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欲望の場所
- __
- いま、増田さんが興味のある分野を教えてください。
- 増田
- 言葉を書く自分をこしらえようと思って、嵯峨実果子という名前をつけました。私自身は嵯峨実果子のゴーストライターと名乗っていて、嵯峨実果子は架空の人物です。でも詩を書いて公募に出してみたのがたまたま賞を取ったことがあって、表彰式には私が嵯峨実果子と呼ばれて出ていくわけですから、体感としては演劇です。架空の人物が世の中に立体感を帯びてくるのがおもしろいので従事しているような感じもあります。操っているつもりで操られているのかも知れません。今はClassroom Mag http://classroom-mag.com/ というウェブマガジンに去年の5月から週一回コラムを寄稿してます。あと詩とドローイングを描き溜めているので、今年は詩画集を作ってみたい。節操なくいろんなことをやっているようで私にとっては書くことも描くことも踊ることも繋がっています。
- __
- 繋がっている。断絶していない。
- 増田
- そうですね、全部体を起点にしているということで。そういうとすべてのことがそうですけど。すでに自分が生きてしまっていることとそのわからなさと、どうやって生きるかという。
- __
- すでに生きてしまっていること。
- 増田
- はい。体は私より先にもうあって、あってしまった、という悔いようのない居場所に思えて、ここは、この状態は一体なんなのか。そういうことにもう少し積極的になりたいんですたぶん。例えばコラムは日常の細かいことを拾って書いてる感覚で、それらの思念の素描というか。例えばこういう(目の前のコーヒーカップの縁)がいいなと言う事を思ったとして、それはすぐに流れていくじゃないですか。でもそれをいいと思ったことをもう一度手に取るというか。それはつまり創意だと思いますが、知覚の受動と能動の場所である体を端々まで使いたいという欲望はあります。
- __
- 自分の体や、身の回りの物体に批評性をもって当たるということ。実は私もそこはやりたいことなんですよね。後悔してること、たくさんありますからね。いろんなことを思っても、残さないし批評もしないから、すべて忘れている。でも、そういうのが集まって私になっている。
- 増田
- うん。
質問 佐藤 都輝子さんから 増田 美佳さんへ
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- __
- 前回インタビューさせていただいた、劇団とっても便利の佐藤都輝子さんから質問を頂いてきております。「一人になって集中したい時に行く場所はどこですか?」
- 増田
- どこにも行かないです。
- __
- そうなんですか。
- 増田
- うん。
- __
- どこでも集中できる?もしくは集中したくない?
- 増田
- そうなった時に行く場所というのがないですね。家でお茶淹れるとか。
体の入口
- __
- 増田さんが踊りを始めたのは、どんな経緯があったんでしょうか。
- 増田
- 大学に入ってからです。それまでは今自分が関わっているような舞台芸術の世界があることすら知りませんでした。通っていた高校が美術工芸高校で、そこでは服飾を専攻していました。中学ではなぜ皆同じ制服を着ないといけないのかと思っていて、自分の身に着けるものは自分で選びたいとか作りたいという要求があったんです。高校3年間でデザインから縫製まで一通りやってたどり着いたのは「装うとは何か」という問いでした。というかやっとスタート地点。
- __
- 表面の事から入ったんですね。
- 増田
- そうですね。美術専門高校だったので、入ったときから絵がすごくうまい子や羨むようなセンスの持ち主が多かったので劣等感に苛まれていました笑。それで自分の抽き出しを増やそうと近所のレンタルビデオ屋にアート系映画をたくさん置いてる店があって、手当たり次第借りて見たりしてました。印象に残っているのはピーター・グリーナウェイとかクエイ兄弟とか、一番惹かれたのはヤン・シュヴァンクマイエルのアニメーションでした。劇映画とは違う実験映像と呼ばれるものがあるのを知って、次はこういうものを作ってみたいと思ったんです。それで京都造形大の映像舞台学科に入りました。だからそもそもダンスも演劇もやる気はなかったんです。
- __
- そうだったんですね。映像がやりたかった。
- 増田
- でも一回生の必修授業にダンスがあって。岩下徹さんの授業でした。もちろん岩下さんを当時は知らなかった訳ですから、黒ずくめで坊主のどっちかというと全然踊らなさそうな先生が現れたと思いました。ダンスなんて高校の頃の体育の授業でもやりたくなかったけれど、それまでイメージしていたダンスとは全然違いました。
- __
- と言うと。
- 増田
- まず力を抜くことを教わりました。もっと早くとか高くとか、効率よく動くにはどうしたらいいかということしかそれまでの体育ではやってこなかった。印象的だったのは、床に寝転がって15分かけて立ち上がる、というのをやったことです。やったことないくらいゆっくり動いて、そのとき18年くらい生きてきたけど体ってこんなに重かったのか、ということに気付きました。今まで表面のことに気を取られていたけれど、覆われている体のことを実はほとんど知らなかった、というか体があることに気付いてもいなかった。私はそういうよくわからないものの表面を作っていたけれど、何にせよまずこのよくわからない私の体のことを知りたいと思った。そのことは表現媒体が体に移行した大きなきっかけです。体の表面から体の内側に反転して。
- __
- 体の内側。
- 増田
- 私が執着していた表面の内側にはどういうものが控えているのか。その内側を知りたくてダンスを始めたと言えますね。そこからいろんな人に出会っていくのですが、傾向として舞踏を経てきた方が多かったし、体の中に降りていくとか、体と相対するときの言葉にひかれました。体を不定形なものと捉え、変容していくことの魅力を伝えてくれた方々からの影響が大きいと思います。
- __
- ・・・言うか言うまいか迷ってるんですけど、言います。増田さんには「変身願望」があるんじゃないかと思う。
- 増田
- 変身というより分裂に近いような気がします。私を割っていきたい。変身とは少し違うかな。
- __
- 2分の1、ではない?
- 増田
- 何て言ったらいいのか、解体にも近いと思うんですけど、破滅せずにばらばらにしたい。どうなんだろうこれ、でもそういうことなんですよね。
私の尽きるところ
- __
- 今後、どんな表現をしたいですか?
- 増田
- あらゆる表現は自分のためにやるんですけど、ただ私が尽きるところまで行ってみたいと思ってます。
ポーチとミニ手鏡
- __
- 今日はですね、お話を伺いたお礼にプレゼントを持って参りました。
- 増田
- え、ありがとうございます。(開ける)あ、和風。
- __
- 西陣織のポーチと、ちりめん織のミニ手鏡です。
- 増田
- 京都らしい笑。使わせてもらいます。
佐藤さんの毎日
- __
- 今日は、どうぞよろしくお願いします。劇団とっても便利の佐藤都輝子さんにお話をさせて頂きます。最近、佐藤さんはどんな感じでしょうか。
- 佐藤
- 最近は、次に客演させていただくニットキャップシアターの稽古と、劇団とっても便利の次回公演の稽古。それから私、スタジオヴァリエの管理もしてるんですよ。プロデューサーとかじゃないんですけど。
- __
- そうなんですね!存じなかったです。
- 佐藤
- スタジオヴァリエの需要が最近高まっていて。昔は結構稼働率が高かったそうなんですが、劇団とっても便利のアトリエになってからは、貸し館はしていなかったんですね。去年ぐらいから少しずつ再開していて。劇団員で役割分担をして、ホームページを作ったり、見学会を開催したり、仲の良い照明さんに機材をメンテナンスして頂いたり、貸出要綱みたいなものをスペースイサンのスタッフだった方に協力して頂いて作ったり。バタバタしてますね。
- __
- 素晴らしい。
- 佐藤
- 他には、映像の仕事をたまにさせて頂いてるんですけど、来週は撮影があって。忙しくしております。
- __
- 大変ですね。仕事以外ではどんな感じですか?
- 佐藤
- プライベートですか。プライベートは・・・まあ、最近は安定しています。
- ※劇団とっても便利
- 京大映画部を母体に、ミュージカル劇団として1995年発足。ロンドン・ミュージカルに強い影響を受けた作風が注目され、またたく間に、関西小劇場界で屈指の動員を誇る人気劇団に成長。参加したすべての演劇祭で最高動員を記録する。1997年に初の大阪公演、2001年に初の東京公演。以降、各地で公演。近年は、小柳ルミ子さんや元宝塚歌劇団の高嶺ふぶきさんをお迎えしての小劇場の枠を超えた公演や、東映剣会の福本清三さんをお迎えしての時代劇ミュージカル、ミュージカル以外にも名優小川眞由美さんを迎えての野外劇など幅広く上演。2014年公開 映画『太秦ライムライト』の製作他、出版事業、演劇教室運営まで手がける。(公式サイトより)
Knit Cap Theater presents「Oh!Radio」※
- __
- 次に出演されるのは、ニットキャップシアターの「Oh!Radio」ですね。どんな公演になりそうでしょうか。
- 佐藤
- 何かね、ふざけた公演になりそうです。いい意味で。前回のコント公演はコントを何本も作りこんでって感じでしたが、今回はラジオショーということで、けっこう気楽に観てもらえる感じ。歌もあります。UrBANGUILD(アバンギルド)って、客席によっては見えづらいところもあったりするんですが、それを逆手に取って、音を重視しているみたいで。耳で楽しむ感覚の公演になると思います。
- __
- 佐藤さんは歌うんですか?
- 佐藤
- はい。歌います。ミュージカル女優として呼ばれてるので。
- __
- それは、歌わん訳はないですね。
- 佐藤
- なんか私、ニットで使われる時は面白枠になってきたんです(最初は違ったんですけど)。真剣にセリフを喋ってるけど、それが笑えちゃうみたいな。
- __
- それは、ご自身としては・・・
- 佐藤
- すごく嬉しいです。ふざけた事が好きなんです。そういう部分は、自分の劇団の作品では出す機会が少なかったので。「さらば箱舟」の時とかは真面目にやってたんですけど、いつのまにかふざけた面をニットのみんながすごく気に入ってくれて。
- __
- ファニーな佐藤さんが見れるということですね。
- 佐藤
- ファニーですね。
- __
- ラジオということは、いろんな仕掛けがあったりしそうですね。
- 佐藤
- 楽しみにしていてください。
- ※Knit Cap Theater presents「Oh!Radio」
-
今夜はラジオをみにいこうっ
Knit Cap Theater presents
Oh! Radio
Knit Cap Theater presents 第2弾は、
ラジオ風味でお届けするオムニバスコントライブ。
アバンギルドの美味しいごはんとお酒をお供に、のんびりニンマリしませんか?
愛すべき大人たちにささぐニット流レディオショー
公演情報
会場
UrBANGUILD(アバンギルド)
日時
2017年 3月 17日 (金) - 18日 (土)
各日 2ステージ
[1st] 20:00- (open 18:00)
[2nd] 22:30- (open 1st終了後)
上演時間
70分(予定)
料金
2,000円 + ワンドリンク 600円 (前売・当日とも)
お問合せ
080-5337-7583(ナカタニ)
※今公演は、飲食しながら観劇していただけます。開演直前、終演直後は注文が混み合うことがありますので予めご了承ください。
※会場にテーブル席を用意していますが、限りがありますのでお食事をゆっくり楽しみたい方はお早めの来場をおすすめします。
キャスト・スタッフ
脚本
ごまのはえ
構成・総合演出
澤村喜一郎
出演
高原綾子、澤村喜一郎、仲谷萌、門脇俊輔、ごまのはえ
池川タカキヨ、黒木夏海、佐藤都輝子(劇団とっても便利)、豊島勇士、西村貴治
音響・照明
三橋琢、加藤あずさ
イラスト
藤本浩史(the coopeez)
宣伝美術
門脇俊輔
企画
澤村喜一郎、仲谷萌
制作・主催
ニットキャップシアター 毛帽子事務所
会場
UrBANGUILD(アバンギルド)
愛着と自由さ
- __
- ニットキャップの芝居にどんなところが共鳴したりするんでしょうか。
- 佐藤
- 日常と言うか、生活の中にあるちょっとおかしなもの。それに何か愛着を感じているなあ、と思って。ちょっと変な、変なといったらヘンだけど、お手本にはならない人を愛してる感覚がすごい好きです。うまく言えないですけど。
- __
- はみ出してしまっているものというか、人生のレールを踏み外しているのにそれに気づいていない人々。
- 佐藤
- そうそう。本人たちは盛り上がってるけれど端から見たらちょっとおかしい、とか。
- __
- でもそれを嫌味ではなく、上品に書き上げているごまさんの文章の力が凄いですよね。
- 佐藤
- 台本を読んでるだけでも、ごまさんがどういう風にしてほしいのかがわかるんですよね。テンポがちゃんとある。でもやり方は役者に任されている。みたいな。
- __
- 昔ニットがやっていた、「どん亀」シリーズを思い出しました。全てダメな主人公が、全ての行動に失敗し、でも彼の人生は無惨ではないような気がする、みたいな作品なんですよ。愛が溢れた作品でした。近年、ニットキャップシアターは伝記や古典を題材にした作品を作っていくようになるんですが、奥底にあるものは変わらないと思うんですよね。
- 佐藤
- 私も元々はニットのお客さんでした。そうですね。流れるものは変わってないですよね。
- __
- 意気込みを教えてください。
- 佐藤
- いっぱいふざける。今回総合演出の澤村くんをはじめ、ニットに集まる人たちは「こんなのどう?こんなのどう?」ていうのを面白がってくれるんです。自由にやらせてくれる。元々は私、自分の演技を全て決めるタイプだったんですよ。台本に、自分の感情の流れや、アクセントとかトーンとかをみっちりと付けるタイプでした。でも、コントだとそれがすごく不自由に感じるようになってきて。その場その場をどういう感じで乗り切っていくか、をやらせてもらえるんです。ミュージカルはそうもいかない。コントはいかに構えず、真面目にふざけられるか。
- __
- 個人的にも、人との会話においての「おふざけ」は長年のテーマです。アイデアを生み出す瞬発力も必要だし。
- 佐藤
- それはもう、失敗を恐れないのが大事ですよね。
- __
- そうですね!
- 佐藤
- で、すぐに置きにいくんですよ私。一回ウケたらそれを踏襲してる。本番になったら毎回同じことをやってる。それはそれで大事なんですけど、今回は冒険をしたいな、というのがあります。
- __
- その領域、色々な考え方がありますよね。アドリブを否定し、稽古で作ってきたものを信じる劇団もあれば、普段から本番のやりとりや雰囲気に劇団ごと合わせていく人たちもいる。本番で出てきたものを大切にし、俳優の判断に任せる演出家もいれば、稽古と本番の中間に行きたい役者たちもいる。
ピルドレン「ばーじん・ぼーい」※
- __
- ピルドレン、お疲れ様でした。面白かったです。
- 佐藤
- ありがとうございます。池川くんは、私をよくあの役にしたなと思って。役者としての普通の印象やったら、楠さんと私の役は逆だと思うんですよ。
- __
- そうかもしれませんね。
- 佐藤
- 実際に私が演じたのは「独特な世界観をもつサブカル女子」で、楠さんの役は「なぜかモテる女の敵」。ダブルキャストでお互い反対の役でも上演しよう、という話もあったんですけど、製作期間の関係もあって叶いませんでした。まあ池川君もどこか私を面白がってるんですよね。彼とはなんか不思議な信頼関係があるんですが。
- __
- 二人とも歌いますしね。
- 佐藤
- 私も池川君の感覚は面白いと思ってます。
- __
- 佐藤さんにああいう面があるんだなと。新鮮でしたね。
- 佐藤
- 劇団員も見に来てくれたんですけど、「あんなところ初めて見た」って言ってくれました。
- ※ピルドレン#0「ばーじん・ぼーい」
- 公演時期:2016/12/16。会場:喫茶フィガロ。
ここまでの道
- __
- 佐藤さんが演劇を始めた経緯を教えてください。・・・あ、すみません、佐藤さんにばかり喋らせてますね。
- 佐藤
- いえいえ。ふだん私聞き役なので。
- __
- あ、そうなんですか。
- 佐藤
- 自分のこと喋るのは苦手なんですよ。でも頑張りますね。二十歳の時に、劇団のHPを観て、稽古見学に行ったんです。その時なぜかテレビの取材が来ていて、劇団員の人たちがすごく稽古を頑張っていて。で、「あ、ちゃんとした劇団なんや!」と思って、オーディションを受けて、次の秋公演に出演する事になったんです。でも一幕しか出番が無くて、二幕の間は楽屋でずっとモニタを観てました。そういう経験があったんですよ。
- __
- おお、そうなんですね。
- 佐藤
- でも、少ない出番でも、劇団とっても便利の作品にハマるものを感じたんです。劇団に入るまでは、国連の職員を目指して勉強頑張っていて、大学院に飛び級で入ったり。でも、何か、自分がやりたいと思って目指していたのか、人がカッコいいと言ってくれるのを目指していたのか分からなくなって。で、何か、自分が好きなものをやらなきゃ、と思ったんですね。アカペラサークル周辺をうろついてたころに出会ったんです。
- __
- 必然ですね。
- 佐藤
- そうなんですかね。私、物心付いた時から聖歌隊に入ってたんですよ。父親が牧師で、教会に住んでて。でも高校生くらいから反発するようになって、聖歌隊もやめてしまって。けれど歌は続けたくて。演劇の中で歌う事は今まで自分がやってきた事と近い気がしたんだと思います。
- __
- 良かったですよね。ハマったと言うことはとにかく幸せだと思いますよ。
通じた時・・・
- __
- ミュージカルで好きな瞬間はいつですか。
- 佐藤
- 自分の出ている時ですか。お客さんが自分の歌にすごく集中していて、歌っている内容と理解している内容がちゃんと一致していると、届いてる、って分かる瞬間が私の演劇人生にも何度かあって。いつもその瞬間に出会えるとは限らないんですけど。
- __
- 分かるんですね。
- 佐藤
- 分かる気がしているだけかもしれないですけど、「あっ、分かる」っていう瞬間があります。それは、自分が取り繕わずに舞台に立てている瞬間なのかもしれないですけど。
- __
- 相手がどこまで理解出来ているか、そのレベルは分からないですが、理解しているかどうかだけは分かりますよね。そう、それだけはデジタルに分かる。そんな気がする。
- 佐藤
- そうですね、そういえばそれにはちょっと敏感かも。
- __
- 聞き役だから?
- 佐藤
- うん。だから、たぶん、届かないと思い始めた頃から、自分で喋るのをやめたのかもしれませんね。演劇をやっていない友達と離れていった時期があって。価値観の違いを意識しちゃったりして。でも演劇やってる人とはスムーズに話せたり。
- __
- とても良く分かりますよ。
- 佐藤
- 分かります?そんな事ばっかり思ってるんですよ。そして今のところ、私にとっては歌うことがその壁を突破できる手段みたいです。
性格ってなんだろう
- __
- ご自分の性格で、良いところと悪いところは?
- 佐藤
- 良いところは、度胸があること。
- __
- 度胸?
- 佐藤
- ある程度の範囲、で。ブロードウェイやウエストエンドに飛び出して行ったりは出来ないけど、京都で、自分の人生を生きていく度胸はあります。
- __
- 素晴らしい。悪い面は?
- 佐藤
- 後先を考えないところがあります。あと、言わなきゃいけない事を飲み込むとか。でもギリギリまできてバーン、って爆発してしまう。我慢の結果、最悪のタイミングで。
- __
- FullHouseで言う、DJですね。
- 佐藤
- DJですか。ステファニーじゃない?DJはいい子のイメージですけど。
- __
- いい子で、でも人に言えない辛い部分を抱えていて、そこから自由になりたい。でもそういう訳にはいかないからキミーに憧れたりするんですよ。そして、ジェシーすら困らせるレベルの暴走をしてしまう。
- 佐藤
- あー・・・自分はステファニーのイメージでしたよ。外に出している自分はDJなのかな。でも本当は、ミシェルのように可愛がられていたい、という本心があると思う。
最近興味のある領域を教えてください
- 佐藤
- パントマイムに興味があります。身体を使った表現の幅を広げたいと思ってます。日常の動きとかでも、私、雑なんですよ。もっと身体の動きに気を付けたいですね。それと、青春スポ根アニメを最近よく観てます。今は「ハイキュー!」その前は「弱虫ペダル」「ちはやふる」「響け!ユーフォニアム」。私、全くアニメ知らなかったんですけど、観はじめると結構面白くて。
公演が終わって、どんな気持ち?
- __
- 佐藤さんは、どんな演技をしたときに達成感がありますか?
- 佐藤
- 自分で決めてたことじゃない事が、狙ってないのにハマった時。
- __
- ああ、その時、新しい発見をしたとき、ですね。
- 佐藤
- そう、それを舞台上で。でもこれ、ちょっと、達成感ではないかも。
- __
- 今まで気付かなかった事に、新鮮な衝撃がある、みたいな感じですね。温故知新じゃないですけど。役者って、毎回そういう発見がありそうですね。
- 佐藤
- 達成感じゃないのかな・・・
- __
- 私だったら、どうかな。公演が全部終わった時は達成感がありますよね。
- 佐藤
- 私は、あんまり。公演が終わっても、「もっと出来たな」「次が始まる」みたいな気持ちになってしまって。打ち上げとかで昇華したらいいんだけど。変かな。
- __
- 終わりのない仕事なのかもしれませんね。
- 佐藤
- 去年、劇団の公演を5年振りにやったんですよ。その千穐楽が終わった瞬間は達成感あったけど、でもそれはプロデューサーとしての感慨なのかな。
- __
- 損な性分ですね。私もこのサイト、一切達成感ないですよ。
- 佐藤
- 無いんですか。かなり長く続けてますよね。
- __
- もう14年になって、500人以上の方にインタビューしてますけど何にも思わないですからね。
- 佐藤
- ゴールを決めている人は違うのかもしれませんね。達成感か・・・。
- __
- ちょっと我々には難しかったかもしれませんね。
初期衝動
- __
- いつか、どんな演技が出来るようになりたいですか?
- 佐藤
- 21歳の時に、ロンドンで「レ・ミゼラブル」を初めて見たんです。そのとき、最初の女性のソロを聞いた時、歌詞の意味もわからないのに、涙がぶわーって出て。
- __
- 衝撃を受けたんですね。
- 佐藤
- 今でもその感覚を覚えています。それがそのまま、自分の初期衝動になっているんです。その瞬間わたしは、その世界に取り込まれてしまったというか・・・あんな歌、聞いたこと無い。私は、人生が変わりました。他のひとの人生を変えたいとは思わないですけど、あんな歌が歌えるようになりたいです。
質問 藤原 美保さんから 佐藤 都輝子さんへ
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- __
- 前回インタビューさせていただきました、劇団ソノノチの藤原美保さんから。「オススメのミュージカル映画を教えてください」。
- 佐藤
- ミュージカル映画と言っていいか分からないですが、映画「リトルダンサー」を舞台化した「ビリー・エリオット」というミュージカルの10周年記念公演を収録したDVDがあるんです。それがものすごくいいんですよ。何回観たか分からないぐらい。オススメです。
ありがとう
- __
- 劇団とっても便利の魅力を教えてください。
- 佐藤
- 日本語で、オリジナルのミュージカルであること。あとはストーリーの不条理さ。一般にミュージカルというと、華やかで前向きなストーリーを想像される方が多いと思うのですが、本場ロンドンのミュージカルは、もっと自由で、取り上げる題材も多種多様です。便利ミュージカルもその影響を直接受けていて、人間や社会の不条理な部分を浮き彫りにするストーリーが多い。だから初めて観る方には奇妙な感触もあるかもしれないですが、このオリジナリティには重きを置いています。作曲・脚本・演出の大野が生み出す世界観と、それを実現する私たち劇団員と、外部から参加してくれるキャストやスタッフで、世界にたったひとつのミュージカルを作り上げる。これ以上に面白いことを、私はまだ他に見つけられません。私が入団した頃とは、劇団の様子もずいぶん変わりましたが、今だからこそ、今の私たちだからこそ、便利ミュージカルがお客様に届く、そんな気がしています。ダンスも歌も、超一級品とはいかないけれど、自分達のオリジナリティを曲げない事は尊い事だと思っています。
- __
- ありがとうございます。次回は是非ともまいります。楽しみです。さて、今日の取材はそろそろ終わりなんですが、何かお話になっておきたいことなどはありますでしょうか。
- 佐藤
- ニットキャップシアターの人たちにとても感謝しています。劇団の活動だけでは、関西の小劇場と広く関わりを持つことはなかったんですけど、ニットと関わってから、どんどん広がっていっていて。ピルドレンの池川君もそうだし、今日のインタビューもそうです。自分の演技やステージを広げていくきっかけをくれました。感謝しています。そしてもちろん、私の所属する劇団とっても便利にもとても感謝していて。私が抱えてるややこしさみたいなものも全部わかった上で、10年以上も一緒にやってきた仲間がいるということは、すごい事だなと思っています。感謝してます。そのことだけは言わなきゃと思っていました。
- __
- 今回は、ありがとうございました。最後の質問です。今後、どんな感じで攻めて行かれますか?
- 佐藤
- 京都で好きなことをやっていく。ですね。
いろはノート「き」
- __
- 今日はですね、お話を伺いとお礼にプレゼントを持って参りました。大したものではありませんがよろしければどうぞ。
- 佐藤
- ありがとうございます。(開ける)おおっ。ノートですか。
- __
- ノートですね。いろはにほへとの、すべての音をテーマにした表紙のノートのシリーズなんですよ。それは「き」ですね。お名前の一部に合わせました。
- 佐藤
- 普段ね、書くんですよ。なんでも。だからノート助かります。
- __
- 良かったです。
ラ・フォル・ジュルネびわ湖2017プレイベント びわ湖・北の音楽祭 関連事業「伊吹の森 動物の謝肉祭」
- __
- 今日はどうぞ、よろしくお願いします。京都の劇団、ソノノチの藤原美保さんにお話を伺います。最近、藤原さんはどんな感じでしょうか。
- 藤原
- 最近はですね、つい先日、てんこもり堂の公演が終わりました。明日からはソノノチの作品の稽古が始まります。4月22日(土)にラ・フォル・ジュルネびわ湖のプレイベントに出演します。マリンバ奏者の女性二人が演奏している「動物の謝肉祭」のなかで行う、パフォーマンスの稽古です。米原からちょっと行ったところにあるルッチプラザ ベルホール310というところでパフォーマンスをします。ソノノチらしさは残しつつ、もちろん物語もあって。
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- 楽しみです。
- ※ソノノチ
- 2013年1月より活動を開始。舞台芸術に携わることを職能としている、もしくはそれを目指すメンバーを中心とし、継続的な活動を目指している。ユニット名は、「その後(のち)、観た人を幸せな心地にする作品をつくる」という創作のコンセプトにちなんでおり、フェミニンでファンタジックな「おとぎ話」の中のような会話劇を、細部までこだわったアートディレクション(美術・衣装・広報物)でかたちにしていく。また、第一回公演からこれまで、すべての作品で、物語が繋がっているのも特徴のひとつ。現在は、物販部「ソノノチノチ」によるアートフリマなどでのグッズ販売など、舞台活動以外でも展開を見せている。(公式サイトより)
- ※ラ・フォル・ジュルネびわ湖2017プレイベント びわ湖・北の音楽祭 関連事業「伊吹の森 動物の謝肉祭」
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“幼き日の君へ、この曲を贈ります。”
フランスの作曲家サン=サーンスによって作曲された「動物の謝肉祭」、世界中の人に愛されるこの曲を書き上げたヒントは、40年前の彼の夢の中にあったのです。
謝肉祭の夜、少年が見た不思議な夢の世界。そこには様々な動物たちの織りなす風景と、初恋の相手、マリの姿…
名曲の誕生にまつわる幻想的な物語を、絵本の世界から飛び出してきたようなファンタジックな演目でおなじみのソノノチが、マリンバ奏者の演奏にあわせてパフォーマンスします。赤ちゃん・小さなお子さまとご家族で一緒にお楽しみいただけるコンサートです。お気軽にお楽しみください。
[演出]
中谷和代(ソノノチ)
[出演]
宮本妥子(打楽器・マリンバ)
後藤ゆり子(打楽器・マリンバ)
藤原美保(ソノノチ)
仲谷萌(ニットキャップシアター)
豊島勇士
黒木夏海
芦谷康介
浜崎 聡
[カンパニースタッフ]
外谷美沙子
渡邉裕史
[日程]
2017年4月22日(土)11:00開演(キッズプログラム)
演奏とパフォーマンスで、聴いて・見て・感じて!サン=サーンス:組曲「動物の謝肉祭」をメインプログラムとした親子で楽しめる演奏会。
※ソノノチは、11:00開演のキッズプログラムにのみ出演しています。
[会場]
ルッチプラザ ベルホール310(滋賀県米原市長岡1050-1)
◯アクセス
JR東海道線 近江長岡駅から徒歩約10分
名神高速道路 米原インターから約15分
北陸自動車道 長浜インターから約15分
入場無料(要整理券)
※3月4日(土)よりルッチプラザ、滋賀県立文化産業交流会館で配付
[お問い合わせ先]
ルッチプラザ TEL0749-55-4550
滋賀県文化振興事業団 TEL077-522-8369
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