私を変えた舞台

海老飯 
以前、ビギナーズユニットで内藤裕敬作の「夏休み」という作品に出たんです。それが私の中では、とても大きな経験で。演出家の村上慎太郎さんに関わらせてもらって、演劇を作るとはどういうことなのか、ということを考えさせられる経験でした。それまで、自分は経験者だから、と調子に乗っていたんですけど、それが一旦ゼロになった良い機会だったんです。今度は内藤裕敬さんが募集をしているらしくって。何か関われたら良いなと思ってます。この間作品を拝見して、やっぱり、「夏休み」と同じくらい、難しかったんですけど、その空間に入れたことが楽しくて。本気で演劇をしている人を見て、かっこいいなと思いました。
___ 
ゼロに戻った経験?
海老飯 
そうですね。初めて演劇をするって人たちの演技から学ぶ事が多くありました。私がなあなあにしていた演技を大事に考えてたり。中学からやっていると、変な癖がどんどんつくみたいで。自分って、まだまだなんだなあと改めて思いました。
___ 
人によって鋭いところが違ったりしますからね。

お芝居の好きなところはどこですか?

海老飯 
お客さんに、演じている役の世界観と自分の身体を融合させて見せられるところが好きですかね。芝居空間の中で、他の役たちとおしゃべりするのがとにかく楽しくって。みんなで一つのものを、作る感覚を味わいたくて、舞台に立ってます。そこから何かを感じ取ってもらえるのも嬉しいし、つまらなかったとかでも、何か意見を言ってもらえるのが嬉しいです。
___ 
重要なことですよね。自分が作ったものを見てもらうということ。それは、いつからそう思われていますか?
海老飯 
中学校の頃は、自分でいなくて済むから演劇をやっていた部分があって。でも、「自分ありきで役をやらなければ意味がないよ」と言われた事があって。それから、自分の中に役を入れていくという作業が結構楽しくなってきたんですね。ギャップがあるなら、それをどう埋めていくか。お客さんに伝わったり伝わらなかったりもまた楽しくて。そういう段階になったのは大学生からでした。
___ 
「自分と役の間を埋める」。そのためにはどんな方法があるのでしょうか。
海老飯 
基本的には、その役がいる場所を実際に見に行きます。夜の王は「森を感じて」と言われたんですよ。とにかく公園の木を見まくって。夜の王ならどう感じるだろうか、木々のざわめきってこんな感じなんだ、とか、ざわめきよ止まれとか念じてみたり。
___ 
それを試すことで、夜の王の考え方のパターンが備わって来る。
海老飯 
はい。
___ 
夜の王の感覚が蓄積されていって、まあ自信がついたりとか。
海老飯 
そういう感じですね。いきなり夜の王として、というのは厳しいですから。
___ 
役作りという、意味のよくわからない作業に対して。どこか理不尽にでも行動していかないといけない。

ちょっと秘めた感じの役

___ 
いつか、どんな演技ができるようになりたいですか?
海老飯 
結構、可愛い感じの主役とかができないんですよ。葛藤を見せる演技があまりできなくて。中学の時からの癖なのか、悩んでいる時に、本当に悩んでそうな顔をしてしまうんで。キャラクター的にも、そういう役があまり来ないので、挑戦してみたいという気持ちがあります。
___ 
そうですか?やれそうな気はしますけどね。アプレゲールの時は悩んでいた感じだったじゃないですか?
海老飯 
そうですね、でもガツガツといきつつの悩み方だったと思うんですよ。内に秘めつつの・・・という。夜の王はそういう感じだったんですが。
___ 
ちょっと内向的な感じの役。なぜやってみたいと思われるのですか?
海老飯 
あんまり機会がなかったので、新しい挑戦がしたいと。というか、普通の人の役がやりたいです。
___ 
ああ、今までは飛び道具として扱われてきたと。
海老飯 
そういう感じですね。

質問 松田 ちはるさんから 海老飯 もぐもさんへ

___ 
前回インタビューさせていただいた、松田ちはるさんから質問を頂いてきております。「面白いとは何ですか?」
海老飯 
難しい質問きましたね。私も悩みどころです。昨日も稽古場で喋ってたんですけど、コメディって本当に難しくて。面白いって本当に、ゼロか百だよね、と。InterestingとFunnyだったら、例えば前者はいくらでもあると思うし、誰もが思っていることに近くて、共感を得やすいと思うんです。そこを信じて作ることができる。でも後者は、やってる本人だけが面白いみたいな事が全然あると思う。それを考えたら難しいですね。好みもかなりあるでしょうし。クドカンだって、面白いと思う人もいれば、そうでない人もいる。
___ 
出してみるまで分からないところがありますからね。複雑ですよね。
海老飯 
そうですよね。私は伏線が回収されるのが面白いと思うタイプなんですけど、だからNON STYLEが好きで。最初にやっていたネタが後に引いてくる、みたいな時に面白さを感じます。ネタの中にはFannyがつまっていて、全体としてみればInterestingだったって感覚です。
___ 
面白いって、難しいですよね。

仕事しながら演劇

___ 
卒業後、演劇を続けますか?
海老飯 
続けたいですけど、仕事にはついていないと不安で。そこまで演劇一本でいけるほど才能はないと思うので。
___ 
いえいえ。
海老飯 
仕事をしながらでも続けている場所があれば良いなと思いますね。普通に就活はするんですけど。
___ 
どんな職種を希望されていますか?
海老飯 
コンサルなんか良いなと思っています。商学部なので。ゼミでいろんな企業のケーススタディなんかもしていて。ちなみにゼミの先生は様々な指摘をしてくれるタイプの人なので、脚本を書く時も(頭の中で)その人から突っ込みを受けながら書いていました。いい先生です。

これから

___ 
今後、どんな感じで攻めて行かれますか。
海老飯 
色々な分野に挑戦して、これまでに自分がやってみたかったことを今のうちにやるということを心がけて。夏にも公演ができたらいいなと思ってます。

猫柄の手ぬぐい

___ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。
海老飯 
ありがとうございます(開ける)。あ、可愛い。
___ 
京都の猫展で買ってきた手ぬぐいです。
海老飯 
手ぬぐいってどんな時に使うんですかね。
___ 
何かを包む時とか。弁当とか。
海老飯 
弁当包みます。

松田ちはるのいるお昼

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いいたします。最近松田さんはどんな感じでしょうか。
松田 
最近は、稽古稽古の毎日です。6月の頭に公演があるんですけど、京都造形大の3回生が中心になっている公演で、大学内で公演をするんです。小さじ2ハイという団体で、「ふうちゃんとビー玉」という作品です。
__ 
そうなんですね。意気込みを教えてください。
松田 
今回は劇場ではなく、学内の開けた場所で行うんですよ。通りすがった人も見ていただける公演で、野外公演みたいにどれだけお客さんの心をゲットできるか。
__ 
もしかして、造形大の@カフェでやるんですか?
松田 
そうです。そこのスペースを縦に使うんですが、ものすごく広いので、どこまで使いこなせるかは私たち次第なんです。
舞台芸術学科 学生主催公演!「ふうちゃんとビー玉」
公演時期:2017/6/4~5。会場:京都造形芸術大学 人間館1階 カフェ展示スペース。

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松田

nidone.works「チッハーとペンペン」と私

__ 
今年の4月末、元・立誠小学校で上演されたnidone.works「チッハーとペンペン」。主演でしたね。大変面白かったです。拝見して、大きなショックを受けました。
松田 
嬉しいです。ありがとうございます!ショックを受けましたか。
__ 
もっと早く会いたかったです。好きなポイントがたくさんあって。動物にお助けアイテム送る準備段階で、空手とか相撲のポーズをとりながら気合を入れるのがとてもよかったです。ハートが作られる音のダンスも。
松田 
私もあのシーン、大好きです。
__ 
9種類あるんですよね。その日に来るお客さんの年齢層に合わせて選んでいると伺います?
松田 
無茶振りですよね。開演前、演出家に突然言われるんです。今回は太極拳とか、タップダンスとか。
__ 
私はロックダンスがお気に入りでした。それと、白ヤギのシロ子さんの配達から戻ってくる時に、ラッパでブルースを吹きながら練り歩いてくるじゃないですか。あれが好きなんですよ。
松田 
ちょっと意味わからないですよね。
__ 
たぶん一仕事終えた後、何とも言えない気持ちを表現したかったんでしょうね。
松田 
一つ吹いてやろうと思ったのかもしれませんね。
__ 
さて、おそらく「チッハー」というのは松田ちはるさんご自身の事だと思うんですが、まずはチッハーのですね、いわゆる誕生秘話をぜひ伺いたいんですが・・・
松田 
そうなんです。元々私がちっはーと呼ばれてて。その上、私が一時期毎日背負っていたペンギンのリュックサックもぺんぺんという名前をつけていたんです(そこから取っているかはわからないんですけど)。でもチッハーは、私であって私ではないんです。私の中から生まれたキャラクターだからか、私を知っている友達はみんな「すごくちっはーだった」と言ってくれるのですが、自分の中ではチッハーと松田ちはるは全くの別物なんです。何だか、アイドルみたいなものだなと思います。個性を認めて買っているからこそ、チッハーはあるんだなと思っています。でも、私じゃないんです。
__ 
nidone.works的には松田ちはる様様でしょうか。
松田 
いえ、それはそのままそっくりお返しします!
__ 
稽古の時に、色々な状況を想定して、客席の子供達に振ってもスベった場合のためのシゴキをしたと。
松田 
そうなんですよ、スパルタでしたよね。稽古を見に来たスタッフさんが凄く、野次を飛ばすんですよ。それに私が全部答えるみたいな。
__ 
そういう稽古は、目に見える形になると思います。
松田 
実際にそれは私の中で生きていると思います。どんな時でも対応できるようになったのかなと思います。どんなことでも、投げられたことに対して、動揺せずにプラスに捉えられるようになったと思います。それは私がチッハーだからこそできることなのかもしれません。私の中から出てきたものだから、普通にお客さんと会話ができたのかも。自分と役柄というのはどうしてもズレるものだから。チッハーは私の中から出てきたから、囲われている、衣装を着ているという感じなので。
__ 
名前がそのまま使われていますからね。
松田 
その違和感とも、かなり戦いましたけれども。演出の渡辺たくみが見て・求めている私と、私が見ている私はどうしても違いますので。そのギャップを埋めるのが、初演での戦いでした。いろいろ迷いましたね。
__ 
自分なのか、キャラクターなのか。
松田 
キャラクターとは何か、ここまで作るべきなのか悩んでいました。
__ 
奇跡的な出会いだったと思います。お客さんと会話をするぐらいですからね。お客さんと松田さんの橋渡しとしてチッハーが存在していたのはとても強度のある仕組みだった。
松田 
やっぱり素の私があの場所に立ったとしても、多分ちょっと困ってしまうと思います。チッハーだからこそ、どんな状況でもプラスに捉えられたのかなと思います。
__ 
アイドルって、そういうことなのかな。私はあまりアイドルは得意ではないんですが、自分自身とお客さんとの橋渡しという役柄があるのかもしれない。
松田 
この間アイドルって何なんだろうて考えた時に、チッハーってアイドルなのかもしれない、とふと思って。歌手の人は歌のプロじゃないですか。ダンスのプロはダンサー。でも、アイドルは歌って踊るけれども、その両方のプロではない。ということは個性が必要とされているということなのかもしれない。チッハーにしても、彼女自身が凄いから・・・
__ 
だから動物が電話をかけてくるのかもしれませんね。子供からも手助けしてもらえたりして。
松田 
そうなんです。助けてもらえると、嬉しい!んです。
nidone.works
成長過程にいるこどもが おとなになることを、少しでもポジティブに捉えることができる作品づくりを目指しています。 メンバーは作/演出の渡辺たくみ、制作の加藤なつみを中心に、作品ごとにゆるやかなともだちを集めて活動中。舞台作品では、こども自らが表現することを後押しできるように、 こどもたちが演者とコミュニーケションをとることでストーリーが進むよう構成しています。(公式サイトより)
こどもトキドキおとなに贈る、ハートフルおしゃべり劇『チッハー と ペンペン』(ver.3)
日程:2017年 4月28日(金)~30日(日)会場:元・立誠小学校 作.演出:渡辺卓史

出演:松田ちはる 諏訪七海 荻原萌子 山口慶人
美術:山本かれん
照明:福岡想 西本春佳
音響:安東優里
演出助手:横田樹菜
制作:加藤奈紬 石口さくら
宣伝美術:宮城巧






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松田

「チッハーとペンペン」よもやま話

__ 
チッハーの相方、ペンギンのペンペンについて。ペンペンもまた、チッハーのお手伝いをお願いした動物さんのひとりですね。可愛かった・・・。大人気でしたね。で、いきなりですが、ペンペンは忍者なんでしょうか?というのは、途中で別の動物に変身したり隠れ身の術を作ったりするので。
松田 
ペンペンは・・・忍者じゃないと思います。でもただのペンギンではなく、妖精みたいな。「魔女の宅急便」でいうジジみたいな。初演と再演は動物さんたちは喋らなかったんですよ。ずっと鳴き声だけでした。前回から日本語を喋り始めたんです。ただ、ペンペンは最初から喋っているので、動物さんじゃないのかもしれない、と思ってます。動けないとか言いながら本当は動けるし。
__ 
可愛かった・・・。チッハーは、そのペンペンが出したある手紙をキッカケに、ペンペンと一緒に暮らし始めます。ところでチッハーは、なぜあの仕事をやっているのでしょうか。
松田 
やっぱり誰かと話すのが好きで、相談に乗るのもその一貫としてだと思います。「ありがとう」という言葉好きなので、今の仕事にたどり着いたんだと思います。ハートが作られる原理はわかりませんが、この仕事が好きなんだと思います。仕事って思ってないのかも。趣味と思っているかも。
__ 
作中最大の見せ場である、自転車をこいで動物さんにアイテムを渡す準備のシーンが素晴らしかったですね。サングラスとヘッドフォンつける事により(その時の、太鼓のSEと共に武道のポーズを決めるのがまたカッコいい)、完全な集中状態に入るわけですよね。
松田 
だから何も聞こえてこない、電話が鳴ってようがペンペンがいくら呼ぼうが聞こえてこないんです。極限の集中状態を作るための装置なんだろうな、と。
__ 
そして自転車をこぐとトロッコに乗ってアイテムが上に登っていくんですよね。あれが本当に意味不明で・・・あれはどういうシステムなんでしょう。
松田 
子供に聞かれるんですよ。私の想像ですけど、部屋から離れた瞬間にシュンって届くと答えていました。
__ 
どんな技術だよ。そんなチッハーのお仕事は意外な結末を迎えますが・・・

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続・「チッハーとペンペン」よもやま話

__ 
ハートが100個集まると魔法が使えるというのは、演出助手のアイデアから産まれたそうですが。
松田 
誰があのハート送ってくれているのか、すごく気になりますよね。チッハーも誰かに雇われていたのか、とか。
__ 
あの作品はテレビ番組的なシチュエーションだから気にしていませんでしたが、お客さんの事を「みんな」と呼んで友達扱いしていたと思うんですよ。
松田 
何か、友達なんですよね。みんな。お客さんは、チッハーの部屋に遊びに来た友達なんですよ。私の中では、お客さんではないので、全然ため口だし、問答無用で参加させたりするんです。
__ 
印象的なコールアンドレスポンスはありますか?
松田 
最初の気合い入れるところですかね。最初に皆で何かをやるのは、あそこがツカミなんですよね。全員があそこでやらなかったら進まない、みたいなシステムだと宣言するんです。あそこで、今日のお客さんがどういう感じなのかを確認できるので。
__ 
ちょっとテンションが低かったら、そこからどうするべきか、と与えることができる。

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松田

続々・「チッハーとペンペン」よもやま話

__ 
スタッフワークも素晴らしかったです。電話がかかってくる時の、チカチカする照明。よく考えついたと思います。セットも素晴らしかったです。
松田 
本当に支えられました。私と諏訪さん以外、全員舞台芸術学科のデザインコースなんですよ。全員スタッフさんで、テクニカルにはこだわっています。
__ 
ハートが作られるとき、セットも音響も照明もダンスも全てが組み合わさるじゃないですか。芸大の全てが組み合わさった瞬間。
松田 
何が自慢かってあそこに自分がいたことです。すごく自慢です。私とチッハーをキラキラさせてくれるんです。全部が遊び心なんです。
__ 
役者も凄かった。諏訪七海さんの声優が素晴らしいですよね。音程がやや低く、そして声質が柔らかくて。
松田 
そうなんです。ペンペンはぶれないんです。チッハーはぶれるし感情の起伏が激しい。ペンペンは軸が落ち着いていて。
__ 
でも、チッハーが宇宙に行ってしまうかもしれないと不安になり、ブレるんですよね。
松田 
そうなんですよ。ペンペンにとっての軸はチッハーなのかもしれない。ペンペンが諏訪さんじゃなかったら、あのチッハーじゃ無かったかもしれない。結果、辿り着いて良かったと思います。

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松田

質問 小川 晶弘さんから 松田 ちはるさんへ

__ 
前回インタビューさせていただいた小川晶弘さんから質問を頂いて来ております。「子供の一番魅力的な瞬間は何だと思いますか?」
松田 
それは、大人が想像できない言葉を発する瞬間だと思います。私たち大人って、先のことを想像したりだとか、他人をすごく意識して自分がどう思われるか考えて発言する。でも子供ってそういうことは全く無くて、思いついたことをそのまま発言するから。私たちが想像していなかったことが起きるんです。そこがすごく魅力で、だから私は子供と関わるのが好きなんですね。
__ 
小川さんが思う子供の魅力は「ちょっと大人ぶる瞬間」だそうです。
松田 
あ、私とは逆ですが、すごくわかります。本当に、大人びている子どもっていますもんね。大人より大人らしい事を言う子供、でもその子も子供なんですよね。「大人びてる」という言葉があるぐらいだから。化学反応で可愛く思えるし、不思議だなあ。

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松田

なぜ演劇をやってるんだろう

松田 
最近わたし、なぜ演劇をやってるんだろうと思っていて。好きなものは他にもたくさんあるんですよ。でもなぜ演劇なんだろう、と思ったら、今一番面白いと思っているのが演劇なんです。それも、観るよりもやることの方が、私は好き。何よりも稽古を優先するし、そして、そこまで演劇を好きな自分が面白いと思っているんですね。
__ 
何かを面白いと思える人がいる時、その人は一人ではない。何故なら面白さは人間が歴史を通して育んできた歴史であり、血で血を洗う洗練の末に生れた文化が今の余暇を作っている。人間は、一人一人に必ず両親がいるように歴史を共有している。だから、「面白い」の感覚を得る時、それは彼の後と横に鑑賞者が並んでいる事を示している。表現をするときも同じで、もちろんそこには不確定要素はあるけれども、確信を持ってやらなければいけない。
松田 
面白いの基準はそれぞれ人によって違うし、同じ人でも機会によっては違う場合がある。お花を見て「キレイ」と思うのと「面白い」と思う場合があって、キレイは絶対的な意味合いを持ち、「面白い」はその人の気持ちの変わりようを表現している。面白い、って何なんでしょうね。存在しないもの、形に現れないもの、その表現。何なんでしょうね。

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松田

子供と作る

__ 
松田さんは、子供向けの作品に人一倍興味がある?
松田 
ありますね。誰かと関わりながら作る作品に興味があります。これは、与えるだけの作品への興味ではない、んだと思っています。子供と一緒に作っていく過程のもの。
__ 
子供と触れ合いながらのワークショップ、みたいな?
松田 
そういう場で、私が想像し得なかったものが生まれた瞬間が凄く、面白いと思うんですよね。それをすごく与えてくれる機会。
__ 
カオスですよね。
松田 
本当にそうですね。もう一度大学に行くなら、子供のことをちゃんと勉強したいです。子供って不思議ですよね。大人になったら、子供の頃の感情は一体どこにいってしまうんだろう。私たちもその頃にあったことを覚えていないし。
__ 
「チッハーとペンペン」のペンペンも子供だから、宇宙に行ってしまうかもしれないチッハーに対して「それとなく聞く」とかはしなかったじゃないですか。それで、見当外れのイタズラをしてしまう。子供らしいんだけど、分かるんですよね。そしてそれを観ている客席の子供たち。何かを感じてくれていたんだろうか。
松田 
お客さんによってはあのお話の印象はだいぶ変わってくるんですよ。9ステージ全部違うし。だから色々なことを言ってくる子供のお客さんにはとても助けられました。ある方に言われたんですけど・・・最初私は、客席の子供さんから突拍子もなく干渉されてストーリーがブレてしまわないように、「ゴールに導かないといけない!」と思っていたんです。でも、「そうじゃない」と。絶対にゴールにたどり着けるし、お子さんを連れてくるのは両親で、そのうえ、チッハーと子供が一緒に迷っている姿こそが一番面白いんだ、それがなかったらこの作品は全然面白くない、と。ぐっさーって刺さりました。それから、私は全てを拾おうと決めて。ちょっと時間のことも気にしていたんですが、ただただその時々の会話を楽しもうと決めました。そうしたら私も、楽しくなってきてしまって。子供向けの芝居ってそれが一番大切なんだなと思いました。
__ 
遊びというやつですね。遊びを通して一緒につくるみたいな演劇。
松田 
それを見てもらおう作品だと思います。親は、自分の子供が楽しそうにしているのを見るのが楽しいんだよ、と。やっぱりそうなんだなあ、と。そして、子供を楽しませようとするとそうならないみたいで、一緒に楽しまないと。あの一言をもらってから、私の公演に対する考え方はガラっと変わりました。

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松田

今まで、と、これから

__ 
松田さんが演劇を始めた経緯を教えてください。
松田 
茨木市の少年少女合唱団に入っていまして。歌うことがとても好きだったんです。私、あんまり何も続けられなかったけれど、歌だけはずっと続けられたんです。何が楽しいって、みんなで作っているということと、年に1回の定期演奏会で一部、ミュージカルをやってたんです。それがすごく楽しくて。小学校5年生の時、先生がオリジナルミュージカルを作るんですけど、そのオーディションで白雪姫を勝ち取りました。そこから、舞台に興味を持つようになって。大学は、「もっと舞台の上にいたい」と思って、そのためはどうしたらいいかなと。そこで造形大を選びました。勉強してみたくて。
__ 
ありがとうございます。いつかどんな演技ができるようになりたいですか?
松田 
わたし、いきなりの演技が大好きなんですけど、それが通用しない役をやってみたいし、できるようになりたいです。自分と全く違う人間を作り込んで演じる。これまでは自分に近い役ばっかりだったので。
__ 
役作りというやつですね。
松田 
多分すごく苦しむと思います。でもそれを楽しんで、形にできる役者になりたいと思います。
__ 
難しいですよね。少し話は戻って、「いきなりの演技」について・・・
松田 
私、ちょっと前にロームシアター1周年記念として、「BACK STAGE TRAVERING!」というバックステージツアーをしたんです。そこでアテンダントをやって。それは本当に、リアルタイムでお客さんと接して楽しませるパフォーマンスが必要とされるんですけど、いざその場になって、私の想像を超えた瞬間(しかも私とはかけ離れた役だし)、対応ができなくなってしまった時があって。でも先輩方はめっちゃ器用で全てに素敵に対応してらっしゃったんです。私の相方をしていらっしゃった山岡美穂さんはあんまりそういうことをしてこなかったとおっしゃっていたんですが、めっちゃめちゃ器用で。舞台に立っている本数が私とは比べ物にならないから経験値が違うし、その中で得てきたものが自然と全部出るんだろうなあ、私はまだまだだなあと思いました。友井田亮さんとか中村こずえさんとか共演者の皆さん本当に素敵な役者さんで、その役の中でめちゃくちゃ面白い遊び心を効かせてくるんです、本当に先輩!って感じで、超大尊敬で。私はもっと面白くなって、勉強しようと思いました。本当にあの作品に出ることができてよかったなと思います。絶対、チッハーとペンペンにも生かされていると思います。

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松田

私にしか出来ないもの

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか。
松田 
次は「ふうちゃんとビー玉」で、その次はnidone.worksがあって。そんな中で、私にしか出来ないもの、じゃないですけど、ちゃんと私の中に吸収して、それを出すということを絶対に大事にしたいと思っています。それが攻めるということなのかは分からないですけど、私の中から出たもの、ということを忘れずに大事にしていきたいと思っています。
__ 
オリジナルであることを大事にする。
松田 
やっているのは私なので。衣装でも役者でも。

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松田

レモン柄の扇子

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼に、プレゼントを持って参りました。
松田 
ありがとうございます。本当に楽しみでした。わー、プレゼント包装ってワクワクしますよね(開ける)あ! 扇子ですか。扇子デビューしたかったんですよ。レモンですね。やった。めちゃめちゃ嬉しい。大切に使います。

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松田

小川さんの最近

__ 
今回は気持ちのいいチョップ、そしてヲサガリの小川さんにお話を伺います。よろしくお願いします。最近、小川さんはどんな感じでしょうか。
小川 
よろしくお願いします。僕はいま、京都工芸繊維大学の院生なんですけど、大学のプロジェクトが大変忙しくて。それがメインになりつつあります。
__ 
演劇をやる暇など無いと。
小川 
いえ、やることもありますし、最近もやってましたし。でも、昔ほど演劇をずっとやってるわけではないのかなと。
__ 
海外にも行ったりするんですよね。
小川 
プロジェクトの作業で、この間はイタリアに行き、再来週にはまたアメリカに行きます。
__ 
お忙しいですね。どんなプロジェクトなんですか?
小川 
イタリアの大学と共同でモノを作ったりしています。このプロジェクトの大元はスタンフォード大なんですけど。僕の専攻はグラフィックデザインなんですけど、地震に関するソリューションについて学際的に色々な人が集まって何かを作るというのをやっています。幅広い課題で、自然災害のことなら何でもいいと言う事だったんですが、僕自身が神戸の出身なんですが、実際に地震が起こったらどうするべきなのか?という調査のため、阪神淡路大震災を罹災した親戚にインタビューをしてきました。
気持ちのいいチョップ
京都を中心に活動する小川晶弘と横山清正により公演を行う企画。定期的な活動の拠点を持たない二人が役者修行のため、年3?4回公演を行うことを目的とする。様々な脚本家・演出家を招き、バイプレイヤーとしての評価は高い二人が主役を張る。それに加え、いわゆるアテ書きの多い二人が古典や既成脚本を上演したり、自らの一人芝居を作・演出するなど様々な挑戦でスキルアップを目指す演目「1000本チョップ」など、自身のイメージにとらわれない上演を目指す。(公式サイトより)
ヲサガリ
フク団ヒデキ 改め ヲサガリ。京都工芸繊維大学を拠点にする劇団。構成員は現在、ほぼ小川晶弘のみ。舞台上に生身の人間らしさをもちこむことを目指す。極めて小さな世界のお話を得意とする。あらゆるところからのヲサガリ(お下がり)を頂き大きくなっていく。(公式サイトより)

成果物についての意識のずれはどこから生まれているのか

__ 
その研究では、どのような成果がありましたか?お話できる範囲で結構です。
小川 
モノを企業の方と一緒に作っているんですけど、企業の方はその企業の環境や条件の中で成果物を作ることが多いらしく。一方で僕らは実際に現場に行って聞き込みを行う等の調査を行っています。そのかいもあって、震災当時、実際に必要とされていたニーズに改めて気づくということができました。
__ 
実際のエビデンスから導き出せた、ということですね。
小川 
そうですね。それと、研究とは関係ないんですが外国の方と共同で作業をするにあたり色々気付くことがありました。言葉の壁がありますし、文化の壁がある。同じ人間のはずなのに、まるで宇宙人と接しているかのようなんです。考え方も、思ってることも違うんです。
__ 
私も海外の方と仕事をしたことはありますが、品質に対する捉え方が本当に違いますよね。どちらが良い悪いということではなく。
小川 
それはありますね。やっぱり日本は目に見えるものを作る、という事に価値を感じるもので、プロトタイプを何個も作っては壊し、失敗してはもう一度作れ、という考え方で(ただ、それはアメリカ的なものの考え方でもあるんですけど)。イタリアの方は結構、「バックアップに企業があるから、最後には企業がプロダクトを作るんでしょ」という考え方があるみたいなんです。研究初段階の、想定物しか作っていないんです。
__ 
日本でいう「たたき台」とは、ラフではなく成果物、を指しているところがありますよね。根柢にそれがあると思う。すでに動いているものが望ましい、ぐらいの。それをお客さんとの間で揉む事で、次第に後戻りができないような形に引き込んでしまう。小川さんのお話を聞く限りでは、そのイタリアのチームはドキュメントファーストというよりも、入口の定義段階で粘り続けている、という感じなのかな。
小川 
そうなんですよ、自分たちで話をして、納得しないと作らないし。思想がなければプロダクトはできないのは当然なんですけど、このプロジェクトは、思想の完成は実は求めていない。全体的にはビルドtoシンク、作りながら考えるという感じなんですけど、そこが彼らの中では納得が入っていないみたいで、ずっと机上の空論を続けているような。
__ 
そういう印象を受けると。
小川 
お国柄ではなくて、向こうのチームの性格がたまたま出ているだけなのかもしれないですけど。
__ 
いつでも作れるという判断があって、敢えて進まないという選択をしているのかもしれないですね。
小川 
その辺りを話す時間や場所もないんですよ。
__ 
何せ地球の裏側ですからね。
小川 
そうなんですよ。なので、難しいですね。