが始まる。表現の作業とはまさにそれなのかも。
橘  
私は最初、演劇は作業だとは思ってなくて。お芝居を作業だというのって結構あんまりいいイメージじゃないから。でも、思いっきり高くジャンプして、大きな音を立てて着地したらめっちゃ怒ってる演技になるじゃないですか。
__ 
見えますね。
橘  
その高さが高ければ高いほどめっちゃ怒ってる風に見えると思うんですけど、盲年の作品は、藤井君の作品は冷静に考えたらよくわかんないんですよ。色々罪があるのに忘れてるじゃん、とか矛盾がいっぱい出てきて、整合性みたいなのがつかなくなって。考えすぎて動けなくなっちゃったんです。稽古ってどうするんだっけってなったんですよ。何も動けなくて面白いことできない。
松本 
あー。
橘  
そういう時に、作業的にめちゃ高くジャンプしたら、「怒ってる」じゃなくても稽古が進むし、別のいろいろな表現への道筋が見えることに気がついて。
__ 
とりあえず作業として演技をしてみて、それが叩き台になって、付帯する演技の存在が見えてくる。
橘  
それを繰り返して演劇というのは作るのかなと思って。
__ 
でもそれがお客さんに伝わるかどうかは分からないですよね。
松本 
お客さんも日によって違うし。
__ 
本当だ、稽古場にはお客さんはいないですね。
橘  
藤井君も舞台に出ちゃうので、冷静なお客さん目線の人はいない瞬間があるんですよね。
松本 
だから何かしなきゃ、という作業的な感覚になるのかな。
__ 
それはすごく厳しい現実ですね。
松本 
公開稽古みたいな感じで見せる手段もありますけど、整理している段階だから見せられる段階ではないでしょうし。
__ 
まあ、お客さんに見せて初めて価値の出るものだから、その確信が持てるまでは出せないかもしれないですよね。

信じる

__ 
幻灯劇場の稽古場で、どんなことが起きてほしいですか?
松本 
私に技術がないからかもしれないですけど、演出との共通認識が一発でバシっとハマるのが繰り返されたら最高だなと思います。
__ 
ああ、最高ですね。
松本 
そんなことがあったら、まず同じシーンの稽古を繰り返さなくて済むし、すごく円滑に進むと思うんですよね。普段のコミュニケーションでもそうですけど。
__ 
でも、「あれは忘れてくれ」ってなるかもしれないですけどね。
松本 
それを言われた時でも、普通にすぐ納得して切り替えができるような空気。があればいいんですよね。引きずってしまうと言うか・・・。
__ 
「あれ好きだったのに」と。
橘  
あ。
松本 
何だろうね、あるね、引っ張ってしまうのは私の性格的な問題かもしれないですけど。
橘  
私、大事にしちゃう。
松本 
みんなどうやって折り合いをつけているのかというのは気になるところではあります。
__ 
まあそこはお客さんを信じるしかないかもしれないですね。切り捨てていった選択肢が、本番上では出ないけれども、必ず何らかの土台にはなってるはずなんですよ。お客さんの意識には登らないけど。洗練されていると感じるのかもしれない。
松本 
今の演技を分かってもらえるような、共有出来るくらい確実な表現、が出せたらすごくいいですね。
橘  
演出との共通認識は欲しいですね。
__ 
色々な稽古場の場合がありますよね。
松本 
噛み合わない時って、本当に作品を上演できるのかみたいな所に追い込まれるので。本番を終えた時、なんとか上演できたよと稽古場の私に言ってあげたいです。

質問 藤井 颯太郎さんから 橘 カレンさんへ

__ 
前回インタビューさせていただいた藤井さんから質問をいただいてきております。「好きな香りは何ですか?」
橘  
私は、雨が降る前のしっとりとした匂いが好きです。
松本 
あー!
__ 
分かります、ちょっと土や微生物のような臭いがする。
橘  
私、夢かもしれないんですけど、男子学生3人がその臭いの話をしていて、「あれはセミの死骸の臭いやで」という会話を聞いた気がしたんですよ。やっぱり夢ですかね。
__ 
初めて聞きました。
橘  
じゃあ夢かも。
松本 
夏限定の匂いやね。
__ 
現実と夢のはざまを生きていくしかないですね。

フワフワのライン

__ 
幻灯劇場の稽古場は、どんな雰囲気なんでしょうか。
橘  
ゆるやかな時と、凄いストイックな時間があります。
__ 
前回公演の「盲年」も、そんな感じだったのかな。
橘  
一番稽古がストイックになったのは、最初の工場の視力検査のシーンでした。むしろ後半はそんなに稽古に時間をかけていない気がするんですよ。
__ 
面白かったですよ。とても好きでした。最初のシーンは大切ですからね。
橘  
笑いを取るのはすごく難しくて。稽古場にお客さんがいないのもあって、3人とも何が面白いのか、段々とわからなくなってって。
松本 
客観的に、お客さんが笑ったら面白いと思うんですけど、いないから。
橘  
「こいつ、メクラだから」というセリフ、ギャグだけど笑えない人もいるから・・・。演出はどんどん色々な笑いの方法を出してくるんだけど(役者としてはダメだと思うんですが)混乱してきちゃって。人間座で五回、府立文芸で1回上演しましたが、毎回違う笑いが起きてたりするんですよね。
撮影:白井康平
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笑いの基準を管理する人がいたら安心したのかもしれないですね。或いは、お客さんが稽古場にいたらもっと安心したかも。私は2回上演を拝見しましたが、確かにフワフワした感触はあったかもしれません。笑っていいのか分からない、際どいセリフもありましたし。
松本 
ツカミなのに情報量がすごく多いですよね。しかも笑っていいのか分からないような言葉で。この人たちは本当に差別意識があるのか、みたいな。「引かれたくない」という意識があるから、笑いに確信をもって演技をすることに抵抗があるのかもしれません。

出会う

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お二人が幻灯劇場に出会ったのはどういう。
橘  
私は宝塚北高校の演劇科に通っていて。一応幻灯劇場の初期メンバーです。卒業する頃に後輩たちと旗上げしました。
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大阪にも支部があるんですね。
松本 
現逃劇場ですね。
橘  
いろんな人がいます。
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ワールドワイドな活躍を広げていて欲しいですね。というか、幻灯劇場は色々な活動の幅があるんですよね。
松本 
確かに、演劇をガッツリと言うよりも他にも色々やってる人が多い気がしますね。私も役者一本という形ではなくて、大学時代に写真を専攻していて。専攻以外の分野も自由に受けれるところだったので選んだのですが、興味のあることをいろいろとやりすぎて卒業後に悩んでしまって。そんな時にたまたま主宰の藤井と知り合い、そこで声を掛けてもらって、試しに一緒に何かを作ろうということになりました。いざやってみたら面白い人たちだなと。
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面白い人達ですよね。
松本 
なんだか変な人がいっぱいいるところでしたね。私も人の事言えないけど。
橘  
ね(笑う)。真依さんはもちろんいい人です。好きなんですけど。
松本 
私もカレンちゃん好きやで。
橘  
やった。真依さんとは「DADA」で初めて会いました。幻灯劇場の今のメンバーが出そろったのは、藤井が京都に来たここ2年くらいからです。私は役者と広報なんですけど、公演にキャスティングされる時は、ちょっと嬉しいのと嫌なのが半々で。
松本 
わかるかも。呼んでもらえるのはとてもありがたいし嬉しいことなんですけど。またあの戦場に行くのか、あの稽古場から帰って寝ての生活に戻るのかみたいな。赤紙かな。
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しばらく休むというのも一つの手だと思いますよ。私がそうだったんですが、半年から1年間ぐらい何もしないでいると、役者の経験が整理されていくようなそんな感覚はありましたね。ちょっと効果あった。
松本 
なるほど。
橘  
ちょっとって大きいですよね。
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冷静になっていいんだ、って思いましたね。
松本 
周りを見てると、一本の熱意がないとやっちゃいけないのかなみたいな。熱意がないという訳ではないけど、私は演劇一本というわけじゃなくて、手段の一つというか。
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二足のわらじって言うじゃないですか。そういう発想って、とても重要だと思うんですよね。
橘  
わらじ、履きたい派かもしれない。
松本 
二足三足、十足くらい履いてるかも。
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どれも捨てないで行ければいいですね。
松本 
欲張りさんなので。捨てたくはないですね。
全国学生演劇祭参加作品 「DADA」
公演時期:2017/2/25~27。会場:ロームシアター京都 ノースホール。

橘さんと三文オペラ

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橘さん、三文オペラ面白かったです。
橘  
ありがとうございます。「三文オペラ」は気になっていた作品だったし、子供鉅人は数年前に近鉄アート館で「重力の光」を観た時、面白くて好きになったので、出演できて良かったです。二場の娼婦のシーンで、女性の出演者がほぼ全員出て、一斉に娼婦になりました。
松本 
そんなシーンあったんや。
橘  
子供鉅人はじめ、稽古場のみなさんが優しくて面白かったです。パワーがあって尊敬しました。
吉田寮食堂大演劇 vol.1『三文オペラ』
作 ベルトルト・ブレヒト 訳 谷川道子 演出 益山貴司(劇団子供鉅人)
公演時期:2019/2/8~10。会場:京都大学吉田寮食堂。