nidone.works、その由来と今の目標について

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nidone.worksの、渡辺さんと加藤さんにお話を伺います。よろしくお願いします。
渡辺・加藤 
よろしくお願いします!
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nidone.worksさんは、演出の渡辺さんと制作の加藤さん、そしてゆるやかなともだちを集めてのチームなんですよね。
加藤 
そうですね。毎公演に参加してもらってるメンバーも多いけど、公演の度に、ゆるやかなともだちを集めて活動しています。
渡辺 
もともとは僕が一人で、自分の動画作品のポートフォリオとしてウェブサイトを作ったんです。そのサイト名が「nidone.works」という名前でした。
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nidoneとは、二度寝の事ですか?
渡辺 
その二度寝であってます!二度寝してる時間って幸せなので、そういうポジティブな意味と、あと、二度寝したい欲に勝てる作品や公演づくりをしたいという思いを込めています。名前がゆえ、メンバーが稽古に遅れてきても「二度寝ワークスしちゃった」といえば、あはは、ってかんじで。
加藤 
たまになら許す。何度も繰り返すとアウトッてかんじですね。(笑う)
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フリースタイルですね。そんなnidoneの皆さんは最近どんな感じですか?
加藤 
先日、立誠小学校での「チッハーとペンペン」の公演が終わったところです。このチッハーとペンペンを一番最初に上演したのは去年(2016年)の2月、造形大の学内でした。その時は本当に、「こんな舞台作品を作ってみました」という感じで、今後も続くとはあまり予想していなくて。でも今は結構、彼の中での悪巧みがなんとなく出てきて。それから段々と私たち主メンバーも集まり始めて、どうやら「これを仕事にしていきたい」という思いが就職活動を目の前にした私たちの中に芽生えてきたんです。それで今回もう一度、チッハーとペンペンを1年越しで上演しました。企業さんや各団体の代表さんに、お客様からの口コミをアピールして。1年経ってようやくこの春、走り出したという感じです。
nidone.works
成長過程にいるこどもが おとなになることを、少しでもポジティブに捉えることができる作品づくりを目指しています。 メンバーは作/演出の渡辺たくみ、制作の加藤なつみを中心に、作品ごとにゆるやかなともだちを集めて活動中。舞台作品では、こども自らが表現することを後押しできるように、 こどもたちが演者とコミュニーケションをとることでストーリーが進むよう構成しています。(公式サイトより)
こどもトキドキおとなに贈る、ハートフルおしゃべり劇『チッハー と ペンペン』(ver.3)
日程:2017年 4月28日(金)~30日(日)会場:元・立誠小学校 作.演出:渡辺卓史

出演:松田ちはる 諏訪七海 荻原萌子 山口慶人
美術:山本かれん
照明:福岡想 西本春佳
音響:安東優里
演出助手:横田樹菜
制作:加藤奈紬 石口さくら
宣伝美術:宮城巧







作品製作のキッカケ

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まず、「チッハーとペンペン」作品製作のキッカケを教えてください。
渡辺 
キッカケは、個人的な事で。女の子に振られたことから始まって・・・
加藤 
うわー。
渡辺 
くそ!というエネルギーを作品づくりにぶつけよう、と。経緯としては、あんまりしゃべるのが得意ではない子供とか、その家族に、ちょっと殻を破れるような作品が作りたいなと思って製作をはじめました。
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なるほど!そうして出来上がった作品は、先日拝見しましたがまるで子供番組をそのまま演劇にしたかのような、そして客席のお子さんに助けてもらって進むような参加型で、そして音響・照明・仕掛けのギミックが複合したものでした。
渡辺 
お客さんが自ら、テレビ番組の世界に入り込んだ気持ちになれるように、色々とこだわっています。観客と演者で、言葉やアクションをリプライし合うことでストーリーが展開する仕組みと、かくれんぼ絵本みたいなものを目指してつくっていて。
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ああ、かくれんぼ絵本。
渡辺 
「ミッケ!」というかくれんぼ絵本があるんです。写真の中からあるモノを探しだそう!みたいな。その絵本で遊ぶ感覚とフェイク的な演出を多く取り込んで舞台では遊んでいます。例えば、「チッハーとペンペン」だと、沢山の電話の中に一つだけバナナがあったり。前回の公演「よっ!チョコモフン」で言うと、マシュマロが客席上をフワフワと浮いている中に、ひとつだけ唐揚げが浮いていたりするとかですね。他にも、演者が役を背負ったまま「なにこれ!?」と、素の反応を見せるシーンを用意するとか、こだわっているお遊び演出は劇中に沢山あります。美術のやまもとかれんもこだわっている事なんですが、ある角度の席に座ったお客さんしか見れない、クスッとするポイントを用意したりもしているんです。例えば「チッハーとペンペン」のあるシーンでは、お客さんの一人にお願いして、舞台上の電話機のボタンを押してもらうシーンがあるんですけど、4つの内一つだけが「チッハー」と書いてあって、他は「ショッカー」「ウーパールーパー」「アッラー」で、そのお客さんだけちょっと笑いを堪えているみたいな。静かなシーンなのに。
加藤 
ホンマにそういうのが好きだよね。そういうのを後で聞くと、ああ私も観たかった、と思いますね。
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それは本当の意味でのこだわりですね。だって私、知らなかったですからね。
渡辺 
開演と後説の仕方にもこだわりがあります。生活と地続きのイメージで入っていく、という。開場中のBGMが段々と舞台上のラジカセから流れている音に移っていき、寝ぼけているチッハーがそれを止める、みたいな。僕だけじゃなく、スタッフそれぞれもこだわっているポイントがあるので、挙げたらキリがないかんじですね。(笑う)

「あーっ、ハートが作られる音や!」

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個人的に、あの作品のこだわりポイントをいくつか書き出してきました。沢山あります。まず、ハートが作られるところ、ダンスと音と照明と舞台セットが全て音ハメになっていて、あれは劇中最大の見せ場でした。あのダンスは誰が振り付けたんですか?
加藤 
実は、あのダンスは回毎に変わっていて。何パターンかあるんだよね。
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そうなんですか!
渡辺 
合気道ダンスと、ロックダンス、タップダンス、バレエだったり、9パターンぐらい控えはあって。毎回、お子さんの年齢層とかウケの流れに合わせて選んでいます。完成しきっていない・踊り慣れていない感じを狙っているので、振付は僕が「こんな感じ!」と実際にパパッと踊って伝え、それからは役者さんに投げています。
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それは遊び心という言葉では括れませんね。そうそう、遊び心といえば、ヤギのシロコさんへの配達から戻ってくるとき、トランペットでブルースを吹きながら練り歩いて来たときですよチッハーが。あんなところであのイメージをぶっ込んでくるのが素晴らしい。
渡辺 
あのシーンが褒められるとは思わなかったです。
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私のセンスが捻じ曲がってるのかもしれませんけど、あれは大人が喜ぶのかな。音楽も全般的に、子供向けであり、ちょっといい時代のダンスナンバーだったり渋谷系だったりがベースで今の親世代にウケが良いでしょうね。あと、発達心理学的なアプローチにも含意がある物語でしたね。チッハーとペンペンの、保護者との暮らしではなく友達同士の助け合いの生活は、「親離れの後にやってくる他者との関係性とはいかなるものか」を優しく伝えるお話。でもペンペンは、チッハーがハート100個で使える魔法を使って宇宙に行ってしまうのではないかと恐れてハートを盗んでしまうんですが、そうしたネガティブな「構って欲しい」というアクションを子供に敢えて見せ、でもその魔法が実はペンペンを助けるために使われる、という結末が、信賞必罰ではなく、他者許容へと向かう心に自然に向かわせてくれる。
渡辺 
その見解、めちゃ嬉しいです。ありがとうございます。
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電話がお客さんの方へと延びるのはへその緒の暗喩かな。
渡辺 
へその緒ではなく、N’夙川BOYSのライブで、バンドメンバーがギターを持ったまま客席へダイブする空間を意識してつくっています。観客の頭上を、アンプに繋がれているカールケーブルが通過するんです。その感覚をお子さんにも感じて欲しいな、と思って。「向こうから飛び込んできた!」、「自分の上を通っている!」、みたいなことがやりたくて。
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さすがにへその緒ではなかったですね。
渡辺 
いえいえ。へその緒ではないですね。(笑う)
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他にも色々なモチーフがあって。動物さんから「ありがとう」の言葉をもらって、チッハーが「どういたしまして」というとハートが作られて、そのハートが100個集まると魔法が使えるというギミックが面白かったです。どういう仕組みなんですか?
渡辺 
最初の台本にはそういう設定はなかったんですよ。演出助手の横田さんからの、「ハートが100個集まると魔法が使えるというのはどうだ」、というアイデアから発展していきました。それに、ユリイカ百貨店さんの作品にお手伝いさせて頂いた時に気づいたことがあって。大人向けの作品での魔法というのはちょっと胡散臭いけど、子供向けの作品での魔法というのは真実味があるなと思って。
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素晴らしいラストだったと思いますよ。
渡辺 
ありがとうございます。この作品は渡辺が作・演出になっているけど、参加しているメンバーから「この設定どうなん?」とか、「こういうのどう?」というアイデアや意見が反映されています。なので、僕が一人で作った作品というより、結構周りの意見や声で作られているところも多いんです。
加藤 
久しぶりに稽古場に行ったら、台本がかなり書き換わっていて。
渡辺 
同じシーンなのに、毎回新しい台本で稽古してました。それを役者に配って、「どうこの話?」ってリサーチして。稽古場の人たちがどれだけ面白く思ってくれるかを常に更新しています。
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それはソフトウェア開発の現場では「たたき台」と呼ばれる開発手法です。ラフを出して、良さそうなものを元にまずは作ってみて、そこから発展させていく。その作り方であれば設計の段階から出られない、みたいな事が避けられるという利点があります。また、伺っている限りだと、出てくるアイデアを捨てずに成果物を更新していくような感じがありますね。ということは、製作しているメンバー全員が発注元であり同時に開発者。だから一様に「これは私の作ったもの」という愛情が強くこもった作品づくりが出来そうですね。
加藤 
環境に恵まれている感があります。
渡辺 
ほんとにね。メンバーに恵まれていると感じます。

子供さんの反応について

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子供の反応はどんな感じでしたか?ちなみに、私が拝見した回はとても反応が良かったんです。コールアンドレスポンスも沢山ありましたし、たくさんの子供さんがチッハーに電話を指さして教えてくれてましたし。
加藤 
お子さん連れのご家族が3組ぐらいの時は、みんな集中して見てくれるんですよ。でも、幼稚園で上演した時は、後ろの子達は前の子達を冷静に見てしまって。ちょっとお姉さんみたいな感じになるんですよね。「どうせあれは人間がやってるんでしょ」みたいな。ちょっと大人びて客観視してしまうみたいな。その場の、居合わせた回と、席の場所によって・・・
渡辺 
かなり左右される感じですね。
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なるほど。
加藤 
あとは年齢によったりもします。
渡辺 
小学校に入ってるお子さんとかだと、少し冷めた目で見ている感じもありますね。(笑い)
加藤 
でも小学生でも全然楽しんでくれる子もいるんですよ。
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大人としてはギミックで楽しんでました。
渡辺 
いやー、うれしいです。

お一人でもご家族でも?

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nidone.worksのホームページに「成長過程にいるこどもがおとなになることを、少しでもポジティブに捉えることができる作品づくりを目指しています。」とありますが・・・
渡辺 
その言葉には、歳をとることや生きていくことに、少しでもポジティブな気持ちになれるような経験づくり、という意味があります。なので、舞台では、お一人様・家族連れ・役者・スタッフと、会場に居合わせた全員が楽しい時間を過ごせることを目指しています。
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舞台を観たというイベントはすごくインパクトがあるので、大人になっても忘れない子供もたくさんいると思います。
加藤 
ご覧になっていただいたお客さんから、「その後家族でペンギンのことを『ペンペン』と呼ぶようになった」と伺って。現実離れし過ぎない形で作っているので、リアルの世界で忘れない子供も結構多いなあ、と。その子が幼稚のお絵かきでペンペンを描いてくれて、それが家に残ったりして・・・その時の思い出が残っているというのは嬉しいですね。

これから

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今見えている課題というのはありますか?
渡辺 
僕らの作る作品は基本的にお客さんの参加型作品なんですけど、そういうのって観客としてはちょっと恥ずかしくないですか。今まで何度か、お客さんからレスポンスがなく、役者が戸惑うという事があったんです。今回の公演ではそこが課題だったように思います。その対策のために稽古場で色々とやっていました。チッハーがお客さんに呼びかけても「誰も反応しない!どうする!?」って圧を掛けて、それをうまく笑いに変えていくとかして(大阪のおばさん感を増すつつも)波ができていくみたいなことがあったと思います。去年に比べて。
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そういう形で打ち合わせを積み重ねたから、あの時会場では子供も大人も反応が良かったんですね。考慮を重ねていった分、層の厚い作品となったと思います。それはもう、目に見える形で。
渡辺 
役者さんは、反応のない客席の空気感を変えようと言葉を出してくれるんですけど。そこは僕のディレクションに関係なく、その役者さんの地力が試される部分。素の良さが本領発揮する時間なんです。松田ちはると諏訪七海サマサマなんです。
加藤 
でも、彼はディレクションの部分ではめちゃめちゃこだわりが強いんですよ。違うものは違うとはっきりと言ってくるんですね。役者を含め、全部署、スタッフに渡って全部見ないと気が済まない。彼の世界なんですね。そこに巻き込まれて自分たちも世界を作ってるんですけど、渡辺が違うといえば違う。逆に言うと、だから私たちも提案がしやすいし、判断がしやすい。
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そうやって作られた作品は、学部生レベルとは思えない出来でした。キーのテレビ局が予算をかけて作るクオリティであり、リアルなお客さん(家族連れ)を想定して製作され、それが確実な成功を収めた、理想的な上演だったと思います。
渡辺 
ありがとうございます。アイデアは数がいっぱい出るし、採用数が多いし、採用されない数も多いし、みたいな。出しては仕分け、出しては仕分けのテンションが続く製作現場なので、逆に言うと、nidoneはそういうスタイルでしか作品を作れてきていないのが現状なんです。既存の物語を演出してやってみたら?というアドバイスもあったりするので、その辺りが今見えている課題なのかもしれません。

今まで

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お二人が演劇を始めたきっかけを教えてください。
加藤 
私は大学に入るまで演劇を見たことがなかったんです。元々がダンス寄りで、踊るのも見るのも好きで。演劇をきちんと観始めたのは2年前ぐらいからです。
渡辺 
中学の学祭の出し物で、クラスの劇を作・演出したのがきっかけですね。
__ 
造形大に入ったのは?
渡辺 
最初は京都造形大学のこども芸術学科に出願していて、その時舞台芸術学科も併願で受けていました。両方受かったので、出願はあえて反対舞台芸術学科に入りました。最初は、子供向けの番組(TV番組やラジオ)をつくる人になりたいと考えていたので。
__ 
どんな作品を作っていきたいですか?
渡辺 
子供が「へへ」って笑ってくれて、大人になった時に思い出してくれるみたいな。日々すごしている生活の中で嫌なことや苦しいことが起こった時に、観ると少し踏ん張れるような気になる・・・おやつのような作品です。
__ 
いま興味のある方向性はありますか?
渡辺 
Eテレの「シャキーン」と、前からですが「みぃつけた」とかのジャンル。テレビ朝日の深夜番組なんですが「日曜芸人」「『ぷっ』すま」とか。
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「みぃつけた」?
加藤 
サボテンと青い椅子がしゃべる番組で、お母さんも手を止めてふふんって笑えるような大人向けの台詞もあったりするんですよ。
__ 
どうしてそんな作品を作りたいと思うんですか?
渡辺 
嫌なことがあったとしても、家に帰って家族とバラエティ番組を見て一緒に笑っていると、気持ちがリセットされたりとかがあるので。僕がそういう経験をしてたりもします。
加藤 
確かにテレビは劇場へ足を運ばなくても家で見れるし、映像メディアにはすごく興味があるんですけど、家族でスケジュールを立てて劇場に行くという、ある種演劇でしかできない体験が好きなので。その意義は大切に考えていきたいなと思ってます。今はイオンモールみたいな複合施設とのタイアップみたいなのを考えています。イベント広場の中にnidone.worksも出ている、みたいな。家族でのお出かけにnidone.works。もちろん、映像媒体での広がりも考えていきたいですけどね。
渡辺 
ほんとにね。おでかけworksも、映像もやっていきたいので、今年中に動き出せたらなと思っています。

複合について

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ハートが作られるシーンで、音響と照明と小道具とダンスと設定が、音ハメで複合して1つの効果を作ってるというのがたまらない快感だと思うんですよ。あれはとても強度が高いと思う。
渡辺 
めっちゃ褒めて頂けるの嬉しいです。ありがとうございます。音響の安東優里奈は、お客さんの声とか動き、会場に流れる雰囲気をキッカケに音を出さなければならないシーンがとても多く、難易度の高いオペレーションをこなしてくれました。照明の福岡想は、客席からの反応がほしいシーンでお客さんを煽ったり、小さなお子さんが泣きだしそうな時はジワーっと照明のレベルを上げて、お子さんを泣き止ますレベルの照明さんです。ハートのシーンに関しては演出部も試行錯誤しながら完成したシーンなので、各部署のスタッフの頑張りが光ったシーンでした。
加藤 
あれがこうなって、ああなって、みたいに全てが繋がるような感じがするんですよね。ハートが作られるシーンがこんなに褒められるとは初めてやな。
渡辺 
初めてやね。
__ 
スイートスポットに入ったストレートパンチですから。
加藤 
スイートスポット。すごい言葉をもらったぞ。
渡辺 
使っていこうか。
加藤 
あそこがウチらのスイートスポットやから。
__ 
ペンギンも回るしね。魔法の時に。
加藤 
ペンペンは、今回小道具の子がゼロから作ったんですよ。既製品じゃないから繊細な動きが出来るのと、手作りだからこそ回ったら色々と粗が見えてダサかわいいんです。小道具のやまもとかれんの仕業やな、と。
__ 
選曲もいいですよね。ダンスフロアみたいな感じで。
加藤 
「よっ!チョコモフン」のかくれんぼの曲とかがずっと頭の中で繰り返されてますね。
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そう、前公演「よっ!チョコモフン」。資料映像を拝見しましたがとても面白かったです。そして凄くうさんくさいイメージの番組でしたね。
渡辺 
そうなんです。うさんくさいテレビショッピングの雰囲気を意識してつくってました。対象の年齢層をちょっと広げてみようと。
__ 
中学に入る前の女の子が大好きそうな感じですよ、ちょっとシュールで、フードがテーマのクッキング番組で、そして可愛い男の子が出てくる。弟っぽい感じの。
加藤 
その男の子、だっさい変身してきますもんね。ちょっと馬鹿にしながら観つつも愛らしくて。
__ 
「ピザーマン」ね。あの子供騙しな感じ。
加藤 
再演出来たら、いいんですけどね・・・。
渡辺 
できるのであれば、ブラッシュアップして再演したいと思います。

質問 日下 七海さんから nidone.worksさんへ

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前回インタビューさせていただいた日下七海さんから質問を頂いてきております。「最近、劇作に使えそうな思い付きはありましたか?」
渡辺 
「味噌汁は、疲れている時に飲むとめちゃめちゃ幸せになる」ということですかね。
__ 
理想的には白味噌ですか?赤味噌ですか?
渡辺 
あ、白味噌です。やよい軒の味噌汁を飲んで泣いたときに、味噌汁は人の感情を動かすものすごい力があると思いました。
__ 
食事で泣くことはありますよね。
__ 
加藤さんはいかがですか?
加藤 
実は京都造形って、他の大学の演劇部とあんまり交流がなくて(近年は河合朗さんのルサンチカがあったんですけど)。学生演劇祭とかも増員に行ったりはするけど、自分たちがここに出すというのは考えたことがあんまりなくって。大学には専門の教員がついてるし、舞台が学べる環境が整い過ぎていて。私最近、劇場で制作のアルバイトをしてるんですけど、挟み込みの現場で他の大学の演劇部の人たちが合流してるのを見て、ああ交流したいなあ、って思いました。
__ 
造形大の1回生は確かに、外に出る必要と時間がないですからね。今出川の大学(立命、同支社、京大)はお互いに必要としているから交流はある。
加藤 
そういうふうに切磋琢磨しているのが羨ましいと思います。環境が整いすぎて、逆に全然知らないから。

nidone.worksのお休みの日

加藤 
前に「チッハーとペンペン」の準備期間中、nidoneの公演に関わってるメンバー数人でディズニーランドに行ったんですよ。ランドとシーに泊まりがけで。遊びながら、実はみんなアイデアを練りながらの旅行だったんですけど、そういうの楽しいよね。
渡辺 
(笑う)旅行したり、遊びに行ったとき、心の中で次の公演に使えそうなものを探しているんですよ。表向きは遊んでるんですけど。
加藤 
ちょっと休憩時間があったらみんなパソコンを開き始めてて、何らかの図面を書いてたり。
渡辺 
そういうモチベーションになれることが、大切だなって思います。
加藤 
どこかに遊びに行っても、近くに寄ったカフェでパソコンを開いているみたいな。そして、それを苦ではなく気づいたらやっているのがいいよね。
渡辺 
そうだね。会話の中で、誰かが何かしらボケてるから、全然、苦じゃない。
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そういう時間がずっと続けばいいですよね。
渡辺 
そうですね。ギャグセンスが落ちない人生を過ごしたいです。

__ 
今後、どんな感じで攻めて行かれますか?
渡辺 
死活問題なので、待ちの姿勢でない事は確かです。とにかく行動していきます。
加藤 
初めてご覧になったお客さんの意見をちゃんと大切にしながら、自分たちのこだわりも大切にする方向で頑張ります。

ドラート春の蜜

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今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。
渡辺 
ありがとうございます。
加藤 
せーの(開ける)はちみつ。美味しそう!ありがとうございます。これは次の公演のケータリングに持って行こう。
渡辺 
その日は食パン持っていこ!
加藤 
そうしよ!

実験を続けていきます

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今後どんな感じで攻めて行かれますか?
日下 
それこそ、自分の肉体や自分自身の人間性を使って実験を重ねつつ、その結果出たものを使ってパフォーマーとしていきたいなと思っています。媒体はまだ決めていないんですけど、安住の地はいろんな演出家のいる団体なので、色々使ってもらって。
__ 
実験の夏ですね。
日下 
そうですね。楽器はちょっと違いますけど、ダンスと演劇の、身体と言葉のそれぞれの要素の組み合わせを上手いこと試して実験していければなと思います。

ソーラー舞妓ちゃん

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今日はですね、お話を伺いたお礼にプレゼントを持って参りました。
日下 
ありがとうございます。(開ける)あはは、かわいー。なんですか、これ。あ、動くタイプの。ソーラー?
__ 
ゆらゆら動くやつですね。
日下 
へー。

これからの予定色々

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これから、どんな感じですか?
日下 
5月30日に安住の地ワークインプログレス公演に出演して、8月にゆざわさなさんの舞台企画Back-Packに出ます。大阪と京都で公演します。それから、維新派の台湾公演に出ます。
__ 
おっ、それは素晴らしい。
日下 
維新派は、出演している時と観ている時では全然違うので、映像を観てこんな感じだったんだ、ってなります。次の台湾公演で4回目の出演です。大学に入ってから出始めたので全然観れてないんですよー。台湾公演、余裕がありましたら是非。

生物の肉体

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最近は、どんなことに興味がありますか?
日下 
最近は舞踏と身体性に興味があります。動き自体に興味があって、東京に、大駱駝艦のワークショップに行ってきました。理論的で分かりやすく教えてくださって。それから自分にとって踊るということが、表現をするということよりも、いかに身体として肉体を使うか、という意識に変わっていった感じがします。体の動かす部分が変わっていた感じがします。これを突き詰めれば突き詰めるほど、ある意味生物になれるんじゃないか、人間という概念を越えられて、実際見てて面白いんじゃないかなと思うんです。
__ 
肉体性に興味がある。
日下 
そうですね。これまで出た舞台は身体を使う事が多かったので、体のことは普段よく考えています。

出会う

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今後、どんな出会いがあるといいですか。
日下 
何か、それこそ、安住の地はそうだと思うんですけど。いろんな人が自分の要素を持ちあっていて。演劇なんですけど、蓋を開ければ色々なことをやってる人が集まってきていて。色々なバックボーンがあるからこそたどり着いている人がいて。それが使えるんだったら新しいことをやりたいね、みたいな打ち合わせが生まれているのが安住の地だと思うので。色々な持ち札を持ち合って、一つの事が出来たらと思います。

変身

__ 
日下さんが演劇を始めたのはどんな経緯があるんですか?
日下 
もともと人前に立つのは、バレエだったり楽器を弾いてたりをやっていたこともあったので。人前で何かを表現するのは好きで、絵も描いていたので表現すること自体も好きで。演劇には元々やってみたいと思っていました(高校では美術部に入っていたんですけど)。やろうと思ったきっかけ自体は、ある俳優さんが前とは全然違う役になっているのを見て「こうも人は変わるんだ」と思ったのがキッカケです。
__ 
俳優として、いま何か考えていることはありますか?
日下 
今は模索中という感じです。これから成長していかないといけないなと。去年一年間、多く演劇に関わらせてもらって、もっと伸ばしていきたいと思っていて。最近思っているのは、(ダンスをやっていて思っていたことなんですけど)生物としての可能性を求めて行きたいなと思っています。
__ 
というと?
日下 
もともと芝居を始めたいと思ったきっかけが「化けたい」みたいな欲でした。大学からずっと、自分を人間というよりは生物だという考えがありまして。こういう人、キャラクターであるというよりも、生き物らしい感じ。エグみのある、目を背けたくなる部分。人間には誰にでもそういう部分はあって、隠して行きたくないなと。それをダンスの面で感じていて、綺麗に踊るのを観ると「表現しているな」と思うんですけど、身体が持っているリアルな面(この関節をここまで動かしたら痛くなる、みたいな)を見えないものにするというのじゃなくて、もっと、人間なんだな、生き物なんだなと思ってもらえるパフォーマーでありたいなと思っています。それも人間性と呼べるかもしれないですけど。綺麗な部分だけじゃなくて、私自身で出てしまうようなノイズとかではなく、生物としてのエグみ。体から出ている部分から発展できたらなあと思ってます。
__ 
どう感じてほしいですか?
日下 
どう感じるかはその人次第なのかなと思うんです。でも失敗はするだろうなと思うんです。ただ、「こう思ってもらいたい」という所まで持っていけたら、意図を伝えることが出来ていると思います。
__ 
それはとにかく、実験しないとしょうがないところですね。
日下 
そうなんですよ。でも、ただただお芝居をするより、そういう実験を重ねて究めていければ、自分にとってに一つのポイントを得られると思うので。京都はそういう実験がしやすいのかなと思います。
__ 
前衛って、手法や枠組そのものから作っていく必要があるんですよね。いや受け売りですけど。ただ、この時点では実験していかないと何とも言えませんね。
日下 
例えば「こういう問題意識を持ってもらう」みたいなのがあれば着地点が見えやすいと思うんですけど、今はまだ、「何かこの生物を見ているのは嫌だ」、それぐらいのを目指すところから初めていけばいいのかな、と。勉強している方達にアドバイスを貰いに行きたいです。ただ、私個人が主体となって作品を0から作るというよりも、集団創作の中のひとつの要素として組み込まれるという形がいいのかなと思ってます、という感じですね。

空気

__ 
ご自身が考える、理想の上演とは何でしょうか。演奏でも、ダンスでも。
日下 
できるかどうかは別として、空気を作るという感じかな。何かを表現するというよりも、そういう空気にさせたい、と思っています。音楽を例に取るとわかりやすいと思うんですけどやっぱり弾き方次第で変わると思うんです。中国琵琶は手で弾くので、手の力だけで変える事が出来る。ダンスにしても同じで、自分がこういうもの表現したい、というよりも、伝染していく空気のように、人に何かを思わせる表現がしたいですね。お客さんに、「この人はこれを表現したいんだな」とか、内容について考えさせるのではなくて。
__ 
演奏について考えてることがあるんですけど、音楽こそが時間芸術なんじゃないかなと思うことがあって。音楽が演奏されているのを時間と共に聞いている時、技術はもちろんですが全てが尽くされている演奏であればあるほど、そこに乗れる事が出来る。それはもう、ただの時間ではない。時間ではあるけれど。
日下 
ええ。
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フルハウスで・・・フルハウス見たことあります?
日下 
ちょっとだけ。
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ジェシーおじさんが、ステファニーに音楽を教える話が第8シーズンにあるんですけど。ステファニーがバンドを組んで(「ガール・トーク」)、ジェシーが稽古をつけようとしているのにステファニーたちは自分たちがステージで格好をつける振り付けや決めポーズのことばかりを考えて、本番で大失敗するんですよ。その後、ジェシーがステフに「音楽というのは難しいし本番では何が起こるかわからない。だから、目をつぶってでも弾けるぐらいにならないとダメだ」と言ってて。音楽を紡ぎ出すには奏者のアクション一つに全てが掛かっているんだなと思うんです。聴者のタイムラインに何を紡ぐかという事に一心を掛けないといけない。稽古も技術ももちろん尽くし、聴者のそこになにをどれだけ書き込めるか。
日下 
本当にそう思いますね。なんでもそうですけど、見ている方にその同じ時間、どれだけ何を感じさせられるかどうか。私の師匠が言うんですけど「弾けるだけじゃ駄目なんだ」って。それはもちろんそうなんですけど、「楽譜通りの音階とリズムで、同じテクニックで表出させたとしてもそれはまだ音楽にはなっていない。ちゃんと音楽にしなさい」って。ちゃんと音楽にしてはじめてちゃんと楽しんでくれるか、という基準に行きつける。それができていない人の演奏は、確かにお客さんは寝ちゃうんですね。何かを表現するというのはそういうことなのかなと思います。

演奏

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いつか、どんな演奏ができるようになりたいですか?
日下 
演奏だけで言えばテクニック重視でやってきた感じがあるので。もっとこう、楽しませることに特化した感じにしたり、別の気持ちにさせたり。音楽を聴かせるというよりも、弾き方とか音とかを利用して、何かを感じさせるような。曲をバーンと演奏するというよりは、何かを提示するようでありたいな、と。だから単体としてよりも、他の何かと組み合わせて使ってもらいたいなーと。今回のように。今回は歌いますけど。
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全体における道具というか、部品と言うか、楽器というか。
日下 
主体であって欲しくないというか。プロの方もそうだと思うんですけど、この曲をいかに音楽として表現するか考える時に引き算的な考えで全体を考える事が大切なんじゃないかと思うんです。だから、自分を一つの要素として捉え直したい。
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なぜそう思うようになったんですか?
日下 
この中国琵琶というあまり知られていない楽器で演奏すると、演奏スタイルがすごいと面白がられるんですよ。でも、自分が見せたい部分、やりたいことは違うと思えてきたんです。ダンスだったり演劇をやっていて「何かを考えさせるキッカケをどのようにすれば与えられるのか」を考えている分、今まで取り組んできた演奏活動では思ってもらえないし。せっかく音色がいい楽器で、テクニックもあげてきたから、これをいかに使えるか、と考えはじめています。いろんなことをやっていろんな人に出会っているからこそ、いろいろな組み合わせ方で使ってもらえたらなあと思っています。